2008.2.21記:ささやかながら、増刷がかかりました! 買って頂いた方、どうもありがとうございます。まだの方もよろしくお願いいたします。

Rocket140of

最新刊「昭和のロケット屋さん」発売中
おはなし:垣見恒男、林紀幸 ききて:あさりよしとお、笹本祐一、松浦晋也
amazon bk1 エクスナレッジ刊 2007年12月19日発売 1890円(税込)

 戦争に負けた日本は、まだ貧しかった。目標は高く遠かったが、意気軒昂としていた。ペンシルロケットからミューロケットまで、第一線でロケットを作り、打ち上げてきた2人が語る日本宇宙開発草創期。荒っぽくていい加減で、それでも生き生きとしていた熱い日々のおはなし。

| | TrackBack (2)

2008.05.09

かぐやハイビジョン映像のネット公開にあたって

 もう皆さんご存知だろうが、NHKが月探査機「かぐや」の取得した「地球の入り」「地球の出」のハイビジョン画像を、ネットで公開した。

かぐやアーカイブ アースウォッチャー

 今回公開されたのは、1280×720ピクセルの画像だ。オリジナルの1920×1080ピクセルではないのが残念だが、現在のネットの伝送容量と端末となるパソコンディスプレイの解像度を考えると妥当なところだろう。
 もちろん、伝送容量もパソコンの能力もムーアの法則に従って伸びていくものだから、NHKには1年後程度をメドに、フル解像度の画像を公開するよう望みたい。

 この件については、MIAUが、NHKに質問状を出し、それに対する回答が来たり、といくつかの動きが続いていた。私も、記事を書いている(「ハイビジョン月面画像を公開しなかったNHK」「日本ではダメなのにカナダではネットで観られる「かぐや」ハイビジョン画像」)。

 やっと、事態は良い方向に向かったと考えて良いだろう。

 今回の件に関して私は、記事を書いた際の感触から、NHK内部にも状況を正確に理解し、事態を打開しようとしている人たちがいることを感じていた。

 昨今の映像コンテンツの権利を巡るニュースをフォローしていると、なかなか「公開すべきコンテンツは公開すべき」という原則が、組織の中では通りにくくなっているだろうことが見て取れる。

 公開にまで持っていった「NHKの中の人」、本当にご苦労さまでした。MIAUもナイスプレーだったと思う。

 そして、公開に至るまでのNHK内部の手続きにおいて、あれこれと疑問を投げかけ、牽制したであろう「別の中の人」へ。

 これがあるべき姿なのですよ。最初からこうしていれば、「親方NHKは、あれこれ言われてから仕方なくやったんだろ」などと言われず、「さすがNHKは情報のあるべき未来を見据えている」と評価されたはずなのですよ。

 今回の件は、自分たちの収益の元となるハイクオリティのHDTV画像を、生データでネットに掲載してしまうことに対するためらいが、NHKにあったのだろう。
 このロジックは、もちろん通用しない。「地球の出/入り」の画像は、国民の税金で開発された探査機に搭載したNHKのカメラで取得された。NHKが独力で取得したものではない以上、探査機に対する出資者である日本国民、さらには全世界の人々への、ネットを使ったハイライト部分の公開は当然である。


 この問題を広く捉えるならば、ネットワークによって「デジタル映像コンテンツ」の流通はどう変わっていくか、という問題だ。

 音楽の世界では、ネット流通において違法コピーをどう避けるかという問題に対して、すでにアメリカの状況によって答えが出ている。「テクノロジーによる過度のコピー制限をしない」ということだ。

 まずiTunes Music Store。その成功に理由のひとつには、緩いデジタル著作権管理(DRM)がある。

 さらにiTMSでは、iTunes Plusという高ビットレート、DRMなしのサービスを行っているし、アメリカではAmazonがMP3フォーマット/320kbps、DRMなしの音楽ダウンロード販売を開始し、売り上げを伸ばしている。

 DRMは不要。それで十分ビジネスは回るというのがすでに実績として証明されているのだ。着うたなどで、DRMにしがみついている日本の既存音楽業界はいずれ衰退するだろう——私はそうみている。

 私は、この流れは動画像でも同じではないかと思う。コピーワンスもダビング10も、従来のビジネススキームに固執するあまり、にっちもさっちもいかなくなっているのではないだろうか。

 すでに台湾発で、コピーワンスを無効にする「フリーオ」というデジタル放送チューナーが出回っている。コピーワンスはテクノロジーの産物であり、後から来るテクノロジーに破られる——これは自明の理だ。だからといってこのようなチューナーの所持や利用を違法化したとしても、それは映像産業全体の活力を奪うだけのことだろう。

 まあね、例えばゴールデンタイムのテレビ各局、なかんずく民放各社が、コンテンツと呼ぶに値する、何度もの視聴に耐える番組を制作しているかといえば、私はノーだと思うのだよな。
 そしてこれは、本がデジタル化される近い将来、自分にも関係してくる問題である。「お前は本当に、意味のある情報を生産しているのかね?」と。

| | Comments (2) | TrackBack (0)

2008.05.06

サロマ湖でもハクチョウの感染を確認

 5日、北海道で新たにサロマ湖で見つかったオオハクチョウの死骸から、鳥インフルエンザ陽性反応が出た。

鳥インフル:サロマ湖畔で1羽が陽性か(毎日新聞)

 現状ではインフルエンザ・ウイルスが検出されたという段階で、強毒型のH5N1ウイルスかは不明。しかし、1)すでに死んでいる、2)韓国ではH5N1ウイルスが蔓延中という状況証拠から、強毒型ウイルスである可能性は高い。

 要するにこれまで野鳥をきちんと監視していなかったのだろう。それが、秋田県の事例でH5N1ウイルスが検出されたもので、あわてて監視体制を強化したら、すぐに次の事例が見つかったということではないだろうか。

 野鳥の防疫は、養鶏場の防疫よりもずっと難しい。鳥が死んでいるだけだから、危機感も抱きにくい。

 しかし、この段階できちんと食い止めないと、鳥インフルエンザが、渡り鳥のみならず国内の鳥類にも定着してしまう。そうなったら、ヒトからヒトへの感染を起こす新型インフルエンザが出現する確率が上昇する。もちろん、うっかり肺の奥深くウイルスを吸い込んで、人が鳥インフルエンザに感染する事例も出てくる可能性がある。

 実のところ、白鳥は感染すると死ぬので、ウイルスの拡大が分かりやすい。それだけ防疫もやりやすい。

 本当に注意しなければならないのはカモだ。

 カモは強毒型の鳥インフルエンザ・ウイルスに感染すると約3割が死亡する。しかし残る7割は、感染しても症状が出ない、不顕性感染となる。不顕性感染を起こしたカモの腸管内でウイルスは増殖し、糞の中に大量に排出される。糞は水に溶け、その水を飲んだ別の鳥に感染する。

 この春、渡り鳥のカモは、北に帰って行った。しかし今年秋にはまた日本に渡ってくる。それらカモの中に、不顕性感染を起こした個体がいて、ウイルスをまき散らしたら——。

 そうならないように、早急に、防疫体制を構築しなくてはならない。

午後追記;韓国では首都のソウルでも、鳥インフルエンザの発生が確認された。

2008/05/06-11:25 鳥インフル、ソウル市内でも=韓国:時事通信

 東京で鳥インフルエンザが確認されたら、と考えると、事態の深刻さを実感できるだろう。こうならないためには、今、しっかりとした防疫を行わなくてはならない。

| | Comments (10) | TrackBack (1)

2008.05.05

死んだ白鳥をカラスがつついていた…

 昨日の記事のコメント欄に、秋田にいるkamiyaさんが見た、現地の状況がコメントされた。

近くに住む人が「死んだ白鳥をカラスがつついていた」と言っていたので、近くのカラスは保菌している物と考えられます。

 うわ…日本国内に鳥インフルエンザが定着することは、鳥インフルエンザによる死亡事例が相次いでいるインドネシアのようになるかもしれない、ということなのに。

 感染拡大が続く韓国では、地方自治体が情報を隠蔽したという報道が出ている。

韓国:鳥インフルエンザで虚偽発表 KBSテレビ

 この地方自治体の意識の低さでは、日本は韓国を笑えない。

 参考までに:以下は外岡氏がまとめたイギリスにおける対策だ。ここまでやるべきなのに…

2006年英国スコットランドでH5N1鳥インフル死亡白鳥事例集

5/5午後追記:野付半島で見つかった白鳥も、強毒型のHN1ウイルスが検出された。

朝日新聞

 北海道も色々と動き出した。鳥インフルエンザが定着などしようものなら、サミットもなにもあったものではないだろう。

| | Comments (2) | TrackBack (2)

2008.05.04

やはり現地の防疫体制は不徹底のようだ

 鳥インフルエンザ直近情報をまとめている小樽市保健所長の外岡立人氏が5月4日付けの日記で、現地情報に基づいて秋田県など地方自治体の鳥インフルエンザ対策が、不徹底であることを嘆いている。

「幻想と現実の狭間にて」:外岡氏日記

現場への立ち入り検査の遅れ、現場周辺の消毒措置が行われない不気味さ、周辺を行き交う車両の車の消毒、人々の靴底の消毒、…。何も行われていない。

 どうも、秋田県以下、地方自治体は「養鶏場にウイルスが入らなければ大丈夫」と思っているように見える。養鶏場に入れば金銭的被害が発生するが、野鳥が死んでいる分には金銭的損失は発生しない。逆に厳重な対策をするほどに、地方自治体の財政に負担がかかる。

 しかし、実際には養鶏場での発生と、野鳥での発生では対応策が異なり、それぞれ的確な対応をしないと感染拡大を防げないのだ。

養鶏場で発生

   ・飼育家きんの全殺処分

   ・発生源調査



 渡り鳥で発生

   ・発見地域における他の渡り鳥、家きんにおけるウイルス調査

   ・渡り鳥の飛行ルート調査(または推定)

   ・渡り鳥の感染地の特定(または推定)

   ・特定された地域での獣医学的疫学調査

   ・予想飛行ルートからさらなるウイルス拡大地域の特定

   ・特定された地域での獣医学的疫学調査



  上記作業は、推定される汚染地域への人の立ち入りを制限したうえで、作業員が感染しないような装備で行う必要がある。また基本的には発生から1週間以内に全ての予備的調査と対策を終了しなければならない。

  住民の危機管理対策も同時に進められる必要がある。

 繰り返す。どうも、秋田県以下、地方自治体は「養鶏場にウイルスが入らなければ大丈夫」と思っているように見える。

 冗談ではない。養鶏場に入ったら、鳥インフルエンザとしてはもはや緊急事態なのであって、本来的にはそれ以前の段階でウイルスを食い止めねばならないのだ。

 外岡氏の日記は以下の文章で締めくくられている。

 日本の当局者達が、これまでには野鳥からの感染が人で起きたことはないからと安易に考えていると、世界で初めての野鳥から人への感染が日本で発生ともなりうる。

 これは行政業務ではあるが、医科学的基本を背景にした業務であり対策なのである。感染症予防専門家が陣頭に立っている必要がある。失敗したなら彼の責任となるような権限と責任性を課する。欧米はそうである。

 SAFTY JAPANに、「H5N1―強毒性新型インフルエンザウイルス日本上陸のシナリオ」「パンデミック・フルー 新型インフルエンザ Xデー ハンドブック」書評を書いた。よろしければ読んでみて下さい。

 自分のための備忘録。5月2日の官報に、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び検疫法の一部を改正する法律」が掲載されている。5月12日施行。読んでおくこと。

| | Comments (5) | TrackBack (1)

2008.05.02

新型インフルエンザ、4月下旬のまとめ:秋田と北海道で野鳥感染死を確認

 新型インフルエンザに関する10日毎のまとめだ。

 ついに日本でも感染死した野鳥が見つかった。韓国では防疫が失敗しつつあるようで、鳥インフルエンザの拡大が止まらない。これはまずい、日本もすぐに水際防御となると心配していたら、やはり来てしまった。

 しかも、地方自治体の初動対応が遅く、手ぬるい。鳥の世界でパンデミックになってしまい、インドネシアのようにウイルスが定着してしまったら、ヒトからヒトへの感染を起こす新型インフルエンザ出現の確率はぐっと上がる。鳥インフルエンザの段階で、厳重な防疫を行わなくてはならないはずなのに、最前線となる地方自治体は、何をしていいのか良く分かっていなかったような印象を受ける。

 全国の地方自治体はもっとしっかりしてほしい。あなたたちの機敏な行動が全日本国民を守ることになるのだから。


 まず、最初に発見された秋田県・十和田湖のケース。各種報道や秋田県ホームページ(発表文はこちら(pdf))によれば経緯は以下の通り。

・4月21日、白鳥の死体3羽と衰弱した白鳥1羽を回収。
・4月23日から有精卵に接種する手法でウイルスを培養、25日にA型インフルエンザウイルスと確定
・26日、県の家畜保健衛生所が周辺農家への聞き取り調査と注意喚起を行う。
・27日にウイルス検体を独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構・動物衛生研究所(茨城県つくば市)に搬入。同日夜、H5亜型ウイルスであることを確認。
・29日、ウイルスが強毒型のH5N1型であると発表。

 まず、ウイルス検査は、技術的には1日でできる。つまり現状では、地方自治体レベルでの迅速な検査態勢が確立していないことが見て取れる。21日に回収したならば22日には検査結果を出して、23日には防疫に入らなければいけないはずなのだ。

 さらに、韓国で強毒型のH5N1型鳥インフルエンザが蔓延していることは衆知の事実だ。だからA型ウイルス陽性と判明した段階で、H5N1型ウイルスであると想定して防疫体制に入るべきなのだ。つまりどんなに遅くても26日には本格的な防疫体制が動いていなければならない。

 しかし実際には、26日からの初動防疫体制も不徹底だった。SAFTY JAPANに書いたのだけれども、今回の場合は不顕性感染を起こしたカモが、周囲にまだいる可能性があった。
 となるともっとも恐ろしいのは自動車のタイヤにウイルスを含む糞が附着して遠くまで運ばれ、二次感染を起こすことだ。すぐに検問所を設けて通行する自動車のタイヤを消毒しなければいけないのである。同時に、至急周辺地域から鳥の糞を採取してウイルス検査を行わなくてはならない。

 その後、北海道の野付半島で見つかった白鳥の死骸からも鳥インフルエンザウイルスが検出された。経緯は以下の通り。

・4月24日、観光客が白鳥の死骸を発見。
・4月27日、回収した死骸を中標津町の動物病院で解剖。キツネなどの捕食の痕跡なし(死骸を食べたキツネなどが感染し、さらにウイルスをまき散らす可能性もあった)。死後さほど時間が経ってはいなかった。
・5月1日、環境省釧路自然環境事務所が検体を持ち帰りウイルス検査。即日陽性と判明。環境省がウイルス陽性であったと発表。

 ここでも初動の遅れを見て取ることができる。おそらく秋田県の事例が出てきたことで、あわてて検査を行ったのではないだろうか。

 ちなみに北海道庁のページにはこの件に関する情報が見あたらなかった。わずかに別海町のHP短いリリースが掲載されたのみである。トップページに緊急情報として掲載した青森県の対応と対照的だ。大丈夫か?北海道。

 ヒト→ヒト感染を起こす新型インフルエンザの出現を阻止するには、鳥インフルエンザの拡大を防ぐことがとても重要なのだ。

 「ヒトにはめったに感染しないから安心して下さい」というのは事実だ。しかしこの段階での不作為はヒトに感染するウイルスを呼び込むことにつながる。いったんヒト型ウイルスが出現すれば、もう風評被害がどうのこうのなどといっておれる状態ではなくなる。

 まだ鳥インフルエンザが広がる前の段階だからこそ、大げさに思えるほどの防疫が、大きな効果を発揮する。感染拡大が進んでから大規模防疫を展開しても効果は薄いのだ。

 だからこそ、今回の初動の遅さは恐ろしい。幸いなことに今回は初動をもたついている間の感染拡大はなかったようだが、ひとつ何かの偶然が悪い方に出ていたら(例えば、ウイルスを含んだ鳥の糞が長距離トラックのタイヤに附着するというようなこと)、日本全国に鳥インフルエンザが飛び火していたかもしれない。

 韓国では危険な状況が続いているので、今後とも気を抜くことはできないだろう。以前のケースでは京都府と宮崎県の養鶏場で鳥インフルエンザが発生した。今回は秋田と北海道だ。つまり、日本中どこでも鳥インフルエンザが確認される可能性があると思わなくてはならない。

 例え感染の疑いがある鳥が発見されなくとも、鳥の集まる湖沼などでは定期的に糞のウイルス検査を行うぐらいのことをしなければならないはずである。


 その他、鳥インフルエンザ直近情報から、過去10日間の動きをまとめる。

●韓国での鳥インフルエンザ感染拡大が止まらない。どうも感染した鶏の移動を防ぐ手段がザルになっているようで、4月29日に確認されたウルジュ(蔚州)の農場の例では、21日に購入した120羽の鶏のうち104羽が死亡したという。
 5月1日付けで日本に近い釜山でも感染疑い例が出たと報道されている。日本にとってすでに対岸の火事ではなくなりつつある。

●インドネシア・ジャワ島では、4月23日に3歳男児が鳥インフルエンザで死亡した。同国での感染者は132人、死亡者は108人となった。これはもちろん確認された限り、であって、背後には相当数の未確認感染者・死亡者が隠れていると推定されている。

●オーストラリアは、パンデミックに備えてタミフルの処方箋なし薬局販売を検討している。感染初期にタミフルを服用できるかどうかが生死を分けるため、家庭備蓄を進める狙いがあるとのこと。

 日本でも、是非検討して欲しい。

●アメリカとトルコの研究チームが、鳥インフルエンザから回復した患者の骨髄細胞から抗体産生細胞を採取し、抗体を生産させることに成功した。

 新型インフルエンザ出現までの時間を稼げば、それだけ研究は進み様々な対抗策を実用化することができる。だからこそ鳥インフルエンザの段階での拡大阻止は重要なのだ。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2008.04.25

宣伝:5月2日金曜日、ロフトプラスワンのイベントに出演します

 このゴールデンウィークは、小型で機動的な宇宙開発を目指す、北海道のカムイロケット、その中心人物である永田教授をお迎えして、その現状と未来像、そして例によって——なんといってもロフトプラスワンですから——あんなこんな話を語ってもらう…予定です。


Naked→PLUS ONE→Loft A→GWトライアングル/宇宙作家クラブpresents
「カムイロケットまつり!」〜人気シリーズ「ロケットまつり」に「CAMUI(カムイ)ロケット」開発者が登場!〜
CAMUIロケットとは、北海道大学や北海道内の民間企業、国ではなく民間主体に開発がすすめられているハイブリッドロケット。そのCAMUIロケットにはどんな道のりがあったのか、開発の中心人物の一人・永田晴紀教授をお呼びして伺う。

【出演】永田晴紀(北海道大学教授)
【聞き手】松浦晋也(ノンフィクション・ライター)、浅利義遠(漫画家)、笹本祐一(作家)

5月2日金曜日
Open18:30/Start19:30
¥1500(飲食別)
当日券のみ

場所:ロフトプラスワン(新宿区歌舞伎町1-14-7林ビルB2 03-3205-6864、地図)

 カムイスペースワークスの記事を見て心配して下さった方々、どうもありがとうございます。連絡に齟齬があったのですが、すでに解消しました。当日は間違いなく永田先生においで頂けます。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

宣伝:4月28日月曜日、ロフトプラスワンのイベントに出演します

 「やりましょうか」というプロデューサー斎藤さんの一言で決まりました。

 先般、地球を離れて旅立ったA・C・クラークについて、百戦錬磨のSF成分全開の面子が語り倒します。多分私は聴き手に回ることになるでしょう。

宇宙作家クラブpresents
「アーサー・C・クラークを語る」
『2001年宇宙の旅』など数多くの作品で知られ、2008年3月19日に多くの人に惜しまれながら永眠したSF作家の巨匠、アーサー・C・クラークを追悼し、その多大な偉業を振り返る。

【出演】江藤巌(航空宇宙評論家)、金子隆一(サイエンス・ライター)、鹿野司(サイエンス・ライター)、松浦晋也(ノンフィクション・ライター)、他

4月28日月曜日
Open 18:30 /Start 19:30
¥1000(飲食別)当日券のみ

場所:ロフトプラスワン(新宿区歌舞伎町1-14-7林ビルB2 03-3205-6864、地図)

参考記事:いずれ星の世界へ

| | Comments (1) | TrackBack (0)

2008.04.24

書籍紹介:「中国動漫新人類」

 書評仕事で回ってきた本なのだけれども。あまりに面白かったのでここでも紹介する。中国における日本アニメ需要に実態を追った——だけの本と思っていたら、とんでもない。中国人のメンタリティの部分にまで降りていった本格的な分析書だった。

 テレビアニメというサブカルチャーが予想以上に大きな影響を中国の若年層に与え、それは権力構造を揺るがすまでになっているという内容だ。

 まず中国の大学生に対するフィールドワーク。男女問わず、ドラゴンボール、スラムダンク、セーラームーンなど、広範囲の日本漫画とアニメが若年層に巨大な影響を与えているのだという。

 続いて中国に置ける日本アニメ受容の歴史だ。最初は1981年の鉄腕アトム放映で、その後大量に放送されるようになる。ビデオCDによる海賊版、漫画本も海賊版が安く大量に出回るようになった。

 ターニングポイントは、1989年の天安門事件だった。中国指導部は、彼らからすればはっきりと思想性を読み取れるハリウッド映画を警戒しきびしく検閲するようになった。その一方で、開放経済政策で、国民に誰もが豊かになれる幻想を抱かせ、治安を維持しようとする。その中で、日本の漫画、アニメは「人畜無害」「この程度の子供だましに人民がうつつをぬかしてくれれば、好都合」ということで放置、黙認された。

 ところが中国政府は、例えば手塚治虫が鉄腕アトムに込めた深い思想を見過ごしていた。そう著者は指摘する。

 中国の子供達にとって「努力、友情、勝利」も「恋愛」も「自由」も、日本のアニメ、漫画の中で光り輝いているものだった。中国の若年層は、日本のアニメや漫画を通じて、民主主義を体感として学ぶことになった。

 同時に著者は海賊版の存在を積極的に評価する。海賊版が安く出回ることで、中国人民は貧困層にいたるまでが等しく日本のアニメ・漫画に触れることになった。海賊版のおかげで日本のコンテンツは中国で巨大な影響を持つことになった。

 同時に、安価な海賊版を買うことで、子供達は「自分がお金を出して自分の漫画、自分のアニメを買う」「自分で好きなものを選び取る」という資本主義の基礎を体で学んでいった。

 その一方で、著作権を厳しく管理したアメリカのコンテンツは、それ故に中国市場での影響力を失った。

 海賊版というのは、つまりヒットソングにおけるラジオでのへヴィ・ローテーションのような役割を果たしたということだ。

 話は江沢民による反日教育にも及ぶ。今の若い世代は反日教育で育っている。その一方で、日本アニメ・漫画は生活に浸透しており、彼らは2つのスタンダードを使い分けている。アニメもマンガも好き、でも日本の首相が靖国に参拝するのは許せない、というように。

 1989年の天安門事件以前、毛沢東から四人組に至るまでで中国社会のたがを締め付けていたのは「革命」だった。「反革命的」と烙印を押されると、それは社会的な、そしてかなりの場合、身体的な死をも意味した。こうなると人々はこぞって革命に奉仕する姿勢をみせ、他人を反革命的と告発することで自分は死から逃れようとする。それが中国政府への忠誠となり社会秩序をもたらした。

 天安門事件以降、毛沢東は死に四人組は失脚し、開放経済体制も始まっており、もはや「革命」はキーワードになり得なかった。その状況で社会を締め付けるために選ばれたキーワードが「反日」だった。根底には「抗日戦争を戦いぬいた共産党」という自己認識がある。このため中国人にとって「反日」は、共産党への忠誠と同義となる傾向があるのだという。

 今や中国政府は自らが行ってきた反日政策に縛られている。経済的には日本とうまくやらねばならない。しかし国民は反日教育の成果で、日本との宥和的政策を許さない。

 著者は今後、日本は戦略的に中国の若者を日本に招いて、漫画やアニメの分野での交流を進めるべきだと提言する。それもネットなどで反日的な活動をしている者こそを積極的に招くべきだ、と。反日青年達も、日本の漫画やアニメで育っているのだから、そこに理解の糸口がある。

——ううむ、なるほど。

 ただし調べてみると東京国際アニメフェア「中国アニメ産業事情」レポートという記事も出てくる。状況は急速に変化しつつあるようだ。何をするにしても「慎重に急ぐ」という難しい舵取りが必要になるようではある。

 著者の遠藤誉氏(筑波大学名誉教授)の略歴を見てびっくり。1941年に中国の長春(当時の新京、満州国の首都)に生まれ、帰国は1953年。
 長春に立てこもった国民党軍を共産党軍が包囲して長春市民に30万人の死者がでた、1948年の長春包囲戦を7歳にして生き延びた人だった。その体験を綴った「卡子(チャーズ) 出口なき大地 1948年満洲の夜と霧 」という著書(1984年読売新聞社刊、残念ながら絶版中)もある。

 こういう人が、サブカルチャーの領域で中国研究をやっているのか。すごい…これは「卡子(チャーズ)」も読まなくては。


| | Comments (1) | TrackBack (0)

2008.04.23

新型インフルエンザ、4月中旬のまとめ

 例によって鳥及び新型インフルエンザ海外直近情報集による、4月中旬の世界の状況のまとめだ。

 他人様のまとめた情報をさらにまとめているだけなので気が引けるのだけれども、同ページをきちんと読み込む時間のない人もいるだろうと思うので。
 より詳細な情報はオリジナルに当たってほしい。


 同ページが冒頭に掲げているパンデミック発生危険度を30%から33%に引き揚げた。韓国、ロシアなどでの家禽の間での鳥インフルエンザ流行発生に対応したもの。


●韓国の鳥飼育施設で発生した鳥インフルエンザが、あちこちに飛び火している。22日の時点で、鳥インフルエンザ発生の疑いがある事例は49件、うち26件が鳥インフルエンザと確認されている。23日には家禽処分に参加した兵士の一人がH5N1ウイルスに感染していたことが確認された。

 韓国での感染拡大には、流通業者が感染が発生した農場からカモを不法に持ち出して販売したことが影響しているという報道が出ている。流通業者が鳥インフルエンザに対する知識を十分に持っておらず、その危険性を低くみてしまったのだろうか。「大したことないから売り抜けてしまえ」というように。

 逆説的に「知識のワクチン」の重要性が示されたように思う。皆が鳥インフルエンザ、ひいては新型インフルエンザに対する正しい知識をもつことが非常に重要なのだ。

 韓国のみならずロシアのウラジオストック近郊でも鳥インフルエンザの発生が確認された。過去の事例では、韓国で鳥インフルエンザが発生した後で、日本の養鶏場でも鳥インフルエンザが発生している。

 人に感染することがまれな鳥インフルエンザの感染拡大が、なぜ危険なのかといえば、それによりウイルスが増殖する機会が増えるためだ。ウイルスは増殖のたびにランダムな突然変異を起こす。増殖の機会が増えるということは突然変異の試行錯誤回数も増えるということであり、人から人への感染を起こす新型インフルエンザが出現する確率も高まるのである。


●人への感染が続いているインドネシアは、相変わらずWHO及びアメリカに対して敵対的な態度を取っている。過去の感染でアメリカがかなり強引な手法でウイルスサンプルを持ち出したことから、インドネシアは態度を硬化させた。自分たちが提出したサンプルで助かるのはアメリカをはじめとした先進国であって、自分たちに恩恵が来ないではないか、ということだ。三者は話し合いを続けているが、まだ解決の糸口は見えてこない。

 この件についてはインドネシアの現地メディアの報道をまとめているBerita Flu Burung (インドネシア 鳥インフルエンザ情報)でも取り上げられている。
 インドネシアでは大きな問題になっているのに、日本ではほとんど報道されていない。どうした?新聞各社のジャカルタ支局!!

 インドネシアのシティ・ファディラー・スパリ保健相は、そのシステムは不公平であり、変えるべきだと主張する。パンデミックが起きた場合、インドネシアの鳥インフル標本から作られたワクチンは、インドネシアの国民に手の届く範囲にない、高価すぎるし、裕福な国々によって操作されているからと、彼女は主張している。

 ワクチン製造にはウイルスのサンプルが必須である。もしもインドネシアで新型インフルエンザが発生し、同国政府がサンプル提出を拒めば、それだけパンデミック時のワクチン製造が遅れることになる。しかし、発生国に優先的にワクチンを供給する国際的な枠組みは、まだ存在しない。


●日本では、備蓄しているプレパンデミック・ワクチンの一部を、医療従事者や検疫担当者など約6000人に事前接種する方針が出た。また、今年度はプレパンデミック・ワクチンを1000万人分積みまして合計3000万人分を備蓄する。

 事前接種はいいのだけれど、接種者数が増えれば少数ながら強い副作用が出る人がおそらくは発生するだろう。そのあたりのリスク・コミュニケーションはどうなっているのだろう。きちんと情報は共有されているのか。
 アメリカの過去の例では、1976年にパンデミックを恐れて事前接種したワクチンで、運動神経が冒されるギラン・バレー症候群となってしまった例が存在する。

 そしてなによりも、いざパンデミックが発生した時に、数日オーダーで一気に接種する体制の整備はどうなっているのだろう。現在の大型ボトルによる備蓄では、接種開始までに数週間の時間が必要になる。ワクチンをアンプルに詰めて末端に配布する必要があるためだ。

 事前接種もさりながら、ひとたびパンデミックが発生したときに急速に接種を行う体制を整備するほうが先決ではないのだろうか。致死率の高い新型インフルエンザのパンデミックが起きてしまえば、副作用のリスクは許容範囲となる。しかし発生前の現在、副作用リスクを許容すべきかどうかは、きちんと考えねばならない事柄だ。

 そしてなによりも3000万人分では足りない。狭い国土に1億2800万人が暮らす日本なのだから、全国民分のプレパンデミック・ワクチンを備蓄し、パンデミック発生時に数日で接種を行える体制を整えることが重要なはずだと思う。


●その一方で、ワクチン研究は急速に進んでいる。アメリカのパーデュー大学の研究グループが、通常の風邪を引き起こすアデノウイルスにH5N1ウイルスの遺伝子を組み込むという手法で、幅広いH5N1亜種に効くワクチンを製造することに成功した。マウスと鳥の実験では、接種後1年以上、免疫が持続したという。アデノウイルスは取り扱いが容易で、ワクチンの大量製造も可能だ。
 プレパンデミック・ワクチンと、新型インフルエンザ発生後に製造するパンデミック・ワクチンの両方に有効な、有望な手法ではないかと思う。もちろん人に適用するにはまだまだ様々なハードルが存在するわけだけれども。

 気になるのはこの手法にも当然特許が発生するだろうということ。事前にパンデミック時の特許の扱いを国際的に協議して決めておかないと、助かる方法があるのに特許によって使えないということだって考えられる。

 特許の問題は、タミフルなど抗ウイルス剤の製造でも存在する。何らかの形で特許の一時棚上げと、その後の特許保持者への適正な利益配分を考えなければならないはずだ。特許保持者にしても、新型インフルエンザで世界経済が大混乱に陥れば、本来得るべき特許収入を得られないということになるのだから。

| | Comments (0) | TrackBack (1)

2008.04.19

“神環境”が見せる未来

 ああ、やってしまったか。

「アナログ放送終わります」テレビ画面に常時字幕へ(asahi.com)

 2011年に予定される地上波テレビのアナログ放送停止を控え、今夏からテレビ画面に「アナログ」という共通の文字スーパーが流される。地上デジタル放送(地デジ)への完全移行をPRする。NHKや民放各社は完全移行3年前となる今年7月24日から始める方向で調整している。

 現在、地デジ受信機の世帯普及率は約28%にとどまっているため、アナログ停波の認知度を高める狙い。

 商品に魅力があれば、後は値段との兼ね合いで自ずと普及する。地上デジタル放送の普及が遅れているのは、商品としての魅力に欠けるという一点に尽きる。アナログ時代に構築した放送利権を維持するために、訴求力に欠けるシステムを組んだところに最初のボタンの掛け違いが存在するわけで、それが小手先の対策でどうなるわけでもない。

 テレビを見なくとも必要な情報を手に入れる環境はすでにできている。こんなことをしていると、先行き何が起きるかは明白だと思うのだけれど。

ここから今日の本題。

 先日、面白いものを教えて貰った。Windows Mobile用のWMWifiRouterというソフトだ。Windows Mobileを採用するスマートフォン、それも無線LAN機能を搭載する機種でこのソフトを走らせると、そのスマートフォンを無線LANルーターとして使うことができる。

 例えば、イーモバイルのEM ONEでこのソフトを走らせて、カバンの中かポケットにでも入れておけば、自分が最大7.2Mbpsの無線LANスポットを持ち歩いているのと同じになる。

 どういうことか。例えばiPod Touchのような端末をいつでもどこでも無線LANでネット接続できるようになるわけだ。「いつでもどこでもネット」という環境を、Windows Mobileのどうしようもないユーザー・インタフェースではなく、iPod Touchの洗練されたユーザー・インタフェースで使用することができるのである。

 次世代のWiMAXの環境を先取りだ。一部では「神環境」などと呼ばれているらしい。

 この環境のデモンストレーションは、日本に持ち込まれたiPhone(もちろん電話機能はアクティベートされていない)、それもジェイルブレイクしてさまざまなソフトを組み込めるようにした端末で見せてもらったけれど、やはりiPhone/iPod Touchのユーザー・インタフェースは良くできている。ほいほいとGoogle Mapを呼び出して、地図を確認できるのはとても便利そうだった。

 EM ONEがそもそもWindows Mobileなどを使っていなければ——という話ではあるのだけれど、今後高速通信が当たり前のものになれば、勝負の場は携帯端末のユーザー・インタフェースに移っていくのだろう。今現在、すでにアップルはiPhone/iPod Touchを実現しているわけで、日本の電機メーカーが対抗していくのは相当難しそうだ。

 要は、ムーアの法則をどう考えるかということだったのだろう。ムーアの法則により、プロセッサーは高速化し、メモリーは大容量化していく。いずれ携帯端末で、かなり重いとされたOSも軽々動く時代が来る。すると、パソコン用だろうが携帯端末用だろうが、「筋の良いOS」が一種類あればいいということになる。筋の良いOSとは、優れたメモリー管理とタスク・スレッド管理機能、優れたユーザー・インタフェース、生産性の高い開発環境を兼ね備えたOSだ。OSのサイズや実行速度については、気にする必要はない。いずれムーアの法則が解決してくれる。ただ一つの筋の良いOSをブラッシュアップしていけば、いずれそのOSでパソコンから携帯端末までをカバーできる未来が来る。

 そう考えた上でアップルが出した結論が、カーネルにオープンソースのダーウィンを採用したMacOS Xだったのだろう。ご存知の通り、iPhone/iPod TouchはMacOS Xで動いている。

 パラダイス鎖国などと言われている、日本の携帯電話メーカーは、この先どうなるのだろうな。あまり良いことにはなりそうもない予感がする。

| | Comments (0) | TrackBack (1)

«訃報:柴藤羊二さん