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2005.05.31

「池野成の映画音楽」を紹介する

 せっかく、 Amazonのアフィリエイトを始めたというのに、今日はAmazonでは入手できないCDの話だ。

「池野成の映画音楽」

 昨年逝去した作曲家・池野成による映画音楽を集めた4枚組CDだ。限定500セットという少部数だが、内容がすごい。日本映画黄金時代の音楽がぎっしりとつまっているのだ。吉村公三郎、川島雄三、増村保造、山本薩夫といったそうそうたる監督の作品に、黒田義之監督「妖怪大戦争」の音楽まで入っている。

 池野成は、他に類のない作風の優れた作曲家だった。
 とにかくすべてが強烈で緻密なのだ。
 トロンボーンとティンパニによる低音の偏愛、ドローンとオスティナートへの執着、緻密な音響構成——そういった特徴がこのCDから聞き取ることができる。

 私が池野成という名前を初めて知ったのは、NHK-FMで放送された「エヴォケイション」という曲からだった。ソロのマリンバに、6人のティンパニ、6人のトロンボーンという異色の編成から強烈なリズムと音響が繰り出される作品だった。
 私は、この作曲家の他の作品も聴きたいと思ったのだけれども、一向にラジオで演奏されることもなく(1983年の「ラプソディア・コンチェルタンテ」はFMで放送初演されたそうだが、あいにく当時は私がバイクに夢中でラジオ番組には注意を払っていなかった)、そうこうしているうちに20年以上が過ぎ、作曲家は世を去ってしまった。その間、私は代表作と言われる「エヴォケイション」を再度聴く機会すら得られなかった。

 一体なぜ、かくも優れた、百歩譲ったとしてもユニークと言える作曲家が死に至るまでこれほどまでの無名、知る人ぞ知るという状態のままだったのだろうか。様々な大家の映画に音楽をつけながら、それが賞の形で評価されなかったのか。不思議でならない。

 例のNAXSOSの「日本作曲家選輯」でも池野の名前は挙がっている。しかしその順番は後ろの方で、いつになったらこの作曲家のコンサート用作品をまとめて聴くことができるようになるのか、まったく分からない。いつかNAXOSが池野作品のCDを出すその日まで、この「池野成の映画音楽」が、彼の音楽を知る唯一の手がかりということになる。

 「池野成の映画音楽」は通販で購入することができる。さあ、少しでも興味を持ったなら、メールを出そう。ここで、この限定500セットのCDを逃したら、いつ池野の音楽を聴くことができるか分からないのだ。悲しい話ではあるが。


 今年の夏にリメイク版が公開されるからか、「妖怪大戦争」のDVDも新しいパッケージで販売されることになった。現在予約受付中。
 ずいぶん以前にテレビで観た印象しかないのだけれども、脚本が弱いという日本映画の宿痾から、この映画も逃れてはいないと思う。どうにも話の運びは散漫だ。

 その一方で、敵役の妖怪ダイモンは迫力十分。その迫力の半分は、池野成が付けたトロンボーン合奏のポルタメントによる「ダイモンのテーマ」によるものだろう。
 残る半分は着ぐるみでダイモンを演じた橋本力の功績だ。橋本は「大魔神」シリーズでも大魔神を演じている。大魔神のあのぎろっとした目は橋本の目そのものであるのは有名だが、この映画でもダイモンの目はそのまま橋本の目を使っている。一世一代の目の名演技である。

 今夏のリメイク版では荒俣宏が原作を担当。敵役はダイモンではなく、加藤保憲なんだそうだ。誰が魔人加藤を演じるかは公開されていないが、1989年の映画「帝都物語」では嶋田久作がこれまた一世一代の名演技を見せていた(そういや「帝都物語」も映画は大したことなかったなあ)。また、嶋田の加藤が観られるならば、ちょっとだけ楽しみである。

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