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2005.11.30

宣伝:12月2日(金曜日)、新宿・ロフトプラスワンのトークライブ「ロケットまつり9」に出演します

 はやぶさ関連で告知が遅れてしまいました。今週の金曜日に「ロケットまつり9」を開催します。秘蔵資料公開と、まだまだ続くラムダロケットの話です。

宇宙作家クラブPRESENTS
「ロケットまつり9」
ラムダロケットのお話。再び。あといろいろ。
【Guest】林紀幸(元ロケット班長)、垣見恒男 (日本で初めてジェットエンジンを設計)
【出演】浅利義遠(漫画家)、松浦晋也(ノンフィクション・ライター)、他
12月2日金曜日
Open/18:30 Start/19:30
ロフトプラスワン :新宿・歌舞伎町

¥1000(飲食別)
当日券のみ

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2005.11.29

「はやぶさリンク」:午後3時からの記者会見

午後3時から記者会見開始

 リリースが二通。一つが第二回着陸のまとめ。もう一通が現状の分析。

 川口 土曜日に着陸の結果と今後の計画について説明したが、もう一度、説明する。もう一通が気になるでしょうが、こちらから説明します。

 第2回降下の詳細です。「はやぶさ」の第2回着陸飛行の結果と今後の計画について

 2通目のリリース。現在はやぶさが陥っている状況について。

川口 探査機現状について。(ここでリリースを読む。「はやぶさ」の第2回着陸飛行後の探査機の状況について)。

 はやぶさのスラスターの配管は。分離可能なA系統B系統2系統の冗長系となっている。どちらか一方だけでも三軸制御が可能。11月26日の第二回着陸時の上昇において、B系統に切り替えて日本時間9時過ぎに逆噴射を行った際に、B系統スラスターからリークが発生した。このためA系B系両方の、弁を閉鎖し、はやぶさはセーフモードに投入された。
 リークが起きたのは探査機上面(ハイゲインアンテナがある面)のB系スラスターと推定。

 26日夜DSN、27日臼田の運用で、セーフモードからの復帰を目指したが、残るA系統スラスターが十分な推力を発生しなかった。このため姿勢制御を回復することができなかった。
 A系統で、弁トラブルによる閉塞か、配管内凍結が起きている模様。
 11月27日、運用終了時に再度セーフモードに投入して運用終了。しかし28日臼田局運用では、探査機とのコンタクトが取れず。
 本日午前10時過ぎ、ビーコン回線が回復。復旧運用を開始。現在テレメトリ回線の回復と再度のセーフモード投入を目指している。

 現状からすると、復帰のためには相当の時間がかかる模様。


 以下質疑応答です。

時事通信 スラスター12基のA系統B系統とは。

川口 A系統6基、B系統6基ということ。

時事通信 接地着陸とスラスタートラブルの関係は。

川口 ないと思うが、これは推測の域を出ていない。

時事通信 A系のトラブルの詳細は。

川口 我々もミステリーだと思っている。推進剤は残っており、きちんと圧力もかかっている。遮断弁も開いているという信号が帰ってきている。弁開閉は機械的な動きをセンサーで得ているので信号が誤っているとも考えにくい。
 A系推力の配管には断熱材が巻いてあり、探査機内部を走っている。ところが配管の温度が一部で非常に低温、マイナス30℃にも下がっていることが判明している。配管の熱的収支が変わってしまっているようだ。しかし、その部位が凍結しても、他のスラスターで姿勢制御ができるはずなのだが、その他のスラスターもまた推力が出ない。
 27日に送ったスピンをかけて姿勢を安定させるという命令が通っていた。しかしスピン状態ではスピン軸が地球をきちんと向いていないと、ハイゲインアンテナによる高速通信ができない。本日は1パケットの取得を目指して運用したが、結局取得できなかった。

朝日新聞 B系上面スラスターはいくつか。

川口 上面4つは、A系2つ、B系2つ。このうちB系の一つがトラブルを出している模様。現状ではAとBの両方が使えないという2つのトラブルが起きているように見える。こういう事例は宇宙開発でよく発生するが、往々にして単一の原因で2つの事象が発生していることが多い。
 もっとも、実際はどうなのかは先入観を持たずに故障原因を解明したい。

朝日新聞 地球への帰還への影響はどのようなものか。

川口 まず姿勢制御の回復に全力をあげる。

毎日 B系統トラブルは復旧が可能なものなのか。28日の通信不能というのはどういう状態だったのか。

川口 B系統が、リークを起こしたことは間違いない模様。B系統の遮断弁を閉じるとリークが止まった。
 例えばリーク部位のヒーターを止めて凍結するに任せてリークを防ぐというようなことも考える必要もあるかも知れない。しかし、現状判断に必要な情報が不足している。

 28日の段階では、探査機はミディアムゲインアンテナを使用していた。このため姿勢が大きく傾くと通信ができない。この場合、まず探査機の受信機を地上からの電波にロックさせる。地上局からの電波を周波数領域でスイープさせ、探査機の受信機をロックする。その後、地上からコマンドトーンというサブキャリアを送信すると、探査機上のコマンドを受け付けるようになる。これで、探査機のアンテナをローゲインアンテナに切り替えて、通信を確立する。

 探査機の姿勢が不安定な場合、この手順はなかなか通らない。何度か繰り返す必要がある。28日は、10回行ったが、通らなかった。今日はうまい具合に通すことができて、ローゲインアンテナでの通信が可能になった。


毎日新聞 復旧作業のタイムリミットはどうなっているか。帰還時期が近づいているはずだが。

川口 リミットはあるがまずは探査機を復旧させなくてはならない。努力はするが、はっきりといつまでに復旧できるかは分からない。もしも12月初旬にイトカワを出発できないとなると、別の手段を考えなくてはならない。

NHK 配管が低温になっているのはどこか。

川口 探査機の上面側の内側だ。こちらは太陽の入射があるのでそんなに温度が下がらないはず。非常に不可解な状況である。

NHK セーフモードに近い状態とはどんな状態か。

川口 セーフモードに入れる時に探査機を回転させ、次にスラスターで首振り運動を止める。今回は首振り運動を止めることができなかった。

NHK 姿勢制御なしで帰還できる可能性は。

川口 姿勢制御が回復しないと、イオンエンジンの噴射方向を決めることができず、帰還フェーズに入ることができない。いくつか選択肢はあるが、現状がまだ分からないのでなんとも説明のしようがない。

産経新聞 12月の帰還が不可能になった場合、帰還がありうるのか。

川口 4年待つと別の帰還タイミングが存在する。ただしそれだけ待つと故障可能性も上がるので、それがいいかどうかはまた考えなくてはならない。

NHK 今、はやぶさとイトカワの位置関係は。再度のセーフモード以降を指令するとはどういうことか。

川口 現時点では推測の域を出ていないがイトカワから数十kmのところにいるはず。26日時点では6kmのところにいた。行方不明と言うことは考えられない。地上局からきちんと捕捉できる。
 再度のセーフモード移行とは、通信回線を確保するということ。それにより、対策を打つ時間を稼ぐ。

エイヴィエーション・ウィーク NASAのDSNとの協力は考えているのか。もしDSNを使えない場合にはどうするのか。

川口 DSNによる支援は11月30日と12月1日に、34mアンテナの使用時間を確保している。現在NASAの70mアンテナを数日使いたい状況だが、これはカッシーニ、ボイジャーなどの運用に使っており、NASAもそう簡単には解放できない。リクエストしてみようと思っている。現在使えるローゲインアンテナで、1パケットのデータを取得するためには大きな地上アンテナのほうが良い。
 探査機運用のために、ハイゲインアンテナは必須ではない。観測データを高速にダウンロードするために搭載している。探査機運用にはミディアムゲインアンテナがあれば十分。そのためにはとりあえず1パケットのデータがあれば中利得アンテナで地球との通信が確立できる。その受信に、70mアンテナを使いたい。

ネイチャー 今回のエンジンの問題は第1回着陸での30分の着陸と関係あるのか。

川口 なんとも言えない。今日の段階では断定できない。

時事通信 NASAから着陸成功のお祝いは来ているか。

川口 世界中からたくさん来ている。が、現状がこれなので、なかなか返事しにくくて困っている。

東京新聞 次の判断、今後の見通しはいつ頃得られそうか。

川口 大変難しい質問だが、ひとつはDSN70mをつかうこと。この話が通れば1パケット取得はできるだろうと考えている。もしもDSNでも駄目ならば、例えば「のぞみ」でも行った1ビット通信を使って探査機自身が自分の状況を知らせるという方法を使うかもしれない。今日の段階では、いつまでにどうなるというのは言いにくい。

東京新聞 では、NASAの70mアンテナのリクエストを出すのが最初のオプションか。

不明 スラスターのリークが起きているのは燃料か、酸化剤が、

川口 燃料だ。A系で凍結しているのは、両方である。

不明 ヒーターはどうなっているのか。解凍にヒーターは使えないのか。

川口 ヒーターで暖めると隣はもっと高温になってトラブルが起こるということもあり得る。やみくもにヒーターを付けるのは危険だ。とにかく現状を把握しなくてはならない。

不明 第1回の着陸の際に、スラスターのヒーターセンサーに問題が出ていたが、それは関係あるのか。

川口 その問題は2回目の着陸の前に解消した。

不明 12月上旬までに帰らないといけないのか、どこまで引き延ばせるのか。

川口 帰るだけであれば、比較的12月中旬までは引っ張れる。最後にオーストラリアに降下させる角度が変わってくるのでカプセルに加わる熱量が増加する。これをどこまで許容できるかである。残念ながら、カプセルへの熱流入量の許容範囲は大きくない。

以上です。

Following is translation by Mr. nao. Thank you.

Rough translation. Please refer to the next post and the JAXA press release for details.

[Trouble occured in thrusters of both the system-A and the system-B]

At 3:00pm, The press conference released an announce as shown in the title above. Communication to the vehicle is being kept by beacon mode. Today's operation is now being executed after re-entry to the safemode.

Following is an abstract of the press release.

The thrusters consist of two systems, A and B, for redundancy. In ascending from the secong touchdown on 26th Nov., a leakage occured in the system B and Hayabusa entered to the safe mode. They tried to recover from the safe mode in operation via DSN at 26th night and Usuta on 27th, but the remaining system-A thrusters did not generate enough propulsion force.

It seems that some trouble in valve may cause obstruction, or the pipes may be frozen.

Operation on 27th Nov. ended by making the vehicle enter to the safe mode again, but they failed to contact the vehicle on the 28th.

After 10:00am today, the beacon line was recovered and they started the operation for recovery.


Following is translation by Mr,nao. Thank you.

Here I privide a rough translation. Sorry in advance for poor quality. If you find any mistakes or typos, please tell me.


The press conference started at 3;00pm.

I got two press releases, one for summary of the second landing, and one for current condition.

(snipped. details are available in JAXA website.)

Kawaguchi: The thrusters consist of two systems, A and B, for redundancy and can work separately. Even only one system can afford the three-axes control enough. In ascending from the second touchdown on 26th Nov., at reverse thrust after switching to B on around 9:00am JST, a leakage occurred in the system B. So we closed the valves in both A and B, and entered Hayabusa to the safe mode. We assume that the leakage occurred in the B thruster on the top (the side with the high-gain antenna) of the vehicle.

We tried to recover from the safe mode in operation via DSN at 26th night and Usuta on 27th, but the remaining system-A thrusters did not generate enough propulsion force. So we failed to restore the attitude control.

It seems that some trouble in valve may cause obstruction, or the pipes may be frozen.

Operation on 27th Nov. ended by making the vehicle enter the safe mode again, but they failed to contact the vehicle on the 28th.

After 10:00am today, the beacon line was recovered and they started the operation for recovery. Now we are trying to restore the telemetry line and re-enter the safe mode.

Looking at current situation, we think it takes considerable time for recovery.

Jiji Tsushin: What do A and B in the 12 thrusters mean?

Kawaguchi: Six for A and another six for B.

Jiji Tsushin; Is the trouble related to the landing?

Kawaguchi: I think it isn't, but it's a just speculation.

Jiji Tsushin: Please give us the detail for the trouble in system A.

Kawaguchi: We think it is a mystery too. Fuel remains enough and the pressure is proper. Signals sent to us says that the block valves are open. The errors in the signals are unlikely because we get the mechanical motion by sensors.

Pipes of the system A is installed inside of the vehicle, and covered with thermal insulator. On the other hand, we found that the temperature of a part of pipe is quite low to be -30 degree Celsius. It seems that heat balance of pipes are changed. But even if that part freezes, it is likely that other thrusters can afford the attitude control. However, other thrusters do not generate enough power too.

The vehicle accepted the command to stabilize the attitude by spin, sent on 27th. In spin state, however, incorrect facing of the spin axis to Earth inhibits the high-speed communication by the high-gain antenna. We tried to get one packet, and we failed.

Asahi Shimbun: How many B thrusters on the top?

Kawaguchi: The four on the top consist of two for A and two for B. One of B seems to be in trouble. Now it seems that there occur two troubles in A and B. Such incidents occur quite often in the space development, but in many cases the two derive from a single event.

Anyway, we'd like to investigate the cause without prejudice on how it is.

Asahi Shimbun; How does it have influence on the return travel?

Kawaguchi: We now will concentrate our efforts on recovery of attitude control as the top priority.

Mainichi: Can the trouble in B be fixed? How is the situation in disconnection on 28th?

Kawaguchi: I think it's sure that the system B had a leakage. The leakage stopped when we closed the valve.

For example, the leakage might be prevented by turning off the heater at the leakage point to let it freeze, but we have too little information to judge it.

Maybe, I think, the medium-gain antenna was used on 28th. A large inclination of the attitude inhibits communication. In such situation, first, we make the receiver of the vehicle to lock on the radio wave from earth. The vehicle sweeps the wave in the freq domain and locks the receiver. Then, after we send subcareer called command tone from earth, the vehicle get to accept commands from vehicle itself (?). Then the antenna was switched to low-gain one and communication is established.

This procedure doesn't work well and has to be repeated, when the
vehicle attitude is unstable. We tried 10 times on 28th and failed. Today we succeeded it and established communication by the low-gain antenna.

Mainichi: When is the time limit of the recovery operation? Time to come back is approaching.

Kawaguchi: Though there is a limit, what to do first is the recovery. We'll do the best but I'm not sure when it recovers. If the vehicle cannot leave Itokawa in early December, we have to consider alternative ways.

NHK: Which part of the pipes is in low temperature?

Kawaguchi: Inner side of the top of the vehicle. It is expected that this part is unlikely to be so cold. Quite strange situation.

NHK: What does the "state similar to the safe mode" mean?

Kawaguchi: In entering the safe mode, the vehicle is rotated and then the swing motion is suppressed by thrusters. This time, the swing was suppressed.

NHK: Is there possibility for return without the attitude control?

Kawaguchi: Without attitude control, the jet direction of the ion engines cannot be determined and it cannot enter the return phase. Although there are several alternatives, we can tell nothing without understanding the current condition.

Sankei: If the return in December is impossible, is there any possibility of return?

Kawaguchi: There exists another return timing after 4 years. But its possibility has to be considered because the risk of disorder increases after such long time.

NHK: How is the geometrical configuration of Hayabusa and Itokawa? And what does the re-entry to the safe mode mean?

Kawaguchi: It's just a speculation; Hayabusa is now several score kilometers above Itokawa. It was 6km on 26th. We don't think it is missing. We can track it correctly from earth.

Re-entry to the safe mode means the establishment of communication line. It allows us to temporize for next operation.

Aviation Week: Are you planning to use NASA DSN? What if you cannot use DSN?

Kawaguchi: As for DSN support, we reserved the 34m antenna on 30th Nov and 1st Dec. We'd like to use the NASA 70m antenna for a few days, but now it is used for operation of Cassini and Voyagers etc. and it's hard for NASA to release it. But we are planning to request it. Larger ground antenna would be suitable for getting one-packet data by the low-gain antenna available now.

A high-gain antenna is not always required for operation of the vehicle. It is installed for high-speed download of observed data. A medium-gain antenna is enough for operations. One packet data at least is needed for establishment of communication to Earth by medium-gain antenna. We want to use the 70m antenna to receive it.

Nature: Is this engine trouble related to the landing for 30 minutes in the first descending?

Kawaguchi: It's difficult to judge at the present.

Jiji Tsushin: Did you get congratulations for success in landing from NASA?

Kawaguchi: We get many from all the world. But we are now confused about what to answer under such situation.

Tokyo Shimbun: When are the next judgment or prospects available?

Kawaguchi: Very difficult question. One is usage of the DSN 70m antenna. If we can use it, we can get one-packet data. If it fails, we may use the way to notice the vehicle the condition of itself by 1-bit communication, which was used in the Nozomi mission. It's hard to tell you the concrete dates and prospect at this moment.

Tokyo Shimbun: Then, is the first option is the request for the NASA 70m antenna?

Unknown: Is it the fuel or oxidant that is leaking in the thrusters?

Kawaguchi: Fuel. Both is frozen in the system A.

Unknown: How is the heater? Can't you use heater to melt the freeze?

Kawaguchi: Temperature of the neighbor parts would raise accompanied with heating, leading to the risk of another trouble. Reckless heating is dangerous. Anyway we have to understand the current condition.

Unknown: There was a trouble in the heater sensor of the thruster in the first landing. Is it related?

Kawaguchi: That problem was solved before second landing.

Unknown: Must the vehicle leave Itokawa by the beginning of December? How long can it be extended?

Kawaguchi: We can extend it to the mid of December, if it has only to return. The angle for falling down to Australia will change and the heat on the capsule will increase. It depends on how much heat is permitted. Unfortunately, allowable heat influx to the capsule is not large.

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「はやぶさリンク」:速報、はやぶさ、A/B両系統のスラスターでトラブル発生

 午後3時からの記者会見で、タイトルの通りの発表がありました。ビーコンモードにより探査機との通信はできています。本日は再度のセーフモード投入の運用を行っているとのこと。

 以下は配布されたリリースの要約です。

 スラスターはA系統B系統2系統の冗長系となっている。11月26日の第二回着陸時の上昇において、B系統からリークが発生し、はやぶさはセーフモードに投入された。26日夜DSN、27日臼田の運用で、セーフモードからの復帰を目指したが、残るA系統スラスターが十分な推力を発生しなかった。
 A系統でで、弁トラブルによる閉塞か、配管内凍結が起きている模様。
 11月27日に再度セーフモードに投入して運用終了。しかし28日は探査機とのコンタクトが取れず。
 本日午前10時過ぎ、ビーコン回線が回復。復旧運用を開始。

 記者会見は続いています。続報をお待ち下さい。

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2005.11.28

「はやぶさリンク」:着陸ミッションを終えて

 JAXA広報からの連絡によると、28日の運用もセーフモードからの復帰に費やした模様。三軸制御を確立して、ハイゲインアンテナを使って着陸時に取得したデータをダウンロードするのは明日29日以降となる。データが解析されて公表に至るには、さらに数日を必要とするだろう。

 はやぶさは、小惑星への着陸と土壌サンプル採集という前人未踏のミッションを完遂した。これから地球に向けた最後の行程が始まるが、リアクションホイール3基中2基が壊れ、代替となるスラスターは推進剤残量が少ない。帰途も又、困難なものとなるだろう。帰途の無事と、ミッションを締めくくる再突入カプセルの回収成功を祈るものだ。

Following is translation by Mr, nao. Thank you.

Here is a rough translation of the first part of the post. Sorry for
my poor translation. The remaining paragraphs describing
Mr. Matsuura's impression are not included.


According to JAXA public information office, they expended the
operation on the 28th upon recovery from the safe mode. It will be
after the 29th to establish the three-axes control and download data
acquired in touchdown via the high gain antenna. It will take more
several days for announcements of analyzed data.

Hayabusa accomplished an unexplored mission of touchdown on the asteroid and sampling of its soil. The final travel to Earth will start. But two of three RW are broken and thrusters as an alternative do not have enough fuel. It would also be a hard return. We wish the safety homeward and the success of retreiving the reentry capsule as a closing of the mission.

 以下、私の印象を、簡単にまとめる。

1)日本が初めて、人類、ひいては地球に生まれた生命の最前線に到達して、一つの仕事を成し遂げた。

     これは言うまでもないことだろう。深宇宙探査のようなフロンティアに出て行く行為において世界初ということは、人類のみならず地球生命すべてにとっての最前線へと出て行く行為なのである。  私はプレスルームで、「そうか、アメリカのJPLはいつもこんな雰囲気で仕事をしていたのか」と思った。

2)しかし、これをもって「日本の宇宙科学は世界のトップに踊り出た」というのは早計である。

     確かに他惑星からの土壌サンプル採取という点では、日本の宇宙科学は世界のトップに立った。しかし、それのみが宇宙科学ではない。かつて旧ソ連は火星や金星に何機もの探査機を送り込んだ。現在、欧州は火星に探査機を送り込み、彗星に着陸する探査機を運用中、そして金星にも探査機を向かわせている。

     言うまでもなく、アメリカは現在10機以上の探査機を実際に運用している。火星では4機もの探査機が探査に従事しており、5機目も火星に向かう途上だ。土星周回軌道には「カッシーニ」がおり、2機のボイジャー探査機は太陽系を離れてなおも有用な情報を送ってきている。
     マスコミとしては、「日本の宇宙科学は世界のトップに踊り出た」という見出しを打ちたいところだろうが、それは誤りだ。正確には日本は「世界のトップクラスに向けて、やっと第一歩を印した」ところなのだ。

3)「はやぶさ」は、リソース(予算、打ち上げ能力、地上局)の不足を、運用チームが負担を引き受けることで実現した。

     はやぶさのハイゲインアンテナは本体に固定されている。本当はジンバル機構によって向ける方向を変えることができれば、探査機がどんな姿勢になっても地球との高速通信を維持できる。しかし軽量化のためにジンバル機構は省略された。

     はやぶさの太陽電池パドルは本体に固定されている。本当はジンバル機構によって向ける方向を変えることができれば、探査機がどんな姿勢になっても電力を確保できる。しかし軽量化のためにジンバル機構は省略された。

     日本は長野県・臼田町にしか地上局を持っていない。着陸のようなぶっつづけの運用が必要な時は、アメリカのDSN(深宇宙ネットワーク)を借りるが、事前の予約が必要な上、アメリカの探査機が優先であるので、使いたいときに使えないと言うことが起こる。

     これらの設計や、システム不備による負担はすべて運用チームが身を削ることで引き受けている。

4)「はやぶさ」を「日本惑星探査の最盛期」としないためには、少なくともいくつかのリソースを補充する必要がある。それは予算処置によって可能だ。

     まず必要なのは24時間運用を可能にする地上局だろう。南米とアフリカに1局ずつ、70m級のパラボラアンテナを持つ深宇宙探査用の地上局を建設したいところだ。同時に設置から20年を経て老朽化が始まっている臼田局の近代化改修も必要だろう。

     もう一つは、宇宙科学全般の問題だ。かつて宇宙科学研究本部は、年間1機の科学衛星を打ち上げていたが、現在は計画の大型化と予算の縮小が相まって、年間1機を打ち上げることができなくなってしまっている。
     当面年間1機体制の回復を図り、将来的には年2機体制を実現したい。ただしそのためには計画管理体制の改革と人材育成が必須となるだろう。

     はやぶさのような深宇宙探査については、この20年にハレー彗星に向かった「さきがけ」「すいせい」、火星探査機「のぞみ」、そして「はやぶさ」と4機を打ち上げた。平均5年に1機ということになる。これを将来的にはせめて3年に1機にしたい。あまり間を空けると、ノウハウが失われ結果として失敗の可能性を高めてしまう。

5)本ホームページへのアクセスや、コメント、トラックバックを見る限り、「日本人は、失敗にきびしいから」「そもそも前人未踏のことをするのに向いていない」、「だから予算を出そうにも国民の合意が得られない」とする説明は間違っている。

     第1回着陸の日の本blogアクセス数は7万9000、第2回着陸では11万4000のアクセスがあった。  これを多いと見るか少ないと見るか。  また、一連の「はやぶさリンク」の記事に付いたコメントやトラックバックに、はやぶさの探査に対する否定的なものはなかった。  「お前ははやぶさを応援しているんだろ、だったら肯定的なコメントやトラックバックばかりなのは当然だ」と考えるべきか。

     少なくとも、こと深宇宙探査について「予算を出そうにも国民の合意が得られない」という言葉は当たっていないように思われる。そしてまた、深宇宙探査は日本国の全予算を使う物ではない以上、全国民的な支持がなければ支出できないということはないだろう。少なくとも現状以上の予算を出してしかるべきなのではないだろうか。
     予算増額は「関係者が誠心誠意、予算の有効活用を行う」ことが前提となる。とはいえ、しかし、5年間、127億円という予算でこれだけの成果を挙げた分野に、それなりの報酬があってもしかるべきと思う。
     一番恐ろしいのは、「この金でこれだけの成果を挙げることができたなら、この経験を持って次はもっと安くやれ」と予算を削られることだ。「なにをバカな」と思うかも知れないが、結構世間にはこのような例が多い。

 後戻りすることなく、バブルに踊ることなく、進もう。
 一歩ずつ、確実に。星の世界へ。

#最後に

 記事の英訳に協力してくれた、5th star管理人さん、RogueEngineerさん、zundaさん、naoさん、木下充矢さん、そしてコメントとトラックバックをつけてくれた皆さん、このページを訪れて記事を読んでくれた人たち——

 どうもありがとうございました。

「はやぶさリンク」は、一応はやぶさがイトカワを離れて帰途につくまでは続けますが、毎日の更新はおそらくこれをもって終わりになると思います。
 「情報が少ないのだから、せめてリンク集でも作ろう」と思ったものが、ここまで発展するとは思ってもいませんでした。

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2005.11.27

[HAYABUSA link] The press conference at 16:00 JST 26th

Fokkowing is translation by Mr. RogueEngineer. Thank you.

Rough English translation of this entry
(press conference part only, no translation for Q and A session):

Here is a report of press conference at 4:00 PM.

People attended: Project Manager Junichiro Kawaguchi, JAXA Executive Director Hajime Inoue, Professor Kuninori Uesugi (Mission Adviser), and the chairman for this conference, Professor Matogawa.

Prof. Kawaguchi: We are giving a summary of the events from last night to today. This is the second attempt of landing, following the first attempt on November 19th. In the first landing attempt, we did a touchdown and Hayabusa stayed on the surface for 30 minutes. In the second landing attempt today, we aimed for the sampling that did not take place in the first attempt. Just after the first landing, Hayabusa entered safe mode and flew far away from Itokawa. It took us a week to get it back to original position.
At around 10:00 PM yesterday, we started descent from the distance of 1km. We used optical navigation to guide Hayabusa first, then we switched to the vertical descent phase at around 6:00 AM. Vertical descent is a maneuver to send Hayabusa to the MUSES-SEA on Itokawa along with the direction of the gravity. Once we enter that phase, there is basically no way to remote control from the ground. At 6:52 AM, we issued a dummy sequence of launching target marker. During the descent we found the target marker from last landing attempt, and we avoided the risk of confusing guidance system with multiple target markers.
Target marker was originally intended to help the horizontal guidance, but from the first landing attempt, we gained experience of guiding Hayabusa without target marker. So we planned a sequence of descent and landing that does not rely on the target marker for today's attempt.
At 6:53 AM, the probe was descending at the rate of 4 to 5cm/s; at 35m from the surface, we stopped laser altitude meter, followed by the start of LDR 2 minutes later. At 7:00 AM, with hovering, attitude adjustment according to the terrain was done. Shortly after that, it switched to beacon operation from telemetry.
At 7:03 to 7:05, the mode of laser range finder was switched from range finding mode to sampler control mode. For today's attempt, we used the parameter to use fewer safeguard to achieve full execution of the sequence. That means Hayabusa will not start ascent without firing the bullets.

At 7:35 AM, we confirmed two bullets (projectiles) were fired.

At 8:35 AM, we switched to the DSN Usuda. Data replay has started at Usuda.

Shortly before 11:00 AM, a trouble, possible leakage, was detected in the thruster system.
Actually we were seeing the sign of this problem during the descent phase, but at that time we switched to the backup system and continued the descent.
When we switched to the main system from the backup system and started the thruster operation, the same problem occured. Due to the attitude change, the probe automatically switched to the safe mode. After that, we controlled the valve to stop the leakage.

We'll use the next three days to get it out of the safe mode. Getting out of the safe mode will be our first priority. After that we'll start downloading of the data.

The amount of leakage of propellant does not seem to hinder the current operation. But it definitely raised the bar of making Hayabusa back to Earth.

Because of the leakage incident, we are not able to see the detail of sampling yet. However, the sequence of the onboarded computer is confirmed to have executed normally. We expect the touchdown attitude was good, but we'll have to wait for the completion of data downloading for definite answer.


*************************
Following is translation by Mr. zunda. Thank you very much, Mr. zunda.


Rough English translation of a part of the Q and A session:

Mainichi: Could we explain that Hayabusa fired the bullets and then taken off, at this time?

Kawaguchi: Exactly. Hayabusa is designed to discharge the bullets after detecting lengthwise or traverse transformation of the sampler horn. The data shows that it detected a traverse transformation and discharged the bullets. To sample more, two bullets were fired with an interval of 0.2 seconds. Hayabusa touches down at a speed of 10 cm/sec and the sampler horn shrinks 10 cm. Then, it would wait a second before ascending.

Mainichi: What did you feel when you knew the landing? How was the operation team?

Kawaguchi: We were glad with great joy. Hayabusa controlled itself according to the terrain, touched down, and ascended. The sequence was just what we wanted. All were so happy, including me, of course.

NHK: I may be repeating, but, does the fact that the sequence has been done mean that the sample is acquired?

Kawaguchi: I myself think so. However, we have to collect circumstantial evidence to make it sure. I would like to wait for evidence (in data).

Kyodo: I heard that not much of extra propellant is left. Is there a possibility for another try?

Kawaguchi: I personally feel that an enough quantity of sample has been collected so that it might not be necessary to decent again. I am convinced that the operation team thinks the same. After confirming the discharge of the bullets from the down-loaded data, we will start preparation for a return.

TV Asahi: At this point, has the mission surmounted the difficulties?

Kawaguchi: I have thought that the sample collection is the most difficult part. The homeward journey is basically the same as the outward journey. Reentry to the atmosphere from the interplanetary space is waiting in the last lap. Nevertheless, I fell that we have surmounted 80% of difficulties.

NHK: Everything went without a hitch this time. What was the point for this success?

Kawaguchi: I think that the accuracy in guidance navigation was the key. We aimed to follow the last trajectory. It should not have been exactly the same; however, the last touch down was a very good reference to navigate the vehicle accurately. We have prepared many ingenious tools from two plus one rehearsals and two touch downs. These tools proved fruitful.

Sky Traveler (Gekkan Tenmon): How is the thruster? What happens if you can not restore it?

Kawaguchi: We do not know what happened yet. If it is leaking, it means that the vehicle has flown not only in the smooth space. It would never happen in the space. It might be prove that the thruster has landed on another body. Anyway, we have not confirmed a leakage. Phenomena around the thruster make me think that it is a leakage.

Next from the Tokyo office...


...and there is an another translation by Mr. 5th star manager. Thank you, Mr. 5th star manager.


*************************
And following is translation by Mr. nao. Thank you Mr. nao for your effort.


Rough translation (cnt'd). Sorry in advance for possible mistakes and worse quality than former two sophisticated translators.

Asahi: I'd like to make sure. What do you think as a circumstantial evidence to confirm the sampling?

Kawaguchi: For example, vertical standing posture of the sampler horn with respect to the (asteroid) surface. We confirmed it by telemetry data. I'd like to give you the assured facts after carefully investigating the datails.

Nikkei Science: You said that the team has acquired the skill for guidance navigation. I think the disorder of the wheel made the hard task much severer. But you overcame it to acheive the sampling. It means increasing remarkable achivement in acquisition of skills, isn't it?

Kawaguchi:: Exactly. Absence of the wheel causes disturbance by the thruster on the vehicle. On the descending in the rehearsal, we found substantial errors in the position and speed. Based on such experience, we knew completely what to do this time, and we could execute them successfully.

Fuji Sankei Business Eye: Did you confirmed the operation of the pyrotechnics?

Kawaguchi: We'd like to receive data from NASA Madrid tonight, but it will be difficult because Hayabusa is in the safety mode now.

Fuji Sankei Business Eye: Did the leakage stop?

Kawaguchi: We are not sure if it is the leakage, but over-consumption of the propulsion system is stopped.

Fuji Sankei Business Eye: What influence will that have on the return trip?

Kawaguchi: We recognize that it has got harder now. It depends on the operations from now on.

Next from the Sagamihara Office...

*************************
Following is translation by Mr. zunda. Thank you for your effort !

Last part of English translation from the Q&A session

... Back to the Sagamihara campus:

Fuji TV: Please excuse us repeating but could you please give kids in front of TV an easily explanation about what we can understand from the mission, which turned out to be successful?

Kawaguchi: On scientific side, we will be able to unveil the history of the solar system. Prof. Fujiwara in the audience is more adequate to explain. However, I am not sure if his explain would be easier or not (laughter).
On the engineering side, we are starting to see an era that vehicles make round trips to other planets. It might be too early as Hayabusa is still to come back.

Fuji TV: How will Japan's space exploration go after this mission?

Kawaguchi: Going to the deep space is not all of space exploration. However, I think this mission is meaningful if this mission stimulates science and engineering. Director Inoue and Prof. Uesugi, would you like to add something? (Both just smiled)

Akahata: Could you tell us about lives in November of you and your team, including hours of sleep?

Kawaguchi: We are exhausted. In November, we made six round trips to Itokawa and this was the first time we did not make emergency diversion (laughter). Furthermore, the thruster is having a trouble after the ascent. It is like experiencing a number of rocket launches at a time.

Weekly Post: Was the target marker dropped last time used for navigation?

Kawaguchi: We planned the flight plan not to use a target marker. However, when it were found, the data recorder was programmed to record it. Actually, we could find the target marker.

Weekly Post: In a sentimental way, could we say that the 880 thousand names guided Hayabusa to Itokawa?

Kawaguchi: Yes.

Sky Traveler: How is a quarantine facility for the sample going? How are analysis arrangements set up?

Kawaguchi: Fuel for homeward journey might be a problem. However, I would like to see the quarantine facility set up. We are working on it. Analysis will be done in Japanese and international institutes.

Sky Traveler: Is allocation of the sample changed?

Kawaguchi: No.

Sankei: How much sample can we acquire with the two bullets?

Kawaguchi: About a few milligrams. As we thought we are sampling regolith, two bullets were shoot. More dust will fly by shooting a bullet to regolith, but the sampler can only trap a little.

Unknown: What kind of conditions were set to abort landing to avoid dangers?

Kawaguchi: We reduced the conditions to three: 1) When the laser altimeter lost its readings, 2) when two of four laser range finder beams lost their readings, and 3) when attitude adjustment according to the terrain goes over 60 degrees. Last time, the obstacle sensor was set to the lowest sensitivity, and still gave a false alarm. Therefore, we ignored the obstacle sensor.
Actually, the obstacle sensor detected something again at this time after adjusting the attitude according to the terrain. It did not abort the sequence.

Matogawa: Director Inoue, would you have comments?

Executive Director Hajime Inoue: We have accomplished unique results within small budgets and limited launch vehicles. I feel sure that we have been doing right thing in front of this big achievement. I wish that the success will provide a tailwind to Japan's space exploration.

Hayabusa is a mission with clear targets. The operation team made step-by-step tests and operations to produce the results. I respect them.
It was also the first time to communicating with the media. There has been a number of failures. However, you helped us. Thank you very much.

Matogawa: Could we have a comment as the mission adviser, Prof. Uesugi?

Uesugi: I thank everyone who showed responses on the network. Prof. Kawaguchi and his staff learned a lot. Control errors were reduced from cm/s in the first rehearsal to mm/s in the last trial and at this time. I would like to acknowledge the improvement in 20 years since the first satellites: Sakigake and Suisei.
There is no other example that a vehicle touched down to and taken off from a body other than a moon. Thank you.

Prof. Matogawa read a statement from JAXA president: omitted here as this would be uploaded to the JAXA www page.

Matogawa: We have been receiving encouragements about the target marker with the 880 thousand names via e-mails and phone. Thank you the media who published warm articles.

Moving to a photo session...

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2005.11.26

「はやぶさリンク」:イトカワ上の署名入りターゲットマーカー

88
 JAXAが公開したターゲットマーカーの画像です。

広角航法カメラで撮像した画像で
19日に投下したターゲットマーカ(88万人署名いり)が
小惑星表面にあるのがわかります。
「はやぶさ」の影の斜め左上。


88_2


撮影日時は、探査機時刻で
世界時で11月25日21時24分
日本時間で11月26日午前6時24分
(注:JAXA広報から撮影時間訂正の連絡がありました。午前6時24分、降下途中に撮影された画像です。午後11時11分記す)

高度は、約250m

提供:JAXA

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「はやぶさリンク」:午後4時からの記者会見

4scientist
 午後4時からの記者会見です。

 出席者は川口淳一郎プロジェクト・マネージャー、井上一宇宙科学研究本部長、ミッション・アドバイザーの上杉邦憲教授、司会の的川泰宣教授。

川口 昨夜から本日にかけての経緯を説明する。11月19日の第1回にひきつづくもの。第1回はタッチダウンと30分の着陸を行った。第2回は第1回では完遂できなかったサンプリングを目指した。第1回の後、セーフモードではやぶさはイトカワからずいぶん遠くに飛び去ってしまったので、一週間かけて突貫でスタートラインに戻した。
 昨日の午後10時頃、1kmのところから降下を開始。光学航法ではやぶさを誘導し、午前6時頃、垂直降下に移行。垂直降下とは、イトカワのミューゼス海へと、重力に沿って移動する機動。このフェーズにはいると基本的に地上からはリモートコントロールできない。午前6時52分、仮のターゲットマーカー発射シーケンスを発行している。ターゲットマーカーが複数あると誘導システムが混乱するので、投下しなかった。降下途中から、前回のターゲットマーカーが観測されていた。
 ターゲットマーカーは本来、横方向の誘導制御に用いるが、前回の着陸の成果として、ターゲットマーカーを使わなくても誘導ができる自信ができたので、基本的にターゲットマーカーを使わない前提で降下・着陸のシーケンスを組んだ。
 午前6時53分、探査機は4〜5cm/sに降下、高度35mでレーザー高度計に利用を停止、2分後にLDR使用開始、午前7時に14mでホバリング、地形にならう姿勢制御を行った。テレメトリ送信からビーコン運用へ。
 その後、午前7時3〜5分、レーザー距離計は、距離測定モードから、サンプラー制御モードへと変更された。今回は、ガードを減らしシーケンスの継続を重視するようにパラメーターが組んであった。従ってこの後は、弾丸を発射せずに上昇してくることはないようになっている。

 午前7時35分、2つの弾丸(プロジェクタイル)を発射したことが確認された。

 午前8時35分、運用を臼田局に切り替え。臼田でデータ再生を開始。

 午前11時前に化学推進エンジン(スラスター系統)にリークと思われるトラブルが発生。
 実は接近降下中に予兆と思われる事柄が発生していたが、バックアップ系に切り替えて運用していた。
 バックアップから再度主系統に切り替えて噴射を行ったところ、再度同じトラブルが発生した。姿勢が崩れたために、探査機は自律判断でセーフモードに入った。その後、地上からバルブを操作して、リークを停止。

 今後、3日ほどをかけて、セーフモードからの立て直しを行う。立て直しを優先させて、その後にデータダウンロードを行う。

 推進剤リーク量は、当面の運用には問題ない。しかし、帰還に向けての運用はますます厳しくなったと認識している。

 サンプリングについては、リークが発生したので現在に至るまで詳細を把握できていない。しかし、搭載コンピューターのシーケンスはすべて正常に実行されたことが確認できている。接地時の姿勢は崩れてはいなかったと推測しているが、詳細はデータダウンロードを行ってからとなる。

 質疑応答

毎日新聞 今回は弾丸が発射されて離陸してきたと解釈して良いのか。

川口 その通り。サンプラーホーンの変形は奥行き方向と横方向の両方の変化を検出して、弾丸を発射する設計になっている。データによると横方向の変形を検出して弾丸を発射した。弾丸はサンプル採取量を増やすために、0.2秒間隔で2発発射している。着地は10cm/sで行われ、サンプラーホーンはその時に10cm縮む。そこから離陸までの時間が1秒ということ。

毎日新聞 着地を知ったときの気持ちと、運用チームの様子を知りたい。

川口 大喜びした。地表にならった姿勢になって着地、上昇という狙ったとおりの動作をしたので、大喜びである。もちろん私もだ。

NHK くどいようだが、一連の動作が行われたということはサンプル採取ができたということなのか。

川口 私自身はできたと考えているが、確信を持って言うためには状況証拠が必要。証拠(であるデータ)を待ちたい。

共同通信 推進剤がきびしくなっているということだが、もう一回のトライはあり得るのか。

川口 私自身の現在の心境では、サンプルは収集できたと考えているので、もう一度降下しないでもいいのではないかと考えている。運用チームでも、同様に考えていると私は確信している。ダウンロードデータで弾丸発射が確認されれば、帰還準備に入ることになろう。

テレビ朝日 現時点でミッションは山を超えたといっていいのか。

川口 サンプル採取が大きな山であるとは考えていた。復路は基本的に往路と同じである。最後には惑星間空間の再突入を控えているが、これで八割の山を超えたと感じている。

NHK 大分今回はスムーズだったが、今回の成功のポイントはどこだったのだろうか。

川口 誘導航法の精度確保にポイントがあったと考えている。今回は前回と近いところを狙って誘導した。多少前回とはずれたはずではあるが、前回の着陸が非常によいレファレンスになっており、精度良く探査機を誘導できたのではないかと思う。創意工夫で様々なツールを準備してきたのが実を結んだのではないか。リハーサル2回プラス1回と、タッチダウン2回で経験を積んだ結果だろう。

月刊天文 スラスターの現状はどんなものか。修復出来ない場合にはどのような影響があるか。

川口 何が起きたかは現状ではわからないが、リークが起きているというのは単調な宇宙空間を飛んではいなかったということだ。宇宙空間を飛んでいては起きようがない。違う天体に降りた証拠といえるのではないだろうか。
 なおリークと完全に確認されたわけではない。そう思われる事象が起きているということだ。

#東京事務所にマイク移る。

朝日新聞 確認だ。採取できたとするための状況証拠とはどんなものか。

川口 例えば表面に対して探査機のサンプラーホーンが垂直になることだ。これはテレメトリで確認できている。詳細データをきちんと見た上で確実なところをお話したい。

日経サイエンス 誘導航法に習熟したということだが、ホイールの故障でもともときびしいチャレンジが、ますますきびしくなった。それを克服してサンプル採取を成し遂げたということは、技術の取得という点ではより一層の成果があったということか。

川口 その通りだ。ホイールが使えないということだけで、スラスターによる外乱が探査機に加わる。リハーサル段階の降下では、かなり大きな位置や速度の誤差があった。そういった経験に基づいて、本番ではすべてやるべきことが分かっており、それを順調にこなすことができた。

フジサンケイビジネスアイ 弾丸発射の火工品の動作は確認できたか。

川口 今晩マドリッド局運用でも、データ取得を目指したいが、セーフモードに入っているので、かなり難しいだろう。

フジサンケイビジネスアイ リークは止まったのか。

川口 リークかどうかは依然不明だが、推進系の過剰消費は止まっている。

フジサンケイビジネスアイ 復路への影響は。

川口 きびしくなっていることは認識している。今後の検討次第だろう。

#相模原にマイク移る

フジテレビ くどいようだが、テレビを見ている子供達に今回のミッションが成功したことでどんなことが分かるかをわかりやすく説明して欲しい。

川口 サイエンスとしては太陽系の歴史を知ることができるということだ。客席に藤原教授がいるので、そちらのほうが適任だが、彼だと説明が簡単になるかどうか(笑いが起きる)。
 エンジニアリングの面では他の星との往復飛行を行う時代が見えてきたということだ。まだ帰ってきてもいないので申し訳ないのだが。

フジテレビ これで日本の宇宙開発はどのように向かっていくのか。

川口 深宇宙探査が宇宙開発のすべてではない。が、このようなミッションが、理工学に刺激を与えるならば意味があると考える。井上本部長、上杉教授、いかがですか(両者笑っただけだった)。

赤旗 11月に入ってからの睡眠時間を含めた先生自身とチームの生活を説明していただければ。

川口 疲労困憊しております。11月にはイトカワとの地表を、6往復をしたが非常離脱でなかったのは今回のみ(笑)。しかも今回は上昇後にスラスターのトラブルが起きた。ロケットの打ち上げをまとめて体験した気分だ。

週刊ポスト この前投下したターゲットマーカーは誘導に使ったのか。

川口 今回はターゲットマーカーを使わないという前提で計画を組んだ。しかし、発見できれば、データレコーダーに記録を残すということにしてあり、実際発見できたのである。

週刊ポスト 情緒的な言い方になるが88万人の名前がはやぶさを導いたといっていいいか。

川口 いいだろう。

月刊天文 サンプル回収後の検疫設備はどうなっているか。資料分析はどのような体制で行うのか。

川口 復路の燃料が問題ではあるが、ぜひ検疫設備を作ってほしい。今現在その方向で動いている。試料分析は国内外の機関とで体制を組んでいる。

月刊天文 試料の配分の比率は変わっていないのか。

川口 変わっていない。

産経新聞 弾丸2発でどれほどのサンプルを回収できるのか。

川口 やはり数百ミリグラムだろう。レゴリスからの回収になるだろうと考えて2発打った。レゴリスに弾丸を撃ち込むと飛散量は多くなるがサンプラーにトラップできる量は少ない。

不明 危険を回避してアボートする設定は、今回どんなものだったのか。

川口 3つにまで条件を減らしている。1)レーザー高度計が高度を見失った時、3)レーザーレンジファインダーが4本のビームのうち2本が距離測定が不可能になった時、3)地形にならう姿勢制御の量が60度を超えた時——の3つ。障害物については、前回はもっとも感度が低いという設定で挑んだが、それでも障害物が検知されてしまった。そこで、今回は障害物検知のによるアボートを切っている。
 今回も、地形にならう姿勢制御の後、障害が検出された、それでもアボートせずに降りたということである。

的川 井上本部長、コメントをどうぞ。

井上一宇宙科学研究本部長 これまで我々は小さな予算と限られた打ち上げ手段で、ユニークな成果を挙げてきた。今回のような大きな成果を挙げることができて、我々のやってきた道が間違ってはいなかったと感じることができた。今回の成功が、日本の宇宙開発に対して追い風になってくれればと思う。

 はやぶさは目的がはっきりしたミッションであり、ひとつひとつ試験を行い段階を踏んで、成功を手にした。運用チームに尊敬の念を抱くものである。
 マスコミ対応も、このようなミッションが初めてで、色々不手際はあった。が、皆様に助けられてここまで来られた。ありがとうございます。

的川 ミッション・アドバイザーの上杉教授、一言を。

上杉 ネット上などのすごい反応で我々を支えてくれたことに感謝する。川口教授以下、皆素晴らしい習熟だった。最初のリハーサルではcm/sの誤差があったが、前回や今回の降下はmm/s単位で制御を行うことができていた。最初の、さきがけ、すいせい以来20年以上、ここまでできるようになったことを感謝したい。
 月以外の天体に着陸し、離陸してきたのは他に例のない成果である。ありがとうございました。

 ここで、JAXA理事長談話を的川教授が読み上げる。JAXAホームページにアップされると思うので省略。

的川 88万人の名前を載せたターゲットマーカーについては、ここ数日激励のメールや電話を数多く頂いた。またマスコミの皆さんも暖かい記事をありがとうございます。

 写真撮影へと移る。

 最後に、広報を担当した斎藤潤さんについて。「私の正式な肩書きは助教授待遇の主任研究員です。松浦さんに助教授と書かれたので『斎藤さん、出世したんだって』と大分言われました」とコメントされました。
 間違いではないので、とりあえず本blog「はやぶさリンク」終了まで、「斎藤助教授」と書くことにします。

   ## ## ##

 とにかく——
 はやぶさは現在セーフモードにある。スラスターにはトラブルが発生している。これを解決しなければ帰還できない。

 しかし、はやぶさ、川口プロマネと運用チームは、もっとも大変な仕事、小惑星表面上からのサンプル採集を達成したのである。

 写真は、左から、的川教授、井上本部長、川口プロマネ、上杉教授。撮影:喜多充成

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「はやぶさリンク」:セーフモード移行を確認、記者会見は午後4時から

午後2時44分、的川教授登場。

「はやぶさはセーフモードに入りました。運の強い探査機です。不死鳥というか…川口プロマネから午後4時に記者会見にしたいという伝言がありました。また、地上局予約ですけれども、今日の夜7時半から午前0時までNASAマドリッド局の予約が取ってあるそうです」

 記者からの質問の確認。

「採取したサンプルが探査機姿勢によって出て行かないかということですが、きちんとトラップされるようになっています。よほど探査機が揺さぶられない限り大丈夫です。接地についての確認はもうちょっと待って下さい」


Translation by Mr. RogueEngineer. Thank you.


Rough English translation of this entry:

At 2:44 PM, professor Matokawa came into the pressroom.

"Hayabusa is in safe mode now. Seems like strong luck is with this probe. It's like we are seeing a phoenix... I have a message from project manager Kawaguchi, saying he wish to hold a press conference at 4 PM. As for the reservation of Deep Space Network, we got Nasa Madrid from 7:30 PM to 0:00 AM tonight."

Answer of previous question from the reporter:
"As for the concern of the collected sample getting away because of attitude change, the sample should be secured enough and unless there's extremely wild maneuver, you don't have to worry about that. Please give us a bit more time for the confirmation of touchdown."


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「はやぶさリンク」:臼田可視終了が迫り、セーフモードへの移行コマンドを送信

 午後1時48分、的川教授登場。
 
「先ほどからの状況変化について。

 さっき打ったコマンドで言うことを聞かないスラスターがあることが確認された。間歇噴射のモードで吹きっぱなしなのか、燃料と酸化剤のどちらかが吹いているか不明。

 12基のスラスターをひとつずつ全部を試すと時間がかかるので、最小のテストでトラブルを発見できるような組み合わせでスラスターを吹いている。しかしそのままでは臼田局の可視では結果が間に合わないので、セーフモードへ移行させることにした。セーフモードになると太陽指向でスピンをさせるので、スラスターはすべて停止する。

 10個ばかりのコマンド列を立て続けに打った。スラスターの動作確認コマンドとセーフモード移行のコマンドだ。コマンドの結果は2時10分にははやぶさに届きはじめる。臼田局可視の間に結果が確認できるはず。現在は、万一セーフモードに入らなかった場合の対策を検討している。

 現在、はやぶさとの間はミディアムゲインアンテナでつながっている。リンクは継続的にとれている。サンプル採取成功の条件である2つのうち、LRFの接地時の姿勢はテレメトリで確認できた。接地時の姿勢は正常。火工品の動作状況は、まだ確認できていない。

 臼田直後はDSNの予約を取っていない。明日の臼田可視、つまり午前8時半からの可視が直近となる。その前にDSNの利用が取れるかどうかは現在交渉中。」

 記者からは、着地の状況を尋ねる質問が続くが、的川教授の答えは繰り返しとなる。
 
「一連のサンプリングのオペレーションが終わったら、帰還に向けた推進剤残量の推定などの“帰り支度”に移る。明日から帰り支度にかかれるかと思ったのですが…」

 スラスターのトラブルについて、「推定としては、前回の着地時にスラスターが本体を支えたことは間違いない。これがトラブル原因となった可能性は確かにあるが、現状では推定でしかない」

 記者会見は、という質問が出るが「臼田からのオペレーションが終わるまで待って下さい。現状、川口君に近づけない…」

 的川教授退場。ぶらさがり取材の記者が後を追う。

Translation by Mr. RogueEngineer. Thank you.


Rough English translation of this entry:

At 1:48 PM, professor Matokawa appears to the pressroom.

"Situation update.

The last command revealed one or more thrusters is not responding. We still don't know whether they are still in periodical fire mode, or just emitting either fuel or oxidizer only.

Because checking all twelve thruster sequentially will take too long, we are engaging thruster in convination in order to find the problem in fewest possible steps. But the result will not make it before the end of Usuda connection, so we decided to switch to safe mode. With safe mode, Hayabusa keeps the attitude of facing the sun and all the thrusters will stop.

We sent about ten commands one after another in sequence. They were for checking of the thrusters and switching to safe mode. The result will reach Hayabusa at 2:10. We will see the result while we still have the Usuda connection. Currently we are discussing backup plan in case Hayabusa did not enter the safe mode.

Now we have a connection to Hayabusa with medium-gain antenna. The link is stable. As for the two criterias of successful sample collection, we could confirm one of them, that is, the landing attitude with LRF was right. We had a good touchdown. We are yet to confirm the bullet dischagement equipment has worked or not.

We don't have the reservation of DSN after Usuda. The earliest connection reestablishment will be the next Usuda, that is 8:30 AM tomorrow. We are in negotiation to make other DSN available to us.

Reporters ask the details of the landing, but professor Matokawa's answer is the same as the last one.

"Once the sampling operation has completed, we'll switch to 'homecoming operation' mode. Originally I thought we could start the homecoming as early as tomorrow, but that's not the case."

As for the trouble with thruster, he said "we know that during the first landing attempt, one or more thrusters touched the ground, and that may be the source of this trouble. But it's still a speculation."

A reporter asked the time of the press conference, but he answered "please wait till the operation through Usuda is finished. We can't disturb Kawaguchi-kun now..."

Professor Matokawa leaves, reporters follows him.

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「はやぶさリンク」:川口プロマネがコマンド送信卓に張り付いた

午後1時37分
 川口プロマネは、コマンド送信卓の横に立ち、時折その回りに関係者が集まってきている。議論は終わり、復帰コマンドを送信する段になったということか。的川教授もコマンド送信卓の横に付いた。

 臼田局の可視は、午後2時50分まで、午後2時18分までに送信したコマンドは、臼田局可視内で結果を確認することができる。


Translation by Mr. RogueEngineer. Thank you.

Rough English translation of this entry:

At 1:37 AM:
Project manager Kawaguchi is standing on a side of command console, staff gathers and leaves there periodically. Looks like the discussion has ended and now it's time to send a command for recovery action. Professor Matokawa also came to the command console.

Connection through Usuda will be lost at 2:50 PM. The result of the commands sent before 2:18 PM will be seen through Usuda.

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「はやぶさリンク」:ストリーミング映像

 一般向けのストリーミングは終了したが、プレスルームには運用室からの画像が引き続き流れている。
 運用室に川口プロマネ以下、運用チームが集まっている。音声がないので詳細は不明だが、かなり集中した議論をしている模様。川口プロマネが身振り込みで何かを説明している。
 スラスター不調がどの程度のものなのかは、画面から読み取ることはできない。

 午後1時21分、運用チームがコマンド送信用の卓周辺に集まった。なんらかのコマンドを送信する模様。スペクトルアナライザー表示にピークが出ていない。ハイゲインアンテナによるリンクは切れている模様。

Translation by Mr. RogueEngineer. Thank you.

Rough English translation of this entry:
The public streaming has finished, but pressroom is still getting the video from operation room.
We are seeing project manager Kawaguchi and members of operation team are gathering in the operation room. We can't see the detail because we are receiving no voice, but looks like they are having intense discussion. We see project manager Kawaguchi is making gestures to explain something.
We can't tell the extent of thruster problem from the video.

At 1:21 PM, operation team gathered around the console for sending command. Looks like then are going to send something to Hayabusa. No peak can be seen in the spectram analyzer display. The connection through hi-gain antenna seems to be lost.

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「はやぶさリンク」:探査機の姿勢が安定していない、記者会見は午後2時50分以降に遅れる模様

 午後0時35分、的川教授登場。ちょっと表情が硬い。

「およそイトカワから5kmほどの地点で、地上からのコマンドによるスラスター噴射で、イトカワから遠ざかるのを止めた。しかし、現在やや姿勢が不安定。X軸、Y軸方向のスラスターが間歇的に噴射が続いている。このため現在データのダウンロードが中断している。

 これを止めなくてはならない。上昇時の間歇的な噴射モードが停止できないという状態だ。いずれかのスラスターに異常が発生している可能性があるが詳細は調査中。現在、スラスター動作を止めるための“より強い命令”を送信した。例によって結果が分かるまで32分かかる。
 万一トラブルが発生している場合は、不調のスラスターを停止する。スラスターはどのスラスターが故障しても、他のスラスターで代替できるような構成になっている。
 午後2時50分まで臼田局可視の間、姿勢の安定とデータのダウンロードに全力を尽くす。川口プロマネはそちらにかかりきりになるので、記者会見は午後2時50分以降になる可能性がある。

 確実にサンプルが採取できたかどうかの判断は、1)弾丸発射のための火工品がきちんと作動したかどうか、2)着地時のレーザーレンジファインダーによる姿勢データによって正しい姿勢で着地したか——の2点をもって確認したい。これらのデータはまだダウンロードできていない。これから姿勢を立て直し、できれば臼田局の可視時間内にダウンロードしたい」

 記者からは、イベント時刻の確認などが出た。本当に弾丸を発射したのか、という質問が相次ぐが、的川教授の答えは「まだデータをダウンロードしていない。ダウンロードをお待ち頂きたい」ということだけ。

 そうこうしているうちに東京事務所に、午後1時から予定だった記者会見に合わせて、つぎつぎに記者が到着する。その都度最初から説明し直す的川教授。

 東京事務所から女性の声で「探査機はやかわ(?!)が、イトカワに着陸したことについて、もうちょっと情景描写ができる説明を…」という質問。的川教授「…サンプル採取の手順はご存知ですか」「いえ、あんまり知らないんですが」、東京事務所の司会が「こちらのほうで説明します」とさえぎる。

「喜びも半ばという、大変申し訳ない状況なのですが、また確認して30分後ぐらいに戻ってきます」と、的川教授退場。

Translation by Mr. RogueEngineer. Thank you.

Rough English translation of this entry:

At 0:35 PM, professor Matokawa came into the press room. He looks a bit tense.

"At about 5km from Itokawa, we sent a command to fire the thruster to stop Hayabusa from getting farther away from Itokawa. However, the attitude of the probe is unstable now. Thrusters of X and Y axis are still periodically engaged. Because of it, the download operation of data is currently suspended.

We have to stop it. It is in the periodical thruster fire operation mode used for liftoff, but we are not still unable to disengage it. Either one of the thruster may be in trouble, but we are still under investigation. Now we sent a "stronger command" to stop the thruster. It will take 32 minutes to see the result.
If it is caused by the trouble in a thruster, we'll stop the thruster that is not working. If any one of thrusters stops, Hayabusa still use other thrusters to continue the operation.
Connection through Usuda will be lost at 2:50 PM. Until that time, our first priority will be attitude stabilization and data download. Project manager Kawaguchi is going to be fully engaged, and we may delay the press conference to 2:50 PM or later.

The decision of whether we got the sample will be based on the two criterias:
1) the equipment for bullet dischargement has worked or not
2) the probe has landed with right attidude according to attitude data from laser range finder.
The data for these criterias are not downloaded yet. We are going to stabilize the attitude, and if possible, finish the downloading before we lose the connection through Usuda."

Reporters asked several questions to confirm the exact time of events, followed by a lot of questions regarding if the bullet was successfully discharged, but professor Matokawa simply answered "We have not download the data yet. I wish you to wait for the completion of the downloading operation."

Meanwhile, more reporters, to cover the press conference scheduled at 1:00 PM, arrived at the Tokyo office, and started asking the same questions. Professor Matokawa was answering them patiently.

From Tokyo office came a women's voice, questioning "Will you tell us more visual detail of tha landing scene of the probe Hayakawa(?) to Itokawa?" Professor Matokawa answered "...Do you know the sequence of sample collection?" "No, I'm not sure..." The staff of Tokyo office cuts in with a comment "we will tell her the details."

Professor Matokawa leaves with a comment "sorry to keep you in such a suspence, but I will check the situation again and get back to you in half an hour."

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「はやぶさリンク」:今、確実に言えること、サンプラーホーンに何かが触れた

 午前9時58分、斎藤助教授が登場。早口で、現状を説明した。

「今、確実に言えることは以下の三点だけです。

 着陸時に走るソフトウエアはすべて正常に動作したことを、テレメトリにより確認しました。

 次に、姿勢が安定しており、探査機はセーフモードに入っていません。すでにハイゲインアンテナによる通信が確立しています。

 最後に、現在、ハイゲインアンテナによるダウンリンクを始めています。担当者が、届いたデータを片っ端に解析しています。

 我々としては、まだこれ以上のことは推測になってしまうと考えています。次の記者会見で、ダウンロードしたデータの解析結果が出せると思います。

 現在探査機は43cm/sの速度でイトカワから離れつつあります。午前10時現在、はやぶさはイトカワから5.2kmのところにあります。

 WCTというのは、イトカワを撮影した画像の重心を目指して降下するというモードです。ターゲットマーカーを追尾する時にはターゲットマーカー追尾モードという別のモードに入ります。
 着地からサンプル採集、離陸に至る一連のシーケンスの最後には、「WCTに戻ること」という命令が入っている。探査機がWCTになっているということは、間接的にすべてのシーケンスが正常に動作したことを意味します。」

 「自分の担当があるので」と、あわただしく斎藤助教授は出て行った。

 記者会見は本日午後1時からを予定。ただし、データ解析の進捗状況によって時間は多少前後する模様。


 直後、川口プロマネから、電話がプレスルームに入る。記者の「着陸時間は何時何分か」という質問に対する回答。「探査機時間で午前7時7分、サンプラーホーンが何かに触れた」というものだった。


Translation by Mr. RogueEngineer, thank you!

Rough English translation of this entry:

Associate professor Saito appeared at 9:58 AM and made a quick comment.

"The following three things is all we can say for sure for now:

First, we confirmed through telemetry that the all of the software used for the landing sequence worked.

Second, the attitude of Hayabusa is stable and it is not in the safe mode. The connection with high-gain antenna is already established.

Finally, we started downlink operation through high-gain antenna. The staff is analyzing all the data as soon as it arrives.

Making further comment would be based on just speculation and we are not going to say further. On next press conference we think we can show you the result of analysis of downloaded data.

Currently the probe is leaving Itokawa at the rate of 43cm/s. As of 10 AM, Hayabusa is 5.2km away from Itokawa.

WCT is a mode for the descent, aiming at the center of the picture of Itokawa. There's another mode, "target marker following" that is used for aim for the target marker.
The sequence of touchdown, sample collection, and liftoff ends with the command 'return to WCT'. Seeing the probe in WCT mode implies all the sequence is normally executed."

Saying "I've got a work to do", Associate Professor Saito left the room in hurry.

The press conference is to be held at 1:00 PM.
According to the progress of data analysis, the time may change.

Shortly after that, project manager Kawaguchi called the pressroom to answer the previous question from the reporter "what was the exact time of landing?" He said "7:07AM on probe time, sampler horn touched something."

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[HAYABUSA link]:Success!

Following is translation of my article by Mr. RogueEngineer. Thank you, Mr. RogueEngineer !

At 8:48 AM, professor Matokawa appeared.

"We still don't know the attitude of the probe when it fired the bullet, and whether it hit the surface, but all the sample accuisition sequence worked. Hayabusa should be in a mode called 'WMT' after the accuisition sequence, and we first tryed to confirm that. When we saw it's in WMT mode, everybody wildly cheered. If the bullet hits the surface, I'm almost sure we have gotten the sample"

Reporter: "What did Kawaguchi say?"

"He was called to the scene and said 'Hey, it's working!'"

Reporter: "What's the status of Hayabusa?"

"Everything is OK, including attitude, power from solar panels, etc..."

Reporter: "Is Kawaguchi going to give it another try?"

"Everybody is worried if he's going to say that. (laughter) Supposing if there's another one, are you ready for the report?"

I'm so glad to be here! (Matsuura)

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「はやぶさリンク」:データダウンロード中

 午前9時38分。的川教授登場。

「現在、データが次々にダウンロードされています」

記者「ターゲットマーカーは最初から使わないつもりだったんですか」

「いや、降りていったら前回のマーカーが見つかったので、それを使おうということになりました」

 的川教授は記者の質問に答えている。各イベントの正確な時刻は何時かという質問が多い。


Translation by Mr. RogueEngineer. Thanks!

Rough English translation of this entry:

9:38 AM, professor Matokawa appeared.

"Data is getting downloaded now."

Reporter: "You did not release another target marker. Was it planned from the beginning?"

"No, we found the marker from the previous attempt when we were descending, and decided to use it."

Professor Matokawa is answering further questions from the reporters. Many of the question is about the exact time of the events that happened.

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「はやぶさリンク」:成功の瞬間

20051126c 成功判明時の運用室の様子。臼田局とはやぶさとの交信が回復した。サンプル採取は成功したのかか、それとも失敗なのか、関係者がコンソールに集まってきた。代表取材による撮影、午前8時43分。

20051126d 成功が判明し、ほっとした様子の川口プロジェクト・マネージャー。もう一度サンプル採取をやるかどうかは、この人の考え一つ。推進剤残量はきびしいが、弾丸もターゲットマーカーも残っている。代表取材による撮影。午前8時45分頃。

20051126es ストリーミングのWebカムに向かってVサインを出す笑顔の的川教授。あと2回じゃありません。Vサインです。(撮影:喜多充成)


Following is translation by Mr. RogueEngineer. Thanks a lot!(by Matsuura)

Rough English translation of this entry:

(First Picture) The operation room shortly after the confirmation of mission success. The connection of Usuda and Hayabusa is back on line. The staff is gathering in front of the console to see if the sample accuisition was a success or not. Picture taken by the press at 8:43 AM.

(Second Picture) Kawaguchi project manager looks relieved to see the operation was a success. Now it's all up to him if there will be another sample accuisition attempt or not. The situation of remaining propellant is critical, but we still have bullets and a target marker onboard. Picture taken by the press at 8:45 AM.

(Third Picture) Professor Matokawa, smiling and showing a V sign to the streaming Web cam. It's not "let's do another two attempts", it's a V sign! (picture taken by Mitsunari Kita)


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「はやぶさリンク」:成功!

 午前8時48分 的川教授登場。

「弾丸を打った時の探査機の姿勢、つまり弾丸を撃った方向はまだ分からないけれども、サンプル採取シーケンスはすべて正常に動作しました。採取後はWCTというモードに入っているはずなので、それをまず確認しました。モードに入っているのを確認して、わっと一同湧きました。そして私がVサインを出したわけです。弾丸を地面方向に打っていれば、ほぼ間違いなくサンプルは採取されているはずです」

記者「川口先生は…」

「呼ばれて、『お、動いているな』と」

記者 「はやぶさはどうなっていますか」

「姿勢、太陽電池の発生電力など、すべて正常です」

記者「川口先生はもう一回やるつもりでしょうか」

「みんなそれを恐れているようですね(笑)。もう一回やるとして、皆さんまた取材に来られますか」

 来て良かった!(松浦)

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「はやぶさリンク」:Vサイン

 午前8時40分、ストリーミングに的川教授のVサインが出た。少なくとも、サンプル採取に伴うソフトウエアが起動したことは確認できた模様。

 プレスルームでは「Vサインじゃなくて、あと2回やるという意味じゃなかろうか」などと言っている。

午前8時45分
 採取用の弾丸発射を確認。その後も順調。

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「はやぶさリンク」:管制室の状況

20051226a 代表取材による午前7時16分頃の運用室の状況です。

20051126b 同上。

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[HAYABUSA link]:Translation to English

GO/NO GO decision at 6:23 JST
Hayabusa has been turned to ascend
Connection with Usuda should be re-established at around 8:10.

Thank you, Mr. RogueEngineer!

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「はやぶさリンク」:成否が分かるのは午前8時10分過ぎ

 午前7時42分、「わかんないよーっ」と、言いつつ的川教授登場。

「ビーコンのままなので、まだ何も情報が入っていません。ただいま臼田局に切り替えているので、そちらからダウンリンクがとれれば状況が取れると思います。ミューゼス海に降りたならば正常にサンプルが取れたはずです。この場合、ドップラー変位がきれいに取れるはずなんですが、今回ドップラーが乱れました。理由は不明です。ただし探査機が横に流れて岩の多い地域に行ってしまった場合は、こういうことが起きうる。高度22mと判断した時点では、ビームの一つが17m、もうひとつが30数mという数字を出したので、傾斜地の上に流れた可能性があります。予定地点から60mも外れると通称『八ヶ岳』と呼んでいる岩石地域に入ってしまいます。午前8時10分頃に、臼田局との通信が確立するはずなので、すべてはそれ待ちです。運用室でも、『もう何もわからない』と、待ちの姿勢に入りました」

「上昇に転じたということが分かった時、川口君は『もう一回やるか』と言いました。すると周囲は『ふわーっ』という感じになりましたが…川口君はファイト満点です。僕が『川口君はやる気だね』というと、わっと笑いが起こりました」。

 ストリーミングを見ている記者が「川口さん笑っているようですが」

的川「もう他にやることがないから笑っているんでしょう」

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「はやぶさリンク」:3つ目のターゲットマーカーを放出せず、前回のマーカーを使用

今、新情報が。3つ目のターゲットマーカーは、放出していない。前回とほぼ同じ場所に降りたので、前回放出してイトカワ表面に設置したターゲットマーカーを接近に使用した。

 推進剤の問題をのぞけば、もう一度着陸を試みる可能性を確保した。

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「はやぶさリンク」:上昇に転じる

 予定タッチダウン時刻は探査機の時刻で午前7時10分頃。地上には7時26分過ぎに、タッチダウンということになる。

 プレスセンターのストリーミングを見ていると、7時20分過ぎに一度、ビーコンの入感が途切れた。その後7時26分頃にビーコンが再度入感。午前7時28分頃に、「上昇に転じた」というアナウンスがあった。

 Live blogには「何らかの理由によって上昇に転じた」と掲載された。

 タッチダウンしたかどうかは、午前11時頃にハイゲインアンテナによる通信が回復しないと分からない。タイミング的にはタッチダウンを行い、上昇してきたと考え得る。しかし、上空数mで離脱した可能性も現時点では否定できない。

 とはいえ、運用室に詰めている人々の表情は平静。決して険しくはない。

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「はやぶさリンク」:最終判断はGO

午前6時26分 的川教授登場。

 「午前6時23分にGOとなりました」

 斎藤助教授登場。
「はやぶさは、午前6時過ぎから垂直降下を開始しました。午前6時23分に、川口プロマネはGOと判断し、継続のコマンドを送信しました。はやぶさは6時23分現在、高度370m、降下速度は12cm/sです」

 斎藤助教授は足早に退場。的川教授が後に残って質問に答えている。

「着地は予定より10分ぐらい遅れるかも。前回に比べると、たった一回を経ただけれども慣れてきた感じですね。これが3回目となると逆に危なくなるのですけれど」

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「はやぶさリンク」:相模原プレスルームより

午前5時20分、プレスルームに的川泰宣教授登場。

「私が運用室を出る時には高度520mという数字が来ていました。垂直方向の制御を厳密に行い始めました。もう臨戦態勢です。イトカワの一番半径の大きいところは過ぎました。由野台(イトカワ表面で一番大きな岩石、さしわたし50m)を撮影しようと狙っていたんですが、デルタVと重なって撮影できませんでした。狙っていた連中は文句言っていました。
 はやぶさは安定しています。レーザー高度計もきちんど動いています。川口君の顔が仏のようですよ(笑)。寝不足のせいかも知れないけれど。

 (ストリーミングを見て)上杉君(上杉邦憲教授)は帽子かぶってます。目立つものだから(上杉教授は総白髪)。でも派手な服を着ていれば同じだよね(笑)」

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2005.11.25

「はやぶさリンク」:blog更新は午後10時から、ストリーミングは午前3時から, [HAYABUSA link] Live blog beigins 1300UTC, Streaming begins 1800UTC.

 今晩から明朝にかけてのはやぶさ第2回着陸の中継予定です。

 Live blogは、午後10時の降下開始から更新を始めます。
 管制室の画像ストリーミングは、午前3時から始まります。

 すべてがうまくいった場合のスケジュールは以下の通り。すべて時間は「その頃」です。

 午後10時:降下開始。これ以前よりはやぶさはイトカワに接近を続けており、降下オペレーションの開始を宣言するという意味。
 26日午前4時:そこまでの航法誘導の状況が公表される。
 同6時:着陸GO/NO GO判断
 同7時:着陸・サンプル採集
 同11時:はやぶさとの通信が確立し、着陸の成否が分かる。
 同13時:記者会見。

Live blog will start 22:00 JST, 13;00 25th UTC.
Streaming from the operation room will start 3:00 26th JST, 18:00 25th UTC.

The schedule (with success of the mission) is as fllows,

22:00 25th JST, 13:00 25th UTC: Mission begins.
4:00 26th JST, 19:00 25th UTC: Announces how about guidance navigation.
6:00 26th JST, 21:00 25th UTC: Go / No go decision.
7:00 26th JST, 22:00 25th UTC: Touchdown
11:00 26th JST, 2:00 26th UTC: Telemetory recovers, enables to get inforamation from Hayabusa.
13:00 26th JST, 4:00 26th UTC: Press conference.

Timeline may change by conditions.

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「はやぶさリンク」:はやぶさの軌道修正は成功、今晩から明日にかけて第2回着陸へ

 11時5分付けのJAXA広報よりのメールによると、昨晩行った軌道修正は成功したことが確認できました。現在はやぶさはイトカワから5kmの位置にあります。今晩から明日にかけて、第2回着陸を実施します。

 The correction maneuver last night is confirmed all rigiht. Now Hayabusa is 5km far from Itokawa. The operation team is to try the second touchdown from 25th night to 26th morning JST.

Touchdown will occur at 7:00 26th JST , 22:00 25th UTC.

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2005.11.24

「はやぶさリンク」:25日から26日にかけて第二回着陸を実施


 24日午後6時から記者会見が開催されました。25日〜26日の着陸は実施します。ただし今夜の軌道修正がうまくいったならば、という条件付きです。軌道修正の結果が分かり、最終的なゴーサインが出るのは、明日の昼過ぎとなります。着時時刻は午前7時前後となります。

Hayabusa is to try the second attempt touchdown. Small correction manuvour will be made tonight JST. If Operater comfirm the result of correction is right, Hayabusa is to go surface of Itokawa again.
Touchdown will occur about 7:00 26th JST.


午後6時ちょうどに川口プロマネが登場

 本日の状況 順調に飛行中。現状では25日から26日にかけて着陸を行う。今晩NASA局経由で、軌道修正を行う。これがうまくいけば、25日に着陸を実施する。

 26日午前7時過ぎ(探査機時刻)で着陸を予定。それ以前にビーコンモードにはいるので、リアルタイムの把握はできない。順調に行ったとしても、臼田局からの通信が回復して、なんらかの情報を出せるのは午前11時過ぎになる。

 着陸時の温度上昇は、テレメトリでは最大6〜70℃だった。機器の故障はない模様。外部に露出しているセンサーには影響が出ている。今夜から明日に向けて対策を施す。
 下半分が接地していたことによるセンサーのコンタミネーション:これまでに確認したところでは影響は出ていない。
 
 イトカワ近傍に行かないと動作を確認できない機器もある(レーザーレンジファインダーなど)、これはその場で確認する。

 19-20日の着陸では、トラップを7〜8つ設定していたが、第2回の着陸ではシーケンスの継続性を高める方向でパラメーターを変更することを考えている。

質疑応答

相模原から

エイビーエーション・ウィーク 10cm/sで着陸したことで舞い上がったダストが回収できるのではないかと言われているが、どうするのか。

川口 今夜、サンプル室の一つをふたをする。

共同通信 推進剤を大分使ったはずだが、どの程度の状況になっているのか。ターゲットマーカーを落とす前にアボートしたら、再度挑戦するのか。

川口 推進剤については帰途の姿勢制御をどれだけ正確に行うかにかかっている。これで、データ送信レートが決まる。往路は8bpsという通信速度も経験した。1日の運用時間を1時間に制限するというようなことをすると、推進剤は節約できる。今は、帰途の運用を犠牲にしてもサンプルを取るということである。しかし、それも楽観的ではない。
 もしも、接近降下の早い段階で中断すると推進剤には影響が小さい。影響があるのは最後の段階の垂直降下から後だ。推進剤への影響が小さければリトライしたい。

不明 ハヤブサが着陸していた時の気持ちを聞きたい。

川口 率直に大喜びでした。運用チーム全員がです。自分は着陸よりも離陸に意味があると思っている。過去にNASAのNEAR探査機が強行着陸をしている。はやぶさは着陸、離陸してなお機能している。

#東京事務所にマイク移る

時事通信 着陸時にセンサーにひっかかった障害物は分からなかったのか。

川口 探査機近傍の画像は得られていない。ターゲットマーカーの降りた場所の画像は得られているので今後、近くに反射光を出す障害物があったかどうかを検討する。

毎日新聞 推進剤の残りを具体的に知りたい。シーケンスが前回より1時間遅れる理由はなにか。前回の記者会見で下方向への加速を行うかも、と言っていたが今回は行うのか。

川口 推進剤の残量は把握しているが、数字が一人歩きする可能性があるので非公開としたい。イトカワの自転周期が12時間ちょうどではないので、1時間ずれる。前回も下向きに2cm/sで加速して最終的な自由落下に入るというシーケンスになっていた。この数字は増やすかも知れない。

NHK 問題のあるセンサーの具体的内容を知りたい。シーケンス継続性を高めるの中身は。今回は、ごろんと着地しないような条件を組むのか。

川口 現在問題になっているのはヒーターのひとつのセンサー、ヒーターそのものには問題はない。はやぶさのヒーター制御はかなり進歩したもので、前回と違う設定をするだけである。
 例えば障害物検出センサーのスレッショルドを変えるというようなことを行ってシーケンス継続性を高める。
 最後の最後の判断については、地上からのコマンドを送るという可能性は残る。だから、着陸してしまう可能性は残る。すべてが自律的に判断できるというわけではない。

東京新聞 今夜の軌道修正は何時に結果が分かるか。センサーを建て直すというのはどういうことか。

川口 NASA局から、現在計画では午前1時に軌道修正を行う。順調に作業が進めば22時まで早めたい。反対なら午前3時ぐらいまでずれ込む。
 センサーについては

月刊天文 20日の最終降下では、実際には着陸していた。これは誤差が10mあったということか。また、ドップラー変位の誤差はどの程度か。

川口 私自身は非常に低高度に降りたとは思っていた。降下速度を持って降りているのに着地していないのはおかしいと感じていた。その時点では、着地シーケンスが停止しているとは思っていなかった。着地しているのに、離陸してこないということは考えられないと思っていた。
 当日着陸したとコメントできなかったのは、このような背景がある。
 ドップラー変位は速度を測るもので、積分すれば距離が得られる。しかしこれは誤差が発生する。我々は地表からの距離を使って誤差を時々修正するという方法で誤差の発生を防いでいる。精度は数十m程度だ。

#東京事務所から

不明 軌道修正の結果を受けた最終判断を聞きたい。

川口 明日の臼田局可視で軌道修正の結果が確認できる。この数字が出せるのは午前11時前後となる。

以上です。

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2005.11.23

[HAYABUSA link]Some transrations for English readers

There are the transrations of my articles by Mr, 5th star manager.

 Here is transration of Prof. Matogawa's report after the touchdown attempt by Mr Kinoshita.

Thank you, Mr. 5th star manager and Mr Kinoshita.

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「はやぶさリンク」:はやぶさ23日夜時点の現状、ミネルヴァについて

 JAXA/ISASの的川泰宣教授から電話で聞いた現状。

・データダウンロード前の検討では、バウンドした可能性は全く思いつかなかった。しかし、脱出速度15cm/sほどの星に10cm/sで着地したのだから、後から考えればバウンドするのは当然だった。

・着地姿勢は、左右に傾かずに、ちょうど犬が座ったような姿勢だったのではないかと考えられる。

・着地の際に砂塵が舞い上がり、一部はサンプラーホーンを通じてサンプル保管カプセルに届いた可能性が高い。サンプル保管カプセルのふたは、着地シーケンスに連動して閉じる設計になっており、現在は開いたまま。惑星科学者達は、カプセルのふたを閉じるべきと主張。おそらく明日の可視時間に、ふたを閉じるコマンドを送信することになるだろう。
 2回の着陸に備えてカプセルは複数搭載されている。

・現在はやぶさは、時速4kmほどの早い速度で、イトカワに再接近しつつある。ただし、イトカワに近づけば精密な位置制御が必要となるので速度は落ちる。25日に第二回着陸が実施できるかどうかは、はやぶさをスタート位置に持ってこられるか、そして運用担当者達の体力が持つかどうかにかかっている。


 11月22日付のISASメールマガジンに、ミニローバーミネルヴァの開発を担当してきた吉光徹雄助手の手記が掲載されている。

ISASメールマガジン   第064号

 ロボットと中継機の間の通信は放出後も安定して確保されていました。しかし、放出後18時間を経過した11月13日9時32分20秒の交信を最後に、ロボットからの通信は途絶えたままです。これは、中継機のアンテナがカバーしている範囲外にロボットが離れたためだと思います。直前の交信で得たデータでは、ロボット本体は極めて正常に動作をしており、ロボットに何かが起こったとは考えにくいです。

 ミネルヴァについても、あきらめるのはまだ早いようだ。

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「はやぶさリンク」:第1回着陸時のはやぶさの挙動

 午後9時47分:JAXAリリースが公開された。
「はやぶさ」の第1回着陸飛行の結果と今後の計画について:11月23日

 JAXAリリースから読み取れる、第一回着陸の際のはやぶさの挙動です。

11月19日午後9時:イトカワから1kmのところから降下を開始。
11月20日午前4時33分:地上からのコマンドで、最終的な垂直降下を開始。

午前5時28分、高度54m、ターゲットマーカーの拘束を解除(ターゲットマーカーを固定していたワイヤを切断)。
午前5時30分、高度40m、はやぶさは9cm/s減速して、ターゲットマーカーを分離。ターゲットマーカーは降下してミューゼス海南西側に着地したものと推定される。
 その後はやぶさは高度35mで、高度測定をレーザー高度計からレーザーレンジファインダー:Laser Range Finder: LRFに切り替えた。

 高度25mで、いったん速度をほぼ0にしてホバリング。
 そこからはやぶさは自由落下を開始。

午前5時40分頃、高度17m:ハイゲインアンテナを地球に向ける姿勢から、サンプラーホーンを地形に垂直に向ける姿勢へと姿勢を変更。地上との通信が切れる。以後はやぶさはビーコンモードで電波を発信。地上からはドップラー変位ではやぶさの視線方向速度を監視。

 これ以後は、地上局からのリアルタイム監視は不可能に。

 以下はデータレコーダーからダウンロードしたデータで判明した。

 17mからの降下直後、障害物センサーが障害物を検出、はやぶさの自律機能は緊急離陸を行おうとするが、姿勢の角度が緊急離陸時の許容範囲を超えていたために、緊急離陸は行わず。
 はやぶさはそのまま降下。ただし、緊急離陸機能が動作したために、着陸検出機能が起動しなかった。
 そのまま、はやぶさは着地、2回ゆるやかにバウンドして停止したことが、 LRFデータと姿勢データから判明。
 着地はちょうど、NASAゴールドストーン局から、臼田局の切り替え時間帯に入っており、ドップラー変位による着陸の確認ができなかった。

 着陸姿勢は、サンプラーホーンと、探査機の側面の端ないしは太陽電池パドルの先端を接地させた形だった模様。

 最初の接地は午前6時10分前後だった模様。バウンドして2回目の着地は午前6時30分前後。その後小さくバウンドして停止(LRFのデータから推定)。


 着陸検出機能が動作していなかったので、サンプル採取用の弾丸が発射されず、サンプル採集はできなかった。
 そのまま約30分、はやぶさはイトカワ表面に留まる。その間、イトカワ表面の輻射にあぶられて本体温度上昇。

 午前6時58分、地上からの緊急離陸コマンドによって、はやぶさは離陸。セーフモードに移行。

 その後、11月21日と22日の2日をかけてセーフモードから三軸制御への復帰を行い、現在はハヤブサ近傍へと移動しつつ、データのダウンロードを行っている。

 データダウンロードはまだ途中。着地点詳細画像や着地場所などはまだ分からない。今後ダウンロードされるデータによって新事実が出てくる可能性がある。

 現時点では温度上昇による、探査機への大きなダメージは確認されていない。しかしヒーターセンサーなど一部が確認が必要な状態になっている。

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「はやぶさリンク」:速報、はやぶさは着陸していた。Hayabusa has landed

20051123hayabusa


 午後7時44分に、JAXA広報から発表資料が届きました。はやぶさのデータレコーダーからダウンロードしたデータを解析した結果、はやぶさは、第一回着陸の際に30分に渡って着陸していたことが判明しました。

 謎の30分のホバリングの間、実は着地したままだったということです。ただし、サンプル採集のための弾丸は発射されず、サンプルは採取できませんでした。

 詳細はきちんと資料を読んでから追加します。また、私の手元に届いた資料は今晩中にJAXAホームページにアップされるはずです。

 写真は。はやぶさが撮影したイトカワ上に落下しつつあるターゲットマーカー。(by JAXA/ISAS)

 According to analizing the data from the datarecorder on Hayabusa, Hayabusa has landed on the asteroid Itokawa.

photo the targetmarker on Itokawa (by JAXA/ISAS)

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2005.11.22

「はやぶさリンク」:22日の運用、データの一部をダウンロード

 JAXA広報からの午後6時47分付けメールによると、はやぶさは三軸制御をはじめとした姿勢の復旧に手間取り、22日の臼田局からの運用は搭載機器からのデータ取得のみとなった。

 データ解析の結果は、明日23日夕方以降に、ホームページに掲載される。
 また、2回目のタッチダウンを25日(タッチダウン時刻は26日早朝となる)に行うか否かは、24日夕方に公表するとのこと。

 According to JAXA Public relations, Hayabusa continued to establish attitude control in 22th Nov. JST.

Today, Operaters got some data from Hayabusa.
They will publish the result of analizing the data, in 23th evening JST, by JAXA webpage.
Go/No go decision to the second attempt will publish in 24th evening JST.


 11月21日付で、的川泰宣教授による、第一回着陸の経緯をまとめた文章が公開されている。

「はやぶさ」88万人の「星の王子さま」たちへ

 英訳はされていないようないようだ。本来英語でも公開すべき文章と思うのだが、私にはそこまで手が回らない。どなたかボランティアで、翻訳してもらえないだろうか。

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2005.11.21

「はやぶさリンク」:1日経って

 第一回着陸のオペレーションから1日経った。

 NASAのAstronomy Picture of the Dayが、11月21日の一枚に、はやぶさが撮影したイトカワの画像を選んだ。これは、11月16日の一枚に続くもの。

 海外のサイトでテラキンさんの机の上のリポビタンDの空き瓶が話題になっている。

 ただのにっきが、臼田で「はやぶさ」を応援するにはと題して、長野県・臼田町の臼田局見学の方法をまとめている。はやぶさ運用を行っている局を、はやぶさ運用を行っている今の時期に見に行こう。

 今日の「はやぶさ」によると、はやぶさはイトカワへ再度接近中。ということは三軸制御に戻ることができたのだろう。今日は、姿勢立て直し、イトカワへの接近、データレコーダーに記録された第一回タッチダウン時の記録のダウンロードを行ったはず。

 1日経っての私の感想は、「これこそが宇宙探査だ」というものだった。できるかできないか分からない前人未踏のことに、人智の限りを尽くして挑むということ。

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2005.11.20

[HAYABUSA link]: Translation of my articles by Mr. taro

To English readers,

Above is summery of today's my articles on this blog, translation by Mr.taro.

Thank you for Mr. taro!

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「はやぶさリンク」:20日の画像

oproom 20日午前10時7分、イトカワから上昇したはやぶさと、やっと双方向通信が確立してほっとした表情の管制室。右端に写る川口プロマネの表情も心なしか緩んでいる。この前、しばらくはストリーミングに写るのは、硬い表情の腕組みした姿ばかりだった。それが通信を確立すると、急にリラックスして手を腰に当てる姿が目立つようになった。


analize 今後、ストリーミングを見る時には、運用室左側前面に写るこのモニター画像に注意しよう。これは臼田局で受信した電波をスペクトル・アナライザーで周波数表示したもの。臼田局に置いたWebカムで、スペクトル・アナライザーのディスプレイを撮影して、インターネット会議のソフトを使い相模原に伝送している。この画面にピークが立っていれば、はやぶさからの電波が臼田局に届いているということになる。

 以上、取材に来ているメディア各社の代表取材で撮影された映像です。

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「はやぶさリンク」:着地はできず。88万人のターゲットマーカーの投下には成功

 16:00:00
 川口プロマネ登場

川口:
 はやぶさは、日本時間夜9時から降下を開始。その前からずっと降下を行っていて、21時ぐらいにイトカワから1kmを切ったところで「これより降下を開始」と宣言した。
 過去のリハーサルよりはずっと精度良く、探査機を目的地に向けることができた。
 最終的に本日午前4時半に「垂直降下」、400mから500mのところから、イトカワにむけて地球とイトカワを結ぶ方向に10cm/sでイトカワに接近するフェーズに入った。
 ここまで非常に順調、およそ1cm/s以下の制御ができたのではないかと思っている。

 そのまま54mまでを1時間をかけて降下。その間にG0と午前4時55分に判断している。

 54mはあらかじめ決まっている高度。ここでターゲットマーカーの拘束を解除した。ターゲットマーカーを留めているワイヤを切断。その後高度40mで本体が6cm/sだけ減速してターゲットマーカーを放出、約400秒後にターゲットマーカーは、イトカワ地表に到達したと思われる。

 35mでライダーからレーザーレンジファインダーに高度制御を切り替えた。レーザーレンジファインダーによる高度制御は今回が初めてだが、うまくいった。

 その後探査機はターゲットマーカーを撮影し、自律的にターゲットマーカーを目指して降下するという制御を行った。これも順調に行うことができた。

 高度55mのところで、レーザーレンジファインダーをつかってホバリングに入った。

 その後緩やかに降下し、17mで、本体の姿勢をイトカワ表面にならうように制御をかけた。ここでハイゲインアンテナによる通信は中断。ビーコンモードに切り替え、ドップラー情報による高度監視のみとなった。

 これ以降は、ドップラーの情報しか現在手元にない。

 探査機は2〜3cm/sで降下し、イトカワ表面にたいして水平にドリフトした軌道に入ったものと思われる。30分ほど、そのまま10m程度のところに滞在したものと思われる。このため、その他のデータからも、どうやらタッチダウンはしていないようだ。

 長時間イトカワ表面近くに滞在すると、イトカワ表面の輻射ではやぶさの温度が上昇する。このため午前7時頃にNASA局から上昇コマンドを送信した。

 この時に太陽電池パドルと太陽との角度が過大になったことから、はやぶさはセーフモードに入った。なぜこのようなことが起きたかは現段階では不明。

 その後、臼田局の可視を目一杯使って、スピンを止めることに成功したが、三軸姿勢の確立には至らなかった。明日以降、姿勢を確立する。従って、まだデータレコーダーのデータをダウンロードしていない。

 また、かなり高速に離脱したので、どうやらはやぶさはイトカワから100km近くまで離れた模様。これを元に戻すのは相応の日数がかかる模様。

 表面近くに長時間滞在したので、搭載機器にダメージが発生した可能性について、点検が必要となる。明日、明後日と機器の動作状態を確認する。

 大変惜しいところまでいったのだが、ホイールのない状態で遠隔地における探査機を高精度の精度で制御することができた。これは非常に大きなステップである。
 また、署名を載せたターゲットマーカーを無事、小惑星に届けることができたのは大変喜ばしく思っている。

 今後のスケジュールは、まずは探査機のテスト。正常ならばターゲットマーカーがまだ残っているので、再度サンプル採取にトライしたい。

毎日新聞 タッチダウンに至っていないという分析の根拠を聞きたい。

川口 はやぶさには、タッチダウンの時にはサンプラーホーンが変形し、それをきっかけとして動くソフトウエアが搭載してある。それらが動作していないことが、臼田で受信できたテレメトリから判明している。
 ただし、自律的に上昇していることから、姿勢に対する外乱が加わったことは間違いない。探査機のどこかが接触した可能性はあるが、現状では断定できない。

共同通信 地表面に水平にドリフトしてしまった原因は何が考えられるか。
川口 水平に移動したのではないかというのは、現時点での推測だ。タッチダウン最終段階の非常に低い高度で、はやぶさはターゲットマーカーを追尾しない。自由落下をして地表に着陸することになっている。ターゲットマーカーの追尾を打ち切った時点での横方向速度成分で、ドリフトする可能性はある。これは織り込み済み。ここから自由落下するはずだったが、なぜか地表に近づかなかった。

東京新聞 イトカワ表面にターゲットマーカーが見えていたということか。

川口 そう考える。これがイトカワにターゲットマーカーが着地した決定的証拠と考える。断言できないのはまだデータをダウンロードしていないから。
 ターゲットマーカーの分離、降下速度、ターゲットマーカーが撮影され追跡されているのも、すべて実時間で確認されている。

NHK タッチダウンしていないということだが、高度はどうだったのか。

川口 降下率を積分して降下量を求めると、イトカワ内部にめりこんでいるように見える。これは速報値で確実な値ではない。実際にめり込んでいるわけではなく、イトカワ自転と共に探査機が横にドリフトすれば、このようなデータが出てくる可能性がある。合理的に考えていった結果、これしかないだろうという推論だ。

NHK ソフトウエアが動いていないということは、弾丸を撃っていないということだろう。着地していないと言い切って良いのか。

川口 そうだ。どこかが接触したとしても、私としてはそれを接地とは言いたくない。

NHK 10mという高度の根拠は。

川口 17mというのは実測値。また、17mを計測した後も降下していったことが確認されているので、10m程度だろうと判断した。

NHK 姿勢が乱れた理由は。

川口 今のところ思い浮かばない。表面にならう姿勢の時には、太陽電池と太陽光の角度が大きくなるとセーフモードに入るというロジックをいったん切っている。しかしその後は、ロジックを入れるようにしている。そこで何があったのかは現状では分からない。

NHK 上昇をリアルタイムで感知できなかったが、セーフモードで上昇していたということか。

川口 このようなイベントが起きたのが、ちょうど臼田局とDSNの切り替えの時刻だった。後で臼田局で追跡して、このようなことが起きていると分かったということだ。

月刊天文 横ばいに飛んでいった時間は実際にはどの程度なのか。また地上からの上昇コマンドを打ったわけだが、通常ならそのごストップのコマンドを送信するはず、なぜ打たなかったのか。

川口 横にドリフトしていた時間が30分程度とモニターされている。その後上昇コマンドを打って16分後に届いているので、30分よりは長かったろう。調査中だ。
 ストップコマンドを打たなかったのは、セーフモードからの復帰が最優先となったため。

月刊天文 燃料残量はどうなっているのか。

川口 大分使った。今後の懸念材料である。が、今のところは残り一回のチャンスを生かしたいと思っている。

時事通信 25日の再降下は間に合うのか。

川口 25日に行うならば相当急がなくてはならないだろう。課題が多い。また、NASA局のアンテナ支援ができるタイミングでしかタッチダウンはできない。そのようなチャンスは非常に少ない。現状ではチャンスを有効に生かすべきと考えているが、もしも搭載機器にダメージが発生していたら、考え直さなくてはならない。

NHK アボートの条件がである、障害物接近センサーは動作していなかったのか。

川口 動作していない。

不明 かなり世界中から注目を集めているが、着地できなかったことにコメントを。また、再降下への意気込みを。

川口 残念だ。限られた機会で機能の確認をしつつやっていかなくてはならない。しかし、過去2回のリハーサルでは確認できなかったところをきちんと確認できた。レーザーレンジファインダーによる自律降下や、レーザーレンジファインダーによる姿勢の制御が確認できたことは大きい。
 我々としてはこれらがクリアできた時点で、着地間違いなしと思っていたが、奇妙な現象が起きてしまった。はやぶさはロボットとしては合格だと思っている。最終目的を達しなかったが、エンジニアリングでは、合格点だと思っている。
 再降下は、強くやりたいと思っている。

不明 リアクションホイール故障の影響は。

川口 最後の自由落下は、本来噴射を行わないはずだった。それがリアクションホイールの故障によって、噴射による外乱、つまり微小な並進運動を受けざるをえないということが、間接的に今回の事態に影響したことはあり得るだろう。再降下にあたっては、解析してみて決めることではあるが——乱暴な言い方だが——強制的に下に加速することも考えている。

東京新聞 はやぶさは何度まで耐えられるのか、実際に何度まで上昇したのか。

川口 電源を入れていて発熱していた機器はかなり危なかったと考えている。この影響は少なからずあるのではないかと考えている。当初、そんなに長時間、イトカワ表面に滞在する計画ではなかったので。何度まで上がったかについては、推定はまだだ。表面が約100℃なので、100℃以上に上がった機器もあるかも知れない。

#東京事務所へマイクが渡った。

朝日新聞 現時点で最もおそれている問題点は。現段階では25日再降下というスケジュールなのか。データを地上に降ろすのはいつか、今晩深夜までになにか分かる可能性はあるか。

川口 最終段階で起きた現象は解明しなくてはならないだろう。本当に分かるかは現状曖昧なところがあるが、下に加速をかけてでも再トライしなければならないのかな、と考える。その場合、今回と同じことができれば問題はないのではないかと考える。
 ただし同一地形の上空に誘導することができるわけではないので、地形による不確定要素はある。しかし、今回の成果を持ってすれば、できるものと考えている。
 25日間に合うかどうかといえば、今日時点では答えられない。しかし25日を目標にしたい。
 午前2時までに新しいデータがでることはないだろう。

朝日新聞 機体の一部が仮に接触して破損している可能性はあるか。

川口 現時点で確認できている機能については、大きなダメージがない。詳細は今後調査の必要がある。

毎日新聞 マーカーが地上に着いた推定時刻を知りたい。

川口 放出が午前5時46分。分離が高度40m、秒速10cmで分離されたので、分離から400秒後。だから午前5時50分過ぎである。

毎日新聞 30分ドリフトしていたというが、本来計画では何分だったのか。

川口 8分少々の計画だった。

読売新聞 54mでターゲットマーカーの拘束解除。40mで放出というのはどういう意味か。

川口 ターゲットマーカーは拘束を解除して、探査機を減速しないと分離しない。高度40mで探査機が6cm/s減速し、はじめてターゲットマーカーを分離する。このような面倒なことをするのは、ターゲットマーカーを正確な速度で降下させるため。

読売新聞 降ろしたのはミューゼス海でいいのか。

川口 そうだ。

産経新聞 もしも25日を逸した場合、次のチャンスはいつになるのか。

川口 イトカワ出発は12月上旬。したがって11月末から12月初めでチャンスを探すことになる。これは当方の都合だけで決められない。

#マイクが相模原に戻る。

NHK 地表面でドリフトしたのは推定ということでいいのか。地表付近で止まっていた可能性もあるのか。

川口 推定である。地表にめり込んでいるような速報値を合理的な説明を与えると、距離は遠ざかっているが、地表面に接地していない運動を考えざるを得ない。唯一合理的な説明は地表に水平にドリフトしたということである。

NHK 17m以下は自由落下したということか。ガス噴射はしていたのか。

川口 ガス噴射で姿勢を保ちつつ自由落下していたということだ。

NHK いくつかアボートの条件を前回教えて貰った。今の段階では、レーザーレンジファインダーの出力ロストによるアボートはあったのか。障害物はなかったのか。

川口 なかった。障害物はなかったのではなく、検出されなかったということ。ミネルヴァ放出時に、障害物センサーがミネルヴァを検出している。だから障害物センサーは正常に機能していたと考えられる。

NHK すると地表近くでアボートがかかる理由が分からないということでいいのか。

川口 すぐに推定できる以外の原因で、セーフモードに入ったのだろう。

NHK レーザーレンジファインダーは検出した平面の角度までは記録していないわけか。

川口 そうだ。

産経新聞 上昇時にセーフモードの上昇と地上からの上昇コマンドが両方効いたのか。

川口 そうだ。

NHK はやぶさはイトカワからどちら方向に離れていったのか。

川口 分からない。ミューゼス海の法線方向だが、それは地形による。またセーフモードは太陽指向なので、そこで噴射を行ってもきちんと止めることはできない。しかし、離れていくのを止めなくてはならないので、とりあえず不正確ではあるが逆噴射を行った。

NHK 通信機器などが20度以上上昇するのを確認したということだが、これはどれほどの時間で上昇したのか。

川口 20分ほどだ、その後30分程度、同じ条件だったので、全体では40度〜50度上昇し、80℃以上になったのではないかと考えている。

NHK 表面をずるずると移動したのではないのか。

川口 長時間障害物に接触し続けたという積極的な証拠はない。たとえそのような接触があったとしても、それは着陸ではない。

NHK 30分自由落下すれば、イトカワに接触するのには十分ではないか。

川口 そのはずだが、斜面をならうように飛んでしまったということじゃないかと考えている。

共同通信 25日にやるかやらないか、いつ判断するのか。

川口 その週の後半までずれ込むことはあるかも知れない。当日までずれ込むことはない。

共同通信 再降下で、今回と同じことができれば、できるというのはどういうことか。条件を緩めるのか。

川口 最後の部分は、そんなに難しいとは思っていなかったので、不可解だと感じている。どうしても解析ができなければ下方向への加速でリスク承知で着地させるかも知れない。まあ条件を緩めるということである。

#東京事務所にマイクが渡った。

不明 燃料消費はかなりきつそうだが、12月にイトカワを離れずに帰還を諦めてサンプル採取を行う可能性はあるか。

川口 私個人としてはその可能性は低いと考えている。サンプル回収までを含めたミッションであり、採取と回収はワンセットだ。

毎日新聞 ロボティクスでは良い成果を挙げたと言っているが、500点満点でどこまで達成できたと考えるか。

川口 途中で採点するのはいかがなものかと思うので、返答を避けたい。しかし、ロボティクスの成果に関しては、私は一定の満足感を感じている。

読売新聞 エンジニアリング的な2点を確認というのをもう一回確認したい。

川口 一口でいえば航法誘導機能。リハーサルの成果を生かして高い精度で実現できたこと。今日できた2とは、レーザーレンジファインダーで地形に対して姿勢と高度を制御できたこと、もう一つは画像処理で探査機をターゲットマーカーに向けて誘導できたということである。

読売新聞 ということは、無事データがダウンロードできれば、非常に高精細の画像が撮影できているということだろうか。

川口 今回はセーフモードに入ったので、うまく取得できているかわからないが、うまくいけば高精度画像が得られているはずである。

#相模原にマイクが移った。

フジテレビ 着陸できないと判断したのは何時頃で、そのときの雰囲気はどうだったかを知りたい。

川口 午前7時頃に上昇のコマンドを送信した時点で、これは着陸にいたらないかも知れないなと感じた。運用室の雰囲気は、「この段階まで到達して着陸が起こらないというのは不思議だ」というものだった。私自身も「ちょっと困ったぞ」と思っていた。

月刊天文 燃料残量がイトカワ到達時点で50kg。地球への帰還見込みはいつごろ立つのだろうか。燃料残量をどうやって推定しているのか。

川口 燃料残量は、タンクの圧力と温度でおおよそ計算できる。運用方法で燃料の消費量は大きく変わる。うんと消費量が少ない運用方法もあり得る。しかしそれで帰還できるかどうかは、はやぶさの状態と運用手順次第。それは全体の信頼性を削っていくということなので、どこまで削っていけばいいのかが要検討だ。
 帰還ができるかできないか、というよりも帰還ができるように消費量を削って行かなくてはならないということである。
 私としては、かなりきびしいところに来ていると感じている。

月刊天文 ハウスキービングデータというのはどういうものか。

川口 例えばタンクの温度や圧力、搭載機器に流れる電流・電圧などである。

的川 私が言い出しっぺだった、88万人の名前の入ったターゲットマーカーをイトカワ地表に届けてくれたことを感謝します。身内に感謝というのも妙ですが。私は様々なミッションを見てきたけれども、今回のはやぶさはハレー彗星探査以来の、新しい探査と運用に踏み込んでいく実感のあるミッションだ。
 実際にはやぶさチームは、夢中でよく分からないかもしれないが、少し離れたところから見ている私には、日本の宇宙探査が新しい段階に入りつつあると感じられる。

不明 次の記者会見はいつか。

的川 現時点では不明。今後調整したい。運用チームも休ませたいし、今日中は無理だろう。明日以降になるのではないかと思う。


 ぶら下がり取材を許さず、さっと川口プロマネは出て行きました。すでにNASAマドリッド局を使った運用が始まっており、早急に三軸制御を確立しなければならないためでしょう。

 本日、相模原のの書き込みはこれまでです。

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「はやぶさリンク」:臼田局可視中の、三軸制御確立は間に合わず

15:46:46
 的川教授登場。
「午後4時から、川口プロマネが来ます。少しなら時間が取れるとのことで…三軸制御確立、間に合わなかったみたいですね。明日の臼田からの可視を使って行う…というようなことを言うと思います」。

 次の情報は午後4時からの記者会見となります。

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「はやぶさリンク」:タッチダウンできていた?

 ここまでの記者会見を聞いての個人的な印象。過去3回の降下では、今回のような、奇妙なホバリング(?)、セーフモードへの移行などは発生していなかった。

 とすると、これらは今回の降下に特有の事象によって引き起こされた可能性がある。すなわち、タッチダウン。

 タッチダウンしたが故に、姿勢が崩れて何らかの異常が発生、その結果セーフモードに移行したのではないか。

 セーフモードは、つまり「探査機は安定している」ということだ。最悪の状態ではない。

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「はやぶさリンク」:実はセーフ・モードに入っていた、予想よりもイトカワから離れていた

13:42:20
的川教授登場。

的川:まだタッチダウンしたかどうかが確認できていません。というのは、セーフ・モードに入っていることが確認されました。また、どうもホームポジションよりもイトカワから離れていってしまっている可能性が高いことも判明しました。

 セーフモードで、はやぶさは、太陽電池パドルを太陽に向けて、ごくゆっくりしたスピンで安定している。ミディアムゲインアンテナは18度の幅で電波を放射している。その角度の中に地球が入った時にのみ、ハウスキーピングデータが断続的に受信できているという状態だ。現在はやぶさは、ミディアムゲインアンテナで、繰り返しハウスキーピングデータを垂れ流している。

 なぜセーフ・モードに入ったかは不明。時間的に見て地上からのコマンドでセーフ・モードに入ったのかどうかはまだ分からない。はやぶさには自律判断でセーフ・モードに入る機能がある。これが働いた可能性もある。

 ローゲインアンテナは全周に電波を放射しているので、電波強度の変化から探査機がスピンしているかどうかが判断できない。ミディアムゲインアンテナでの受信を開始して、「おや、回っているぞ」と気が付いた。

 臼田局は14時55分で可視を終了する。それまでに三軸姿勢を確立する予定。
 次のDSNマドリッド局は、17時25分から22時まで確保している。その次は明日の8時半から14時55分まで臼田局。なるべく、現在臼田局で見ている間に三軸姿勢を確立したいと考えている。
 行うべきは三軸姿勢の確立と、イトカワへの再接近。どちらをどの順番で行うかは、検討しているところです。

 次の情報は臼田局可視の終了後、16時前後になる予定。

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「はやぶさリンク」:次の情報は午後1時過ぎぐらい

The next information is to release at 13:00(about) JST.


There is the translation of the articles below. Thank you, Mr. 5th star manager.
http://5thstar.air-nifty.com/blog/2005/11/fate_of_hayabus.html

12:12:28
 的川教授登場

的川:現在、ミディアムゲインアンテナで交信している。ローゲインアンテナから交信を開始して、ミディアムゲインアンテナでの交信を可能にした。午後1時過ぎに、弾丸が発射かされたかなどのハウスキーピングデータが降りてくる予定。接地しているかどうかも分かるだろう。接地したか、弾丸が発射されたかが判明したら、すぐに来ます。

記者から、「じゃあ午後1時まで、先生も我々もお休みを取るということで…」
的川:「いや、全然休む気になりませんよ」

的川:まだきちんと私(的川)は把握してはいないのですが、現在位置も分かっているようです。ホームポジションまでは戻っていないと思いますよ。

 12:23:13 そのまま的川教授はぶらさがり取材を受けている。

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「はやぶさリンク」:セーフモードに入らなかった理由、ドップラー変位による速度測定について

10:28:22
 的川教授登場。
 あと10分ほどで最初のテレメトリーが届く。ただし正午に予定されていた記者会見は無理。川口プロマネとしては記者会見は明日にしたいとのこと。

 記者側から、本日のまとめをプロマネ以外でも、記者会見をして欲しいという要求がでる。

 的川教授:総合的になにが起きたかの分析は、明日以降となるだろう。ただし、テレメトリが降りてくるならば、接地したかと、サンプラーの弾丸が発射されたかは分かる。テレメトリの結果は、とりあえず出次第、お伝えする。川口プロマネには、オペレーションに専念させてやりたいと考えている。
 テレメトリは40分に1回の割合で届く。おそらく、1時間に一回の割合でなんらかの情報をお知らせできると思う。

 セーフモードに入っていなかった理由について。内々に以下のような議論をしている。はやぶさはイトカワに着地を試みた時に、なぜか一定高度(10mぐらいか)で留まっていた時間が30分もあった(ツーウェイのドップラー変位が生きていたにもかかわらず、ドップラー変位が検出できなかった)。この時にイトカワ表面からの輻射を受けて、かなり温度が上がったと考えられる。このため通信機器が一時的に異常を起こしていたのではないかと考えている。イトカワから離れて、はやぶさが冷えたことで通信が回復したと考えるとつじつまが合う。

 ドップラー変移による速度検出について。

 はやぶさには、はやぶさが発信する電波で検出するワンウェイドップラーと、地上から送った信号をオウム返しにして測定するツーウェイドップラーを使っている。はやぶさの発信する電波の周波数は、通信機器の温度によって変化する。このためワンウェイドップラーは、きちんと較正しないと高精度の測定ができない。数cm/sの速度を検出するには、完全に分かった信号をこちらから送り、オウム返しにさせてドップラー変位を算出するツーウェイドップラーが必要になる。

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「はやぶさリンク」:双方向通信回復

9:45:14 
 9時32分に、ローゲインアンテナによる双方向通信が回復した。セーフモードには入っていない。

 Two way communication is established! at 9:32 JST. using low gain antena. Hayabusa is not in safe-mode.


 その前、
9:36:04
 的川教授登場。

 イトカワの北極に着地してひっかかっているのではないか、という説が出ている。この説を検証中、と説明。

 記者から、「でも、ストリーミングでは川口さんが笑顔でなにか説明していますよ(プレスルームにはネット配信と同じストリーミング映像が表示されている)」と質問され、あわてて確認に出て行った。「つきが変わっていたらいやだなあ…」と言いつつ。


 暫定時刻が出た。

 午前5時46分:高度40mで、ターゲットマーカー放出を確認。これは地上の時刻なので、実際にはこの16分前。

 午前5時55分:レーザーレンジファインダーが高度17mを測定したのを確認。

Touchdown timeline(interim)

5:46(JST): Operater confermed that Hayabusa released the targetmarker.

5:55(JST): Operater confermed that the laser range finder indecated attitude 17m.

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「はやぶさリンク」:ビーコンは受信できている。双方向通信が確立していない

8:51:04
 的川教授登場。

 状況に変化なし。臼田から送信した上昇とセーフモード入りのコマンドに対する反応がない。相変わらずドップラー変移は確認できず。ドップラー変位は地上と双方向通信が確立しないと検出できない(松浦注:地上からの信号をオウム返しにしてドップラー変移を検出するのではないだろうか)。

 ただし、着地点が地球から見て影に入ったにもかかわらず、ビーコンは継続して受信できているので、イトカワ表面に刺さっている可能性はなくなった。

 現在はやぶさからのビーコンは受信できているが、地上からのコマンドを受け付けない状況である。

 現在、ローゲインアンテナで双方向通信を確立するべく努力中。

 先ほど、ビーコン・モードから、テレメトリ・モードに切り替えるコマンドを送信した。その結果が出るのは、また32分後。

At 8:51:04 JST
Prof. Matogawa said,

 Operater continue recieving beacon from Hayabusa. Thus Hayabusa is not on Itokawa. She is somewhere near Itokawa.

 Operater is making their effort to establish two way communication link, using low gain antena. It needs for doppler mesurement. it also needs recieving telemetory data from Hayabusa.

They sent command that change communication system on Hayabusa, from beacon mode to telemetory mode.

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「はやぶさリンク」:午前9時頃に説明がある、かも

8:44:57

 状況は依然不明。ストリーミングを見る限り、イトカワ地上にひっかかったま、イトカワ自転で裏側に回ってしまったように思われる。

 午前9時過ぎになんらかの説明があるかも知れない。

 At 9:00 JST, Some conference will be made...probably.

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「はやぶさリンク」:トラブル発生

7:23:21
 的川教授登場。
 ターゲットマーカーは放出した。その後、完全自律のビーコンモードで、17mまで降下したことが判明している。その後17mのところまで降りたことは確認されている。直後、上昇も降下もしない(ビーコンのドップラー変位の変移がない)状態で停止した。この時の高度は不明。

 上空でホバリングしているのか、それとも地上にひっかかっているのかは不明。


 その後臼田局から、午前7時過ぎに上昇コマンドを送信、次いでセーフモードに入るコマンドを送信した。現時点までに、上昇は確認されていない。

7:23:21
 Prof.Matogawa(JAXA/ISAS) said,
Operater can not confirm ascending. Beacon from Hayabusa continues.

Hayabusa has descended in autonomous mode. Laser range finder on Hayabusa indicated attitude 17m. After that, descending has stopped. But Hayabusa did not begin ascending.

About 7:00 JST, Operater sent to Hayabusa ascending command, and going into safe-mode.

Repeat, Beacon from Hayabusa continues. Operater is making effort to understand, what happend.

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「はやぶさリンク」:地上局アンテナ切り替え

6:37:21 DSNゴールドストーン局から臼田局へのアンテナ切り替え時間に入ってしまい、テレメトリがまだ取れていません。

 Now the time has come changing the ground station, from NASA Goldstone station to Usuda station. Operater can not get the telemetory data from Hayabusa. We have to wait.

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「はやぶさリンク」:上昇開始

6:09:42 はやぶさが上昇し始めたという情報が入った。どのような状況で上昇し始めたかは不明。着陸したか否かも不明。テレメーター情報が、午前6時20分前後に入る模様。


 午前7時20分過ぎに、この情報は誤報であったことが判明した。単に「上昇している時刻だ」が、誤って伝えられたらしい。

 Hayabusa begins ascending.

At 7:20 IST, I knew above is wrong infomation. It is not true.

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「はやぶさリンク」:ターゲットマーカー放出


6:03:28 ターゲットマーカーが落ちた模様。確認はまだできていない。
 Hayabusa relesased the targetmarker.

注:タイムスタンプは私が文章を書いた時間です。高度、速度などが運用室で確認された時間ではありません。
Time stamp means when I write these words.

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「はやぶさリンク」:より一層降下

注:タイムスタンプは私が文章を書いた時間です。高度、速度などが運用室で確認された時間ではありません。
Time stamp means when I write these words.

5:45:45, 70m from the surface.
 運用室の的川教授から、断続的に電話連絡がプレスルームに入っています。

5:37:42 114m from the surface,

5:30:56 170m,10cm/sで降下中。Continue desending 170m from the surface,10cm/s.


5:20:15
 午前5時20分、高度250m、降下速度10cm/s、自動モードに入ったとの連絡が、プレスルームに入りました。

 Attitude 250m, Desent Velocity 10cm/sec, Change into the autonomous mode.

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「はやぶさリンク」:降下継続

 ただいま午前5時過ぎです。相模原のISASプレスルームにいます。

 午前4時54分、降下コマンドをはやぶさが受信したことを確認しました。降下は継続。午前4時54分現在の高度は370mです(もちろんこれはさらに16分以前の高度です)。スケジュール変更はありません。

 基本的にはHAYABUSA liveのほうが情報は早いはずです。

 ともあれ、以後、相模原プレスルームで、解説がある都度、アップします。

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2005.11.19

[HAYABUSA link]:English resources to know HAYABUSA

To English readers:

Today, 19th Nov. 2005, Our Japanese robot explorer "Hayabusa(means Falcon)" is to trying to touchdown the surfice of the asteroid Itokawa, to get some sample of asteroid's soil.

 We have some English pages on internet. Check links below.


What's Hayabusa?


Present status of Hayabusa


The touchdown opration live


Detail of touchdown: Space Robotics Lab at Tohoku University

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2005.11.18

「はやぶさリンク」:18日午後4時からの記者会見

 相模原で、午後4時から開催された川口教授記者会見の概要です。

 特に資料はなく、いきなり川口教授の説明で始まりました。

川口 前回の運用で、クリティカルな段階での地上側の相模原、NASA・DSNの切り替えを行うべきでないという教訓を得た、そこで着陸をイトカワ1自転、12時間延期し、DSNでの運用時に着陸することにした。

 着陸までには7〜8個の条件を設けており、いずれが引っかかっても着地せずに上昇する。

 はやぶさはすでに降下を始めており、降下開始時刻は降下の度合によって変わってくる。
 最終的な接近速度は3〜4cm/s。残り100mをこの速度で接近するので、着地時刻は1時間程度変動する可能性がある。

 20日の午前3時頃には最新状況をアナウンスする。午前5時にはGO NO GO判定をだす。

 最終的なタッチダウン時は探査機の姿勢を地形に垂直にする。こうなると地球からの通信はハイゲインアンテナを使えなくなる。この時、探査機の発信をキャリアモード(ビーコン)に切り替える。これにより探査機が降下しているか上昇しているかだけがドップラー変位で分かる状態となる。この状態で、自律機能によりタッチダウン。

 上昇してきた探査機は自律的にハイゲインアンテナを地球に向けて通信が回復する。まず行うのは上昇を止めること。次いでデータレコーダーのデータをダウンロードする。

 ただしこれは、探査機との通信が確保され、セーフモードに入らなかった場合のこと。

 途中、探査機が大きく姿勢を崩すと、探査機は太陽電池を太陽に向けて緩やかに回転するセーフモードに入る。こうなると姿勢の立て直しに半日かかる。臼田局の可視時間は、すべて姿勢立て直しに使うことになる。この場合はデータレコーダーのダウンロードは翌22日の臼田局からの可視ということになる。

 ターゲットマーカー分離時までは、通信が確保されている。だからターゲットマーカー分離はかなり早く分かるだろう。その後3つほどの条件が設けてあり、それを満たすと地形ににならう姿勢となって通信が切れる


#ここから質疑応答が始まりました。まず相模原側。

共同通信 関門は、ターゲットマーカーを出すまでが3つ、その後が4つか。それぞれどんな関門か。

川口 個数はだいたいのところだ。というのはアボートを判断するコンピューターは3つに分かれていて、それぞれ判断しているため。数え方によって数が変わる。

 ごく大まかに説明すると、まず地上からの通信が可能な状況では、予定到着地点上空の半径30mに到着出来ない場合は、地上からのコマンドでアボート。予定した範囲とは違う場所に降りてしまう可能性が大きくなるため。

 以後の自律降下においては。

 レーザー高度計とレーザーレンジファインダーが違う高度を示した場合は、自動的に上昇・帰還。

 4つのビームを出すレーザーレンジファインダーが2つのビームでしか高度を測定できなかった場合、自動的に上昇・帰還。3つのビームが高度を出力しないとイトカワ表面の傾斜を決定できない。

 太陽電池パドルなどの破損を防ぐために装着している障害物センサーが物体を検知した場合、自動的に上昇・帰還。

 ターゲットマーカーを見失った場合、自動的に上昇・帰還。

 他にもいくつかあるが代表的な条件は以上。

共同通信 探査機地形にならうとはどういうことか。

川口 サンプル採集ホーンが直下の地形に垂直になる姿勢をとるということ。イトカワの地形に合わせる。

月刊天文 20日にサンプル採取を行えなかった場合はその後どのようにするのか。

川口 戻ってきた状況を見て、可能な限りにおいて手順の修正を行う。ジェットによる姿勢制御を行っているので、どうしても5〜10mm/sの外乱がでてしまう。その場合、「予定到着地点上空よりも半径30mに着地出来ない」という結論が出る可能性もある。サンプル採取を諦めるか、それともリスクを承知した上でサンプル採取で粘るかは、また総合的な判断をしなくてはならないだろう。今の計画では、できるかぎり対策を行った25日に再度トライする方針。

月刊天文 20日がサンプル採取できなかった場合、25日以外の日程を確保するのか。

川口 再降下の日程を確保を希望する場合も、後ろを切られているという条件がかかっている。現在、帰還時にイオンエンジンをホイールが正常であることを前提とした制御則を使っており、帰還に当たってはこれをジェットによる制御を前提とした制御に書き換えなくてはならない。それをした上で12月上旬にはイトカワを離れなくてはならない。
 もちろんNASAのDSNも明日使わせてくれといって使えるようなものではない。

産経新聞 ターゲットマーカー分離後のトラップについては探査機が自律的に行うのだろうか。

川口 そうだ。電波の往復があるので、地上からは制御できない。

産経新聞 地球側ははやぶさの自律的な動きを見守るということになるのか。

川口 そうだ。

#ここから東京事務所にマイクが渡る。

NHK 成功時は「成功」と速報を流したいが、最終的に結果が分かるのがデータをダウンロードする20日午前10時頃でいいのか。

川口 それは探査機が着陸時に姿勢を失ってセーフモードに入らなかった場合だ。いかなる場合も午前10時に状況が分かるというわけではない。

NHK 成功した場合は午前10時には分かるのか。

川口 そうだ。

NHK 実際にサンプルを採取できたかどうかは午前10時に分かるのか。

川口 試料を採取できたかどうかのセンサーは付けていない。弾丸発射が行われた場合にはサンプルは採取できたということが前提。着地時にサンプラーホーンが破損したというような場合は、弾丸が発射されてもサンプルは取れない。

毎日新聞 アボート判断のところで、接近の1時間前から加速するというのはどういうことか。早い段階でのアボートの場合、再度同日にリトライするのか。ターゲットマーカーのイトカワへの着地はどうやって確認するのか。

川口、加速は10cm/s程度。これはマーカーを射出するため。この後探査機は減速する。よほどのことがない限り、ターゲットマーカーは着地するはず。同日中のリトライはしないつもり。

毎日新聞 ターゲットマーカー着地の証拠は取れるのだろうか。

川口 シナリオ通りに進めば、後で確認できると思う。

読売新聞 オペレーション成功後もセーフモードにはいる可能性はあるのか。

川口 あり得る。北緯30度あたりに着地するが、もしもこの場所の傾斜30度のところにタッチダウンすると、探査機と太陽の角度が60 度近くずれる。太陽電池の出力が下がるので自動的にセーフモードに入る。ただしこの条件は、緩和しようと考えている。

読売新聞 午前10時段階でセーフモードに入っていることは分かるか。

川口 分かる。

読売新聞 具体的な数値で何%ぐらい成功の目があると感じているのか。

川口 定量的には言えません。リハーサルで確認できているのはレーザーレンジファインダーが距離を測定できるというところまで。レーザーレンジファインダーの出力で姿勢を制御するのは確認していない。

読売新聞 半日から1日でセーフモードから復帰できなかったらば、どうなるのか。

川口 セーフモードは緊急ではあるけれども予想の範囲内の事態。過去にはやぶさは3〜4回、セーフモードに入ったことがある。

赤旗 降下が始まっているということだが、21時に降下が始めるというのはどういうことか。ターゲットマーカー分離高度は?

川口 降下開始の高度はだいたい2kmより低いところ。1.8km程度を考えている。スタートポイントへの探査機位置制御の精度次第。ターゲットマーカーは分離は40mを想定している。

朝日新聞 一番最後の段階は最後は自由落下させるということだが、接地速度は。

川口 10cm/s以下になるだろうと推定している。

東京新聞 ターゲットマーカーは、降ろせば着地と見なせると言ったが、その理由は。

川口 計り知れないことはあり得るのだけれども、ターゲットマーカーのバウンドを防ぐ試験は十分に行った。だから、下に小惑星があれば確実に表面に衝突する。

日経新聞 12日から今日までに改良を加えた点はあるか。

川口 レーザーレンジファインダーの反射は、地上で予想していたものと違うデータが出ていた。これに対応している。
 12日に行った接近方式では大きく誤差が出たので、接近方式を変えている。また、接近したことで表面重力加速度のデータが得られた。そこで関連の数値も見直している。

#相模原にマイク戻る

共同通信 降下の手順だが、1時間前、100mぐらいの高度で加速する。50mでGO NO GO判断。40mでターゲットマーカー放出。そこから地形になるモードに入り通信がビーコンモードに、ということでいいか。

川口 1時間前は、4〜500mのところにいる。その後は大体のところ、おっしゃるとおりでいいかと。

時事通信 岩を避けるためには横方向の制御が重要だが…

川口 はやぶさに岩を避ける機能はない。岩があると検出した場合にアボート(ミッションを中止して上昇すること)する機能はあるが、検出したのが本当に、岩かは分からない。ターゲットマーカー放出後は、例えターゲットマーカーが岩の傍に落ちたとしても、そこめざして降りていく。自律制御といってもそれほど賢いわけではない。

産経新聞 ホイールの故障で着陸は難しくなっているのか。難しさは何かに例えることができるか。

川口 ジェット噴射による姿勢制御では横方向に誤差が出る。誤差の速度が1cm/sであっても1時間では半径36mずれる。半径30mにおさまらないほどに、横方向に位置がずれてしまうということだ。
 1cm/sは言ってみれば虫が歩く速度。それを2億キロ以上向こうで制御している。
 垂直方向の速度はドップラー変位で分かるが、横方向の速度はホイールが使えなくなったために、撮像したイトカワ表面画像を地球で処理して求めている。そういう難しさがある。これは、ホイールが正常でも難しい制御。それが一層難しくなっていると理解して欲しい。


#マイクが東京事務所に移る

読売新聞 確認だ。着地前後にセーフモードに入った場合には、ターゲットマーカー分離はその前に分かるのか。

川口 分かる。テレメトリで分かる。

毎日新聞 その後ミネルヴァの状況は。

川口 新しい情報はない。再びはやぶさのアンテナの受信アンテナの範囲内入ってくるはずだが、まだそこまでは至っていない。

 記者会見は以上。 

 その後の川口教授へのぶら下がり取材で出てきたこと。

着地場所について:着地場所はミューゼス海。場所もそんなに大きくは変わっていない。ただ、タッチダウン時により垂直に近づけるように接地時刻をずらした(松浦注:延期のうち12時間はイトカワの一自転分。午後3時から4時が、午前6時になったのは、着地点がより探査機について垂直な位置に来るよう待つ分)。臼田からの接近では、臼田可視内で最接近するためにかなりイトカワ表面に対して斜めに近づいていた。

高分解能画像について:公開されているのは分解能2cm程度のもの(リリースでは6〜7mmのものが撮れているとしている)。もっと良い画像が撮れているが、サイエンス側の先取特権があるので現時点では公開できない。

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「はやぶさリンク」:タッチダウン時刻がずれた理由、タイムテーブル

 TIPS/Jメールで、的川泰宣教授がタッチダウン時刻がずれた理由を配信している。地球にパラボラアンテナを向けてはやぶさはイトカワに降下していく。その場合、タッチダウン時に、イトカワとはやぶさの進行方向がなるべく垂直に近いほうが安全性が高い。そのような地形を探したところ、タッチダウン時刻が変更になったという。
 タッチダウン場所が相変わらずミューゼス海かどうかは書いていない。

☆☆ YMコラム ☆☆ (NO.311)
  「はやぶさ」のタイム・シーケンス、半日あまりずれる

 簡単なタイムテーブルも公開された。

1 19日午後9時ごろ(JST) 降下開始。 以後断続的にWeb配信。
2 20日午前3時ごろ 航法誘導状況のアナウンス
3 午前5時ごろ Go/NoGoの判断。アナウンス
4 午前6時ごろ 最接近オペレーションを行う。

6時半ごろまでには、ターゲットマーカーが分離したかどうか、また上昇に転じたかどうかはアナウンスできる。
5 午前10時ごろ 着陸したか、着陸しないで上昇したかをアナウンスできる。
6 正午ごろ 記者会見

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2005.11.17

「はやぶさリンク」:着陸時刻変更

 JAXA広報より、はやぶさによる小惑星イトカワへの第1回着陸は、当初予定の11月19日午後3時〜午後4時から15時間ほど遅れて、20日午前6時頃になると連絡が入った。

 着陸時刻が変更になった理由については明日18日夕刻に記者会見が開催される。

 イトカワは周期約12時間で自転している。少なくともこの変更は、タッチダウン場所の変更をも含むことが推察される。

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「はやぶさリンク」:史上最も詳しい小惑星表面の姿

 11月12日の降下リハーサルの際に、はやぶさがイトカワ上空55mから撮影した高精細画像が公開された。はやぶさ搭載の「望遠型光学航法カメラ(ONC-T)」が撮影したもの。

史上最も詳しい小惑星表面の姿:11月17日

 分解能は6〜7mm/pixel。他天体表面の画像としても世界最高レベルだ。

 リンク先には、米航空宇宙局(NASA)の小惑星探査機「二ア・シューメイカー」が、ミッションの最後に行った小惑星エロスへの強行着陸(2001年2月12日:着陸は計画当初は予定されていなかった)の際に取得した高度120mからの画像との比較も掲載されている。

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2005.11.16

「はやぶさリンク」:今日の一枚、動いているグランドキャニオンへ…

 はやぶさが撮影した、イトカワ表面にはやぶさの影が落ちる画像が、米航空宇宙局(NASA)の Astronomy Picture of the Day(天文学、今日の一枚:11月16日付け)に掲載された(ISASがISISと間違っているのが愛嬌)。題して「A Robot's Shadow on Asteroid Itokawa 」。はやぶさは、「robot spacecraft Hayabusa」と形容されている。


 日本惑星協会のメールマガジン「TIPS/Jメール」を使った的川泰宣教授の広報が、活発になっている。ほぼ2日間隔で、はやぶさ関連の現状を内側からレポートしてくれている。

 11月16日号には以下の記述があった。

「動いているグランドキャニオン」にジャンボ機で着陸するよりも難しいオペレーションであることが、ますます分かってきました。同じ着陸でも、表面地形が判明するにつれ、アメリカもこれまでやったことのない「ピンポイント着陸」であることは明白です。しかもサンプリング予定の時刻は臼田からは見えないので、アメリカDSN頼りということになっています。日本の深宇宙追跡局が、サンチャゴあたりにもう一局どうしても欲しいという実感 が強烈です。

 
「はやぶさ」チームは「必ずやるぞ」の固い決意で団結しており、頼もしい限りですが、それだけに、19日は、再び着地のための技術的教訓を存分に獲得するだけで上昇する可能性もなしとは言えないと思います。最終的な判断は、リアルタイムでの川口プロマネに委ねられます。なお、チームの主要メンバーは今でも細かいスケジュールづくりに余念がありません。少しでも寝て欲しいと要望していますが、決心すればいつでも睡眠に移るわけには行かないでしょうからね。

 予想以上に障害となる岩の多いイトカワ表面。現状が分かるほどに、タッチダウンとサンプル採集が難しいことが判明しつつある。
 しかも条件は悪い。往復32分の通信時差。DSN経由の運用。故障しているリアクションホイール。8時間三交代勤務を実現できない人手不足。

 まず間違いなく16日中に、19日のタッチダウンのためのオペレーション手順は作成を完了しているはずだ、明日明後日で、コマンド列作成とはやぶさへの送信が行われるものと思われる。

 今日の「はやぶさ」によると11月16日現在のはやぶさはイトカワから4kmのところにある。18日深夜からの降下は、1.4kmのところから開始となる。

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2005.11.15

「はやぶさリンク」:てらきんコラム、ステラナビゲーター、現時点におけるミネルヴァの評価について

 JAXAホームページで、寺薗淳也さんのコラム「3億kmの小窓『はやぶさ運用室』からの報告」が始まっている。寺薗さんは、通称テラキンさん。はやぶさ運用チームのメンバーであると同時に、JAXA広報の一員としてJAXAページの運用にも携わっている方だ。最新の宇宙探査関係のニュースを掲載している月探査情報ステーションは、寺薗さんの尽力で運営されている。
 現在第二話までが公開中。第五話までのタイトルが予告されている。

 アストロアーツの天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータ Ver.7」が、はやぶさの表示に対応した。同ソフトは太陽系空間における惑星探査機の軌道を表示することができる。惑星探査機のデータ集「惑星探査機データ」にこのたびはやぶさのデータが追加された。データはこちらのページから無償でダウンロードできる。

アストロアーツによるはやぶさ特集


 ミネルヴァがはやぶさに搭載されるまでの経緯についてまとめておく。

MUSES-Cの大いなる挑戦〜世界初の小惑星サンプルリターンへ向けて——小天体探査フォーラム(MEF)内コンテンツ

 MEFははやぶさに続く小惑星探査ミッションの構想を、オープンソース的に一般人も参加し、討論しつつ構築していこうという趣旨の任意団体。JAXA/ISASの矢野創助手によって5年前に結成された。2004年に次期探査ミッションの概要をまとめている。現在は秋田大学の秋山演亮助手が中心となって、Webページには主にはやぶさ関連情報を掲載している。

 「MUSES-Cの大いなる挑戦」は川口淳一郎教授へのインタビュー。はやぶさ計画の来歴や開発の経過をプロジェクト・マネージャー本人が語っている。

 うちミネルヴァに関する部分。

MUSES-Cには当初NASAのローバーを載せる予定だったと思うのですが,それが中止になって,宇宙研のミネルバに変更した経緯について教えて頂きたいのですが? 中止になったのはNASA側の事情でして,まずは経費の問題です.予想外にお金が掛かるようになって来たので,それに投資するのはどうか,という議論の結果,中止することになりました.もう1つは,開発段階でローバーの重さが増え続けていったことです.一方,当初ミネルバは探査機全体の重量に余裕があれば載せるオプションとして準備して来ました.しかしNASAローバーが無くなった段階から,小惑星表面の直接観測を行うためにも,是非積んで行かなくてはならないだろうという判断に変わりました.

現状でのNASAとのgive and takeはどうなっているのでしょうか?NASAのローバーを搭載する代わりに何らかの取引はあったと思うのですが,それが中止になった現状では技術交換や施設の利用や試料の提供等の取り決めはあるのでしょうか?
サイエンスの協力関係はもちろんあります.何と何とがバーター(相互交換)になっているというのは大変難しいのですけが,例えばローバーを運ぶと事との取引は,NASAの深宇宙通信網を使用させて貰う事ですね.別な取引としては,採取試料の質量の10%をNASA側に提供するという話があります.この話しは元々,探査対象がネレウスか1989 MLだった時に出て来たもので,もし帰還カプセルを回収する際に米国ユタ州で支援して貰えるならば,その見返りとして,ということだったんです.ところがその後探査対象が1998 SF36に変わったために,ユタ州でカプセルを回収することは無くなりそうです.さらにローバーもNASA側からキャンセルされてしまったために,どちらのバーターも宙に浮いてしまいました.但し,既に話がまとまっていたバーターを相手が引っ込めたからといって,こっちも引っ込めるようなつまらないことをしてもしょうがありません(笑).探査対象を変えたのは宇宙研側の都合ですから,元々言っていた採取試料の10%は寛大にそのまま渡して,双方納得してもらえれば良いんだと思っています.

 ここで分かるのは、1)ローバーはオプション、つまり「重量的余裕が出たら搭載する」という扱いだった、2)米航空宇宙局(NASA)の新宇宙ネットワークを使用する代償だった、3)NASAのローバーは金額と重量の双方がかさんだためにキャンセルされた、4)最終的に「是非積んで行かなくてはならない」という扱いになった——ということだ。

 それでは、NASAは、どのようなローバーを開発するつもりだったのか。11月12日付のSpacefloght nowが、概要を伝えている。

Space probe rehearses landing dance with asteroid

In the early parts of the mission's pre-launch development, NASA had planned to build a slightly more advanced 2.2-pound rover for inclusion on Hayabusa. That vehicle would have carried a camera along with infrared and X-ray spectrometers, but it was canceled five years ago this month after rising costs above the original $21 million estimate.

 NASAのローバーは赤外線とX線の分光器(これは岩石組成を測定するものだ)を搭載した重量2.2ポンド(約1kg)のローバーを2100万ドル(ドル118円換算で、約25億円)で開発しようとしていた。

 はやぶさ本体の開発コストが127億円ということなので、NASAは本体質量がはやぶさの1/500のローバーに、1/5の予算をつぎ込もうとしていたわけだ。

 一方、ミネルヴァの開発コストは、私の手元に数字がないのだが、笹本祐一「宇宙へのパスポート2」の235ページに以下のような記述がある。笹本は打ち上げ前にIHIエアロスペースでミネルヴァの取材をしている。その時の記述。

なにせ正式のプロジェクトじゃないから予算もまともに付かず、惑星間を飛ぶ探査機に余分な荷物を持っていく余裕なんかろくにないから、与えられた重量はパッケージ全部で1キログラム、本体は500グラム。 「500グラム!1グラムもまけんぞ!」  しかも制作予算はない。しかたないので技術開発予算から持ってきて、それでも宇宙規格の高い部品を買う余裕はどこにもないので、民生品を買ってきて回路を作る。

 つまり予算項目に「ミネルヴァ開発費」という項目はなく、一般の技術開発経費から予算を引き出してミネルヴァは開発された。開発には5年かかっているが、予算規模200億円の宇宙科学が年間2000万円(これはアウトソーシングで技術者を一人、1年間雇う経費とほぼ等しい)以上を、この小さなローバーに割けるとは、私には考えにくい。
 このことと、宇宙用に比べて非常に安い民生部品を使っているということから推定するに、ミネルヴァは1億円程度。ひょっとすると数千万円オーダーで開発されている。

 正確な額は聞かなければ分からないが、つまるところNASAの1/20程度の予算で、なんとか成果を挙げられるローバーを、と工夫した結果が、ミネルヴァなのである。

 宇宙用の電子部品は、信頼性を追求するあまりに非常に高価になっている。同性能の部品が秋葉原で数百円で買えるのに、宇宙用となると100万円以上などということはざらだ。宇宙機に安い民生用電子部品を使う動きは、ここ数年やっと始まったというところである。それも、主に宇宙放射線が比較的弱い地球低軌道への適用が主だ。

 強い放射線にさらされる地球磁気圏の外に出て行く宇宙機への民生部品の適用は、ほとんど例がない。月探査を行ったクレメンタイン探査機(1994年)が、民生品のRISCプロセッサーを搭載したぐらいではないだろうか。

 ミネルヴァはイトカワへの着地に失敗した。サイエンス・ミッションとしては当初目的を達成できなかった。

 一方、宇宙業界の常識から言えば桁外れの低コストで民生電子部品を流用して開発したローバーが、放射線の強い惑星間空間での2年以上の航行に耐え、かつ放出後は18時間もの間きちんと動作した。
 これは、エンジニアリング面での成果と言えるだろう。

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2005.11.14

「はやぶさリンク」:リアクション・ホイールに見る問題点

 数日前から、googleなどの機械翻訳で、当ページが読まれるようになった。海外の宇宙開発に興味を持つ人たちが、はやぶさの情報を求めて、ここにやってくるようになったらしい。

 基本的に米航空宇宙局(NASA)の深宇宙ネットワークは半年前に予約を入れる必要があるが、19日の第一回着陸の予約は、比較的スムーズに進んでいる模様。NASAが、はやぶさの探査に興味を持っているからこそだろう。

 3基中2基が故障したリアクション・ホイールについて。

 故障した2基については、イトカワに向かう途中から、温度が徐々に上昇しており「どうもあぶなそうだ」という予兆があったとのこと。残る1基は、故障した2基のような温度上昇は観測されていない。

 はやぶさに搭載されているリアクション・ホイールは、ニューヨークにあるIthaco社製。Ithaco社は、タイヤメーカーとして知られるグッドリッチ社に買収され、現在はグッドリッチ社の Optical & Space Systems部門、Electro-Optical Systems部門となっている。
 リアクション・ホイール製品紹介ページには、簡単な製品紹介(pdfファイル)がある。

 日本国内では、三菱プレシジョンが、リアクション・ホイールを製造しており、国産品でも調達可能だった。Ithaco社製が選択された最大の理由は価格。具体的な価格までは不明だが、約2倍の価格差があったらしい。

 これは日本の宇宙開発が抱える大きな問題点だ。火星探査機「のぞみ」失敗の原因の一つであるラッチング・バルブ(米ムーグ社製)や、このリアクション・ホイールのように、地味だが不可欠な部品を国内で供給できないか、できても高価になってしまうのである。

 国産品がないか、高いかということになると、欧米製品に頼らざるを得ないが、当然ながらリバースエンジニアリングを禁じたブラックボックスとして輸入することになる。トラブルを起こしても内部に踏み込んだ対処はできない。設計を知り尽くしているわけではないので、裏技的なオペレーションをもって、遠隔修理するというようなことも不可能だ。

 実のところ、日本はもっと基礎的な部品すら作ってはいない。例えば耐熱性の高いニッケル合金製のボルトは、ロケットエンジンに不可欠だが、「割に合わない」という理由から国内では生産されていない。アメリカからインチ規格のボルトを購入して使用するしかない。

  午後9時22分訂正:見聞した話をそのまま書いてしまったが、調べてみると日本でもプラント向けにニッケル合金製ボルトを製造していた。しかし、これらボルトが宇宙用に適合するのかまでは不明。ともあれ、日本でも製造していることは明らかなので、謹んで訂正いたします。


 探査機の製造にはコストパフォーマンスも考慮しなくてはならない。だから、なにがなんでも国産化するのが良いわけではない。それでもぎりぎりの局面では、「自分で作ったものか、否か」が探査機の成否を決めるほどの大きな意味を持ってくる。

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「はやぶさリンク」:ミネルヴァについて考える

 昨日のリリースがJAXAホームページにも掲載された。

分離後の「ミネルバ」が「はやぶさ」を撮影

日本惑星協会のメールマガジンTIPS/Jメールの14日11時18分配信の最新号に、的川泰宣教授が12日のリハーサルの状況について寄稿している。

 ・メールマガジン「TPS/Jメール」11月14日臨時号(YMコラム)

 以下、ミネルヴァ関連の部分を抜粋して引用・掲載する。

  【探査ロボット「ミネルバ」の運命】

  12日午後3時8分、地上局から「ミネルバ」放出の指令が発せられました。それが「はやぶさ」に届くまでには約16分かかります。その固唾を呑んで見守るしかない」16分間、「ミネルバ」の関係者の一部は「はやぶさ」の動きに注目しました。「一部」といったのは、この「ミネルバ」にとっては死活の時間帯にも、人手不足のISASでは、「はやぶさ」本体の本流のミッションの運用に携わって忙しく立ち働いている強力なメンバーを抱えているからです。

 「はやぶさ」は、イトカワの表面との接触を避けるため、あまり近づきすぎたら、降下から上昇に転じるようプログラムされていました。「はやぶさ」の動きを見ながら、タイミングを選んで「ミネルバ」放出の指令を送ったものの、それが「はやぶさ」に届くまでの「魔の16分間」は、ひたすら祈るしか手のない時間でした。

 「はやぶさ」は予想を少し超えたスピードで降下していきました。「ミネルバ」を放出するはずの時間は3時24分です。できれば降下中に放出したかったのですが、3時20分ごろに最も表面に近づいたときにそれは不可能と分かりました。あとはできるだけ表面に近い状態で上昇速度の小さいときに離したいと思っていました。

 「はやぶさ」が上昇に転じました。そして確かに放出したことを告げる電波が、3時40分に地上に届きました。その16分前、つまり3時24分に、「ミネルバ」は「はやぶさ」から旅立ったことが確認されたのです。一瞬管制室はどよめきました。「はやぶさ」搭載の障害物検出センサーによっても、「ミネルバ」が探査機から分離されたことが確認されました。

 しかし、放出した時刻(3時24分)での「はやぶさ」の高度は、その後の調査で約200m、十数m/秒(松浦注:cm/秒の間違い)で上昇中だったと推定されました。「微妙だねえ」──その場にいたみんなの感想です。重力の小さいイトカワの脱出速度は15〜20 cm/秒です。放出時点での「はやぶさ」の上昇速度が十数cm/秒、水平方向への放出速度は5 cm/秒です。合成すると、まさに「微妙」でした。

 スピードからすれば、「はやぶさ」周回の長楕円軌道に乗っている可能性が非常に大きいと思います。「ミネルバ」のような探査機の場合、太陽の輻射圧で押される影響が割合に大きく、もし軌道に乗っていれば段々と高度を下げて、最終的にはイトカワ表面に降りるでしょうが、そのときには「はやぶさ」は旅立ってしまっているという展開になるかも知れません。「ミネルバ」の寿命は1日半です。

 放出後、「はやぶさ」と「ミネルバ」の通信は18時間にわたって確保され、「ミネルバ」は回転しながら離れていく過程で、「はやぶさ」本体の太陽電池をカラー撮影することに成功しました。
 逆に「はやぶさ」の広角航法カメラは、放出後212秒の時点の「ミネルバ」を撮影しています。内部の温度や電源電圧、ロボットの姿勢を示すフォトダイオードの出力などのデータを「はやぶさ」に報告ししてきており、搭載機器も正常であることが確認されています。「ミネルバ」のデータは、「ミネルバ」の中継器にいったん入って、そこから「はやぶさ」のデータレコーダーに入り、然る後に地球へ送信されます。その回線が生きていることも、今後の惑星探査から見て大きな成果だと考えています。

 「ミネルバ」による表面探査は、全体から見れば、アメリカが提供するはずだったミニローバーが、予算がないため撤退した後を受けて登場した「おまけのピンチヒッター」だったとはいえ、多くの人の苦労がしみこんだ芸術的な作品でした。今は、工学的に一定の成果をあげたことを喜ぶべきなのでしょう。着地を第一に考えれば何とかなったでしょうが、今回のオペレーションとしては、「はやぶさ」本体の危機を守るために「ミネルバ」はその小さな体を張ったという点もあるのでしょうね。
 ともかく、この再リハーサルを得て、サンプル採取への確実性は大いに増しているので、再リハーサルで認識された課題を必死で乗り切る構えでいる「はやぶさ」チームのみなさんの健闘に期待をすることにします。

 これまでもJAXA/ISASは、はやぶさ自体を「工学試験機」と位置付けているが、ミネルヴァは工学試験機の、そのまたピギーバック・ミッションとして、米航空宇宙局(NASA)のマイクロ・ローバーがアメリカ側の都合でキャンセルになった後、急遽企画されたものだった。
 2003年5月打ち上げ前に、設定されたミッション成功率の採点表に、ミネルヴァは記載されていない(ミッション達成度)。「採点対象外」なのだ。

 これをどう考えるか。

 「JAXA/ISASは、色々な予防線を張って逃げている」と考えるか。「失敗は失敗だろう。卑怯だ」と考えるか。「できないのなら最初からやるな」と考えるか。

 私は、ミネルヴァについて「次があるなら、これはまずまずではないか」と感じている。そう、次があるなら。

 日本というくくりで考えるなら、はやぶさは今、日本人が到達した最も遠いフロンティアにある。江戸期の間宮林蔵、最上徳内、松浦武四郎、そして明治以降の一連の大谷探検隊や民俗学者の鳥居龍蔵、さらには戦後の植村直己といった人々の正当なる後継として、はやぶさは今、小惑星イトカワにあると位置付けることができる。

 行けるかどうかも分からぬところへ行き、できるかどうかも分からぬ探査を行い、帰ってこれるかどうかも分からないのにサンプルを採取して帰還しようとしている——そのことに私は単純に、わくわくしている。前にも書いたが、そこはテラ・インコグニタ(未踏の大地)なのだ。

 だいたいにおいて探検隊というのは途中で揉めるものだし、目的のすべてを達成することもない。リスクとを取るとはそういう結果を甘受するということだ。コロンブスは西インド諸島への航海で、水夫の不満を鎮めるのに腐心したし、マゼランの艦隊ではマゼラン謀殺の計画すらあった。そしてフェルディナンド・マゼラン本人は、航海の途中、フィリピンで死んでいる。

 取材の途中、的川教授から、こういう話を聞いた。

 ブルース・マーレイという人物がいる。アメリカ惑星探査の大立て者で、いくつもの惑星探査に関わった人だ。はやぶさは、そのブルース・マーレイが、宇宙科学研究所の客員教授を務めている時に企画された。

 彼ははやぶさ計画に対して反対だったのだそうだ。「こんな危険なミッションは実施するべきではない。失敗したら宇宙科学研究所が存在できなくなる」と言ったのだという。

 その通り。資金が潤沢で打ち上げ機会も多いアメリカならば、いくつもの探査機に分割して実施するミッションを、はやぶさは直列につなげて実施している。イオンエンジン、微小重力でかつ不規則な形状で不規則な重力場を持つ小惑星への継続的な接近観測、小惑星表面へのアプローチ、タッチダウンを試料採取、さらにはピギーバックミッションとしてのローバー放出、そしてまたイオンエンジンを使っての地球近傍への帰還と、小型再突入体によるサンプル回収——。
 あの500点満点の奇妙な採点表は、はやぶさ計画があえてリスクを取っている証しなのだ。

 これを、「あぶないことをするんじゃない」と感じるだろうか。

 だが、安全第一、組織保身第一でいたならば、今、はやぶさはイトカワにいなかったろう。

 リスクを取った結果、今、はやぶさはイトカワに到着し、観測を継続している。すでに撮影した画像は1000枚を超え、分光データをはじめとした様々な科学観測データも蓄積されつつある。すべてが世界初のデータであり、未踏の大地が人類全体にもたらした知見である。単純な小惑星探査機として考えるなら、はやぶさはもう十分に成功している。

 私としては、そのことを評価したい。


 日本の宇宙科学に問題がないわけではない。いや、むしろ問題山積といってもいい。ただしその問題は、単なる成功・失敗よりも、より根深い部分に存在する(なかなかマスメディアの報道は、根の部分には届かない)。

 一例だが、アメリカの宇宙探査では、オペレーション担当者は厳格に8時間勤務を守ることになっている。それ以上働くと、ミスを犯す確率が上昇するからだ。頑張って長時間勤務をするのは、探査機を危険にさらす愚かしい行為なのである。
 一方、はやぶさに限らす、日本の探査では「自分が好きでやっているんだから」と、限界を超えた長時間勤務が常態化している。あまりに人材の層が薄いのだ。
 その少ない人材がフル回転しなければ、はやぶさはイトカワには行き着けなかった。今現在、はやぶさが地球にもたらしつつある知見もなかった。

 「『俺たちは今、日本の惑星探査の最盛期を見ている!』ということにならんようにせんとなあ」とは、私と一緒に取材をしている笹本祐一さんの言である。

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宣伝;11月17日(木曜日)、新宿・ロフトプラスワンでトークライブ「小松左京、かく語りき」が開催されます

 このところはやぶさ関連の記事ばかり書いていて、告知が遅れてしまいました。表記の通り、小松左京トークライブが開催されます。
 聞き手として私も出演します。


「小松左京、かく語りき」
地球、自身、宇宙…神に至るまで縦横無尽に語る!
【出演】小松左京(作家)
【聞き手】笹本祐一(SF作家)、鹿野司(サイエンス・ライター)、松浦晋也(ノンフィクション・ライター)
11月17日(木曜日)
18:30Open/19:30Start ¥2000(飲食別)

ロフトプラスワン :新宿・歌舞伎町

※前売発券あり。ローソンチケットにて11/6〜発売(Lコード:35578)

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2005.11.13

「はやぶさリンク」:はやぶさから撮影したミネルヴァ

 13日午後7時37分付けメールでJAXA広報から届いたミネルヴァに関する情報だ。

 ミネルヴァ分離後212秒に、はやぶさの航法広角カメラが撮影したミネルヴァだ。ミネルヴァは小さな輝点として写っている。イトカワにははやぶさの影も写っている。画像左下には別の物体も写っているが、これはミネルヴァを覆っていたカバーではないかと推測されている。

haya-mine

 拡大すると、数ピクセルの大きさで写っており、撮像素子の欠陥ではないことが分かる。過去に撮影した画像との照合でも撮像素子の欠陥ではないことが確認された。

haya-mine2

 はやぶさとミネルヴァは分離後18時間、通信が継続していた。その間ミネルヴァは、イトカワからの熱輻射を受けており、温度上昇が記録されている。そこから科学的成果を抽出できる可能性が出てきた。

 その後通信は途絶したが、まだ故障や部品の寿命ではなく、アンテナの指向方向の問題である可能性がある。このため今後ともはやぶさ、ミネルヴァ間のコンタクトと試みるとのこと。

photo by JAXA/ISAS

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「はやぶさリンク」:ミネルヴァが撮影したはやぶさ

 13日午後7時37分付けメールでJAXA広報から届いたミネルヴァに関する情報だ。

 ミネルヴァが分離時に撮影したはやぶさの太陽電池パドル画像が公開された。



mine-haya

 はやぶさの太陽電池パドルの端部だ。オリジナル画像は160×80ドットだったが、320×160ドットにブロウアップして掲載する。

hayabusapad

 画像に写る太陽電池パドルの端に白く光っているのが、パドルについた金具だ。図の赤丸の部分である。

 私も「ミネルヴァからはやぶさを撮影してほしい」と書いたが、こんな形で実現するとは。


photo by JAXA/ISAS


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「はやぶさリンク」:ミネルヴァについて川口教授のコメント

 13日午後7時37分付けメールでJAXA広報から、ミネルヴァに関する情報が届いた。JAXAホームページにもアップされるとのことだが、午後9時38分現在、まだJAXAホームページにはアップされていない。

 いくらかは当ページに掲載する意味があると思うので転載する。

 まず、ミネルヴァの現状に関する、はやぶさプロジェクト・マネージャーの川口淳一郎教授のコメントだ。



Q) ミネルバは、着地したか?
A)現在までのところ着地を示すデータは得られなかった。

Q) イトカワを周回している可能性は?
A)分離後に周期的なOn/Off は観測していないため、特殊な場合を除くと、周回している可能性は低い。

Q) ミネルバが再度軌道降下して表面に落下する可能性は?
A)理論的には太陽輻射圧(松浦注:太陽光の圧力。光は微小な圧力を発生する)で吹き下ろされてくる可能性がある。
 イトカワを脱出した速度は、計算では無限遠で 8.3cm/sec 。
 MINERVA の場合、太陽光圧での減速量は、1.4cm/s/day なので、これがいわば重力加速度のようなもの。
 早ければ6~7日で上昇がとまり、それと同じくらいの時間をかけてイトカワの近傍の太陽からの距離にもどってくる。2週間程度。
 このもどった場合のイトカワとの距離が近ければ、あるいは表面と衝突するかもしれない。近傍を通過した場合は、イトカワの重力でふられて今度は太陽方向には飛び出さないため、しだいに離れていく。
 約2週間強は、はやぶさ搭載の受信機を入れてモニタしてみればと思われるところ。少なくても太陽輻射圧でふきもどされてはくるはずで、はやぶさの受信アンテナパターン内に入れば、通信はできるはず。その結果をみてまたそれが再度時間をかけてロックオフするとミネルバの軌道がわかる。
 継続してMINERVA からの受信機を投入しておきモニタする。

Q) ミネルバについては失敗か?
A)工学実験ペイロードの性格からは、分離、通信、データのリレー伝送、画像の取得、計測値の伝送など探査ロボットのもつ諸機能が実際の場所で機能しているので、実証はできたと述べてもよいのではないでしょうか。

科学観測については:
 短時間ながら熱の輻射起因の計測ができたと考えており、意味があったと考えている。

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2005.11.12

「はやぶさリンク」:11月12日午後8時からの記者会見

 出席者は、川口淳一郎教授(プロジェクト・マネージャー)、久保田孝助教授、吉光徹雄助手。

 発表文は「はやぶさ」のリハーサル降下再試験の結果について (11月12日)です。

発表文概要
 午前3時から高度1.4kmの距離から降下を開始。慎重に降下させたので最接近は予定よりも1時間遅れた。
 時刻遅れのため、最低到達高度域をミューゼス海からミューゼス海東側に変更。レーザー高度計及び有効航法機能は正常に動作。最終的に確認した最低高度は55m。

 ミネルヴァをイトカワ表面に着地させることはできなかった模様との事。分離信号の発信から実際の分離までの時間差の間で、探査機がドリフトしたことが原因。

質疑応答です。

問い 共同通信:端的に言ってミネルヴァがどういう状態なのか。

答え 川口:今この瞬間もはやぶさとコンタクトを保ち続けている。カメラも動作し続けている。

答え 吉光:まだミネルヴァが得たデータを地上に受信できてないので、どうなるかは不明。今後イトカワに降りる可能性もまだ残っている。

答え 久保田:現状どうなっているか分からない。

問い 毎日新聞 ミネルヴァから送られてきた信号はどんなものか。表面に到達できない可能性の方が高いのか。

答え 久保田:ミネルヴァの内部温度などのデータははやぶさに届いているということは分かっている。明日以降はやぶさからのダウンロードを行う。現在イトカワから数km強にいると思っている。当初100m程度までなら地表に到達すると考えていたが200mの分離だったので、到達できない可能性が高いと考えている。

問い どんなデータが来ているのか。

答え 久保田:ミネルヴァの温度データなどがはやぶさのテレメトリデータに入っている。現状はミネルヴァからのデータをはやぶさが蓄積している。

問い 時事通信 分離後どんどん離れていってしまったのか。

答え 川口:詳細はまだ分からないが、速報的には脱出してしまったのではないかと考えている。しかし、これは暫定である。今後要検討だ。

問い 東京新聞:脱出したというのはいったんイトカワにあたって跳ねたということなのだろうか。

答え 川口:跳ねたかどうかは不明。現状の解釈ではイトカワに当たっていないと考えている。

問い 日経:19日のターゲットマーカー投下でも今回のようなことが起きるのだろうか。

答え 川口:そのようなことがないようにした。はやぶさの上下運動は、降下中のあるフェーズでは起きうることではある。ターゲットマーカー分離は探査機がターゲットマーカーを押さないと分離しない。

問い 毎日新聞:なぜ、今回ミネルヴァは予定よりも高い高度から落とすことになってしまったのだろうか。

答え 川口:はやぶさは、降りてきたら噴射して飛び上がるという上下運動をしつつホバリングしている。今回はレーザー高度計の動作確認が目的なので、リハーサルではレーザーレンジファインダーの出力は高度維持に使えない。従って今回は、一定時間ごとにスラスターを吹いて上昇する設定にしていた。地表に機体が落ちると困るので、どうしても上昇しがちの設定にしてしまった。

問い 今後ミネルヴァはどうなるのか。

答え 川口:もしもどんどん離れていくなら、やがて電波が弱くなって途絶することになるだろう。

問い NHK ミネルヴァを切り離すコマンドが地上局切り替えの都合で遅れたということなのだろうか。

答え 久保田:地上からコマンドを送るので、16分後に正しい距離になるだろうとというタイミングでコマンドを送った。

問い 高度をモニターしつつ分離することはできなかったのか。本来地上局から分離する仕様になっていたのか。

答え 久保田:いくつかの方法は用意していたが、一番可能性の高い方法として地上からのコマンド送信を選択した。

答え 吉光:ミネルヴァは定期的に画像を取得しているので、そこにイトカワが写ればどこにいるかを判断できるだろう。

問い なぜリハーサルで分離したのか。第1回着陸で行うという選択もあったのではなかったのか。

答え 川口:着陸ではタッチダウンが主目的になる。リハーサルならばミネルヴァに特化したシーケンスがくめるので、リハーサルで降ろすべきと判断した。

問い 産経新聞:ミネルヴァからの画像は明日の何時頃に入るのか

答え 吉光:明日の夜以降。

問い 読売新聞:レーザーレンジファインダーが使えれば、19日はターゲットマーカーを確実に投下できるのだろうか。

答え 川口:今回、レーザーレンジファインダーが4本のビームが使えることを確認した。タッチダウンにはレーザーレンジファインダーと横方向に探査機が流れるのを防ぐターゲットマーカーの両方が必要。レーザーレンジファインダーとターゲットマーカーの両方がうまくいくことが必要だ。

問い 読売新聞:今回1 時間遅れた理由は。

答え 川口:降下に当たって運用上のいくつかの関門を設定している。そこを通している間に時間がかかってしまった。

問い 週刊ポスト:ブラックジャックというカードゲームがある。もし今日は1枚目のカードで、19日が二枚目のカードだろう。25日が三枚目のカードとして、三枚目を引くべきかどうか。どうお考えだろうか。

答え 川口:今日の降下で、大分確実性が増してきたと感じている。まだフルに試験ができていないが、フルに試験を行う余裕はない。限られた機会なので、次は着陸だろう。機会は限られており、その中で多少のリスクを取って進むしかない。
 今回も誘導航法機能についていくつかの課題を見つけている。ホイールが故障していることの影響が大きく、当初考えられなかったような事態に対処しつつ運用している。
 リスクも課題もあるが、機会が限られているのでリスクを取ってやっていくしかない。

問い 日経サイエンス:ミネルヴァはどの程度の高度で分離すれば着地できたのか。

答え 川口:速度が効く。イトカワの脱出速度は十数cm/秒。これより速いとイトカワに着地できない。計測誤差もあるが、ミネルヴァの分離速度が十数cm/sだった。

問い 日経サイエンス:ミネルヴァの寿命は確か一日半だったはずだが。

答え 久保田:ミネルヴァの寿命は電源のコンデンサーで決まる。これが高温で劣化して地球の一日半で寿命となる。現状、地表に降りて本体温度が上昇していないので、コンデンサーは持ちそう。ただしどのような形で寿命が来るかは分からない。

問い ホイールが生きていたらば、ミネルヴァを接地させることはできたか。

答え 川口:ホイールが生きていれば、より正確な誘導が可能だったろうとは言える。間接的には関係あると言えるだろう。

問い 朝日新聞:次回の19日に向けて、今日のリハーサルで教訓にする点を説明して欲しい。

答え 川口:目的の場所に誘導する航法機能についてはまだ課題があると思っている。常にジェットを吹いているので、位置情報がどうしてもぎくしゃくしてしまい、それを克服するのが課題だ。もっとファインにチューニングする必要がある。今回の降下で色々なことが分かったので、さらに改善する。

問い 時事通信:55mというのが当初予定だったのか。

答え 久保田:本日は60〜70mが目標だった。

問い ミネルヴァ投下がうまくいかなかったのは、はやぶさが上下動をしていたからか。

答え 川口:上下動を管理しきれなかったということだ。

問い 19日、25日どちらに力を入れるのか。

答え 川口:19日は途中に様々な不足な事態に備えるリミッターを色々挟んで行おうと考えている。25日については、19日の結果を受けて考える。

問い 的川先生は最低高度40mと表示されているのを見たといっていたが、なぜ55mなのか。

答え 川口:40mは概算値。様々な補正を加えて55mを算出した。

問い 毎日:確認したい。55mとなった時刻は。

答え 川口:午後3時24分より前である。

答え 久保田:それまでのデータではやぶさの上下動のタイミングを測り、分離コマンドを送信したのだが、たまたま上下動が上がりの時に分離することになってしまった。

問い 共同通信 着地が難しかった場合、無理をしてもタッチダウンするのか、それとも帰還を優先するのか。

答え 川口:即答はできない。燃料問題が許す限りにおいて、サンプル採集に努力する。著しいリスクが発生するなら話は別だが。ジェットを吹き続けなくてはならない状況でサンプル採集を行うというのも大きなリスク

問い エイヴィエーション・ウィーク:残る推進剤は。ホイールの製造元はどこか。

答え 川口:推進剤の残存量は控えさせて貰いたい。今後の運用で大きく変わってくるため。今後、スラスター製造時に考慮されていない想定外の噴射を行う。ホイールのメーカーはあちこちで出ているので、ここであえて言う必要はないだろう。

問い 産経新聞:はやぶさの現在位置は。

答え 川口:先ほど逆噴射で止めたところだが、だいたい5〜6kmのところ。ただし降下にあたっては、設定した関門を通して出発点の1.4〜2kmのところにもっていかなくてはならない。18日の夕刻までには、その位置に戻さなくてはならない。

問い 宇宙作家クラブ:ホイールはブラックボックスで購入したのか。

答え 川口:リバースエンジニアリングを禁じるという契約で購入している。

以上です。

 記者会見後の的川教授コメント「ミネルヴァ分離のコマンドを午後3時8分に打ったのですが、その時点でははやぶさの状態は非常に安定していました。ところがコマンドが届くのに16分かかるわけです。3時20分後頃に暫定値の高度が44mを指して、『これはまずいぞ、上昇するぞ』と思っていたら、やはり上昇しはじめた。最初はゆっくりで、これなら大丈夫かと思っていたら、やがて予想以上の速度で上昇し始め、分離の時間を迎えちゃったわけです」

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「はやぶさリンク」:ミネルヴァは着地できなかった可能性大

 ミネルヴァをイトカワ表面に着地させることはできなかった模様との事。分離信号の発信から実際の分離までの時間差の間で、探査機がドリフトしたことが原因。

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「はやぶさリンク」:オペレーション

 次のイベントは午後8時からの記者会見です。

 はやぶさはNASAのDSN経由で、今回の降下リハーサルで取得したデータをダウンロードしている。最高でも2Kbpsの通信速度なので、リアルタイムでのダウンロードには限界がある。

opration 典型的なオペレーション風景。写真中央が、コマンドを送信するための卓。メーカー(写真ではNTスペース)の技術者が座り、操作する。直接探査機に向けてコマンドを送信するのは、メーカーの技術者である。
 その隣がスーパーバイザーと呼ばれる直接の運用責任者。主にJAXA/ISASの助教授、助手が務める。この写真では後ろに川口プロジェクト・マネージャーが立って、運用全体を監督している。ISASのプロジェクト管理では、最終的な意志決定の責任をすべてプロマネが負う。

whitebrd 本日の降下リハーサル運用では、背後のホワイトボードに、運用の状況を書き出していた。この手のアナログな情報伝達は、意外なぐらいに多用されている。
 運用室とは別に、サイエンス側の関係者が詰める部屋がある。そちらでは受信したデータを元に様々な解析を進めている。今回の降下でもあっと驚くような画像が得られた模様。公開を待とう。

happyarrive 運用管制室には、こんな写真も貼ってあった。

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「はやぶさリンク」:シールとお札

yamatoseal
 はやぶさに搭載したイオンエンジンのチームは一つ目標をクリアするごとに、宇宙戦艦ヤマトのシールを作成して運用管制室のガラスに貼っていった。ヤマトの波動エンジンが、イオンエンジンの噴射になっている。最新のシールは、今年9月12日のイトカワ到着を祝うものだった。もちろん帰還飛行時にもイオンエンジンは必須。4基のイオンエンジンのうち3基が地球帰還時まで動作するというのが、サンプル回収のための条件となる。

ofuda
 運用管制を行うワークステーションには、「飛行安泰」のお札が貼ってあった。どこかの神社のものなのか、関係者お手製なのかは不明。

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「はやぶさリンク」:ラッコ座標系

rakkopaper 到着時はその形状が、「カリントウ」「ウ●チ」などとも言われたイトカワだが、現在研究者の間では「ラッコ」と呼ばれている。経度の基準となる黒い岩石「グリニッジ」がつむじに相当し、ミューゼス海など、折れ曲がった中央付近のなめらかな地表がちょうど、ラッコのかかえた前腕ということになる。

rakkoningyo ラッコに例えると、イトカワの地形把握がやりやすくなる。「ラッコの右腕のあたり」「頭のてっぺん」「腰の付近」というようにデータを検討する際の会話がやりやすくなるためだ。研究者達は「ラッコ座標系」と呼んでいる。写真は運用管制室にあった紙粘土製「イトカワラッコ」。

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「はやぶさリンク」:ミネルヴァ放出直後の管制室

arrive 15時31分、ミネルヴァ放出コマンド送信直後の管制室の様子です。画面左側、笑っているのが的川泰宣教授。一人置いた茶色の服がミネルヴァ担当の久保田孝助教授。腕をまくり上げたYシャツネクタイ姿が、はやぶさプロジェクト・マネージャーの川口淳一郎教授。

katamomi そして、的川教授に肩もみでねぎらわれる久保田助教授。

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「はやぶさリンク」:ミネルヴァのタッチダウンは?

 16時30分現在、すでにはやぶさは上昇を開始して、イトカワから遠ざかっています。


 ミネルヴァ放出時の状況です。

 今回はやぶさは地表面からの高度40mで自動的に上昇を開始するようにセットされていた。ミネルヴァの放出は上昇開始後、おそらく高度約200m前後で放出。

 放出から5分後にミネルヴァからの信号を受信。放出後もミネルヴァは生きていることを確認した。

 高度200m(イトカワの長径側半径に等しいほどの距離)からの放出になってしまったので、着地に成功するかどうかは微妙。上昇速度が十数cm/s、横方向へのミネルヴァの放出速度が5cm/sぐらい。合成した速度ベクトルが、イトカワの脱出速度を超えているかどうかは現在まだ分からない。着地したか否かの確認は、明日以降になる可能性が大。イトカワの衛星になっている可能性もあり。

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「はやぶさリンク」:ミネルヴァ放出を確認

 15時40分12秒、ミネルヴァ放出確認の信号が受信されました。はやぶさの機上時計で15時24分。


 通信のタイムラグが16分あるので、すでにミネルヴァはイトカワの地表に着地しているはずです。

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「はやぶさリンク」:ミネルヴァのふくろうは飛び立った

相模原プレスルームより

 ただいま、15時08分、ミネルヴァ放出のコマンドをはやぶさへ送信したという連絡がプレスルームに届きました。

 送信時刻は15時08分。16分後にはやぶさにコマンドが届き、ミネルヴァが放出されます。

 最新ステータスは高度100mでホバリング中となっています。実際にはこれよりも高度が下がっているはずです。ミネルヴァは60〜70mで放出ということになっています。

 以下、的川先生がプレスルームに詰めて説明した事項。

 最接近とミネルヴァ放出は午後4時頃になる予定。DSN運用で行う事になる。

 19日のタッチダウン本番におけるNASA、DSN運用は予定通りアンテナと回線が確保できる見通しが立ちつつあるとのこと。NASAが「ヴォイジャー」と「スターダスト」両探査機のの運用を一回パスして運用時間を空ける方向で調整中。

 なお、DSN利用に当たっては、はやぶさが取得したデータを他国よりもアメリカのサイエンティストに優先して提供することでバーター取引が成立している。

 相模原の電波状況が悪いので、この後は、当blogと、動作が軽い宇宙作家クラブニュース掲示板を適時使い分けます。両方に注意していて下さい。

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「はやぶさリンク」:ストリーミング開始、ミネルヴァについて

 HAYABUSA LIVEのストリーミングが始まった。

 今日、投下する予定のマイクロローバー「ミネルヴァ」解説ページ。

新しきチャレンジ 世界初の小惑星探査ローバ“MINERVA”:ISASニュース2003年6月号

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「はやぶさリンク」:リハーサル降下開始、タッチダウンCGムービー

 11月11日午後10時少し前から、今日のはやぶさのステータスが「降下中」となった。いよいよ始まった。

 HAYABUSA LIVEのストリーミングは12日午前10時から午後4時までだ。

 はやぶさが、最もイトカワに近づくのは午後3時〜4時頃の予定。今回のリハーサルで、マイクロローバー「ミネルヴァ」をイトカワ表面へと放出する。ミネルヴァがイトカワ表面に接地すれば、日本は月に次いで2つめの星に人工物体を送り込んだことになる(月へは、1993年4月11日に、すべてのミッションを終えたスイングバイ試験衛星「ひてん」を落としている)。

 実際のタッチダウンがどのようになるかは、東北大学・航空宇宙工学科の吉田研究室(宇宙ロボット研究室)が、コンピュータ・グラフィックスによるアニメーションをアップしている。吉田研究室は、はやぶさがイトカワにタッチダウンするさいにどのような挙動をするかの力学的解析を担当した。

 現在、これまでのイトカワ観測結果を加味したアニメーションが公開中だ。

小惑星探査機「はやぶさ」最新タッチダウンムービー

 はやぶさの企画と開発の主体はJAXA/ISASだが、そこには日本中の関係する研究者が参加している。「.acドメイン総ざらえ」なのである。

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2005.11.11

「はやぶさリンク」:番外編 はやぶさvsイトカワ

 漫画家のあさりよしとおさんからコメントを貰った。

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はやぶさvsイトカワ


 はやぶさは、4日のリハーサルでは予定通りの降下は果たせなかったものの、9日には再度の降下リハーサルを行ない、それなりの成果は上げたようだ。
http://www.jaxa.jp/press/2005/11/20051110_hayabusa_j.html

 しかし、太陽を背にする戦法は良いとして、地面に影を落とすとは、はやぶさも迂闊である。
 もしこのまま接近していたら、斬って落とされ、真っ二つにされていたかも知れない。

asari1

しかもこの時、ターゲットマーカーを一個分離していたのだが……

asari2

asari3
第2回目の降下点において、ターゲットマーカの分離を試み、正常に分離され…(中略)…また、同マーカは、小惑星表面には投下されませんでした。

 イトカワに、かわされていたようである。

 おそらくイトカワは、こう言いたかったに違いない

「正確な射撃だ、それ故予測しやすい!」

 はやぶさとイトカワの戦いはさらに続く……。

次の戦いは12日!

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 かつてカッパロケットの頃は、河童がおならで空を飛ぶという新聞漫画が出たりもしていた。その手の話題が少ないな、と思ったので掲載した次第。

 本日の臼田局からの運用は、明日のリハーサルに向けた準備。おそらく、明日のリハーサルに向けたコマンド列をはやぶさに向けて送信したはずである。
 そのまま打ち合わせと仮眠を経て、今夜半から明日1日をかけた長いリハーサルが始まる。

「探査機運用は体力勝負と見つけたり」

photo by JAXA/ISAS

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「はやぶさリンク」:イトカワとはやぶさの大きさ比較図

 前の記事の掲載画像は、なぜか私が使っているブラウザFirefox(MacOSX Ver.1.0.7)ではページのスクロールが不可能になるというトラブルが出たので、画像の表示方法を変更した。

 九州大学・平山寛さんのごんざぶログに、イトカワとはやぶさの大きさ比較図が掲載されている。イトカワとはやぶさのサイズが非常によく理解できる図だ。ちょうどイトカワにタッチダウンするはやぶさは、人にとりつくちょっと大きな蚊ぐらいのスケールであることが分かる。

 訂正が一件。10日記者会見の記事で、橋本樹明助教授と記載したが、最近橋本さんは、教授に昇進しておられた。
 謹んでお詫びすると同時に、当該部分を訂正いたします。

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2005.11.10

「はやぶさリンク」:ターゲットマーカー分離

targetmarkersum

 1024×1024の大きな画像はこちら


 もう一つ画像を。はやぶさから放出されたターゲットマーカーの映像です。小惑星イトカワからの高度はおよそ500m。
Photo by JAXA/ISAS

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「はやぶさリンク」:推進剤残量に関する現状

hayabusashadow-s
 512×512の大きな画像はこちら

 記者会見後のぶら下がりで得た情報です。ソースは橋本教授。

 はやぶさは、イオンエンジンで帰還するため、帰還時も太陽電池パドルを太陽に向け、イオンエンジンを所定の推力方向に向ける姿勢制御を行わざるを得ない。帰還時のための推進剤が確保できるかどうかが、問題となっている。現状では、「ここまで来て、着陸とサンプル採集を確実にやらずしてどうする」(松浦注:はやぶさには「サンプル採集技術を確立する」という目的もある。サンプルがよしんば地球に持ち帰れないとしても、採集に成功すれば技術的な実証はできたことになる)ということで、十分な推進剤残量が得られれば、という前提で探査を進めている(松浦注:推進剤の残量について楽観的な見積もりを採用しているのだろう)。

 現状でリアクション・ホイールが一つ生きているので、とりあえずスラスターによる制御をかけなくても姿勢は安定している。運用時以外は姿勢が5度程度ずれても構わないということにして、噴射回数を抑制している。降下時やデータダウンロード時は、ハイゲインアンテナを地球にきちんと指向しなくてはならない。ハイゲインアンテナのビームは1度でもずれると通信が難しくなるので制御が必須。この部分で現状、推進剤を消費している。

 帰還時は、イオンエンジンの推力方向のずれをどこまで許容できるかが問題となる。数度程度のずれなら軌道計画が頑張ることで許容できそうだが、これが10度、20度となると地球への帰還が困難になる。12月のイトカワ離脱以降、安全な帰還に向けた詳細検討を詰めて行かなくてはならない。
 

 写真は高度180mで撮影した、イトカワにうつるはやぶさの影。Photo by JAXA ISAS

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「はやぶさリンク」:11月10日午後5時からの記者会見詳報

 本日午後からの記者会見速報です。9日に事実上のリハーサル降下を実施し、70mまで降下しました。4日のトラブルに対する対策結果は良好。この時にターゲットマーカーを一つ放出しました。このマーカーはイトカワに着地していません。

 4日のトラブルの詳細も公表されました。はやぶさの姿勢が乱れたのではなく、スラスターによる姿勢制御で横方向に余分な推力が加わり、イトカワとはやぶさの相対位置が横方向にずれていったのです。

 記者会見出席者は、井上一JAXA/ISAS本部長、川口淳一郎教授(プロジェクト・マネージャー)、久保田孝助教授(「ミネルヴァ」ローバー担当) 橋本樹明教授(自律航法系担当)

 発表内容の概要。JASAリリースは、「はやぶさ」のリハーサル降下再試験について(11月10日付け)。

・ 11月9日に、降下試験を実施。70mまで降下した。

 この時の降下試験は、広報カメラの画像処理閾値を変えたことの効果の確認、および、スラスター姿勢制御による横方向へのずれを地上からのコマンドで補正できるかを確認した。

 まず9日午前10時にイトカワから70mのところまで降下の後、50cm/sで急速上昇、午後1時には再度500mまで降下し、ターゲットマーカーを放出して、ターゲットマーカーを使った航法機能の確認を実施。

 第二回の着陸を予定していたウーメラ域を高精細で撮影。その結果、ウーメラ域は予想以上に岩石が多く、タッチダウンには不適と判断。
 第一回着陸予定地ミューゼス海を高精細度で撮影。こちらも岩石が多いが、ミッション策定時に予想したリスクの範囲内に収まると判断。イトカワで唯一の着陸可能地点であると判断。


今後の予定。
・ 11月12日、リハーサル降下を実施。ウーメラ域上空を通過して、ミューゼス海に緩降下して「ミネルヴァ」ローバーを投下。
・11月19日に、署名入りターゲットマーカーを用いてミューゼス海に着陸、サンプル採集。ミューゼス海。
・11月25日 第二回サンプル採集。実施するかどうかは第一回の結果を見て判断。

 以下、質疑応答です。質問者など聴き取れなかった部分は空白になっています。申し訳ありません。

問い:NHK トラブル対処法を詳しく知りたい。

答え:橋本 カメラ画像を二値化して計算しているが、その閾値(スレッショルド)をチューニングした。
 スラスターで姿勢制御をする場合は微小な推力が並進方向に発生してしまう。得られたイトカワ画像から探査機のイトカワに対する相対位置——横方向のずれ——を検出し、地上からのコマンドで並進推力を補正する

問い: ターゲットマーカーはイトカワに落とす意志があったのか。

答え:川口 まず、2年半の宇宙航行を経て、ターゲットマーカーがきちんと分離するかどうかを確かめる必要があった。落ちればいいと思ってはいたが、落とすことはできなかった。

問い: NASAの地上局利用にあたって交渉中ということだが、19日には局を確保できるのか。

川口 NASAのアンテナを確保したとしても、アンテナと相模原を確実に結ぶことができるかという問題がある。NASAのアンテナを2機確保して、バックアップも含め2回線用意するということも考えられる。今のところなんとかなるのではないかと考えている。

問い: 一回余計に降下しているわけだが、スラスター燃料残量は大丈夫なのか。もう一度リハーサルを行う意味はどこにあるのか。

答え:川口 9日は誘導航法機能の確認を優先したものだった。これは燃料が持つかどうかのリスクを冒しても、是非とも実施しなければならないと考えた。燃料をけちって不十分な状況で本番を迎えるよりは、ここで試験を行うほうがいいと判断した。

問い: 9日のターゲットマーカーは何m上空で分離したのか。12日のリハーサルの目的は。本番の着陸は日本時間では何時になるか。

答え:川口 ターゲットマーカー分離の高度約500m。12日のリハーサルは、実際のサンプリングを行う経路を完全にトレースすることと、近距離レーザー高度計の動作を確認する。レーザー高度計は4つのビームを出しているが、これらがすべて一致した値を出力を出すかを確認する。これまではイトカワに対する相対的な傾斜があったので4ビーム同時に出力を得ることができなかった。
 12日の時刻はNASA局を確保できるかどうかで決まるので、現在検討中だ。臼田局からの管制をで実施するなら午後3時、米国局からの管制で行う場合も午後4時とか、そんな時間になると思う。

問い:時事通信 ターゲットマーカーがイトカワに降りなかった理由は。

答え:川口 ターゲットマーカーは小惑星イトカワが背景に大きく写っている状況で分離したかったが、臼田局からの可視時間内の運用は大変あわただしいものだった。交信に必要な遅延時間もあり、やや高い高度の500mで分離してしまった。少々残念だ。

問い:共同通信 はやぶさの影がイトカワに映っているのは何mのところで撮影したのか。ターゲットマーカーの数は。12日ミネルヴァ投下時刻は。

答え:川口 正確ではないかもしれないが100mぐらい。ターゲットマーカーは3つ搭載している。投下時刻は午後3時から4時あたり。(後で高度180mと発表があった)

問い:毎日新聞 ミネルヴァ投下時の高度は。地上からのコマンドで横方向のずれを制御するということだが、時差がある地上からのコマンドではやぶさの位置をきちんと補正することが可能なのか。

答え:久保田助教授 当初30mを予定していたが、重力を考慮すると60〜70mでも大丈夫ということになった。この当たりが目標になる。

答え:川口 あまり頻度高く制御はできないが、地上からの補助は高度数kmとやや離れたとことで使うものなの十分に実施可能。ホイールが故障している故のやむを得ない処置だ。

問い:日経サイエンス タッチダウン時の降下速度はどれほどか。9日の降下では50cm/sというかなり速いの速度ではやぶさを運用しているが。また、タッチダウンに当たって、イトカワの重力の影響はあるのか。

答え:川口 本番では3〜5cm/s。イトカワの重力の影響はある。無視できない。しかし、数百mまで降りる段階では、あまり重力は関係ない。最後のタッチダウン時には関係してくる。

問い:日経サイエンス ウーメラ域からの資料採集を諦めるとどんな損失があるのか。

答え:川口 サイエンスの重大問題だ。不正確な答えになるといけないので、後で回答する。

後からの追加で、今回は出席していない藤原教授のコメントがでた 「二ヵ所からサンプルを採って違いがあるか無いかを確認したかった。しかし着地点は様々な場所からの粒子が集まっているので、イトカワを代表するサンプルが得られると判断している。」

問い:読売新聞 放出されたターゲットマーカーはどうなったのか。

答え:川口 イトカワ周回軌道には入っていないことが分かっている。離れて行ったと判断しているが、どこにあるかは計算していない。

問い:共同通信 画像処理のしきい値を下げたというのはどういうことか。

問い:橋本 広報カメラは8ビットモノクロ、256階調で画像を取得する。4日の段階では64が閾値だった。それ以上明るく、かつその領域が繋がっていればそれがイトカワだと判断していた。ところが意外にイトカワが暗く、暗い領域が大きく繋がっていた。このため4日は、はやぶさは、どこがイトカワなのかを判断できなくなってしまった。
 そこで閾値を16にまで落とした。これで明るい領域が大きく得られるようになった。

問い:テレビ朝日 4日と現在で、ミッション成功に向けた準備は進んだと言えるのか。

答え:川口 技術的な確認は進んだ。12日は確実にできるかといえば、それはまた技術的ジャンプだ。まだまだ一つも二つも山がある。

問い:NHK ミューゼス海の着地点Aは、当初の着地条件を満たしていないけれども着陸するということか。

答え:川口 これぐらいのことはあるだろうと、当初は予想していた。それでも、着地地点画像には相当数の岩石が写っている。だからかなりの確率に岩石の上にタッチダウンしてしまう可能性はある。障害物回避機能が働くかどうかは、またリスクの範疇である。

問い:週刊ポスト イトカワの影が写った画像が得られた時の気分は。

答え:川口 探査機の形が写った写真が得られるとは思っていなかったので単純に喜んだ。4日の降下の際も影の映った写真が得られていたのだけれども、よりよい画像が得られた。速くwebにアップしようとするメンバーを制するのが大変だった(笑)。

問い:宇宙作家クラブ 降下時に使用するアンテナと通信速度は。

答え:川口 ハイゲインアンテナで監視し続ける。通信速度は2Kbps。

以上です。

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「はやぶさリンク」:午後5時からの記者会見速報

 本日午後からの記者会見速報です。9日に事実上のリハーサル降下を実施し、約70mまで降下しました。4日のトラブルに対する対策結果は良好。この時にターゲットマーカーを一つ放出しました。このマーカーはイトカワに着地していません。


・ 11月9日に、降下試験を実施。約70mまで降下した。

今後の予定。
・ 11月12日、リハーサル降下を実施。ウーメラ域上空を通過して、ミューゼス海に緩降下して「ミネルヴァ」ローバーを投下。
・11月19日に、署名入りターゲットマーカーを用いてミューゼス海に着陸、サンプル採集。ミューゼス海。
・11月25日 第二回サンプル採集。実施するかどうかは第一回の結果を見て判断。

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2005.11.09

「はやぶさリンク」:次の発表は明日10日の午後

 日本惑星協会のメールマガジン「TIPS/Jメール」最新号(9日午前中配信)に、JAXAの的川泰宣執行役が「10日の午後あたりには、4日の詳しい状況や当面のスケジュールについて、ご報告ができるでしょう。」と書いている。

 次の大きな発表は、明日10日午後の可能性が高い。内容は4日の状況詳細と、今後のスケジュールだ。

 

その後「はやぶさ」チームは、4日の結果を徹底的に分析し、その時に起きたことについては完璧に状況の把握ができました。そこからはじき出されてきた対策には、全神経を集中させて乗り切らなければならない実践的な課題があります。チームは一丸となって、リハーサルに再挑戦するための予備テスト、予備チェックの作業に余念がありません。

 ということなので、はやぶさの現状は、4日に起きた問題点の解析と対策立案は終了、ただし対策を実行可能かどうかの予備テストが必要というところにある。
 明日発表というスケジュールから考えると、9日昼現在、臼田局からの可視を使って、はやぶさ本体を使った予備テストを行っているのではないだろうか。

 その結果を今晩まとめて、明日午前中に発表資料を起草、というスケジュールになっているのではないかと予想する。

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「はやぶさリンク」:着地点に名前を

 「はやぶさ」の着地点に名前をつけよう——「はやぶさ」着陸点地名応募フォームがオープンしている。

 はやぶさの着陸リハーサル地点、2回の着陸点に、名前を付けようというイベントだ。

 私が相模原で聞いた、某関係者の話「3つありますからね。『ヒ』『デ』『オ』というのはどうでしょうか」。小惑星イトカワのヒ・デ・オ、イトカワヒデオ…

 宇宙科学は貴方のセンスを必要としている。関係者が無茶な名前をつけるのを是非とも阻止してほしい。

 ちなみに私が思い浮かぶのは「ブー・フー・ウー」、「ヤン坊、ニン坊、トン坊」、「美空ひばり、江利チエミ、雪村イズミ」、「園まり、中尾ミエ、伊東ゆかり」——私は応募しないほうがよさそうだ。

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2005.11.08

「はやぶさリンク」:DSNを使う

 はやぶさのニュースが出てこない時は今日のはやぶさを毎日チェックすることで、はやぶさの動きが見えてくる。

 降下リハーサルを中止して上昇したはやぶさは、一端は小惑星イトカワから9.6kmの位置まで離れたが、11月6日には、イトカワから7.5kmのホームポジションに復帰した。

 11月4日の降下リハーサル時、はやぶさはNASAの深宇宙ネットワーク(DSN)を利用して運用したが、途中約1時間ほど、NASAによるヴォイジャー探査機の運用が割り込んだ。
 これは、はやぶさ運用チームにとって、かなりストレスのかかる事態だったようだ。ヴォイジャーの運用は、直前になって突然割り込んできた。しかも、その時間帯、はやぶさは降下を中止して上昇している最中だったのだ。何が起こるか分からない上昇中、相模原の運用チームは1時間に渡って、はやぶさと交信できなかったのである。
 川口教授の記者会見によれば、はやぶさは、秒速50cmほどの速度で上昇したらしい。1時間では、1.8kmも上昇するということになる。その間の姿勢は崩れないか、はやぶさのカメラがイトカワを見失うことはないか——できれば連続して通信を確保したかったところである。

 もともとDSNはNASAの探査機運用が優先で、アメリカ以外の探査機はアメリカの探査機が使っていない時間を使わせて貰っているに過ぎない。

 そしてアメリカは多数の探査機を他惑星、惑星間空間に送っており、その運用はかなり過密である。
 まず、火星に4機の探査機がいる。火星周回軌道上の「マーズ・グローバル・サーベイヤー」と「2001マーズ・オデッセイ」、そして火星表面のローバー「スピリット」と「オポチュニティ」。今年8月には次の探査機「マーズ・リコナイサンス・オービター」が打ち上げられ、今現在、火星に向かっている最中だ。
 土星周回軌道には「カッシーニ」がいる。水星探査機「メッセンジャー」はスイングバイを繰り返して水星へ向かう途中だ。
 太陽系外には、2機のヴォイジャー探査機がいて、打ち上げから28年を経た現在も観測データを送ってきている。
 太陽系を南北に回る極軌道には太陽探査機「ユリシーズ」がいる。彗星のサンプルを採集した「スターダスト」探査機は、現在地球への帰途にある。
 今年7月にテンペル1彗星に銅の弾丸を撃ち込み、彗星の組成解析に成功した探査機「ディープインパクト」は、2007年末の地球フライバイを目指した延長ミッションを続けている。

 これだけで現在運用中の探査機の数は12機となる。日本は欧州と共に、これらNASAの探査機運用の隙間時間を借りるしかない。
 理想を言えば、日本は地球の反対側である、南米に独自の地上局を持つべきだ。南米局があれば、はやぶさの運用にかかっている制約はかなり緩和されたはずである。

 日本が惑星間に送った探査機は、過去20年で4機だ。1985年にハレー彗星に送った、「さきがけ」「すいせい」、火星を目指した「のぞみ」、そしてはやぶさだ。
 平均5年に1機というテンポをどう考えるべきか。12機を同時運用するアメリカとの差をどう考えるべきか。

 もちろん予算が少ないのは間違いないところだ。しかし単に予算を増やしても、現状では過労で倒れる者が増えるだけだろう。理学工学ともに、少数精鋭と言えば聞こえは良いが、あまりに人材の層が薄い。

 その少数精鋭のチームは、現在、再度降下を行うための準備を進めているはずだ。そろそろ具体的な方策や、11月4日に取得した画像などが出てくるのではないだろうか。

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2005.11.07

「はやぶさリンク」カテゴリー新設、サイドバーにリンク掲載

 「はやぶさ」関連でページデザインを2点変更した。

 「はやぶさリンク」カテゴリーを新設、過去に当ページに掲載した関連記事をまとめて読めるようにした。

 右サイドバーのトップに、「はやぶさ」関連リンクを掲載した。当面、少なくとも「はやぶさ」が小惑星イトカワから帰還の途につくまでは、この位置に掲載する。

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楽天の広告メールに怒る

 まずはジャブを。

 鈴木慎一さんのところで知った、2ちゃんねるの投稿。

 ・ 漏れは見てしまった…
 ・羽田ラウンジローゼンメイデン事件の詳細

 今年の7月頃、羽田空港JAL・ダイヤモンドプレミアムラウンジで麻生太郎現外務大臣(当時は総務大臣)が 、ローゼンメイデンのコミックスを読んでいたという目撃情報だ。どこまで本当か分からないが、あのいかつい容貌と切り返しの速い弁舌が、どうにもゴシックロリータの人形を巡るファンタジーと思い切りギャップを感じさせるじゃないか。ビッグコミックあたりなら分からないでもないけれど、よりによってローゼンメイデン(ITmediaのニュース)

 ただ、麻生ホームページの太郎は考える(口述筆記をしているらしき文体だ)を読むと、「それまで悪名の高かった東京新宿の歌舞伎町、渋谷等の盛り場からいわゆる「マジヤバイ」のが消えて健全とはいえませんが「軽くヤバイ」程度に治安が向上したんです。」という言葉遣いをしている。意外とこの人は、オタク感性が豊富なのかも知れない。


 そして今日の本題。

 過日、楽天で買い物をした。それ自身はトラブルもなく、買った物も無事に届いた。

 問題はその後だ。頼んでもいない楽天からの広告メールが次から次へと届くようになった。

 実は楽天からの広告メール攻撃を受けたのはこれで二度目だ。前回も買い物の後、やたらと広告メールが届くようになったので、すべて送信を解除した。こちらの意志を向こうに伝え、広告メールを停止する手続きをしたにも関わらず、再度買い物をしたら、広告メールが再開したのである。

 再度配信停止の手続きをして、やっと楽天からの広告メール爆撃は停止した。

 問題は2点。
1)eメールマーケティングでは、「カスタマーに極力選択肢を与えること。カスタマーが積極的に望まないメールを送付しないこと」が基本とされる。広告メールについては、デフォルトが「送付しない」となったラジオボタンで受け取るか否かをカスタマーに選択させるのが普通だ。
 にも関わらず、楽天は有無を言わさず広告メールを送付しており、不要と感じるカスタマーに、配信停止という手間をかけさせている。

2)一端配信停止を申し込み、意志を表示したにも関わらず、買い物をしたことで広告メール送付を再開している。いらないとわざわざ意思表示をしたにも関わらず、なぜまたもメールを送ってくるのか。

 私には、どうにも広告メールを巡る楽天の態度は、行儀が悪いと思われる。ネットベンチャーの成功者の割には、ネットの使い方が傲慢ではないだろうか。「必要ならばこっちからアクセスするから、うるさくあれこれ言ってくるんじゃない」というのが、ネット通販の良いところだと思っていたのだが、違うのだろうか。

 困ったことに楽天の通販は非常に便利であり、「rakuten.co.jp」からのメールをすべてメーラーのゴミ箱直行にするわけにはいかない。だからといって、爆撃のように広告メールをぽんぽん送られるのは迷惑きわまりない。

 ともあれ、今回の件で、楽天に対する私の心証は、一気に悪化した。もちろん楽天にとっては痛くもかゆくもないだろうか、私は今後、折に触れて楽天の事を「行儀悪いネット企業」として思い出すだろう。

 楽天としては、そのようなユーザーが増えることよりも、広告メール爆撃のほうが効果的であると判断しているのだろうか。

 私が読んだ中では一番よく書けていたEメールマーケティングの解説書。5年前の本なのですでに絶版になっており、アマゾンのマーケットプレイスでは、思い切り悲しい値段が付いている(80円…)。が、同書に書かれている方法論は今でも有効だろう。上記「カスタマーに極力選択肢を与えること。カスタマーが積極的に望まないメールを送付しないこと」という基本戦略は、この本で知った。

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2005.11.06

「はやぶさリンク」:平田成さんのコメントについて

 11月3日:サイクルショーを見物するを追加した。

 「はやぶさ」の運用チームはこの週末、多分タッチダウンに向けた降下手順の改良を行っているのだろう。土曜日にはリハーサル時に撮影した画像がダウンロードされているはず。週明けにはイトカワ表面の詳細画像が出てくるかも知れない。高度数百mから見た、見知らぬ大地…ではないな。小地というのも妙、見知らぬ土地といったところか。

 「はやぶさリンク」:大きな画像が消えた理由(?)に、神戸大学の平田成さんのコメントが付いた。消えた画像について「もう一度データギャラリーなりなんなりの別の形で元の画像を一般に公開できるようにします.」とのこと。「しかしそれでも実際にデータを取得したのはわれわれのチームである以上,較正や解析の方法について一番熟知している「はやぶさ」チームメンバーです」という。

 平田さん、どうもコメントありがとうございます。

 ここで問題になっているのは、どこまできれいな画像を出すかというだけではない。どのように、より多くの人々に「はやぶさ」への興味を抱かせるかという一般向け広報の問題だ。

 野尻ボードには、野尻抱介さんが、いま提供すべきは学術情報ではなく、共感です。できるだけリアルタイムな状況で、中の人といっしょになって苦楽を味わい、最後には「ばんざーい」とやれることです。と投稿している。

 その通りだと思う。

 「はやぶさ」広報に必要なのは「事実」、そして「顔」だ。人は人を通じて事実に共感する。

 平田さんのような第一線の方々が、もっと自分の言葉で「はやぶさ」の今を語って欲しいと思う。「これから二日連続の運用です」と一言語るだけで、我々は探査機運用が容易ならざるということと、同時にそれは連続勤務をものともしない楽しみであるということを感じることができるのだから。

 情報は、「誰が語るか」で意味合いを変える。私のような部外者がまとめる情報と、平田さんのような当事者が語る情報は、例え内容が同じであっても違う意味を持つ。

 現在「はやぶさ」は、地球から2億9000万km離れた場所にいる。そこは人類の最前線である。つまり、地球に生まれた生物の最前線だ。
 そんな場所に、我々が自ら開発した500kgほどの探査機がいて、今まさに前代未聞のミッションに挑もうとしている。アメリカもやっていない、旧ソ連もやっていない。欧州も中国もインドもやっていない。
 小惑星サンプル採集は、そんな仕事なのだ。

 これがいかに途方もない、とてつもないことか。歯の根がキリキリ音を立てるほどの恐怖であると同時に、血が逆流するほどの愉悦でもある。しかも理性的かつ冷静でなければなし得ないタスクだ。

 そのことを多くの人々に知って欲しいと思うのである。

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2005.11.05

宣伝:11月9日(水曜日)、新宿・ロフトプラスワンでトークライブ「なぞなぞ宇宙講座2」が開催されます

 今回、ゲストにあの萩尾望都さんが参加します。野田司令(実は大ファン)は萩尾漫画の何をどう解説するのか?八谷、藤谷の突っ込みは如何に?

身近にサイエンス
「なぞなぞ宇宙講座2」
漫画の内のSF設定とは?
【出演】野田篤司(宇宙機エンジニア)、八谷和彦(メディアアーティスト)、藤谷文子(作家/女優)
【Guest】萩尾望都(漫画家)

11月9日(水曜日)
Open18:30/Start19:30

ロフトプラスワン :新宿・歌舞伎町

\2000(飲食別)

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2005.11.04

「はやぶさリンク」:11/4降下リハーサル中止の記者会見

 本日4日の小惑星イトカワへの降下リハーサルは、高度700m付近で、自律航法装置のデータに異常が発生したために中止された。

 ・「はやぶさ」のリハーサル降下試験の結果について:11月4日

 また、3日付けで、マイクロローバー「ミネルヴァ」の解説がアップされている。

ミネルバで調べるイトカワの表面


 午前4時17分に高度3.5kmから降下開始。高度700m付近までは正常だった。しかし——

 姿勢制御と、降下中の高度と速度の制御は、高度約700m付近まで順調に行われましたが、自律航法機能の航法誤差が許容値を逸脱したことを検出したため、日本時間12時30分に地上からの指令で以降の試験を中止し、続いて上昇指令を送信しました(リリースより)。

 「自律航法機能の航法誤差が許容値を逸脱した」の内容は、午後4時半からの記者会見で、川口教授より説明された。以下、宇宙作家クラブニュース掲示板にアップした内容に一部を補い、説明を追加して掲載する。

川口
 リハーサルの結果です(発表文読む)。

質疑応答

共同通信:自律航法機能と誤差の許容範囲を超えたということを説明して欲しい。

川口:はやぶさはイトカワの明るさの中心を計算して、そこに向かって降下していく。同時に直下のイトカワ地表までの距離も計測し、その両方から判断して降りていく。
 イトカワは複雑な形状をしており、周期12時間で回っている。このため近づいていくと光の当たり方から、明るさの中心がきちんと判断できなかったのではないかと考えている。例えば明るい部分と暗い部分がはやぶさから見ると、イトカワが2つみっつの複数に見えてしまった可能性がある。
 現状でそれが原因だとは断定できないが、テレメトリーでは取得画像のどこに向けて降下していけばいいかを判定できなくなったことは判明している。こういうことが起きるとレーザー高度計は、明るさの中心をターゲットするようになっているので、どこが明るさの中心になるかが分からなくなると、どこの高度を測ればいいか分からなくなり、高度を測定できなくなる。

時事通信:明るさの中心を見るというのは

川口:ある一定以上の明るさの面積の重心に向かうということ。明るい領域が一つなら問題ないが、複数ならどこに向かうかは難しくなる。明るい領域が2ヵ所ぐらいなら対応できるようになっているが、明暗がまだらになると対応しようがない。現在NASAの地球局経由で機上のデータレコーダーに蓄積したデータをダウンロードする準備を進めている。それを使って対策を検討する。

     はやぶさは現在、電波が届くのに16分かかる場所にいる。何かを受信して、コマンドを送ってそれがはやぶさに届くまで、電波が往復で30分以上。これでは、遠隔操作ですべてをこなすことはできない。そこではやぶさには自らセンサーで取得したデータを解釈し、どのように動作するかを自ら決める機能——自律航法機能が搭載されている。  自律といってもはやぶさが意志を持っているわけではなく、周囲の状況から自らの行動を導出するアルゴリズムを搭載してあるということだ。

     降下中のはやぶさは、イトカワを撮影し続ける。得られたカメラ画像から、ある程度以上明るい領域を抽出し、その領域の中心、正確には面積重心へと自らを導いていく。
     面積重心というのは、抽出した領域と同じ形状にボール紙を切り抜いて、立てた指の上に載せて釣り合う位置、と思えばいい。もちろん数学的に計算で求めることができる。

     同時にはやぶさは、レーザー光線を使ったレーダーで、はやぶさ地表からの距離を計測し続ける。イトカワに細いレーザー光線を照射し、反射して光が帰ってくるまでの極微小な時間差を測定して距離を知るという仕組みだ。レーザー光線を、イトカワにきちんと向けるために、レーザー・レーダー(ライダーという)は、カメラ画像で得られた面積重心のデータを使用する。

     カメラ画像→明るい領域を抽出→重心を計測する→重心の位置に基づいてレーザーの照射方向を決める。

    というわけだ。

     イトカワ地表まで、700mのところまで降りたときに何が起きたのか。
     川口教授によれば、イトカワの地表が複雑だったために、カメラ画像から抽出した明るい領域の形状が、予想以上に複雑だったらしい。
     例えば、明るいところがカメラ視野の両端に、黒いところが中央にあると、抽出した領域は視野の両端に2つに分かれることになる。

     はやぶさに搭載したアルゴリズムは明るい領域が二つぐらいに分裂しても対応できるように設計されていた。しかし、例えば揺れる水面のように明るい領域と暗い領域が入り交じった画像を撮影したら——はやぶさは、自分がどこに向かって降下していけばいいのかを算出することができなくなる。


日経新聞:帰還への影響はあるか。推進剤は持つのか。

川口:明日はまず、ホームポジションにはやぶさを戻す操作を行う。明日の晩に対策会議を開く。対策には二、三日かかるだろう。日程的には12月にイトカワを離れなくてはならないというのがぎりぎりだ。
 リハーサルは一回増やすぐらいなら、推進剤は持つだろうと考えている。NASAの地上局予約はなかなか予定を動かせないのだが、第1回については動かせるという条件になっている。
 リハーサルは再度行いたいが、できるかどうかはまだはっきりとは言える状況ではない。

毎日新聞 装置側に問題が出た可能性はないか。

川口:今のところ機器については問題ないと考えている。しかし現状ですべてを把握しているわけではない。とはいえ上昇時に正常な信号を返してきているので問題はないだろう。

東京事務所からの質問 トラブルが発生した時刻は。高度700mの時点か。

川口 その瞬間ははっきりしている。上昇指令を出したのが12時30分で、決断には10分ほどかかったので問題発生は12時20分頃だったと思う。

東京事務所からの質問 オンボードの危機回避機能はないのか。

川口 機能はある。が、オンボード機能が判断に手間取っている時には、地上からコマンドを送ることができる。今回はコマンドを地球から送信した。

東京事務所からの質問 臼田の後はNASA局で追跡しているのか。

川口 今回は臼田の追跡終了と、NASA局の追跡開始の間に、ギャップがある。NASAが突然ヴォイジャーの運用をしたいと言い出して、1時間ほどがキャンセルとなった。

     NASAはDSN(Deep Space Network:新宇宙ネットワーク)という、惑星間空間に出て行く探査機の運用システムを持っている。オーストラリアのキャンベラ、アメリカのゴールドストーン、そしてスペインのマドリッドの3ヵ所に巨大なパラボラアンテナを設置、24時間いつでも、どの方向にいる探査機とも交信できるというシステムだ。  DSNは賃貸しでアメリカ以外の国が利用することもできる。しかし、アメリカの探査機が優先なので、どうしても必要な時に使えないということもある。

JAXA東京事務所からの質問 最低何日空ける必要があるのか。

川口 シミュレーションと対策の時間が必要。それと体力の問題がある。今回も昨日からぶっつづけでオペレーションを行っている。実際問題として二三日中に再度リハーサルを行うのは難しいと考えている。

読売新聞 今回トラブルは想定範囲内なのか。どこまで実際に降下したのか。リハーサル兼第一回になった場合、ミネルヴァは落とすことができるのか。

川口 多分に予想の範囲内だ。また実際には電波が到達するタイムラグがあるので、700mからさらに降りていると思う。データをダウンロードして確認する必要がある。リハーサルと第一回タッチダウンを同時に行う場合も、ミネルヴァの投下は不可能ではない。ただし降下シーケンスは複雑になる。というのは投下に当たってイトカワの自転をキャンセルする方向に投下する必要があるため。

月刊天文 自律機能で降下目標を変えることはできるのだろうか。あるいは、地上からの判断でできるのだろうか。

川口 最後の画像を撮影する高度500mのところで、GO /NO GO判断を行う。そこまでは地上で判断できるが、そこから先は機上の自律航法機能による判断となる。搭載ソフトウエアを全面的に改修して、地上から新ソフトウエアを送るというのは難しいと考えている。今ある搭載ソフトウエアの範囲で、パラメーターを工夫することにより、継続降下ができるようにすることになるだろう。

月刊天文 もしあと2回しか降下できなくなったら、リハーサルを飛ばすのか、本番を一回諦めるのか。

川口 要検討事項です。考えさせて下さい。

NHK 表面がごつごつしているということは、光の反射に影響したのか。レーザーレンジファインダーは動作したのか。ライダーが地表との距離を測れなくなった理由はどこにあるのか。

川口 イトカワ固有の形状が原因だろう。レーザーレンジファインダーの動作は解析中。ライダーはおそらく、探査機が姿勢を変えてしまったので、レーザービームがイトカワから外れたということではないかと推測している。

東京新聞 12月の何日にイトカワを離れる必要があるのか。

川口 何日と決まっているわけではない。イオンエンジンを使って帰還するならば、どの期間にイトカワを出発するかが決まる。12月のある期間中にイトカワを出発する必要がある。

NHK 降下に当たっての制約条件は。

川口 まず、臼田からの可視でGO /NO GO判断を行えるということ。イトカワは約12時間で自転しているので、これで降りる場所が制約される。次がNASA地上局を望む時間帯に使えるかどうか。

NHK 今回のことはリアクションホイール故障と関係あるのか。

川口 あります。姿勢制御に制約が生じているわけですから。どこを向くにしてもホイールが生きていれば望む方向に向けることができるけれども、ジェットではどうしても荒い姿勢制御になってしまう。

     リアクションホイールの故障がじわじわと効いているという印象だ。  はやぶさは3基のリアクションホイールを搭載している。通常の衛星は、予備も含めて4基のリアクションホイールを搭載している。姿勢制御が命であるハッブル宇宙望遠鏡などは、6基を搭載し、そのどれでも3基が生きていれば姿勢制御が可能という設計にしている。

     はやぶさの場合、ガスジェットによる姿勢制御に加えて、イオンエンジンによる姿勢の変更がある程度可能ということで、探査機全体で冗長性を確保するという方針で、リアクションホイールを1基減らした。設計時に非常にきびしい重量制限があったことの反映である。


     「貧すれば鈍する」だ。ぎりぎりの条件でやむを得ず選択した限界設計が次々にトラブルを連鎖するという、難しい状況になっている。それを運用ノウハウと、関係者の頑張りでどこまで補えるのか。

 ともあれ、勝負は11月一杯だ。今月末にはでサンプル採集についての結果が出る。

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「はやぶさリンク」:タッチダウン・リハーサルのライブ中継

 午後5時22分追記

 リハーサル中止について、午後4時半からの記者会見の要旨を宇宙作家クラブニュース掲示板にアップした。

 http://www.sacj.org/openbbs/

 おってこちらにもなにかアップします。

 色々書かねばならないことがあるのだが、取り急ぎ。

 タッチダウンリハーサルのインターネット・ライブ中継が始まっている。

 ・http://jaxa.tv/

 ストリーミングができない人はこちらのリアルタイム交信blogをどうぞ。

 ・Hayabusa Live

 午前8時45分現在、高度1700mだ。

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2005.11.03

サイクルショーを見物する

 朝から、今日が初日の東京国際自転車展へ。場所は東京ビッグサイト。

 今年は、即売会がなく、ブランド系ロードバイクの展示が軒並みサイクルモード2005に流れたとかで、だいぶツヤ消しの展示ということだが、私には関係ない。私が見たいのは、有象無象の様々な新技術だ。自転車は、個人レベルでも作ることができるので、様々な試行錯誤がやりやすい。個人の創意による技術革新が望めるのだ。

 それでも通常の自転車は長い歴史の中で熟成され、そうそう簡単に革新技術などは出てこない(マウンテンバイクは実に巨大なパラダイムシフトだった)。だが、折り畳み自転車やリカンベント、タンデム、電動アシストといった分野では、まだまだできることが一杯ある。
 ブランド自転車のニューモデルはどうでもいい。小さな事業者から出てくる創意工夫や新技術が楽しいのだ。

 で、何を見てきたか。以下は主に写真にて。



2WDbikeAl


 村山コーポレーションの二輪駆動自転車。開発は日本ロボティクス。リアの車軸からチェーンでフロントに動力を引き出してくる。フロントへ動力を伝えるジョイントがキモという。ステアリングに伴いタイヤにトルクがかかるトルクステアは、車軸にラチェットを噛ませて逃げる。

 試乗したが、確かに通常のリア駆動のみの自転車と異なる安定した走りをする。ペダルが重いということもない。エネルギーロスは最小限に抑えられているようだ。二輪駆動化による重量増加は2kg弱といったところとのこと。運転時の安定性が良いので、ママチャリのような実用車への応用も有望ではないか。

 この自転車、楽天で買うことができる。3万9800円という値段は、まあ衝動買いの範囲内だろう。置き場所さえあれば買って遊びたいところ。

 日本ロボティクスは二輪駆動のカブも試作している。こちらも面白そうだ。




tricycle


 同じく村山コーポレーションの前輪駆動三輪リカンベント。そう、後ろ二輪をステアさせるならば、安定性の問題も解決するのだよなあ。こいつはフレームをマグネシウム合金で作っている。より構造を簡素化した後継機を開発しているとのこと。




kurumaisu


 今回からスポーツ車椅子の展示も始まった。これは長距離競技用の車椅子。フロントを駆動するペダルを付ければそれだけで飛ばせるリカンベントになりそうだ。以前ディスカバリーチャンネルで、ダウンヒル用オフロード車椅子というのを見て、びっくりしたものだが、ここまでくるとハンディキャップを克服するというのとは全く別の、より本質的に人間の能力を拡張する乗り物になっているような気がする。




trirecumbent


 フロント二輪独立懸架の自転車を販売しているランドウォーカーのブースにあった。フロント二輪、しかもモーターアシスト付きのリカンベント。フロントを二輪にすると低速時及びコーナーリング時の姿勢が安定するという。ブースでは開発者が、「現在特許出願中、リアデフ不要のリア三輪の自転車」について語っていた。




reardouble


 この写真だけではわからないが、実はタンデム自転車。タンデム自転車は、都道府県の条例で規制されており、現在長野県でのみ公道走行が認められている。ところがリアを二輪にして三輪自転車にすると、東京都など七都県で公道走行が可能になる。で、この無理くりのリア二輪というわけ。三輪タンデムを普及させようという趣旨のトライデムプロジェクトという運動も始まっている。
 出展は紀洋産業




americanchopper


 バイクのアメリカン・チョッパーもそうだが、どうしてアメリカンな連中はこう装飾的な方向に走るかねえ。今回の展示で一番バカだと思ったチョッパー。このクランク位置だと、そもそも乗ることすらできない。




SDVrecum


 直線に脚を踏み込むことで、人体から絞り出すパワーを増やそうというSDV。そのSDVを搭載したリカンベント。リカンベントとSDVの相性はいいようで、とにかく速いという。坂道でもクロスバイクくらいなら追い回せるそうだ。


 午後は、幕張メッセで開催中のモーターショーに回ったのだが、こっちはといえば、「金が回るショーは、金が回るほどに薄汚れるなあ」という印象。

 モーターショーだ。となれば見るべきはモーター。自動車でありバイクであり、そのメカニズムであるべきじゃないか。

 ところが、実際には皆、ショーモデルの前で踊るねーちゃんを見に来ているじゃないか。ぴかぴかのショーモデルはどうかといえば、床下をのぞき込めば電源ケーブルが引き込まれている。つまりこいつらは自動車じゃない。オモチャだ。

 私が見たいのはこんなもんじゃない。

 その中で、スバルブースに展示してあったスバル360が、並べて展示されていた最新のR1よりもずっと新鮮に見えたのが印象的だった。

ellica
 という訳で、モーターショーからの写真は一枚。慶應義塾大学の電気自動車「エリーカ」。こいつはすごい。大成功するか、希代のバカプロジェクトで終わるか、どっちか分からないけれども、この本気バリバリのデザインは末永く残るだろう。

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2005.11.02

「はやぶさリンク」:大きな画像が消えた理由(?)

 JAXA/ISASホームページのリリースJAXA/ISASホームページのリリースから、高分解能の大きな画像が消えてしまった。

 一度出した情報を断りなく引っ込めるのは、ネットではあまり行儀良いとはされない。

 実は私の手元にはいくつかの大きな画像がある。記者会見でCD-ROMに入れて配布したものだ。

 JAXA/ISASが、そういう不誠実なことをするなら、私が代わってアップしてやろう——というわけにもいかない。というのは、どうもこの件にはかなり複雑な事情が存在するように思えるからだ。

 記者会見の資料に掲載されたすべてのイトカワ画像には「この画像は、較正未了画像につき、科学成果論文への使用に適しません」という但し書きが付いていた。しつこいほどに「論文には使えないよ」とアピールしていた。

 つまり「はやぶさ」関連の研究者は、データを使った発見のプライオリティにかなり神経質になっている。

 その背景には、海外の一部共同研究者の行きすぎた態度もあったと聞いている。「はやぶさ」データについて、向こうのメディアに日本への断り無くしゃべってしまったのだという。

 これだけなら、「向こうさんはオープンでいいじゃないか、一方JAXA/ISASは何をやっている」ということにもなる。が、もう一つ深刻な事情が存在する。

 日本の研究者は、全く未知の天体に接近するということに場慣れしていない。

 なにしろイトカワが、日本にとって初めての“テラ・インコグニタ(未知の大陸)”だ。そこで何をどう解析すれば新しい知見が得られるのか、論文に値する発見があるのか、すべては手探りだ。しかも慢性的な人員不足。人的パワーは足りない。

 一方で海外、特にアメリカの科学者らは、何度となく未知の天体からの画像を解析した経験を持っている。そのノウハウを持ってイトカワの画像を見れば、日本の研究者よりも手際よく新たな発見をしてしまうほどだという。それは圧縮したJPEG画像でもあり得ることらしい。さらには惑星科学者の数も多い。人材豊富である。

 ここまでさんざん苦労をして、やっと目的地にたどり着き、データを入手できたのに、あっという間に他人に解析成果を横取りされるかも知れない——そのことに対して、かなり日本の研究者らは神経質になっているようなのだ。

 広報が一度出した画像を引っ込めるのだから、おそらく「はやぶさ」計画のかなり上のほうから、「大きな画像は出さないでくれ」というリクエストがあったのだろう。

 正直、情報公開はして欲しいと思う。イトカワ壁紙をホームページにアップすればいいのに、とも思う。
 しかし、複雑な事情が存在することを知ると、なかなか「何でもかんでもすぐ見せて」とは言いにくくなってしまう。

 いや、傍観者としては「見たい!」と言い続けることが重要なのは分かっているのだけれども。そして、私が考えすぎで、単にサーバー容量が足りなくなった、ぐらいのことならいいのだけれども。


 11月4日は、タッチダウンのリハーサル。イトカワ上空30mまで降下し、マイクロローバー「ミネルヴァ」と、88万人の名前を仕込んだターゲットマーカーを投下する。明日3日から、オペーレションルームは2日ぶっつづけの勤務となるそうだ。

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2005.11.01

「はやぶさリンク」:「はやぶさ」のイトカワ近傍観測の成果について

 今日の記者会見の発表がJAXAホームページにアップされた。

 ・ 「はやぶさ」のイトカワ近傍観測の成果について:11月1日

 ・「はやぶさ」のイトカワ近傍観測の成果について:11月1日
   ——宇宙科学研究本部。こちらの方が画像サイズが大きい。

 待望の高精細画像も公開された。少し研究者の方達と話したが、プロは公開されているのと同じ画像から、様々なことを読み取っている。岩塊地域の中にあるクレーター、大きな岩の割れ目、割れ目の走っている方向、地形の行程、レゴリスの中の岩の周囲の地形、地形の高低とその成因——。

 一つ説明すると、この画像の下の方、後頭部のように見える部分の中央に、明らかに周囲と色の異なる、黒い岩があるのが分かるだろうか。

 この岩は当初、光の加減で黒く見えているのだと思われていた。しかし、どの方向から撮影した画像にも黒く写っていることから、黒い岩であることが判明した。非常に目立つので、この岩を0度としてイトカワの経度は決定された。非公式にだが、この黒い岩は「グリニッジ」と呼ばれている。

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「はやぶさリンク」:午後5時からの記者会見、質疑応答

 質疑応答です。いくぶん聞き逃してしまいました。

問い:リハーサル点とA点との距離は
答え:70m程度

問い:母天体が破壊した際の破片ということだが、何億年前に起きたのか。また、そのときに一度岩石は融けたのか。
答え:年代は試料が持ち帰れれば分かるだろう。現状では不明。岩石が融けた形跡は今のところ観測されていない。

問い:イトカワは内部がすかすかなのか。
答え:大きな空隙があるのか、それとも岩石内部に軽石のような小さな空隙があるのかは不明。

問い:疑似カラー画像は実際の見た目とどの程度違うのか。
答え:僅かな違いを強調しているので、こうは見えないだろう。人間の目で見ればモノトーンの世界ではないかと考えている。

問い:小天体にしては表面が不均一というが、どのように予想していたのか。
答え:これまでに観測された小惑星では、表面の地形はのっぺりしていたので、イトカワもそのようではないかと予想していた。ところが行ってみたら違った。
 地形の不均一と、物質的な不均一が何か関係しているのかどうかはまだ分からない。これから検討していかなくてはならない。母天体から分離した時から不均一だったのかも、まだ分からない。研究者によっては2つの塊が合体したのではないかと考えている者もいるが、観測結果に基づいて検討していかなくてはならない。

問い:着地のA点とB点の距離はどんなものでしょう。
答え:経度で44度と180度と言っています。形状がいびつなので、すぐには計算できません。直接2点間を計測しているわけではないので、定規を写真に当てて計測してもらえれば(笑)。

問い:降下のスケジュール詳細を知りたい。リハーサル、タッチダウン時に撮影する画像は、科学観測用のカメラで
答え:降下開始は、およそ10時間前。上空でGO/NO GO判断は1時間半前、そこから20分から30分をかけて降下してタッチダウン。
 降下時は常に観測を続けている。観測カメラはあまり近づくとピントが合わなくなるので、ピントの合う間に画像を撮影する。本体温度がかなり上昇する可能性があり、その場合は科学観測カメラを切ることになるだろう。

問い:高度30mでホバリングの後はどうするのか。上昇時の速度は。
答え;30mでターゲットマーカーを投下し、15〜20mまで降下、その後は自由落下する。上昇速度は50〜60cm/秒を考えている。

 以上です。

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「はやぶさリンク」:午後5時からの記者会見その2

承前。記者会見の内容です。レクチャーを聴きつつとったメモです。

今後のタッチダウンについて
 
・タッチダウン条件
 誘導分散は、半径30mの誤差を許容できる地形を選ぶ。
 接近する「はやぶさ」に対する地形の傾斜が30度以内であること。「はやぶさ」は太陽電池パドルに光を受け、同時に高利得アンテナで地球との交信を行いつつ降下する。この条件を満たすため。
 なるべく長野県・臼田にある地上局からの可視時間中に実施する。
 
 着地地点は、リハーサル、A点、B点を選定。リハーサル点は「ミューゼスの海」と岩塊域の境目、A点は、レゴリスに覆われた「ミューゼスの海」。B点は岩に覆われたウーメラ域。

#位置については、JAXA/ISASのホームページで画像が公開されると思います。

 B点は岩塊が多く、適地は直径25m程度の広さしかない。高低差も7mほどある。B点への着陸はかなりきびしいので、第一回目が終わった時点で場合によっては実施を再考する。行わない可能性もあり。

・スケジュール
 11月4日、午後2時頃にリハーサル点上空30mに降下し、ターゲットマーカー、マイクロ・ローバー「ミネルヴァ」を投下する。誘導航法精度の確認と、表面レゴリスの詳細観測を実施。

 11月12日、午後3時頃。A地点に降下し、試料採取を試みる。

 11月25日、午後3時頃。B地点に降下し、試料採取を試みる。

・試料採取地点の名前を公募する。

 小規模地形なので、着陸・試料最終地点は、世界的に公認された名前とはならない。発見者としてのJAXAが、その命名を宣言する。

 申し込みは以下のホームページで行う。11月上旬に開設する。

https://ssl.tksc.jaxa.jp/hayabusa/

 締め切りは11月30日午後5時。

 名称は関係者が選定し、タッチダウンの状況を見た上で、12月上旬に名前を公表する。

 質疑応答に入りましたが、とりあえずはここまで。

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「はやぶさリンク」:午後5時からの記者会見

 午後5時から、宇宙科学研究本部にて、これまでの成果を総合的にレクチャーする記者会見が開催された。

 疑似カラー画像を含む写真が大量に公開されている。数時間のうちにJAXA/ISASホームページに掲載されるだろう。

 以下は記者会見の内容を聞きながらとったメモ。

 「はやぶさ」は工学試験機であり、小惑星探査は「せっかく行くのに何もしないのはもったいない」という位置付け。

 まず打ち上げ以降の工学成果から。

・イオンエンジンと地球スイングバイ
 推力2gfのイオンエンジンで、500kgの探査機を約10ヶ月加速し、地球から3700kmの位置をスイングバイ。誤差1km以下。10億kmの航行後の誤差1km以下である。

・光学複合航法によるイトカワへの接近。
 「はやぶさ」搭載の星姿勢計でイトカワを撮影し、事前の計算位置と比較、イトカワの軌道計算を更新。
 20億kmを旅して、500mの小惑星に正確に到達。地上で例えると、東京から2万km離れたサンパウロの5mmの虫を撃ち落とすことに相当する。

・イトカワ上空の静止化
 9月12日以降、イトカワ上空3.2kmに滞在。もしもイトカワと1cm/秒の相対速度があると、4日でイトカワと衝突。1〜2日に1回の頻度で、数mm/秒の修正を実施している。

・はやぶさの位置
 9月12日:イトカワ到着
 9月12日〜26日:ゲート・ポジション(イトカワから20km)に移動
 9月27日〜29日:ホーム・ポジション(イトカワから7km)に移動
 9月30日:ホームポジションに到達

 降下には太陽輻射圧を使用、上昇はジェットを使用。

 以下、理学観測について。

・イトカワの特徴
 大きさは540m×270m×210m、体積は0.018立方キロメートル。地上観測による推定と1割ほどの差があった。自転周期は12.1時間。北極は黄道面座標の南極方向にある→逆回転。
 密度は2.3プラスマイナス0.3(残念!金はないでしょう)。典型的な岩石よりやや軽い。内部に空隙がある可能性が高い。形状中心と質量中心がほぼ一致しており、自転軸のふらつきもほとんどない。内部の物質の偏りはほとんどないようだ。

・表面状況
  レゴリス(砂礫)に覆われていない部分がある。砂礫に覆われていない、岩の露出した小天体表面が観測されたのは初めて。レゴリス表面にクレーターが極端に少ないので、年代が若いと推定される。レゴリスの粒子サイズは検討中。
 特異な巨大岩塊が存在する。最大のものは長さが約50m。切り立った岩塊が存在する。イトカワ上の大型岩塊は、イトカワ上のクレーターの衝突によっては生成しないほど大きい。反射率の異なる岩塊が存在する。

・低重力下の特徴的な地形
 レゴリスが表面重力に応じて集まっている様子が認められる。岩塊が集まって存在している地域がある。北極へのレゴリスの盛り上がり構造が存在する。

・クレーター
 いくつかはっきりしたクレーターが存在するが、岩塊の中にクレーターがあるので見つけにくい。80m程度のものまで認められる。サイズ、数など調査中。

・反射スペクトル
 輝石やカンラン石の特徴を持つスペクトルが見える。

・形状モデル、地図を作製中。

・イトカワ成因推定
 大きな母天体が破壊した時にできた破片か、破壊ぎりぎりの衝突で放出された破片である可能性がある。

 記者会見は続いていますが、まずはここまで。

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「はやぶさリンク」:イトカワの全球マッピング終了!

 本日付で新しい発表が出た。

 ・イトカワの全球マッピング終了!:11月1日

 イトカワ全体の地図作りが完了したというリリースだ。同時に10月後半の「はやぶさ」とイトカワの相対位置についても公表された。10月14日以降、イトカワへじりじりと匍匐前進するかのように近づいているのが分かる。

 イトカワ南極側からのかなり鮮明な画像も出てきた。見えている一番大きな岩塊はさしわたし20〜30m程度だろうか。イトカワのような小さな小惑星が、なぜこのようにごつごつした岩だらけの地形をしているのか、興味は尽きない。

 同時掲載されている、近年地球近傍を通過した小惑星のリストも面白い。特に「2002年6月14日 2002 MN 12万km 約80m ワールドカップの最中に接近」という奴は冷や汗ものだったのだな、と思う。12万kmといえば月軌道の内側、宇宙的にはごくごく近くをかすったことになる。そして直径80mとなると、これは地球にぶつかったら、地球規模の大規模災害と起こしうる大きさだ。

 本日午後5時から相模原の宇宙科学研究本部で記者発表があります。私も行ってきます。

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「はやぶさリンク」:イトカワの質量推定 − 異様に重いイトカワ?

 なかなか面白いトラックバックを頂いたので、JAXA発表以外だが、紹介する。

 ・イトカワの質量推定 − 異様に重いイトカワ?

  ken-ishiさんという方が、「はやぶさ」の公表データを用いて、小惑星イトカワの質量と比重を計算したものだ。

 その計算によれば、イトカワの質量は2億7000万〜8000万t、平均比重は10を超えるという。

 比重は同体積の水との質量の比。比重10ということは、同体積の水より10倍重いということだ。比重が1よりも大きいものは水に沈む。
 ケイ素系のそこらへんの石ころは、比重がまあ2とか3ぐらい(大理石で2.7、花崗岩で2.65)。金属系元素でみると、アルミニウムが2.7、鉄が7.9、銀が10.4、鉛が11.3。さらに水銀が13.6、タングステンが19.3、金が19.3、プラチナが21.5、イリジウムが22.1。

 つまりこの計算が正しければ、イトカワには金やらプラチナやらの貴金属、さらにはイリジウムのような工業上必須のレアメタルがごっそりとあるということになる!

 SFファンなら、E・E・スミスのレンズマンシリーズで、主人公のキムボール・キニスンが小惑星山師として潜入捜査をしている途中、とある惑星系の小惑星帯で異常に比重の高い星を見つけて一攫千金、というシーンを思い出すだろう。

 ご本人は「おそらくどっか間違えてるんだろうが、イトカワがひょっとすると、金やプラチナを含むかもしれない、などと考えるだけで楽しいので、恥を忍んで公開する」と書いている。ともあれ、公開されたデータで様々な思考を巡らし、このように新たな数値を引き出して、楽しんでいるのだから、大したものだと思う。

 結論が正しいかよりも、こうやって自分で考察してみる姿勢に意味があるのだ。直接「はやぶさ」に関わる人以外から、こういう計算が出てくることは、それだけ日本の惑星科学の裾野が広くなるということでもある。

 近いうちに、JAXA/ISASから暫定の数字が出てくるのではないだろうか。それまで(夢が終わるまで?)は、「ああでもない」「こうでもない」「ああだったら」「こうだったら」と楽しもう。

 なお、いうまでもないが、たとえイトカワで金が見つかったとしても、とてもじゃないが地球に持ってくることは当面は不可能だ。

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清瀬保二「日本祭礼舞曲」を見直す

 以前、「『箕作秋吉の遺産』を聴く」で、こんなことを書いた。

 中学の頃、つまり現代音楽に興味を持ちだした頃に、戦前の日本人作品というと、まさにこんな曲をイメージしていたのだ。つまり五音音階を基調に、のったりのったりと進む歯切れの悪い曲を。  なんでそんなイメージを持ったのかといえば、おそらくは音楽の授業で聴かされた近衛秀麿編曲の「越天楽」と、同じ頃にラジオで聴いた清瀬保二作曲の「日本祭礼舞曲」あたりのイメージがごっちゃになったからだろう。

 この部分、訂正する。良い演奏で聴いた清瀬保二の「日本祭礼舞曲」は、なかなかすごい曲だった。

 最近、芥川也寸志指揮、新交響楽団による「清瀬保二 管弦楽選集」というCDを入手して、久し振りに日本祭礼舞曲を聴いた。これが全く以前と印象が異なる、エネルギッシュな歯切れ良い演奏で、私はこの曲に対する認識を全く改めたのだった。

 清瀬保二については、上記リンク先を参考にして欲しい。戦前から戦後にかけて活躍した作曲家で、日本的五音音階を基本に、なんとかして日本的な音楽を書こうとした人だ。といっても、その音楽は粘つく情感をあまり感じさせず、むしろ切れの良さと直截さが印象に残る。同じ土俗的でも伊福部昭は、北方アジア的な広がりを感じさせるが、大分は宇佐出身の清瀬はもっと我々が「日本的」と感じる感性に寄り添っている。
 清瀬の映画音楽リストを見ると、時代劇がずらっと並んでいる。そう、どこか琴線に触れる懐かしさがあり、同時に内省的でもある、そんな曲を書く作曲家だった。

 芥川・新響の演奏は、早めのテンポでメリハリをかっちり付けた演奏。特に第三楽章がダイナミックに演奏されている。こうして良い演奏で聴くと、様々な祭り囃子がガンガン鳴りまくる、意外なぐらい楽しい曲だ。1940年作曲、1942年改作という時代を考えると、もっと暗くてもいいように思うが、時代の暗さを一切感じさせない。

 私がこの曲に悪印象を抱くに至った原因は、レコード時代に唯一の録音だった山岡重信指揮、読売日本交響楽団の演奏のせいだ。
 例えば第一楽章はテンポがModerato(中庸に)と指定されている。それを芥川は冒頭の祭り囃子の笛を模擬した部分をAllegroに近い速いテンポで演奏して、主部に入ってからテンポを落とす。一方山岡は一貫してModeratoで最後まで通してしまう。要はメリハリに欠ける曲の解釈だったのだ。
 演奏が悪いと、どんなに良い曲でも真価は伝わらない。特に初演曲などは、次にいつ演奏されるか分からない。こうなると良い演奏が行われる可能性も減り、駄曲も名曲も一律に埋もれていってしまう。

 先だって紹介したピアニストの大井浩明氏へのインタビューで、大井氏はこんなことを言っている。

  論点が幾つか出てきたので、総括的に。まず、日本人ピアニストとしての「仁義」というものがあります。私のモットーは、「駄作を弾くのは、邦人新作でたくさん」(笑)。しゃべくり漫才系であっても、それが日本人作品、アジア人作品ならば、それらを委嘱・発掘・演奏する義務が私にはあると考えます。

 正論だと思う。人間の感性なんてものは、かなりの部分が慣れに支配されている。「け、駄作だぜ」と思った曲が、100年後の名曲でない保証はない。

 ちなみに、日本祭礼舞曲は、1981年に京都大学の福井謙一博士がフロンティア電子理論でノーベル賞を受賞した時、授賞式で流された。福井博士がこの曲に思い入れを持っていたのか、それともノーベル財団のほうがたまたまこの曲のレコードを日本的ということで引っ張り出してきたのかは分からない。この年の9月14日に清瀬は81歳で他界しているので、自作がノーベル賞授賞式で流れたことを、本人が知ることはなかった。

 もうひとつ、先に取り上げた箕作秋吉と清瀬保二の関係を。箕作が追い返してしまった若き日の武満徹を弟子として迎え入れたのが、実は清瀬保二だった。そのあたりの経緯は、松岡正剛氏の文章を参考のこと。私思うに、多分、箕作秋吉よりも清瀬保二のほうが精神が柔軟で偏見の少ない人だったのだろう。

 Amzonに在庫がないのでタワーレコードにリンクを張っておく。

清瀬保二、佐藤敏直:管弦楽選集〜芥川也寸志の世界7/芥川也寸志(指揮)新交響楽団

 このCDには、清瀬の弟子である佐藤敏直が、師の死にあたって書いた「哀歌」という曲も収録されている。佐藤は師匠よりは大分湿っぽい、情念的な曲を書く作曲家だった。彼の「ピアノ淡彩画帳」というピアノ独奏曲集、なかでも広島の原爆で残った鳥居を題材にした「片足で立つ鳥居」という曲は、長く残ってしかるべきと思う。その佐藤もすでにこの世の人ではない。ああ。

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