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2006.11.15

A-Bikeに魅力を感じる

 ここ数ヶ月、A-Bikeという折り畳み自転車が気になっている。

Abike02
(この写真はA-Bike-shop.comから借用した)

 6インチの超小径タイヤを採用し、重量が5.5kg。開発者はパソコン黎明期に「シンクレアZX」を開発したサー・クライブ・シンクレア。日本でもマニアがそろそろ輸入し、乗り始めている。

なるほどれおなるど:いちはやく輸入し、使いまくっている人のblog。走っている動画像もあります。
ULTIMATED ZEROBIKE:同じく早速輸入したユーザーさんのページ。
A-bikeで行こう!:まだ買っていないけれども、情報を集めている人のblog
Frog Blog:ドイツ製小径折り畳み自転車BD-Forgユーザーとして、その筋では有名なイラストレーターの米田裕さんのblog。A-Bikeについても開発初期から取り上げている。

 mixi内の「超小径自転車コミュ」でも、スレッドが立って活発に情報交換が行われている。

mixiの超小径自転車コミュニティ:注)アクセスできるのはmixi会員のみです。

 発売当初はイギリスからの通信販売のみで、イギリスと日本の両方で消費税を取られて、送料込みで7万円ほどの価格だった。最近香港に通信販売用サーバーが立ち上がり、送料無料となったことで、4万円少々で入手可能になっている。

A-Bike-shop.com:香港にある販売サイト。11月15日現在の価格は4万480円。

 惹かれるのはその軽さだ。5.5kg(ページによっては5.7kgと書いているところもある)。これなら毎日持って歩いて使うことができるのではないか。

 かつては自転車の車輪を外して随分と電車に持ち込んで出かけたことがある(輪行[りんこう]という。サイクリングではよくやる形式)。また、BD-1をリカンベントに仕立てるにあたっては、しばらくBD-1を持ち歩いてサイクリングしたこともあった。
 やると分かるが、輪行は休日に「さあ出かけるぞ」と、自分を鼓舞して行う特別な行為だ。日常的にほいほいとできるものではない。

 まず自転車をばらすのがけっこう面倒で時間がかかる。BD-1のような折り畳み自転車を使って、自転車分解の手間を省くとしても、実のところ自転車は持ち歩くには少々重く、かさばる。
 BD-1は公称10.5kg。これは、自転車の中でも軽い部類に入る。そこら辺を走っているママチャリなら、15kgを下ることはないだろう。
 それでも、畳んで輪行用の袋に入れて、えいやと持ち上げるとかなり重い。しかもけっこうかさばるので、電車の中では他のお客さんに遠慮しなければならない。私は輪行では、よくグリーン車を利用し、最後尾の座席の後ろにできる空間に自転車を押し込んだものだ。

 とても毎日やろうという気にはならない。

 これが5.5kgとなるとどうだろう。

 思い出せば、20年前の新入社員時代、「どこでも原稿が書きたい」と言って、当時最新鋭の富士通製ワープロを持ち歩いて通勤していた先輩がいた。40文字×11行表示の広大なディスプレイ(!!)とプリンタがついた「OASYS」は、確か7kgあったはず。「慣れれば結構持って歩けるものだよ」と言っていた先輩は、通信こそしなかったものの、モバイル・コンピューティングにおける北京原人のような先駆者だった(あくまで例えだから、「北京原人と現生人類の関係は…」とかまじめに突っ込まないように!)。

 そう思うと、けっこうよさげではないか。

 もちろん、このA-Bikeは、みるからに走らなさそうな形をしている。自転車は平均で時速20kmを出すことができるが、いいとこ時速12km程度だろう。時速12kmで20分。4kmといったところが行動限界になると予想する。

 ここでGoogle Mapを見て、東京の主要駅から半径4kmを調べると、かなり色々な場所に行けることが分かる。私の場合、地下鉄に乗らずに、このA-Bikeを持ち歩けば、130日ほどで元が取れると言う計算になる。

 さて、このA-Bikeはどの程度使えるものなのだろうか。

 ここで勝手に適当な指標をでっちあげることにする。

(乗車人数×走る距離km×平均速度Km/h)/(乗り物の質量kg)

 要は人体に対してどれだけ小さな付加質量で、どれほどの移動性を生み出せるかという数字だ。

 通常の自転車は10kgとして、普通の人でもまあわりと気楽に20kmぐらいは走れる。時速20kmとして

 (1×20×20)/10=40

 一方A-Bikeは、質量5.5kg、時速12km、おまけして6kmぐらいは気楽に走れるとしよう。

 (1×6×12)/5.5=13.09

 ううむ、大分悪いな。

 都内を渋滞に捕まりつつ普通乗用車で1人で移動するとしよう。時速20kmでまあ20kmが限界か。でもって自動車質量は1500kgとする。

 (1×20×20)/1500=0.27

 この指標でいくと、渋滞がいかに効率を下げるかが見えるな。

 同じ距離を4人乗りだと1.06。これでも大分悪い。

 渋滞なしとすると、時速40kmで、100kmは楽勝だろう。すると

 (1×40×100)/1500=2.67

 ありゃ、これでも通常の自転車より遙かに悪いんだ。ちょっとこれは実感と違うな。

 そこで分母には車体重量の平方根を持ってくることにする。

すると

通常の自転車 126.5
A-Bike 30.7
渋滞時の自動車1名乗車 10.32
同普通道の自動車 100.32

 となる、だいたい実感とあっているようだ。

 調子に乗ってもっと計算してみる。

 高速道路を使う自動車ならどうか。1人乗り、平均時速80kmで500kmはいけるだろう。

 鍛えたサイクリストとロードレーサーの組み合わせ。1人乗り、時速30kmで200kmは行ける。車体も8kg程度のはず。

高速道自動車 1033
サイクリスト 2121

 うわ、この指標だと、高速道路を走る自動車よりも鍛えたサイクリストのほうが移動性が高いということになる。

 ちなみに市街地バスはどうか。定員70人、車体重量10t、平均時速30kmで30kmを移動する。
 電車は東海道線を考える。211系の15両編成で、1両定員が140人。車体重量はサハやらサロやらクモハで異なるがめのこで1両28tとする。移動距離は50km、時速は50km

バス 42
電車(東海道線) 8100

 市街地バスが意外と使えないことや、電車がやはり大量長距離輸送に向いていることがはっきり指標化できている。

 こんな数値は所詮はお遊び。大して意味があるわけではない。ともあれ、この計算では、A-Bikeが通常の自転車程度に使えると思えるためには重量が3.3kgを切らなければいけないという結果が出てくる。

 そう実感としては悪くないような気がするが、どうなんだろうか。

 買ってみなければ分からないといったところなんだろうか?


 実は、こうやって小さな折り畳み自転車にこだわる理由は、防災対策にある。東京で地震が発生すると相当数の帰宅困難者が発生するとされているが、もしも1人に1台の自転車があれば、帰宅困難という問題は相当に軽減する。時速12kmのA-Bikeだって、歩くよりも3倍も早く帰宅できるのだから。
 もちろん、路上に散乱するであろうガラスからタイヤのどう守るかという問題はあるのだけれども、それでも職場に1人1台の自転車を常備しておくというのでは、いざの時のための備えとして大違いなのではないかという気がするのだ。
 職場に人数分置くとなると、大きな自転車は現実的ではない。小さな折り畳み自転車が必須となる。

 A-Bikeは悪くない選択肢に思えるのだがどうだろうか。

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Comments

はじめまして、とおかと申します。
松浦さんの著作は大変気に入っております。
さて、「タイヤに対するガラス」ですが、世の中にはパンク防止剤というものがありまして、これを充填しておきますと、チューブを破損した物体を排除した上でタイヤを回転させれば、チューブに空いた穴を塞いで、パンクに対する応急処置ができます。
自分は通学に自転車を使用しておりますが、これのお陰で遅刻を回避できました。
これをタイヤに充填しておけば、役立つと思います。
既知の情報でしたら申し訳ありません。

Posted by: とおか | 2006.11.15 at 08:29 PM

 A-Bikeが日本国内販売が始まったら購入したいと考えているHandyBike8乗りです。
 A-Bikeは自転車を持ち運ぶのではなく身につけていられる可能性があり、非常に注目しています。

 極小径車は普通の自転車より小径車以上に乗り方に癖が強いですし、路面のギャップに非常に弱いです。 タイヤの空気も抜けやすいですしね。
 震災などの道路が荒れている時の緊急用に利用するというのは一寸無理があるかと思います。

○とおか さん
 パンク防止剤はピンホールのようなパンクには有効ですが、ガラス片などの裂けるタイプのパンクや穴が大きいパンクでは歯が立ちません。しかも、パンク防止剤が染み出して修理用のゴムノリの付を悪くするので余りお薦めできません。
 リペアムゲルや発泡ウレタン?を充填してパンクレスにしてしまう方が良いかと思います。乗り心地は悪くなりますが。

Posted by: 神子秋沙 | 2006.11.15 at 11:01 PM

 米田裕さんユーザーらしたんですね。だったら先日お会いしたときにその辺のことも伺っておけば良かった。もっぱら米田さんのwillcom W-zeroの話題で終わってしまっていた……。

 A-Bikeは取材の機材としてどうだろうかということを前から考えています。都内の移動など電車→A-Bikeを併用することで、運べる機材重量を増やせるのではないかと思うので。生身の人間が運べる重量には限界がありますが――篭かなにかは別にしつらえるとして――荷物を車載できるなら、10キロ程度の機材なら楽に運べる。
 例えばノートパソコンなどはモバイルのことを考えるとB5ノートが一般的ですが、車載可能ならA4ノートPCを持って移動できる。カメラや録音機材に凝る人も重量による制約を緩和できるのではないかと思っているのですが。

 まぁ、じっさいに運用しないと単なる机上の空論になるかもしれないのですが。

Posted by: 林 譲治 | 2006.11.16 at 08:45 AM

 米田さんはA-Bikeユーザーではなく、発表当時から情報を追跡して紹介してくれていたのです。

 取材機材としてはどうでしょう。レースのパドック、あるいは基地祭などでは使えそうな気がします。
 私としてはむしろ都内の移動、それも、地理的には近いのに、地下鉄やJRの路線の関係でなかなかいきにくいところへの移動ということを考えています。例えば品川から白金とか、中野から中野坂上とか、渋谷から六本木というような。

 ノートPCは背中に背負う限り、ずっしり重く感じると思います。

Posted by: 松浦晋也 | 2006.11.16 at 10:48 AM

写真を見る限りではトレール量があまりにもなさ過ぎて走りにくいというか安定性がないように思えます。前輪の付け根がちょっと後ろへ曲がってればいいだけなのに...。

Posted by: tarosuke | 2006.11.16 at 12:57 PM

初めまして。石川と申します
記事拝見してこの自転車に惹かれてしまいました…私も休日は都内動くことが多いので便利そうですね。
(あと、マンションに自転車置き場無いのですが、これなら部屋置き可能なので)

ただ、ここまで小型車だと坂道がかなりきつそうなのでちょっと躊躇してますが^^;。
例にあげらした渋谷-六本木とかだとかなり長い坂道なので大変かと思いますし…。

Posted by: ishikawa | 2006.11.16 at 01:53 PM

>シンクレア卿、そうイギリスの貴族だ。
ナイトを一代貴族とも呼ぶから間違いではありませんが、普通にイメージする世襲の貴族とは別ですね。
シンクレアがサー・クライヴになったのは1983年で、要するに発明の功績でしょう。
http://www.nvg.ntnu.no/sinclair/sinclair/sinclair.htm

Posted by: ROCKY 江藤 | 2006.11.16 at 05:41 PM

A-Bikeではありませんが、友人が下記の小径自転車で
よく都内を走り回っています。
http://www.smartcog.co.jp/Products/koma.htm

私も試乗させてもらいましたが、形の割りに結構な
速度がでるので驚いた位です。ただ小径故に路上の
段差等に弱いのが難点ですかね。

Posted by: 霧島 | 2006.11.16 at 07:50 PM

そうそう、言い忘れた。
サーは名前かフルネームに付いて、姓には付かないので、
いずれにしろシンクレア卿は(サー・シンクレアのつもりだとすれば)間違いになりますね。

Posted by: ROCKY 江藤 | 2006.11.16 at 11:23 PM

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%BC

 なるほど、卿はLordであって、Sirではないのですね。

 訂正しておきました。ありがとうございます。

Posted by: 松浦晋也 | 2006.11.17 at 01:18 AM

 取材機器としての限界は確かにありますね。折り畳み自転車のどこに荷物を載せるのか。それをスマートに解決する必要がある。

 それでも私がこの可能性を考えたいのは、ハワイの光景を思い出すからです。ハワイのバスは車両に必ずと言ってよい程、自転車を載せるラックが装備されている。だから乗客はバス停まで自転車で移動して、そこから遠距離はバス、目的地近くで再び自転車という乗り方ができていた。

 突き詰めると都市交通の問題なんでしょうが、あれをどう日本で実現するか。折り畳み自転車に解答があるような気がするわけです。

Posted by: 林 譲治 | 2006.11.19 at 12:03 AM

「11月15日現在の価格は4万480円」とありますが、これは正確ではありません。売価の約$340を為替換算するとこの程度になるよという「例示」です。非常に紛らわしいので再三にわたり取り外すかして改善するように申し入れていますが、現状のままです。
製造会社DAKAの認可を受けていますが、基本的に個人企業なので、先のことを考えるとイギリスのMayhem(www.a-bike.co.uk)にて購入する方がまだマシかと思います。もっともそちらも購入後はおろか購入前から連絡が付かないそうですが。

Posted by: A-biker | 2006.11.22 at 08:53 PM

やはりみなさん、関心持ってますね。
当方も帰宅困難者対策として、
年末から関心持っています。
国内に販売代理店があればいいのに。
誰か立ち上げませんか?

Posted by: 久志本克己 | 2007.01.17 at 09:10 PM

確かに中国のサイトを見てるとコピーが氾濫してますね。コピー商品にもランクがあって、出荷価格はUS$60~70といったところみたいです。
楽天市場でも2社がコピー商品を売ってますね。
楽天も無視なんでしょうね。著作権もなんもあったもんじゃないって感じです。香港とUKで本物は売ってるみたいですが、日本の業者から買いたいですよね。消耗品のパーツも必要になりますし・・・
4万円以内で本物ならほしいですね。

Posted by: A-Bikeほしいポン! | 2007.02.28 at 07:20 PM

楽天で本物を約10%offで販売している店を発見。http://www.rakuten.co.jp/myfriend/即発注し、到着して喜び勇んで早速乗ってみると異常に重い。良く見ると空気が入っていない。
ヤバイと思いながら空気を入れるとパンクしてしまっている。このお店に相談すると本体ごと送ってほしいとの事。翌日の到着した日に修理してくれて送ってもらった。並行輸入の業者と思うが、正規代理店もこのようなサービスは受けられるのだろうか?

Posted by: 寺田 | 2007.06.05 at 06:36 PM

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