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2007.05.09

A-Bikeに乗る その1

Abikeinogasira_1

 昨年、A-Bikeのことを書いた。5.7kgの軽量折り畳み自転車だ。アクセスログを見ると、A-BIkeの記事にはコンスタントなアクセスがある。世間的にも注目度が高いらしい。

 実は私は今年の1月、ひょんなことからA-Bikeを入手し、実際に使い込んできた。結論から言えば、これはかなり使える革新的な道具だ。設計は隅から隅まで考え抜かれており、どこをとっても独創的な工夫が盛り込まれている。車体を観察して、「ここはどうしてこのようになっているのだろう」と考えていくだけでも楽しい。

 ただし、普通の自転車に乗るつもりで扱うと、満足は得られないだろうし、危険ですらある。

 A-Bikeは自転車の一種ではなく、A-Bikeという別の乗り物である。そのような認識をもって自分を乗り物に慣らすようにして乗るならば、これは楽しい乗り物だ。
 新しいものが好きで、かつ機械いじりが苦痛ではない人ならば、A-Bikeは買いだと思う。A-Bikeは新しい世界を見せてくれるだろう。

 ただし耐久性については未知数である。mixiの関連コミュニティでは、ギアの破損も報告されている。これが初期トラブルのせいなのか、製造ミスなのか、構造的欠陥なのかは不明である。

 一方、生活を安楽にする道具として、「ちょっと小さな折り畳み自転車が欲しい」という程度の興味ならば買うべきではない。もっと安全かつ高速に走れる自転車がほかにいくらでもある。

 以下数回に分けて、A-Bikeを実際に使ってみての印象を書いていくことにする。

 なお、冒頭の写真は、井の頭公園にて。

その1:A-Bikeを入手する

 そもそもの始まりは、Mさんという方から「A-Bikeを引き取りませんか」というメールをもらったことだった。私の記事を見てたまらず海外通販で買ったものの、自分には扱いきれないので引き取ってもらいたいというのである。

 Mさんには大変申し訳ないのだが、最初は「詐欺か?」と思った。が、メールを交換するうちにそうではないことがわかってきた。Mさんは、当ブログを読んで早速A-Bikeを個人輸入したものの、乗っていて大転倒し、顔面に結構な怪我を負ってしまったとのこと。このため、自分にはとても扱いきれないと断念し、それならいかにも欲しげな記事を書いていた私にゆずろうと考えたのだそうだ。

 都内某所で待ち合わせたMさんは、巨大な絆創膏を顔に貼っていた。手持ちのバンドエイドでどうこうできるような小さな傷ではなかったそうで、血を流しつつ医者を捜したという。

 これは自分もよほど注意しなくてはと思い、事故時の状況を聞いた。歩道を走行し、交差点で歩道を降り、横断して対面の歩道に乗り上げる時、そのほんの小さな段差に前輪がひっかかり、前転して顔から落ちたそうだ。

 他人の不幸に乗じるようで気が引けるが、ともあれ実物のA-Bikeが目の前にある。ちょっと目にも興味深いメカニズムであることはわかる。

 これは入手するしかない。というわけで、私はMさんから新品も同然のA-Bikeをほぼ半値で入手したのであった。

 Mさん、どうもありがとうございます。うれしいのは確かなのですが、なんだか不幸につけ込んだようで申し訳ないです。

その2:A-Bikeで転ぶ

 受け取り時、Mさんからは何度も「注意してください」と言われた。「転んだらしゃれになりませんから」

 しかし、白状するなら私もやってしまったのだ。それも2回。しかも最初は受け取った当日だった。

 A-Bikeを手に入れた当日、私は夜遅くに茅ヶ崎に帰り着いた。駅から家までの夜道、安全を考えるならば、当然A-Bikeに乗らずにかついで帰るべきだった。足下が見えない暗い夜道で、初めての自転車。しかも、6インチの小さなタイヤのいかにも癖のありそうな自転車だ。

 ところが新しいブツを手に入れた私は、興奮していたのだろう。「乗ってやるぞ」と、階段の手すりを滑り降りた老グレイストーク伯爵(映画「グレイストーク」参照のこと。ちなみに、クリストファー・ランバート主演のターザン映画)のごとく、私は初めてのA-Bikeにまたがり、夜道を走り出したのだった。

 興奮のまましゃこしゃことこぎ続け、家の近く、道の状態が悪くて段差になっているところに来た。そこを徐行して乗り切ろうとした私は、見事に前転して放り出された。

 幸いなことに速度を落としていた上に、手袋をしていたのでいっさい怪我をせずにすんだ。痛いことは痛かったがどこを切ったわけでもない。「より、きちんと体を慣らして乗りこなしてやろう」という気持ちがいや増しに高まった(ま、バカとも言いますが)。

 2回目は、A-Bikeを都内に持ち出し、乗り回していた時だった。神宮球場から信濃町に抜ける途中、代々木の体育館の裏あたりで、横断歩道をわたって歩道に上がるところの段差でつまづいて転んだ。

 しかし、この時は下を向いていたので、転倒の原因をはっきりと自分の目で確かめることができた。おそらくMさんも、これと同じ原因で転倒したのだと思う。

 以後、私は注意するようにし、その後一回も転倒していない。

Abikelock これは図を見たほうがわかりやすいだろう(図は、ネットで公開されている A-Bikeマニュアルから作成した。矢印以外の赤文字は松浦による)。A-BikeはA字型のフレームの横棒が2つに折れることで折り畳まれる。折り畳みのヒンジにはロック機構がついており、使用時にヒンジが曲がるのを防止している。しかし、このロック機構はロックしたかどうかの確認がちょっとばかり難しいのだ。
 ロック機構はばねによって、展開すれば自動的にロックする仕組みになっている。ところがバネが少々弱く、いいかげんな展開をするとロックがかからない。

 この部分がロックせずに走るとどうなるか。平地なら問題ない。A字型フレームは搭乗者の体重で上から押しつけられるので安定している。しかし段差にかかると前輪に前から押す力がかかる。通常ならばヒンジはロックしているので曲がることはない。が、もしロックしていなければヒンジは曲がり、半分畳まれた状態になった車体から、搭乗者が放り出されることになる。

 対策は組み立て時に、ロック機構がかかったことをきちんと確認する、これに尽きる。
 この他に、A-Bikeには組み立て時に締めるレバーが3カ所あり、うち2箇所にはロック機構がついている。どの部分もおろそかにすると非常に危険であり、危険とまでもいかない場合もA-Bike本体を破損することにもつながる。

 A-Bikeは極力部品を減らすような設計を採用している。逆に言えば一つの部品が複数の役割を担っている。どの部分の破損も、走行不可能につながる可能性が大きい。

 取り扱いに当たっては、漫然と自転車に乗るのではなく、A-Bikeという別の乗り物に乗るという心構えが必要である。

 以下、続きます。

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Comments

乗車体重規制がうらめしいです。

Posted by: 須田浩之 | 2007.05.09 at 12:57 AM

余計かと思いますが、夜間走行時には反射板付きのウエア又は白いウインドブレーカーを着用された方がいいでしょう。多分車体が小さいので思った以上に車から視認しずらいかと思います。

昨日も暗い夜道を無灯火で走る「じみー」な色彩/服装のおじさんの脇を自動車で通過する際

「うえー、あぶねー!あんた忍者じゃ?!ぜんぜん見えねー!!」

と思いっきりビビらされました。

失礼!

Posted by: DVDを見せたがる男 | 2007.05.09 at 06:57 AM

 使い方が難しいアイテムですね、A-Bike。

 自転車を常に持ち歩けるという魅力はある物の、いつまで使い続けることが出来るのかが解らないのが不安です。

 米田さんが購入された実売の半額程度なら購入したいと思いますが、現在の値付けではちょっと、購入を躊躇させています。

Posted by: 神子秋沙 | 2007.05.09 at 07:19 AM

申し訳ありません、松浦さんと米田さんを還元に混同していました。

Posted by: 神子秋沙 | 2007.05.09 at 08:25 PM

段差に弱いというのは
帰宅困難者用としてはどうなんでしょうか
他の小型自転車と違い、車体をかついで瓦礫を乗り越える際に軽くて、
二足歩行との併用がよりシームレスに行えるかもしれないというメリットもありそうですが

Posted by: STC | 2007.05.10 at 02:15 AM

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