上、左から、パイオニア10(1973)、ヴォイジャー1(1979)、ガリレオ(1995)
下、左から、カッシーニ(2000)、ニュー・ホライズン(2007)
Photo by NASA
まずは写真を5枚掲載することにする。その意味は、この記事の最後で種明かしすることにしよう。
この前の「ロケットまつり」終了後にちょっと話した、「はやぶさ2」ののこと。
当方がもたもたしていうちに、コメント欄でうーぱーさんにハッパを掛けられてしまった。
そう、現在「はやぶさ2」を巡る状況は非常に厳しい。10月末がひとつの区切りになり、そこまでに海外の打ち上げ手段を調達できないと、計画自体がつぶれるという状況になっている。
「はやぶさ」の冒険を目の当たりにし、今、「かぐや」が送ってくる月の映像にわくわくしている私達にすれば、日本国民が宇宙開発に何を求めているかは、非常に明確に思える。
太陽系全域の探査だ。
しかし、そのさきがけとなるべき「はやぶさ2」は今、予算の帳尻合わせのために危地に立っている。10月末に向けて、現在急速に事態は動いている。
「はやぶさ2」に始まる、プログラム的探査に必要な予算は、JAXA全体の5年間の予算からすれば、大きな額ではない。
にもかかわらず、GXロケットを初めとした遅延と予算超過を繰り返す積み残しの不良債権的計画に押されて、JAXAは今、未来に向けたもっとも貴重な宝石を自らゴミ箱に放り込もうとしている。
だが、諦めるのはまだ早い。関係者は実現の可能性を必死で探っている。計画を好感を持って迎え、打ち上げ手段の提供を検討しようとする海外機関もあるようだ。
私は、見たい未来を実現するために、声を上げる時だと思う。上げ続けることが未来につながると思う。
皆さんの声が、「はやぶさ2」を、ひいてはその先にある日本の宇宙探査を実現する鍵となる。
訴えるべき相手として、私は以下の3つの組織を選んだ。
1)文部科学省・宇宙開発委員会(メールアドレスはvoiceアットマークmext.go.jp)
2)内閣府・総合科学技術会議(http://www.iijnet.or.jp/cao/cstp/opinion-cstp.htmlから送付)
3)JAXA経営企画(メールアドレスはprofficeアットマークjaxa.jp)
すでに議論や実態がかなり進んでいることを考慮して、即効性がありそうな送り先を選定した。
宇宙開発委員会は、委員長以下5人の委員宛となる。
委員長 松尾 弘毅 元宇宙科学研究所所長
委員長代理 青江 茂 元日本原子力研究所副理事長
委員 池上 徹彦 前会津大学学長
委員(非常勤) 野本 陽代 サイエンスライター
委員(非常勤) 森尾 稔 元ソニー株式会社取締役副会長
総合科学技術会議は、以下の委員宛となる。
閣僚
福田 康夫 内閣総理大臣
町村 信孝 内閣官房長官
岸田 文雄 科学技術政策担当大臣
増田 寛也 総務大臣
額賀 福志郎 財務大臣
渡海 紀三朗 文部科学大臣
甘利 明 経済産業大臣
有識者
相澤 益男(非常勤議員) 東京工業大学学長
薬師寺 泰蔵(常勤議員) 慶應義塾大学客員教授
本庶 佑(常勤議員) 京都大学客員教授
奥村 直樹(常勤議員) 元新日本製鐵(株)代表取締役 副社長、技術開発本部長
庄山 悦彦(非常勤議員) (株)日立製作所取締役会長
原山 優子(非常勤議員) 東北大学大学院工学研究科教授
郷 通子(非常勤議員) お茶の水女子大学学長
金澤 一郎 日本学術会議会長 ※関係機関の長
注意:それぞれきちんと宛名に個人の名前を入れること。でなければ、メールは各委員まで届かず、途中で止められてしまうかもしれない。
メールが組織全体で処理する形にならないように、個人への宛名は必須である。
総合科学技術会議は、人数が多く、メールフォームが1000文字以内となっている。短い文章で的確に意見を言うため、相手を絞る、何通かに分けて出すといった工夫が必要になるだろう。
JAXA経営企画は、「広報気付、経営企画部御中」ということになる。
正直、ここで私が書いている事を、すぐにJAXA広報は気が付くと思うので、「また松浦さんが余計なことをして」ということになるかも知れない。それでも、JAXA広報は一般からのメールを差し止めてるというようなことはしないはずである。
この文章を読んでいるあなたが、一昨年の「はやぶさ」の探査を、一喜一憂しながら見守った経験の持ち主ならば、少しの勇気を奮い起こしてメールを書いてもらえれば、と希望する。
見たいものがあるならば、「見たい」と口に出して言わなくてはならない。欲しい未来があるのなら、「欲しい」と宣言して行動するべきだ。黙って待っているだけで、望む世界がやってくるはずがない。
「はやぶさ2」が、C型小惑星に降下する勇姿を見たいのならば、ほんの少しの行動してみよう。
以下は、先だってnikkei BP.netで書いた実現の瀬戸際に立つ「はやぶさ2」~国内外の高評価と対照的なJAXA内での冷遇 (2007年9月25日掲載)の、その後も含めた現状である。
——————————————————
「はやぶさ2」を巡る状況(2007/10/11)
「はやぶさ2」実現にあたっての問題は、今後5年のJAXAの中期計画が、予算見積もりに縛られているということ、そしてその中に、国際宇宙ステーション、準天頂衛星、GXロケットといった、予算超過と計画遅延を繰り返したアイテムが多数存在し、処理されざる不良債権として予算を圧迫しているということにある。
そして、文科省、宇宙開発委員会、JAXA経営企画部などは、予算を増やしたり不良債権を損切りするのではなく、そのまま抱えたまま新規アイテムを抑制することで、予算の枠内の中期計画を策定しようとしている。
洋の東西を問わず、宇宙予算が危機的状況に陥った場合、真っ先に割を食うのは宇宙科学、それも新分野に乗り出そうとする新しい宇宙科学だ。
宇宙科学の予算が切られる理由
宇宙科学には、学問的興味から行う不要不急の宇宙開発というイメージがまとわりついている。そして、公共事業的な巨大計画は、一応「ほら、このように役立ちます」ということを主張した上で予算を取っている(それが本当に役立つのかどうかは全く別だ)。
予算額も大きいので「産業に与える影響が大きすぎる」という理由からメスが入ることはない。
そこには、予算の多寡にかかわらず、1アイテムは1アイテムという役所の都合も存在する。1アイテムを財務その他で通す手間は、アイテムの大小にかかわらず同じだ。そして、産業政策としては予算の大小のみが問題となる。「小さな計画沢山」よりも「ビッグプロジェクトが少数」のほうが、管理もしやすいし、話も通しやすい。
そして小さな計画を多数切ったほうが、「ほら、このように計画を削減して予算を節約しました」と説明もしやすい。
「はやぶさ2」は、一番切られやすい宇宙科学の範疇にあり、しかも太陽系探査という新しい分野である。さらに、「はやぶさ2」を出発点とした一連の「プログラム的探査」の出発点でもある。このことを経営企画の側から見ると、「はやぶさ2を認めると、はやぶさ2のみならず、その後もずっと支出することになるのではないか」という危険を感じることになる。
だから、「こんなものを、この予算の厳しい時期に認めるなんて、とんでもない」という思考に走ってしまうわけだ。
だが、少し考えれば、健全な組織において経営企画セクションが果たすべき本当の役割は、
1)今後の宇宙計画にとって何が必要かを真剣に考え抜き、
2)本当に必要な計画とそうではない計画を先入観や過去の経緯を廃して峻別し、
3)本当に必要な計画にのための予算は、なにがあっても充当する、
4)ないしは、実施できるだけのバックアップを行う、
ということではないだろうか。
そして宇宙科学は、宇宙開発全体の中で、「常に行うべき事業」という地位を占めている。決して宇宙開発全体の中に占める割合は大きくないが、常時実施しつつ、次に向けた種子を蒔いていかなくてはならない。
プログラム的探査は、未来に向けて、今こそ蒔くべき種子である。
宇宙科学を厚遇している気分になる事情
困