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2008.04.23

新型インフルエンザ、4月中旬のまとめ

 例によって鳥及び新型インフルエンザ海外直近情報集による、4月中旬の世界の状況のまとめだ。

 他人様のまとめた情報をさらにまとめているだけなので気が引けるのだけれども、同ページをきちんと読み込む時間のない人もいるだろうと思うので。
 より詳細な情報はオリジナルに当たってほしい。


 同ページが冒頭に掲げているパンデミック発生危険度を30%から33%に引き揚げた。韓国、ロシアなどでの家禽の間での鳥インフルエンザ流行発生に対応したもの。


●韓国の鳥飼育施設で発生した鳥インフルエンザが、あちこちに飛び火している。22日の時点で、鳥インフルエンザ発生の疑いがある事例は49件、うち26件が鳥インフルエンザと確認されている。23日には家禽処分に参加した兵士の一人がH5N1ウイルスに感染していたことが確認された。

 韓国での感染拡大には、流通業者が感染が発生した農場からカモを不法に持ち出して販売したことが影響しているという報道が出ている。流通業者が鳥インフルエンザに対する知識を十分に持っておらず、その危険性を低くみてしまったのだろうか。「大したことないから売り抜けてしまえ」というように。

 逆説的に「知識のワクチン」の重要性が示されたように思う。皆が鳥インフルエンザ、ひいては新型インフルエンザに対する正しい知識をもつことが非常に重要なのだ。

 韓国のみならずロシアのウラジオストック近郊でも鳥インフルエンザの発生が確認された。過去の事例では、韓国で鳥インフルエンザが発生した後で、日本の養鶏場でも鳥インフルエンザが発生している。

 人に感染することがまれな鳥インフルエンザの感染拡大が、なぜ危険なのかといえば、それによりウイルスが増殖する機会が増えるためだ。ウイルスは増殖のたびにランダムな突然変異を起こす。増殖の機会が増えるということは突然変異の試行錯誤回数も増えるということであり、人から人への感染を起こす新型インフルエンザが出現する確率も高まるのである。


●人への感染が続いているインドネシアは、相変わらずWHO及びアメリカに対して敵対的な態度を取っている。過去の感染でアメリカがかなり強引な手法でウイルスサンプルを持ち出したことから、インドネシアは態度を硬化させた。自分たちが提出したサンプルで助かるのはアメリカをはじめとした先進国であって、自分たちに恩恵が来ないではないか、ということだ。三者は話し合いを続けているが、まだ解決の糸口は見えてこない。

 この件についてはインドネシアの現地メディアの報道をまとめているBerita Flu Burung (インドネシア 鳥インフルエンザ情報)でも取り上げられている。
 インドネシアでは大きな問題になっているのに、日本ではほとんど報道されていない。どうした?新聞各社のジャカルタ支局!!

 インドネシアのシティ・ファディラー・スパリ保健相は、そのシステムは不公平であり、変えるべきだと主張する。パンデミックが起きた場合、インドネシアの鳥インフル標本から作られたワクチンは、インドネシアの国民に手の届く範囲にない、高価すぎるし、裕福な国々によって操作されているからと、彼女は主張している。

 ワクチン製造にはウイルスのサンプルが必須である。もしもインドネシアで新型インフルエンザが発生し、同国政府がサンプル提出を拒めば、それだけパンデミック時のワクチン製造が遅れることになる。しかし、発生国に優先的にワクチンを供給する国際的な枠組みは、まだ存在しない。


●日本では、備蓄しているプレパンデミック・ワクチンの一部を、医療従事者や検疫担当者など約6000人に事前接種する方針が出た。また、今年度はプレパンデミック・ワクチンを1000万人分積みまして合計3000万人分を備蓄する。

 事前接種はいいのだけれど、接種者数が増えれば少数ながら強い副作用が出る人がおそらくは発生するだろう。そのあたりのリスク・コミュニケーションはどうなっているのだろう。きちんと情報は共有されているのか。
 アメリカの過去の例では、1976年にパンデミックを恐れて事前接種したワクチンで、運動神経が冒されるギラン・バレー症候群となってしまった例が存在する。

 そしてなによりも、いざパンデミックが発生した時に、数日オーダーで一気に接種する体制の整備はどうなっているのだろう。現在の大型ボトルによる備蓄では、接種開始までに数週間の時間が必要になる。ワクチンをアンプルに詰めて末端に配布する必要があるためだ。

 事前接種もさりながら、ひとたびパンデミックが発生したときに急速に接種を行う体制を整備するほうが先決ではないのだろうか。致死率の高い新型インフルエンザのパンデミックが起きてしまえば、副作用のリスクは許容範囲となる。しかし発生前の現在、副作用リスクを許容すべきかどうかは、きちんと考えねばならない事柄だ。

 そしてなによりも3000万人分では足りない。狭い国土に1億2800万人が暮らす日本なのだから、全国民分のプレパンデミック・ワクチンを備蓄し、パンデミック発生時に数日で接種を行える体制を整えることが重要なはずだと思う。


●その一方で、ワクチン研究は急速に進んでいる。アメリカのパーデュー大学の研究グループが、通常の風邪を引き起こすアデノウイルスにH5N1ウイルスの遺伝子を組み込むという手法で、幅広いH5N1亜種に効くワクチンを製造することに成功した。マウスと鳥の実験では、接種後1年以上、免疫が持続したという。アデノウイルスは取り扱いが容易で、ワクチンの大量製造も可能だ。
 プレパンデミック・ワクチンと、新型インフルエンザ発生後に製造するパンデミック・ワクチンの両方に有効な、有望な手法ではないかと思う。もちろん人に適用するにはまだまだ様々なハードルが存在するわけだけれども。

 気になるのはこの手法にも当然特許が発生するだろうということ。事前にパンデミック時の特許の扱いを国際的に協議して決めておかないと、助かる方法があるのに特許によって使えないということだって考えられる。

 特許の問題は、タミフルなど抗ウイルス剤の製造でも存在する。何らかの形で特許の一時棚上げと、その後の特許保持者への適正な利益配分を考えなければならないはずだ。特許保持者にしても、新型インフルエンザで世界経済が大混乱に陥れば、本来得るべき特許収入を得られないということになるのだから。

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Tracked on 2008.04.25 06:33 AM

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