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2008.05.02

新型インフルエンザ、4月下旬のまとめ:秋田と北海道で野鳥感染死を確認

 新型インフルエンザに関する10日毎のまとめだ。

 ついに日本でも感染死した野鳥が見つかった。韓国では防疫が失敗しつつあるようで、鳥インフルエンザの拡大が止まらない。これはまずい、日本もすぐに水際防御となると心配していたら、やはり来てしまった。

 しかも、地方自治体の初動対応が遅く、手ぬるい。鳥の世界でパンデミックになってしまい、インドネシアのようにウイルスが定着してしまったら、ヒトからヒトへの感染を起こす新型インフルエンザ出現の確率はぐっと上がる。鳥インフルエンザの段階で、厳重な防疫を行わなくてはならないはずなのに、最前線となる地方自治体は、何をしていいのか良く分かっていなかったような印象を受ける。

 全国の地方自治体はもっとしっかりしてほしい。あなたたちの機敏な行動が全日本国民を守ることになるのだから。


 まず、最初に発見された秋田県・十和田湖のケース。各種報道や秋田県ホームページ(発表文はこちら(pdf))によれば経緯は以下の通り。

・4月21日、白鳥の死体3羽と衰弱した白鳥1羽を回収。
・4月23日から有精卵に接種する手法でウイルスを培養、25日にA型インフルエンザウイルスと確定
・26日、県の家畜保健衛生所が周辺農家への聞き取り調査と注意喚起を行う。
・27日にウイルス検体を独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構・動物衛生研究所(茨城県つくば市)に搬入。同日夜、H5亜型ウイルスであることを確認。
・29日、ウイルスが強毒型のH5N1型であると発表。

 まず、ウイルス検査は、技術的には1日でできる。つまり現状では、地方自治体レベルでの迅速な検査態勢が確立していないことが見て取れる。21日に回収したならば22日には検査結果を出して、23日には防疫に入らなければいけないはずなのだ。

 さらに、韓国で強毒型のH5N1型鳥インフルエンザが蔓延していることは衆知の事実だ。だからA型ウイルス陽性と判明した段階で、H5N1型ウイルスであると想定して防疫体制に入るべきなのだ。つまりどんなに遅くても26日には本格的な防疫体制が動いていなければならない。

 しかし実際には、26日からの初動防疫体制も不徹底だった。SAFTY JAPANに書いたのだけれども、今回の場合は不顕性感染を起こしたカモが、周囲にまだいる可能性があった。
 となるともっとも恐ろしいのは自動車のタイヤにウイルスを含む糞が附着して遠くまで運ばれ、二次感染を起こすことだ。すぐに検問所を設けて通行する自動車のタイヤを消毒しなければいけないのである。同時に、至急周辺地域から鳥の糞を採取してウイルス検査を行わなくてはならない。

 その後、北海道の野付半島で見つかった白鳥の死骸からも鳥インフルエンザウイルスが検出された。経緯は以下の通り。

・4月24日、観光客が白鳥の死骸を発見。
・4月27日、回収した死骸を中標津町の動物病院で解剖。キツネなどの捕食の痕跡なし(死骸を食べたキツネなどが感染し、さらにウイルスをまき散らす可能性もあった)。死後さほど時間が経ってはいなかった。
・5月1日、環境省釧路自然環境事務所が検体を持ち帰りウイルス検査。即日陽性と判明。環境省がウイルス陽性であったと発表。

 ここでも初動の遅れを見て取ることができる。おそらく秋田県の事例が出てきたことで、あわてて検査を行ったのではないだろうか。

 ちなみに北海道庁のページにはこの件に関する情報が見あたらなかった。わずかに別海町のHP短いリリースが掲載されたのみである。トップページに緊急情報として掲載した青森県の対応と対照的だ。大丈夫か?北海道。

 ヒト→ヒト感染を起こす新型インフルエンザの出現を阻止するには、鳥インフルエンザの拡大を防ぐことがとても重要なのだ。

 「ヒトにはめったに感染しないから安心して下さい」というのは事実だ。しかしこの段階での不作為はヒトに感染するウイルスを呼び込むことにつながる。いったんヒト型ウイルスが出現すれば、もう風評被害がどうのこうのなどといっておれる状態ではなくなる。

 まだ鳥インフルエンザが広がる前の段階だからこそ、大げさに思えるほどの防疫が、大きな効果を発揮する。感染拡大が進んでから大規模防疫を展開しても効果は薄いのだ。

 だからこそ、今回の初動の遅さは恐ろしい。幸いなことに今回は初動をもたついている間の感染拡大はなかったようだが、ひとつ何かの偶然が悪い方に出ていたら(例えば、ウイルスを含んだ鳥の糞が長距離トラックのタイヤに附着するというようなこと)、日本全国に鳥インフルエンザが飛び火していたかもしれない。

 韓国では危険な状況が続いているので、今後とも気を抜くことはできないだろう。以前のケースでは京都府と宮崎県の養鶏場で鳥インフルエンザが発生した。今回は秋田と北海道だ。つまり、日本中どこでも鳥インフルエンザが確認される可能性があると思わなくてはならない。

 例え感染の疑いがある鳥が発見されなくとも、鳥の集まる湖沼などでは定期的に糞のウイルス検査を行うぐらいのことをしなければならないはずである。


 その他、鳥インフルエンザ直近情報から、過去10日間の動きをまとめる。

●韓国での鳥インフルエンザ感染拡大が止まらない。どうも感染した鶏の移動を防ぐ手段がザルになっているようで、4月29日に確認されたウルジュ(蔚州)の農場の例では、21日に購入した120羽の鶏のうち104羽が死亡したという。
 5月1日付けで日本に近い釜山でも感染疑い例が出たと報道されている。日本にとってすでに対岸の火事ではなくなりつつある。

●インドネシア・ジャワ島では、4月23日に3歳男児が鳥インフルエンザで死亡した。同国での感染者は132人、死亡者は108人となった。これはもちろん確認された限り、であって、背後には相当数の未確認感染者・死亡者が隠れていると推定されている。

●オーストラリアは、パンデミックに備えてタミフルの処方箋なし薬局販売を検討している。感染初期にタミフルを服用できるかどうかが生死を分けるため、家庭備蓄を進める狙いがあるとのこと。

 日本でも、是非検討して欲しい。

●アメリカとトルコの研究チームが、鳥インフルエンザから回復した患者の骨髄細胞から抗体産生細胞を採取し、抗体を生産させることに成功した。

 新型インフルエンザ出現までの時間を稼げば、それだけ研究は進み様々な対抗策を実用化することができる。だからこそ鳥インフルエンザの段階での拡大阻止は重要なのだ。

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