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2008.06.12

A-Bike:バチモン二題

その1

 中国には「阿里巴巴(アリババ)」というB2Bコマースサイトがある。要はヤフオクが個人と個人の売買をつないでいるのと同じ要領で企業間取引をつなぐサイトだ。日本のソフトバンクも出資していて、日本語サイトも動き出している。このサイトを見ていると、中国が今何を日本に売りたがっているかが見えてきて、なかなか面白い。

 何の気なしに、「自転車、自転車部品」のカテゴリーを見ていったら、こんなものが出てきた。

深圳(zhen)市華訊唐科技有限公司

 む?これはA-Bikeか、それともニセモノか。A-Bikeはシンクレアが知的所有権を持っているはずだが、きちんとライセンス契約を結んでいるのか、それとも…

 B2Bサイトなので、深圳市華訊唐科技有限公司の詳細も掲載されている。年間売上:50億-100億円、資本金:500万-1000万円ということだから、今まさにのし上がろうとしている企業だろう。
 深圳市華訊唐科技有限公司のホームページもある。フィットネス製品とカー用品をほとんど手当たり次第に作っていることがわかる。

 さらにアリババの掲載情報を見ていくと、おおっオリジナルにはない赤と青のA-Bikeも作っているではないか!

 これはニセモノだな。

 しかし、日本向けB2Bサイトに、堂々ニセモノを掲載して売ろうとするというのは、いい根性しているというか、怖い物知らずというか。この調子だとアリババの各言語向けサイトのすべてに、バチモンを掲載しているのではないか。

 私は「だからチャイナクオリティww…」というような見方はとらないが、中国政府がWTOに加盟しても、末端がこれじゃ先行き大変だな、とは思う。

 とりあえず、書いておこう。たとえ安くてもニセモノを買ってはいけません。オリジナルほどの強度や精度がないので、危険です。

17;45追記:
 おわっ、ここにもバチモン(広州尚雅会化妝品有限公司)が!
 と思って、ずっとアリババのページを見ていったらば、そんなものでは済まなかった。

 福建省(茘城区聯合貿易有限公司)からも参戦しているではないか!

 広州(広州施耐電子科技有限公司)からもぞくぞくだ!

 ここにも(永康市弘源工貿有限公司)

 ニュー自転車(永康市衆星車業有限公司)ってのもひどいな。自分で開発したわけでもないのに。

 はっきりA-BIKEと名乗ってしまっている(永康市福旺進出口有限公司)ところも。ニセウルトラマンみたいだ。


 ひゃー、ストライダのバチモンっぽいのもあるぞ(永康市浩邦工貿有限公司)

 しかも一種類でない(永康市福旺進出口有限公司)

 ぞろぞろ、出てくる(浙江朗匯科技有限公司)ではないか。
 
 ストライドバイクなどと名前をつけているところ(浙江金拓機電有限公司)もある、

 全部見たわけではないが、まだまだありそうな雰囲気だ。なんというか…1匹見かけたら30匹は…の世界だな。

 しかし、ネットを通じてバチモンの製造元の連絡先までが一発で分かるというのは、便利になったもんだというべきなのか。

その2
 バチモンたちも、マーケットリサーチ及び研究開発に怠りはないようで、今年に入ってから、8インチタイヤを付けたものが出回るようになった。A-Ride Xとか、A-bicycleとか。

 段差の乗り越えに関して、A-Bikeの6インチタイヤが不安要素であることは間違いない。「8インチタイヤにすれば」というのは誰でも考えることで、これらバチモンは本物に先駆けて、“改良”を試みたわけだ。もちろん安い。3万7500円のところを1万2800円って、まあ奥さんお得ですわよ!

 もちろん買ってはいけない。強度の問題はもちろんのこと、重量が7.5kgになってしまっている。オリジナルの5.7kgが7.5kg。たった1.8kgの差だが、これが携行にあたっての大きな差となる。A-Bike購入以来、色々実験してみたが、人間の重さを感じる感覚は5kgを超えると少しの重量増加でも急に重く感じるようになる。また、10kgを超えると、また多少重くても大して苦には感じなくなるようだ。
 オリジナルが6インチタイヤを採用しているには、それなりの意味があると、私は考える。

 同じ7kg台なら、私はバイク技研のYS-11を薦める。8インチタイヤの自転車が欲しければ、私のお薦めはCarry-meだ。

 高いというなかれ。値段に惑わされず、きちんとコストをかけたものを見抜いて、良い物を買うことで、質の低い製品を淘汰できるのだから。

 中国最大のB2Bサイト、アリババの勃興と創業者の馬雲の軌跡をまとめたノンフィクション。書評仕事で読んだのだけれども、正直文章はあまりうまくないし、内容も散漫。それでも、中国にB2Bサイトが何をもたらしたかをはっきりと示す面白い本だった。
 B2Bサイトが、中国の商取引にもたらしたのは「信頼」だった。中国における伝統的な商取引は、人と人との信頼関係が絶対的な意味を持つ。つまりは「有関係」、コネだ。信頼できる知り合いのそのまた知り合いも信頼できる、という形で信頼のネットワークが広がっていく。
 この方法では、無関係の他人とは、お互い全く信用できないことを前提に取引を行うことになる。となると、相手を出し抜き、騙してでも一方的に利益を上げようという態度にもつながることになる。後がどうなろうと、もう二度と取引をしないから構わない、というわけだ。
 しかしアリババは、取引をした相手が相互に相手を評価し合うシステムを持ち込んだ。ヤフオクの評価と同じだ。となれば、ひどい評価を喰らうような取引は控えなくてはならない。明らかにアリババは、中国の商取引に新たな信頼を持ち込み、そのことによって大きく成長したのだと思う。

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Comments

アリババは初めて知りましたが、これってアリバのマネですよね?

まぁそこからしてパチモンくさいってことで、中国らしいんですが。

Posted by: centromezzo | 2008.06.12 at 04:57 PM

昨年訪れた深圳車站構内のお店で、ニセA-Bikeが堂々と売られていました。
何台か試乗した上で、自分が一番出来が良いと思ったものを選んで買うのです。
本物を持っているので買いませんでしたが、なるほど中国では対面販売が絶対条件だな、と思った次第。

Posted by: RK | 2008.06.12 at 06:30 PM

 ああ、そうか。確かにアリバの後追いなのかもです。まあ、アリババという名前はありだとは思うのですけれど。

>何台か試乗した上で、自分が一番出来が良いと思ったものを選んで買う
 これは、見事に中国人の伝統的な買い物の方法ですね。でも、現代の工業製品を買う方法じゃないですよね。彼らはまだQCという概念をきちんと理解していないのでしょうか。

Posted by: 松浦晋也 | 2008.06.13 at 02:29 PM

 先日、大阪某所でA-Bikeのバチモンらしい自転車を見ました。本物はある方から以前に見せていただいたのですが、一目見てパチモンとわかる色艶造作でございました。乗ったら危ないなと思わせるのは、そのせいかな。

Posted by: 林 譲治 | 2008.06.13 at 02:59 PM

もちろん私は買うつもりはありませんし、こういうのを放置すべきとも思いませんが、

http://www.hirax.net/diaryweb/2009/04/30.html#7921

有名実名ブロガーさんというか印刷画像処理技術関係者の方みたいですが実機比較

”少なくとも、今回比べた純正A-bikeは「剛性」「直進性」において、パッチモンに比べてかなり劣っていた。前輪・後輪の直進性、そしてフレームから後輪への剛性感が、全然違うのである。それは、単に個体差かもしれない。しかし、細かな部分の設計が違うことにも原因があるように見えた。それは、たとえば(略)同じ寸法・作りのようで、実は結構違う各パーツの剛性の違いである。”

”意外なことに、8インチ空気タイヤ版 A-bicycle はさまざまな部分で改善がされていて、(略)個体差は大きいだろうから、一概に判断することはできないが、今日の純正A-bike v.s. 8インチ空気タイヤ版 A-bicycle を実際に眺め、実際に触り、実際に乗ってみた上での勝負結果では、(略)圧勝だった。もちろん、メーカによる保証などは考えない上での話、である。”


” 同じものを半値以下で作ろうとするならば、1)工作精度を下げる、2)材料を手抜きした安いものをつかう——しかあり得ない。
 同じ中国で作っているのだから、人件費その他が大きく変わるとも思えない。開発コストの回収が不要ではあるが、それだけでここまで安くなるわけではない。

 つまり偽物は安い低強度の材料と低精度加工で作られている可能性が高い。”
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 低い方の可能性が実現しているようです。

Posted by: TT | 2009.05.03 at 12:02 PM

 情報ありがとうございます。

 おお、hiraxさんが、8インチA-bicycleに乗っているのですね。8000円か。

 私は8インチバチモンに触れたことがないのでなんとも言えませんが、バチモンを作る側が精進を怠らなければこういうことも起きるでしょう。面白いですね。

 正直、正規の後継モデルのA-bike plusは、この製品をどういうものにしたいのかの方向性が見えないなあという雰囲気ではあったので、製品のアップグレードの方向性をはっきり把握したメーカーが出てくると、本家もあぶないかも知れません。

 

Posted by: 松浦晋也 | 2009.05.04 at 12:01 AM

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