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2008.09.29

このっ、バカ共が!

 そりゃね、中国が神舟7号で宇宙遊泳をやると聞いた時からそんな連中が出るんじゃないかとは思っていた。

 しかし、これはいったいどうしたことか。

 「公式MAD」「絶対泡アル!!?」 「 ×神舟7号○コント7号?」 「水中船外作業?」「中国のMADのクオリティは異常?」などなどひどいタグが付いている。

 が、これが水中のシミュレーション画像に見えるなら、君らの目は節穴で、君らの脳は空っぽだ。まったく情けない。この、バカ共が!

 ビデオ1:05、1:58、2:03でなにかが画面上方に動いていくのが見える。これをもって「泡だ」とかやっているわけだが、明らかにデブリである。その証拠に等速直線運動をしている。

 おそらく、打ち上げ前の清掃で除去しきれなかったか(完全除去が理想だが、隅っこに入り込んだホコリのようなものはなかなか除去が難しい。クリーンルーム管理していても、人間が活動している場所で整備をしているのでどうしてもホコリは残る)、あるいは打ち上げ後の宇宙飛行士の活動かで発生したホコリが、ハッチ内で宇宙飛行士がごそごそするのにぶつかって、そのまま等速直線運動で、船外へと飛び出していったものだろう。

「また、デブリを出しやがって」というならともかく、「泡だ」と騒ぐのは、自らの無知をさらけだすようなものである。

 こちらの動画の17秒で、ハッチから飛び出したのは何か薄い紙のようなものに見える。「餃子が飛び出した」は、まあジョークとしてありだろう(あまり上等なジョークではないが)が、その後のコメントがあまりに情けない。

 これらの映像が、本当の宇宙空間の画像である証拠は、見ていればいくらでも見つかる。旗の揺れ方は、水のような高密度流体の中の揺れ方ではない。宇宙飛行士同様、命綱を固定しているカラビナも浮かんでいる。カラビナは水中では沈むはずだ。

 何が情けないって、中国が不愉快な国であるという前提から、中国の船外活動成功を不愉快に感じ、しかもそれに反発して「日本でもやってやる」とか「ああいう国威開発型の宇宙開発は無意味だ」というならまだしも、「プールで作ったニセ画像だ」というところに走ってしまっていることだ。

 「不愉快なことは見たくない、だからニセに違いない」というあまりに退嬰的な自己欺瞞に陥っているのである。

 今後、中国とどう付き合っていくかというのは、日本にとって大変重要な問題だ。そのためには、中国が実際に何をやっているか、どんな国かを冷静に見極めていく必要がある。「偽造大国だから宇宙遊泳映像だって偽造だろ」というのは、真実を見極める態度ではない。「事実かどうか」よりも「自分にとって気持ちの良い言説はどれか」ということが先に立ってしまっている。

 かつて、我々の父祖は同じ過ちをアメリカに対して犯した。アメリカはどのような国かを冷静に認識し、分析するのを怠り、「どうせアメリカなんてこんなもんだろ」という発想で、うかうかと戦争を始めてしまった。その挙げ句が無条件降伏だ。

 要するに、神舟7号の映像をニセだと笑っている者は、日本を対中関係において敗者とする道をたどっているのである。


 こっちの画像のコメントもひどいもんだな。

 確かに中国は今、非常に大きな問題を一杯抱えている。その一部は海外へも深刻な影響を与えている。様々な偽造の問題は、中国という国の国際的な信頼をも揺るがす事態となっている。

 しかし、だからといって先入観を持って神舟7号を見ることは、かつて我々の先祖が太平洋戦争で犯したあやまちを、再度繰り返すことにつながる。

 中国は1992年から有人宇宙計画を進めてきた。今回の宇宙遊泳成功は、彼らの16年に渡る努力と予算の投下との当然の結果である。一方の日本は2002年に、「今後10年間は独自の有人活動を行わない」と決めてしまい、その後も何もしていない。

 努力する者となにもしない者との間で、差が付くのは当然なのだ。

 幸いにして、衆議院選挙が近づいている。中国の宇宙開発をくやしく思う心があるなら、選挙で科学技術に、そして宇宙開発を支援してくれそうな政党と候補に投票しよう。

 日本のことは、日本で、しなくてはいけないのだから。

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2008.09.25

ネットでの連載

 大分間が空いてしまった。

 生きております。病気もしていません。連続更新が途切れると、なんとなく面倒になってしまうのです。

 色々世間に言いたいことはあるが、ネットに言論が溢れる昨今、ことさらに自分が言わないでもいいか、と。
 まあ、これは言い訳かもしれないが。

 最近ネットでの連載が増えたので以下に整理しておく。

松浦晋也の「宇宙開発を読む」
 多分、私の看板連載。タイムリーに記事を出していけるかが、今の課題。

SAFTY JAPAN書評
 硬派な書籍をがっちり読む、長めの書評。様々な、安全・安心関連の本を読み解いている。

SAFTY JAPAN:新型インフルエンザ
 不定期で関係者にインタビューをしている。

松浦晋也「人と技術と情報の界面を探る」
 わりと気楽に科学と技術、情報と人間といった話題を語っていくコラム。月2回連載。

松浦晋也の「モビリティ・ビジョン」
 身近な乗り物について、考えたり提案したり試したり、というコラム。ただいま「徒歩と自転車の間」について考察を行っている。隔週連載。

 さあ、仕事しよう、仕事しよう。

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