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2008.11.22

賭博と確率

 昨日の占いの話からのスピンアウト。賭博と確率論の話。

 賭け事で絶対確実に儲ける方法が存在する。胴元になることだ。

 正確に書くならば、確率的に絶対に儲かる状況を設定し、後は試行回数を十分に増やして大数の法則が働くようにするということ。

 だが、誰もが胴元になれるわけではない。

 この状況を打破するには、確率が成立する根本、「すべての事象は同様に確からしい」を崩す必要がある。つまり「確率の偏り」に関する情報を入手すれば、大数の法則から逃れることができる。

 パチンコならば、「どの台が玉が良く出るか」という情報であるし、競馬ならば「どの馬が良く走る素質を持ち、当日の体調が良いか/騎手の才能はいかほどで当日のコンディションはどのようなものか/馬場の状況は…」という情報である。

 麻雀やポーカーは、ブラフによって確率を崩す情報を自ら作り出せるところに面白さがある。

 逆に言えば、このような情報が入手/発生できない限り、儲けることを目的に賭け事には手を出すべきではない。さもなくば大数の法則に絡め取られ、絶対に損をすることになる。これは数学が保証している事実だ。

 つまり、ふらっとパチンコ屋になど絶対に入るべきではない。また、出玉の調査なしに台の前に座るべきではない。また、様々な状況を読む訓練なくして馬券は買うべきではない。「儲けること」を目的にするならば。

 そして、原理的に確率論を崩せる情報を入手し得ない賭け事には絶対手を出すべきではない。丁半賭博、スロットマシン、ルーレットなど。

 個人的に最悪だと思うのは宝くじだ。宝くじは事実上、民が喜んで支払う税金だ。胴元である国からすれば、たまにごく一部の国民に、個人には多額の、国家からすれば少額の払い戻しをすれば、大数の法則によってどばどばと税金が入ってくるとてもうれしい仕組みということになる。
 いっそ、税金もこの形式にしたらどうなんだろう。毎年、数十人ぐらい、申告した年収の2倍の税金が払い戻されるとしたら、みんな喜んで高額納税するんじゃないだろうか。

 楽しむのはいい。が、そこで儲けようと思ってはダメ。宝くじでよく言う「夢を買う」というのはかなり自己欺瞞的な言い分だが、まあありだ。もちろん「夢」は現実ではない、ということを十分認識しないといけないが。

 ちなみに、税金まで考慮すると、宝くじの期待値はかなり高いのだそうだ。それでも1を超えるわけではないのだけれど。


 とまあ、こういうことが理解できる本。以前、書評を書いたらば、出版社から「帯に使いたい」という連絡が来たので、今書店に並んでいるこの本の帯には私の推薦文が載っているはず。非常に面白いので、万人におすすめだ。特に、一攫千金を夢見て宝くじを買い続けたりパチンコ屋に通ったりしている人は読むべき…なのだけれど、そういう人に限って本を読む習慣が無かったりするのだよなあ。

 そもそも、ルネサンス期の賭博師が「儲けたい儲けたい儲けたい…(以下略)」と願い続けたところから必勝法として発達したのが確率論なのだから、確率論も理解せずに賭け事に突撃するのは愚か以外のなにものでもないのだろう。


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