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2009.07.24

はやぶさリンク:はやぶさ2はサンプルリターン機・インパクターの2機構成に

 はやぶさ2の現状について。前回書いた時点から、はやぶさ2計画そのものも、周辺状況も大きく変化している。

 まずはやぶさ2計画本体。

 探査機が同サイズの探査機を2機同時に打ち上げる形式となった。これまでの「はやぶさ2」、すなわち「はやぶさ」とほぼ同型の探査機「サンプルリターン機」に加えて、NASAのディープインパクトのような小惑星に突入するインパクター(突入機)との2機構成である。2機のサイズはほぼ同じぐらい。ただし、はやぶさのやり方だと、どうしてもイオンエンジンと太陽電池パドルがインパクターにも必要となる。2機は同時に同じロケットで打ち上げる。ロケットは、H-IIAを想定している模様。目標は従来と同じ、C型小惑星「1999JU3」である。

 同時打ち上げだが、サンプルリターン機とインパクターは違う軌道で1999JU3に向かう。共にイオン推進と、地球スイングバイを使うので、その両方で違う軌道に投入するのだろう。まず、サンプルリターン機が1999JU3に到達して表面を十分に観測。ついでインパクターが到着し、そのまま1999 JU3に対する相対速度を保ったまま突入し、小惑星に人工クレーターを形成して内部の地層を露出させる。
 サンプルリターン機は、人工クレーター内部を含む小惑星表面でサンプル採取を行い、地球に帰還する。

 すでに、JAXA内の技術審査は終わり、技術的には実行OKということになったとのこと。ただし、技術的にOKということは、JAXAの経営的にOKということを意味しない。

 このような計画になった背景に、ESAのサイエンス部門が前回書いた理由から予算不足になったことが大きく影響しているようだ。JAXAとESAは「はやぶさ2」後継の「マルコ・ポーロ(はやぶさMark2)」で協力体制を構築していたが、予算不足によりESA側がかなり弱気になっているようなのだ。マルコ・ポーロはより遠くにある枯渇彗星核を探査することを目指していたが、ESAは「マルコ・ポーロを計画縮小して2010年代後半にC型小惑星を探査できるだけでもいい」という態度になりつつあるらしい——と、ここまでが私が、あちこちで聞いた状況をまとめたものである。

 ここからは、私の推測となる。

 これではESAに付き合っていると、2010年代後半に「はやぶさ2」をESAとの協力で実施するのと変わりない。探査実施時期は遅れるし、計画は縮小する。しかも、計画には国際協力という不確定要素が入り込む。ということは、2010年代後半に確実に実施できるとは限らないわけだ。

 さらには国内的に「予算もないことだし、ESAもそういっているならば、いっそ時期を遅らせてESAと一緒にはやぶさ2をやればいい」などということになったら目も当てられない。現状の日本の宇宙開発には、残念ながら「それでもいいじゃないか」と言ってしまいそうな雰囲気が存在する。
 それでなくとも「はやぶさ2」は2010年打ち上げの予定がすでに4年も引っ張られて、2014年になっている。これが2010年代後半になると、「はやぶさ」から15年も間が空くことになる。「はやぶさ」で育った技術者も研究者も散逸するし、後継者も育たない。「はやぶさ」の成果も経験もすべて無駄になることになる。

 そこで限られた状況の中で、マルコ・ポーロでもやらない特色、しかも工学的にも理学的にもインパクトのある結果を出すには、ということで、この「サンプルリターン機・インパクター」の2機体制が出てきた——私は現状をそのように理解している。

 「はやぶさ2」の目標天体である1999JU3への打ち上げウインドウは2014年だ。探査機の開発には5年かかる。ということは、来年度予算で開発に移行しなければ、もう「はやぶさ2」実現の目はない。そのためには、今夏に行われるJAXAの来年度予算概算要求の中で、可能な限り高い優先順位に「はやぶさ2」を押し込まねばならない。

 そして、どうやらJAXA経営側が今年のJAXA概算要求優先順位のトップに据えようとしているのは「はやぶさ2」ではなく、地球観測衛星「だいち」後継の合成開口レーダー衛星「ALOS-2」であるらしい。
 さらにGXロケット開発経費も重くJAXAの財政にのしかかっている。IHIが開発費の官による負担を要望し、河村建夫内閣官房長官がGX開発継続を指示しているためだ。「GXがなくなれば、あの計画だってこの計画だってやれる」という声も聞こえてくる。
 JAXA-ESAの思惑、JAXA内のポリティクスの双方が「はやぶさ2」を揺さぶっている。

 とにかく、あと数ヶ月で結果はでる。

 待つしかない。

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