書籍紹介:「ロケットと宇宙開発」(大人の科学マガジン別冊)
学研からムック「ロケットと宇宙開発」(大人の科学マガジン別冊)が出た。私は4ヵ所のコラムなどを寄稿した。
学研ならではの手堅い作りで、スプートニクからアポロを振り返り、スペースシャトルを総括し、今後の有人探査、無人科学探査、さらには宇宙観光や軌道エレベーターまでをまとめている。ツィオルコフスキー、ゴダード、オーベルト、フォン・ブラウン、コロリョフといった先達の業績もきちんとまとめて掲載してあり、これ一冊で世界の宇宙開発を概観できるように編集してある。
この仕事の打ち合わせでびっくりしたのだが、記事のかなりの部分を外部ライターではなく、学研の社員が自ら調べ、執筆している。学研の雑誌やムックに感じる一定の安定感と安心感は編集者自らが記事を書くスタッフライター制にあったか、と得心した。
カムイスペースワークスブログで、植松電機の植松努専務も40周年と題して、このムックを「とても良い本だと思います。」と評している。
ちゃんとこのムックにはCAMUIロケットが、永田晴紀北海道大学教授と、植松専務とをフィーチャーし、6ページを使って紹介してある。永田教授は、年間わずか10億年の投資で日本版GPSを構築する構想を語っている。植松専務は「数十年前のゴダードにできたことが、最新材料や工作機械を自由に使える僕らにできないのはおかしい!」という。
その通りだ。すでに「できる」と分かっているのだから、あとは「やろう」という意志だけなのだ。意志の後にすべてはついてくる。
イーロン・マスクのスペースXが、プライベートな投資で、ファルコン1の打ち上げに成功し、H-IIAロケットと同クラスのファルコン9を開発しつつある一方で、NASAの新ロケットアレスIが、巨額の国家予算を使いつつ、弾道飛行試験機アレスI-Xの打ち上げすら、ずるずると遅れているのはなぜか——。
色々理由は付くだろう。「アレスは有人仕様で安全性を重視する」とか、「打ち上げ能力がずっと大きい」とか…「そもそも比較することが間違っている」と言う人もいるかもしれない。が、多分最大の差は熱意と意志だ。「自分のロケットを作る」という熱意と意志。
一冊本棚に置いておき、折に触れて読み返すと、色々と鼓舞されるムックだと思う。
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