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2010.07.22

木曜日は月探査に関する懇談会

 7月29日木曜日に、宇宙開発戦略本部・月探査に関する懇談会の第9回会合が開催される。

月探査に関する懇談会 第9回会合の開催について

標記会議を下記のとおり開催しますので、お知らせいたします。 なお、本会議は一般に公開して行います。

記 日 時 平成22年7月29日(木) 16:00~18:00
場 所 中央合同庁舎第4号館4階 共用第4特別会議室

議 事(予定)
(1)報告書(案)について

※ 傍聴について傍聴をご希望の方は、7 月 27 日(火)17:00までに、傍聴者の氏名、職業、連絡先を明記の上、下
記問い合わせ先(i.space@cas.go.jp)まで電子メールにてご登録ください。件名は「【傍聴希望】月探査に関する懇談会第9回会合」としてください。希望者多数の場合は抽選により、傍聴できない方のみ 7 月 28 日(水)12:00 までに連絡いたします。傍聴される方は、開始時間までにご来場ください。なお、入居ビルのルールに従い、入館時にセキュリティチェックが行われますので、身分証明書等本人の確認ができるものを御持参いただきますようお願いします。

 宇宙開発委員会・推進部会同様、ウィークデイの午後に2時間も霞が関まで出てきて傍聴できる人は多くないかも知れない。が、興味のある方は傍聴してほしい。

 報告書(案)とあるが、ここで「日本は月にどかんと金を突っ込むか否か」が見えてくるはずだ。

 
 この件、当blogでも月で公共工事をしたいのかで詳しく書いた山川新宇宙開発戦略本部事務局長の今後を見る上でも重要だし、何よりも今後の日本の方向性を妙なことで決められてしまうかどうかという大きな分かれ道である。


 月探査に関する懇談会とは、要はいつもの霞が関のやり方で、「日本はアメリカの有人月探査計画に追従します。そのための予算が必要です。ほら、日本中の関係者もこう言っています」というお墨付きを作るための会合だった。「みんなが、そうしよう、そうしようと言っています」という形を報告書という公文書にして、政治の側に「ん?そうか、そうなのか、それじゃしかたないな」と予算を出させる仕掛けというわけだ。
 反対する者に対しては、「しかしかくかくしかじかと、もう文書が正式のものとしてまとまっていますから」「国として決まったことですから」と反論を封じる道具になるわけである。

 国として決まったことであっても、間違った前提で間違った方向に進めば悲惨なことになる。当たり前の話だが、その当たり前がなかなか霞が関界隈では通用しない。

 月探査に関しては、今年年初のオバマ新政策でアメリカの有人月探査計画がキャンセルされ、そもそもの「アメリカに追従して予算を取る」前提が崩壊してしまった。

 普通に考えるならば、前提が崩壊した以上は月探査に関する懇談会は積み上げた議論を破棄してゼロから仕切り直すべきだ。ところがそうはならず、月で公共工事をしたいのかを書いた6月末の時点では、「日本は月探査をやる。2020年までに月探査に2400億円をかける」という方向で報告書を出して決着しようとしていたのだった。

 実際かなり危ないところまで行ったようで、私が聞き及んだ限りでは、宇宙開発戦略本部事務局上層部で、1人だけが「アメリカが有人月探査を中止した現状でこの話を進めるのはいかがなものか」と承伏しかねる態度をとっていただけで、残るところは事務局からJAXAに至るまで、「月で決定にしろ」と主張していたらしい。

 彼らは「2020年までに2400億円」という具体的な数字を、公文書に書き込みたかったのである。月探査に関する懇談会は、宇宙開発戦略本部の正式の会合だ。宇宙開発戦略本部は内閣総理大臣を長とする、権限の強い組織である(実際問題としては官僚中心の事務局が仕切っているわけで、そこに山川新事務局長が就任した大きな意味もある)。

 だから月探査に関する懇談会の報告書に「2020年までに2400億円」と書き込めれば予算獲得という点では非常に有利になる。

 ここで重要なのは、官僚側が欲していたのは「2020年までに2400億円」であって、「月」はどうでもよかったということだ。月に対する何のモチベーションも、月探査の意義への理解もなしに、とにかく予算だけを取ろうという発想なのである。月に2400億円を付けることで、その他の宇宙開発でどんな歪みが出るかといった視点は皆無で、「予算の大枠確保ができる」ことが最優先ということだ。

 もしも、アメリカが月をすっとばして有人火星探査計画を立てていたら、火星探査に関する懇談会が組織されて、「日本は重点的に火星探査を行うべきであり、火星探査のために2020年までに●●億円」という報告書が出ていたであろう——そういう話なのである。

 そこには国家戦略も、宇宙探査のロードマップも、宇宙科学発展のためのサイエンスへの理解も、なにもない。組織維持のために予算を取るという観点しかない。

 月探査に関する懇談会は、第8回会合で、我が国の月探査戦略(案)(pdfファイル)という、事実上の報告書案を出して、パブリックコメントを募集した。相当数のパブコメがあつまったそうである。

 パブリックコメントには、通常は事務局から回答が出てくるものだが、それすらなしに、今回もう一度「報告書(案)」が出てくるあたり、何らかの仕切り直しが行われたという希望を抱かせる。

 実際、どのような内容の報告書(案)が出てくるのかを注視したい。

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