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2010.08.28

宇宙開発戦略本部の文書を読み解く

 最近、少々ココログの仕様が変わって、スパムのコメント投稿、スパムのトラックバックを自動的に弾くようになった。ところが、フィルターがまだ不完全なのか、学習が足りていないのか、時折まともなコメントやトラックバックを弾いてしまうことが起きている。気が付き次第、正常に掲載されるようにはしているが、当方が気が付かないで掲載が遅れることがあるかも知れない。
 当面、ご容赦ください。

 昨日の宇宙開発戦略本部の文章について。少々細かく見ていくことにする。

(3)最先端科学・技術力の強化  世界トップレベルの成果を挙げている宇宙科学・技術分野については、引き続き、我が国の強みを活かしながら取り組んでいくことが必要となっている。
 この部分は現状認識。「政府はこのように現状を認識している」ということを宣言している。



 小惑星探査については、「はやぶさ」の微小重力天体からのサンプルリターン技術を発展させ、鉱物・水・有機物の存在が考えられるC型小惑星からのサンプルリターンを行う探査機について、小惑星との位置関係等を念頭に置いた時期の打上げを目指し、開発を推進する。

 小惑星探査に関する主文。対象は「はやぶさ2」ではなく、あくまで「小惑星探査」であることに注意。そのまま、はやぶさ2に関して述べている用に読めるが、どこにも「はやぶさ2」、「2014年打ち上げ」という言葉は入っていない。「C型小惑星からのサンプルリターンを行う探査機を」、「小惑星との位置関係等を念頭に置いた時期の打上げを目指し」「開発を推進する」と述べているだけである。
 だから、例えば「はやぶさ2はもう間に合わないから、はやぶさ2を破棄して、はやぶさマーク2を推進する」というようなことがあっても、この文言は有効ということになる。
 官庁の文書によくある典型的玉虫色文言だ。
 ただし、はやぶさ2を推進したい側はこの文書を「政府決定である」と利用できる。


 月探査については、宇宙開発担当大臣の下での「月探査に関する懇談会」の検討結果をも踏まえ、国際協力による効率的な実施や実施時期などについて柔軟に対応しつつ、着実に推進する。

 これは、小惑星探査以上にあいまいな文面。「開発を推進する」ではなく「着実に推進する」だし、実施時期についても「柔軟に対応」としている。つまり、この文章に従う限り、国際公約などで絶対に実施しなければならいところに追い込まれるまで、実施を引き延ばすこともできる。
 ただし、「「月探査に関する懇談会」の検討結果をも踏まえ」とあるので、懇談会報告書(pdfファイル)からはずれることはできない。

 何度か指摘しているが、官庁の文書は独特の読みとりを必要とする。

 ひとつはっきりしていることは、政府が当面の宇宙開発の重点として「小型衛星・小型ロケット」「地球観測」「準天頂衛星」「ISS運用延長」「宇宙システムのパッケージによる海外展開」「小惑星探査」「月探査」を選んだということだ。つまりこれらに関しては何らかの予算措置があることが確実になった。
 「当面」というのも、いつからいつまでかがわざとぼかされていることを意味している。おそらくは今後の政治状況の変動を織り込んでいるのだろう。

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