小惑星や彗星を取り上げたSF
小惑星や彗星をなんらかの形で取り上げたSFはどれぐらいあるだろうか。
実はこういうページが、小天体探査フォーラム(MEF)にすでにある。
MEFは2000年に、宇宙研の矢野創さんを中心に、次世代の小天体(小惑星・彗星)探査を、研究者のみならず一般の宇宙・天文愛好家も参加して考えるという趣旨で組織された任意団体。2005年頃まで積極的な活動を行い、その成果はMEFホームページで公開されている。現在は、ホームページのメンテナンスが続いている状態だ。
中村良介さんは、産業総合技術研究所所属の小惑星・地質の研究者。よくSFを読んでいて、MEFホームページ内に、リストをまとめた。
野尻抱介「轍の先にあるもの」「ピニェルの振り子」、池澤夏樹「アステロイド観測隊」、水見稜「マインドイーター」、菅浩江「永遠の森-博物館惑星」、、笹本祐一「彗星狩り」……
海外作品では、マイク・レズニック「キリンヤガ」、グレゴリー・ベンフォード&デビッド・ブリン「彗星の核へ」、オースン・スコット・カード「エンダーのゲーム」、ジョン・バーリー「バービーはなぜ殺される?」……いろいろあるなあ。
同じ質問を日本人作家限定でTwitterで投げたら、また少し毛色の変わった答えが様々な人たちから帰ってきた。中村さんのリストと重ならない範囲で列挙すると——谷甲州「彷徨える星」、林譲治「小惑星ラプシヌプルクルの謎」、小林泰三「灰色の車輪」、エリック・コタニ(近藤陽次)「小惑星諸島独立す」「彗星爆弾地球直撃す」、マンガでは、星野之宣「太陽惑星イカルス」、あさりよしとお「アステロイド・マイナーズ」——ほとんど別格の存在として、谷甲州「航空宇宙軍史」と、野田昌宏「銀河乞食軍団」の2シリーズが挙がった。
もちろん「ガンダム」という答えは多数。「舞台というほどではありませんが「ヤマトよ永遠に」は、小惑星イカロスから発進します。」という指摘もあった。
個人的に思い浮かんだのは、野尻抱介「アンクスの海賊」「轍の先にあるもの」、小川一水「Slowlife in Starship」、堀晃「イカロスの翼」、高齋 正「宇宙の牢獄」、横田順彌「小惑星遊侠伝」といったところ。
上記リストには絶版本も入っている。特に厳密なリストをまとめるつもりもないので、まあ適当に読み進んでもらえればということで。比較的最近出版され、入手も容易な以下の3冊を推薦しておく。
「轍の先にあるもの」を収録した野尻さんの短編集。収録作品がどれをとっても傑作宇宙SFという希有の一冊である。「轍の先にあるもの」は、アメリカの小惑星探査機NEAR-シューメイカーによる小惑星エロス探査の話(この部分はほぼ実話)から始まる、SF私小説とでもいうべき作品。「沈黙のフライバイ」「轍の先にあるもの」「片道切符」「ゆりかごから墓場まで」「大風呂敷と蜘蛛の糸」を収録。ちなみに解説は私が書いている。
こちらは小惑星イトカワとはやぶさの遺物が出てくる「Slowlife in Starship」を収録した小川一水さんの短編集。ソーラセイル輸送船で太陽系を旅する運送屋の引きこもりな日常が、イトカワとはやぶさによってかき乱されるという作品。「フリーランチの時代」「Live me Me.」「Slowlife in Starship」「千歳の坂も」「アルワラの潮の音」を収録。
あさりよしとおさんが描く、小惑星で暮らすとということの真実!「蟹工船〜っ!」。例によってブラックな笑いをちりばめつつ、透徹した視線で「宇宙で暮らす」ということの意味を想像していく。「宇宙のプロレタリア」「軌道上教習」「ゆうれいシリンダー」を収録。私は特に、なつかしいジュブナイルSFの肌合いを見せる「ゆうれいシリンダー」が気に入っている。
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Comments
海外作品ですが、キャプテン・フューチャーシリーズをどうしても含めてもらいたいです。。。
なんつったって、主人公の駆る宇宙船の名前が「コメット」ってくらいですから。
Posted by: すぎたっち | 2010.08.26 at 10:29 AM
おお、キャプテン・フューチャー。そうですね。舞台ということになると、「時のロストワールド」が、くだけて小惑星になる前の惑星(カタインといいましたっけ)の話でしたね。
現在、大きな惑星が砕けて小惑星帯になったという説は否定されていますけれども。
Posted by: 松浦晋也 | 2010.08.26 at 10:49 AM
いつも興味深く拝見させて頂いております。
マイク・レズニック「キリヤンガ」となってましたが「キリンヤガ」が正しいかと。
Posted by: Crf | 2010.08.26 at 11:12 AM
いけない、直しておきました。指摘ありがとうございます。
しかし、「メリケンコ」「メリコンケ」じゃないですが、どうしてこういう文字がひっくり返る間違いをしてしまうんでしょうね(それとも私だけ?)。
Posted by: 松浦晋也 | 2010.08.26 at 02:36 PM
彗星SFの海外ものだと、ニーヴン&パーネル「悪魔のハンマー」って超大物が…破滅SFの面が大きいのは否定しませんが。
あと、舞台仕立てがファンタスティックながらしっかりハードSFな、「インテグラル・ツリー」も。
Falling onion添えた生のSalmonBird食ってみたいですねえ(いやま、スモークサーモン&生玉葱と味は変わらんのでしょうが、雰囲気的に)
Posted by: 実松 | 2010.08.26 at 07:40 PM
海外SFで彗星が登場する有名作品といえば、クラークの『2061年宇宙の旅』が抜けていませんか?
あれはもろにハレー彗星が前半の主役なのですが・・・
Posted by: Escher | 2010.09.03 at 06:26 PM