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2017.02.11

「この世界の片隅に」からはじまる読書ガイド5冊

 映画「この世界の片隅に」がヒットを続けている。しかも様々な賞を総なめだ。

 自分は大変幸いなことに、公開後の割と早い時期に片渕須直監督のインタビューという仕事をすることができた。インタビューを手配したY中さんに感謝である。

 私は、「この世界の片隅に」は単なる映画の傑作ではなく、文化史的な事件だと思っている。
 決して誇張ではない。この映画により、私達は70年昔の戦争を、今と地続きの“そこにあった/そこにある現実”として改めて認識しなおすことになったのだから。
 もうあの戦争が、「いつかどこかであった、自分とは関係のない、知らない戦争」に戻ることはない。あの戦争は「すずさんが体験した、すずさんがそこに暮らしていた時と場所」として私達のなかに刻まれた。
 映画の公開が続く限り、そしてロードショー公開が終わっても、ディスクが発売されたり、あるいはテレビで放送されるたびに、私達は、かつての「今と地続きのあの時、あの場所」として昭和18年から昭和21年にかけての広島・呉を思い起こすことになるだろう。何度でも、何度でも、思い出すだろう。
 すずさんの生きる“世界の片隅”は、世界のすべての“片隅”へとあまねくつながっている。どの片隅にも誰かがいて、なにかをしていて、それら全てが寄り集まることで社会とか歴史とかが形成されていく——自分にとって「この世界の片隅に」はそう思わせる映画だった。
 非常に高密度に情報が詰め込まれた映画なので、何度観ても発見があり、しかもさりげないシーンが画面の外側の事象を反映している。

 以下、そんな映画の画面の外にある/あった世界についての読書ガイドを掲載する。なるべく基礎的な本に絞って5冊、プラスさらに読み進めることができる本で構成した(一部本でないものも入っている)。
 お勧めの本は以下の通り。

    
 まだ映画を観ていない方は、是非観てください。その上でこのページを読んでもらえたら幸いです。  以下の本文中で、幾分映画の内容に触れるので、未見の方のためにここで記事を分割します。

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2015.10.03

TSUTAYA管理の海老名市立中央図書館を観察してきた

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 久しぶりにブログを更新する。

 本日2015年10月3日、海老名市立中央図書館に行ってみた。佐賀県武雄市の図書館に続いて、レンタルチェーンのTSUTAYAが指定管理者となり管理を行う2つめの図書館で、この10/1にTSUTAYA管理下で稼働し始めた。
 武雄市の図書館は不明瞭な選書や、貴重資料の破棄など色々な問題が噴出している。
 私は仕事がら近隣の複数の図書館を頻繁に利用しているので、TSUTAYA問題は他人事ではない。図書館が図書館として機能しなくなったならば、私にとって死活問題である。このため指定管理者としてのTSUTAYAにはどの程度の能力があるのかには大変興味があり、2時間半ほど滞在して可能な限り観察してきた。

 私の結論を先に書くと、海老名市立中央図書館で見たものは、図書館の形をした図書館ではないものであった。手塚治虫が「マグマ大使」で描いた“人間モドキ”が人間ではないように、そこにあるのは図書館ではない“図書館モドキ”である。
 ひとつ、午後9時まで開館しているという美点があるが、それも図書館が図書館として機能していればこそ意味があることだ。

 海老名市立図書館は4階建て。1階が“売り”であるスターバックスとTSUTAYA書店、地下階(おそらくはかつての閉架式書庫)が文芸、2階と3階がその他の書籍で、4階が児童書という構成になっている。玄関入ったところの一等地をTSUTAYAの商業スペースが占めており、本来もっとも入りやすい場所にあるべき児童書が4階というあたりに、TSUTAYAの図書館に対する姿勢がはっきりと出ているように思える。
 また図書販売と図書館のスペースは床の色を変えるなどして画然と分けるべきが別れていない。4Fの児童書のところにも販売スペースがあり、ここも視覚的に販売と図書館が分離していない。子どもはかなり戸惑うだろう。
 ただし、児童書コーナーは棚も机も低く、子どもに合わせてある。以前から建物の設計がそうなっていたのか、それともTSUTAYAが意図してそうしたのかは不明である。


 この図書館最大の問題は、欲しい情報に行き着くのが通常の公立図書館と比べて難しいということだ。図書館本来の機能が損なわれているのである。
 まず、本は通常の日本十進分類表(NDC)ではなく独自の分類で配列されている。これがかなりいい加減で、どの本がどこにあるか分かり難い。
 NDCはなかなか良く出来た分類で、これに従っている限りどこの図書館にいってもどのあたりにどんな本があるか見当が付くものだが、海老名市立図書館では全く見当がつかない。分類は「旅行・暮らし・趣味」「料理」「建築」などのキーワードで行われているが、どうも分類は内容を見ずにタイトルで機械的に行っているらしく、本が変な棚に分類されているのを多々発見した。

 こうなると、目的の本を探すには検索機を使うことになる。が、これがまた色々問題含み。
 検索機は本棚に埋め込んだタッチパネル形式のもの。まず、トップメニューに、図書館蔵書と1階のTSUTAYA書店の在庫の検索が同じ大きさで表示されている(ここは“本屋も附属する図書館”であり“図書館の附属する本屋”ではないはずだが)。
 そこで蔵書を検索すると、「どこにその本があるよ」というディスプレイ表示が出るが、この表示がわかりにくい。
 検索機には印刷機能があるので、感熱紙のプリントアウトを出して、本を探すことになる。ところがこれもまた非常にわかりにくい。

Ebina_sheet 左は、検索機のプリントアウト。例に取ったのは、拙著の「コダワリ人のおもちゃ箱」(エクスナレッジ刊)だ。まず、印刷された館内地図が分かり難い。NDC分類だと本の番号がわかればそれを頼りに書棚を探し、番号順にたどることで本を見付けられるが、独自分類を行っているので通常の手段が使えない。
 プリントアウトには本棚の番号が記載されているので、これを頼りに場所を探すことになる。ところが、これで分かるのは棚の位置だけで、「棚の中のどの位置に本があるか」は片っ端から見ていかなければならない。
 やっと探し当てた「コダワリ人のおもちゃ箱」は、パソコンの棚にあった。この本は趣味を追求して突き抜けてしまった人々を訪ね歩いたノンフィクションなのだが、なぜかパソコンの棚に入っていたわけである。
 プリントアウトには拙著がNDC分類で504(技術・工学の論文集. 評論集. 講演集)に分類されていることがはっきり記してある。内部的にはNDC分類も記録してあるらしい。

 どうも、本の整理方法はTSUTAYA書店のものをそのまま流用しているのではないかと思われる。おそらく最大限に本を売るために作り上げた書店用の整理手段を、そのまま機能が異なる図書館に適用してしまったのではなかろうか。

 図書館は必要とする情報を、すぐに引き出せることが第一である。この機能を持っていない以上、TSUTAYAが管理する海老名市立図書館は、図書館ではない。“図書館モドキ”と形容する所以だ。


 その他、すでに色々指摘されている選書を初めとして、問題は数多い。以下、図書館内の観察しつつ書いたメモを整理して掲載する。

  • なぜか旅行ガイドブック類が多い。大量の「地球の歩き方」があったが、同じ地域が3冊も4冊もあり、しかも年次がばらばら。例えばアメリカ版では2011年版が入っていてた。以下、中国も2011年版、スイスは2009年版があった。一年違うと役に立たないものだし、資料的価値があるとしても、これは地方図書館が限られた書架スペースを使って収蔵すべきものではない。

  • すでに指摘がある通り、IT・パソコンの棚は死屍累々。Windows98、Me、XPの解説書などが収蔵されている。以下確認できた限りで、Mac OS7.6やMacOSX 10.1、Word2000、Office2003、Photoshop5.0 /6.0の解説書など。一番古い本は、と思ってざっと見ていくと1997年のフリーウエア解説書や、よくわかるThe CARD for Windows95 などという本もあった。
     これらは、TSUTAYAが管理者として入る以前からあったのかも知れないが、リニューアルで選書・破棄できたはず。以前からあったならTSUTAYAは管理者として適切な選書ができていないし、TSUTAYAが新規に海老名市に購入させたものならば、図書館にどのような本を収蔵すべきかのポリシーがまるでなっていないということになる。

  • 資格試験類のHow Toものの棚に1994年及び1998年版「資格の取り方」があった。「資格試験ガイドブック2002年度版」も。イミダスはなぜか2007年度版のみがあった(現在イミダスは紙の出版を終了してネット上へと移行している)。

  • 本の並び。なぜか殺人関連のノンフィクションと戦記ものが並びになっている。気象・地学と天文学の棚が全く別の場所にある。日本動物誌(日本に住む動物の一覧)と、アイザック・アシモフの選集とUFO関連図書が同じ「エコロジー」の棚に並んでいる。時計関連は技術ものもまとめてファッションの棚にある。

  • 地下の文芸関連の書棚で、全集はほとんどが手の届かない高い棚に置かれている(以前は閉架にあったものか?)。下から見上げると一番上の棚は本の題名も読みにくい。開架になっている意味なし。

 現在の公立図書館に様々な問題があることは知っているし、TSUTAYAがその問題に対する解決策としてこのような図書館運営を提案したことも理解できる。が、私が今日見たものは図書館のふりをした図書館ではないものだ。
 一番恐ろしいのは、このような図書館モドキが普及し、人々が「これが図書館だ」と思い込んでしまい、本来の図書館を忘れてしまうことだ。その時、本来の図書館は「こんな辛気くさい場所は図書館ではない」と一般からの攻撃の対象になるだろう。

 私は図書館には図書館の機能を求める。本が欲しければ本屋に行くし、コーヒーが飲みたければスターバックスに行く。本を買うため、コーヒーを飲むために図書館には行かない。
 図書館は長い歴史の中で培われ、知の集積場所としての機能を洗練させてきた。TSUTAYAのこの事業の担当者はそのことを知らないのか、知ろうとしないのか、図書館ではないものを図書館であるとして、図書館の運営に悩む地方自治体に売り込もうとしている。

 かつて拙著「電子書籍についての15の考察~次世代にいかに情報を引き継ぐべきか」の中で、電子書籍時代に図書館はどうあるべきかという問題を論じた。まさか現実において「電子書籍とどう向き合うか」という問題以前のところで、「コーヒーショップとしての図書館モドキ」が出現するとは思ってもいなかった。

参考リンク
海老名市立図書館に行ってみた

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2013.12.30

【宣伝】コミケ85三日目に参加します(東P-37b)

 ぎりぎりの告知になってしまいましたが、明日のコミケット85にサークル「L/D」として参加します。

 場所は東P-37b。自転車島です。

新刊は、「Recumbent Jahoo!(リカンベント・イヤッホウ!)」。リカンベントと折り畳み自転車の本です。自転車のタイヤに付いての解説と考察入りです。B5モノクロ16ページ。予価300円。

 ・「「Recumbent Jahoo!(リカンベント・イヤッホウ!)」
  オフセットB5版16p 予価300円


 以下が表紙と目次です。

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 こんな感じの本です。
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 夏コミの既刊2冊も販売します。




 ・「Meet The Frog With The Ant」

 ・「2人の男の物語」

 共にオフセットA5版32p 500円


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 今回、音楽評論の本は間に合いませんでした。伊福部つながりで彼の師匠であるアレクサンドル・チェレプニン(1899〜1977)を調べ始めたら面白くてついつい深入りしてしまい……夏コミにうまく通れば、このあたりをまとめた本が出せるかも知れません。

 今回、体調不良なので、早めに店じまいするかも知れません(実は本日まで軽い病気だったのですが入院していたのです)。お買い物はお早めにお願いいたします。


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2013.08.09

宣伝:8月11日(日曜日)、コミケット84(2日目)に参加します。西地区“か”ブロック-44b

 前回のC83に引き続き、コミケット84にサークル「L/D」として参加します。
場所は2日目日曜日の 西か-44bです。

 今回販売するのは以下の2冊。

 ・「Meet The Frog With The Ant」
 ・「2人の男の物語」
 共にオフセットA5版32p 予価500円
Frogantcover  2_3

 「Meet The Frog With The Ant」は前回コピー誌で出した小型折り畳み自転車「BD-Frog」「Bipod-Ant」の本を大幅に書き足してオフセット化したものです。目玉はFrogに対して行った改造の記録です。2007年以降の6年間で得た、小径折り畳み車をより使いやすくするための改造のノウハウを集大成しました。

 「2人の男の物語」は、前回の「遙かなりゴジラの遍歴」に続く、音楽評論本。目玉は伊福部昭と早坂文雄を、親友であった2人の作品を人生の交錯を絡めて論じた「ますらをぶりとたをやめぶり  2人の男の物語」です。
 2冊とも文章主体の本なので、以下に目次を掲載します。

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 両方買って頂いた方には、ちょっとしたおまけを用意するつもりでいます。

 また、今回はサークル「ロケットまつり」が落選したので、ロケットまつりの既刊本とペンシルロケットTシャツの委託販売もいたします。


 以上、よろしくお願いいたします。

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2012.10.16

ちくま文庫版「スペースシャトルの落日」、目録落ちのお知らせ

 本日、筑摩書房の編集さんから、連絡あり。ちくま文庫版「スペースシャトルの落日」が、今年度限りで目録落ちが決まったとのこと。

 スペースシャトルも退役し、オービターもそれぞれ博物館に入った。もとの本を執筆したのは、「コロンビア」空中分解事故から、シャトルが復帰しようとしていた2005年だ。十分この本も社会的使命を果たしたということだろう。残念だが仕方がない。

 ただ、このちくま文庫版は「増補」とあるように、シャトル以降の宇宙輸送システムについては、主にアメリカの民間宇宙開発の進展と米政府の補助金政策を受けて全面的に書き直した。全体の1/3ぐらいだろうか。この部分の内容は今も生きている。これはちょっと惜しい。

 現在版元在庫は400冊ほどとのこと。目録落ちの来年3月末までに、売れるだけ売れて欲しいし、願わくば完売で有終の美を飾りたい。

 もしも「2005年のハードカバー版を持っているから読んでいない」というような方、あるいは「いつか学校の宿題でスペースシャトルについて書こう」と考えている方、「この先のロケットってどうなるの」という疑問を持っている方などなど、おられましたら、この本の購入をご検討下さい。図書館での購入を希望するというのもありです。

 店頭やネット書店などで手に入るのは、あと半年です。

 以下にネット書店へのリンクを掲載しておく。

 実は一部は、2005年のハードカバー版もまだ市場に残っている(e-hon楽天ブックス)。こちらは、内容的にはもう古くなっているので、マニア向きというか、コレクター向きというか、宇宙開発史の研究家向けというか……著者本人が言ってはいけないな。
 ちくま文庫版ともども、もしもロケットまつりなどに持ってきてくれたならばサインいたします。

 400冊——コミケの大手なら数時間でさばく冊数だ。全部売れて欲しいと切に願う次第。


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2012.08.22

自転車2.0/3.0を思いついた背景

 もうちょっと軟らかく、自転車2.0/3.0のことを。

 基本的には自転車とリカンベントの両方に乗って、けっこうな性格の違いを感じている中から出て来た発想なのだが、最後にぐいっと後押ししたのがこれだった。

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 これはカナダのVarna handcycleという会社が作った、人力速度記録車「Verna Tenpst」という車両だ。男子人力一人乗り、200m区間というカテゴリーで、2012年8月現在、133.28km/hという記録を持っている。地上最速の人力車両だ。

 「これにモーターアシストつけたらすごいことにならないか」と思ってしまったのである。
 
 もちろんレコードブレイカーは公道を走る車両と色々違うから、そう簡単な話でもないのだけれど、それでもぎりぎりまで抵抗を減らすと人一人のパワーだけでもここまで速度を出せるということに感激し、それを一般化するにはどうすればいいかと思った時に、電動アシストという解が浮上してきたのだった。

 背景には、ここ数年、せっせと湘南平へヒルクライムに通っていたということもある。湘南平は、湘南海岸大磯にある小高い山の上の公園で、ふもとから公園まで上る1.5kmほどの急坂が、自転車のヒルクライマーたちの練習場所になっている。ある日ぜいぜい息を切らしつつ上っていると、おばちゃんの乗った電動アシストのママチャリが軽やかに私を抜いて上っていったのだ。
 くやしいよりも、「おお、電動アシストやるじゃないか」と思ってしまった。

 そうして情報を集めてみると、電動アシストはけっこうつかえる技術であり、にもかかわらず今の日本で、電動アシスト自転車が中高年向けなのは、警察の規制が、そのように仕向けているからだということが分かってきた。

 なんともったいない。警察の規制を取っ払い、リカンベントにでも取り付けたらこれは、原付よりも使える乗り物になるかも知れない。それどころか、ベロモービルに付ければ自動車よりも省エネで自動車並みに使えるものになるかもだ。

 そこであれこれ考え、調べ、コンセプトとして練り上げたのが自転車2.0/3.0というわけなのである。

 この本は売れないと悲しいので、もう一度アマゾンへのリンクを張っておく。ステマ:ステルスマーケティングに対してモロマという言葉があるそうだが、この場合はなんというのだろう。
 ともかく、本というのはまずは「そういう本が存在するよ」というフラグが人々の間に広まらないと手にもとってもらえないのである。


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2012.08.17

宣伝:8/18に新著「のりもの進化論」(太田出版)が発売されます

Norimono

 立て続けですが、こちらは単著です。以前ワイヤードビジョンに掲載した連載「松浦晋也のモビリティビジョン」(連載時の記事はリンク先で読めます)を下敷きにして大幅改稿した、「人間にとって、社会にとって、移動とは何か?よりよいモビリティとは?」を考察する一冊です。元々は、乗り物について気楽に書いていくという趣旨だったのですが、だんだんモビリティと社会、モビリティと法律、地震や津波のような大規模災害とモビリティ——とテーマが拡がり、本書の最後では都市の空間デザインや、社会全体のエネルギー消費とモビリティというところにまで踏み込むことになってしまいました。

内容紹介
リカンベント、ベロモビール、電動一輪車、HSST、ツボグルマ……科学ジャーナリストとして活躍する著者が送る、乗って、見て、考える 体験的のりもの考 !

【目次】


  • 序章
  • 第1章 自転車進化論
    自転車の有用性を再考する/ハードウェアとしての自転車/「乗る」と「持ち運ぶ」の狭間で/自転車と社会制度/人力が持つ大きなモビリティの可能性
  • 第2章 アリストテレス号からニュートン号へ
    Human Powered Vehicleの可能性/来るべき「自転車2.0」/「自転車2.0」を可能にする社会
  • インターリュード 目的に対する最適デザインとユーザーの慣れについて
  • 第3章 自動車を巡る基本的な構図
    自動車と道路は不可分、ではそのコストを払うのは誰?/大きくなる自転車/「ツボグルマ」の理想と現実/自動車を小さくするために/電気自動車の将来性と、その社会的費用
  • 第4章 新たな利便は創出されたか
    たそがれ未来のモノレール/いいモノレール、悪いモノレール/間違いの根本にある顧客不在/便利な公共交通機関を手に入れるために
  • 第5章 住みたくなる街のモビリティ
    甦る路面電車/悩ましきコミュニティバス/よりよく動く、よりよく住む、よりよく生きる/「幻想吉祥寺」の都市計画/ミニマムエネルギー、マキシマムモビリティ
    あとがき

 本書の中で提案している「自転車2.0」「自転車3.0」という新しい移動手段の概念については、同時期の別連載「人と技術と情報の界面を探る」(PC Online)でも考察しています(連載時の原稿は無料登録をすれば読めます)。
 このPC Onlineの連載も、大幅改稿の上で電子ブック「格安自転車を使うことで失われる3つの感覚〜自転車2.0への提言 」に収録してあります。併せて読んで頂ければと思います。

 連載時には“次の自転車”として、ティム・オライリーを真似て「自転車2.0」という言葉を使ったのですが、今回本書を執筆中に「さらにその先があり得る」と気がついて、新たに「自転車3.0」という言葉を使った次第です。
 このあたりは、自分が各種自転車やリカンベントに乗っていなかったら気がつくことはなかったでしょう。「実際に乗ってみる」ことはとても重要です。

 ともあれローラースケートやスケートボードから、自転車に電動アシスト自転車、「自転車2.0」に「自転車3.0」、自動車、鉄道、モノレール、新交通システム、路面電車などなど、「移動する道具」とその未来について横断的に色々考えてみたよ、という本です。

 読んで頂ければ幸いです。

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2012.08.16

宣伝:小惑星探査機「はやぶさ」大図鑑、発売中

 久しぶりの更新ですが、宣伝です。8月1日に偕成社から「小惑星探査機「はやぶさ」大図鑑」が発売されました。


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 私は解説の文章を担当しています。

 小学生中学年向けということでしたが、とにかく大変な仕事でした。専門用語は使えない上に文字数はぎりぎりまで制限されています。それこそ「スイングバイを100文字で説明して下さい」というような発注が山のように来て、七転八倒しました。その甲斐があったかどうかは、本を手にとって確認してもらえればと思います。絵を主体とした図鑑ですから、主役はなんといっても池下章裕さんの細密なイラストレーションでしょう。大人であっても、イラストを見るだけでも楽しめるでしょう。

 願わくばこの本が次の世代を担う子供たちに届きますように。

 今日から少しずつ更新を再開したいと思います。

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2011.08.18

コミケット御礼

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  8月14日のコミケット80、3日目は大変御世話になりました。おかげでロケットまつりブースで販売した「星を作った男〜昭和の衛星屋さん〜」は当初予定を超える部数を販売することができました。一度は最初に予定した部数を売り切って「完売」の表示を出したのですが、午後から会場にいらっしゃった著者の小野英男さんが「この場で必要とする方に渡して下さい」と著者取り置き分を急遽販売に回してくれました。

 増刷をかけますので、冬コミに当選したならば、冬も販売いたします。また、通信販売にも出そうと考えていますので、今回入手し損ねた方はしばしお待ち下さい。

 自分も会場で初めて手に取ったのですが、300ページ超というのはかなり手に持った時の実体感があって感動しました。編集を担当した斉藤さんの努力の成果です。朝、見本誌を回収に来た運営スタッフの方が「書店売りの本みたいですね」と言ってくれたのがうれしかったです。
 私は長年、友人のブースの売り子を担当しているので、こちらには時折顔をだすことしかできなかったのですが、斉藤さん、今村さんに加えて、小林伸光さんが「きく1号」のペーパーモデルを作って参加し、ブースをうまくさばいてくれました。

 販売を担当した今村さんが当日の様子を書いています。合わせてお読み下さい。

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2011.06.30

この一年ばかりの仕事のまとめ

 去年から一杯働いているなという実感がある。はやぶさ2関連で頑張って毎日更新をした後、ばったり更新が途絶えたのも、とでもじゃないが忙しくてたまらなかったからだ。

 その間を埋めるようにしてTwitterを使っている。この一年ほどはこちらではなく、Twitterがメインページといってもいい状況だった。140文字という文章量制限は、気軽に書いて公開するという点ではよくできている。

 以下、この一年ほどの間にやってきた仕事の一部を紹介することにする。

 去年の3月に出た本なので一年以上前になるのだけれど、JAXA産業連携センターが作ったムック。書名で分かるようにメインコントラクターから中小企業に至るまでの日本宇宙産業を概観できる内容になっている。写真を担当した清水健カメラマンが凄腕で、美しい写真がふんだんに使われている。が、なによりもこの本の目玉は、日本の主な宇宙関連メーカーの一覧表が付いているところだろう。日本にはとんでもないところに高い技術を持った小さな会社がある。
 私はライターとしてけっこうな量の記事を書いている。記名記事として「宇宙産業が歩んだ半世紀」「世界の宇宙産業」の項目も執筆した。


 上記ムックの第二弾。第一弾が宇宙関連産業なら、こちらは宇宙実験、地球観測、衛星測位など宇宙利用産業を概観している。「宇宙兄弟」の作者である小山宙哉さんのインタビューも入ってお得な一冊。
 前回に引き続いてのライター仕事の他、記名記事として「ニュービジネスを創生したGPS衛星」と、綴じ込み別冊の「ドキュメントはやぶさ」を執筆した。「宇宙利用のムックなのになぜはやぶさが」というのはいいっこなし。編集の時点では、はやぶさ抜きの宇宙ムックなど考えられないほどのはやぶさブームが起きていたのだった。もちろん目玉は私の記事ではなく、はやぶさを作り上げた全企業リストである。


 ブルーバックスならではのはやぶさの使った技術に関する解説書。おそらく現時点におけるはやぶさの技術について一番まとまった一般向け書籍になっている。私は編集協力として参加。




 はやぶさ帰還とあかつき/イカロス打ち上げに合わせたNECの広告企画。私はインタビューを担当。こんなページも





 そしてこの、初めての子供のための本。実は私としては「H-IIロケット上昇」(1997年)「スペースシャトルの落日」(2005年)に次ぐ、3冊目のハードカバーだったりする。お子様の夏休みの読書に是非是非…






 iPhone/iPad向けの電子ブックの日経BPストアからも1冊出している。

 というわけで、電子ブックに関する本を電子ブックで出版するというなかなかメタな試み。Android版も出すという話を聞いているが、まだ出ていないようだ。

 肝心の内容については、深川岳志氏が、PC Onlineの「iPadで読む今週のお薦めコンテンツ」で紹介してくれている。

 「電子書籍に関する15の考察」は、出版界という狭い世界を相手にした本ではない。電子書籍という存在をもっと広く、大きなものとして捉えており、読後感は爽快だ。「電子書籍なんて……」と暗い顔で呟いている人に読んでほしい。価格は350円と破格の安さだが、さらに無料のLite版が用意されている。Lite版では「はじめに」「第1章」「第2章」を読むことができる。立ち読みの分量としては十分だろう。

 過分な言葉、どうもありがとうございます。

 しかし、まず「日経BPストア」というアプリをダウンロードし、そのアプリへのアドオンとして電子ブックデータを買うという煩雑さはなんとかならないだろうか。

 近日中にもう一冊、自転車ネタの電子ブックが出る予定。




 この他にもいろいろ書いているので、随分と仕事したなあという印象ではある。いや、まだ足りないのかもしれない、と反省。

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