57 posts categorized "書籍・雑誌"

2011.08.18

コミケット御礼

Comiket80l

  8月14日のコミケット80、3日目は大変御世話になりました。おかげでロケットまつりブースで販売した「星を作った男〜昭和の衛星屋さん〜」は当初予定を超える部数を販売することができました。一度は最初に予定した部数を売り切って「完売」の表示を出したのですが、午後から会場にいらっしゃった著者の小野英男さんが「この場で必要とする方に渡して下さい」と著者取り置き分を急遽販売に回してくれました。

 増刷をかけますので、冬コミに当選したならば、冬も販売いたします。また、通信販売にも出そうと考えていますので、今回入手し損ねた方はしばしお待ち下さい。

 自分も会場で初めて手に取ったのですが、300ページ超というのはかなり手に持った時の実体感があって感動しました。編集を担当した斉藤さんの努力の成果です。朝、見本誌を回収に来た運営スタッフの方が「書店売りの本みたいですね」と言ってくれたのがうれしかったです。
 私は長年、友人のブースの売り子を担当しているので、こちらには時折顔をだすことしかできなかったのですが、斉藤さん、今村さんに加えて、小林伸光さんが「きく1号」のペーパーモデルを作って参加し、ブースをうまくさばいてくれました。

 販売を担当した今村さんが当日の様子を書いています。合わせてお読み下さい。

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2011.06.30

この一年ばかりの仕事のまとめ

 去年から一杯働いているなという実感がある。はやぶさ2関連で頑張って毎日更新をした後、ばったり更新が途絶えたのも、とでもじゃないが忙しくてたまらなかったからだ。

 その間を埋めるようにしてTwitterを使っている。この一年ほどはこちらではなく、Twitterがメインページといってもいい状況だった。140文字という文章量制限は、気軽に書いて公開するという点ではよくできている。

 以下、この一年ほどの間にやってきた仕事の一部を紹介することにする。

 去年の3月に出た本なので一年以上前になるのだけれど、JAXA産業連携センターが作ったムック。書名で分かるようにメインコントラクターから中小企業に至るまでの日本宇宙産業を概観できる内容になっている。写真を担当した清水健カメラマンが凄腕で、美しい写真がふんだんに使われている。が、なによりもこの本の目玉は、日本の主な宇宙関連メーカーの一覧表が付いているところだろう。日本にはとんでもないところに高い技術を持った小さな会社がある。
 私はライターとしてけっこうな量の記事を書いている。記名記事として「宇宙産業が歩んだ半世紀」「世界の宇宙産業」の項目も執筆した。


 上記ムックの第二弾。第一弾が宇宙関連産業なら、こちらは宇宙実験、地球観測、衛星測位など宇宙利用産業を概観している。「宇宙兄弟」の作者である小山宙哉さんのインタビューも入ってお得な一冊。
 前回に引き続いてのライター仕事の他、記名記事として「ニュービジネスを創生したGPS衛星」と、綴じ込み別冊の「ドキュメントはやぶさ」を執筆した。「宇宙利用のムックなのになぜはやぶさが」というのはいいっこなし。編集の時点では、はやぶさ抜きの宇宙ムックなど考えられないほどのはやぶさブームが起きていたのだった。もちろん目玉は私の記事ではなく、はやぶさを作り上げた全企業リストである。


 ブルーバックスならではのはやぶさの使った技術に関する解説書。おそらく現時点におけるはやぶさの技術について一番まとまった一般向け書籍になっている。私は編集協力として参加。




 はやぶさ帰還とあかつき/イカロス打ち上げに合わせたNECの広告企画。私はインタビューを担当。こんなページも





 そしてこの、初めての子供のための本。実は私としては「H-IIロケット上昇」(1997年)「スペースシャトルの落日」(2005年)に次ぐ、3冊目のハードカバーだったりする。お子様の夏休みの読書に是非是非…






 iPhone/iPad向けの電子ブックの日経BPストアからも1冊出している。

 というわけで、電子ブックに関する本を電子ブックで出版するというなかなかメタな試み。Android版も出すという話を聞いているが、まだ出ていないようだ。

 肝心の内容については、深川岳志氏が、PC Onlineの「iPadで読む今週のお薦めコンテンツ」で紹介してくれている。

 「電子書籍に関する15の考察」は、出版界という狭い世界を相手にした本ではない。電子書籍という存在をもっと広く、大きなものとして捉えており、読後感は爽快だ。「電子書籍なんて……」と暗い顔で呟いている人に読んでほしい。価格は350円と破格の安さだが、さらに無料のLite版が用意されている。Lite版では「はじめに」「第1章」「第2章」を読むことができる。立ち読みの分量としては十分だろう。

 過分な言葉、どうもありがとうございます。

 しかし、まず「日経BPストア」というアプリをダウンロードし、そのアプリへのアドオンとして電子ブックデータを買うという煩雑さはなんとかならないだろうか。

 近日中にもう一冊、自転車ネタの電子ブックが出る予定。




 この他にもいろいろ書いているので、随分と仕事したなあという印象ではある。いや、まだ足りないのかもしれない、と反省。

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2010.08.25

小惑星や彗星を取り上げたSF

 小惑星や彗星をなんらかの形で取り上げたSFはどれぐらいあるだろうか。
 実はこういうページが、小天体探査フォーラム(MEF)にすでにある。


 MEFは2000年に、宇宙研の矢野創さんを中心に、次世代の小天体(小惑星・彗星)探査を、研究者のみならず一般の宇宙・天文愛好家も参加して考えるという趣旨で組織された任意団体。2005年頃まで積極的な活動を行い、その成果はMEFホームページで公開されている。現在は、ホームページのメンテナンスが続いている状態だ。

 中村良介さんは、産業総合技術研究所所属の小惑星・地質の研究者。よくSFを読んでいて、MEFホームページ内に、リストをまとめた。
 野尻抱介「轍の先にあるもの」「ピニェルの振り子」、池澤夏樹「アステロイド観測隊」、水見稜「マインドイーター」、菅浩江「永遠の森-博物館惑星」、、笹本祐一「彗星狩り」……

海外作品では、マイク・レズニック「キリンヤガ」、グレゴリー・ベンフォード&デビッド・ブリン「彗星の核へ」、オースン・スコット・カード「エンダーのゲーム」、ジョン・バーリー「バービーはなぜ殺される?」……いろいろあるなあ。

 同じ質問を日本人作家限定でTwitterで投げたら、また少し毛色の変わった答えが様々な人たちから帰ってきた。中村さんのリストと重ならない範囲で列挙すると——谷甲州「彷徨える星」、林譲治「小惑星ラプシヌプルクルの謎」、小林泰三「灰色の車輪」、エリック・コタニ(近藤陽次)「小惑星諸島独立す」「彗星爆弾地球直撃す」、マンガでは、星野之宣「太陽惑星イカルス」、あさりよしとお「アステロイド・マイナーズ」——ほとんど別格の存在として、谷甲州「航空宇宙軍史」と、野田昌宏「銀河乞食軍団」の2シリーズが挙がった。
 もちろん「ガンダム」という答えは多数。「舞台というほどではありませんが「ヤマトよ永遠に」は、小惑星イカロスから発進します。」という指摘もあった。

 個人的に思い浮かんだのは、野尻抱介「アンクスの海賊」「轍の先にあるもの」、小川一水「Slowlife in Starship」、堀晃「イカロスの翼」、高齋 正「宇宙の牢獄」、横田順彌「小惑星遊侠伝」といったところ。

 上記リストには絶版本も入っている。特に厳密なリストをまとめるつもりもないので、まあ適当に読み進んでもらえればということで。比較的最近出版され、入手も容易な以下の3冊を推薦しておく。

 「轍の先にあるもの」を収録した野尻さんの短編集。収録作品がどれをとっても傑作宇宙SFという希有の一冊である。「轍の先にあるもの」は、アメリカの小惑星探査機NEAR-シューメイカーによる小惑星エロス探査の話(この部分はほぼ実話)から始まる、SF私小説とでもいうべき作品。「沈黙のフライバイ」「轍の先にあるもの」「片道切符」「ゆりかごから墓場まで」「大風呂敷と蜘蛛の糸」を収録。ちなみに解説は私が書いている。

 こちらは小惑星イトカワとはやぶさの遺物が出てくる「Slowlife in Starship」を収録した小川一水さんの短編集。ソーラセイル輸送船で太陽系を旅する運送屋の引きこもりな日常が、イトカワとはやぶさによってかき乱されるという作品。「フリーランチの時代」「Live me Me.」「Slowlife in Starship」「千歳の坂も」「アルワラの潮の音」を収録。

 あさりよしとおさんが描く、小惑星で暮らすとということの真実!「蟹工船〜っ!」。例によってブラックな笑いをちりばめつつ、透徹した視線で「宇宙で暮らす」ということの意味を想像していく。「宇宙のプロレタリア」「軌道上教習」「ゆうれいシリンダー」を収録。私は特に、なつかしいジュブナイルSFの肌合いを見せる「ゆうれいシリンダー」が気に入っている。

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2010.08.15

8月15日のはやぶさを巡るあれこれ

 サイエンスドーム八王子(東京八王子市)で9月11日に、「『宇宙の日』記念講演会 帰ってきた小惑星探査機はやぶさ、そして未来へ」と題して、“宇宙の電池屋さん”ことJAXAの曽根理嗣准教授の講演会が開催される。


日時:9月11日(土曜日) 午後1時15分から3時15分
講師:曽根 理嗣 准教授(JAXA)
対象:どなたでも
会場:サイエンスドーム八王子・プラネタリウム(八王子市大横町9-13(Googleマップ))
費用:無料(入館料は必要)
定員:255名(申込先着順)
申込:お電話にてサイエンスドームまで

 申し込みは本日8月15日から、電話にて先着順で受け付ける。
生涯学習スポーツ部サイエンスドーム八王子
電話:042-624-3311

#電話で先着申し込みというのは、混乱を来さないだろうか。少し心配。

 本日、東京国際展示場で開催されるコミックマーケット78に、宇宙関係の個人製作の出版物がけっこうな数出展される模様。「宇宙の傑作機」の他にも色々と、商業出版では採算上出せないような本が色々と出てくるようだ。入手次第、ここで紹介します。

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2010.08.14

8月14日のはやぶさとは限らずあれこれ

 コンピューターOS「TRON」の専門誌「TRONWAEE」の最新刊124号が、宇宙で使われているITRONの特集をしている。ITRONは制御用組み込みOSで、宇宙でもはやぶさを初めとした様々な宇宙機の制御に使用されている。

特集1 未来へのミッションを乗せて宇宙を駆けるTRON

* 人工衛星はなぜ回る 〜TRON系OSが支える高度な制御〜
* 打ち上げ成功!金星探査機「あかつき」
* あかつきと同時打ち上げ「IKAROS」
* [コラム]Space CubeアーキテクチャとSpaceWire
* 帰ってきた小型惑星探査機「はやぶさ」
* 宇宙の謎に迫る天文観測衛星


 TRONWAREはソフトハウスであるパーソナルメディアが出しているTRON専門誌。TRONは色々毀誉褒貶の多いプロジェクトだが、ITRONに関しては成功したといっていいだろう。私はBTRONOS「超漢字」のユーザーでもあるのだが、BTRONに関してはどこか途中でオープンソースに方針転換できなかったものかと思っている。OSとしての素性は決して悪くなかったのだが。ちなみにはやぶさ搭載ローバー「ミネルバ」もITRONで動いている。

 次ははやぶさから離れて、お盆らしいネタ。有人ロケット研究会幹事の大貫剛さんが、先だって結婚された。彼はそれに合わせてダイヤモンドエアサービス(DAS)の弾道飛行を利用した指輪交換式を企画、8月10日に決行した。多分、無重力状態で指輪の交換をしたカップルは大貫夫妻が日本で初めて…のはず。



 


 この春、大貫さんと共にアメリカに行った時、「実はやろうと思っています」とは聞いていた。「お前どこまで好きやねん」と思ったものだが、こういうもものは確かにやったもの勝ちだ。

 費用は2桁万円後半程度らしい。また、基本ダイヤモンドエアサービスの飛行は「実験」しか受け入れていないので、彼らは「無重力状態における指輪の交換実験」とか無理くり実験に仕立てて、今回の飛行にこぎつけたとのこと。実施に至るまでのノウハウは、大貫さんに問い合わせれば教えてもらえるだろう。大貫さんのコメント「アイロンを持ち込んでいれば…(エクストリーム・アイロンですね)」。

 この手のものは後に続く者が現れるかどうかで、定着するか否かが決まる(ウエルズの次にタイムマシンをテーマとしたSFを書いた者が偉いのと同じ道理だ)。ダイヤモンドエアサービスも(そして国交省航空局も)堅いことを言わずにこの手の需要をどんどん受け入れていけば、新しいビジネスにつながっていくと思う。

 自分の宣伝。現在販売されている週刊エコノミスト8月17・24日合併号の第二特集「すごいぞ 日本の宇宙技術」に、「日米の宇宙政策 日米で進む宇宙開発の見直し 技術維持に何をすべきか」という記事を書いた。

◇【特集】すごいぞ 日本の宇宙技術
  • 動き始めた日本の衛星打ち上げビジネス   秋本 裕子
  • インタビュー 宇宙飛行士・野口 聡一 「『きぼう』の完成度は群を抜いている。日本の底力はすごい」
  • 日米の宇宙政策 日米で進む宇宙開発の見直し 技術維持に何をすべきか   松浦 晋也
  • 衛星ビジネス 世界4位の衛星大国・日本 受注の遅れ挽回へ攻勢   西川 拓
  • 国際宇宙ステーション 世界に誇る技術を生み出した日本の「きぼう」と「HTV」   羽生 哲也
  • 企業分析 イオンエンジン、特殊樹脂… 宇宙技術で注目される日本の50社   秋本 裕子
 アメリカのオバマ新政策と、日本の有識者会議による宇宙開発体制改革を絡めて論じたもの。興味のある方は読んで下さい。

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2010.08.13

8月13日、帰還2ヶ月目のはやぶさあれこれ

 今日ではやぶさの帰還から2ヶ月経った。まだまだ、はやぶさを巡る世間の動きは慌ただしい。

 8月15〜19日のはやぶさのカプセルが丸の内オアゾで公開されるのに合わせて丸の内一帯の商店では「おかえり、はやぶさ記念特別サービス」を実施する。


 はやぶさランチ、はやぶさステーキランチ、はやぶさショートケーキ、隕石おむすび、はやぶさシャトルドック、はやぶさジェラート、SpaceDrinkはやぶさ、はやぶさカレーうどん…ネイルバーでは「はやぶさ」クイックコースだ!

 大阪市立科学館が10月9日18時からプラネタリウムホールで「HAYABUSAナイト」を開催する。


 入場料1500円。チケットは8月24日(火曜日)から販売開始。

[内 容]
【第1部】
・全天周映像「HAYABUSA -BACK TO THE EARTH-」上映
【第2部】
JAXAの國中均教授、SF作家の野尻抱介氏、そして飯山学芸員を交えてトークを行ないます。
◇司会 山田竜也(宇宙作家クラブ会員)

 8月19日発売のCOMICリュウ(徳間書店)10月号に別冊ふろく「小惑星探査機はやぶさ」特集本が付く。アマゾンで予約が始まった。

慌てて紹介。8月19日発売の COMICリュウ別冊フロクは「小惑星探査機はやぷさ」特集本です。マンガは「出発篇(永井朋裕)」「トラブル篇(とり・みき)」「帰還篇(安堂維子里)」の3本と、あさりよしとお&開田裕治対談、野尻抱介寄稿、表紙は速水螺旋人です。敬称略。
 宇宙関連でマンガ雑誌が特集を組むというのは、それこそアポロ計画以来ということになるのだろうか。

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2010.08.08

8月8日のはやぶさを巡るあれこれ

 本日午後2時から、神奈川県立川崎図書館にて講演会<小惑星探査機「はやぶさ」の冒険>が開催される。講師は川口淳一郎「はやぶさ」プロジェクト・マネージャー。聴講はすでに締め切られているが、以下のアドレスでUStream中継も実施されるとのこと。

http://www.ustream.tv/channel/hayabusa-kawa-lib

 JAXAの〜はやぶさ応援ありがとうイベント(8月15日〜19日:丸ノ内オアゾ○○広場(おおひろば)東京都千代田区丸の内1-6-4)での、カプセル公開は、OO広場で朝7:00より整理券を配布するとのこと。一日分の整理券を配布した段階でその日は締め切りとなる。
 見学希望の方は注意のこと。

 同じく丸の内オアゾにおけるJAXA「おかえりはやぶさトークイベント」(8/15(日)10時から三部構成。丸ノ内オアゾ 丸善・丸の内本店3F 日経セミナールーム(東京都千代田区丸の内1-6-4))は、8月9日12:00〜8月10日21:00にネットで申し込み、抽選を行うとのこと。申し込みフォームは、明日9日公開となる。おそらくこちらから申し込みフォームに飛べるようになるのではないだろうか。

 本日のロフトプラスワン「はやぶさまつり〜帰還までの道のり」に、はやぶさタンコスプレで活躍中の、秋の『』さんが登場することが決定(この方です)。昨日、今日と東京・船堀で開催されている日本SF大会「TOKON10」の会場にて、笹本祐一さんが声をかけて出演OKということになったそうな。
 笹本さん曰く「某司令が、『「学会でも、こんなコスプレに来て貰って錚々たる科学者がここのスラスターが、とか説明するようになればいいのに」と言ったので、それロケットまつりで出来る、と思った」。本当に、思考と行動の間にためらいのない人だ。
 秋の『』さん、よろしくお願いいたします。

 原稿に詰まると読み進めて、昨日読了。表題にあるとおり、宇宙開発に関連するSF中短編を集めたアンソロジー。何らかのかたちで現実の宇宙開発に関連した作品7編が収録されている。こういう本が出版されるということそのものが、私としてはうれしい。

 内容は以下の通り。

1.「主任設計者」アンディ・ダンカン
2.「サターン時代」ウィリアム・バートン
3.「電送(ワイア)連続体」アーサー・C・クラーク&スティーヴン・バクスター
4.「月をぼくのポケットに」ジェイムズ・ラヴグローヴ
5.「月その六」スティーヴン・バクスター
6.「献身」エリック・チョイ
7.「ワイオミング生まれの宇宙飛行士」アダム=トロイ・カストロ&ジェリイ・オルション

 ソ連宇宙開発の父コロリョフを巡るもうひとつのあり得たかも知れない歴史を描く「主任設計者」。ニクソン大統領が辞任しなかった世界におけるアポロ計画を描く「サターン時代」。物質電送が現実となった世界における宇宙開発の意義を問う「電送(ワイア)連続体」。1970年代、アポロ計画に夢中の「ぼく」といじめっ子との月の石を巡る物語の「月をぼくのポケットに」。パラレルワールドと月探査を絡めた「月その六」。火星で遭難した探検隊ととある探査機が出会う「献身」。
 そして、一番面白くも感動的だったのが、「ワイオミング生まれの宇宙飛行士」。遺伝子のいたずらで、一般に流布する「宇宙人(リトルグレイ)」の姿で生まれてしまった子供の成長ストーリー。
 はやぶさで、宇宙に興味を持った方のこの夏の読書にどうぞ。

 もう一冊。野尻抱介さんの「ロケットガール」シリーズから、「魔法使いとランデヴー」。女子高生宇宙飛行士が活躍する同シリーズの中短編を集めた一冊だが、表題作「魔法使いとランデブー」に、はやぶさをモデルにした小惑星探査機「はちどり」が登場する。川口プロマネがモデルの「本橋教授」も。帰還が難しくなった「はちどり」をロケットガール達が、あっと驚く方法で地球に帰還させる話である。  現在アマゾン状況を見ると品切れ中のようだが、古書店などで見かけたら買っておくべき一冊だ。

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2010.08.06

虎之児特別ラベルは明日まで、夏コミ、風虎通信の新刊はルノホート

 井手酒造はやぶさ帰還祝酒の申し込み締め切りが、明日8月7日となった。

 本日「おお、これはいけない。自分も一本」と申し込んだら、井手酒造から電話を頂いた。当ブログのリンクから飛んで買った方がおられたとのこと。恐縮してしまいました。「ご縁ですねえ」という言葉に深くうなずいてしまった。的川先生と周東さんが作ってくれた縁だ。

 さて、8月13〜15日、恒例の巨大同人誌即売会のコミックマーケット、通称コミケットが開催される。宇宙関係の資料本を出している風虎通信から新刊の情報が入ったので紹介する。

Photo_3

 今回の新刊は、「宇宙の傑作機 No.14 ルノホート」だ。

 以下、版元の高橋信久さんの口上。

 著者はスペースサイト!(http://spacesite.biz/)を運営なさっているみずもとさんです。ロシア宇宙史など詳しい情報を数多くサイトに載せていらっしゃいます。そのみずもとさんが万全を期して今回書いたのは、旧ソ連が誇る無人月面探査車ルノホートです。アポロ15号の月面車の前に既に月を走り回っていたルノホートの全てをこの一冊に。本文70頁でお送りいたします。

 ルノホートは、世界で初めて他の天体を走行した車両であり、同時に世界初の無人他天体探査ローバーでもある。ルナ17号(1970年11月)とルナ21号(1973年1月)で、月面に2機送り込まれ、1号は10.5km、2号は37kmもの距離を走破した。今、日本や中国、インドなどで月面ローバーの研究や開発が進んでいるが、旧ソ連は現在よりもはるかに非力な電子制御技術で、40年前にこれだけの成果を挙げていたのである。

Photo_2 既刊は、昨冬のコミケット新刊の「ベネラ惑星探査機」(福間晴耕さん著)と、私の「アリアン5」増刷を販売するとのこと。アリアン5は増刷で、改訂の手は入っていない。当初、その後の変化を加えて改訂するつもりだったのだが、執筆の時間が取れなかった。申し訳ありません。

 ともあれ、ルノホートと金星探査機ベネラという、旧ソ連の無人探査技術の集大成を、まとめて日本語で読むことができるわけだ。商業出版ルートに乗りにくい、宇宙関係の日本語文献を継続して出版してくれている風虎通信の高橋さんに感謝。そして、このような書籍をも受け入れるコミックマーケットの奥深さは、実際大したものである。
 
 風虎通信のブースは、3日目 8/15(日)東2-T59bである。3日目は宇宙関連同人誌のサークルが集まっているので、旅行記や独自研究、写真集など様々な宇宙関連同人誌が出るはずだ。

 コミケットは色々と参加にあたっての作法の存在するイベントだ。このブース番号の意味が分からないコミケット初心者は、カタログを購入して、諸注意を熟読の上参加のこと。
 また、おそらくイベント後に神保町のくだん書房でも少部数が販売されるだろう。

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2010.08.02

紹介:「宇宙へのパスポート」シリーズ(笹本祐一著)

 帰還ではやぶさを知った方のためのはやぶさ本紹介。今回は笹本祐一「宇宙へのパスポート」

  

 SF作家の笹本祐一さんによる、宇宙開発取材の記録だ。3冊刊行されている。種子島・内之浦からシャトルやアリアンロケット、果てはロシアのロコット打ち上げまで、ロケット打ち上げを追って世界を駆けめぐった取材日記である。

 はやぶさについては、2巻に2003年5月9日の打ち上げと、ローバーミネルバの取材が、3巻に2005年11月のイトカワタッチダウンの取材が掲載されている。私は1巻から解説を担当していたが書く内容がどんどん増えていったので2巻以降は表紙に「解説:松浦晋也」と入っている。
 この時期、ひんぱんに一緒に取材に行っていたので、やたらと私も登場するが、それはご愛敬ということで。そうか、自分ははやぶさ打ち上げ取材は、オートバイで内之浦まで走ったんだっけな。

 あらためて読み返すと、俺、けっこう良いこと書いているな。3巻ではブッシュの有人月探査計画が駄目になるであろうことをきちんと予言しているじゃないか…いや、これは当時から仲間内では、「あんなんじゃ月なんか戻れっこない」と話し合っていただけなのだけれど。

 願わくば、これが最盛期ではなく、はじまりとならんことを。(「宇宙へのパスポート3」 p.392、はやぶさ着陸取材より)

 あの時、プレスルームとなった宇宙研A棟2階の会議室で、あまりの面白さに感極まった笹本さんは、「俺は今、日本の宇宙開発の黄金時代を見ている!」と叫び、すぐに「いや、これをピークにしちゃいかんのだ」と言ったのだった。

 本当にその通りだ。

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2010.07.27

はやぶさ本、2冊

 本日、はやぶさ関連書籍2冊を入手して読んだ。

 29日の正式発売日前にうまく買えたのがこちらの「小惑星探査機はやぶさの大冒険」だ。山根さんらしいストレートな題名だが、内容もまたストレート。週刊ポストの名物連載であった「メタルカラーの時代」で行ったインタビューを挟みつつ、はやぶさの打ち上げから帰還までを、分かりやすい言葉でまとめている。今回の帰還で、はやぶさのことを始めて知ったという方や、宇宙に興味のある中高生などにもお薦めできる一冊だ。

 こちらは科学雑誌ニュートン編集部が総力を挙げた写真満載のムックだ。はやぶさ本体と同時に、イトカワの科学観測の成果についてもかなりの紙幅を割いてまとめており、「はやぶさ本体の経緯と、はやぶさがやったこと」の両方を知ることができる。関係者8名のインタビューも掲載されており内容は濃い。はやぶさ2、さらには金星探査機あかつき、ソーラーセイル試験機イカロスについても記事を掲載している。

 こういう本をきちんとタイミング良く出すことは、ジャーナリズムの使命と言って良い。「お前はどうした」と言われそうだが、これらを踏まえた上で自分なりに頑張っていくしかないのだろう。さあ、どうしよう。

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