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2010.07.06

M-Vロケットの振動

 M-Vというロケットには色々な誤解がまとわりついている。その一部には私が本に書いたことが拡散してしまったものもある。きちんと訂正していかなくてはと思う次第だ。

 それらの誤解の一つに、「M-Vは振動が大きくて、衛星にとって“乗り心地”が悪いロケットだ」というものがある。

 実は私も、「恐るべき旅路」でそのようなことを書いてしまっている。
「しかし、PLANET-B程度の程度の探査機を火星に送れるか送れないかぎりぎりの打ち上げ能力、そして繊細な探査機に影響を与えかねない打ち上げ時の大きな加速と振動と音響がM-Vの実際だった。」(「恐るべき旅路」朝日ソノラマ版p.190より)。

 あながちそうでもないよ、ということを教えてくれたのはISAS関係者ではなく、角田の研究者の方だった。

「松浦さん、H-IIAにもSRB-Aが2本ついているよね。それぞれM-Vの第1段と同じぐらいの大きさがある。これが振動を発生しないと思う?M-Vと同じようなものだよ」
「しかし、M-Vの第1段のほうが高速燃焼をするから、振動も大きいのでは?」
「それは絶対的な差ではないよ。M-VとH-IIAの振動環境の差は、ランチャーにあるんだよ」

P1010051

P1010085
 この写真がM-Vのランチャーの根元だ。通常ロケットの発射台の下は、煙道という噴射煙が抜けるトンネルが掘ってあるが、このランチャーにはない。その代わりフレームデフレクターと呼ばれる、噴射の炎を受け止める斜面が作ってある。

Dsc00282
 こちらは、わかりづらいと思うが、種子島宇宙センターのH-IIA用吉信射点の下にある煙道を、上からのぞき込んだところ。LE-7Aエンジンと固体ロケットブースターSRB-Aの噴射ガスは斜面を下って海側に抜けていく。

 煙道の役割は、単に噴射ガスを逃がすというだけではない。エンジン始動時には一気にガスが噴射するので衝撃波が発生する。煙道は、衝撃波が反射でロケット側に戻るのを防いでいる。ガスが抜ける側に大きく広い空間が確保されていれば、衝撃波は反射せずに拡散していく。

 ところで、M-Vのランチャーには煙道がない。ということは第1段点火時の衝撃波はもろにフレームデフレクターで反射し、ロケット側に戻っていって搭載した衛星を思いきり揺さぶることになる。打ち上げの間に衛星が受けるショックの中で、この衝撃波が一番強烈なので、衛星はこれに耐えるように設計製作しなくてはならない。

 「M-Vの強烈な振動」とは、第1段点火時に反射で戻ってくる衝撃波だったのである。つまり、ロケットの問題ではなく、発射設備の問題だったのだ。M-V開発時には、M-3SIIのランチャーとM-Vランチャーを並べ2機種を並行運用することも検討されたが、ランチャー設備をゼロから揃える予算がないという理由から、M-3SIIを退役させてランチャーをM-V用に改修することとなった。当然、煙道を掘って、衝撃波の反射を防ぐだけの予算も確保できなかったとのことである。

 気は心の対策として、M-Vのフレームデフレクターはいくぶんえぐってある。M-3SIIロケットまでは、このえぐりすらなかった。

 この件に関して、とあるISAS衛星の開発に携わった技術者から聞いた話。
「あの反射波に耐える設計のために、どれだけ衛星開発に苦労したことか。衛星にかける追加の試験費用を考えると、実は煙道を掘り抜いたほうがトータルでは安く付いたのではないですか」

 ちなみに、ロケット発射時の衝撃波の研究が一番進んでいるのは、ご多分に漏れずロシアなのだそうだ。ロシアの発射設備をどれもかなり大きく余裕を取った煙道を持っているとのこと。


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2009.11.19

はやぶさリンク:はやぶさ、帰還に向けてイオンエンジン再起動

Kawaguchi Kuninaka


 トラブルを起こしていた小惑星探査機「はやぶさ」は、11月11日の試験で推力の回復を確認。12日以降、イオンエンジンの連続運転を再開した。残る必要加速は200m/s強。3月下旬までにこの加速を達成できれば、来年6月の帰還が可能になる。

 運転再開を可能にしたのは、AからDのイオンエンジンのうち、Bのイオン加速器とAの中和器を同時使用するという裏技だった。これにより6.5mNの推力発生が可能になった。


 まず、はやぶさのイオンエンジンの構造について。
 はやぶさのイオンンエンジンは、推進剤のキセノンガスをマイクロ波でイオン化し、電気的に加速して噴射する。このままでは+イオンのキセノンが出て行った分、探査機本体が-に帯電してしまう。そこで噴射口の外側に中和器が設置してある。中和器からは少量のキセノンを噴射、同じくマイクロ波でイオン化して、噴射口から出てくるキセノンに電気的な橋をかける。そこに電子を流し込むことで、キセノンの+イオンを電気的に中性のガスに中和し、同時に本体への帯電を避ける。
 中和器からキセノンの噴流へ電子を流すためには、ある程度中和器の電圧が高くなくてはいけない。中和器が劣化してくると、電子を流すために必要な電圧が高くなる。その限界値として50V以上の電圧になるとエンジンを停止するという仕組みになっている。

 以下、本日午後6時からの記者会見の様子。私が少し遅刻したので、最初のほうはプレスリリースより補足している。

 出席者は川口淳一郎教授と、イオンエンジン担当の國中均教授。


國中 イオンエンジンの状況について。

 はやぶさは、イオンエンジンAからDの4台を搭載し、3基を同時使用できる設計となっている。Aは打ち上げ直後の動作試験で不安定だったために、予備に回し、BからDの3基で小惑星イトカワに到達した。

 帰還途中の2007年4月に、エンジンBが中和器電圧の上昇を起こし、運用停止に。残るCとDとで地球帰還を目指してきたが、今年11月4日にエンジンDの中和器が電圧上昇を起こし、安全限界の50Vを超えて停止した。この時点でCもDも劣化が進行しており、推力は5mNしか発生できていなかった。

 はやぶさはイオンエンジン用の電源を3台搭載しており、それぞれ、AB BC CDに電力を供給できるようになっている。と、同時に、異なるエンジンのイオン源と中和器を使って運転を行うことも想定して、電源を結合する回路も搭載している。

 11月11日に、イオンエンジンBのイオン源とイオンエンジンAの中和器を使っての運転を行ったところ、6.5mNの推力発生と安定した運転を確認。軌道計画的にも2010年6月の帰還が可能になった。

 イオンエンジンは、イオン源と中和器への推進剤の供給を、ひとつのバルブでコントロールしている。重量軽減のためにバルブを減らしそのような設計となった。このため、使っていないエンジンAのイオン源と、エンジンBの中和器からも生ガスが噴出している状態。
 しかし、推進剤のキセノンは推定であと20kg残っている。残る加速に必要な量は5kgほどなので十分対応可能。
 また、エンジン2基で1基分の推力を発生させるので、電力は2基のエンジンを稼働する分だけ必要となる。しかし、今はやぶさは、太陽に近づきつつあるので、太陽電池の電力発生量は増えつつある。こちらも対応可能。

 現在使えるのは、A中和器とBイオン源の同時運転と、Cの単独運転。

川口 帰還に必要なデルタVは2200m/s。すでに2000m/sは達成。残るは200数十m/s。現状では2010年6月の帰還は可能。しかしさらなるトラブルが起きると2013年帰還となる可能性もある。

  現状はAB2基のエンジンの使える部分を使って推力を得ている状態。これは地上試験を行っていない。打ち上げ前に、このような運転があり得ることは想定していたが、そもそもこのような運転はアースの関係で地上での試験ができなかった。

 今回は運がいいと思っている。はやぶさが太陽に近づきつつあり、電力に余裕が出てきつつあったからこそ、この運転が可能になった。もっと地球から遠いところで今回の故障が起きていたら、この方法は使えなかったろう。


以下質疑応答
読売:現状で推力はどれほどなのか。

國中:6.5mN。今後エンジン2台で噴射を行う運転は考えていない。今後このまま来年の3月中旬まで6.5mN噴射を続ければ帰還可能となる。

川口:はやぶさの現在位置は、地球からの距離は約1天文単位。本当に火星の近くにある。

時事通信:このような動作ができることは事前に解っていたのか。

國中:これができることが実験室では自明だった。現状では探査機が数十ボルトに帯電し、帯電することで電子が引き出されるという運転をしている。このような状況は地上では再現できないため、地上試験ではこのような運転を行っていない。

川口:ちょっと盛り上げるなら、これは電気回路にダイオードが一つが入っていないとできない。あらかじめそういう回路を組み上げ、搭載して打ち上げたということを注目してもらいたい。

國中 はやぶさは、設計時の重量制限が厳しかった。色々考えた末にダイオードひとつを追加するだけで今回のような運転が可能な電源回路を組んで搭載した。


毎日 こういったトラブルを想定して回路を積んだのか。

國中 そうだ。

毎日 他のスラスターでもこういう運転はできるのか。

國中 そうである。ただし、今回エンジンBのイオン源と中和器Dの組み合わせて試験運転してみたところ、うまく動かなかった。

毎日 帰還日は決まっているのか。

川口 今のところ言わないことになっている。勘弁してください。旅行する人が大変になったりするので…

朝日 スラスターと中和器の位置がノミナルと変わるわけだが、推力方向が変化してしまうことはないのか。

國中 実際そういう現象も観測されている。ただし推力ベクトルの角度のずれは1°以内で、イオンエンジンの首を振るジンバルで修正可能な量。ビームのよれがおきるという現象は、宇宙プラズマ物理にとっても貴重な知見である。

朝日 最終的な軌道修正は可能なのだろうか。

川口 今の状態を維持できれば可能である。

朝日 2013年に遅れる可能性があるというが、それは余計に太陽を一周ということか。

川口 はやぶさは太陽を1.5年で1周する軌道に入っている。地球が3周、はやぶさが2周

朝日 計画にかかったこれまでのコストを知りたい。

川口 ここまで打ち上げや運用費用も含めて計画遂行の総額は約210億円。事業仕分けされないようにしなければいけない。運用費は年1億円程度なので、3年伸びると3億増える。

國中 この11月から臼田局は改修工事を行う予定だったが、今回の事故を受けて、工事の開始を一週間遅らせてもらった。現在は臼田の工事が始まったために、鹿児島内之浦の34mアンテナで通信しているがこれだと臼田に比べてビットレートが1/4になる。ぎりぎりで臼田が使えて幸運だった。

時事通信 エンジンAを使っていなかったのが幸運だったのだろうか。

川口 Aの中和器が健全にリザーブできていたことが今回の運転につながっている。

不明 Cを運転していないのはバックアップ用か。

川口 その通りだ。Cも劣化の兆候があるので長時間運転は難しいと見ている。

時事通信 帯電は悪影響を及ぼさないのか。

國中 はやぶさには帯電センサーが積んでいない。従って中和機のヘルスチェックができない。しかし現状では不具合を示すようなデータは出ていない。宇宙で何KVという帯電は常時起きているので問題にはならないだろう。中和機の電圧が高くなると劣化が早まるのだが、現在の運用ではA中和器の電圧を知る方法はない。

不明:現在はBのイオン源からイオンを吹いているのか。

國中 そうだ。

不明 いつが2013年へと帰還がずれこむタイムリミットとなるのだろうか。

川口 Cは推力がないので、それほど加速できない。例えば来月にでAとBによる現状の運転が不調になると2013年になるだろう。しかし不調になるのが来年2月3月ならCだけで6月に間に合うだろう。年内に再度故障が起きたら2010年帰還はアウトと思ってもらいたい。

読売 復旧方法を見つけた時の感想を聞きたい。

川口 エンジン停止の時は「来るものが来た、これはもう2013年帰還か」と思った。イオン源と中和器のクロス運転を可能にする電源回路の存在は知っていたので、対策の検討会ではイオンエンジングループに検討を依頼した。イオンエンジングループは自信を持っていたかも知れないが、私は淡い期待を持っていた程度だった。最初BとDで動かしたがうまくいかなかった。
(2010.6.21注記:ここはBDではなくADの可能性あり。コメント欄参照のこと。確認し次第訂正します。)

國中 電力収支が厳しかったので、100W近くの電力を消費する通信機をいったんとめてAとBを運転、データを記録して通信を復帰してから送信するというやりかたで、動作試験を行った。通信復帰の途端に、はやぶさからの電波のドップラーシフトが不連続にジャンプしたので、「これは動いたぞ」と思った。その後、データをダウンロードして正常運転を確認した。

不明:CとDの運転はできるのか。

川口 おそらくイオン源の寿命はまだまだある。問題があるとしたら中和器A。AとCの運転は試験をしていない。時間がないので組み合わせ試験よりもイオンエンジンの連続運転を優先した。地球帰還にはあと2000時間の運転が必要である。

産経 Dが止まったということはどういうことか。

國中 中和器の電圧が上昇したというのが観測された事象。中和器は電圧をかけて電子を放出している。中和器が劣化すると同じだけの電子を放出するのに必要な電圧が上昇する。電圧の限界値が50V。イオンエンジンの定格は1万4000時間だが、Dはすでに1万5000時間運転している。Bは9500時間。まだまだ、惑星探査用のエンジンとしては長寿命を目指して研究を進めねばならないと思っている。
 中和器Aはイオン源Aとの組み合わせて10時間、11月11日以降、イオン源Bの組み合わせて180時間運転している。

インプレス もう少し詳しく運転の様子を知りたい。

國中 各スラスターには一つバルブがあって、それを開けると、中和器とエンジンの両方に推進剤のガスが流れ始める。中和器Bを動作させると必然的にイオン源Bからガスも流出する。現状6.5mNで軌道計画が立てられている。

アビエーションウィーク 姿勢制御用のホイールも一つになっているがどうなっているのか。

川口 止まったホイールはもう使えないものと考えている。残る1台も回転数を下げたり、加速減速もゆるやかにして寿命を延ばすように運用をしている。中和器と同じぐらい心配している。


宇宙作家クラブ 加速量達成後、地球へのカプセル投下にための最後の軌道修正はどうするのか。

川口 イオンエンジンで行う。1m/s程度。この修正に1日から数日かかる。


不明 ホイールがダメになったらもうギブアップか。

川口 その場合も方策は考えているがかなり致命的だと思う。

 記者会見後のぶらさがり取材にて。


川口 「ずっと前にダメになるのも、ぎりぎりまで粘ってダメになるのも同じ、帰ってこれるか、これないか。それが問題です」

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2009.11.03

 BD-Frog:2010年から新デザインで復活

 今まで気が付かなかったのだが、独R&Mが、2010年モデルからBD-Frogを復活させていた。

Frog2010_2

 復活させたはいいのだが、この姿はいかに。フレームは同社の新型モノコックフレームに変更。これはいいとしてタイヤは12インチから16インチに。ギアは内装8段だが、重量は12kg。はっきり言って重い。値段は14万700円(税込)。

 ちなみにこっちは旧モデル。



Frog2006_2

 旧モデルのほうが良いデザインだったと思うのは、旧モデルオーナーのひいき目…だろうか。

 タイヤの大型化につれて、折り畳み時の寸法もずいぶんと大きくなってしまった。

  • 旧モデル w63×h48×d28(cm)
  • 新モデル w67×h57×d37(cm)
  • 寸法の差 w5×h9×d9(Δcm)

長さがプラス5cmというのは頑張ったと思うが、高さと厚みがプラス9cmというのはどうにも。特に厚みプラス9cmというは、持ち運び時に従来よりもかなりかさばるということを意味する。

 ちなみに現行のBD-1とブロンプトンは以下の通り。

  • BD-1(2010年9速モデル):w78×h61×d36(cm)
  • ブロンプトン(M3L):60×h58×d30(cm)

 12インチの旧モデルには、「スポークが折れやすい」という欠点があった。短すぎるスポークが乗車時のショックを吸収しきれなかったためである。この欠点を解消するには、タイヤを大きくすれば良い。オーナーとしては14インチが付けばずっと走行性能が上がるとは思っていたが、まさか16インチまで大きくしてくるとは。

 
 現状の私見は、デザインは「残念」、折り畳み性能は「問題ありか?」、走行性能は「不明」といったところだろう。もちろん、乗ってみたらぐいぐい前に出る気分の良い自転車に仕上がっている可能性もある。どこかで試乗できないだろうか。

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A-bike:hirax.netさんの記事について

 もうかなり前のことになるのだが、A-bikeと、その模造品について、hirax.netさんがこういう記事を書いている。

純正A-bike より 8インチ空気タイヤ版 A-bicycle の方が断然イイ!の不思議

 少なくとも、今回比べた純正A-bikeは「剛性」「直進性」において、パッチモンに比べてかなり劣っていた。前輪・後輪の直進性、そしてフレームから後輪への剛性感が、全然違うのである。
(中略)
 意外なことに、8インチ空気タイヤ版 A-bicycle はさまざまな部分で改善がされていて、純正品より(現時点では)遥かに「良い移動道具」になっている。個体差は大きいだろうから、一概に判断することはできないが、今日の純正A-bike v.s. 8インチ空気タイヤ版 A-bicycle を実際に眺め、実際に触り、実際に乗ってみた上での勝負結果では、モノとしてはパッチモンの圧勝だった。

 この記事が出た後、「お前さん、純正品を薦めていたじゃないか、立場ないね」的な意見がいくつか届いた。

 ちなみに、hirax.netさんはこの後で以下のような記事も書いている。

A-bike v.s. A-bicycle(8インチ空気タイヤ版)再び

(松浦注:きちんと純正品整備した。)すると、「純正A-bike」の剛性感が別モノと思えるほど、良くなっていた。フロントとリアを繋ぐ部分がフニャフニャなのは変わらないけれども、それ以外の剛性感がずいぶんと感覚が変わり、乗っている時の「不安感」が”かなり”改善されていた。自転車としては、まだ「(パッチモン)A- bicycle(8インチ空気タイヤ版)」の方が良かったが、、その安定感の違いは(ネジを締め直し、後輪のポジションを変える前の買ったそのまま状態よりは)かなり小さくなっていた。
(中略)
・・・結局、「純正A-bike」と「A-bicycle(8インチ空気タイヤ版)」の持ち主二人の意見は、”着実に改良をした”8インチ空気タイヤ版の「純正A-bike」が出たら、それが一番だよね、というところで一致した。

 というわけで、問題は「かなりの部分が整備の問題であった」ということで解決しているのだが、以下少々補足を書いておくことにする。

 私は、ここで比較対象になっている8インチ空気タイヤ版A-bicycleに実地で触れたことはない。もちろん乗ったことはない。それでも、ネットで調べると、何が起きているかは推測できる。

 事態を理解する鍵は重量だ。

 8インチのニセモノは非常に種類が多いので、hirax.netさんが入手した機種がどれなのかは分からないのだが、調べてみると公称重量5.7kgから8kgまでさまざまなようだ。

 そこで推測なのだがhirax.netさんが入手した機種は、7.5kg〜8kgあるのではないだろうか。オリジナルのA-bikeは5.7kg。現行製品のA-bike Plusは6kg。重量差は、1.5〜2.3kg。

 もともと6kgの製品に、プラス1.5〜2.3kgの重量増加を認めるならば、相当がっちりしたものにすることができる。「8インチのバチモンのほうが「剛性」「直進性」が良い」という印象は、かなりの部分、重量増加を認めた設計に依存しているのではないだろうか。

 ここから先は、かなりの部分を購買者の価値基準次第ということになる。プラス1.5〜2.3kgの重量増加を認めて、価格も安い(1万円以下とのこと)、しかも走行性能も決して悪くないニセモノを選ぶか、それとも1.5〜2.3kgも軽いが5万円超の本物を選ぶか。

 私ならば、たとえ5万円でも純正品を選ぶ。7.5kを持ち歩くのと5.7kgを持ち歩くのでは、体感的に大きな差があると考えているからだ。現行品でも6kgという重量は他の製品では得られない大きな利点だ。

 自転車の軽量化は容易なことではない。よく「1gの軽量化に100円かかる」などといわれる。1kg軽くしたければ10万円というわけだ。実際、8kgを切った自転車を部品の交換で軽量化を目指すとそれぐらいはかかる。
 しかも軽量化は耐久性とのトレードオフとなる。A-bikeは試作品が5.5kg、最初の製品版が5.7kg。次期製品が6.0kgと重くなってきた。5.5kgを目指したが、製品としては無理があって5.7kgになり、さらには売れるにつれて、最初の想定とは異なる使い方をされることも増えたため、6.0kgまでの重量増加を認めて構造を強化することになったのだろう。軽量化は本当に難しい。

 A-bikeは軽さを活かして持ち歩くというコンセプトの製品だ。問題は、それだけの軽さと、軽さが代償として要求するコストが、自分の価値観に見合うかということだ。私は見合うと思っている。

 もちろん「8kgであっても走行性能が良くてずっと安ければそれでいい」という考え方もありだ。プラス2kgもあれば、危険なほど壊れやすいということはないだろうし。

 ところで、A-bikeにはもう設計的に詰めていく余地はないのだろうか?
 例えば日本の自動車メーカーが、A-bikeのような自転車を、自動車に常備するオプションとして販売しないだろうか。日本の自動車メーカーの設計・製造能力をもってすれば、A-bikeを超えるA-bikeを作ることができるのではないかという気もするのだが。

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2009.08.01

忘れないために

 そして。折に触れ自分が反省するために。

オリンパスの歩みより。

米谷美久講演会

 米谷美久氏。オリンパス・ペン、ペンF、OM-1、そしてXA。カメラの世界で4回もの技術革新を起こした技術者。

「ペン」の設計者、米谷美久さんが死去

 コンパクトカメラ「オリンパス・ペン」などを設計し、名設計者として知られる米谷美久(まいたによしひさ)さんが7月30日、呼吸不全のため死去した。76歳だった。

 1956年にオリンパス光学工業(現オリンパス)に入社。1959年に発売され、世界累計1700万台を販売した「ペン」のほか、「OM」シリーズ、「XA」シリーズなど名機を設計した。

 気が付けば、私もまたオリンパス・ペンの、そのまたはるかな末弟に育てられた、「ペンの息子」なのであった(私が子供の頃使っていたのは「トリップ35」という、35mmフルサイズを採用したペンシリーズの末裔だった)。

 偉大なる技術者に最敬礼。ありがとうございました。

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2009.01.17

世界記録樹立のチャンス

Gokurakutonbo1_3

 今年の鳥人間コンテストが中止となった。来年、2010年は実施するとのこと。

2009年開催休止と2010年開催のお知らせ

 さて、2009年の大会ですが、残念ながら休止することが決定しました。
 昨今の厳しい経済環境はテレビ業界も同様で、番組制作費の見直しが検討されております。その中で、「鳥人間コンテスト」は参加者の安全な飛行を重視して大掛かりなセットや救助システムを組んでおり、予算削減を理由に安全面を軽視することは考えられません。事務局としても、大会開催にむけて検討を重ねてまいりましたが、上記の理由で09年の開催休止を選択しました。バードマン、また関係者の皆さまには、何とぞご理解を承りたくお願いいたします。

 これを受けてmixiの鳥人間コミュ(閲覧にはmixiのアカウントが必要)では、色々な意見が飛び交っている。「つまらないバラエティー番組から切ってほしかった」とか、「会社の上のほうは何が適切な費用かを判断できていない」と、怒りの声も出ている。

 しかし、これはチャンスではないか。

 世界記録に挑戦するチャンスなのだ。

 現在の鳥人間コンテストに参加する上位チームの実力は、私の見るところ、人力飛行機の飛行距離世界記録を狙えるところまで来ている。
 しかし、鳥人間コンテストに参加する限り、いくら飛行距離を伸ばしても、世界記録としては認められない。人力飛行機の世界記録のレギュレーションには、「自力で地上から離陸すること」という条件が付いている。湖面から10mのカタパルトから離陸する鳥人間コンテストでは、いくら長距離を飛んでも世界記録として公認されないのだ。

 私は2003年8月に、鳥人間コンテスト常連だったヤマハ発動機の「チーム・エアロセプシー」が琵琶湖で日本記録を目指して飛行を行った時、随伴ボートに乗って取材した。この時、エアロセプシーのリーダーである鈴木正人さんから、記録と鳥人間コンテストの関係を色々とお聞きした。

 当時の取材メモを引っぱりだして、要約すると以下の通り。

・日本の機体の水準は世界トップクラス。世界記録が狙えるところまで来ている。
・世界記録を出すためには、機体、パイロット(操縦技術と体力)、飛行に向いた良いコンディションの天候の3つが必要。このうち、良いコンディションの天候が一番難しい。アメリカが世界記録を出した時は、天候が飛行に向いたギリシャにチームが乗り込み、1ヶ月間も風待ちをして最高のコンディションの天候で飛行を実施した。
・自分たちサラリーマンの挑戦では、風の良いコンディションを1ヶ月も待つということができない。

Gokurakutonbo2_2

 実際、この時のエアロセプシーの飛行は、琵琶湖上空の空気が最高のコンディションとなる7月末から8月始めの2週間の週末土日4日間だけが飛行のチャンスだった。かならずしも最高の風ではない状態で飛んだ「極楽とんぼ」だが、10.9kmという当時の日本記録を樹立した。

 私は、鳥人間トップクラスの大学生チームが、最高の飛行コンディションが狙える土地に乗り込み、1ヶ月の風待ちをするなら、マサチューセッツ工科大学(MIT)の記録を破ることだって夢ではないと思う。

 MITの世界記録は1989年4月23日に達成。場所はギリシャ・クレタ島、機体は「ダイダロス」、パイロットはK. Kanelopoulos。飛行距離は119kmだ。
 一方、日本記録は日本大学航空研究会の「Möwe21」が2005年8月6日に、静岡県庵原郡蒲原町・富士川滑空場〜駿河湾で出した49.172kmである。パイロットは、増田成幸。

 もちろん記録への挑戦は容易なことではない。まず、機体を自力離陸可能なように改造する必要がある。チーム・エアロセプシーの機体「極楽とんぼ」は、一部の動力を車輪に回して、地上離陸を容易にする工夫がしてあった。
 また、鳥人間コンテストのように、飛行環境を全部テレビ局が整えてくれるのではなく、関係官庁や地方自治体、地域住民などに説明に回って、記録飛行を行える環境を整える必要がある。これはかなりの負担だ。

 それでも、得られるものは大きい。鳥人間コンテストは、基本的にテレビ局主催のショーなので、風や天候の条件が最高ではなくとも、主催者が飛べると判断したならば飛ばなくてはならない。世界記録を狙うなら、記録飛行に適した最高の土地、最高の天候を選ぶことができるのである。

 MITの「ダイダロス」は、例えばギアをマグネシウム合金から削り出すというようにすべての部品に惜しみなく予算を投じて軽量化した機体だった。その機体と、競輪選手並みの脚力のパイロットを組み合わせ、最高の天候が見込めるギリシャに乗り込んで、ぎりぎりまで風待ちをして出した記録だ。

 しかし、その記録もすでに樹立から20年経っている。その間の技術の進歩は著しい。鳥人間コンテストでさんざん鍛えられてきた日本のチームが世界記録を狙える可能性は十分あるだろう。

 「当事者でもないのに無責任なことを言うな」と言われそうだが、どうせテレビ番組が中止になったのだ。ならば、テレビに関わっていてはできないことをすればいい。世界記録を出して、読売テレビに「やはり他の番組を潰しても、鳥人間コンテストを開催しておくべきだった」と後悔させてやればいい。

 番組がなくともやれることはある。がんばれ、バードマン達。

 写真は、2003年8月3日、琵琶湖におけるチーム・エアロセプシー「極楽とんぼ」記録飛行の様子。早朝の風待ち(上)と記録飛行(下)。撮影:松浦晋也

 過去30年の歴史をまとめたDVD。鳥人間コンテスト30年の記録だ。
 鳥人間コンテストが、日本の航空界に与えた影響は莫大だったと言わねばならない。三菱重工ですらろくに新型機が作れない状況下で、規模こそ異なるものの、参加者達は毎年1回、必ず新型機を作り、30年以上に渡って琵琶湖に集まってきたのだ。どんどん新しいものを作るということが、物事を進めるのにどれほど大切なことか。

 ずっとテレビ番組で見てきたが、残念なのは年を追う毎に番組が演出過多になっていったこと。本人はろくに飛行機に興味を持ってもいないお笑い芸人など不要だ。狙って演技するアナウンサーの絶叫も邪魔以外の何者でもない。お涙頂戴のビデオ編集はうっとうしいだけである。

 私はただただ、飛行機が見たいのだ。琵琶湖上空を晴れ晴れと飛ぶ、バードマン達の飛行機が見たいのである。

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2008.12.27

BD-Frog:前輪を外さなくとも折り畳めるようになる

8total

 長らく報告していなかったBD-Frog。実はこの秋、3ヶ月に渡ってサイクルハウスしぶやに長期入院していた。
 といってもトラブルが出たわけではない。かなりの距離を乗ったのでメンテナンスをお願いしたのだ。9月にショップに持ち込んだ段階ではそのつもりだった。メンテナンスとちょっとした改造。改造はフロントのクランクとギアを交換し、オリジナルの52Tから手持ちの56Tにハイギアードすることだけ、のはずだった。

 ところが10月にアメリカに行ったこともあって京成電鉄のお花茶屋駅近くのサイクルハウスしぶやに受け取りに行くことができたのは11月になってからだった。
 ショップに着くと「実は前輪を外さなくとも畳めるようになりました」との一言が待っていた。
 リアの変速機をカプレオからシマノの新しいデオーレXTというディレイラーに交換すると前輪を外さなくとも畳めるようになったという。
 聞いてすぐに思ったのは、「こりゃ人柱にならないかというお誘いだな」ということだった。以前、「もっと小さな変速機に変えたら前輪を外さずに畳めるようになりませんかね」と相談したことがあった。そのことを覚えられていて、「人柱は如何?」と誘われたのだろう。

 もちろんお誘いに乗りましたとも。

 一週間で出来るという話だったが、一週間後に届いた連絡は「ちょっとトラブルが出まして」というものだった。今回、フロントを56Tの大径にしたところ、ひかかってしまったというのだ。「大丈夫です。変速機のアームを切断して加工します」
 うわあ…と思ったが、もうここでは引くことはできない。「お願いします」と言ってさらに二週間。やっと完成した。




2zenrinhiroge 3derailer


 畳んだ状態でのBD-Frog。この通り前輪を外さなくてもきちんと折り畳まれている。前輪を出した状態で見ると、きちんと外装変速機が畳んだ状態で収まっている。

4delailer2  広げた状態で外装変速機を見る。シマノの新しいディレイラーのデオーレXTをアームを切断し、短くして使用している。

6stem  フロントのステム回り。ステムを短くしたので、ワイヤーも短くした。

7seatpost_2  今回最大の投資ポイント。チタン製のシートポストを入れた。およそ100gの軽量化。その100gに支払った値段は…聞くな!

5bb フロントは手持ちのパーツを使って52Tから56Tにした。52Tだと自分の脚力でもトップギアを踏み切ってしまうため。少しハイギアードに振ってみたわけだ。

 まず折り畳みだが、これは格段に楽になった。畳むと必ずチェーンがはずれるので、組み立て時にチェーンをきちんとギアに掛けなくてはならない。どうしても手が汚れてしまうが、それでも以前フロントタイヤを外していたことを考えると全然簡単だ。
 ハイギヤード化は、成功だった。よりスピーディに走ることが可能になった。ただしこれでも軽い。

 残念ながら変速の感触は悪くなった。特に3段目からトップギアにかけては、手元のシフターを操作してもきちんと変速しないことがある。これは、リアのギアがカプレオ、変速機がXT、シフターがカプレオという組み合わせだからかも知れない。シマノは部品の組み合わせをあまりにかっちり設計するので、違うグレードを組み合わせるのが難しいと聞いたことがある。

 問題点が一つ、思い切りペダルを漕いでいる時に強いショックが加わると、チェーンがディレイラーから外れることがある。これはフロントを大径化したこととディレイターのアームを短く切りつめたこととで、ディレイラーに入るチェーンのラインが完全にはディレイラーのギアとかみ合わなくなっているかららしい。
 今後フロントに60Tを入れることも考えていたのだけれど、60Tは無理かもしれない。逆にフロントを小径化することを考慮すべきかも。となると、Speed Driveを入れるしかないのだが、値段が…。どうしたものか。

 結論から言うと、これでまた理想の折り畳み自転車に一歩近づいたという感触がある。細かなトラブルはこれから徐々につぶしていけばいい。

 Frogに乗っていると20歳で初めて原付に乗った時の「おお、これに乗っていればどこまででも行くことができるぞ」という高揚感が甦ってくるのを感じる。面白いものだ。

 さあ、これでどこを走るか。

9firework
 12月20日の夕闇、江ノ島付近を走っていたら、突如冬の花火が上がった。夏の花火大会に向けての技術試験だろうか。  こういうことがあるから走るのは楽しい。26年前、初めて原付に乗った夏、伊豆半島を三島から回って下田経由で熱海まで来た時、花火大会にぶつかったのを思い出した。狙って見に行くのではなく、思わず出会う花火。

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2008.06.12

A-Bike:バチモン二題

その1

 中国には「阿里巴巴(アリババ)」というB2Bコマースサイトがある。要はヤフオクが個人と個人の売買をつないでいるのと同じ要領で企業間取引をつなぐサイトだ。日本のソフトバンクも出資していて、日本語サイトも動き出している。このサイトを見ていると、中国が今何を日本に売りたがっているかが見えてきて、なかなか面白い。

 何の気なしに、「自転車、自転車部品」のカテゴリーを見ていったら、こんなものが出てきた。

深圳(zhen)市華訊唐科技有限公司

 む?これはA-Bikeか、それともニセモノか。A-Bikeはシンクレアが知的所有権を持っているはずだが、きちんとライセンス契約を結んでいるのか、それとも…

 B2Bサイトなので、深圳市華訊唐科技有限公司の詳細も掲載されている。年間売上:50億-100億円、資本金:500万-1000万円ということだから、今まさにのし上がろうとしている企業だろう。
 深圳市華訊唐科技有限公司のホームページもある。フィットネス製品とカー用品をほとんど手当たり次第に作っていることがわかる。

 さらにアリババの掲載情報を見ていくと、おおっオリジナルにはない赤と青のA-Bikeも作っているではないか!

 これはニセモノだな。

 しかし、日本向けB2Bサイトに、堂々ニセモノを掲載して売ろうとするというのは、いい根性しているというか、怖い物知らずというか。この調子だとアリババの各言語向けサイトのすべてに、バチモンを掲載しているのではないか。

 私は「だからチャイナクオリティww…」というような見方はとらないが、中国政府がWTOに加盟しても、末端がこれじゃ先行き大変だな、とは思う。

 とりあえず、書いておこう。たとえ安くてもニセモノを買ってはいけません。オリジナルほどの強度や精度がないので、危険です。

17;45追記:
 おわっ、ここにもバチモン(広州尚雅会化妝品有限公司)が!
 と思って、ずっとアリババのページを見ていったらば、そんなものでは済まなかった。

 福建省(茘城区聯合貿易有限公司)からも参戦しているではないか!

 広州(広州施耐電子科技有限公司)からもぞくぞくだ!

 ここにも(永康市弘源工貿有限公司)

 ニュー自転車(永康市衆星車業有限公司)ってのもひどいな。自分で開発したわけでもないのに。

 はっきりA-BIKEと名乗ってしまっている(永康市福旺進出口有限公司)ところも。ニセウルトラマンみたいだ。


 ひゃー、ストライダのバチモンっぽいのもあるぞ(永康市浩邦工貿有限公司)

 しかも一種類でない(永康市福旺進出口有限公司)

 ぞろぞろ、出てくる(浙江朗匯科技有限公司)ではないか。
 
 ストライドバイクなどと名前をつけているところ(浙江金拓機電有限公司)もある、

 全部見たわけではないが、まだまだありそうな雰囲気だ。なんというか…1匹見かけたら30匹は…の世界だな。

 しかし、ネットを通じてバチモンの製造元の連絡先までが一発で分かるというのは、便利になったもんだというべきなのか。

その2
 バチモンたちも、マーケットリサーチ及び研究開発に怠りはないようで、今年に入ってから、8インチタイヤを付けたものが出回るようになった。A-Ride Xとか、A-bicycleとか。

 段差の乗り越えに関して、A-Bikeの6インチタイヤが不安要素であることは間違いない。「8インチタイヤにすれば」というのは誰でも考えることで、これらバチモンは本物に先駆けて、“改良”を試みたわけだ。もちろん安い。3万7500円のところを1万2800円って、まあ奥さんお得ですわよ!

 もちろん買ってはいけない。強度の問題はもちろんのこと、重量が7.5kgになってしまっている。オリジナルの5.7kgが7.5kg。たった1.8kgの差だが、これが携行にあたっての大きな差となる。A-Bike購入以来、色々実験してみたが、人間の重さを感じる感覚は5kgを超えると少しの重量増加でも急に重く感じるようになる。また、10kgを超えると、また多少重くても大して苦には感じなくなるようだ。
 オリジナルが6インチタイヤを採用しているには、それなりの意味があると、私は考える。

 同じ7kg台なら、私はバイク技研のYS-11を薦める。8インチタイヤの自転車が欲しければ、私のお薦めはCarry-meだ。

 高いというなかれ。値段に惑わされず、きちんとコストをかけたものを見抜いて、良い物を買うことで、質の低い製品を淘汰できるのだから。

 中国最大のB2Bサイト、アリババの勃興と創業者の馬雲の軌跡をまとめたノンフィクション。書評仕事で読んだのだけれども、正直文章はあまりうまくないし、内容も散漫。それでも、中国にB2Bサイトが何をもたらしたかをはっきりと示す面白い本だった。
 B2Bサイトが、中国の商取引にもたらしたのは「信頼」だった。中国における伝統的な商取引は、人と人との信頼関係が絶対的な意味を持つ。つまりは「有関係」、コネだ。信頼できる知り合いのそのまた知り合いも信頼できる、という形で信頼のネットワークが広がっていく。
 この方法では、無関係の他人とは、お互い全く信用できないことを前提に取引を行うことになる。となると、相手を出し抜き、騙してでも一方的に利益を上げようという態度にもつながることになる。後がどうなろうと、もう二度と取引をしないから構わない、というわけだ。
 しかしアリババは、取引をした相手が相互に相手を評価し合うシステムを持ち込んだ。ヤフオクの評価と同じだ。となれば、ひどい評価を喰らうような取引は控えなくてはならない。明らかにアリババは、中国の商取引に新たな信頼を持ち込み、そのことによって大きく成長したのだと思う。

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2008.06.07

BD-Frog:ハンドルを切りつめる

Handle1_2 BD-Frogのハンドルは、購入当初から気になっていた。少々長くて私の手ででは、シフターに親指が届かない。ハンドルバーだけではなく、エルゴンのグリップをも切りつめる必要があるので、少々ためらっていたのだが、過日思い切ってやってみた。

Handle2 左右共に1.5cm切りつめてみた、切ること自体は大して難しくはない。金ノコ一丁で済む。やってみると、手を持ち替えることなくシフターに親指が届くようになった。数十kmほど走ったが、切りつめたことによるデメリットは別に感じない。もっと早くこうすれば良かった。

Handle3 もちろん、切ったことによっていくらかは軽くなるはずである。ふむ、17gの軽量化か。

Asarisuddle あさりさんから、中古のより軽いサドルが届いた。さっそく交換する。サドルには135gと書いてあるが、実測値は152g。これまで付けていたサドルが237.5gだから、85.5gの軽量化だ。

Chainguard フロントのチェーンリングについていたガードがネジの脱落で割れてしまった。もちろんはずす。乗るときにズボンの裾をバンドで止めるようにすればいいだけの話だ。
 43gか…取り付け用ネジは1本1g強で5本だったから、ネジを含めてまあ48gぐらいだな。

Frog0806
 というわけで、また150.5g軽くなったBD-Frog。ここまでで、トータル657.5g軽くなった。目標の1kg軽量化まで、あと340gあまりだ。  

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2008.05.17

BD-Frog:サドルとシートピラーを交換する

Seat7

Seat1 BD-Frogのシートピラーは、二重になっていてかなりシートを高くすることができる。しかし身長が低く足が短い私には全く無意味だ。

 この部分、なんとかして軽量化したいものだよなと思い、以前BD-1から外したシートピラーをひっぱり出してきた。どうやらうまく付きそうだ。新しい軽めのサドルも買ってきた。ポントレガーの「インフォームR」というサドルだ。写真は左から、オリジナルのパイプが二重になったシートピラー、真ん中が新しいインフォームRサドル、右がBD-1に附いていたシートピラーとサドル。

Seat2 Seat3

 そのままで重量を測ってみる。オリジナルのサドルとシートポストは954.5g、BD-1のサドルとシートポストは821.5g。交換するだけでも120g以上軽量化できることになる。



 Seat4 新しいサドルは237.5g。サドルを交換すれば、さらに100g程度は軽くできそうだ。

Seat5 Seat6

 サドルを交換し、長すぎるシートポストは思い切りよく切断してしまう。折りたたんだときの邪魔になるからだ。もちろん切った分だけ軽くもなる。

 できあがったサドルとシートポストの重量は636g。なんと318.5gも軽くなった。前回のステムの交換で188.5g軽くなっているので、トータルでは507gの軽量化である。畳んで持ち上げてみると「お、軽くなったな」というのが分かる。

 これはせっせと輪行しないと損だ。

 軽量化したBD-Frogで、早速このあたりの登坂練習のメッカである湘南平を登ってみた。

 500g軽くなったぐらいでは、あまり走りが良くなったとは思えない。相変わらず上りはつらい。湘南平には、近くの高校の体育系部活もジョギングに来ている。自転車に乗っているにもかかわらず、上りでジョギングの高校生達に抜かれた。つくづく情けない。もっと鍛えねば。

 自分の目算としては、トータルで1kgぐらいまでは軽量化できるのではないかと踏んでいる。つまりあと500gだ。サドルとシートポストを軽い部品に入れ替えるとあと200gぐらいは簡単に軽くなるはずである。もちろんこれまでのようなBD-1余剰部品の再利用とは違って、お金がかかるわけだ。




Seat8


 まあ、自転車の軽量化に血道を上げるよりも自分を軽量化するほうが、ずっと削り代は大きいし健康にもいいし、余計な部品代も不要ではある。




Intoaz1


 ちなみに、AZ-1にも積んでみた。簡単に積み込むことができ、運転の邪魔にもならない。これなら車で遠出してサイクリングという遊び方もできるな。

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