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2004.02.27

二輪駆動自転車を見学する

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 午前中は日経WinPCの取材で市ヶ谷のシャープへ。実に面白く、楽しい取材だった。午後は洗足池に出ていつものメンバーでブレーンストーミングというかミーティングというか、そのまま晩飯、さらに酒へとなだれ込んで帰ってきたのは終電だった。ミーティングではショッキングな事実が判明。「フォン・ブラウン、あんたは偉かった!」。

 シャープ取材後、歩いて飯田橋に出て、東京理科大学入試センターに。別に再度入試を受けるというわけではなくて、ここに展示されている二輪駆動の自転車を見に行ったのだ。同大学の小林研究室が開発し、ベンチャーの日本ロボティクスが製造、そして販売している現在入手できる唯一の二輪駆動自転車である。


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 自転車の前輪と後輪を一緒に駆動する場合、1)前輪と後輪の走行路に差があることから生じる回転数の差をどうやって吸収するか、2)ステアリングを回した場合の回転が動力伝達軸に伝わるのをどうやってキャンセルするか——という2つの問題がある。理科大の自転車がこの2つをどうやって解決しているか、上の写真で分かるだろうか。動力は後輪軸から取ってベベルギアで前輪へとシャフトでひっぱってくる。ステアリング部のギアは、ステアリングの回転をキャンセルする仕組みだ。その上で前輪の軸にフリーハブを組み込んで、前後輪の回転の差を吸収させている。

 自動車に四輪駆動があるのだから自転車やバイクでも二輪駆動を、という発想は別に珍しいものではない。日本では趣味で二輪駆動自転車を自作した人もいるし、アメリカではマウンテンバイクのメーカーが製品化をしていたりする。バイクでは、アメリカ製のROKONという製品があったし、日本でも確かベンチャーが50ccの製品を少量市販したことがあった。

 二輪駆動自転車の面白いところは、役に立つのか立たないのかが実に微妙だという点だ。雪道を走れるといっても「そもそも雪の日に自転車に乗る必要があるのか」といわれればあまりないだろう。前かごに重い荷物を積んだ時に安定するといっても、積み方の工夫で安定させたほうが簡単である。おそらく数kgは重くなるであろうから、g単位で軽量化する競技用自転車への採用もなかなか悩ましい。

 それとは別に「なにがなんでも二輪駆動を実現するぞ!」という強い意志を感じさせる構造は見ているだけで楽しい。本当に実用品として使えるのか、それとも愉快な無駄メカなのか、自分で乗って試してみたいところではある。展示されていた自転車をちょっといじってみたが、ギア部分のバックラッシがかなり大きくて気になった。ただし、これは試作品であるためなのかも知れない。

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Comments

ああ! 私も行きたかった! すいません、約束してたのに延び延びになっちゃってましたね。
私のアタマが悪いのか、想像力が足りないのか、今ひとつ、動作が
はっきりしません。たぶん、下段のギアが動力伝達、上段のギアが回転をうち消すためのものですよね。どこの軸が固定されて、どこの軸がフリーなんだろう…? 一刻も早く出かけて、この目で確かめた方がよさそうですね。

 こっちこそさっさと行ってしまい申し訳ない。すぐ近くの取材だったので「チャンスだっ」とね。

 下段のギアで動力伝達と打ち消しの両方をやっています。上段は実はフロントを垂直に降りる動力軸をささえるためのものです。支えがなぜギアに支持されているかはちょっと考えてみてください。

 見るとちょっと感動しまずぜ。

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