コウイカを食べる
終日原稿。煮詰まっているので部屋はどんどんきれいになる。洗濯物を片づけて、本棚のほこりも払って、でも原稿が進まない。
夕刻、実家から電話。「船長さんからコウイカをもらったからいらっしゃい」と母。自転車で10分のところにある実家へ出かけて夕食。40歳過ぎの独身男、実に情けない。
「船長さん」とは父の友人で、片瀬江ノ島で漁師をしているKさんのこと。60歳を過ぎた今も船に乗り漁に出ている。実は雑誌「舵」の海洋文学賞を取ったことがあるセミプロ作家でもある。父曰く「長塚節のような農民作家というのは時々いるんだが、漁民作家はいないのだ。板子一枚下は地獄で宵越しの金は持たないというメンタリティだと、そもそも文章なんか書く気にならないのだな。Kさんは珍しい例外だよ」。時折とれたての魚を持ってきてくれるという実に貴重な、父にとっての「物くるる友」である。私も、Kさんにお願いして、作家の小川一水さんを船に乗せてもらったことがある。
ちなみにKさんの小説は、現在「五郎の海」(小菅太雄名義)が入手可能だ。圧倒的な海の描写がすばらしい一冊である。
とれたてのコウイカのうまいことといったら、筆舌に尽くしがたい。これがあるから海の近くはいい。
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