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2004.04.05

「宇宙塵」に拙文が掲載される

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 4月4日は雨も降り肌寒い一日。部屋の掃除と整理とあれこれ買い出し。

 数日前に柴野拓美さんから届いた包みを開けると、SF同人誌「宇宙塵」の最新号(198号)だった。私は「コロリョフ最晩年の家を訪ねる」という一文を寄稿している。メインは野尻抱介さんの短編「沈黙のフライバイ」、そして1977年に行われた小松左京・柴野拓美対談の採録(目次)。

 昨年6月にモスクワに行った際に、ソ連宇宙開発の父にしてアメリカが恐れた「設計主任」、セルゲイ・コロリョフが最晩年を過ごした家を訪れた。掲載と相成ったのは、その時のことを書いた文章である。

 とてもうれしい。日本SFの先駆者であり翻訳者でもある柴野さんが主宰する「宇宙塵」は日本最古にしてもっとも長く続いているSF同人誌だ。過去に数々の傑作を掲載し、数多の才能を発掘してきた。そこに文章を載せることができたこと、そして「沈黙のフライバイ」というファースト・コンタクトテーマの傑作と並んで掲載されたことが素直にうれしい。

 実際、SFというのは思考を合理的な形で解放する有力な手段だと思う。この「合理的な解放」というところがとても大切だ。ドラッグから宗教に至るまで、精神を解放する手段を人間は色々開発してきたけれど、あくまで合理的に解放してくれるのはSFだけだろう。

 コアなSF関係者からは「SFを手段としてしか見ていないのか」とか「SFは人間の非合理性をも取り込むことができる」とか色々といわれそうだけれども、でも私にとってSFはなによりも、すぐに固まりたがる自分の思考を柔軟にしてくれる道具であり、同時に読書の楽しみの大きな部分を占める文学形式でもある。

 久しぶりにミルクティーが飲みたくなり、低温殺菌牛乳を買ってきてフォーションの紅茶をいれる。私はコーヒーより紅茶、レモンティーよりもミルクティーが好きだ。ミルクと茶葉がそろわないとおいしいミルクティーにはならない。同時にベルギーのブラックチョコレート(茅ヶ崎くんだりであっさり入手できるのだからずいぶん便利になったものだ)などもちょいとかじって午後の一時を気分良く過ごす。ああスノッブ。

 写真は「宇宙塵」最新号の表紙。恥ずかしいのでちょっと小さく。

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Comments

こんにちは。八谷です。トラックバック(「はてな」ではリファラーのような扱いですが)を見てやってきました。自分のサイトへのリンクはどこに・・と探したら「書評」の欄にあったのでびっくりしました。実態は書評にはほど遠い、単なる感想日記なので恐縮です。が、でも少しでもこの本が売れて、日本の宇宙開発や政策のありかたが変わればいいな、とは心から思います。
現在は笹本さんの「宇宙へのパスポート2」も読んでいます。こちらも面白いですねぇ。

 八谷さん、はじめまして。拙著に関する記述があることは森山さんから教えてもらいました。

 メーヴェを飛ばそうという計画、興味を持って拝見しています。

 一度見に行きたいと思っています。飛行試験が始まったら見せていただければうれしいです。

八谷です。コメントありがとうございます。
今は「われらの有人宇宙船」を読んでいます。
「自分の頭で考える。自分の手を動かしてものを作る。自分の足で歩いてみるーそうやって蓄積した経験こそが何物にも代え難い未来につながる宝である(まえがきから引用)」というのは、全く同感です。
同時に、それこそが最高の娯楽だともよく感じます。
僕自身は飛行機には全く素人だったのですが、それでもいろんな方との巡り合わせもあり、沢山の方に助けられながら、ぼちぼちやっています。
今はテストフライト地などを探していますが、完成したら松浦さんにもぜひテストフライトを観て頂きたいです。

>>同時に、それこそが最高の娯楽だともよく感じます。

 まったく同感です。パリエアショーで講演したバート・ルータンも「楽しみとしての技術開発」と言っていました。彼も八谷さんと同じことを感じていたのだと思います。

 手を動かすというのはなによりの楽しみですよね。

 テストフライト。、絶対行きます!こんな面白いもの逃してなるものか!!

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