1日4件の用事をこなして、また消耗する

4月20日
つらい、疲れた、といっても、世間が私に合わせてくれるわけではない。というわけで午前中からアリアンスペース社の記者会見へ。同社のル・ガル会長来日に合わせたもの。会場に行くと、笹本祐一さんと江藤巌さんが来ていた。
今年の世界の打ち上げ需要は衛星が15から20機。5年前は世界で45から50機と言っていたのだから、この業界の冷え込みっぷりも理解できる。その中でアリアンスペースは一昨年までの赤字を脱して2003年度は黒字に復帰する予定とのこと。しかしそれも昨年秋に、ESAがアリアン支援プログラムを決定して財政援助をしたからこそだろう。
衛星の種類はかつての通信衛星から、今後はHDTV(早い話が衛星ハイビジョン)用の衛星へと変わりつつある。今後打ち上げる衛星の4割以上はHDTV用放送衛星になるだろうとのこと。
記者会見が終わると、立食パーティ。東京事務所のローランツ氏と高松さんにあいさつする。ローランツさん「やあ、元気ですか。もうこっちは大変ですよ大変。うちだっていつ撤退したっておかしくない」。
高松さんはといえば「松浦さん、あの本出して結構な収入になったでしょ」
「いやいや、今年今年前半の生活がたちいくかという程度です。アリアンはやっと赤字から脱却と言ってましたけど」
「こっちも今年前半がたちいくかどうかですよ」
商業打ち上げの雄アリアンですら、現状これだ。ましてH-IIAがどうかといえば考えるまでもない。商業打ち上げとかなんとか言っている場合ではないのだ。
午後一で日本テレビへ。宇宙開発で報道番組を作るので、話を聞きたいというので、知っている限りのことを話す。次の用事が押してしまったので、タクシーチケットを出してもらって、次は六本木のエクスナレッジへ。WinPCでやった連載「コダワリ人のおもちゃ箱」の単行本化で打ち合わせ。相当量を書き足すことになる。楽はできないようにできている。
これが終わった時点で、午後5時過ぎ、へろへろの体をなだめつつ、銀座のライオン別館へ。笹本さんが7月刊行の「エリアル読本」のためにイラストの鈴木雅久さんと対談しており、編集の石井さんが同席していると聞いたため。石井さんと打ち合わせの必要があったのだ。
石井さんは朝日ソノラマの笹本さん担当の編集者。大変なベテランである。石井さんとの初対面の時、笹本さんに「石井さんってどういう人?」と聞いたら「夢枕獏と菊池秀行と笹本祐一を発掘した編集者だぞ」と例によって簡潔にして直截な答えが返ってきた。要するに名編集者ということの笹本流表現だった。
私の次の大仕事はその石井さんとすることになる。火星探査の本だ。
編集者の能力は、本の出来に直接関わる。個人としては著作権をもたない彼らの仕事が、世に出る本の善し悪しを決めるといっても過言ではない。石井さんと仕事ができるというのは、私にとって喜びでもある。
ライオンに行くと、笹本さんと鈴木さんはパソコンを広げて、それぞれネットから拾ってきた画像やら動画像やらの見せ合いをしていた。しかもEthernetクロスケーブルでつないでファイルの交換までしている。飲み屋でなにやってんだか。
鈴木さんは初対面、絵柄から小柄な人かと想像していたのだけれども、実はかなり背の高い大柄な方でした。
石井さんと打ち合わせの後、ビールで歓談。私の本は、笹本さんの「エリアル読本」と共に7月刊行ということになるようだ。石井さんの、「原稿、お願いしますよ」という言葉が耳の奥に突き刺さる。
1日に4件もの用事をこなすと、やや回復しつつあった体力がまた底をつく。帰宅して昏倒。ぐうぐう。
写真はビールを飲みつつパソコンで動画を鑑賞する鈴木氏(左)と笹本氏(右)
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