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2004.05.06

静岡で桜エビを食い倒れる

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5月2日

 渋滞を避けるために、午前6時半に、AX-1に乗って自宅を出る。湘南大橋を渡って国道129号、厚木インターから東名高速に乗って一路静岡へ。渋滞覚悟だったがするすると進む。これなら大丈夫と富士川SAで1時間ほど昼寝。午前10時半に静岡インター出口で、はたぼうさんと合流。

 はたぼうさんは大学の後輩だ。日頃は「松浦先輩!」「なんだ、はたぼう(もちろん実名で呼んでいるわけだ)」という間柄なので、以下はたぼうと書かせていただく。

 私は大学で模型クラブというところに所属していた。プラモデルマニアの集まりででろでろとプラモデルを作っていたわけだ。そこに入ってきたのがはたぼうだった。彼は1年ほどで辞めてしまったのだが、その後も我々の交友は続いた。共に放浪癖があり、妙にウマがあったのである。
 私はバイクで休みのたびに日本のあちこちをうろうろしていたが、彼は私以上に活動的だった。自転車で日本を走り回り、台湾を走り、銀輪部隊よろしくマレー半島を走り、オーストラリアを走り回った。
 私は成績が悪く、就職の時に「出版社に行きたい」といったら就職担当の先生から「お前のためにしてやれることはない。一刻も早く会社回りをしろ」と言われたが、彼は成績が良く、学校推薦で自動車会社にエンジニアとして就職した。現在は名古屋方面で働いている。
 その後、はたぼうはバイクに乗り始めた。そして、年に数回、お互いの中間地点の静岡あたりで落ち合って一緒にツーリングをしているのである。

 今回の目的地は、安倍川の源流に近い山梨との県境に近い梅ヶ島温泉。昼前についたが、最初に入湯を予定していた「黄金の湯」という浴場は観光客で一杯。入るのを諦めて梅ヶ島温泉街へと向かう。

 まずは昼食。いかにも観光地な食堂で山菜蕎麦を注文する。手際悪くもたもたと注文を取っているので、「これは駅蕎麦みたいなのがでてくるかもな」と話していると、意外に本物の蕎麦でおいしかった。一緒に注文したイワナの塩焼きも新鮮で美味。
 その食堂に湯治場が付属していた。定員7名と張り紙がしてあったので混んでいるかと聞くと「今おひとりさんだけですよ」。これはいいかも知れないと、ここで温泉に浸かる。小さいけれども露天風呂もある清潔な浴場。当たりだったかも知れないと喜んでいると、後から入ってきた親子連れが「『黄金の湯』よりきれいだねー」と話している。単純硫黄泉の透明な湯に心ゆくまで浸かる。

 出てから周囲を見回して、湯を送るパイプ配管を発見。ここの湯がきれいだった理由が分かった。源泉に一番近いのである。店の人に聞くと「ここから下の温泉街にパイプで湯を持って行っているんですが末端では湯温が下がるので追いだきをすることもある」とのこと。

 そのままのんびりと休んでから、静岡に戻ってホテルにチェックイン。フロントで「桜エビを食いたい」というと、「えび金」という店を紹介される。予約電話まで入れてもらっていざ店へ。

 場所はちょっと目立たない雑居ビルの2階。我々が着いた時は店は空っぽだったが程なく満席になる。桜エビは駿河湾の味覚。さあ、桜エビを食い尽くすのだ。まずは生と唐揚げと釜揚げ。

 うまい!生エビはほんのり甘く。唐揚げは香ばしく、釜揚げは肉の歯ごたえが良い。桜エビこそ天が与えた駿河湾の自然の恵み。もう止まりません。各種桜エビ料理を次々に注文して焼酎を飲みまくる。

 話題ははたぼうの職業柄、自動車のことが多くなる。

 前から気になっていたことを聞く。昨今大流行の3列シート7人乗りの最後部座席は安全なのか。
 さすがに、はたぼうは言葉を選びつつ慎重に答える。
「前輪と後輪の軸の間は丈夫に作ってあるんで大丈夫です。でも、そこからはみ出してオーバーハングに座席を作るとなると安全性の確保のためにオーバーハング部を大きく補強することになります」
 つまり着座ポイントがオーバーハング部に入る3列シートは2列シートと比べて難しいんだろう。
「確か、3列目でシートベルトを締めていなかった子供が衝突で放り出されて死んだという事故があったな」
「シートベルトは後ろの席であっても締めるべきです」
「でも、実際には後部座席に行くほど安全意識がいい加減になる」
「こわいところですよね」
「なあ、そこまでして3列にしたって、走っているクルマに乗っている乗員の平均は確か1.5だか6人だったよな。3列の設計にしても、その3列が生きる局面はごく少ないわけだ。ならば2列の設計のほうが使われ方を考慮すれば合理的なのでは。3列シートにすれば車体も大きくなるから取り回しは難しくなるし、重くなって燃費にも影響するだろ」
「でもね、市場は3列7人乗りを欲しがっているんですよ」
「売れ方からしてそうなんだろうな。いったい普通の日本人は何を考えているんだろう」

 私の本職のほうで聞き捨てならない話を聞く。
「最近の新入社員は、クルマにカーナビが着いていないと混乱しちゃうんですよ。『カーナビもないのに目的地にどういったらいいか分からない』って」
 これは恐ろしい。カーナビはアメリカの国防総省が開発・運用しているGPSという衛星システムを利用している。GPSは本来軍用に開発されたものだ。一応、日米間では1998年に「小渕・クリントン合意」というのがあって、今後の継続利用が確認されているのだけれども、アメリカが大統領選挙の度にがらっと方針を変えることはご存じの通り。

 アメリカが「おまえんとこにGPS使わせてやらない」と言ったら、それだけで昨今の若者は道に迷ってしまうのである。これは「自立した国家」だの「普通の国家」といった議論以前の問題だ。測位衛星に関する国家的戦略の不在は、以前からあれこれ指摘していたが、事態はここまで進行していたとは。

 そんなこんな会話をしつつ看板まで居座って、桜エビを食いまくる。最後は桜エビのかき揚げ茶付けで締め、ホテルに戻って沈没。

 写真は、はたぼう氏のZZR-250(手前)と私のAX-1(奥)。梅ヶ島温泉にて。

注記:少々書きすぎた点もあり、公開後修正しました。ネットは難しいです。

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Comments

 カーナビと言えば、何年か前に金子隆一さんのお宅に野尻さんとお邪魔したとき、最初に乗ったタクシーの運転手がまさにカーナビ君でした。当時のカーナビの性能もいまほど発達していなかったこともあったのでしょうが、カーナビで見つからない場所や道についてはお手上げ。結局、そのタクシーは降りて、後続のタクシーに乗りました。後続タクシーのベテランの運転手さんも「最近はカーナビに頼ってばかりで道を覚えようとしない同業者が多くて困る」とぼやいてました。

カーナビに関してはもう一つ思うことが。地図をよく見る友人が、”上が北じゃないと気持ち悪い”と言っていたことに端を発して考えたことです。ほとんどのカーナビは、進行方向を上にして表示をしますよね。確かに便利です。が、相対的に自分の位置をとらえるとか、方向感覚を養う、と言う意味ではどうなんでしょうか?このままでは地図をいったん回転させて自分が剥いている方向に向けないと考えられない人が増えるのでは無かろうか、とか。
場所の説明をするときに小さい頃は自分の家を中心に場所の説明をするけれども、大きくなるに従って駅とか公共の建築物などを始点として説明をするようになる、と言う話等を思い出しました。
ちなみに私は走りながら地図を見れるタイプ(必要があればメールだって打てちゃうタイプ)なので、カーナビは搭載していません。搭載されているモニターは単なるテレビ機能だけです。

 そもそも「自分の位置を調べる」ってことについて、楽しいか楽しくないかを比べてみるのも面白いような気がします。私は楽しい。というか自分の位置がわかってないと不安。それも交通網的にどのエリアにいるかじゃなくて、対地球座標でわかってないと。
 東京で道を聞くときに、何線に乗ってどうこうという人に、方角と距離は? って聞くと黙り込んじゃう。そこで妙な優越感を覚えてから、しばらくたって、この町では方角と距離なんか何の役にも立たず、電車の路線図のほうが有用なのだと気づいてヘコんだことがありますけどw

 子供の頃は迷子になるのがとても怖かった。どこに行っても自力で帰って来られる、という自信が、大人になるのとほぼ並行して身についてきたように思います。カーナビ必須の人たちは、迷った経験がないのでは? ……にしても、それってどんな生い立ちだ。けっこう聞いてみたいです。

>>カーナビタクシー運転手
 最近多いですね。不況で増加しているにわか運転手だけではなく、かなりのベテランも装備している人がいます。「どうしても分からないときは便利」という話を聞いたことがあります。

 ロンドンのタクシーはどうなっているんでしょうね。

>>地図の上下
 先だってKDDI-auのGPS携帯電話の取材をした時に「進行方向を地図の上にしてほしい」という要望がとても多かったと聞きました。この件に関しては男女差があるという話がありますが(未読ですが本が出ていましたよね)、それが事実なのか俗説なのかは私は知りません。

>>自分の位置がわかってないと不安
 私は子供の時から割と平気でした。「東西南北さえつかんでいれば家の方向に向かえば知った風景に出るだろ」といった感覚です。これは東西に中央線が走っている東京・武蔵野あたりで育ったからだと思います。南北に動けば中央線や西武線、京王線、小田急線などの私鉄に必ずぶつかる。線路をたどれば駅に着く。駅名が分かれば自分がどっちに帰ればいいか分かる、と。

 こんな環境ですから迷うのはけっこう楽しかったです。知らない道を行くわくわく感が好きでした。

>>対地球座標
 私の場合kmオーダーの移動は東西南北の対地球座標ですね。数百mだと「道をあっちいってこっち」です。測位衛星システムは、全地球的に緯度経度が分かるというものですが、日本の場合kmオーダーの移動は地図と道路標識でほとんど用が足ります。一番ナビが必要なのが「地下鉄の駅を出て目的の会社」というような短距離ナビです。ここに「全地球的システムを短距離で使う」という民生用測位衛星システムの難しさがあるように思います。

 しかしauの携帯電話のように、すでに「歩行者ナビゲーション」は出来るところまで来ているのですよね。

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