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2004.08.26

本日2回、うわっ、と思う

 うわっ、朝日新聞がJSFの記事を載せるのはいいけれど、掲載されている写真が採用されたロッキードマーチンの機体ではなくて、ボツになったボーイングの機体だ。
 記事自体はいいところ突いているだけに、これは記事の信頼性を損なうミスだ。この場合、責任はデスクにある。新聞のデスクは、すべてに渡る百科全書的知識が要求されるのだが、「給料もらえれば」というサラリーマン的意識でデスクを拝命すると、こういうことになる場合がある。

 うわっ、日経サイエンスの最新号に、ヴォイニッチ手稿が偽書であることが明らかになったという記事が出ているぞ。ヴォイニッチ手稿については、詳しくはリンク先を見て欲しいが天下の奇書などといわれた曰く付きの文書だ。やはり偽物であったか。
 個人的には、中学の頃に読んだコリン・ウィルソンの「賢者の石」で、狂言回し的にこの文書を使っていたことがずっと印象に残っている。「賢者の石」は一種のクトゥルー物だが、当時の私は「脳に特殊な金属片を埋め込んで知覚を拡大し、遠い過去や未来を透視する」というアイデアに酔ったものだった。


 で、一つ過去の「うわっ」を。

 本日、鈴木善幸元首相の葬儀。彼が首相をしていた1982年の夏、私は原付の免許を取って、てれてれと国道四号線を走って北海道へ向かった。鈴木首相の地元である岩手県では、「新幹線を岩手へ」と「祝・東北新幹線盛岡延伸」の立て看板が混ざってたっていた。誰から聞いたのだったか、「地元から首相が出るとな、大蔵省がご祝儀で予算を落とすんだ」と教わった。

 「うわっ、どうやら中学や高校で習ったのと全く別の、見えない仕組みで社会は動いているらしい」ということに気が付いた夏だった。

 今もこの国には、「子供に道徳教育を」と言う前に、大人が襟を正すべきことがたくさん横行していると思う。背筋を伸ばして生きていきましょう。未来のために。

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Comments

 例えば色々と不評だった長野オリンピックの開会式も、山の神を鎮める儀式として解釈すると、すべてがうまく説明できるそうです。そうしたロジックが機能すると信じている人々により、大きな国家的行事が進んで行く。
 よく、明治維新から日本の近代化ははじまったと言われますが、じつは日本ではじまったのは近代化ではなく産業化だけだったのではないかと最近考えています。

 人間が作る組織の基層にある構造は、そう簡単に変わりようがないですし、変えない方がいいこともありますね。南方熊楠が神社合祀反対の根拠としたのは、「神社は周囲の自然、人、歴史のすべてと結びつき機能している」ということでした。
 本来、近代化はそういった自然発生的な生態系(なんでしょうねえ)を取り込みつつ緩やかに進めるべきだったのかも知れません。でもそうじゃなかった。

 結果として近代が土着を容赦なく浸食し、土着が近代を内側から腐らせる、不幸な相克の社会に我々は生きている――そんな気がします。

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