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2004.08.20

スカイラブの食事を考察する

.skylab.jpg

 食から連想してちょっと本業の話。

 かつてスカイラブという宇宙ステーションがあった。20号まで予定していたアポロ計画が17号で打ちきりとなり、その余剰資材で開発したアメリカ初の宇宙ステーションだ。1973年に打ち上げられて3回に渡って各3人の宇宙飛行士が滞在した。最初に巨大なサターンVロケットで打ち上げられた本体を、「スカイラブ1」、以下小さめ(といっても打ち上げ時重量はH-IIAロケットの2倍近くある)サターン1Bロケットとアポロ宇宙船でスカイラブに向かった宇宙飛行士チームを「スカイラブ2」、「同3」、「同4」という。

「スカイラブ1」:1973年5月14日打ち上げ
「スカイラブ2」:同5月25日~6月22日、28日間
「スカイラブ3」:同7月28日~9月25日、59日間
「スカイラブ4」:同11月16日~1974年2月8日、84日間

 で、問題は84日間滞在した第三次クルーだ。この組は色々と地上と感情的な行き違いからトラブルを起こした。

 さて、スカイラブの物資補給だが、実は一切考慮されていなかった、サターンVロケットの有り余る打ち上げ能力を使って、最初に3回の滞在に必要な物資を全部搭載して打ち上げたのである。当然食料もだ。

 スカイラブの食事は、アポロの時よりよほど改善されたという。だが改善の内容を調べてみると「チューブだのスティックだのではなく、トレイに取って食べられるようになり、メニューも増えた」というだけ。詳細なメニューは分からなかったが、写真を見る限りではあまりうまそうに思えない。
 というか、絶対まずいに決まっていると思うのだ。あの飯がまずいアメリカの、それも宇宙食といえば体のいいインスタント食品だ。おいしいはずがないではないか!!

 ここで私の仮説。スカイラブ4のクルーが頭に来て感情的になったのは、あまりにまずいアメリカンなインスタント飯を84日も三度三度食わされたからではないだろうか。新鮮な野菜も肉もなしにそんなものばっか食っていたから、クルーは「キれちゃった」んではないだろうか。

 私ならキれる。アメリカのインスタント食品ばかりを84日間も連続して食わされたら怒り狂って暴動を起こすと思う。


 この仮説の難点は、その前の第二次クルーは至極調子よくジョークを飛ばしつつ、喜々として59日間に渡って仕事をこなしているということである。インスタントのまずい飯でも、楽しく生きていける奴もこの世にはいるのだ。

 写真は食玩「王立科学博物館第二期」のスカイラブ。このシリーズ、私はパンフレットに解説を書いており、一式貰っているのだけれども。あまりのできの良さに、自腹でもコンビニで買い込んでいる次第。 第一期よりも完成度は高い。おすすめです。

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Comments

スカイラブの宇宙食はメニュー数が70数種類とそれまでのアポロよりはるかに改善されたようです。
で、飛行士はあらかじめ自分の好きなメニューを選べたようです。
と、まぁここまでは良しとしましょうか。
問題はメニューが6日周期で繰り返されたこと。
いくらおいしい料理でも6日置きに繰り返されたさすがのアメリカ人でもうんざりするでしょうね。
飛行士は「何でオレは朝飯にこんなの選んだろう、、、。」ってなったようです。
食事って言うのは大切なんですね。

一方ソ連時代のサリュートでは飛行士の楽しみに特別メニューがあったようです。
その中の1つが砂糖漬けのイチゴ、、、。
飛行士にはたいそう人気があったようですがいったいどんなものなんでしょうか?

宇宙で暮らすって言うのは楽ではないようですね。

 ははあ、6日周期で同じ飯ですか。「今日もコロッケ、明日もコロッケー」を実践していたわけですね。てえか、それじゃ飽きるということにも気が付かなかったのか?アメリカ人。

 シャトルの場合、生野菜などの生鮮食料品は打ち上げ後二三日で消費するそうです。ミールでは、プログレスに通常の貨物を積み込んで隙間ができると、仲間の宇宙飛行士がよってたかってレモンだのタマネギだのニンニクだの、その他規則上は送ってはいけないものをがんがん積み込んで打ち上げちゃっていたとか。で、そうやって送ってくる生鮮食料品が、宇宙飛行士にはこの上ない楽しみだったそうです。

 私は「人間は土から離れては生きられない」などという言説を信じません。けれども、「人間が人間らしく生きるにあたってうまい飯は必要」とは思っています(だからアメリカはあんな国なんだ、とか?!)。そして「レトルトもインスタントも、保存可能食品は、まだうまいというにはほど遠い」ということも事実です。

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