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2004.09.02

週刊新潮のコメントにコメントする

 本日発売の週刊新潮9月9日号39ページに「後継機にも暗雲でどうなる『気象衛星』」という記事が掲載されており、私のコメントが使われている。週刊新潮の記者による電話インタビューに答えたものだが、ニュアンスが私の話したことと少々異なっている。

 大体において記者のコメント取りは、その記者ないしデスクが考える筋書きを補強する目的で、話の一部を抜粋編集することが前提で行う。実のところ私も雑誌記者時代にそうしてきた。だから基本的に私は雑誌コメントに関して、うるさく「自分はこんなこと言ってはいない」と文句を言うつもりはない。
 私の意図が通じるかどうかよりも、その問題自体をより多くの人々が知ることが重要な問題は多い。気象衛星を巡る問題はまさにその一つだ。

 ただ、自ずから限度はあるわけで、今回の週刊新潮のは少々やりすぎているという気がする。せっかくインターネットというものが存在し、こんなページを運営しているのだから、この場で自らの発言の真意を説明するのも悪くはないだろう。

 問題は一点、私は次の運輸多目的衛星「MTSAT-1R」の打ち上げに反対はしていない。むしろ可能な限り早期に打ち上げるべきだと思っている。週刊新潮に掲載されたコメントには「失敗が許されない状態で打ち上げるべき物かどうか」とあるが、これはミスリードだ。
 確かに私はMTSAT-1Rは無事に打ち上げられても軌道上でトラブルを起こす確率は低くないと推測している。が、代わりの気象衛星がない以上少しでも早期に打ち上げるべきだと考える。そしてトラブルに備えるために、現在三菱電機で製造中の「MTSAT-2」をこれまた可能な限り早く打ち上げて、軌道上予備機とすべきだと思う。

 衛星からの気象観測を継続するにはこれしかないだろう。

 今回の週刊新潮の記事に点数を付けると100点満点で50点だ。50点は、気象衛星を記事にしたということ、これは評価できる。そしてマイナスした50点は、私のコメントをミスリードに使ったためだ。
 私がぼしょぼしょとネットの片隅で書くことよりも、週刊新潮に載る記事のほうが影響力はずっと大きい。週刊新潮の記者には頑張ってほしいと思う。

 液体酸素・液体水素の最終回は明日にでもアップします。

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Comments

たいへんご無沙汰しております。加藤おさむです。

いつも楽しく拝見しております。確信をついたコメントは相変わらずで、プラネタリウム解説をしているわたしにとって大変参考になります。面白いネタ期待しております。

液体酸素・液体水素ですが、F1とジェット機の例えが一番わかりやすかったです。(あの映像は見ました。)最終回、どうなるのでしょうか? 今からわくわくです。

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