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2004.09.19

懸念していた事態?に嘆息する

ぼやけた日本の衛星写真、北朝鮮の爆発情報は収集難航(読売新聞)

 ひょっとして、これは懸念していた事態が起きているのだろうか。


いずれもレーダー衛星による白黒画像で、「ぼやけていて爆発なのかどうかわからない」(政府筋)画像ばかりだという。(前掲記事より)


 これは本当にレーダー画像の限界なのか。それとも解析ノウハウの不足なのか。記事だけでは判断できないが、ノウハウ不足の可能性を示唆する事実がある。

 情報収集衛星の運用を担当する内閣衛星情報センターは、様々な省庁やメーカーからの出向者で構成されている。そして霞ヶ関の官庁街では長くとも2年で人事異動がある。情報収集衛星が打ち上げられてからそろそろ1年半。なにも知らないまま内閣衛星情報センターへ出向してきて、どうやら色々と土地勘が付いてきた者らが、そろそろ人事異動で出向元に戻り、またも何も知らない者らが送り込まれてきているのだ。

 「国産ロケットはなぜ墜ちるのか」にも書いたが、情報収集衛星に限らず、地球観測衛星でもっとも重要なのは取得データの解析ノウハウだ。ノウハウが蓄積されてプロの画像解析技術者が育つ環境を作らなければ、どんな衛星を打ち上げて偵察を行っても無意味なのだ。

 私は初代情報収集衛星は、「ノウハウ蓄積のための試用期間になるだろう」(前掲書174ページ)と書いた。ノウハウ蓄積を達成するというのが、初代衛星の最低の成功ラインである。

 しかし打ち上げ後1年半を経た現在、はたして内閣衛星情報センターに解析ノウハウは蓄積されているのだろうか。蓄積されていないとしたら、宇宙開発予算を圧迫してまで支出した2500億円もの開発経費は一体何だったのかということになる。

 これが我々の政府の実態だとすると、有権者として私達ははどう行動するべきなのだろうか。

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Comments

ノドン打ち上げ準備をしているのは判断できているようですね。もちろん、偵察衛星だけではなく、総合的な情報なのでしょうけど。

かなり高額な予算が動いている事業ですので、きちんとした成果を出して欲しいものです。
といっても、我々の目にはふれることはないでしょうから評価しようがないのでしょうけど。大韓航空機撃墜事件のソ連機の交信を傍受したテープを公開するようなことは・・・。(でも、あれはアメリカの要請でしたね)

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