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2005.01.07

スパムメールと戦う

 パソコンのトラブルが続いているのをきっかけに、メールの運用体制を根本的に考え直そうとしている。

 なにはさておき、スパムメール対策だ。昨今、賢い迷惑業者はOutlookアドレス帳の登録内容を使ってウイルスがまき散らすメールから、アドレスを収集している。おかげで仕事専用にしてネットでは公開していなかったアドレスにもスパムがくるようになってしまった。それも海外から毎日100通以上くるのだからたまらない。

 まずプロバイダーの迷惑メール対策を利用する。いろいろ工夫したことでだいたい9割はサーバー側でブロックできるようになった。どうも@Niftyの迷惑メール対策は、おそらく誤分類でクレームが来るのを警戒してだろう、少々判定が甘い。
 思いついて楽天からのダイレクトメールを「これは迷惑メールだ」と学習させてみたが、決してスパムとは認識しようとはしなかった。Niftyと楽天には密約でもあって、フィルターにビジネス上の穴でも開けてあるのだろうか。

 もちろん楽天からのダイレクトメールは正規に解約した。買い物したけりゃこっちから行くから、うるさいメールを送ってくるんじゃないってなもんだ。楽天のダイレクトは買い物時の申し込みデフォルトが「メールを受け取る」になっているので、意識して「受け取らない」をチェックしないと次々にダイレクトメールが来るようになってしまう。これは確かeメールマーケティングでは、お行儀の悪いページ設計ということになっていたはずだ。楽天ともあろうオンラインショップのパイオニアがどうしたことか(今は直っているのかな?)。


 残りは、メーラーの迷惑メール分類機能で迎撃することにする。現在、試しにオープンソースのThunderbirdを使ってみているが、なかなか賢い。一渡りサンプルとして保存してあった300通ばかり(それでも3日分だ)のスパムを食わせて学習させると、ほぼ100%判別するようになった。これは意外に使えるメーラーかも知れない。

 ブラウザーは比較的移行が容易だが、メーラーは過去のメールログやらアドレスブックやらをファイルコンバートする必要があるので、移行は簡単ではない。
 正直、「Becky!」のようなできのよいメーラーを使っている人には乗り換えを勧めない。が、あのウイルスの温床であるOutlook系を使っている人なら、Thunderbirdに乗り換える価値があると思う。そして私のように大量のスパムに悩んでいる人も。


 トリビア:スパムは豚肉ハムの缶詰「SPAM」から。オリジナルは、「モンティ・パイソン」の「どんな料理を注文してもスパム料理が出てくるレストラン」というコント。「モンティ・パイソン」を好んだ初期ハッカーたちが迷惑メールをスパムと呼ぶようになった。コント中で「スパム、スパム」としつこく連呼するのが、迷惑メールのようだというわけだ。その背景にはスパム・イコール・まずいものの代表という一般のコンセンサスがあった(1/8、コメントを受けて書き直しました。コメントには有益なリンクも紹介されているのでご一読を)。

 なぜスパムがそんな扱いを受けるようになったかというと、第二次世界大戦中、アメリカ軍の食料として戦場に大量に送られたからだ。戦線によっては連日スパム料理ということになり、いかなアメリカ人でも「もうスパムはたくさんだあ」ということになってスパムは「まずい食い物」の代名詞となってイメージを下げてしまった。
 確か「戦争から帰ったら、まず戦争を始めた奴をぶち殺して、次はスパムの発明者をぶち殺す」という軍歌があったと記憶している。

 それでも、スパムがあっただけアメリカの兵隊は幸せだった。同じ時日本軍は「現地調達、ジンギスカン作戦!」とかやっていたのだから。

 戦後、アメリカに占領された沖縄に、大量のスパムが流れ込んだ。そんなまずいもの、あのおいしいものを食べている沖縄の人が食べるはずがない——と思いきや、極度の食糧不足の中、沖縄の人々はアメリカ兵すら忌避したスパムをあれこれ工夫して、おいしく食べられるようなレシピを開発してしまった。現在、沖縄料理にとってスパムは欠かせない食材になっている。実際チャンプルに入れるとけっこういけます。

 と、以上は記憶に基づいたトリビア。多少の間違いはご容赦のほどを。指摘があれば直します

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Comments

これも軍絡みなんでしょうけど、ハワイもスパム料理が多いです。
俵型おにぎりに載せたスパムロールは現地の定番おやつ
として、定着してますね。
もしかして、日本人の口に合うだけなのかもしれませんが。

spam の語源の説明が微妙に違っているような…
普通は、以下のような説明をされていると思います。
http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/search/article/9711/0511.htm
「まずいものの代表」というニュアンスから Unsolicited Bulk Email を意味するようになったという話の元ネタはどちらでしょう?

ちょっと考え直しました。
受けとる側にとって、まずいものであるというニュアンスがなければ、たとえコントの中で spam という単語の連呼があっても、UBE への連想は起きないような気がしますね。
語源の説明で、まずい料理というニュアンスをあまりおおっぴらに伝えてないことが多いのは、Hormel Foods 社への遠慮からでしょうか?

becky!などを使用している人には、POPFILEなどのフィルタを導入するという手があります。
http://popfile.sourceforge.net/

私のところでは、概ね98%程度の分類精度が得られています。

多少かどうか微妙ですが次の「spam 考古学」という頁が大変参考になるかと思います http://www.kt.rim.or.jp/~ksk/spam/

自分は bsfilter を使用していますが,技術者としては「そもそも送らせない」方法についての議論がもっと必要(業者側での導入には利用者の協力が必要なので)かと感じています

 コメントを受けて本文をちょっと直しました。sodaさん、Makotoさん、ありがとうございます。

 そうでしたWinユーザーにはpopfileがありました。すいません私、基本がマック使いなもので忘れていました。

>「そもそも送らせない」方法についての議論がもっと必要
 その通りだと思います。ただ、なにをどうやっても送る奴は送るわけで、そこのところを社会的、あるいはテクノロジー的にどうやって解決するかはなかなか難しい問題じゃないかと思います。

POPFileはPerlで書かれたプラットフォーム非依存のものもありますよ。Windows版のようにインストールはsetup.exeに全部おまかせ、というわけにはいかないと思いすが。

送る側にデメリットがないですよね。
まだしもDMなら相応のコストが発生するんですけど。

何か、不法パケットやトラフィックに課金出来るとか、メール本来の利便を損なわない形の規制は必要かもしれませんね。スパムを野放しにしたらリソースもどんどん喰われて誰も幸せになれない・・・。

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