リカンベントの椅子が壊れる
連休にやったことの続き。
リカンベントのサスペンションを調整していた。リカンベントは、足を前に投げ出して乗る自転車のことである。宿野輪天堂のページがわかりやすいだろう。
私のリカンベントはLeading Edgeというところのキットを組んだものだ。BD-1というその筋では定番の折りたたみ自転車をリカンベント化するもので、4年前に組んでから、あちこちを改造しては遊んでいた。
BD-1は前後ともサスペンションが付いている。ところがこのサスの質はあまり良くない。柔らかすぎる上にダンピングが足りないのでふわふわと一昔前のアメ車のようにふらつくのである。短距離をそんなに速度を上げずに走るには都合が良いのだが、こっちはそれなりの距離を高速で走りたいのだ。
私のように考える者は少なくないようで、市場には交換用のハードスプリングが数種出回っている。バネ定数はそれでいいとして、問題はダンピングだ。バネが堅くなってもダンピングがしっかりしないと相変わらずふわふわはねてしまう。
私の場合、堅いバネに交換したところ、ペダルの回転とバネの固有振動が高速では共振するようになってしまっていた。ダンパーを強化して振動を収束させなくてはならない。BD-1のサスは、スプリング内に押し込んだゴムスポンジの内部損失と、バネとの摩擦の両方で行っている。しかしそれではダンピングが足りない。
一体どうするか。ネットを検索するとラジコンバギー用のダンパーを取り付けた例などが見つかる。しかし、できればそんな複雑な機構を使いたくない。なるべく簡単で軽く、ぶつかっても壊れないような仕組みがいい。
結局バネの中に、オーディオ装置の振動防止に使うブチルゴムのシートを丸めて詰めることにした。ブチルゴムシートは東急ハンズで入手できるし値段も安い。
結果は大成功、大分足回りのばたつきは改善された。
楽しくなってリカンベントであちこち走り回っていたら、椅子の調子がおかしい。調べてみると椅子を構成するアルミパイプが折れていた。アルミパイプをリベットで組んだ椅子の、ちょうど腿の下に当たる部分のリベット接合部がぽっきりと折れている。亀裂がリベット穴から始まっているようなので、明らかに繰り返し荷重による疲労破壊だ。折損部分をルーペーで観察したが、残念ながらリップル痕は見ることができなかった。
まあ、Leading Edgeのキットはかなり柔らかいアルミ素材を使っていて、これまでもあちこちが壊れている。その都度アルミ合金のアングルやらパイプを買ってきてはより頑丈な構造に作り直してきた。今回は椅子というリカンベントにとって主要パーツを作り直すことになる。
さあ、どうしたものか。これを修理するか。それともいっそゼロから椅子を作り直すか。修理するにしてもより頑丈で乗りやすいものにしなくてはならないだろう。
椅子は現在部屋の中で修理を待っている。
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Comments
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技術系の作家と存じますが、アルミパイプの破断写真
から見て、かなり柔らかいアルミ素材と見るのはおかしいと思います。
柔らかいアルミパイプなら、リベット穴が広がっていくのではないでしょうか。
もともと、力が集中する部分に、補強なしでリベット穴が
あけられていることに問題があると思います。
Posted by: BG5 | 2005.05.30 10:37 AM
>技術系の作家
当たらずとも遠からずでして、大学工学部出身で記者上がりの物書きです。
柔らかいアルミというのは、なにも破断面だけで判断したわけではありませんで、それ以前にオリジナルの部材を切ったり穴明けしたり後から買ってきたアルミアングル材と組み合わせてみたりと色々やった中で、「オリジナルの素材は柔らかい」と判断しているわけです。
もちろん
>力が集中する部分に、補強なしでリベット穴があけられていることに問題
であることは間違いありません。
そろそろ本腰入れて直さなくては。
Posted by: 松浦晋也 | 2005.05.31 10:41 PM