よく噛んで食べる
味覚についてあれこれ書いていたら、こんな記事を見つけた。サラリーマン時代の後輩、加藤小也香さんのblog「小也香の一日一膳」から。
今日は、Sさんがおっしゃった「皆、栄養がうんぬん、食育がどうのと、色々言い出しているけれど、本当はもっと基本的なことを考えなくちゃいけない」というお話が印象的でした。何かというと、それは「よく噛んで食べること」。食べ物をきちんと咀嚼できているか否かで、同じものを食べても体内での吸収率は格段に違うのだそうです。だから、医食同源だの予防医学だのと言い、「何を食べるか」にこだわるのも大切だけれど、それを「きちんと食べる」ことにも注力しなくちゃいけない、というのです。
何を食べるにせよ、食べ方を考えろという話。この視点は私にはなかった。そうか、良く噛めか。
ただ、我田引水してしまうならば、不味い食事ほどかまずに飲み込むようにしてがつがつと食べてしまうものだ。味に満足が得られないので、満腹感に満足を求めるためだ。おいしい食事だと、味わおうとする意識が働くのでおのずとゆっくりと噛みしめる食事となる。
もう一つ、一人でする食事はがつがつごっくんになりやすい。食事は家族と一緒にするべきものなのだ。
気をつけよう。独り者はどうあっても孤食から逃れられない。意識して噛むようにしなければな…
一人で咀嚼回数を数えつつ食べるというのは、それはそれでむなしいものではあるが。
そういえば、ジョージ・ロイ・ヒル監督の映画「スローターハウス5」で、主人公のビリーがドイツの捕虜収容所に放り込まれ、やっとスープにありつけると思ったら、元からいたイギリス軍の将校に捕虜生活を生き抜く方法をえんえんと講釈されて、空腹のあまりスープの中に顔を突っ込んで気絶してしまうシーンがあったな。
イギリス軍将校は、「良く噛んで食え」といっていたろうか。言っていたような気もするが、記憶は定かではない。
以下は余談
amazonで検索してみたが、「スローターハウス5」のDVDはまだ出ていなかった。レンタルには出ているようなので、機会があったら是非見て欲しい。とてもいい映画だ。
原作はカート・ヴォネガット・ジュニア。1945年に連合軍が行ったドレスデン空襲を主題に、自分の人生の時間をいったりきたりする男の話だ。音楽はあの孤高のピアニスト、グレン・グールドが担当している。
映画冒頭、所属部隊からはぐれて雪の西部戦線をさまようビリーの映像に、バッハのピアノ協奏曲が被さる部分や、捕虜達がドレスデンの街を引き回されるシーンに鳴るブランデンブルグ協奏曲など、映像と音楽の結合が素晴らしい。
もっともグールドはこの映画は「ふざけすぎている」と気に入らなかったそうだ。冒頭の大笑いシーン「デトロイトタイガースの三塁手の名前を言え!アメリカ人なら分かるはずだ」、とか、なにかというと「私やせるわ」と言いつつ時代が下るほどに太っていくビリーの奥さんの扱い(実に笑うしかないひどい死に方をするのである)が嫌だったらしい。
でも、それがジョージ・ロイ・ヒルの持ち味というものだろう。後で「華麗なるヒコーキ野郎」「ガープの世界」でも、彼は「笑うしかない悲劇」「泣くしかない喜劇」を描いている。
ああ、また見たくなってしまったよ。