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2005.09.27

ペーパークラフトを見て数学的直感を考える

 ちょっと体調が悪いので手短に。



papercraft

 大阪の海遊館で開催されていた「SHARK&RAYでアートしよう!」という展示に出てきた恐竜(こいつはなんという名前だっけ。確か頭蓋骨が思い切り分厚い奴だ)のペーパークラフトだ。秋山美歩さんという作家の方が作ったもので、どれもこれペーパークラフトとは思えないぐらい素晴らしいできばえだった。

 気になったのは、展示にあった秋山さんのプロフィールに「嫌いなもの:数学」とあったことだ。

 これほど精緻な3次元のペーパークラフトを作れる人ならば、2次元と3次元との間を変換する卓越した数学的直感を持っているはず。それが「数学が嫌い」とはどういうことなのだろうか。学校教育が悪かったのか?

 私の知る限り、理系学問はどれも大いなる直感を必要とする。勘の悪い者は専門家になれないといってもいいほどだ。特に数学は、決して理詰めだけの学問ではない。理詰めは証明を書き下す最後の瞬間に必要となるのであって、それ以前の広大な領域は直感が物言う。

 このような優れた人に、「数学は嫌い」と言わせてしまうのは、大変に惜しいことだと思うのである。

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Comments

いつも興味深く読ませていただいております。

日本において理系の学問を嫌い、苦手とする人が多いのは初等教育の段階で理系の学問が好きではない、苦手とする人に教えられることが多いからではないでしょうか。
いくら「教育」に関する専門の教育を受けているとしても好きではない分野を魅力的に教えられないでしょうから。

数学が苦手になる最初の関門は「マイナス」の概念らしいです。
「マイナスの値」の足し引きはまだ直感的な理解をしやすですが、掛けたり割ったりする値に「マイナスの値」を適用することを直感的に理解することはなかなか難しいようです。
ここで本人が納得する(感覚的に理解する)まで待たず単にテクニックとして「マイナスの値」の扱いを教え込むと数学は自分の感覚に合わないと感じはじめるのではないでしょうか。

理科にしてみても枝葉末節的な各種名称を覚えさせることに終始し、生徒が感じる根本的(基本的)な疑問、質問に対して適切な導き(単なる回答ではなく)を与えることができない教師が多いかもしれません。

もっとも教育学部は基本的に文系に属してしまうので理系科目が得意な人は相対的に少ないのかもしれません。
科学、技術が日本にとって重要だというならば、初等教育にこそちゃんとした専門家が配置されるべきかもしれません。
何の偏見も無く純粋な心を持つ子供だからこそできる本当に根源的な質問にちゃんと答えられる人がすぐ近くにいるということはとても重要だと思います。

もっとも、教える時間、内容ともに非常に制限されてしまっている現在の状況では非常に難しいのでしょうけども。
科学クラブのような課外活動があったとしても受験には役に立たないからという一言で親から切り捨てられそうだし。

長々としたコメント失礼しました。

初めまして。
これはパキケファロサウルスでしょうか。
幼い頃、児童向けの恐竜本で見た中でも特にキャラクター性が豊かで、印象に残っています。
しかし本当に素晴らしいペーパークラフトですねえ。

>初等教育の段階で理系の学問が好きではない、
>苦手とする人に教えられることが多い
 確かに。そういえば「理科が苦手だから教育学部を志望した」という、とんでもない志望動機が実在すると、読んだ記憶があります。
 小学校には理科専任の教師を置く必要を感じてしまいますね。

>パキケファロサウルス
 そうでした。ありがとうございます。私も子供の頃、図鑑を見ながら、こんな連中がごん、ごんと頭をぶつけ合う光景を想像したクチです。

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