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2005.10.19

2ちゃんねるで若気の至りの記憶が蘇る

 中学生の時だった。小説を書こうとしたことがある。タイトルは「ナンセンス・ゲリラ」というもの…

 そこっ、笑わないように。30年近く昔だ。まだ「ナンセンス」という言葉は死語になっていなかった。

——突然、奇妙な事件が続発する。タンカーがいつの間にか丘に上がったり、長谷の大仏が後ろ向きになっていたり、霞が関ビルに巨大なはてなマークがペイントされたり。警察はいたずら事件と判断して捜査を始めるが犯人は捕まらない。そのうち実行犯の何人かが検挙されるが、彼らは異口同音に「何となく」「面白そうだったから」という、共犯はと問いつめると「知らない人と一緒に」と答える。やがて、一連の事件に「ナンセンス・ゲリラ」という名前が付く——

 こんなアイデアを思いつくにあたっては前史がある。小学生の時に見ていた「人造人間キカイダー」、私は、キカイダーが阿呆に見えて仕方なかったのだ。
 毎回、敵の首領プロフェッサー・ギルは、ひょろろろーと妙な笛を吹く。良心回路が不完全なキカイダーはその度に苦しみ(ロボットが苦しむとはどういう事だ、というのはさておいて)、やっと敵の戦闘ロボットを倒すのだった。

 「やっつける順番が逆だろう」と子供心に思った。笛の音が聞こえるということは、ギルも近くにいるということだ。だったら、先にギル(生身の人間だから、力はキカイダーの敵じゃない)をやっつけて、しかる後に戦闘ロボットをやっつけるべきじゃないか。
 で、思いついたのだ。「悪の組織において最大の弱点は一人しかいない首領である」。もう一歩進んで「最強の悪の組織は、首領がいない悪の組織である」と。

 ところが、そんな番組はいつまでたっても始まらない。で、中三の時に自分で書いてみようと思ったのだった。つまり「ナンセンス・ゲリラ」が、首領がいない、実行犯だけの組織だったのだ。戦闘員だけのショッカーというべきか。イー。

 私はこの小説を書き上げることができなかった。というのは、大仏を動かすなんてことは、事前にかなりの打ち合わせが必要になる。実行犯相互が、「なんとなく」「顔も知らず」「知り合いでもない」状態で、事前打ち合わせをするにはどうしたらいいのか、どうしても思いつかなかったのだった。

 私は嘘が下手だった。もしも「百匹目の猿」のような仕組みを思いついていたら、今頃は適当に論文趣旨を適当にねじ曲げて一般解説書を書くスーパー・ネイチャーな自然科学者か、中小企業経営者相手に嘘八百を付きまくる経営コンサルタントになっていただろう。

 そして私には工学の才能もなかった。もしもあったら、パケット伝送による中心がないネットワークを考案して世界的な名声を得て、今頃は日経新聞に「私の履歴書」を執筆していたかも知れない(私が中学の時には、現在のインターネットの原型はとうの昔に出来ていたわけだが)。

 何が言いたいか、といえば、2ちゃんねるのような匿名巨大掲示板は、まさに中学生の私が夢想したような運動体になっているな、ということだ。日韓共催のワールドカップの時、妙な報道をしたフジテレビに抗議して、2ちゃんねらー達が、テレビ番組に先駆けて江ノ島海岸を清掃してしまった時、この事に気が付いた。お互いに
顔も知らない匿名の個人が、事前に図ってその時だけの運動体を結成して、社会に影響を及ぼす——中学生の私はこれが書きたかったけれども、書けなかったのだった。

 いや、気が付いたからどうということでもないのだけれど。子供がようよう書ききらなかった小説など、存在しないも同じだ。

 で、今日の本題。知人から流れてきた面白い情報。

・まずこの画像
・で、この動画像

 震源地はどうやら、2ちゃんねるらしい。つまらん討議の時は、こういうことをしたくなるのは良く分かるが、こうやってキャプチャーでその画像が津々浦々に流れてしまうのは、ネットならではだろう。ご愁傷様でした。

 もうひとつ、のまねこ関連で。

空耳じゃないマイアヒ

 そうか、切ない恋の歌だったのか。

 聴き手が空耳をして遊ぶのは、聴き手の勝手だろう。しかしクリエイター側の意向を汲んで音楽を売るべきレコード会社が、歌の内容を無視してはいかんだろう。空耳で売ろうとしたエイベックスは、やはりどこかおかしい。音楽産業として、何か大切なものが、すっぽり欠けていたという感じがする。

 ま、2ちゃんねるからの情報で若気の至りを思い出してしまった、ということで。


 ご多分に漏れず、私もハカイダーが大好きだった。いくらでも弾丸が出て来るハカイダーショットは、実に欲しかったな。銀玉鉄砲でも、装弾に限りがあるのがくやしくてねえ。

 それ以上にカワサキのバイクも格好良かった。なにしろキカイダーが乗るサイドマシンは、1970年のモーターショーにカワサキが出展したメーカーワンオフのレーシング・ニーラーなのだ。しかも2ストトリプルのマッハ改造なのだよ。
 その低い走行姿勢は、ホンダの市販バイク改造の仮面ライダーよりも、後に宇宙刑事シリーズでいやというほど出てきたスズキ製バイク改造のサイドカーよりも、ずっと見栄えがした。
 サイドカースタントも素晴らしかった。ダートをニーラーで突っ走り、パッセンジャー側を大きく振り回してドリフトターンする姿は、本当に格好良かった。

 話はどうであれ、バイクに関してはとても贅沢な特撮番組であったことは間違いない。

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Comments

>「やっつける順番が逆だろう」と子供心に思った。
>笛の音が聞こえるということは、ギルも近くにいるということだ。
 違うと思います。 ギルの笛の音は電送され、それを受信した敵の戦闘ロボットのスピーカーから流れていると思います。
 だからギルが近くにいることはありえないでしょう。
 それよりもプロフェッサーともあろうお方が、どうして笛の音を録音して送信することを思いつかなかったのか不思議に思いました。

 さて、「プロフェッサー・ギル」と、プロフェッサーと名乗るからには、どこかの大学の教授なのだろうか?
 ひょろろろーと妙な笛を吹く悪の首領が金八先生のような教え子に慕われる教授の設定とだったら最後は教え子たちに助命嘆願されて死ななかっただろう。
 教授といえば、東工大教授の野田篤司氏のトークライブに行った時のこと、ライブが始まるまでは教授という肩書きからプロフェッサー・ギルのような人だと思っていましたが、とても解りやすく話してくれる親しみやすい人だったのでカルチャーショックを受けました。 というより、この人がプロフェッサー・ギルのコスチュームで笛を持ったら滑稽だろうな。
 でも、こんな教授に教えてもらえる学生はさぞかし勉強にやる気が出るでしょう。

ネットで繋がった、主犯格がいない実行犯のみの犯罪…って、劇場版「踊る大捜査線」の2がソレでしたね。

>ギルの笛の音は電送
 あ、そうか。バカだな、小学生の俺。

>この人がプロフェッサー・ギルのコスチュームで笛を持ったら。
 やー、野田さん、こんどやってください。ちなみに野田さんは、客員助教授として東工大で教えていたことがあるので、「プロフェッサー・ノダ」と呼べないこともないです。

>踊る大捜査線」の2
 そういうのがあったんですか。いやー、なんか賢いじゃないか。中学生の俺。

「ナンセンス・ゲリラ」・・・この話を読んだとき、文芸春秋?に掲載されていた記事を思い出しました。
 その記事の内容によると、中国の反日デモ真っ只中の頃、2チャンネラー達が名前は忘れましたが巨乳小学生のビキニ写真のURLを反日サイトに貼り付けたところ、これまで嫌悪な雰囲気だったのが打って変わったように和気藹々とした雰囲気になったということです。
 かつては、日本ならば薩長同盟を成立させた坂本龍馬、中国では国共合作を成立させた張学良、そして国民党勢力下の人民を調略して国民党軍を台湾へ追い出して中華人民共和国を成立させた毛沢東以下共産党・・・・と、人を媒体に同じ考えを持つ人たち、いわゆる同志が集まっていたのが、坂本龍馬や張学良や毛沢東といった人間の媒体がインターネットに変わったのではないかと思いました。
 そんな今こそ「ナンセンス・ゲリラ」という小説を出すべきだと思います。
 もちろん、舞台は日本だけでなく中国や北朝鮮をはじめとしたアジア諸国を舞台にして、首相や主席といった権力者たちが「靖国」や「領土領海」で争っている中、人民がインターネットという媒体を通して繋がりを持ち、霞ヶ関ビルに巨大な「?」マークを描いたり北京の天安門の毛沢東の肖像や平壌の金日成の肖像にメガネとヒゲを描いたりタンカーを丘に揚げて日本や中国や北朝鮮をはじめとしたアジア諸国の権力者達を翻弄することでこれまで争っていた国々の権力者が手を組んで様々な悪戯をするゲリラたちと戦う物語にするとヒットしそうです。
 松浦さんは「ナンセンス」という言葉に笑わないようにおっしゃっておられますが、現在は1980年代がブームなので、このことばが逆に脚光を浴びると思います。
 「ナンセンス・ゲリラ」、ぜひ現在の世相を皮肉った物語にして出版してください。
 松浦さんにつながりのある人を考えると小説なら野尻抱介氏か笹本祐一氏、マンガならあさりよしとお氏に描いてもらうとヒットすること間違いなしだと思います。

>小学生の時に見ていた「人造人間キカイダー」、
>私は、キカイダーが阿呆に見えて仕方なかったのだ。

GyaO!無料動画で「人造人間キカイダー THE ANIMATION」の 1~3話を見たら、ハマってしまいました。
第1話に出てきたニキビ面のお兄ちゃんの声や、敵の首領プロフェッサー・ギルがひょろろろーと吹く妙な笛の音が途中で止んだり(笛を吹き続けるのは体力がいる(笑))等「?」と感じるシーンもありますが、原作の絵がそのまま動いたとしか思えない絵柄に「変身サイボーグ」(歳がバレるな(笑))みたいなキカイダーへの変身プロセス、そしてキカイダーが阿呆に見えて仕方なかった実写版と違って深みのある物語が大人が見ても面白いアニメに仕上がっていますよ。
松浦さんも「人造人間キカイダー THE ANIMATION」を、ぜひ一度ご覧ください。

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