「はやぶさリンク」:こんな画像が見たい
10月30日深夜現在、「はやぶさ」の最新情報は更新されていない。運用は土日を問わず続いているはずなので、とりあえずは週明けを楽しみに待つこととする。
繰り返しになるが、ひとえにミッションのみならず、広報でもここが正念場だ。現在、宇宙科学研究本部は、「はやぶさ」後継ミッションとしてソーラー電力セイル実証ミッション「MUSES-D」を提案している。ここで一押し二押しの広報があればこそ、後継ミッションの予算確保のための、国民的支持というやつが得られるというものだ。宇宙開発委員会と文部科学省と財務省に説明すればいいという時代では、もはやないだろう。
情報がないので、要望を書く。要望というよりも、「自分はこんな絵が見たい」という願望だ。
宇宙科学の一般向け広報とは、一にも二にも「きれいで衝撃的な絵や動画像」であることは言うまでもない。こと広報に関しては、学問的価値よりもヴィジュアルなインパクトが絶対的に優越する。
まずはイトカワへの接近アプローチ中に撮影した連続画像だ。接近するにつれて、細かい様子が見えてくるというのがなんとも素晴らしい。古くは月面に衝突したアメリカの「レンジャー」、小惑星関係では、小惑星エロスを探査した「NEAR」が最後の着陸の時に次々と送ってきた映像だ。
こんな画像が、着地の興奮冷めやらぬタイミングで公表されようものなら、新聞一面、テレビ各局がゴールデンタイムのニュースで取り上げることは間違いないだろう。宇宙に興味がない人も、このような画像を見るというのは大きな意味がある。
きびしいのは、「はやぶさ」の姿勢制御に制限が発生しているので、それだけのデータを地球に送信できるかどうかだ。しかし、このような画像は学問的価値も高いので、是非とも一般に素早く公開して欲しいなと思う。
マイクロローバー「ミネルヴァ」の投下は11月4日の着地リハーサル時ということなので、もう一つ。
着地した「ミネルヴァ」から撮影した、「はやぶさ」の勇姿が見たい。
地球から遠く離れた宇宙機の現場における画像というのは、アポロ計画や最近のNASA火星ローバーなどを除いては、ほとんどない。カメラマンが写真に写らないのと同じ理屈だ。NASAの「ヴォイジャー」探査機は、素晴らしい外惑星系の画像を送ってきたが、その写真を撮影した時にヴォイジャーがどんな風だったかという画像はない。木星を背後にしたヴォイジャー、なんて画像が撮れたなら、素晴らしい絵になったろうが。
日本でも旧宇宙開発事業団(NASDA)のランデブー・ドッキング実験衛星「きく7号」が、ミッション終了にあたって、ロボットアーム先端に搭載したカメラで、自画像を撮影している。
と、思ったらこの画像、JAXAのホームページにはないな。確か「oss1.tksc.nasda.go.jp」で公開されていたはずだが、NASDAからJAXAにドメイン名が移転した時に消えてしまったらしい。惜しい話だ。復活を望むものである。
話を戻して「はやぶさ」だ。「はやぶさ」は、「ミネルヴァ」を搭載している。そして「ミネルヴァ」にはカメラが付いている。
これはもう、是非とも「ミネルヴァ」から「はやぶさ」を撮影して欲しい。3億キロの彼方で、イトカワ上空30mのところに太陽電池パドルを広げて浮遊する、我らが「はやぶさ」の勇姿を是非とも見たいではないか。それはもう、涙ものの画像となるだろう。
ちょっと理屈をつければ、本番のタッチダウン前に「はやぶさ」外観がどうなっているかを検査できれば、それだけタッチダウンを安全に行えるはずだ。
「ミネルヴァ」がどんな姿勢で着地するか分からない、あるいはそんなに長時間、30mのところに「はやぶさ」をホバリングさせるような危険なマネはできないなどなど。運用手順、通信容量、探査機の安全性確保——様々な条件が科せられる中で、できるかどうかは分からない。
が、あえて無責任に言ってしまおう。「見たい!」と。
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