サイクルショーを見物する
朝から、今日が初日の東京国際自転車展へ。場所は東京ビッグサイト。
今年は、即売会がなく、ブランド系ロードバイクの展示が軒並みサイクルモード2005に流れたとかで、だいぶツヤ消しの展示ということだが、私には関係ない。私が見たいのは、有象無象の様々な新技術だ。自転車は、個人レベルでも作ることができるので、様々な試行錯誤がやりやすい。個人の創意による技術革新が望めるのだ。
それでも通常の自転車は長い歴史の中で熟成され、そうそう簡単に革新技術などは出てこない(マウンテンバイクは実に巨大なパラダイムシフトだった)。だが、折り畳み自転車やリカンベント、タンデム、電動アシストといった分野では、まだまだできることが一杯ある。
ブランド自転車のニューモデルはどうでもいい。小さな事業者から出てくる創意工夫や新技術が楽しいのだ。
で、何を見てきたか。以下は主に写真にて。

村山コーポレーションの二輪駆動自転車。開発は日本ロボティクス。リアの車軸からチェーンでフロントに動力を引き出してくる。フロントへ動力を伝えるジョイントがキモという。ステアリングに伴いタイヤにトルクがかかるトルクステアは、車軸にラチェットを噛ませて逃げる。
試乗したが、確かに通常のリア駆動のみの自転車と異なる安定した走りをする。ペダルが重いということもない。エネルギーロスは最小限に抑えられているようだ。二輪駆動化による重量増加は2kg弱といったところとのこと。運転時の安定性が良いので、ママチャリのような実用車への応用も有望ではないか。
この自転車、楽天で買うことができる。3万9800円という値段は、まあ衝動買いの範囲内だろう。置き場所さえあれば買って遊びたいところ。
日本ロボティクスは二輪駆動のカブも試作している。こちらも面白そうだ。

同じく村山コーポレーションの前輪駆動三輪リカンベント。そう、後ろ二輪をステアさせるならば、安定性の問題も解決するのだよなあ。こいつはフレームをマグネシウム合金で作っている。より構造を簡素化した後継機を開発しているとのこと。

今回からスポーツ車椅子の展示も始まった。これは長距離競技用の車椅子。フロントを駆動するペダルを付ければそれだけで飛ばせるリカンベントになりそうだ。以前ディスカバリーチャンネルで、ダウンヒル用オフロード車椅子というのを見て、びっくりしたものだが、ここまでくるとハンディキャップを克服するというのとは全く別の、より本質的に人間の能力を拡張する乗り物になっているような気がする。

フロント二輪独立懸架の自転車を販売しているランドウォーカーのブースにあった。フロント二輪、しかもモーターアシスト付きのリカンベント。フロントを二輪にすると低速時及びコーナーリング時の姿勢が安定するという。ブースでは開発者が、「現在特許出願中、リアデフ不要のリア三輪の自転車」について語っていた。

この写真だけではわからないが、実はタンデム自転車。タンデム自転車は、都道府県の条例で規制されており、現在長野県でのみ公道走行が認められている。ところがリアを二輪にして三輪自転車にすると、東京都など七都県で公道走行が可能になる。で、この無理くりのリア二輪というわけ。三輪タンデムを普及させようという趣旨のトライデムプロジェクトという運動も始まっている。
出展は紀洋産業。

バイクのアメリカン・チョッパーもそうだが、どうしてアメリカンな連中はこう装飾的な方向に走るかねえ。今回の展示で一番バカだと思ったチョッパー。このクランク位置だと、そもそも乗ることすらできない。

直線に脚を踏み込むことで、人体から絞り出すパワーを増やそうというSDV。そのSDVを搭載したリカンベント。リカンベントとSDVの相性はいいようで、とにかく速いという。坂道でもクロスバイクくらいなら追い回せるそうだ。
午後は、幕張メッセで開催中のモーターショーに回ったのだが、こっちはといえば、「金が回るショーは、金が回るほどに薄汚れるなあ」という印象。
モーターショーだ。となれば見るべきはモーター。自動車でありバイクであり、そのメカニズムであるべきじゃないか。
ところが、実際には皆、ショーモデルの前で踊るねーちゃんを見に来ているじゃないか。ぴかぴかのショーモデルはどうかといえば、床下をのぞき込めば電源ケーブルが引き込まれている。つまりこいつらは自動車じゃない。オモチャだ。
私が見たいのはこんなもんじゃない。
その中で、スバルブースに展示してあったスバル360が、並べて展示されていた最新のR1よりもずっと新鮮に見えたのが印象的だった。

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arigato ghozaimas
Posted by: jhony jappanese | 2009.08.25 02:41 PM