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« 「はやぶさリンク」:弾丸は発射されなかった可能性大 | Main | [HAYABUSA link]: Press Conference at 16:50 on 7th Dec. JST »

2005.12.07

「はやぶさリンク」:12月7日午後4時50分からの記者会見

 午後4時50分からの、記者会見です。出席者は川口淳一郎プロマネと的川泰宣教授。

JAXA発表文


まず川口プロマネから説明。

 すでにお知らせしているように、セーフモードからの復帰が不調。11月29日に低利得アンテナによるビーコンの通信を確立。

 11月30日から、電波オンオフによる通信を開始(1ビット通信)を開始。
 12月1日にはローゲインアンテナを使った8ビット/sの通信が断続的に回復。

 その結果以下が判明。

 11月27日に指令した姿勢軌道制御の結果、大きな姿勢喪失または何らかの原因による電力喪失が発生した模様。
 探査機内部に漏洩した燃料の気化に伴い、かなりの機器に大幅な温度低下が発生すると共に発生電力の低下によってバッテリーに深い放電が発生し、システム全般の電源系が広い範囲でリセットされたと推定される。詳細は解析中。

 12月2日。化学エンジン(スラスター)の再起動を試みたが、小推力を確認するも本格的には起動せず。

 12月3日、探査機のハイゲインアンテナ軸と太陽、地球のなす角度が20ないし30度へ拡大していることが確認された。緊急の姿勢制御方法として、イオンエンジン運転用のキセノンガスを噴射による姿勢制御を行うことにして、運用ソフトウエアの作成を開始。

 12月4日、キセノンガス噴射による姿勢変更を実施。

 12月5日、太陽、地球とハイゲインアンテナ軸が10度〜20度まで回復し、現在はミディアムゲインアンテナ経由で256ビット/sの速度で通信ができている。ただし、探査機がゆっくりと回転しているので、ミディアムゲインアンテナによる通信は6分に1分といった間歇的なもの。

 12月6日現在、はやぶさはイトカワから視線方向に550kmのところにいる。地球からの距離は2億9000万km。現在1基だけ残っているリアクションホイールを再起動し、1000rpmでの回転を確認している。

質疑応答

毎日 弾丸は発射されたがデータが消えているということか。

川口 火工品動作のデータは探査機を打ち上げモードというモードに入れないと再生できない。11月27日以降、モードを変更する余裕がなかった。このデータは火工品回りが瞬断でリセットされると消えてしまうので、26日にデータをデータレコーダーに転送した上で上書きを禁止するよう命令した。

 しかし27日にはかなり大規模な電源の放電とリセットが起きた。DHU(データハンドリングユニット:データを処理して送信する中枢機能を持つ装置)の絶対時刻データやデータレコーダー(DRAM)のパーティション情報すら消えてしまっている。このため、現状データレコーダーは再生できているものの、その中に弾丸が発射されたというデータは残っていない。

 ただし、降下中に送信したコマンドが再生できた。すると着地前のシーケンスに弾丸発射系統を安全モードに戻して発射できないようにするコマンドが、まぎれこんでいたことが判明した。なぜそんなコマンドが紛れ込んだかは現在解明中。

 現在までに断片的なデータしか得られていない。が、これまでに得られたデータは「弾丸が発射されなかった」とすると整合性がある。私共の感触としては8割がた発射されなかったと思っている。

読売 現在のデータ解析はいつ終わって、はっきりしたことが分かるのか。

川口 データには解釈に困るようなものものある。1回目は長時間着陸してイトカワにあぶられたにもかかわらず、2回目は弾丸発射装置が1回目よりも高温になっている。これは弾丸が発射されたことを示唆している。矛盾しているわけだ。
 現状の通信速度では、画像データをダウンロードできない。画像がダウンロードできれば、着陸直後の姿勢が分かるので、もっと詳しいことが分かると思う。
 イオンエンジンの運転開始前には、なんとかしてデータは可能な限りダウンロードしたいと思うので、そのときにまた記者会見を開いて説明したいと思う。

 とにかくデータは少なく、相互に矛盾している。ここで即断することはできないと考える。

共同通信 データレコーダーに格納されていた記録は、失われているものも残っているものもあるのか。

川口 データレコーダーはDRAMであり、パーティション情報が失われているので普通に考えれば、データは失われていると考えるのが自然だ。しかし、短い情報を試しにダウンロードしてみたところ、一見それらしいデータが出てきたということである。

共同通信 安全装置のコマンドは、誤ったコマンドを送信したのか。それとも、書き込みなどでエラーが発生したのか。

川口 まだ分からない。

共同通信 14日以降の帰還で無事に帰還できるのか。

川口 このスケジュールは、最速で探査機をたて直した場合ということで決まっている。14〜15日に帰還を開始すると、2007年6月に帰還できる軌道計画を用意している。

 ただし、現在もなおスラスターが不調である。スラスターが復帰しなくては、姿勢を保てない。今後スラスター系の電源再立ち上げや、スラスター系温度を変えるといった方法で、スラスター系の復帰に向けて努力する。
 スラスターが復帰しなければ、イオンエンジンに使うキセノンを噴射することで姿勢を保ちつつ帰還することになる。この場合は、姿勢が崩れるとイオンエンジンを止めて、キセノンを噴射して姿勢をたて直し、またイオンエンジンを起動するということが必要になる。この場合、イオンエンジンの軌道はかなり時間がかかるので、こうなると帰還に必要なイオンエンジンの運転時間をとれなくなる可能性がある。
 となると帰還を遅らせるオプションが浮上する。

共同通信 回収場所をオーストラリアから変える可能性はあるのか。

川口 確かに次期が遅れると、再突入カプセルの速度が速くなるか突入角度が深くなるかなので、カプセルのリスクは大きくなる。

NHK キセノンガスによる姿勢制御は具体的にどんなものか。

川口 イオンエンジンは4つ搭載しているが、その噴射口に噴射ガスを電気的に中和する中和機というものがありそこにノズルが1エンジンにつき4つ付いている。ノズルは開閉可能。そのノズルを開閉することで、中性のキセノンガスを噴射して、姿勢を制御している。推力は非常に小さい。

日経サイエンス 11月27日の姿勢制御と、その後の電力喪失は関係あるのか、独立したものか。

川口 関係ある可能性が高い。27日の運用ではスラスター出力が非常に小さかった。このため、一度とめたスピンを再開させ、同時にイトカワに近づきつつあったので、遠ざかるように指令を出した。
 本日取得できたテレメトリによれば、この時探査機は大きく姿勢を崩して太陽電池パドルに太陽光が当たらなくなり、バッテリーを放電してかなりの機器が落ちたようだ。
 姿勢を崩した理由は、スラスター配管が一部凍結して2基一組で噴射すべきスラスターが一方しか噴射しなかったためと現状では推測している。

朝日新聞 着陸によってサンプルが舞い上がって、採取された可能性については。また一転して、8割方試料が採取できなかったとなってしまったことについてコメントを。

川口 イトカワの脱出速度は、0.5mmの高さから鉛筆を落とした速度だ。地球上ではバウンドしても0.5mmしか飛び上がらないが、重力の小さいイトカワでは何十mも飛び上がる。ただし、2回目は1秒しかタッチせず、上昇したのでサンプラーホーンもサンプルと一緒に上昇する形になり、サンプルはカプセルに届かない。20日のほうは、かなり長時間接地していたので、舞い上がったサンプルがカプセルに入った可能性はかなり高いと考える。
 
 サンプル採集に向けての技術的手順はすべて踏むことができた。その意味では今後のサンプルリターン計画に対しては、今回の着陸の意義は未だ失われていないと考えている。もちろん我々はサンプル採取にかなり執着している。これは工学実証を超えた領域だ。
 弾丸が発射されなかったということは、落胆の一言である。今は帰還に向けたモチベーションを保つことが重要だと考えている。

東京新聞 イオンエンジンの中和機とはどんなものか。また、スラスターの不調は、前回説明があったA-B2系統とどう関係しているのかを知りたい。

川口 プラスイオンを打ち出すと、探査機はマイナスの電荷に耐電する。そのままでは探査機のマイナス電荷に引かれてプラスイオンが出て行かなくなる。そこで、出たプラスイオンにマイナスイオンを吹き出して電気的に中和する必要がある。マイナスに帯電したガスを吹き出して噴射プラズマを中性化するのが中和機である。

 スラスター不調は、ラッチングバルブがきちんと動作してくれていないためである。ラッチングバルブを駆動する電源をリスタートしたりラッチングバルブ温度を変えるなどして、なんとかしてバルブを動かそうとしている。

読売新聞 画像がダウンロードできれば状況が変わる可能性はあるのか。

川口 その可能性はある。しかしこの場では、ダウンロードできるとは確約できない。

宇宙作家クラブ ラッチングバルブがAB両系統とも閉位置で動かなくなっているということか。

川口 そうだ。27日の時点で、どうやら数kgの燃料が探査機内部に漏出したようだ。気化によって温度が下がった。漏洩しているのは酸化剤ではなくヒドラジン。12月2日に、A系B系のラッチングバルブを開くコマンドを送ったが動かなかった。動かない理由に関しては、バルブ駆動系の電源や配線系の問題が考えられる。現在アウトガスを逃がすために、各部の温度をかなり上げているので、バルブや配管の凍結は考えにくい。バルブを開けると再度リークが発生する可能性はあるが、そのリスクを理解した上で、バルブを動かそうとしているところである。

エイビエーションウィーク NASA局による運用は。

川口 NASAの好意で1日2時間、70mアンテナを明日まで提供してもらえている。さらに一週間34mアンテナの支援を要請するつもり。

エイビエーションウィーク リアクションホイールは1000rpm回っているということは定格に対してどの程度なのか。

川口 製造メーカーとも協議して今後2000〜3000rpmで使っていきたいと考えている。最大5000rpmぐらいまで使えることになっている。

時事通信 リークは探査機内部に起きたのか。

川口 26日の時点で、上面から外部にも漏れたことが、加速度から確認できている。
 27日については姿勢を大きく乱れて通信が切れた。この時は内部か外部か分からないが数kgの漏洩があった。その根拠として、30日に下面方向に推力がかかり、スピン速度が減少するという事象が確認されている。これは内部にリークした燃料が探査機内で気化して外部に噴出したと考えるとつじつまがあう。

時事通信 キセノンなりスラスター燃料は地球帰還まで持つのか。

川口 キセノンはこれ以上の外乱がなければ持つと考えている。

不明 探査機内部のリークは止まっているのか。

川口 止まっている。続いていれば気化熱で探査機温度が下がるはず。現在、探査機を暖めて内部の残存リーク燃料を気化し、追い出している。

不明 漏洩を止めているのか、それとも勝手に止まっているのか。

川口 止めていると考えている。両ラッチングバルブは閉じており、漏洩は止まっている。

月刊天文 15日までに帰還できなかった場合、3年後まで待つとすると、はやぶさはイトカワに並走して待つことになるのか。

川口 イトカワからは十分に遠ざかることになると思う。イトカワからどんどん遠ざかる。ちなみに3年後というのは一つの候補であり、3年半後というパターンもある。現在は2007年6月にこだわっている。

毎日新聞 スラスターのリーク原因は不明ということでいいのか。

川口 その通りだ。探査機上面から起きているので、着陸が原因とは考えにくい。27日には気化で温度が下がったが、26日には逆に温度上昇が起きている。こういったデータを解析して一貫した解釈をしなくてはならない。

東京新聞 イオンエンジンのほうで姿勢制御できるとなると帰還の可能性は増えたのか。

川口 前回記者会見の段階ではお手上げだったが、現在はそれよりは改善されている。ただしこれで帰還に十分かと言えば、まだ明言は難しい。

東京新聞 26日にシーケンス終了をもって成功としたが、間違ったコマンドが挟まった場合も、シーケンスは終了するのか。

川口 その通りだ。

NHK サイエンス的データについては、25日までの分はダウンロードできているのか。また、帰還途中に現状のデータをダウンロードする可能性は。

川口 ダウンロード済みである。着陸時のデータは帰還飛行開始前にダウンロードする。帰還飛行が始まってしまうとダウンロードは時間的に難しくなる。

NHK バッテリーは現状充電されているのか。

川口 再度持ち直している。はやぶさは、姿勢異常が無い限りバッテリーを使わない設計になっている。今後の飛行には支障はないと考えている。はやぶさのバッテリーは全システムを40分だけ持たすだけの容量しかない。

NHK 2007年6月の帰還のためには、どこまでひっぱれるのか。

川口 再突入が多少不利になることを覚悟して12月中旬の帰還を目指している。下旬になると2007年6月の帰還は困難になる。

不明 弾丸が発射できなかったということを確認したのはいつ頃か。

川口 6日の午後3時頃。私にとっても大きなショックだった。本日午前中には文科省に説明している。

月刊天文 サンプル採取シーケンス終了時に、弾丸が出たことは確認できなかったのか。

川口 火工品の動作を確認するには探査機の動作モードを打ち上げモードという別モードに入れなくてはならない。26日はシーケンスが動いたということで動作したと確認した。

赤旗 キセノンガスによる姿勢制御は最初から想定していたのか。

川口 想定していなかった。これは、 12月2日にスラスターが動かなかった時、イオンエンジンチームから提案を受けた。
 私自身は、イオンエンジンを動作させて姿勢を制御しようと考えていた。
 ところがイオンエンジンチームはノズルの向きの可動範囲をよく理解しており、中和機の中性ガス噴射で姿勢を変更できると提案してくれた。
 この時、探査機姿勢は毎日1度ずつずれていっており、そのままでは探査機が死ぬのを見守るだけということになるところだった。

日経新聞 シーケンスの入れ替わりは人為ミスか。

川口 詳細は現状では不明だ。ノーコメントとさせていただきたい。

不明 バッテリー放電でデータが失われた可能性があるということだが、いつの時点までのデータがダウンロード済み、でいつの時点までのデータがデータレコーダーに入っているのか。

川口 まず原因はバッテリー放電ではなく、電源の出力低下である。バッテリーのチームが怒るので。
 データレコーダーには着陸前後の数メガバイトのデータが入っているはずだが、現状までにダウンロードできたのはほんのわずかである。容量が大きいのは高分解能の画像である。

月刊天文 我々の貰っている画像はターゲットマーカーが写っている降下途中の画像だが、その後の画像は得られているのか。

川口 その画像が最後だ。

産経新聞 火工品を安全側に戻すコマンドを実施されたと確認されたのか。

川口 今後のデータダウンロードで確認しないといけない。

エイヴィエーションウィーク 帰還とデータダウンロードとどちらを優先するのか。

川口 決まっていない。状況によると思う。

週刊ポスト 危機的状況の中でどのようにしてモチベーションを保っているのか。

川口 やはり最終目的が帰還だからだ。

的川 歴代の探査機の中でこれだけロバストな探査機はないです。七転び八起きです。プロマネの信念がチームをささえている、と私は思います。

以上

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Comments

がんばれ、はやぶさ!と言いたいところだが、いささかうんざりが本音。シーケンス中にセーフ移行コマンドが紛れ込んだって、どう考えても人為的なミス。ミネルバ投下失敗も、人為的ミスと考えるのが普通。頑張っているのは解るが、こういうことは結果が全て。ここまで人為的ミスを連発するミッションなら、やらない方が良いのでは?と普通思う。血税を190億使ったミッションです。‘ここまで頑張った‘では済まないですよ。なんか、サッカー日本代表を応援している様な気分。宇宙開発をやるなら、‘国家の威信をかけて‘という意気込みで国が肩入れするべきだし、そうじゃなければ無理だと思います。現状の日本では無理だということです。

がんばれ!ハヤブサ!!

Rough translation to English (briefing part only, no Q and A session):

The report from the press conference on 4:50 PM, attended by Project Manager Junichiro Kawaguchi and Professor Matogawa.

Briefing from Project Manager Kawaguchi:

As already reported, the recover operation from the safe mode is not going well. On November 19th, we established beacon communication with low-gain antenna.

From November 30th, we started communication with on/off radio signal (1-bit communication).
On December 1st, intermittent communication of 8bits/sec with low-gain antenna was established.

From that, we found out:

As a result of attitude control on November 27th, it seems that electricity loss has occurred due to great change in attitude or other cause.
Vaporization of the fuel that leaked inside of the probe might have caused drop of temperature of significant number of equipments. At the same time, loss of electric power caused deep discharge of battery. These seems to have resulted in resetting of electrical module in the system. We are still analyzing the details.

On December 2nd, we tried restarting chemical engine (thruster), but we had marginal thrust, and it was not fully operational.

On December 3rd, we confirmed that misalignment of the direction of high-gain antenna and the Sun-Earth was getting larger, that was, 20 to 30 degrees. As a emergency attitude control, we decided to use xenon gas, which was normally used for ion engine operation, and started writing software for that.

On December 4th, we executed attitude control with xenon gas emission.

On December 5th, the alignment of high-gain antenna and Sun-Earth has recovered to 10 to 20 degrees, and we are having communication of 256bits/sec with medium-gain antenna. However, the probe is slowly rotating, and we are only having intermittent communication, once in 6 minutes.

As of December 6th, Hayabusa is at 550km from Itokawa. The distance from the Earth is 290,000,000km. Currently we are reactivating the only remaining reaction wheel, and it is running at 1000rpm.

Rough Translation to English (continued, first Question in Q and A session):

Q and A:

Mainichi: Does it mean the bullet was fired, but the data was lost?

Kawaguchi: The data from firing equipment cannot be replayed unless we set the probe to launch mode. We did not have the time to switch the mode. Because the data could be lost if the firing equipment is reset due to loss of electricity, on Nov. 26th, we sent a command to transfer the data to data recorder and write protect it.

However, on 27th, we had loss of electricity and equipment reset of large scale. We lost the absolute time data of DHU (Data Handling Unit) and partition data of data recorder (DRAM). That means, we can replay data recorder, but we don't have the data that we fired the bullet.

But we still could replay the command sequence during the descent. According to that, in the sequence prior to the touchdown, there was a command to inhibit firing of the bullet by switching the bullet firing equipment back to safety mode. We are still investigating why such a command was included in the sequence.

The data we gained so far is spotty, but all the data we have suggests that "the bullet was not fired". Our take is there is 80 percent chance that the bullet was not fired.

Yomiuri: When will you be able to say anything conclusive from the analysis of data?

Kawaguchi: We are having hard time interpreting some of the data. On the first landing, the probe was exposed to high temperature from Itokawa, but the temperature of bullet firing equipment was higher on the second landing, suggesting that the bullet was fired. That is inconsistent with other data.
With current communication speed, we cannot download the image data. Once we could download the image, we'll be able to see the touchdown attitude and more detailed information could be drawn.
Before we start the operation of ion engine, we wish to download as much data as possible, and when we have sufficient data, we would like to hold a press conference for debriefing.

Anyway, the amount of data is scarce and they are inconsistent. We cannot draw any conclusion yet.

Kyodo Tsuusin: Of the record kept in the data recorder, some is lost and some is still there?

Kawaguchi: Data recorder uses DRAM and we lost partition information. That usually means all the data is lost. But when we tried download small amount of data, we could retrieve what looks like valid information.

Kyodo Tsuusin: As for the safety mode of the bullet firing equipment, did you send wrong command, or was there an error in writing inside the probe?

Kawaguchi: We don't know.

僕による翻訳作業は(本日は)ここまで。後を引き継ぐ方(もしいれば)、どうぞよろしくお願いします…

 >> irregulars Wrotes:

>>シーケンス中にセーフ移行コマンドが紛れ込んだって、
>>どう考えても人為的なミス。

 本当に、記者会見の内容を理解している?
科学技術を語る前に日本語の勉強が急務だよ。

>>ミネルバ投下失敗も、人為的ミスと考えるのが普通。

一体、何見てるんだか。「普通」ってなんですかぁ?

Correction:
The last line of my comment (translation)

"Kawaguchi: We don't know."

should have been

"Kawaguchi: We don't know yet."

Thank you.

Rough translation (cnt'd). Sorry for my poor English.

Kyodo Tsushin: Can the vehicle return to Earth by departure after 14th Dec?

Kawaguchi: That schedule is based on the case that we can fix the vehicle with the quickest process. We have prepared a orbit plan to start the return on 14th or 15th and reach the Earth in June 2007.

However, the thrusters are yet in bad condition. Without thruster recovery, the vehicle cannot keep the attitude. From now on, we try to recover the thrusters by rebooting powers or changing temperature of the thruster system.

If thrusters don't recover, the vehicle will return using attitude control by emitting xenon jet for the ion engines. In this case, if the attitude falls down, we have to stop the ion engines, restore the attitude by xenon jet, and then boot the ion engines again. Because the booting process of the ion engine takes considerable time, there is a risk for lacking enough running time for the engines to return to the Earth, which indicates an emerging alternative way to extend the return timing.

Kyodo Tsushin: Is there a possibility to change the pickup point in Australia to somewhere?

Kawaguchi: Indeed, the extension of return timing will increase the re-entry speed or the re-entry angle of the capsule, leading to larger risks for the capsule.

NHK How is the attitude control by xenon gas, concretely?

Kawaguchi: The vehicle has four ion engines, and the orifice of each engine has a neutralizer with four nozzles per engine in order to neutralize the jet gas electrically. The nozzles are openable and closable. By opening or closing the nozzles to emit neutralized xenon gas jets, we are controlling the attitude. Its propulsion force is very small.

>ここまで人為的ミスを連発するミッションなら、やらない方が良いのでは?と普通思う。血税を190億使ったミッションです。
逆に100億ぐらいかけて原因究明にあてないと
無駄金になってしまうんじゃないでしょうか?
人為ミスだろうがなんだろうが、
エラーが発生するのならお金をかけて
徹底的に原因究明したほうが、二度と同じ現象を繰り返さずに済むので
これからのためによいと思います。

成功を大喜びしていた私も、がっかりした感は否めません。着陸の際のプログラムなどが現実に対応しきれなかったのでしょうか?再度の着地がないのなら、なんとか帰還にこぎつけてもらいたいものです。あきらめずにがんばってください。

Nikkei Science: Are the posture control on 11/27 and the power loss that followed related, or are they two independent events?

Kawaguchi: It is highly probable that the two events are related. Back in the operation on 27, thruster output was very small. So we restarted the spin which was once stopped, and at the same time sent commands to take more distance from Itokawa since it was getting closer to the asteroid.

Asahi: What do you think of the possibility that the sample were stirred up by the landing and actually gathered? And your comment on this turn of the situation where you couldn't retrieve the sample at the rate of 80%?

Kawaguchi: Escape velocity from Itokawa is equivalent to the speed of a pencil dropped from 0.5 millimeter height. It would only bounce up 0.5mm on earth, but on Itokawa where the gravity is small it would jump up more than 10 meters. Buton the second touchdown, the vehicle actually touched the ground for only a second and ascended back, so the sampler horn ascended with the sample, thus the sample would not have reached the capsule. In the touchdown on 20th the vehicle landed on the surface for substantially long time, so we think it is highly probable that the sample that were stirred up have entered the capsule.

We were able to take all the technical procedures aimed for collecting the sample. In that sense, we think that this landing has not lost its significance. Of course we're very determined to retrieve the sample. This is already an area beyond engineering demonstration. The fact that the projectile did not fire is, in a word, discouraging. We think it is essential for us to keep up our motivation for the return flight.

Nikkei Science: Is the attitude control on 27th Nov and the power down afterward related or independent?

Kawaguchi: Probably they are related. The output of the thrusters was very small in operation on 27th Nov. So, we restarted the spinning and sent commands to get off Itokawa, because the vehicle were approaching Itokawa at that time.

According the telemetry data obtained today, it seems that the vehicle at that time lost the proper attitude and the solar battery paddles could not get the sunlight, which induced the battery discharge and shutdown of many instruments.

We speculate now that the loss of attitude may be caused by only one part of the paired thrusters worked by freezing of the part of pipes.

Asahi: Is there a possibility that the soil sample was whirled up by the touchdown and collected? And, on the other hand, would you give us a comment about 80% probability of failure of sampling?

Kawaguchi: The escape velocity of Itokawa is equal to the velocity of a falling pencil from 0.5-mm high. It jumps only to the 0.5mm high after bounding on the Earth, but on Itokawa it jumps high to few score meters. However, the touching time in the second touchdown was only 1 sec, and the sampler horn mounted on the ascending vehicle also ascended together with samples, preventing the samples to reach the capsule. In the touchdown on 20th Nov, it touched the ground for a long time. So I think It's quite likely that the samples were whirled up and entered the capsule.

In this mission, we completely succeeded in executing the all technical procedures for sampling. From this point, these touchdowns still have enough significance for sample-return projects to come hereafter. Of course, we cling strongly to sampling; it's a region beyond validation in the engineering.

The failure of bullet firing is indeed discouragement. Now I think it is important to keep the motivation for the return journey.

Tokyo Shimbun: What is the neutralizer of the ion engines? And I'd like to know how the disorder in the thrusters is related the A/B dual systems mentioned in the last conference.

Kawaguchi: When the vehicle emits the cations, it gets charged negatively. Then the cations are attracted the negative charges and cannot leave it. So, the cations are needed to be neutralized electrically by anions. The neutralizer emits the negatively-charged gas to neutralize the jet plasma.

The disorder of thrusters is due to the movement failure of latching valves. We are trying to manage to move the latching valves by restarting the power for the valves or changing the temperature of the valves.

Yomiuri: Can the situation change if captured images are downloaded?

Kawaguchi: Yes, but here I cannot assure the success of download.

Space Authors Club: Do you mean that the latching valves of both A and B systems are stuck in with the closing state?

Kawaguchi: Yes. It seems that, on 27th Nov, several kilograms of the fuel was leaked inside the vehicle. The temparature dropped by vaporization. It is not the oxidant but the hydrazine that is leaking. On 2nd Dec, we sent commands to open the A/B latching valves, but they didn't move. It may be caused by problems in the power or wiring on the valve driving system. Freeze of valves or pipes is unlikely because we are now heating each parts in order to release the out gas. Open of the valves might cause the leakage again, but with comprehension of such risks, we are trying to move the valves.

うわ、かぶってしまいました。すみません。
volunteer さん、引き続き翻訳されますか??
特に訳す方がいないようでしたら、こちらはまだもう少し続投できますが・・・

川口チームは現在も「はやぶさ」からの断片的なデータを調査解析中なんだし、我々(観覧者)は、憶測で批評したり揶揄するのはやめたほうがよいよね。(^^;;)

#人的なプログラミングエラーが本当に起きてしまってたんだったら凄く(落胆してしまう位)残念だけど。。。。姿勢制御がままならない状況で30分間隔の地球~ITOKAWA間の通信を酷使して秒刻みにシステム補正をしながらの運用だった様子だし。限界状況を押して着陸ミッションを成功させた事は評価したい。

もし、サンプルが取れていなかったとしても、はやぶさの地球帰還ミッションは予定通り実施ほしいと思ってます。。
そのミッション遂行が、次の日本の宇宙探査技術の蓄積になるし。将来、もし、「はやぶさ2号」が打ち上げられた時には、今回のミッション遂行がノウハウになるはずだし。。

Aviation Week: How is the operation by utilizing NASA DSN?

Kawaguchi: We are provided the usage of 70m antenna for 2 hours per day till tomorrow, by the kindness of NASA. In addition we are going to request support by the 34m antenna for one more week.

Aviation Week: You said that the reaction wheel are rotating with 1000 rpm. How is it with respect to the rated value?

Kawaguchi: We'd like to use it with 2000-3000 rpm in consultation with the vendor. They are designed for about 5000 rpm in max.

Jiji Tsushin: Did the leakage occurred inside the vehicle?

Kawaguchi: We confirmed from acceleration data on 26th that it leaked also outside through the top side.

When communication was disrupted by the large attitude disorder on 27th, there was a leakage of several kilograms, though we do not know if it is outside or inside. Its ground is the event that there occurred the downward propulsion force and the spinning speed decreased on 30th. It can be explained by our speculation that the fuel leaking inside the vehicle evaporated and blew outside.

Jiji Tsushin: Are the xenon or the thruster fuel enough for return to the Earth?

Kawaguchi: I think xenon lasts enough if there are no more disturbance.

Unknown: Is the leakage inside the vehicle stopping?

Kawaguchi: Stopping. If it continued, the vehicle temperature would decrease by vaporization heat. Now we are heating the vehicle to vaporize and eject the leaked fuel remaining inside.

Unknown: Are you stopping the leakage, or did it stop by itself?

Kawaguchi: I think that we stopped it. Now the both latching valves are closed and the leakage is stopped.

Sky Traveler (Gekkan Temmon): In the case of missing the return chance by 15th Dec, supposing we'll wait for three years for its return, then will Hayabusa travel along with Itokawa?

Kawaguchi: I think it will go away sufficiently from Itokawa. It will go further and further off Itokawa. FYI, the three-years waiting is just a candidate, and a pattern with three-and-half years is also possible. At this moment we focus on June 2007.

Mainichi: Is the reason of the thruster leakage unknown?

Kawaguchi: Yes. The touchdown itself is unlikely to cause it because the leakage occurred on the top side of the vehicle. The temperature dropped down due to vaporization on 27th, but on the contrary, the temperature increased on 26th. We have to give a consistent explanation after analyzing such data.

Tokyo Shimbun: Did the success of attitude control by the ion engines increase the chance for the return to the Earth?

Kawaguchi: We had no way in the last press conference, but now the situation got better than that. But we cannot evaluate definitely whether it is sufficient for the return.

Tokyo Shimbun: You concluded the success by finish of the sequence on 26th. Does the sequence finish even with a wrong command inserted?

Kawaguchi: Yes.

NHK: As for scientific data, Have you already downloaded the data up to 25th? And is there possibility to download the current data during the return cruise?
Kawaguchi: (The data up to 25th is) Already downloaded. We will download the data at the touchdown before starting the return cruise. After cruising phase starts, it will be difficult to make enough time for download.

NHK: Is the battery charged now?

Kawaguchi: It has restored again. Hayabusa is designed to work without the battery as long as its attitude is normal. I think that it has no obstacle for the cruise. The battery of Hayabusa has a capacity only for 40-min operation of the whole system.

NHK: How long can it be extended to achieve the return in June 2007?

Kawaguchi: We aim the return start by the mid of December, understanding some disadvantages in re-entry. If it is extended to the late December, the return on June 2007 will be harder.

Unknown: When did you confirm that the bullet did not fire?

Kawaguchi: Around 3:00pm on 6th. It was a deep shock to me, too. I told it to Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology in this morning.

Sky Traveler (Gekkan Temmon): Were you unable to confirm the bullet firing on the finish of the sampling sequence?

Kawaguchi: In order to confirm the action of firing equipment, we have to switch the operation mode of the vehicle to the another one, the lift-off mode. On 26th we considered that it worked because the sequence worked well.

Akahata: Did you assume the attitude control by the xenon gas in advance?

Kawaguchi: No, we didn't assume it. This idea was proposed by the ion engine team when the thrusters did not move on 2nd Dec.

I myself was planning to control the attitude by operating the ion engines. But the ion engine team comprehended well the movement range of the nozzles, and gave me a proposal that the jet by the neutralizer can change the attitude.

At that time, the attitude of the vehicle was sliding by 1 degree per day, and without the proposal what we could do would be almost only to watching the dying vehicle.

Nikkei: Is the replacement of the sequences an artificial error?

Kawaguchi: The detail is unknown in the current situation. Let us keep it "No comment" now.

Unknown: You said that the data might be lost by the battery discharge. Which date have you already downloaded the data for, and which date is the data stored in the DRAM for?

Kawaguchi: First, the reason is not the battery discharge, but the decrease of power output; the battery team would get angry (to hear that).

The DRAM must keep a few megabytes data around the touchdown, but we could download only a slight part. The images with high-reso have large sizes.

Sky Traveler (Gekkan Temmon): We already got an image picturing the target marker on the descending phase. Did you obtained any images after that?

Kawaguchi: That image is the latest.

Sankei: Did you confirm whether the command to switch the firing equipment to the safety mode executed?

Kawaguchi: We have to confirm it by data to be downloaded.

Aviation Week: Which do you set a priority on, the return to the Earth or download of the data?

Kawaguchi: Not decided yet. It depends.

Weekly Post: How do you keep motivation during such critical situation?

Kawaguchi: Because our final goal is to return to the Earth, of course.

Prof. Matogawa: No other vehicles in the past have ever been so robust as Hayabusa. It overcomes 8 times even after experiencing 7 failures (a Japanese proverb). I think the belief by Project Manager (Prof. Kawaguchi) is keeping the team up.


That's all.


その後特に翻訳してくださる方がいないようなので,訳してしまいました.間違い等あればお知らせください.かぶってしまった部分は volunteer さんの英語のほうが良いですね(^^;

個人的には,工学試験衛星としてのはやぶさのこれまでの成果は高く評価しています.まだ解析中とのことなのでなんともいえませんが,なんとか帰還の目処がつくよう祈るばかりです.

私が言いたいのは、プレゼンが下手糞すぎということ。
案の定、マスコミは‘サンプル採取実は失敗だった‘の大合唱になってるでしょ。
あの会見内容を良く検討すれば、サンプル採取の‘確認がとれなかった‘のは内容のほんの一部で、しかも、8割方失敗というのは現時点での川口氏のインプレッションにしか過ぎない。つまり、科学的に確実に確認された事実ではないよね。発射装置が高温だったことも矛盾しているし。だけど、ああいう発表の仕方をすれば、‘実は失敗‘だったということ、そしてそのことだけが強い印象を与える。本来は、第三の方法で帰還の可能性が出てきたことが重要だったはずだが、発表の仕方がまずかったために‘また失敗‘という強烈な印象を与えてしまった。あの会見を読んで私が受けた印象は‘この馬鹿共は、日本の宇宙開発を潰すつもりか!‘という憤りだけ。
科学的データや、科学者としての見解を垂れ流しにすれば、それで解ってもらえると考えるのはただの大馬鹿。悪いが、川口氏は論外。松浦氏でさえ同様の罠にはまっている(ふじ なんて誰が金出して作るんかい?あんなもの)。
専門化が素人に高度な科学的内容を説明するのは、物凄くハイレベルな技だし、プレゼンの舞台は修羅場なんだよ。それが全く解っていない。
良く言えば、技術者として誠実過ぎるんだが、ありていに言えば、ただの世間知らず、技術バカ一代であるにしか過ぎない。
金を出すのは、ここに集まる様な‘衛星オタ‘じゃない。
ごく一般の人間。
宇宙開発なんぞに全く興味はないが、‘世界初の快挙‘と言われれば‘スゴーイ!‘と思い、‘やっぱり失敗でしたー‘と言われれば‘日本ってやっぱり駄目ー‘と思うごく‘フツー‘の方達。
この連中に、高度な科学技術を理解せよなんつーのは僭越の極みでね、こういう方達に解っていただくよーにご説明させていただくのが、税金使ってる人間の義務だよ。この点を、しっかり認識せよ!
で、次回に続く。

んで、じゃ、おめーならどうすんだ?とゆー突っ込みは当然あるだろうから、‘私らの流儀‘でのプレゼンをシミュしてみませう。
まず、第一に、サンプル採取の問題についてはコメントしない。以前から、完全な確認はとれていないと言っているわけだし、最終的には地球にカプセルが帰還しなきゃ解らんでしょ。だから、この件にはノーコメントで、突っ込まれたら、‘完全な確認は、帰還を待って‘とでも言っておけばよろしい。
話はあくまで‘帰還‘に向けるべき。
それから、はやぶさ計画の全体像を説明する。
例の500点満点の採点表があるが、あれでも使って、これまで成功したミッションを羅列し、とにかく‘現時点で既に成功‘という印象を強く与えておく。
この時に、‘予算が厳しかった‘ため、一つのプロジェクトに多くの‘世界初‘を詰め込まざる得なかった。NASAではこんな無茶なプロジェクトを組まないなんてこともきっちり言っておいた方が良い。予算獲得のためにね。
これも言っておくが、予算は貰うものじゃない。‘奪う‘もの。そのためにはったり効かせたり、嘘に属しかねないことを言う場合もある。予算獲得は修羅の道なのです。だけど、そこでおかした罪はより大きな成果を挙げることで返せば良いのよ。
繰り返すが、予算貰えないから云々なんつーのは、只の甘え。このあたりの意識改革をまず行うべきです。
さて、続き。
メインのお話としては、第三の方法で帰還の可能性が出てきたこと。‘故障原因の追究‘から話をそらすため、‘rubust(=頑健 robust制御等、工学分野で良く使う言葉ですな)な設計‘であったこと、優れた技術者が存在し、姿勢制御の第三の方法を発見出来たことを強く強調しておくべきでしょう。
んで、また続く。

さて、上記方針に立ってプレゼンのアウトラインを決めた後、2つやるべきことがある。
まず、第一は、素人を読んで来て、その前でプレゼンのシミュをやる。
質疑応答もやって、プレゼンからどういった印象を受けるか、解らない点があったか、それはどこか等を詳細に検討する。
その上で、原稿を書き直し、‘自分達の意図が伝わる‘様になるまで推敲を重ねる。
第二に、プレゼンの方法を工夫すること。
俺らだと、スライドを多用しまし(これは以前、立花隆氏にえらく歓心されたことがありますね)。
ポスターみたいなものでもよろしいのではないかと思います。
学会発表の常套手段ですけどね。
裏を返せば‘プロ‘に対して説明する時でさえ、それだけ工夫をしているというわけです。
見てもらえませんからね。
私が、‘なんじゃ、あの会見は!‘という理由がお解りになるでしょう。
マスコミの方達は、仕事なんで、興味も無ければ理解も出来ない話に仕方なく付き合って下さっているわけです。
画像ってのは、特にそういう方達にとって、非常においしいものなんです。
今回で言えば、500点満点の採点表(サンプリング成功までは○をつけておくべきでしょう)、3つの制御方法を羅列した資料を配布すれば、新聞の紙面に必ずその二つの資料が掲載されます。それによって自分達の意図する内容を、取り合えず広報することが出来たはずなんです(発表された記事を見る限り、要は‘失敗‘のオンパレードですよね)。
記事を作る側から考えれば、こんなおいしい材料はないですからね。
川口氏に限らず、学者は一般人への解り易い説明をひどく馬鹿にする傾向があります。
「学者にとって最も重要なことは、優れた業績を残すことであり、一般人への啓蒙に貴重な時間を費やすなんて下衆なことは、研究者としての能力を欠いた落ちこぼれがやっておればよい」つーのは、私の師匠の台詞であり、私も基本的には同様の立場に立ちます。
ただし、‘大衆の同意‘が絶対に必要な分野も存在するわけで、その場合には‘大衆を操作する技術‘が不可欠になるんです。
ま、‘研究‘という高級な?行為を行うためには、‘金‘という形而下の代物が不可欠なわけですからね、仕方が無いんですよ。
んで、続きます。

まあ、くどくど書いてきましたが、私は‘高度な技術の保有‘のみが日本の地位を担保するという立場に立っています。当然、宇宙開発に関してはガチガチの推進派ですので、その上での辛口発言ということを理解して下さいませ。
繰り返しますが、相手(聴衆、大衆)が理解した内容こそが真実であり、科学者が発表した内容が真実なのではありません。
相手がどの様に理解するかを考慮しない発表は、単なるマ○ターベーションにしか過ぎないということです。
さて、‘ふじ‘に対して失礼なことを書きましたが、少々コメントしておきます。
松浦さんの言うことは、良く解りますし、正論だとも思います。特にISSが動いていた当時であれば余計ごもっともだと思います。
ただ、私が言いたいのは、夢が無いということ。
中国が‘ふじ型‘の有人をやってしまった今、後追いで似た様なことをやるのに、国民が夢とプライドを感じますかね?
アメリカの月有人探査が‘ふじ型‘に戻ったことで、鬼の首を取った様に自慢されていますが、地球近傍の往還型宇宙船と、月探査船では事情が全く違うでしょう。
私は、日本はあくまで‘シャトル型‘か‘スペースプレーン‘にこだわるべきだと思います。
次世代、次次世代の宇宙船はおそらくこのタイプになるわけですからね。
ハイテク国家日本としては、新技術へのチャレンジを果敢に行うというスタンスの方がらしいですから。
かつて、フォン・ブラウンの言葉に「宇宙開発は非常に安いものだ。与える夢の大きさを考えればね」というのがあった様に記憶しています。
私が切実に求めるのは、宇宙開発に‘夢‘を持たせてくれる人物です。
それは、政治家でも良いし、科学者でも良いし、民間人でさえ良い。
ケネディの様に、大法螺?を吹く様な人物が必要なんじゃないかな?
「十年以内に、スペースプレーンを開発し、無重力空間での工業生産を実用化する」。
「月にすばる規模の望遠鏡を設置する。ハッブルを遥かに凌ぐ、可視光望遠鏡を日本の技術で実現する」。
「はるか三号は、冥王星近傍にまで飛ばす。これによって太陽系規模の新VSOP計画を実現する」。
身近な所では、「はやぶさ救出の新衛星を飛ばす。世界初の、深宇宙での衛星探査、ドッキング、回収を行う。これは、将来の深宇宙探査に不可欠な技術となろう」。等々。
実現不可能と思いますか?
科学史を紐解くと、‘やってみたらなんとかなった。もしくはした‘。なんてことが多々ありますし、取り合えず、成功に近いところでは行けると思っています。
失敗しても、その過程で得るものは大きく、それは将来の技術開発に必ず繋がります。
重要なのはやることであり、絶対に避けるべきはやる前に止めることです。
こういった‘大法螺‘を吹けて、かつ実行力のある人物が、これからの日本の宇宙開発には不可欠だと思っています。
技術屋は、現状の技術を見て、取り合えず無難な道をとりたがります。
「研究者の力量を見て、そいつに適当な‘無茶‘を要求出来るのが、指導者に不可欠な資質」というのも私の師匠のお言葉です。
宇宙開発を指導するに足る人物、待望します。
ではでは。。。。。。。。

無知蒙昧の輩に、正しく科学の啓蒙を行なう必要を痛感いたします。

なんやら、多数のメールを戴いたので、少しコメント。
川口さんの気持ち、解らないでもない。
データを調べたら、発火の記録が無かった。シーケンス(コマンド列?)に、誤ったコマンドが含まれていた。
そりゃショックでせう。
そりゃ解るんだけどね、感情のまんま情報というか、自分の考えというかを垂れ流したら、それは真実を伝えることにはならんのよ。
愚痴こぼしてるだけ。
只のオ○ニーね。
んでさ、今 マスコミ→一般大衆 にどの様に伝え割っているかとゆーと、‘はやぶさ計画 大失敗!‘それも‘成功と発表したのが間違いで、実は上手くいってませんでした。→世界相手に赤っ恥ー!(ピンポーン!)‘てことになっちまってるわけよ。
でもー、日本の宇宙開発なんてカス!駄目駄目ねー!とゆー印象をつよーく一般大衆に刷り込んでしまったわけ(実際に、女の子がそう言ってたからねー。一般人はオタと違ってきついよん)。
結局、はやぶさ計画の立役者が、はやぶさ計画の成果を景気良く木っ端微塵にして、ついでに日本の宇宙計画まで木っ端微塵にしつつあると。
おおっ、流石は敏腕マネージャー!。
ま、とにかくさ、責任ある立場の人間は自分の言うことに気をつけなさいっつーこと。→もう遅いけど。
まあ、自分が手塩にかけたはやぶさを、自分の手で葬り去ったわけだけら、川口さんも満足で御座いましょう。
これからの宇宙開発は、中国とアメリカにお任せしませう(マンセー!)。
日本は、アメリカに技術協力という名の資金援助をして、名前だけ宇宙開発の片隅に残させて戴くのが分相応。
JZXAへの資金をNASAに回した方が遥かに有用に利用してくれそうだしね。
ま、そういうことです。
んじゃ。

>相手がどの様に理解するかを考慮しない発表は、単なるマ○ターベーションにしか過ぎないということです。

身をもって実例を示してくださったのですね。
朝からご苦労様です。

>感情のまんま情報というか、自分の考えというかを垂れ流したら、それは真実を伝えることにはならんのよ。

流石言うこととやることが違いますね。

はやぶさの一連のミッションについて、一般人の私も非常に緊張感を持って見守ってきた。これは松浦氏の「はやぶさリンク」によるところが大きくこのような場を提供していただいたことに心から感謝したい。
今回のトラブルは、一連のプロセスが成功したと思われていただけに、私も含めて、これまで以上にショックを受けた人が多いかもしれない。原因について最終的なコメントがまだ出ていないので確かなことは言えないが、人為的なミスかもしれない可能性があるとなると、機器のトラブル以上に残念である。あの緊張感の中でなぜ.... 
断片的な情報から状況がうまく伝わらないこともあると思うが、ミッションの経過が早い段階で公表されてきた事は、一般人から見てもこれからも希望することである。「成功」か、「失敗」かでは表現できない部分をどう扱うか、難しいものがあるが、このような点で研究者が責任を負うのはあまりに酷であり、広報の対応や報道のあり方として考える必要があるのではないだろうか。研究者の生の声ほど臨場感のあるものはないし、研究者が話せないような場にはして欲しくないものだ。
状況は厳しい様だが、帰還が成功するようこれからも見守っていきたい。

ごめん、あんまり気分が良いので、調子に乗って本当のことを書き過ぎた。まあ、俺的には、国益にあまりかんけーない はやぶさ君はどーでも良いんだけどさ、中国、韓国、北朝鮮が喜ぶだけでね。なんだが、むつ、もんじゅの件が思い出されてね。どちらも責任者が説明責任(単に説明することだけでなく、相手に正確な情報が伝わる様にするという定義)を果たさなかったため、計画に多大な支障をきたした。むつは、‘放射線漏れ‘という言葉が一人歩きしてポシャッた。むつ計画が上手くいっていれば、現在、日本は原潜を保有もしくは保有し得る技術を有していたはず。
また、もんじゅも大した事故でなかったにも関わらず、イメージが一人歩きをして、現在まで再開されていない。原子力政策の根幹であり、国の原子力政策がアメリカの都合で猫の目の様に変えられることを考えれば、稼働中増殖炉保有の既成事実を作ることは必須だったのにね。
まあ、こちらはポシャラないことを祈る。
とにかくさ、責任ある立場にいる人間は、説明責任、説明、説得の技術について考え直すべき。
繰り返すが、垂れ流して良いのは俺みたいに責任の無い人だけ。
責任ある人間が同じことやっちゃ駄目だよん(爆)。

>>irregulars
相手にこんな長い文章が読んでもらえる
のかまずシミュレーションしたら?
(実際に、女の子がそう言ってたからねー)
何じゃこの痛い文書笑

しかもお前の案が一度可能かシミュレートしてみろ、スペースプレーンとかさ。。
見込みあんの?やれば出来るってか?
プレゼンすれば予算出るってか?
馬鹿も休み休み言え

広報がもっとしっかりすべきと言うなら
それは話としてわかるが、まずお前の人に対してプレゼン出来てないんだよ

真摯な態度がないとなにも伝わってコネー、
痛いよお前


と言うわけで痛い人は置いておいて
中和機による姿勢制御と言うあらたな裏技が出てきましたね、
姿勢制御の最終手段はイオンエンジンかと思ってましたが、まさかアレを使うとは。。

こうして、情報が随時出てきてくれることに
感謝しています、こうしてひとつずつ
問題に対峙していく過程が伝わる事が
子供たちや人々を宇宙科学に興味を持たせ
すれた先進国の人々に夢を与え
理科離れも防げるってものだと思います

はやぶさの奮闘を2年だろうが10年だろうが見届けたいです
同時に次の計画も欲しいところです
是非、RWなり太陽電池の回転機構なり
回るHGアンテナなり
全体的に余裕のある探査機をH2AかMシリーズ増強であげて欲しいですが。。

余裕のある探査機なら
サバイバル能力はいらないどころか
さらに生きるかと思います、

恐るべき旅路2はハッピーエンドで見たいものですねw長文失礼しました

irregulars氏のメンタリティがはっきりした時点で、ただの素人がこんな事を書くのも無粋ではありますが……。

むつももんじゅも、(今回のサンプル採取の問題のような)不都合を隠蔽した結果、不安と憶測が一人歩きした結果ですよね。日本の科学・技術開発でポシャったプロジェクトは、すべて、この体質が原因と言っても過言ではない。
「リレーってなんですか」の伝説的記者会見の場にいた者の個人的な印象としては、的川教授を中心としたJAXAは、この5年間、特筆すべき辛抱強さで記者を教育し、本来あるべき科学・技術報道の実現に努め、少しずつではあっても、成果を出しているところだと思います。今回の報道でも、ピギーバック衛星の失敗だけを大々的に報道し意味もなく技術不信を煽っていた数年前と比べたら、着実に進歩しているように見えます。

不都合の隠蔽や嘘をつかずに騙す手口を駆使したその場しのぎのプロパガンダ技術がどうとかいう人にとっては、そもそもの志しが全く相容れないものである以上、上記のような一見緩慢とも見える方針に批判があるのはもっともだとは思います。血税が投入されているJAXAの報道ポリシーとして、どちらを志向すべきかは、納税者の判断する事でしょうね(もちろん、単純な二元論ではないとは思いますけど)。

今回のはやぶさでは、Web上などで、箝口令が敷かれたのぞみとは比較にならない盛り上がりを見せ、多くの人が感情移入し、よくできたドラマ以上の現実の戦いに夢中になっています。「サッカー日本代表なんてカス。いくら好機を作ってもシュート入らないじゃん」とかいう「一般人」(?)の声しか聞こえない人には分からないかも知れませんが。

JAXAの報道姿勢にご不満の方には、『宇宙へのパスポート(笹本祐一著、朝日ソノラマ)』の、特に「アリアンV編」を熟読して欲しいな──と思いました。

ポストはやぶさ計画はMEFが作ったたたき台を元にWG設立提案書が作成・提出され、既に2004年頭にWG設立が認められて活動を開始しています。来年春には具体的な計画案がまとめられる事と思います。

帰還失敗どころか、遡って打ちこみさえなかった、取消しっ、と。
結局中国には勝てませんでしたね。

うえ~~ん・゚・(ノД^)・゚・。

>>うんち。殿
#貴殿のハンドルネーム。およそ、ボキャブラリの貧困さを身をもって証明しているけども。。

以前、このサイトにコメントした事があるが。
中国の有人宇宙飛行と惑星間宇宙探査の「はやぶさ」は、優劣を競うもんじゃないです。
あくまでも、「右足と左足」の関係みたいにジャンルが異なる宇宙技術研究開発と思う。

#かつて松浦さんが話題にした「ふじ」計画が机上どまりで終わって『中国に有人宇宙飛行で先を越された。うえーーん><』ってのならば、小生も、そのとおりだと考えるが。。^^;;

「はやぶさ」は今、瀕死のボロボロなのかも知れない。川口チームのスタッフは疲労困憊の局地なのかも知れない。
#結果的には、さまざまな技術的・人的エラーの続出となっているのかも知れない。

でも、MUSES-C「はやぶさ」は、先端技術試験衛星の位置づけとして現在も運用している。JAXA運用チームの不休の努力とフロンティア精神に拍手と敬服の念を送りたい。

そして、内之浦基地からの打ち上げ成功以来、ずーっと、現在も小生をワクワクさせてくれているこの「宇宙探査プロジェクト」を引き続き、暖かい目で応援して行きたい。

松浦さん。「はやぶさ」の運行終了まで、引き続き、取材をお願いします。
的川先生、川口先生、JAXA運用チームの皆さん。
ぜひぜひ、「はやぶさ」を地球圏まで帰還させて下さい。地球帰還ミッションの成功を心から応援しています。


初めて書き込みます。

To:長い書き込みをしていた人
確かに予算は奪うものかもしれないのですが
ん~なんていうか、自分でそういう場にたったこと無いんじゃないの?
という印象を受けましたね。予算は取ろうとしても
成果発表の記者会見とかしたことないんでしょ?という。
完全に、文科省への陳情かなにかと勘違いしてますな。

さて、私自身は、今回のISASの広報活動は、
100点とはいえないにせよ、非常な進歩を遂げて
十分にその役割を果たしていると思います。

こういったリアルタイムな成果のプレゼンテーションは
よく出来たスライドなどはまったくそぐいません。
着陸のCGを見せられるより、少しぼやけたはやぶさの影を
写真一枚で示すほうが、はるかに効果的であるということです。

今回の場合はそもそも作っている暇も無いしね。
非常にオープンに、起きた出来事をそれこそ分単位で公表していることで、
内容や問題点などが非常にはっきり伝わっています。

この先、望むことがあるとすれば、ミッションの総括を
一般人向け、もっというとたとえば小学生向け
中学生向けの、
細かい内容まで含んだ本にでもして出して欲しい
ということです、それこそ松浦さんが適任だと思いますが。
小学生むけの恐るべき旅路IIを是非作っていただければ
絶対に意義あるものになるでしょう。
夏休みの読書感想文の課題図書とかになるかも(笑)

最後になりましたが、いつもご苦労様です。感謝してます>松浦様

>ST
こういった文章で問題提起だけして消えるのが私の流儀なんだが。今回は非常に気分が良いので、お馬鹿さんにも解る様に、少し説明してあげよう。
まず、
>>相手にこんな長い文章が読んでもらえるのかまずシミュレーションしたら?
読む。
人間の心理として、自分の悪口、自分にとって不都合なことが記述されている文章を目にしたとき、読まずにはいられなくなるってーのがある。
貴方自身読んだわけでしょ?
もし読んでなくて、一部言葉尻をとらえて‘反論?‘したんだとしたら、それは問題ありだよね♪(笑)。
>>しかもお前の案が一度可能かシミュレートしてみろ、
ふむ。
じゃ、逆に聞くけどさ、不可能つーのはどういう根拠で言っているわけ?
論文読んだ?学会出た?スペースプレーン開発の現況知ってる?ベースになる工学的知識はおありかな?
つまり、自分の目で見て、自分の頭で考えた?
松浦さんが言ってるから駄目なの?(笑)。
彼の業績は認めるけど、最前線の優秀な研究者ではないでしょ?
まあ、俺も燃焼関係の専門家じゃないんでね、偉そうなことは言えないけどさ、俺の感触としては、可能だと思っている。
Hopeライクの、小型、無人往還機をスペースプレーンとして飛ばす程度なら、10年いらないと思うけどね。
ちなみに、俺が提示したテーマの中で最も実現が難しいのは‘月望遠鏡‘。
ただし、不可能ではない。
まあ、「2015年までに、人型決戦兵器を完成させろ!」と言われたら流石に引くけどさ(爆)。
貴方に限らないが、特定の専門家?や噂を信じ込んで思考停止してしまう方が非常に多い。
大事なのは、自分で考えること!
5年ほど、スペースプレーンについて勉強してみそ。
そしたら、また相手をしてあげませう(笑)。

さて、俺が言いたいことを別の形で説明しておこう。
問題の本質は、‘今回の会見の内容が、正確に報道されているか?‘ということ。
記者の教育だの、文化省への陳情でも良いですよ。
でもさ、川口氏が伝えようとしたこと、伝わってる?
結果が伴わなきゃ無意味ジャン。
元々データはDLの最中で、未だ完全にデータを集めきっていないよね。
前回発表までにDLされたデータからは、90%の成功率が見越せた。
しかし、今回、新たにDLされた否定的データのため、それが20%に下がった。
ただし、成功を示唆するデータもあるので、完全にDL出来るまで結論は出せない。
それだけのことでしょ?
更に言うなら、話の大部分は、帰還に関する目処がある程度たったということの発表だったはず。
しかし、記事のタイトルに踊ったのは‘実は失敗だった!‘の大合唱!。
これで、意図が正確に伝わっていると言えるのかね?
方法論を間違えたプレゼンの結果、‘致命的な失敗‘という烙印を自ら押してしまった。
違うかい?
んで、続く。


負け惜しみが続きまつw

生のデータはさ、劇薬なんだよ。
それを理解、処理出来る能力を有した人間にとっては非常に有用な物なの。
逆に、出来ない人間にとってはとんでもない毒薬になる。
川口氏の発言は、専門家相手のものとすれば、OK!なんだよ。
例えば、川口氏と俺を含めた3人の研究者が議論していたとしよう。
「Mr.川口、弾丸が発射されなかったとする根拠は、シーケンスにセーフモードへの移行コマンドが紛れ込んでいたこと、発射のデータが確認できなかったこと、この2つだね」
「そうです、私は80%の確率で弾丸が発射さらなかっと推測しています」
「発射装置の温度が異常に高温だったことは、どう説明する?」
「矛盾したデータであり、検討中です」
.........................................................
「Mr.川口、貴方はプロセスを重視するタイプの様だ。
私は、直接証拠に最も近いデータを重視する。
つまり、弾丸は発射されたとするのが私の見解だ」
「その場合、コマンドや発射データとの不整合はどの様に考えられますか?」
「発射データに関しては、当時のはやぶさの状況を考えると、正確に取得出来なかった可能性が高い。また、失われた可能性もある。いずれにしても、弾丸発射というイベントに対し、最も直接的な証拠ではない」
「また、コマンドに関しては、‘否定の否定は肯定‘と考えれば良い」
「どういう意味ですか?」
「つまり、コマンドはあったが実行されなかった、セーフモードへ入る際にトラブルが生じ、セーフモードへの移行が出来なかったということだ。
更に言うなら、弾丸発射自体が一種のトラブルだった可能性もある。ただし、弾丸は発射された、これが私の結論だ」
聞いていた私は、
「なるほど、はやぶさを作った川口さんにすれば、はやぶさの機能を信じたいはず。だから、弾丸発射のプロセスが踏まれたいなければ、弾丸発射は無いと考える。バイアスがかかっているわけだ。
一方、第三者の冷静な目から見れば、直接証拠である‘発射装置の高温‘を根拠に、‘偶然かもしれないが、取り合えず発射はされた‘と考えるのもごもっとも。
うーん、俺的には、100%とまでは言わんが、80%ってとこかね」
さてさて、シミュしてみましたが、専門家同士の会話ってこんなノリで御座います。
生データを基に自分で思考し、結果を出せる。
だから、生データは有用なんですよ。
だけど、それが出来ない人間にとっては、少なくともあまり有用ではない。
ここであれこれ言っている方達も、結局はその都度の‘川口氏の見解‘を聞いて、一喜一憂とゆーか、要は振り回されてるだけでしょ?
マスコミ、そのマスコミからデータを得る一般人はなおのさらね(笑)。
批判的に検討するなんて芸当は逆立ちしても出来ない。
ちなみに、今回の件につき、つてを辿ってかなりのデータを集めることが出来ました。
んで、そっち方面を専門にしてる奴も呼んで今回の件についてですかっしょんなるものをやってみたわけですね。
結論としては、
1、弾丸発射の確率は 80%~90%。ただし、それが‘成功‘によるのかは疑問。
2、川口氏の20%には、計画責任者として楽観的な数字を言えないバイアスがかかっている。実際には少なくとも50%程度と見積もっているのではないか?
っつーことでしたな。
これ、専門家だったら、似た様な結論出す人多いんじゃねーかな。
んで続く。

負け惜しみが続きまつw

さって、話が少しそれたが、ことの本質は、‘DLの状況に応じて、成功の可能性が上下するのはとーぜん‘なんだが、それを、‘失敗したことすら解らなかった無能なJAXA‘→‘はやぶさ計画完全に大失敗‘とゆーきょーれつなイメージを与えてしまったこと。
だから、プレゼンの仕方を少しは工夫しろ、馬鹿野郎つーことね。
ま、ここまで言えば、お利口さんは理解出来たでしょ。
理解出来たお利口さんは、あえて投稿してくる必要が無いからか、掲示板には書いてくれませんね。
メールは多数いただけたのですが。
まあ、またメールでご感想をお聞かせ下さいませ。
昨日の検討会の、もう少し詳細な内容をお話出来ると思います。
特に、技術情報を提供して下さった、専門家筋の方々、有難う御座いました。
また、メール戴けると嬉しく存じますです。

さてさて、21世紀の共通語、中国語の勉強でもしませうか。

もう人様のおうちでオナニーしちゃだめでちゅよ。
わかりましたか?坊っちゃん。

技術試験衛星なのだから残りの計画を進めることが一番でしょう。
実際にサンプルが地上にもたらされれば、それは全ての仕事を終えた後のご褒美であり、これ自身がミッションの目的ではないですからね。
将来の探査機に採用する技術の開発と評価がミッションの目的なんだから、ね。

>irregularsさん
内容はともかく、繰り返し長文を要するコメントは、「自分のサイト」で展開べき。
ここには、そのサイトへのリンクと要旨のみ書けばそれで充分。
それが、現状の常識的なネチケットでは。

なんだか、有能なエリートが一般愚民を支配統治すべしとする「賢人支配の善政主義」の信奉者がいるようですが……。

この問題については、一般の人々の力を甘く見るべきではないと考えます。今回の経過・結果の意義を正しく理解できた一般の人は、確かに憲法改定論や海外派兵の是非論を左右するほどの数ではないでしょうが、宇宙開発や科学・技術開発の現状を変え得る大きなムーブメントが起こるには十分な数だと思います。いや、すでに、実際にそのムーブメントは起こっているのかも知れません。JAXAなどへの応援メールやWeb上での盛り上がりは、かつてはありえなかったものだと思います。JAXAは、この後押しに勇気付けられるだけでなく、それらを政治的な力として利用できないほど無能ではないでしょう。

アキバ系オタクは、明らかに少数派であり、普通の大多数の女の子から見れば、ただキモイだけでしょうが、いまや経済的にも政治的にも無視できない存在です。
大阪ドームで大阪近鉄を応援してきたファンは、はやぶさのターゲットマーカに名前が刻まれた人の数よりも多かった事は絶対になかったはずですが、彼らの存在と主張は大きなムーブメントとなり、球界全体を動かすほどの力となりました。
今回、一連のはやぶさ運用のリアルタイムな報道に感情移入し、夢と熱いドラマを感じて応援している人々の数が、JAXAにこれまでにない大きな力を与えるのに十分でないとは考えられません。

逆に、不都合は適度に隠蔽して都合のいいプロパガンダに終始していたら、どちらにせよ宇宙開発にそれほど興味を持たないであろう層のご機嫌はとれたでしょうが、今回の経過・結果の意義を正しく理解するはずだった人々には、大きな失望を与えていたと思いますね。
特に、万が一、地球帰還が失敗した場合、今回の経過をリアルタイムで見守ってきた人々の多くは、それでも、(のぞみの時と同様、いやそれ以上に)はやぶさチームの奮闘を温かく讃えるでしょうが、もしも、大本営発表に終始していたら、日本の宇宙開発は相当の非難に晒され、大きな打撃を受けるだろうと感じます。

社会正義を振りかざし、とにかく何でもいいから追及し弾劾する事こそが使命であると勘違いしている日本のマスコミでさえ、松浦氏がここに書いた記者会見の様子を見る限り、今回のはやぶさチームの運用や報道姿勢に対して(かつてのように)不当に的外れな糾弾をする様子がほとんど感じられない事は、注目しても良いと思います。

雑感でありますが、過去の宇宙関係の記者会見に何度か参加させていただいた経験から比較させていただきますと、今回本ページで読ませていただいた会見での質疑応答における質問内容は、記者達のレベルがここ十年ほどの間に向上していることを示唆しています。
必ずしも的確とは言い難い質問もあるようですが、まったく工学的な素養のない無理解な記者が質問している風ではない。
これは、地道な啓蒙もさることながら、宇宙開発ファン層の厚みが増した事で、うかつな記事を書いても新聞社自身が恥をかくのだと、やっと理解してきたのではないかと思います。
的確なデータがリアルタイムで明らかになることで、判る人には判るのだから、新聞社も過去のように情報を独占していて、うかつな事を書いても大衆に気取られないと高をくくれない状況になったからでしょう。

とにかく松浦氏のされているような啓蒙活動が着実に実をむすびつつあることは、大変嬉しいことだと思います。

自分がれすしまったために
日記書いてるみたいですね。。
>>irregulars
>問題提起だけして消えるのが私の流儀
そういうのを自慰行為と言うですよ
ここは松浦氏のブログのコメント欄です
度の過ぎた長文連投は
某巨大掲示板かチラシの裏にどうぞ
お書きください

向こうで、あなたの 感触 とやらが
どれだけ素晴しいか語り合いましょうよ

では以後一切レスはいたしませんので。。

いやー荒れてますねー。

神舟6号の中国で、ネット掲示板が自信と祝福に満ち溢れていたのとは本当に対照的ですね。

まあこの結果じゃ無理もないけど(爆
これが奇跡の復興を果たした超技術立国ジャパンアズナンバーワンの末路だったとは・・・。

お葬式なんだし今後はせめて静かにやろうよん。

 どうも煽り目的の厨房君が来ているようです。

 本記事の英訳コメントにGAIZINN名義で、荒れているなさんと同じIPアドレスから、極めて近い時間に書き込みをしていました。

 中国は非常に実利的な国でして、宇宙科学にはほとんど力を入れていません。

 そのような事情を知らずに、有人活動と比較しようという書き込み、そして英語の書き込みでは北朝鮮を引き合いに出しているということからすると、どうも荒れているなさんは、なにかと中国や朝鮮半島と日本との対立をネットで煽って暗い喜びを得ているタイプの人間のようです。

 私からは言えるのは以下のことだけです。
「バカやってんじゃない!」

 #  #  #

 irregularsさんの書き込みについては、色々な方がコメントした以上に私から言うことはありません。少なくともirregularsさんは同一アドレスから本筋と関係のある書き込みをしていますから、これまでの書き込みをもって出入り禁止にはしません。

 しかし、irregularsさんは、もう少しネットにおいて議論を行う場合の振る舞い方は覚えたほうがいいでしょう。
 irregularsさんの書き込みの意図がどのあたりにあるかは分かりません。しかし、もしも自己顕示欲を満足させるところに目的があるのなら(そして、文章を読む限り、私には本人も意識していないであろう自己顕示欲が透けて見えるのですが)、「そういう幼稚な書き込みをしていると、誰も本気で相手にしてくれないよ」という助言を与えるのが、真っ当な大人の振るまいというべきでしょう。

 とりあえず、irregularsさんは、次に書き込みをするまでに、正しいネットにおける議論の作法を覚えてきて下さい。これが私からの宿題です。

 少なくとも、irregularsさんは荒れているなさんよりも百倍はましであると、考えます。が、このまま行けば、荒れているなさんの同類になってしまうでしょう。

地球の反対側に探査機を送り込み、
そこからさらに超人的な執念を見せている
スタッフには、頭の下がる思いです。

新聞記事には出てこない機微の部分を
わかりやすく解説してくれる松浦さんの記事は、
間違いなく宇宙開発に対する国民の理解を
深めるための役に立ってると思います。
これからも、JAXAの方々と共にご活躍されるのを
期待しております。

満身創痍の「はやぶさ」ですが、
やれるところまで頑張ってほしいと思います。

「地球の反対側」→「太陽の反対側」ですね、
言葉のあやのような気もしますが…。

irregularsさんは味方につければ、ものすごい頼りになる方なのかもしれません。
その自己顕示欲と、短時間に長文を書ける能力は特筆すべきだと考えます。
声の大きなことは基本的には良いことです。

私自身、特に現在の宇宙開発にはこうした熱く語れる人材が少ない、
あるいは少なく感じられない状況が、不当に評価されてない、とも感じます。

irregularsさんは正直ディベートのレベルとしては低いのが残念です。
しかし、昔のマスコミ報道に比べ、各人の地道な活動により、
だいぶまともになってきたのをみていれば、irregularsさんも味方につけ、
協力してもっと巨大な何かに対抗することも可能だと信じます。

幸いにもirregularsさんは宇宙関係は好きなようで、色々知識のベースも
豊富なようですし、方向性だけ少し我々と同じ向きになれば良いと思います。

「私 vs irregularsさん」なんてもったいないですよ。
「巨大ななにか vs 私とirregularsさん」に早く持っていかないと、
それこそ日本の将来(宇宙関係含む科学技術一般)は暗いと思います。

まずは、irregularsさんもロケット祭りや、国立天文台の特別公開など
いろいろ参加されたら熱く語れる人がたくさんいるのに。
(でもきっともう参加されてるのでしょうね^^;)

#松浦さん御自身が登場してコメントされてたので、小生は言うべきではないかも知れないが。。

irregularsさんは、もっと色々な勉強をして再登場して欲しい。
(さらに、松浦さんが課した宿題も一般教養として勉強してくることね。 ^^)
#小生、40過ぎの中年ですが、勝手ながら、irregularsさんは、小生の年齢の半分にも未だ満たない若い方の様に思えた。

若い時は、宇宙の事,それ以外の色々な事も含め、一杯本を読んできちんとしたお勉強、学問をすべき。(勉強するのは、どんな分野でもいいんですが。。)
そうすれば、「夢,熱い信念,希望」が、きちんとした「知識」になり、理路整然とした「理論・技術」になり、自分自身の「糧」となる。

ROMしておりましたが、gionさんのコメントに引っかかるものを感じたので書き込ませていただきます。

>実際にサンプルが地上にもたらされれば、それは全ての仕事を終えた後のご褒美であり、これ自身がミッションの目的ではないですからね。
>将来の探査機に採用する技術の開発と評価がミッションの目的なんだから、ね。

当のJAXAのサイトも含め、どうも「小惑星探査機」と「工学実験探査機」が上手く使い分けられているようで釈然としません。サンプルが帰ってこなかったならば、あるかどうかもわからない将来の探査機のための技術が実証されたとしても私は素直に喜べませんし、JAXAが「工学実験探査機だからこれでよいのです」などと言ったとしたら、失望すると思います。
サンプルの帰還はご褒美どころではない、これこそが達成されるべき最終目標であって、これが達成されて始めて、そのために使われた技術が優れたものであったと評価されるのではないでしょうか。

これは何度も的川先生達が言われていることですが、はやぶさのベーシックサクセスは”サンプルリターン”にはありません。それはオプショナルサクセスです。ベーシックサクセス・オプショナルサクセスと言われてもなんのことやらという人も居るだろうということで、点数表示で良く言ってますよね?ここ迄出来たら100点、ここ迄出来たら300点、とか。サンプル回収は派手で分かり易いからそれがはやぶさのそもそものべーショックサクセスであるかのようになんだか一人歩きしておりますが、そんなことは最初から言われておりません。ベーシックサクセスを達成した後、更に付加的なサクセスを成し遂げるための機能もつけてます、そのうちの一つがサンプル回収機構です、って話しなんですが。

初めてお邪魔致します。
こちらのBlogのおかげで、詳細な情報が頂けるので大変助かっています。

宇宙については、夜空を眺めて喜んでいるレベルですので、深い知識はございません。
ですので、離れた場所にて頑張っている「はやぶさ」は、もしサンプルを取得できていなかったとしても、現在の功績だけで凄いと思っております。
達成した部分については、さらなるミッションを行える足がかりになっているでしょうし。
「無事」にはいかないと思いますが、是非とも帰ってきて欲しいと願っております。
また新情報を求め、お邪魔させて頂きます。

(余計な事ですが。プレゼンの内容について書かれてた方がいらっしゃいますけれど、いかにも技術者、な感じが致します。一般向けでは無いですね。数年前よりいろいろな会社でプレゼン(印象付け)の大切さを重く見始めたのがございますが、そういった広報的な方がいらっしゃらないのでしょうか。1分1秒、解析をし続けている現場で、しかも人数的にも、雇用は難しいのでしょうか。自分が勤められるわけではありませんので、ずいぶんと勝手ですけれども…)

ベーシックサクセス・オプショナルサクセスという考え方ですが、これは結果的に日本の宇宙開発の成功を妨げる作用をするのではないでしょうか。

以下のような趣旨の意見が多く見られます。
「ここまででも多くの項目が成功しており、一部の失敗だけに注目した報道や見解はバランスを失している」
「障害対処で不眠不休の関係者は英雄的な働きをしている」
「不具合の経験を生かして次回頑張ればよい」

私は、もし開発関係者自身が本気でこのような考え方をしているとすれば、日本の宇宙開発の未来は暗いと考えます。
宇宙開発において最も厳しいのはマスコミや素人評論家ではなく、「一発勝負、修理なし」という逃れることの出来ない宿命そのものです。
工学試験が目的だからフライトモデルがたった一度の本番で次々と故障しても批判されるには当たらない、などということは全く認められません。地上での試験が不十分だっただけという評価が、少なくとも産業界なら当たり前でしょう。
このままの意識で次の計画をすすめても、また細かな不具合が頻発して「英雄的努力」が始まってしまうのではないでしょうか。

現在までのはやぶさの状況を見ると、要素(部品)技術やシステム工学的な煮詰めが不十分であると感じます。
宇宙空間に出さなければ信頼性評価が出来ない部品やシステムなどまず無いわけで、私としては打ち上げ計画を1回見送って、150億円をかけて地上で過酷試験を徹底的におこない、設計的な熟成(枯らし)を十分に行うことが再起への近道と思います。

成功も失敗も、解釈を交えずに生の情報をリアルタイムで発信し、そして「一発勝負、修理なし」という宿命に対して謙虚で誠実な態度をとることが、宇宙開発ファンを増やして開発を拡大していく最良の道であると考えます。

今まさに行われているミッションの経過をリアルタイムで伝えるのと、すべてが終わった後に成果の総括を伝えるのとでは、あるべきプレゼン内容の議論を分けて考えるべきであると考えます。

以前書いた事の繰り返しになりますが、いま、はやぶさチームがリアルタイムで不都合は適度に隠蔽して都合のいいプロパガンダ的なプレゼンに終始していたら、どちらにせよ宇宙開発にそれほど興味を持たないであろう層のご機嫌は、その場その時には損なわずに済むでしょうが、良くて、せいぜい一過性のブームでおしまいです。そして、万が一、ミッションが失敗した場合は、取り返しのつかない事態になる事は火を見るより明らかです。我々は原子力開発や太平洋戦争などの報道から学ぶ事があるはずです。

潜在的に一過性でない確かな宇宙開発ファンになりうる層というのは、少なからず、未知の困難に挑む事への夢や憧れを持つ人たちでしょう。皮肉かも知れませんが、いま、はやぶさチームのリアルタイムでの広報姿勢は、このような層にいる人々に(否定的肯定的問わず)かつてない大きな関心を巻き起こしているのは事実です。そして、今回の経過・結果の意義を自分なりに考えるだけの興味関心を持った人々の多くが、はやぶさチームの奮闘に共感し、応援しているという事は、無視すべきではないでしょう。

なお、打ち上げ前ブリーフィングで「なにをもって成功というのか」と執拗に回答を迫った(つまり自分でその打ち上げの意義を考えられない・考える意志もない)記者と同程度のレベルだった私を、今回の経過・結果の意義について考え議論するまでに宇宙開発に対する興味関心を引き上げたのは、的川泰宣氏と松浦晋也氏、立場の異なるお二人の尽力された仕事の結果に依るところが大きいと思っています。二人とも、どこかの官僚のように、いいとこ取りで耳障りの良い成果自慢だけを語る人ではありません。お二方のような人が今後多く現れる事を期待しています。

話は変わりますが、人生には、必然的なもの・理不尽なもの、予測可能なもの・不可能なもの、自らの過失や怠慢によるもの・そうでないもの、……さまざまな困難・苦難が次々に襲ってきます。いま、はやぶさチームは、それら次々に襲いかかる困難に、とても分かりやすい形で立ち向かっています。はやぶさチームの人々は、漫画の登場人物のように超能力が使えるわけでも、生まれながらの使命を背負った戦士でもありません。ちょっと意志が強いだけのごく普通の人間です。そんな人々が、知恵と機転と絶対に諦めない強い気持ちだけを武器に、次々と襲い来る困難に立ち向かう姿を見る事は、教育的とは言えないでしょうか。『水への伝言』の絵本を配るくらいなら、今後語り継がれるであろう『恐るべき旅路2』を絵本にして配って欲しいと、強く思いました。

レビテト氏の発言の後に、長文を連続投稿する事になってしまうのは本当に恥ずかしい限りですが……(いずれ自分の見解は自分のサイトにまとめようと思います)。

私は、ISASの人間が公式に、予算が少ないとか、工学実験機だから帰還出来なくても全体としては成功と言って良いなどといった言い訳じみた話をしたなどという事は、恥ずかしながら寡聞にして知りません。
むしろ、現場から出る言葉は、「特別の予算をもらった以上は……」とか「やはり最終目的は帰還だ」「弾丸が発射されなかったということは、落胆の一言である。今は帰還に向けたモチベーションを保つことが重要だと考えている」といった自らに厳しいものばかりです。

はやぶさに対する批判的な言動に対して、一番声を大きくして擁護しているのが一体誰なのか、もう一度注意して欲しいと思います。ISASの人間がそんな声に甘んじてしまうようでは困りますが、これまでのISASの体質はそんなものではないように感じますし、その変化の兆しを見抜けるだけの眼力をもつレベルに達している宇宙開発ジャーナリスト・宇宙開発ファンも多くなってきているはずです(私はまだまだ単なるミーハーの域を出ませんが)。その点は、上のT2氏のコメントが的確に指摘していると思います。

なお、kn氏の「宇宙空間に出さなければ信頼性評価が出来ない部品やシステムなどまず無いわけで」以下の文章は、私の知る事実とは大きく異なります。また、同様に「成功も失敗も、解釈を交えずに生の情報をリアルタイムで発信し」以下の主張は、まさに、はやぶさチームが真摯に実践している事です。

 お邪魔します。
松浦さんの素早い情報に感謝しております。
毎日朝昼晩と3回ここを見ております。

 irregularsさんの言いたい事は皆さんよくわかっていると思います。ただマナーが少々よくないようで皆さんの反感を買っちゃうんでしょうね。本当にあと少しでも発表の仕方に工夫があるといいのにね。

 私にとって今大事なのはまだハヤブサはがんばっているということです。そして宇宙研のメンバーも。だからまだまだ夢が見れます。わくわくさせてくれます。遠く手の届かない探査機を相手に、次々と困難を乗り切っていくメンバーの英知と忍耐。まるで小さい頃に読んだSF小説のよう。これが現実に起こっていると思うと心が震えます。
いつも心の中で叫んでいた事

 ガンバレ!!ガンバレ!!ガンバレ!!
 ハヤブサ ガンバレ!!ガンバレ!!

 絶対に帰って来いよな!ハヤブサ!

板汚し失礼しました。

PS:松浦さんここから「恐るべき旅路」「スペースシャトルの落日」をアマゾンで買わして頂きました。
 S37組 RIN

akiakiさん、ありがとうございます。
ベーシックサクセス・オプショナルサクセスという考え方は、言葉は知りませんでしたが、はやぶさサイトのミッション達成度の点数表として知っていました。私が言いたいのは、結局「はやぶさ」はJAXAにとって「工学実験探査機」なのか「小惑星探査機」なのか、ということです。
akiakiさんやgionさんが書かれたようなことが現場の本音であれば、「はやぶさ」は、少なくともNEARやディープインパクトと同義の「小惑星探査機」とは言えません。マスコミには「小惑星探査機はやぶさ」と呼ばせておいて、その実「工学実験探査機」としての点数表で評価するとしたら、ダブルスタンダードではないでしょうか。

んー
はやぶさは工学試験衛星です。これはそもそものはやぶさ(MUSES-C)の出自を知っていれば明らかなことです。でも、オプショナルではありますが、小惑星探査機としてのサイエンスデーターは、既に十分取得していると言うことが、これからの初期成果論文で明らかになるでしょう。
サンプルリターンでしか理学的成果が得られないとしたら、アポロ・ルノフォト以外の無人ミッションは全て失敗と言うことになってしまいますから(笑)
現時点では、既に工学試験衛星として十分に及第点を得ていることが明らかになっていて、今後出てくる初期成果論文で、更にオプショナルな理学的成果も明らかになってくるわけですが、それはダブルスタンダードなんですかね?

akiakiさん
はやぶさは現実に宇宙にあるのでこれ以上言っても仕方が無いのですが、日本の宇宙開発の現状として予算が厳しいのであれば、単一の目標(たとえば小惑星サンプルリターン)に厳しく最適化された探査機を打ち上げて、とにかく最終目標をやりとげるような計画であってほしいと思っているのです。確かに様々な新技術を試すのは大切だと思いますが、ひとつのまとまった仕事を果たせないとき、それは結局、何のための技術なのでしょうか。小惑星サンプルリターンというのは、成功すれば世界初になるわけですから、それを成功に導くために、予算の制約からあえて既存技術を用いたとしても、全体のミッションとしては立派な工学的成果といえると思います。はやぶさが、本体も運用もそのように設計されているならば、仮にサンプルリターンが不成功に終わっても仕方がないと思えるでしょうが、そうでないならば、やはり割り切れない思いが残ると思います。

ですから、はやぶさの元々の目的は100点と表現される範囲内の事象ですよ。もちろんそれらは世界初です。それに加えて、100点以上のオプショナルのチャレンジをして、ある物は成功しある物は失敗に終わるかも知れない、というのが現状だと思いますが。
ゴールとして100点とされていた事柄ですら当初は”チャレンジングすぎる”と言われていたにもかかわらずそれを成し遂げた上で、それに加えて更なるチャレンジをしてみるのは税金の無駄遣いなんでしょうか?

akiakiさん
100点というと「電気推進エンジン ある期間(1000時間)稼働」ですよね。それ以降の地球スウィングバイ、イトカワとのランデブーなどは全てオプションということでしょうか。それだと「小惑星探査機」という肩書き(?)は過大ということはありませんか?

すいません。今、自分のサイトで私見をまとめているところです。ここへの長文投稿はこれで最後にしたいと思います。

>masamich氏「単一の目標(たとえば小惑星サンプルリターン)に厳しく最適化された探査機を打ち上げて、とにかく最終目標をやりとげるような計画であってほしいと思っているのです」

もっともな意見ですが、誰も挑戦した事のない小惑星サンプルリターンという目標に厳しく最適化された既存技術がない中で、そのような事を言うのは酷だと感じます。はやぶさの位置づけは、小惑星探査という目標に厳しく最適化された衛星に不可欠の新技術を運用実証する「工学実験衛星」だと、個人的には考えています。
masamich氏の考えでは、日本の宇宙開発は、技術的には常に他国の二番煎じであるべきだという事にはならないのでしょうか。

>masamich氏「マスコミには「小惑星探査機はやぶさ」と呼ばせておいて、その実「工学実験探査機」としての点数表で評価するとしたら、ダブルスタンダードではないでしょうか」

この意見については賛同します。
ただ、この計画を立ち上げたワーキンググループが、一つの人工衛星に(科学探査を含む)多くの仕事・目的を詰め込むに至った経緯については、今後の日本の宇宙開発現場が得るべき多くの技術の効率的・合理的な獲得の方法・手段を考えたとき、決して簡単には無視できない考慮すべき点があると思います。
なお、はやぶさに託された多くの目的は、どこで何が起きても、その状況で考え得る最大の成果が得られるよう、とても良く考えられ取捨選択・配置されているように、私には感じます。
余談ですが、はやぶさを実際に運用しているスタッフの中で、今現在、「工学実験探査機だからこれでよいのです」などと微塵でも考えている者は一人もいないだろうという印象を、私は受けます。

>masamich氏「確かに様々な新技術を試すのは大切だと思いますが、ひとつのまとまった仕事を果たせないとき、それは結局、何のための技術なのでしょうか」

ひとつのまとまった(より高次の)仕事を果たす技術を習得するための技術ではないでしょうか。
さらに、運用実証された様々な新技術のうちのある技術が別の目的にスピンオフされる事も大いに期待できます。
失敗を繰り返すのはただの馬鹿ですが、ひとつの失敗に萎縮し、失敗の経験をより大きな成功の礎にできないのは愚かだと思います。

>masamich氏「やはり割り切れない思いが残ると思います」

それは誰にとってもそうでしょう。はやぶさチームのメンバーなら、その無念は、「割り切れない」などという生易しい言葉では、とても言い尽くせないものでしょう。
でも、あなたが少年野球のコーチだったとします。エラーがなかった、バントもすべて成功させた、四死球も出さなかった、でも打てずに試合で負けたその事だけをもって全てを否定するのは、果たして合理的な事でしょうか。

最後にakiaki氏へ。気持ちは分かりますが、過剰に肩入れしすぎている感が否めない気がします。盲目的な擁護は危険です。ときに厳しい目も必要なのではないでしょうか。

藤野さん
ていねいなコメントをありがとうございました。私も時間をみつけて自サイトにでも考えを整理したいと思います。おつきあいありがとうございました。
おっしゃるような事情があることは推察しています。私は、仮にはやぶさが帰還できなかったとしても、その成果をゼロと否定するつもりなど毛頭ありません。ただ、諸般の経緯を勘案しても、当事者の方々は断腸の思いとしても、やはり一ファンの立場としては、割り切れないと感じると思います。現状から目をそむけるわけには行きませんが、日本の惑星探査機(ミッション)も、NEARやディープインパクトを小惑星探査機と呼ぶのと同義での、あるいはマーズグローバルサーベイヤーやマーズエクスプレスを火星探査機と呼ぶのと同義での惑星探査機(ミッション)であってほしいと思います。

>masamich氏「日本の惑星探査機(ミッション)も、NEARやディープインパクトを小惑星探査機と呼ぶのと同義での、あるいはマーズグローバルサーベイヤーやマーズエクスプレスを火星探査機と呼ぶのと同義での惑星探査機(ミッション)であってほしいと思います」

全く同感です。そして、そのレベルに達するには、(我々が最初から自動車を乗りこなしたり、料理を究めたりできないのと同様)習得すべき技術、積むべき経験、踏むべき段階というものがあるという事です。たとえば、アメリカの火星探査機の歴史を振り返ってみる事は、決して無益な事ではないと思います(JAXAがその事に過度に甘んじるのを許すつもりはありませんが)。

藤野さん
こちらでこれ以上続けていいものやらと思っていたのですが、どうしましょう?
私のコメントに端を発したやりとりは、(先に書いたとおり私なりの考えの整理のためですが)当方のブログ(下記)に転記しましたので、もしよければ以後そちらに追記しようと思います。藤野さんのサイト(はやぶさたん可愛いですね)でも構いませんし、この場をこのままお借りするのでも構いませんが。
http://masamich.at.webry.info/

 もしよろしければ、議論を続けて下さい。藤野さんとmasamichさん。

 ここはakiakiさんのような関係者も読んでいますので、こういう議論がネットに、そして一般のはやぶさに興味を持つ者の間に存在するということを関係者に伝えるという意味でも、ここで続けて貰った方がいいかと思います。

 おそらく、議論の基礎となるデータが不足しているため議論が空回りする可能性もあるかと思います。その場合は、データの提供をお願いできればと思います←関係者の皆様。

どうしようかと思っていたのですが、オーナーからお許しが出たので続けます。

>日本の惑星探査機(ミッション)も、NEARやディープインパクトを小惑星探査機と呼ぶのと同義での、あるいはマーズグローバルサーベイヤーやマーズエクスプレスを火星探査機と呼ぶのと同義での惑星探査機(ミッション)であってほしいと思います。

私は理学側の関係者ですが、この発言がすごくすごく引っかかります。”惑星探査機”と呼ばれるためには、サンプルリターンをしないと行けないのでしょうか? NEARはサンプルリターンをしましたか?マーズグローバルサーベイヤーはサンプルリターンをしましたか?してないですよね?
はやぶさも、サンプルリターン以外にも実に多くの”オプショナル”(工学試験衛星としては、ですよ)な理学観測を行っており、現在、まずは初期成果論文としてそれらを発表するための準備が日米の研究者によって進められています。しかしながらオプショナルであった”サンプルリターン”が失敗したかもしれないですね、という状態で、”惑星探査機とは言えない"と言われるのは私にはアンフェアに思えるのですが。それは私が肩入れしすぎなのでしょうか?

話しは少し変わりますが、宇宙開発の最大の成果の一つは、アポロ型のプロジェクトマネージメント手法だと思います。はやぶさもマネージメントの基本として、最初にミッションのベーシックサクセス・ノーマルサクセス・オプショナルサクセスが決められています。失礼ながらお話をさせていただいていて、このあたりの概念を十分に御理解されていないのでは?と感じております。サンプルリターンは確かに重要な開発要素ですが、しかし長時間にわたる電気推進や自律誘導、自律航法というのも世界の最先端を行く技術であり、はやぶさはそれを十二分に実証していると思うのですが。これらの価値はサンプルリターンに比べたら取るに足らない技術なのでしょうか?私はそうは思えません。今後の惑星探査を考えるとき、サンプルリターンをする場合にもしない場合にも共通して、それらは必要不可欠な技術ではないでしょうか?その為、技術開発の段階として、まずはそれら必要不可欠な技術をベーシック/ノーマルサクセスとして実証し、更にオプショナルでサンプルリターンを行おうと努力したことは、けっして間違った方法だとは思わないのですが。

はやぶさの工学チームは実によく頑張っていると思います。ただし、彼等が頑張ったら頑張っただけ、そのゴールをどんどんどんどん先に延ばされて、それに失敗したら非難されるというのはおかしいと思います。

松浦さん、ありがとうございます。お言葉に甘えさせていただきます。あまり冗長にならないよう気をつけます。

藤野さん
>誰も挑戦した事のない小惑星サンプルリターンという目標に厳しく最適化された既存技術がない中で、そのような事を言うのは酷だと感じます。

JAXAといわずNASAといわず、ほとんど全ての宇宙計画は初めての挑戦と言えると思うので、誰も挑戦したことがないことをもって最適化できないということは無いと思うのですが。

>そのレベルに達するには、(我々が最初から自動車を乗りこなしたり、料理を究めたりできないのと同様)習得すべき技術、積むべき経験、踏むべき段階というものがあるという事です。

はやぶさで実験した工学技術が無いと実現不可能な惑星探査ミッションが現にJAXAによって計画されているなら、確かにそう言えるかもしれないと思います。

ところで、この件については、その人が今の日本の宇宙計画に何を期待するかで答えが変わってくるように思います。私は、どちらかと言えば科学的成果を楽しみにしているので、もし予算が限られているのなら、探査が主、技術試験が従という形であってほしいと思っています。
念のために書き添えますが、私は現実のはやぶさの工学実験の到達点を否定するわけではありません。小惑星探査に不可欠「ではない」と思われるイオンエンジンの裏技的運用でミッションが救われるかもしれないという状況でもありますし。

「送信」ボタンを押そうとして念のためページを更新してみたらakiakiさんのコメントが載っていたので、そちらはまた読ませていただいてからコメントします。

>>akiakiさん、masamichさん
#小生、ド素人ゆえ、もし論点がぼけてしまったらゴメンなさい。

はやぶさのミッションは、(M-V打ち上げミッションも含めて)下記の大きな項目(オプション?)の総合した物である個人的には思ってます。
-----------
(1)M-V5号機の打ち上げ(衛星投入)とMUSES-Cの地球重力圏離脱。
(2)イオンエンジンによるITOKAWAへの自走航行。
(3)ITOKAWAの実地調査。(写真撮影&地形走査)
(4)ランダー(ミネルバ)による小惑星降下&地表探査
(5)ITOKAWAへのタッチ&ゴー&小惑星サンプル収集。
(6)イオンエンジンによる地球への自走航行。(地球圏への帰還)
(7)サンプル収納カプセルの地球投下&地上でのカプセル回収。
-----------
#その他に専門的な「科学調査分析」、「技術的検証」がミッションとして存在すると思いますが、一般人の小生には判らないので省略。

(4)は失敗確定。(5)はサンプル収集失敗の可能性大。
という残念な結果もでていますが、「はやぶさ」の成功失敗,プロジェクトへの評価は上記(1)~(7)すべてのミッションの結果を総合する必要がありますね。
サンプル回収は大きな目玉イベントだし、小生の様な一般人にも判り易いので、この部分だけの評価が一人歩き(ミッション全体の成否として)して、「160億のITOKAWA探査 失敗か?」との風評があがっていると感じてます。
#自分自身も、松浦さんプログの各位の議論を見るまでは、その印象が強かった。^^;;

マスコミの取材も、もっと多面的&客観的な視点で見てほしいものです
#自分含めた一般人への戒めもふくめて。(^へ^;;)。
#科学技術庁関連のお役人さまも同様の視点で、国産の宇宙開発プロジェクトを総合的に評価してほしいですね。。(^^;;)

恐縮ですが、松浦氏のご配慮に甘えさせて頂きます。単なるミーハーな一ファンの分際で、立場をわきまえない出過ぎた思い上がりの発言を重ねてきてしまいましたが、その都度叱責頂ければ幸いです。

>masamich氏「日本の惑星探査機(ミッション)も、NEARやディープインパクトを小惑星探査機と呼ぶのと同義での、あるいはマーズグローバルサーベイヤーやマーズエクスプレスを火星探査機と呼ぶのと同義での惑星探査機(ミッション)であってほしいと思います」

私は、このコメントに対して、「同感です」と書きました。今回、ISASは、「小惑星探査機」としてではなく「工学実験機」として、はやぶさを送り出しました。私は、ISASが自信をもって「これは惑星探査機です」と言うような探査ミッションをいつでも計画・実施できる技術・経験・体制が築かれる事を望んでいます。そういう気持ちを込めての「同感です」の言葉でした。ご理解いただけると幸いです。

>akiaki氏「”惑星探査機”と呼ばれるためには、サンプルリターンをしないと行けないのでしょうか?」

通常、ビジネスや技術開発では、一つの最終目標(売り上げとか製品の完成とか)が示され、それを達成できたかどうかで評価される場合が多いかと思います。宇宙開発においても、一般の人たちの多くは、何も知らなければ、ごく自然に、一つの最終目標の完遂を期待するだろうと、私には感じられます。
オプショナルサクセスの最後が「イトカワのサンプル入手」になっている以上、以前書いたような、「なにをもって成功というのか」と執拗に回答を迫った(つまり自分でその打ち上げの意義を考えられない・考える意志もない)記者や、「要するに成功なのか失敗なのか」に対する答えしか求めない・求められない人々が、どのような状況でどのような反応を示すのかは、容易に想像ができると思います。
そういう中で、潜在的に宇宙開発に興味を持ちうる人々をすくい上げ、本当の宇宙開発ファンにするための努力は、惜しむべきではないと思いますし、その点で、今のはやぶさチームの広報のやり方は、決して間違ってはいないと思います。

>akiaki氏「現在、まずは初期成果論文としてそれらを発表するための準備が日米の研究者によって進められています」

ぜひとも、「実はもうすでに、はやぶさはこれだけ偉大な世界中に誇る成果をあげているのです!」という事を、一般のファンにも示して下さい。Web上や職場・家庭などで、無理解な人々に、「長時間にわたる電気推進や自律誘導、自律航法というのも世界の最先端を行く技術であり、はやぶさはそれを十二分に実証している」と主張している多くのファンを勇気づける事でしょう。

>akiaki氏「彼等が頑張ったら頑張っただけ、そのゴールをどんどんどんどん先に延ばされて、それに失敗したら非難されるというのはおかしいと思います」

気持ちは分からなくもないですが、スポーツの世界でも、それはトップアスリートの宿命だと思います。イチロー選手は今や首位打者を獲らないと多くの人が失望しますし、谷亮子選手は金メダルを獲らないと多くの人が非難するでしょう。でも、それ以上の人々が彼らの業績を正当に評価し、賛辞を送っているという事も忘れないで欲しいです。
ISASの人たちも、私のような無知からくる無神経な声に、挫けたり負けたりしないで、粘り強く広報に努め、自信を持って信念を貫いて欲しいと思っています。

akiakiさんは計画関係者の方だったんですね。お付き合いいただき恐縮です。

>”惑星探査機”と呼ばれるためには、サンプルリターンをしないと行けないのでしょうか?

「火星探査機」と言ったら火星探査が、「小惑星探査機」と言ったら小惑星探査が主目的と素直に理解して差し支えない計画内容という意味で書いたのです。工学実験が主目的であれば、やはり広く一般の方々から「工学実験探査機はやぶさ」と呼ばれるよう広報するのが妥当と思います。

>現在、まずは初期成果論文としてそれらを発表するための準備が日米の研究者によって進められています。

これは素直に楽しみにしています。

>アポロ型のプロジェクトマネージメント手法だと思います。

ベーシック/オプショナルサクセスという用語自体、akiakiさんのコメントで知ったというレベルなので、理解しているとは言いかねます。また、アポロ計画におけるそれについて教えていただけると助かります。

>これらの価値はサンプルリターンに比べたら取るに足らない技術なのでしょうか?(中略)
>更にオプショナルでサンプルリターンを行おうと努力したことは、けっして間違った方法だとは思わないのですが。

私の感想は、藤野さんへのコメントで書いたとおりです。「工学実験探査機」ならそれでよいと思いますが、一般に流布しているように小惑星サンプルリターンが主目的であれば、優先順位は違ってくるのではないでしょうか。

>はやぶさの工学チームは実によく頑張っていると思います。ただし、彼等が頑張ったら頑張っただけ、そのゴールをどんどんどんどん先に延ばされて、(後略)

現場の方々の今現在のご努力を否定する意図はありませんし、「がんばった分だけゴールを先に延ばし」ているわけでもありません。私は「星の王子様」キャンペーンを知って応募しようとMUSES-Cのサイトを覗いたところ、計画内容が実は小惑星探査を最優先としていないことを知り、応募をとりやめました。そもそも打ち上げ前から釈然としなかったのです。もちろん、だからと言って失敗を願っていたわけではないし、現実にマーカーが届いた今では応募しときゃよかったなどとミーハーにも悔しがってますが、その一方、この成功が前例になって、今後の宇宙計画でも一般向けと当事者向けの二重性が通るようだと好ましくないなと感じています。

多くの日本人は、日本の科学技術は世界最高水準であると(意識的にも無意識的にも)考えていると思いますが、惑星探査においても、そのように考えている人が、私の想像以上に多いのかも知れないと、ふと突然思い始めました。

>masamich氏「計画内容が実は小惑星探査を最優先としていないことを知り、応募をとりやめました。そもそも打ち上げ前から釈然としなかったのです」

もしかしたら、masamich氏は、既存の習得済み・運用実証済みの技術や、ISASの現在の経験値・体制は、すでに小惑星探査を行うに十分なものだと思っているのではないだろうかと考えるようになりました。
今現在の日本が小惑星探査を成功させるのに、わざわざリスクの高い新技術を試す必要などないのに、万が一サンプルリターンに失敗したときの批判をかわすために「工学実験機」という言い逃れを用意している──というのが、masamich氏の感じている印象なのではないかと……。そして、もしかしたら、同様の印象を持っている(もしくは、同様の印象を持ち得る潜在的な可能性をもった)人々というのは、現在、非常に多くいるのではないかと危惧するようになりました。
──とんだ思い違い・馬鹿らしい杞憂だとしたら、笑って読み飛ばして下さい。

今現在はやぶさに発生している主なトラブルは
・リアクションホイール3台中2台故障
・スラスタの燃料漏れ
であり、小惑星への接地とサンプルリターンという計画の高度さを原因としたものではないことに注意を要すると思います。これらは地球軌道上の衛星でも惑星探査でも共通の基本技術です。(基本だから易しいということではなく、重要だということ。)

はやぶさを事後的にどのように評価するかというのはその目的のとらえかたにより変化しうるでしょうが、私としては「次の惑星探査計画をどのように進めるべきか」という視点で振り返るべきだと考えます。

ここから先ははやぶさの実際的な情報に接することが出来る専門家の皆様の領域かと思いますが、ぜひ「地上での信頼性試験(過酷試験)は十分であったのか、失敗しないための事前評価を十分に計画できるようなプロジェクトマネジメント体制であったのか」という検証をお願いしたいと思います。

もし、「リアクションホイールはブラックボックスなので故障原因は不明」「燃料漏れの箇所は不明」といった個別部位的な考察に終わってしまえば、次もまた同じことの繰り返しになるでしょう。

私は企業で量産の電子部品組み立てを行っているものですが、失敗すること、故障することに対する「臆病さ」「用心深さ」が企業とアカデミックの世界ではだいぶ異なることを体験的に感じています。宇宙と全く関係ない、別分野の優秀な(というか、機械設計の場数を踏んだ、品質保証実務経験のある現場的な)技術者をレビューに加えることも有効かと思います。

思い返してみて我ながら現状否定的な文章になってしまったと思ったので、出勤前ですが取り急ぎ追記いたします。

藤野様
>もしかしたら、masamich氏は、既存の習得済み・運用実証済みの技術や、ISASの現在の経験値・体制は、すでに小惑星探査を行うに十分なものだと思っているのではないだろうかと考えるようになりました。

この点についてはその逆のことを考えてしました。もし、私が希望するように探査が主目的であれば、欧米に比べれば惑星探査機を飛ばした実績が少ないのであれば、とりうる限り安全な方法をとるべきではないかと。だとしても日本にとっては始めてのチャレンジになるのですから、ましてや世界で始めての技術をてんこもりにする必要はないのでは、とは思っています。主目的があくまで工学実験であればその限りではありませんが、個人的には、やはりそれは予算の余裕がある中で、と感じてしまいます。

>万が一サンプルリターンに失敗したときの批判をかわすために「工学実験機」という言い逃れを用意している──というのが、masamich氏の感じている印象なのではないかと……。

松浦さんのブログを読んでいる以上、現実のはやぶさチームの方々がそのように考えているとは思いません。ただ、私が最初にコメントしたzeonさんのコメントのような話がすっと出てきてしまうと、違和感を覚えるということです。

同じような印象を持っている方が多いかどうかはわかりかねますが、私のコメントにより、安易に日本の宇宙計画を否定するような印象を流布したいと思っているわけではないので、念のため書き添えます。

プロジェクトマネージメント手法ですが、NASA流のプロマネをやっているととてつもなく人手と経費がかかるんですよね。

JAXAも旧NASDA系はそういう管理手法を取り入れていますが、まあ、ISASの十倍のコストがかかり、NASAだと更にその十倍がかかるという感じではないでしょうか。
(比喩ですが...ミネルバはNASAがやると数十億円でISASがやると一億円と言うのがその一例と思います。)

ISASという予算規模が小さな処で科学的・工学的に最先端の事をやろうとすれば、プロジェクトチームを小さくして、書類仕事を少なくして、テストを必要十分な最低限にして...という具合にでもしないと全くプロジェクトが成り立たないでしょう。プロジェクト規模が算術級数的に増えるとプロジェクトコストは幾何級数的に増加するというのが、プロジェクト管理の経験則です。

基本的には、日本の宇宙開発予算が少なすぎるという問題なのですが、ISASはその中で最適コストで最大の効果が得られるプロジェクト運営を果たしていると私は評価しています。

衛星オタの一人ですが素人の私も少し長文を。masamichさん、こんにちは(^^;

今のISASには理学と工学の2つの使命があり、探査機を実現には理学的要求に工学的実現能力がどこまで応えられるかだと思います。この辺りは松浦さんの「恐るべき旅路」に詳しく書かれていますね。日本では宇宙開発に予算がなかなか付きません。数少ない探査機の打ち上げに理学的工学的に多種多様な研究者や技術者が様々な目的で関わる事になるのでは。そうなってしまうのはとても日本的ですね。

つまりはやぶさ一機と言えども日本の宇宙開発の現状では単純な目的設定は難しいだろうなと言う事です。工学的目的をふんだんに取り入れた上に理学的目的も同時に実現して更に広報的なアピールポイント(サンプルリターン)まで盛り込んでしまった極めてチャレンジングなプロジェクトでしょう。おそらくサンプルリターンが出来なかった時に批判が出る事は理解して欲しいとは思いつつある程度は覚悟の上で挑まれていると思います。

>世界で始めての技術をてんこもりにする必要はないのでは、

「世界初」の項目を入れないと予算取りが難しいと聞いた事があります。つまり安全策を取りたくても取れない現状もあるかと。技術てんこもりにしてやっと「これだけの事やりますから予算をぜひ!」となるとか。

私は工学系人間なので、工学的な側面で次回以降の探査機で成功確率を上げる為の実証実験もおろそかにして欲しく無いです。次の探査機もその次も長い目での成功を期待しています。こういう人もいると言う事で。gionさんの発言も同様に次も期待した1人のファンの声では無いでしょうか。つい評価が甘くなってしまったのでは。違っていたらごめんなさい。

1人の宇宙開発ファンとしてはやぶさにはとても感動しています。遠い(?)海のかなたの米国では無く身近な日本でのプロジェクトですし最新情報も日本語でとても嬉しいですしリアルタイムでドキドキしました。今後も予算取りに成功して次々に探査機が飛ばせる状況になる事を願っております。応援しておりますのでこれからも頑張って下さい。>現場の皆様

ysaki氏の、「基本的には、日本の宇宙開発予算が少なすぎるという問題なのですが、ISASはその中で最適コストで最大の効果が得られるプロジェクト運営を果たしていると私は評価しています」という意見に、全面的に同意します。
ISASは、与えられたリソースの中で、考え得る最大の効果が得られるような体制作り・ミッション選定・衛星運用をしていると思っています。後知恵で、「こうすれば良かった」「こうすべきだった」という事はいくらでも言えますが、なぜ肝心な場面でその後知恵が出てこなかったのかというのは、これはもう経験が不十分だったと言う他ないのではないでしょうか。
ISASは、その時・その現場で、最も効果的と思われる判断をしているし、ワーキンググループやプロジェクトマネージャー制度など、そういう判断ができる体制であると評価して良いと思っています(余談ですが、関係者の方には大変申し訳ないのですけど、旧NASDAもそこまで評価していいのかどうかは自信がないです)。
今後もこのままで良いのかどうかは、議論されるべきところでしょうが……。

>kn氏「ぜひ「地上での信頼性試験(過酷試験)は十分であったのか、失敗しないための事前評価を十分に計画できるようなプロジェクトマネジメント体制であったのか」という検証をお願いしたいと思います」

十分であったと思っていたのに(そうでなければ、そもそも打ち上げるわけがない)、実際トラブルは発生した。当然、ミッション終了後、最も重点的に検証されるのがこの点である事は間違いないでしょう。松浦氏の著書『恐るべき旅路』を読む限り、今のISASにこの点を心配する必要は、私は感じません。のぞみプロジェクトにおいても、この点の検証は、最も時間と労力を費やして行われていると思います(個人的な印象ですので、関係者の方がいらっしゃいましたら、この点について回答をお願いしたいです)。

>kn氏「失敗すること、故障することに対する「臆病さ」「用心深さ」が企業とアカデミックの世界ではだいぶ異なることを体験的に感じています」

そうかも知れません。
ただ、事前試験はその部品を劣化させ寿命を縮めるという側面もあります。フライトモデルに対してどの程度の事前試験が適当なのかは非常に難しい問題であり、経験こそがものを言う世界でもあると思います。また、宇宙空間という特殊条件で用いる部品に対する、十分な地上試験の設計という問題もあるでしょう(後者については、つばさ(MDS-1)のデータが重要な役割を果たしているのかも知れませんね)。故障した部品が、巨額の予算と豊富な経験を誇るアメリカ製だという事は、宇宙用部品の開発の困難さを示す一例でしょう。
一般企業で量産商品を開発する場合、全く同じ部品を用意して多くの過酷試験・破壊試験を行うのが最も確実なのでしょうが、宇宙で使う部品となると、様々なコストの問題が発生し、結局、ysaki氏の「最適コストで最大の効果が得られるプロジェクト運営」という議論が堂々巡りする事になるのではないでしょうか。
余談ですが、こういった問題は、海外のブラックボックス技術や部品を採用する事の是非を検討する際の、数多くある論点のうちの一つでもあると思います。

>kn氏「宇宙と全く関係ない、別分野の優秀な(というか、機械設計の場数を踏んだ、品質保証実務経験のある現場的な)技術者をレビューに加えることも有効かと思います」

これはぜひ検討していただきたい提案だと思います(ISASの問題点の有無を検証するためと言うよりも、むしろISASの正当性を内外に示すために)。鉄道技術者だった山之内秀一郎氏が旧NASDAの理事長に招聘されたとき、これまでの現場と宇宙開発の現場との違いに大いに戸惑ったと聞いています(すぐに事情を呑み込みリーダーシップを発揮したそうですが)。

宮路さん、こんばんは。(^^;

>私は工学系人間なので、工学的な側面で次回以降の探査機で成功確率を上げる為の実証実験もおろそかにして欲しく無いです。

私は「パノラマ太陽系」から入った口なので(というか今もそのレベル)、やはり探査の成果で考えてしまうのです。その上で、裏にはこんなすごい技術が・・という話は大好きなのですが。このブログを読むほどではない、普通程度の関心度の人たちもそうなのではないかと思うのです。だとしたら、なのですが、広く国民の支持を得て宇宙予算の増額を狙うとしたら、高度な工学実験よりも、あくまで探査の成果をあげて見せることが必要ではないでしょうか。

>数少ない探査機の打ち上げに理学的工学的に多種多様な研究者や技術者が様々な目的で関わる事になるのでは。
>技術てんこもりにしてやっと「これだけの事やりますから予算をぜひ!」となるとか。

この辺は私も推察しているところですが、予算をとった後の裁量がどの程度あるかには興味があります。また、予算をつける側の事情も聞いてみたいです。

>身近な日本でのプロジェクトですし

日本時間に換算しなくていいのは新鮮な体験でしたね。(^^;

問題はやはり予算では。米国は今現在探査機を10機近く運用しているのに日本ははやぶさ1機だけ。日本は数年に1回の探査機打ち上げがやっとの予算と規模なのに成果は米国並みを求められる。少ないチャンスを生かしたくてあれもこれも(工学も理学も)実現をしてかつ華々しい成果(例:サンプルリターン)を狙うギリギリのミッションになっていると思います。でも無謀な設計をしている訳では無いでしょう。

はやぶさもホイールが駄目ならスラスタで補完する設計でしょう。スラスタも2系統あります。でもそれが全て駄目になってしまうケースがあるのが宇宙開発では。トラブルの発生回数が多すぎるのは何か根本的に問題があるのかもしれません。それを知る為にも失敗を糧にして次に生かすしか無いでしょう。今はまだ辛抱してでもノウハウを得る時期だと考えます。

と言うような事をきちんと広く一般の方に分かりやすく説明をする事が一番必要な事なんだと思います(^^; 欧米のジャーナリストはアリアンV打ち上げ失敗後の会見を拍手で送ったそうですし。

まだはやぶさは終わっていませんがもしサンプルリターンが出来なくても胸を張って「成すべき事はやりました。最終的にサンプルリターンは出来ませんでしたが多くの結果と経験を得ました。次回はもっと成功して見せます。」と言って欲しいです。そしてそれをきちんと伝えるマスコミがあれば…ってここにも問題があるのが日本なのでは。いやもちろんJAXA側にも問題はあるのかもしれませんが。

現在はブログをはじめとした情報提供の場が増えているのでマスコミに頼らない方法もありますよね。現場の皆さんももっと発信して欲しいです読みたいです。色々と難しいのかもしれませんが、ぜひお願いします!

>現在はブログをはじめとした情報提供の場が増えているのでマスコミに頼らない方法もありますよね。(以下略)
>
「JAXA-i」が情報発信元(宇宙開発に関する一般向けブリーフィング&教育施設)として、かなり良い施設だと個人的には感じています。

小生、丸の内(東京)へ仕事関係で時々行きますが。帰りに時間的余裕がある時、見学に行ってます。
#個人的には、JAXA-iの「はやぶさ」の展示。一般向けにも判り易くて良い展示と思います。

JAXA発の情報提供の場としては、JAXA-iの様な施設をもっと拡充して行って欲しいな。


>kn氏へ。
1つ大切な事を書き忘れていました。
kn氏はロケットの打ち上げを見た事があるでしょうか。ロケットは全体の質量の約9割は燃料(推進剤)であるという事はご存知だと思います。つまり、ロケットで宇宙に行くには、本体の質量の9倍もの燃料が必要なのです。逆に言えば、全てを燃料の9分の1の質量に収めなければならないという事です。もし、予備知識のない技術者が自家用車でも作る安全感覚でロケットの初期設計に取りかかったら、それだけの燃料を格納する燃料タンクだけで重量オーバーです(松浦氏の喩えを使えば「総重量1トンの自動車で、搭載燃料は890キログラム、残りの110キログラムが乗員と車本体の重量という事になるから、人間が二人乗るなら、本体は重量ゼロで作らなければならない」という事です)。燃料タンク・エンジン・衛星・……すべてをギリギリで設計しなければ、地面から1ミリだって浮き上がる事はできないのです。
たとえば、もし仮に、耐用年数1年のつもりで設計した人工衛星の機器が10年も20年ももったとしたら、それは技術の優秀さを証明するものとして高く評価して良いと思います。しかし一方で、過剰設計であり、冗長性や安全係数を多少減らして、より多くの観測実験機器を搭載し、より多くの科学的工学的成果を得るべきだったかも知れないという検討を要求しても、決して不当ではないでしょう(ほとんどの人工衛星は、機器の寿命の来る遥か前に、姿勢制御用の推進剤がなくなってしまい、機能を発揮できなくなる──つまり、機器の寿命がどうであれ、結局は姿勢制御用燃料の量でその人工衛星の寿命が決まるのですから、なおさらでしょう)。
このさじ加減は、まさに経験がものをいう世界です。そして、その経験において日本を遥かに凌駕するアメリカの作った部品が、のぞみ・はやぶさと連続して不具合を示したという事は、21世紀の現在においてさえ、宇宙開発技術が成熟期に入った技術ではない事をよく示していると思います(容易ではないが大変重要な基幹技術であるリアクションホイールがあちこちの衛星で壊れている点から見ても、これは、完熟期の技術にありがちな現場の品質管理の問題ではないと、私は感じています)。

>masamich氏「広く国民の支持を得て宇宙予算の増額を狙うとしたら、高度な工学実験よりも、あくまで探査の成果をあげて見せることが必要ではないでしょうか」

それは、1970年代に「カミオカンデなどという観測施設の開発よりも、あくまでニュートリノ研究の成果をあげて見せる事が必要なのではないでしょうか」と言うのと一緒だと感じます。同様に、1969年以前に「宇宙遊泳実験やドッキング実験よりも、あくまで月探査の成果をあげて見せることが必要ではないでしょうか」などと言ったアメリカ人がいたとは思えません。

これほど強くしつこく主張しても、「確かに技術的に高度な工学実験ではあるが、日本が惑星探査をするには必要不可欠な工学実験である」「(衛星の運用体制やプロジェクトチームの運営といったシステム面も含め)今回の工学実験なくして、日本が惑星探査の成果を得られるようになる事は考えられない」という事を納得していただけないというのは、私の主張が事実と全く異なる的外れなものなのか、私の主張の仕方が悪いのか、その両方なのか……私個人に対しては、これ以上私見を垂れ流す前に、謙虚に専門家の見解を求める必要がある気がしてきました。

masamichさん>
はやぶさの探査の成果については、現時点までに多くの理学データが得られていると思います。一部の近傍観測の成果については、はやぶさのページに公開されています(JAXAのトップからだと若干探しづらいですが)。
あと、「恐るべき旅路」をお読みいただくと、ISASにおける理学と工学の関係、何故試験機と探査機を切り分けられないのかあたりは垣間見ることができると思います。
私は、少ない打ち上げ機会を最大限に生かした結果が、はやぶさだと思っています。

藤野様
質量について書いていらっしゃいますが、現在のリアクションホイール3台中2台故障、スラスタの燃料漏れという事象が「発生した」ことは、重い軽いと直接関係ないと思います。(質量増で予備を積んでいれば助かる率が高かったとは言えますが。)
また、リアクションホイールの不調は他でもありますが、3分の2という比率ではないです。
信頼性評価(過酷試験)は主として評価用の機体や部品単品で行うものであり、フライトモデルの機能確認と初期故障期間のエージング(宇宙関係ではこれをどう表現します?→技術者の方)とは別の次元のものです。
信頼性余裕度の調整は確かに「経験によるさじ加減」の部分もありますが、その設計が不十分であることをたびたび宇宙で知るようでは、予算はいくらあっても足りません。
現場の品質管理は「完熟期の技術にありがち」なものではなく、アポロ計画にもあったはずです。

このレベルの話をここで続けても本筋と外れるように思われるので、手短に書きました。


「日本が惑星探査をするには必要不可欠」なのは、基本的技術の信頼性確保であることが分かったのが、今回の実験の最大の収穫かと思います。今後は注力の方向性を変えるべきでしょう。

私としては「ひとつのミッションを完遂する基礎、信頼性技術の獲得」が今現在の最重要ゴールと考えます。
したがって、
・現在発生している不具合は何か
・なぜ、それが事前検出、予防できなかったのか
・次回、全体として不具合が発生しないためには何を変えなければならないのか
という、実際的なところを考えたいし、日本が惑星探査を継続的に行うためにはそれが建設的であると思います。
こういう話はペーパーにはなりにくいのですが、避けて通れないでしょう?

可能な限り文言を詰めたのですが長くなってしまいました。すみません。

宮地さん(←前回変換ミスすみません)
>問題はやはり予算では。
公共事業削減の見返りに国交省に宇宙局を新設しては。スローガンは「宇宙への道づくり」ということで。(半ば本気)
>日本は数年に1回の探査機打ち上げがやっとの予算と規模なのに成果は米国並みを求められる
日本人の多くはNASAの成果を通して惑星の姿を知るのだから仕方無いと思います。ESAも数は少ないながら、ハレー彗星の核、タイタンの地表など、その成果でしか知ることのできない天体の姿を見せてくれてますよね。地道な工学実験の必要性も理解できますが、やはり日本の探査にはもっと華が必要だと思います。
>それをきちんと伝えるマスコミがあれば…(中略)もちろんJAXA側にも問題はあるのかも
一般の「サンプルリターン探査機」としての認知度の高さと、例のミッション達成度点数表とのギャップの大きさは、やはりJAXA側の広報戦略の問題と思えます。NHKでさえイオンエンジンや小惑星ランデブーより「世界初」のサンプル採取&帰還を重点的に構成してますが、これはマスコミの理解が悪いためだけとは思えません。

藤野さん
>1970年代に「カミオカンデなどという観測施設の開発よりも、(中略)あくまで月探査の成果をあげて見せることが必要ではないでしょうか」などと言ったアメリカ人がいたとは
どちらも(ほぼ)前例の無い中での開発の事例ですよね。現代の惑星探査には必ずしも当てはまらないと思います。(アポロ計画といえば、akiakiさんが指摘されたベーシック/オプショナルサクセスがまだピンと来ません。AミッションBミッション(以下略)のことではありませんよね?)
>これほど強くしつこく主張しても、(中略)納得していただけないというのは
お気持ちはよく伝わってくるのですが、日本の宇宙開発を取り巻く問題は外因性、計画当事者は被害者というようなトーンが強すぎるのではないでしょうか。

oritaさん
>はやぶさの探査の成果については、現時点までに多くの理学データが
コメントありがとうございます。イトカワのクローズアップ画像が雑誌の紙面を飾り始めましたね。こうした積み上げがもっともっと必要なのだと思います。サンプル採取&帰還がこれほど注目されていなければ、これでハッピーエンドと思うのですが・・。
>「恐るべき旅路」をお読みいただくと、ISASにおける理学と工学の関係、何故試験機と探査機を切り分けられないのかあたりは
事情があって「恐るべき・・」が手元に無く、まだ拾い読みレベルなのできちんと読んでから再コメントしたいと思いますが、多分私は、事情を汲んでやむなしというより、できれば解決してほしいと感じるほうだと思います。

よくここを覗かせていただいてる、宇宙開発ファンのひとりです。こんにちは。
ここまでの話題の流れを見ていて、感じたことを書かせていただきます。
脇からすいません。

> どちらも(ほぼ)前例の無い中での開発の事例ですよね。現代の惑星探査には必ずしも当てはまらないと思います。

masamichさんの書き込みを見ていると、既に「確立された小惑星探査技術」というものが存在するのに、ISASはあえてそれを用いずに、ミッションに無関係な工学実験を相乗りさせている、という前提があるように読めます。が、果たしてそんなものが存在するのか疑問に感じます。

火星や月への着陸・探査ミッションはNASA等がいくつも行っていますが、世界的にみても、過去、小惑星を対象にした探査計画の数はそれほど多くないですし、今更いうまでも無く、タッチダウンまでやるのは世界初です。惑星探査と「小」惑星探査とは単純に比較できないと思われます。
小惑星探査は、惑星探査と比較して目標のサイズがうんと小さく、また重力も微小なためにアプローチ・着陸も困難になるので、惑星探査とはまるで違うノウハウが必要だと聞いております。「はやぶさ」が世界中から興味をもたれており、DNSの深い協力を得られているは、純粋に、小惑星探査自体の難易度・新規性が高いゆえではないでしょうか。

そもそも日本の、深宇宙探査経験自体が「のぞみ」くらいで、過去のノウハウの蓄積というものはほとんど無いでしょう。残念ながら。
今回の計画に織り込まれている工学実験は、どれもが「小惑星探査」に不可欠な技術を検証するために行われているもので、けっして無関係な実験を闇雲に相乗りさせているわけではない。ミッションの目的、それ自体が、「小惑星探査技術を確立する」ことにあるように見えます。藤野さんが再三おっしゃっているのも、そういうことだと思います。

> 地道な工学実験の必要性も理解できますが、やはり日本の探査にはもっと華が必要だと思います。

というのも気持ちはわかるのですが、なんだかそれは、過程をすっ飛ばして、いきなり結果だけを求めるような態度に見えてしまいます。
もちろん「華」も必要なことはISAS自身も理解していて、けど予算も打ち上げ機会も少ない、だからこそ工学試験ミッションに、本番の探査まで組み込んでるわけですよね。

たとえば火星探査はいまでこそ華々しい成果が上がりつつありますが、ひとたび過去に目を向けると死屍累々だったりします。日本もまだまだこれから、という段階でしょう。
華々しい結果を出すためには、その前にやるべきことをやる必要があります。試験機を飛ばしたり、それでトラブルをいろいろ経験してみる、というのも、そういう意味があるのだと思います。松浦さんの記事を見ると、記者会見の場でも、徐々にそういう前提の了解が記者の皆さんの間でも生まれつつあるように感じられます。

>胸を張って…(中略)…言って欲しい

今日(12月14日)の川口プロマネの毅然とした言葉と論理的な説明に感動しました。これを待っていました。ここで議論されていた事に関する明確な答えになっていると思いますがいかがでしょうか?

私は満足です。なので私の書き込みはこれを最後にします。ありがとうございました。

>kn氏、masamich氏へ。
おそらく、kn氏の主張が正論なのでしょう。
他人を「肩入れしすぎ」と批判しておきながら、最もその批判を受けるべき者が自分というのは、恥ずかしい限りです。

>masamich氏「日本の宇宙開発を取り巻く問題は外因性、計画当事者は被害者というようなトーンが強すぎるのではないでしょうか」

そのようなつもりはないのですけど、マスコミを始めとする無理解(と私が勝手に感じるモノ)を嘆く気持ちは、今でもあります。

>masamich氏「NHKでさえイオンエンジンや小惑星ランデブーより「世界初」のサンプル採取&帰還を重点的に構成してますが、これはマスコミの理解が悪いためだけとは思えません」

おっしゃる通りだと思います。この点に関しては、先のirregulars氏のコメントを無視する事はできないでしょう。個人的には、irregulars氏の主張内容に同意はできませんが、問題提起としては重要な点をついていると思います(そして、個人的には、はやぶさチームの情報の出し方は間違っていないと思っています)。余談ですが、私は、宇宙開発報道についてのNHKのレベルにはかなりの(おそらく現在では不当な)偏見を持っている者の一人です。

>kn氏「質量について書いていらっしゃいますが」

これは、一般に、厳しい質量制限の中では、個々の部品の信頼性を高める設計も、全体の冗長性を高める設計も容易ではないという話です。もちろん、その制約を、十分な信頼性を持ったシステムを作れなかった言い訳にしてはならないというのは当然の事です。私はまずこの点を強調すべきでした。

>kn氏「信頼性評価(過酷試験)は主として評価用の機体や部品単品で行うものであり、フライトモデルの機能確認と初期故障期間のエージング(宇宙関係ではこれをどう表現します?→技術者の方)とは別の次元のものです」

分かってるつもりです。12月12日07:24PMの発言では、それぞれについて、宇宙開発の場合はこういう問題点・課題点があると、分けて述べたつもりでした。

>kn氏「信頼性余裕度の調整は確かに「経験によるさじ加減」の部分もありますが、その設計が不十分であることをたびたび宇宙で知るようでは、予算はいくらあっても足りません」

この点については、私の書き方に問題がありました。kn氏のこの批判は強調されるべき意見ですし、この事に関する私への批判は正当だと思います。
ただ、ISASでは、地球周回軌道の衛星については、事前評価も含めて、このさじ加減はほぼ完璧と言えるもので、高く評価されて良いと思いますし、ISAS側も自信を持っていたはずです。ところが、初の惑星探査・のぞみミッションに挑戦してみて、事前に十分だと思っていたものが、それでも、そうではなかった事がはっきりした──これだけをもって、ISASに対し、「その設計が不十分である事をたびたび宇宙で知るようでは……」という批判をする事は酷に感じます。

>kn氏「現場の品質管理は「完熟期の技術にありがち」なものではなく、アポロ計画にもあったはずです」

この点については、私の誤りを認め、以前の発言を撤回します。
今回のはやぶさのリアクションホイールはアメリカ製のブラックボックスだそうですが、この不具合の原因が設計によるものか品質管理によるものかは、今後明らかになるのでしょうか。

>kn氏「「日本が惑星探査をするには必要不可欠」なのは、基本的技術の信頼性確保であることが分かったのが、今回の実験の最大の収穫かと思います。今後は注力の方向性を変えるべきでしょう」

それは、すでにのぞみミッション終了の時点で分かっていた事です。その時点で(実際にはそのかなり以前の時点で)、ISASは注力の方向性を変えていたのです。だからこその「工学実験衛星」だったのでしょう。14日の川口プロマネの会見では、基本的技術の信頼性確保に向けた十分なデータ取得と経験蓄積に自信を見せているように思えます。

>kn氏「(前略)実際的なところを考えたいし、日本が惑星探査を継続的に行うためにはそれが建設的であると思います。こういう話はペーパーにはなりにくいのですが、避けて通れないでしょう?」

ペーパーになりにくいかどうかは知りませんが、12月12日07:24PMの発言でも書いた通り、今のISASにこの点を心配する必要は、私は感じません。外野がことさらうるさく監視しなくても、徹底的に検討されるでしょう。そもそも、今回のはやぶさミッションの最大の目的はそこにあるのですから。

事態に進展があったようなので、ここでの書き込みは最後にしたいと思います。コメントがつくようなら、フォローはしたいと思いますが。最後なので字数をあまり切らずに書きたいと思いますが、管理人様、お許しください。

Bartok様、はじめまして。
>火星や月への着陸・探査ミッションは(中略)「小」惑星探査とは単純に比較できないと思われます。
>小惑星探査は、惑星探査と比較して(中略)まるで違うノウハウが必要だと聞いております。
>そもそも日本の、深宇宙探査経験自体が「のぞみ」くらいで、(中略)それ自体が、「小惑星探査技術を確立する」ことにあるように見えます。
>もちろん「華」も必要なことはISAS自身も理解していて、(中略)本番の探査まで組み込んでるわけですよね。
>たとえば火星探査はいまでこそ華々しい成果が上がりつつありますが、ひとたび過去に目を向けると死屍累々だったりします。

Bartokさんご指摘の以上の事情は、私もひととおり理解しているつもりです。その上でということなのです。自分でもうまくまとめられなかったのですが、私がこうあってほしいと思っていることは、いみじくも本日午前の会見で川口プロジェクトマネージャがおっしゃっていた、

>宇宙開発はポリティカルに進めざるを得ない。税金を使っているので確実性の高いことを追求せざるを得ないのだ。(中略)これは行政的には非常に考えやすい計画だ。安いし安全。うまくサイエンスの目的に合致すれば非常に効果的である。しかし、オフザシェルフテクノロジーは、棚の上の出来合い技術がなくなれば、そこでお終いだ。その時に、NASAやESAが、出来あい組み合わせの状態からポリシーを転換できるかどうか。私は難しいと考える。有能な役人であるほど、転換に躊躇すると思う。

・・ということなのだと思います。もっとも、私はそれに対して川口プロマネほど否定的なイメージは持っていません。現実に棚の上の出来合い技術がそう簡単になくなるとは思えませんし、どちらかというと、やむにやまれぬ理由が無い限り、あえて危険を冒すべきではないという考えだからかもしれません。税金をつかって行う事業ならなおさらです。チャレンジを行うとすれば、現在より大きな成果が得られる見通しがある場合に限ると思います。

それはそれとして、川口プロマネの演説(?)には感銘を受けました。特に、

>これはJAXA全体の意見ではなく、私の意見だ。JAXAの意見と思われては困ってしまうのだが(笑いが起こる)

・・・の部分です。今の時代、特に組織の一員として働くとき最も重要なのはこうした態度だと思います。一個人の技術的信念なり職業的理想なりは、得てして組織のそれとは異なりますが、そうしたときに自らの責任を明確にした上で、自らの見解を毅然と語れることが大切なのだと思います。きょうも同僚とその話でひとしきり盛り上がったところですが。

正直言っては私はBartokさんご指摘のとおり、
>既に「確立された小惑星探査技術」というものが存在するのに、ISASはあえてそれを用いずに、ミッションに無関係な工学実験を相乗りさせている
・・という印象は持っています。しかし、それを確固たるポリシーの元にやっているということを川口プロマネの言葉から感じ取れたことは収穫と思いました。ここまでディスカッションをさせていただいた限りでは、また本日午前の会見記事を拝読した限りでも、個人的には川口プロマネがお示しになった方向性には必ずしも賛同はしかねますが、ここまで腹をくくっておられるのなら、どうぞ力の限りがんばって下さい、願わくば広く国民の支持を得て日本の探査・宇宙開発が世界にはばたかんことを、という気持ちになりました。この方向性で行くと、日本は国際協力下での宇宙探査における技術的裏方におちついてしまいそうな危惧は抱くのですが・・。つまり、日本が確立した技術をつかって、結局華々しい探査成果をあげるのは他国というような懸念です。

藤野さん
>私は、宇宙開発報道についてのNHKのレベルにはかなりの(おそらく現在では不当な)偏見を持っている者の一人です。

報道レベルの絶対評価がどうかはわかりませんが、日本を代表するメディアであることは確かです。また、本日の会見や、会見後の松浦さんのインタビューの中での川口プロマネのコメントを読む限り、川口プロマネとしても、本音のところでは「はやぶさ」を小惑星サンプルリターン探査機と捕らえていることは明らかに思えます。何しろ、ミッション達成度ですでに100点を記録している「はやぶさ」を未完だとおっしゃているのですから。その意味で、やはり一般の報道に載る「はやぶさ=小惑星サンプルリターン探査機」という捕らえ方が自然で、「サンプルが帰ってくればそれはご褒美」という捕らえ方は誤っていると思います。そうであるならば、やはり小惑星サンプルリターンミッションというひとまとまりのものに対して、加点評価してほしいというのは(川口プロマネ直々のお言葉ではありますが)、やはり少し虫がいいように思います。サンプルが帰ってきて100点でいいと思うのです。「工学実験探査機」の名目とはいえ、「はやぶさ」が現実に小惑星に行ってサンプルをとってそれを地球に投下する装置を備えて宇宙に飛び立った以上、それらの機能を果たすことなく息絶えたとすれば、それはやはりミッションとして失敗とはっきり評価すべきです。例えそうであったとしても、その過程で得られた理学工学的成果が変わるわけではないのですから。

はやぶさは実質的な休止状態になってしまいましたが、2010年の帰還を目指すということであれば、気長に待ちたいと思います。私は、例え「はやぶさ」の装置が計画通りの動作を何一つしなかったとしても、結果としてサンプルがもたらされたとしたら、このミッションは大成功といえると思います。予定された「手段」が上手くいかなかったかにもかわらず「目的」が達せられたとしたら、それは、同じ目的を達するための、もっとよい手段のヒントになると思います。

藤野さん、akiakiさん、宮地さん、Bartokさん、oritaさん、また、このような戯言の投稿を許してくださった管理人様、おそらく苦々しいと思いつつもお付き合いいただいたことに深く感謝いたします。ありがとうございました。

今まではROMだったのですが、余りに矛盾を感じたので、黙っていられなくなりました。

>masamichさん
今までの議論を読んで、いくつか同意、納得できる点はありました。
しかし、以下の点は承服しかねます。

>現実に棚の上の出来合い技術がそう簡単になくなるとは思えませんし(後略)

つまり日本は一切新規技術に挑戦するな、欧米の後だけ追っていればよい、そういうことですね?
いや違う、工学衛星と理学衛星を分けろというだけだと仰るならそれは日本の宇宙開発に対する理解不足です。
そんな予算は逆立ちしてもつけてもらえません。
時間のかかる小惑星探査というミッションと、長時間に渡る動作試験を行いたいイオンエンジン。
2つの要求がマッチした結果が今回のこのミッションです。
たしかに詰め込みすぎの感は否めません。
できることなら別々にやりたいし、NASAならそうするかもしれません。
しかしISAS枠は年一機が限界です。また、進行中の計画はこれだけではありません。
止む無く工学と理学をセットにせざるを得ないのです。
それが年100億もないような中で、世界的にも引けをとらない成果をあげてきたISASのやり方です。

>日本は国際協力下での宇宙探査における技術的裏方におちついてしまいそうな危惧

masamichさんの理想をそのまま実行すれば、遅かれ早かれ順調にそうなるでしょう。
松浦さんの著書にもありますが、「協力」というのはお互いに技術を持っていてこそ成り立ちます。
今の日米協力関係はただカネを出すだけです。
それは日本の宇宙開発に独自の技術がないからに他なりません。
今回はやぶさのイオンエンジンが積み上げた実績は大したものです。
このままイオンエンジンを日本の得意分野としていければ、初めて日本は「技術」を手に入れられるかもしれません。
川口先生が仰っていたように、すでに欧州からは共同実施の申し出があるようです。
彼らがイオンエンジンの技術を欲しがっていることがうかがい知れます。
今回の協力は、日本は"請われている"側です(カネ目当てで形式的に"請われた"ことはありますが)。
もし協力するならば、対価として欧州独自の技術を引き出せるかもしれません。
協力を"請う"側に提供する技術がなければ、カネを言い値で支払うしかありません(これが今の日本です)。
新規技術の開発というものは、常に必要なものです。

「科学技術創造立国」と呼ばれながら大した技術を持たない日本、
この根底には国民の新規開発の重要性に対する無理解があると私は考えています。
日本は単なる「製造立国」で、国民は新規開発に伴う失敗に極めて不慣れです。
最初数回の失敗で「そんなものに金を費やしてなんになる」「意味がない」「やめてしまえ」のシュプレヒコール。
どこを見ても今まで「日本が確立した技術」などというものはほとんど存在しないのです。
それが将来欧米にどう利用されるか、そこまで見通せるのですか?

長文失礼しました。

>例え「はやぶさ」の装置が計画通りの動作を何一つしなかったとしても、結果としてサンプルがもたらされたとしたら、このミッションは大成功といえると思います。

論理的に矛盾しているお言葉である様な気がします。どこが矛盾しているかはご自分でおさらいをされればと思いますが....
このプロジェクトについて深い理解があるとは私には認識できません。
それでいて、よくここまで長々と批判できたものだと.....。
皆さん徒労感を感じられるのではないでしょうか。

ごめんなさい。私も前の発言で最後にするつもりでしたが、どうしても言っておきたい事がたくさんできました。今回は特にISASに肩入れした発言になってしまいましたが、「おまえの思い込み発言はかえってISASの為にならないんだよ」と思われる点は、ご指摘いただければと思います。

>masamich氏「本日の会見や、会見後の松浦さんのインタビューの中での川口プロマネのコメントを読む限り、川口プロマネとしても、本音のところでは「はやぶさ」を小惑星サンプルリターン探査機と捕らえていることは明らかに思えます」

川口淳一郎氏の本音は川口淳一郎氏にしか分からないとは思いますが、松浦氏の著書『恐るべき旅路』を読めば、川口淳一郎という男がどんな人間なのか、その一端が垣間見えるはずです。
私は以前卓球のコーチをしていた事があります。選手に対して、「今日の課題は、積極的に三球目攻撃を仕掛ける事。ちゃんと出来るだけの準備と練習はしてきたはずだから、失敗を恐れずに、挑戦してごらん」と言ったら、たとえ1セット目を失ったとしても、課題をしっかりとこなしてさえいれば、その場で選手を非難したりはしません。しかし、1セット目を失った時に、「課題はちゃんとこなしてるんだからこのまま負けてもいいや」と思うような選手は絶対に一流にはなれません。
川口淳一郎氏は、一流になれるタイプの男なのだと思いますし、そもそも、そうでない男にプロジェクトマネージャーなど誰も託さないでしょう。
以上は私の勝手な憶測です。ただ、どうしても言っておきたかったので。

>masamich氏「自らの責任を明確にした上で、自らの見解を毅然と語れることが大切なのだと思います」

この点で、「これが出来そうだ・してみたい」と誰かが思う→有志が集まる→ワーキンググループが立ち上がる→正式プロジェクトになる→プロジェクトマネージャーがすべてを統括する……というISASのシステムは、(欠点もありますが)大変有効な組織運営と言えるかも知れません。

>masamich氏「現実に棚の上の出来合い技術がそう簡単になくなるとは思えませんし」

そう考えて安寧をむさぼるうちに衰退していったメーカーは枚挙に暇がないのではないでしょうか。

>masamich氏「どちらかというと、やむにやまれぬ理由が無い限り、あえて危険を冒すべきではないという考えだからかもしれません。税金をつかって行う事業ならなおさらです」

典型的な官僚発想で、それ自体は正しいと思いますが、技術開発の分野では全く話は逆だと思います。(私は大嫌いですが)小泉純一郎氏は「民間に出来る事は民間に」と訴えて、国民の圧倒的支持を得たのではないですか。大学や民間研究機関が扱えるような「棚の上の出来合い技術」なら、逆に税金でやる必要はないでしょう──というのが、私個人の意見です。
ただ、この点について、日本人の多くがmasamich氏と(意識的にしろ無意識的にしろ)同様の考えである事は理解しているつもりです。私個人にはとても残念な事ではありますが……。そのような状況であるからこそ、広報には力を入れなければならないと思いますし、今回のようにネガティブな情報も包み隠さず公開したはやぶさチームを高く評価したいですし、それに対して、はやぶさが何を成し遂げ、何をもたらすのかという事にまで思いを馳せた会見を演出した現場の記者たちの成長(と言っては少し不遜ですが)には、素直に喜んでいます。

念の為に補足しておきますが、「失敗してもいいからどんどんやれ」と言っているわけではありません。どのような場合でも、その事業の選定・遂行にあたっては、実現可能性・意義・将来の展望などをしっかりと見極めた上で、国民の賛同を得て行われなければならない──という事は、強調しておきます。14日の会見で川口淳一郎氏が語っているように、もし、はやぶさが国民の支持を得られないのだとしたら、その時点で運用は諦めるべきだと、私も思います。

>masamich氏「サンプルが帰ってきて100点でいいと思うのです。「工学実験探査機」の名目とはいえ、「はやぶさ」が現実に小惑星に行ってサンプルをとってそれを地球に投下する装置を備えて宇宙に飛び立った以上、それらの機能を果たすことなく息絶えたとすれば、それはやはりミッションとして失敗とはっきり評価すべきです。例えそうであったとしても、その過程で得られた理学工学的成果が変わるわけではないのですから」

それで、ただ闇雲に「税金の無駄遣いだ」「責任追及だ」などと建設的・発展的でない議論に終始するのでなく、はやぶさによってもたらされた多くの成果と意義・将来への希望をはっきりと認識した上で、今後のあるべき宇宙開発について検討する事ができるのならば、私だって(たとえそれが「日本は惑星探査に乗り出すべきではない」という結論だったとしても)、masamich氏のこの意見におおむね異論はありません。ISASも、最初から「小惑星探査機」と、はやぶさを位置づけていたかも知れません(そのほうが予算だって付きやすいでしょう)。
ただ、現状では、上に書いた通り、日本人の多くがmasamich氏と同様に、「失敗」という言葉に過剰なネガティブイメージを持っているという、技術者・科学者にとって避けては通れない困難があります(『失敗学』なんて言葉もあるというのに)。ずっと以前には、ロケット打ち上げも主衛星の立ち上げも大成功だったのに、そこは報道されず、失敗したピギーバック衛星の事だけが大きく取り上げられ、それだけを理由に衛星打ち上げビジネス参入を目指す事を非難する機運が高まったという事もありました。

そこでぜひ尋ねてみたいのですが、「この課題は成功した」「この課題も成功した」……という加点評価をしてもらいたいと思う事がそんなに悪い事なのでしょうか。それぞれの課題は単独で十分価値のあるものであり、かつ、応用範囲の広いものです(たまたまどれも小惑星サンプルリターンにも使える技術であり、かつ、小惑星サンプルリターンには必須の技術だったという事です)。そして、はやぶさチームはネガティブな情報も──故障だけでなく現時点で考え得るという事でさえも──包み隠さず公開しています。それでも、サンプル入手が果たせなかっただけの場合でも、「このミッションははっきり失敗だった」と言わなければ卑怯ですか。

余談ですが、当初は、ここで、「本気で惑星探査を志すならば海外に専用の受信局を持つべきではないのか」とか「競争力のあるバルブやリアクションホイールを国内で開発生産できるようになるまで、官需などで関連企業を支援する必要はないのか、支援したとして将来的にペイするのか」とか「M-Vで厳しいのなら、積極的にH-2Aのピギーバックを使う事は出来ないのか」とかいった議論も盛り上がるものだとばかり思っていました。つくづく自分が肩入れしすぎな視野の狭い楽観主義者だと思い知りました。

>masamich氏「例え「はやぶさ」の装置が計画通りの動作を何一つしなかったとしても、結果としてサンプルがもたらされたとしたら、このミッションは大成功といえると思います」

上の卓球の例を持ち出すなら、もし課題を無視して試合に勝つような事があっても、その選手は決してそれ以上上達しませんし、他の選手たちがどんどん強くなっていく中で、その選手はすぐに誰にも勝てなくなるでしょう。
(とても考えられませんが)もし、2003年時点で、masamich氏のこの考えと同じような事を思っていた人間がISASに一人でもいたのだとしたら、私個人としては、のぞみが火星についての科学的成果を全く得られなかったのは、将来の為には本当に良かった事だと思わざるをえませんし、kn氏の再三にわたる指摘と危惧の表明は、まさに何を置いても最優先に強調されねばならない重大なものであると認めざるをえません。

>masamich氏「予定された「手段」が上手くいかなかったかにもかわらず「目的」が達せられたとしたら、それは、同じ目的を達するための、もっとよい手段のヒントになると思います」

一般論として、この一文自体は決して間違っているとは思いません。しかし、はやぶさプロジェクトについての発言、しかも、あくまで「目的」は「サンプル入手」とし、各技術の運用実証は蛇足だと主張されるmasamich氏の発言と思うと、素直に受けいれる事はできない自分がいる──というのが正直なところです。

みなさんコメントありがとうございます。実のところさすがに見放されたかと思っていました。

DoGさん
>つまり日本は一切新規技術に挑戦するな、欧米の後だけ追っていればよい、そういうことですね?

そこまでは考えてません。現状では、後を追うだけでも相当の挑戦とは思っていますが。

>いや違う、工学衛星と理学衛星を分けろというだけだと仰るならそれは日本の宇宙開発に対する理解不足です。
そんな予算は逆立ちしてもつけてもらえません。

予算の不足が根本にあるのは理解していますので、その点でISASばかりを非難するつもりはありません。単に惑星探査のニュースを楽しみにしている個人の希望として、できるなら分けてほしいが、できないのが現状なら理学>>工学でもよいのでは(あくまで個人的な希望ですが)と思ってました。その逆の人も当然いるので、その点で現状はどうにもならないとは思いますが、あくまで希望ということです。

>川口先生が仰っていたように、すでに欧州からは共同実施の申し出があるようです。
彼らがイオンエンジンの技術を欲しがっていることがうかがい知れます。

前にも書いてますが、今回のイオンエンジン試験成功そのものを否定しているわけではありません。引用の松浦さんのお話はweb上で読んでいたので知っています。日本で予算がこれ以上つく見込みが無いので、それを見越してこういうミッション構成にしたというなら、もう何も言うことはありません。

>どこを見ても今まで「日本が確立した技術」などというものはほとんど存在しないのです。
それが将来欧米にどう利用されるか、そこまで見通せるのですか?

今回のはやぶさも、そういう危機感の下で行われたというなら、こういう形にしかなりようがないのでしょうね。宇宙開発以外の分野も含めて、そこまで危機的なのかどうか、私は知りませんので、そのとおりに覚えておきます。

時間が無いので、あとは改めてコメントさせていただきます。

ysakiさん
引用されてる部分と矛盾と指摘されて思い当たる部分が違うので、教えてもらえないでしょうか。思い当たることは、私が現に動いているはやぶさミッションについて書いている部分と、将来のJAXAのミッションへの希望を書く上で例としてはやぶさミッションを引いている部分が混同されているのではないか、ということです。引用部が、あまりに結果オーライだと非難されるのはわかりますが。

藤野さん
私の書き方が悪いのだと思いますが、必要以上に非難を受けているように感ずるので、できるだけ根底で思っていることがわかるようにコメントします。

>典型的な官僚発想で、それ自体は正しいと思いますが、技術開発の分野では全く話は逆だと思います。
>そのような状況であるからこそ、広報には力を入れなければならないと思いますし、

私はそこまで広報の力に楽観的になれません。特に技術に関しては目に見える部分が少ないので、成果を伴わないと、広く一般にアピールとはいかないのではないでしょうか。技術開発が日本の宇宙探査で目下の最重要課題というならそのとおりだと思いますし、技術開発そのものを否定するつもりはありません。確かにそういう方向の理解が少しずつ広がっているのかもしれませんが、国の予算を動かすほどの力に遠からずなると楽観はできないように思います。私は、そうではなく、予算が著しく限られている中で、いま探査の成果と技術開発の二兎を追って探査成果のリスクを増やすのはもったいないと思っている(いた)のです。私が漠然と考えていたプロセスは、
ミッションが完遂される→ミッションで得られた画像や写真(はやぶさに例えれば対象天体のクローズアップ、舞い降りてくるカプセル、シャーレに載った微量の砂粒、その顕微鏡写真)が新聞雑誌をにぎわす。老若男女がそれを見、それを読む。→教科書や副教本などにもどんどん載る(それこそNASAやESAの惑星画像のように!)。日本中の子供達に刷り込まれる→日本の宇宙探査の価値が広く国民に認知され、予算を取りやすくなる、それまで我慢していた観測や工学実験もできるようになる→
・・・というフィードバックでした。これは別に「はやぶさ」が危機に陥ってから思いついたのではありませんよ。「のぞみ」の署名キャンペーンの、さらに前からずっと思っているのです。というか、いました。この点は、川口プロマネの会見が正しく世間に伝わればあるいは事情が変わるかもしれません。これを契機に予算が増額され、あるいは海外からの資金協力が得られ、後発の惑星探査機がJAXAのロゴを輝かせて次々に飛び立つことになれば、私が勝手に夢想していたプロセスなどはどうでもいいことです。同様に、上記プロセスがまったく的外れということなら、それに基づいてここで発言する意味はありません。もっとも、川口プロマネの会見は、少なくともYahooニュースに上がってくる新聞各社の記事を見た限りでは、このブログのようには書かれていないので、通常宇宙開発に無関心な人々が目にするほど広く深く伝えられたかは分かりません。

>たとえそれが「日本は惑星探査に乗り出すべきではない」という結論だったとしても

私はそんな結論にはとても賛同できないし、そんなことにならないよう関係者には全力をあげてほしいと思います。

>日本人の多くがmasamich氏と同様に、「失敗」という言葉に過剰なネガティブイメージを持っているという、技術者・科学者にとって避けては通れない困難があります

私は何が何でも失敗が悪いと言っているのではありません。よりによってこのような引き合いに出されるとは・・。上記のようなプロセスを想定するとき、予算も世間の風当たりも厳しい今、失敗には臆病でもいいのではないかと思っているのです。というか、でした。川口プロマネの(以下略)

>そこでぜひ尋ねてみたいのですが、「この課題は成功した」「この課題も成功した」……という加点評価をしてもらいたいと思う事がそんなに悪い事なのでしょうか。

何度も繰り返していますが、加点評価そのものが悪いと言っているのではありません。「小惑星サンプルリターン」という単一ミッションとしての顔と、「4つの工学実験の寄せ集め」という顔の二つが、場合によって都合よく使い分けられている(例えば一般国民向けキャンペーンのときは前者、評価の段になると後者)ように見えるのが具合が悪い、JAXAのミッションに対して無用のマイナスイメージを惹起するのでばないかと思っているのです。端的に言って不自然なのです。私も天文ガイドの連載や、このブログを愛読していますから、はやぶさチームの超人的な働きは知っているつもりだし、さすが日本でよりぬきの頭脳をもつ人々だと嘆息するしかありません。また、こまめに生の情報を発表する今のやり方は基本的に賛成です。しかし、そのことと評価の二重性の是非は無関係です。最初からどちらかに統一されているなら問題は感じませんが、仮にサンプル回収が失敗に終わったときに、加点評価がその言い訳と世間に受け取られたら(私にはそのようになる恐れはあると思うのですが)、余計に宇宙計画を厳しい立場に追い込むと思うのです。そのときになって、宇宙に関心の無い多くの人たちが藤野さんたちと同じように感じるよう説得するのは困難だと思いますよ。これは見当違いでしょうか?

>余談ですが、当初は、ここで、「本気で惑星探査を志すならば海外に専用の受信局を持つべきではないのか」(中略)とかいった議論も盛り上がるものだとばかり思っていました。

そうなったら嬉しいですね。やはり私の書き方、進め方が悪いのでしょう。ちなみに例示されたことは全て賛成です。

>もし課題を無視して試合に勝つような事があっても、その選手は決してそれ以上上達しませんし、他の選手たちがどんどん強くなっていく中で、その選手はすぐに誰にも勝てなくなるでしょう。
>一般論として、この一文自体は決して間違っているとは思いません。しかし、はやぶさプロジェクトについての発言、しかも、あくまで「目的」は「サンプル入手」とし、各技術の運用実証は蛇足だと主張されるmasamich氏の発言と思うと

「次」が保障されているなら、そうした失敗を重ねるのもよいと思いますが、藤野さんが例をひたように、残念ながら国民の多くは、そうした失敗を許されざる贅沢と思っているのが現状ではないでしょうか?それもあって私は前述のようなプロセスを考えていたのです。結果オーライ的なことを書いたのはそのためです。それが的外れならもう仕方ありませんし、いまのJAXAの方向性が花開くのを期待するしかありませんが、藤野さんやysakiさんに失望されたのは残念でなりません。

また長くなってしまいました。申し訳ありません。

>はやぶさに例えれば対象天体のクローズアップ、
舞い降りてくるカプセル、シャーレに載った微量の砂粒、
その顕微鏡写真

それではお聞きしますが、あなたはこれらのものが、あなたの仰る
「通常宇宙開発に無関心な人々」がそこまでの興奮、衝撃を
もたらすと本気で考えていらっしゃるのですか?
それこそ楽観的過ぎると思いますが。
自分の想定する反応としては、
「これっぽっちの試料になんの意味があるのか」
「こんなものを取りに行くために血税を百何十億もかけて、大騒ぎしたのか」
せいぜいこんなものでしょう。
あぁ、あと一番多そうなものを忘れていました。

「ふーん。で?」

かのアポロ計画、あのパイオニア精神旺盛なアメリカでさえ、
一度行った月に再度人間を送ることにはかなり大きな疑問の声が出ました。
はっきり言って、科学技術的知識の素養がない方々には、
多少のことでこのようなプロジェクトに対する理解を得ることはできないと思います。
恐らく、人間を送るくらいのインパクトは必要でしょう。
少なくとも今回のはやぶさは、宇宙に多少の興味を
抱いていた人の多くをより深い領域へと引き込みました。
これが大事です。
望みのないマーケットに対していい顔をしながら実の少ないミッションをするよりも、
多少望みのあるマーケットを取り込みながら、実の多いミッションをすればよいのです。
(現実問題として、「棚の上」の化学エンジンを使って
小惑星の表面に曝されている砂の数mgを持ち帰ったところで、
今回の工学的成果に勝る理学的成果が出るとは到底思えません。
わずかな広報的成果をプラスしても。)
それははやぶさブログ、松浦さんのL/Dなりで実況されたリアルタイムの緊張感、
まるで自分もその場にいるかのような臨場感、
屁理屈をごねずに名前を積んで行ってもらった人にはより一層の一体感、
そういう物を味わえた結果が今回の盛り上がりに繋がったはずです。
それは失望した人も少なくはないでしょう。
しかし「きっかけ」を与えられた人も多かったはずです。
次の探査機にも興味を持ってもらえればしめたもの、ということです。

加点方式については、NASA程度の予算があるなら1機でやる分が100点、
やむを得ず2機、3機分のミッションをまとめた200、300点と解釈しては?
そもそもはやぶさはイオンエンジンの実証試験機です。
イオンエンジンが100%うまく行く保障などどこにもありません。
うまく行ったからイトカワに寄って、おまけとしてサンプル回収に臨んだという、
それだけのことです。
ダブルスタンダードと言われる件については否定はしません。
ですが、そのような「重箱の隅」まで知っているのはそれなりに宇宙に興味のある人であって、
理解を得るのはそこまで難しくない(いや、相当こだわる方も稀にいらっしゃるようですが)と思います。

私の主張をまとめますと、あなたが振りかざす「通常宇宙開発に無関心な人々」という剣は、
そもそもが見当違いなのではないかということです。
長文失礼しました。

以前にもここで書きましたが、果たして、今後、ISASが望むような計画をISASが望むように実行していくのに、たとえば憲法改定に必要なような全国民的な理解と支持が、今すぐに必要なのでしょうか。
もちろん、全国民的な支持が得られるのが望ましいでしょう。しかし、カミオカンデにしろトリスタンにしろ、むつやもんじゅだって、建設されたのは、1億2000万人全員が後押しをした結果なのですか。惑星間通信施設が臼田にしかないのは、1億2000万人全員が反対したからですか。

今回、「あぁ、はやぶさ、失敗したのね。日本、だめじゃん」としか思わないような人々が、または「へぇ、世界初に成功したんだ。日本、すごいね」としか思わないような人々が、ISASの将来を左右するわけではありません。予算を握る官僚や政治家に理解してもらうのは、マスコミ記事の仕事でも無関心な人たちの仕事でもなく、ISASの仕事であり、そのISASには、かつてないほど多くの熱い応援・高い評価が国内外から届いています。カミオカンデやトリスタンにちゃんと予算がついた事実を思うとき、これは決して悲観すべき状況ではないと、私個人としては思っています(もちろん楽観はできませんが)。

個人的には、どちらにせよ宇宙開発にそれほど興味を持たないであろう層の一時的なご機嫌をとる事だけに腐心し、その事だけに終始するような現状に、いい加減うんざりしていたところです。こんな状況は、現場の当事者にとっても、今は「どちらにせよ宇宙開発にそれほど興味を持たないであろう層」ですが潜在的には本当の宇宙開発ファンに引き上げられていたかも知れない多くの人々にとっても、とても不幸な事だと、私は思います。

私の印象では、のぞみ・はやぶさ以前の日本の宇宙開発は、オリンピックの時だけ注目されて、それ以外の時には忘れ去られているマイナースポーツと同じです。
はやぶさによって、「要するに成功だったの、失敗だったの?」と言うだけで、しばらくすれば忘れ去ってしまうような(私を含めた)人々の中から、はやぶさによって何がもたらされ、将来どんな夢が広がったのかという事にまで思いを馳せる宇宙開発ファンが数多く育ちました。現場の記者たちもその一人でしょう。まだ、その想いがアンカーやデスクや番組プロデューサーにまでは届いていないようですが、いずれにせよ、マイナースポーツがメジャースポーツへと将来にわたって確実にしっかりと定着するのには時間のかかるものですし、時間をかけなければならない事だと、私は考えています。

理学部物理学科出身で、松井孝典氏著『パノラマ太陽系』を新書版・文庫版の両方で持っている私は、もちろん、masamich氏と同様、「ミッションが完遂される→」以下のフィードバックが理想だと思っていました(今でも思っています)。しかし、皮肉にも、ようこうやすざくの感動的な観測写真以上に、のぞみ・はやぶさは、そんな出来合いのサクセスストーリーを吹き飛ばすほどの強烈な印象を、多くの人々に与えたと思います。繰り返しますが、はやぶさは、「きれいな火星の写真だね」と思うだけで、しばらくすれば忘れ去ってしまうような(私を含めた)人々の中から、はやぶさによって何がもたらされ、将来どんな夢が広がったのかという事にまで思いを馳せる宇宙開発ファンを数多く育てました。これは、正当に評価されてしかるべきだと、私には思われます。

最後に、サイト上などで「小惑星探査機」という言葉も使ってる以上、評価の段になると「工学実験衛星」だと強調するというのは、不自然であり無用のマイナスイメージを惹起するというご指摘は確かにもっともだと思います。
ただ、「要するに成功だったの、失敗だったの?」と言うだけで、しばらくすれば忘れ去ってしまうような人はともかく、はやぶさによって何がもたらされ、将来どんな夢が広がったのかという事にまで思いを馳せる事のできるようになった人々にとっては(たとえ最初は「小惑星探査機」という言葉につられただけの人だったとしても)、その事を大きな問題だと感じるとは、私には思えません。
また、言い訳がましいかも知れませんが、当初から、評価については「工学実験衛星」として加点評価して欲しいという事はホームページにも明示されていましたし、その態度は、打ち上げ前から常に一貫していたように、私には感じられたという事は付け加えておきたいと思います。

【追伸】私の言いたい事はすでにDoG氏がほとんど書き尽くされていますが、ここまで議論に付き合わせてしまった人間として、自分の言葉で釈明しておきたいと思い、投稿させて頂きました。

だいぶ感情的なやりとりになったので、再度トーンを抑えて書きます。

DoGさん、藤野さんのご意見は、要するに私が書いたようなプロセスは働かない、いまのままでよいということですね。現時点で判定の材料を持たないので、ご意見としてそのまま受け取ります。また、少なくともこれまでこのトピックを読んでいる人の中に、同様のプロセスに賛同する意見が無いのも了解しました。現状は、お二方の言うような方向に動いているようなので、それを見守りたいと思います。川口プロマネの出演もあるそうですから、視聴者にその思いが伝わるといいですね。

お二人のコメントには、私が書いてないことがまただいぶ混ざっていますが、それらをひとつひとつ指摘するのはやめておきます。

DoGさん
>現実問題として、「棚の上」の化学エンジンを使って小惑星の表面に曝されている砂の数mgを持ち帰ったところで、今回の工学的成果に勝る理学的成果が出るとは到底思えません。わずかな広報的成果をプラスしても。

そうなんでしょうかね。太陽系の未知の領域にまたひとつ光があたり、上手くするとこれまで推測に過ぎなかった隕石と小惑星の対応がとれるわけですから、そう小さな成果とは思えないのですが。と私なりに思ってましたが、この辺は学者さんが判断されることですので。

やっと「恐るべき・・」が手元にきたので精読を始めたところですが、これまで読む限り、「のぞみ」の成否や、その後のISASの惑星探査のたどる道は、72ページまででおおむね決したという印象を受けています。つまり、PLANET-Bを金星ではなく火星に送った決定のことです。その後のエピソードは壮絶で美しいのですが、プロジェクトとしては必ずしもスマートとは思えません。私が先に書いたプロセスは、本編に登場する大家教授の見解に似ているかもしれません(曲解していたらご指摘ください)。私は、日本の惑星探査の発展のためには成功体験が必要だと考えていました。確かにこれまでの「はやぶさ」の成果は重要だと思いますが、今後も同じようなミッションの組み立て方をしたのでは、探査のたびに未検証の技術が組み込まれることで人的資金的資源を食われ、全体としては未完に終わるリスクを高める危惧を持っています。「のぞみ」もそうでしたが、探査機自体にしろ飛行計画にしろ、組み立てが少しリスキーすぎると感じます。日本にとってまだ惑星探査そのものがリスキーだというのに。ちなみに、私は「のぞみ」のときもミッション説明を見て署名応募を見送りました。火星に行くのに、月フライバイから入るのはおかしい、この計画には無理があると思ったからです。それは少なくとも私が楽しみにしている火星探査の姿ではない(本命の火星に行くまでの期間が長すぎて、その間のアクシデントのリスクが大きい)と感じたし、そう思っている人が自分の名前を載せるのは不謹慎と思ったからです。まあ、この時点で、藤野さんやDoGさんとは感じ方が違うのでしょう。これも結果として上手く言っていれば私の見込み違いだし、応募しなかったのを悔しがったかもしれませんが、不幸にしてあのような結果に終わりました。それでもいい、過程にこそ意味があるのだ、というのなら仕方が無いのですが、私はやっぱり、太陽系天体の知られざる姿が暴かれる、あるいはそれがさらに掘り下げられていくのを見るほうが好きです。藤野さんやDoGさんがおっしゃるように、今回の「はやぶさ」によって支持が拡大し、その後の日本の惑星探査がミッションを遂げたのであれば、そのときは喜んで先のプロセスを取り下げたいと思います。

また誤解されそうなので書いておきますが、「スマートではない」とは、もし金星が選択されていたら、もっと早く初の惑星探査が成功し、携わった方々も成功の美酒を味わい、その後野後の探査の方向性も違っていたかもしれないということであって、実際の「のぞみ」で行われた努力や、その積み上げを否定する意図はありません。所詮ifの世界の話なので、ことさら強調することでもありませんでしたね。
それ以降の部分も含め、どうも書けば書いただけ自分で実際に思っている以上に批判的な文面になってしまうようです。最初は単に、こうだったらいいのにという話で(そのように感じている人も他にいるだろうとの前提で)書いていただけなのですが・・。私の書いたことは間違っていたかもしれませんが、日本の宇宙開発が発展しないよう願っているわけではないことだけは強調させてください。それだけは全く本意ではありません。ここまでで不快な思いをさせてしまった方々、いまさらお詫びして済むものとも思いませんが、大変申し訳ありませんでした。

すみません、はやぶさのイオンエンジン航行は、どの部分が先進的なのでしょうか?

地球軌道上の衛星の高度保持にはだいぶ以前から商業衛星でも使われているし、太陽系内航行でも過去に使われています。

1998年10月に打ち上げられたディープ・スペース1
イオンエンジンで太陽から約3億7000万キロメートルまで航行し、途中で複数回の惑星探査を実施
http://hotwired.goo.ne.jp/news/technology/story/20011220307.html
http://astro.ysc.go.jp/index8.html
http://nmp.jpl.nasa.gov/ds1/
まあ、はやぶさのイオンエンジンに多少は違うところもあるのでしょうが、基本的には後追い、せいぜい横並びでしょう。


少ない予算で頑張っている?

上記ディープ・スペース1は他にも多くの新要素技術を搭載して1億5千万ドル、はやぶさとあまり変わりませんね。
http://nmp.jpl.nasa.gov/ds1/quick_facts.html
米国の宇宙予算総額は大きいですが、1プロジェクトだとこんなものです。NASA流だと10倍かかる、などということはありません。


棚の上の技術を使わなかったから、トラブルも発生した?

はやぶさで故障したリアクションホイールも、スラスタ燃料系も、宇宙開発分野としては「棚の上の技術」ですよね。(これが棚の上でなければ、何が棚の上か)
地球から遠いから、サンプルリターンだから故障しやすい、という部分ではありません。
残念ながら棚に手が届きませんでした、というのが正しい説明でしょう。


はやぶさプロジェクトを賞賛される皆様は、「イオンエンジン航行だけで100点」「少ない予算でよくやっている」「宇宙開発には、リスクを取っても先に進むということも必要なのではないか。(by川口氏)」というお考えかと思いますが、それは情緒的な感想でしょうか。それとも上記のような事実を踏まえたうえで、あえてそのような判断評価をされているのでしょうか。

また、12月14日の川口氏の会見内容は、はやぶさの意義や先進性を他国との比較も交えて述べた部分について、それが全体としてフェアで、国民に正しい判断材料を与えるものだとお考えでしょうか。(マスコミや素人はうまく操縦すればよい、という立場なら、500点の評価かもしれませんが。)

↑このブログの2004年4月10日の分を読んでから、再度投稿し直す事をおすすめします。

浅利様
ご指定の4月10日ブログを読みました。
ディープ・スペース1が実在し、はやぶさより先にイオンエンジン航行していたことが改めて確認できました。
「はやぶさのイオンエンジンに多少は違うところもあるのでしょうが、基本的には後追い、せいぜい横並びでしょう。」という評価を基本的に覆すものは何もありませんでした。
それとも、他の内容についてのご指摘の意図だったのでしょうか。
具体的な内容に踏み込んだコメントをいただけますか。


イオンエンジン自体の実証試験として搭載されたディープスペース1と、主推進器として搭載され、加速に減速にと実際に運用されたはやぶさが、横並びで等価という結論に至る考えが、私には理解できません。

単なる先取りでいいなのら、イオンエンジン自体は、人口衛星のスラスターとしてとっくに利用されています。

まず、masamich氏が、今の日本の宇宙開発の発展を快く思っていないなどとは、微塵も考えた事がありません。最初にその点の誤解は解いておきたいと思います。

現在のはやぶさの全ての苦境の遠因となったリアクションホイールは、アメリカ製のブラックボックスです。はやぶさチームが運用実証を試みた新技術は、今のところほぼ全てが成功しています。12月14日04:04PMのコメントでも書いたように、ISASは決して「成功するかどうか分からないから試してみよう」といった気持ちで工学実験衛星と名乗らせているのではなく、確固たる確信のもとで、はやぶさを送り出していると、私は(勝手に)信じています。
それなのに、masamich氏は、そのようなものは、サンプル入手という「目的」の為には、いたずらにリスクを高める(語源通りの意味で)蛇足であると主張されている(と私には感じられる)。この事に、私が(一方的に)わだかまりを感じていて、私は過剰に感情的になっていたようです。
その点で、私も多くの方を不快にさせたと思いますし、お詫びしたいと思います。

のぞみについて、「72ページまででおおむね決したという印象を受けています」と書かれていますが、それはその通りだと思います。惑星探査について技術も経験もなかったくせに、それまでに華々しい成果を誇ってきていたISASは、いまのISASならば、これは工学的にそれほどリスクの高い計画ではないと過信したのです。きっと、「金星に比べ、火星探査に成功したら、一般へのアピール効果も抜群で、(masamich氏が考えたようなプロセスを通じて)国民の支持も増し、それまで我慢していた観測や工学実験もできるようになる」とも考えていたに違いありません。
ところが、その自信は打ち砕かれました。

12月14日04:04PMのコメントで
--------------------
>kn氏「「日本が惑星探査をするには必要不可欠」なのは、基本的技術の信頼性確保であることが分かったのが、今回の実験の最大の収穫かと思います。今後は注力の方向性を変えるべきでしょう」

それは、すでにのぞみミッション終了の時点で分かっていた事です。その時点で(実際にはそのかなり以前の時点で)、ISASは注力の方向性を変えていたのです。だからこその「工学実験衛星」だったのでしょう。14日の川口プロマネの会見では、基本的技術の信頼性確保に向けた十分なデータ取得と経験蓄積に自信を見せているように思えます。
--------------------
と書いたように、ISASはのぞみの失敗によって(実際にはそのかなり以前の時点で)、自分たちに足りないモノを自覚したのではないでしょうか。まさに、これまでの技術・経験・体制では、「日本にとってまだ惑星探査そのものがリスキーだというのに」という事に、ようやく気づき、大家寛氏の先見の明に感嘆する事になったわけです。

「あの時、金星を選んでいれば良かったのにね」という回顧話でしたら、私も同意できていたかも知れません。しかし、後知恵だけで非難するのは無意味ですし、(masamich氏が事前に見抜いたように)「探査機自体にしろ飛行計画にしろ、組み立てが少しリスキーすぎると感じます」と臆病になっていては、いつまでたっても日本が惑星探査に乗り出せなかったであろう事情は、『恐るべき旅路』で書かれている通りです。それに、ISASだって、100億円以上の血税を水泡に帰す可能性があるミッションを、そうと認識しながら行うほど馬鹿ではないでしょう。実際、LUNAR-AもSELENEも何度か計画変更を行い、未だに打ち上げられていません。

これまでの経緯を踏まえて、今回、ISASは決して批判されるべき無謀な事をしたわけではないと、私は考えています。はやぶさがこれほどトラブルを抱えながらも、未だにミッション完遂の可能性を繋いでいるというのは、その証左と言えるかと思います。

最後に参考の為、技術的な事を書いておきます。小惑星サンプルリターンという「目的」を達する為に、はやぶさで採用された技術がいかに必要不可欠なものかを示す一例となるかと思います。
2008年に打ち上げ予定の金星探査機PLANET-Cは、探査機総重量は約480 kgで、この約半分は推進剤。搭載可能な観測機の総重量は35kg程度です。これでは、とてもではないですが、サンプルリターンなど不可能です。この問題を解決したのが超高効率なイオンエンジンと、電気推進による地球スウィングバイです。これらの技術は、日本のロケットでも火星以遠の探査を可能にするかも知れません。
小惑星とランデブーするための自律航法技術や、世界でも前例のない小惑星へのタッチダウン技術が、サンプルリターンに必須なのは言うまでもないでしょう。これらの技術は、将来、宇宙コロニーが実現した世界で大活躍するかも知れません。
「カプセルが地球に帰還、大気圏に再突入して回収」の部分は、サンプルリターンのみならず、日本が有人宇宙飛行を目指す際に有力な技術的裏付けを与えるに違いありません。
はやぶさは、素人がぱっと思いつくだけでもこれだけの(専門家から見れば荒唐無稽で的外れなものも含め)夢が広がるミッションだと思っています。

>kn氏へ。

イオンエンジンについては、浅利義遠氏の指摘通りかと思いますが、それにしても、何十年も前のアイデアに頼った将来計画ばかりのNASAにしては、先駆的・革新的で想像力溢れるミッションだったと評価されるべきDeep Space 1を引き合いに出して、「はやぶさだって予算と先進性についてNASAのミッションと変わらない」と主張するのは、個人的には公平さに欠けるように思います。もっとも、私は単なるミーハーな素人ですから、ISASにうまく操縦されてるだけだと指摘されたら、否定のしようがありませんが。

なお、上にも書きましたが、はやぶさに先行して打ち上げられたはるかでは、日本電気製のリアクションホイールの4台中2台が停止し、三軸姿勢制御が維持できなくなり、ミッション自体が中断・終了してしまいました。はやぶさではアメリカ製のリアクションホイールを採用しています。3台中2台が故障しましたが、三軸姿勢制御は維持できました。これをどう判断すべきかは、素人の私には何とも言えません。
ちなみに、はやぶさ後に打ち上げられたきらりのリアクションホイールも4台中1台が故障しましたが、このリアクションホイールがどこで作られたものかは、恥ずかしながら不勉強な私は知りません。
kn氏の「日本はリアクションホイールという棚の上の技術にまだ手が届いていない」というのは正しい認識だと、私も感じます。以前の12月15日07:53 PMのコメントでも書いたように、「競争力のあるバルブやリアクションホイールを国内で開発生産できるようになるまで、官需などで関連企業を支援する必要はないのか、支援したとして将来的にペイするのか」という議論が盛り上がれば嬉しいなぁ……と私は思っています。
スラスタ燃料系の不具合は、想定外着陸の影響を否定できないので、素人の私が今ここでコメントする事は差し控えたいと思います。

はやぶさへの評価については、私個人に限っていえば、多分に情緒的な感情が混じっています。専門的な技術的考察は、専門家に譲ります。

浅利様
ディープスペース1も、イオンエンジンで航行して惑星に複数回接近したのですが・・・
最初に積んでいたのが31.1 kgのヒドラジンと 81.5 kgのキセノンだったという事実からも、明らかでしょう。

あと、はやぶさも「イオンエンジン1000h稼動で100点」のプロジェクトと主張しているのでは。

浅利様のコメントは事実関係を踏み外したものと受け取りました。
せっかく関連URLを載せておいたのですから、お読みください。

knさんの、

> すみません、はやぶさのイオンエンジン航行は、どの部分が先進的なのでしょうか?

という点について、いちおうまとめておきます。

従来のカウフマン式、リングカスプ式といったイオンエンジンは、プラズマ放電に使用される電極が劣化することにより、動作寿命に上限があること、また大気暴露にも弱いため、地上での取扱いが非常に煩雑になるという欠点があります。(DS1はリングカスプ式)

ISASが開発した「はやぶさ」のマイクロ波イオンエンジンは、電極そのものを使用しない方式です。構造も簡素なため、従来のものと比較して、
・長寿命と信頼性が期待できること
・予熱が不要で即座に作動させられること
・必要な電源数を削減でき、システムの軽量化が可能
等の利点がある、と謳っています。

以下のリンクに解説がありますので、どうぞ。
http://www.isas.ac.jp/ISASnews/No.230/ken-kyu.html
http://www.ep.isas.jaxa.jp/ecr/principle.htm

Bartok様、事実関係を押さえた解説、ありがとうございます。


ここから先はイオンエンジン絡みの評価に関する私の感想です。
・確かにはやぶさのイオンエンジンは新しい種類であり、これは宇宙技術への貢献である。
・しかし、ディープスペース1もイオンエンジンで大遠距離を航行したという実績はすでにある以上、今回のはやぶさのイオンエンジンをもって「惑星探査において他国より抜きん出た技術を獲得した」という印象を与えるような説明はフェアではない。少なくとも専門家が非専門家、特にメディアに対して行うことはよろしくない。

フライバイとランデブーに要する技術的難易度と機械的信頼性の必要度を簡潔に述べよ。

藤野さん
フォローありがとうございます。感情的なやりとりが続いて、少々神経が参りました。そのような方向にならないよう留意しながら書きますので、もしまだおつきあいいただけるようならお願いします。

とりあえず、私のコメントを引用されている部分で誤解を受けそうな点を挙げておきますのでよろしくお願いします。

>「目的」の為には、いたずらにリスクを高める(語源通りの意味で)蛇足であると主張されている

探査結果重視の見地に立ったときに技術開発は余裕のあるときに、という旨は書きましたが、「いたずらに」「蛇足」とまでは言っていないので、それは勘弁してください。

>「金星に比べ、火星探査に成功したら、一般へのアピール効果も抜群で、(masamich氏が考えたようなプロセスを通じて)国民の支持も増し、それまで我慢していた観測や工学実験もできるようになる」とも考えていたに違いありません。

私は、金星にしていたら成功の見込みが高かったかもしれないと感じましたが、ここで私の名前が出ると、逆に取られそうです。

>(masamich氏が事前に見抜いたように)「探査機自体にしろ飛行計画にしろ、組み立てが少しリスキーすぎると感じます」と臆病になっていてはいつまでたっても日本が惑星探査に乗り出せなかったであろう事情は、

私は、リスキーだから乗り出すべきでない、ではなく、探査だけでもリスキーなのだからもっとリスクを減らして乗り出すべきではと書いたのです。そのまま適用すると、「はやぶさ」は全く別の姿になっているでしょうね。あくまで探査結果重視の観点においてであって、工学実験を優先する場合はその限りではありません。

以上、よろしくお願いします。

浅利様
再び具体的な内容を伴わないコメントをされているようですが、礼節をわきまえない文面のようにも見受けられ、直接回答はいたしません。

「フライバイとランデブーに要する技術的難易度と機械的信頼性の必要度」ですが、特に簡潔でなくてもよいので、ご自身で考察してください。その結果、「ディープスペース1のイオンエンジンではランデブーは不可能」との結論でも出るようでしたらお教えください。あらためてお相手いたします。

なお、私(kn)以外へのコメントのおつもりでしたら、ご容赦ください。

こんにちは、いつも楽しく拝読させていただいております。カモノハシと申します。
(松浦さま、東条英機絵本の時にはコメントを入れる時期を逸してしまい申し訳ありませんでした。)

全くの素人がココに出された情報だけで組み立ててみました。
間違っていたら教えてください。

[前提条件]
・イトカワや小惑星帯以遠は遠い、とても遠い
・遠いところに行くには時間がかかる
・惑星間の宇宙は補給基地もないので出発時に全てを持ってかなきゃいけない

[従来型イオンエンジンの長所短所]
・既に実証がある程度済んでいる
・長時間運用に難あり
・大気暴露が問題になるためコストダウンに限界がある

[はやぶさ型の長所短所]
・地上での取り扱いが楽でコストダウンが見込める
・2万時間に迫る長期間運用が出来る可能性がある
・未知


つまり従来型で今回の様な事を継続してしようとすると
・長時間運用するか推力を大きくする必要がある
・従来型では不安
・多重化が必要
・推進系の重量が増える
・コストも増える
・観測機器やサンプル回収に割ける重量が減る

という状況が予想され、 kn 氏、 masamich 氏らの主張される調査を主体とする運用が出来なくもないが、金がかかる上に綱渡り的なものになる。
例え華々しい成果が上がろうが、「一発で終わり」にするならともかく、今後もコンスタントに小惑星帯以遠へ探査機を派遣するためには、綱渡り&高コストでやられるのは困ります。そこで今回新型で探査機を組み立ててみて従来型で同様の事をする場合と比較して、どう優れていてどう改善すべき点があるのかを洗い出す段階なのだと思っています。
私の支払っている税金はおそらく十円以下しか含まれていないでしょうが(笑)、一発屋でなく今後も同様の、又は発展的なミッションを行っていって欲しいと思っていますので、今回の手法や結果をそれほど悲観的にはみていません。

要は、「複数回の探査を行う」ことを前提に考えられている(と私が考えている)はやぶさを「一回のミッションでどれだけコストを抑え成果を上げるか」という視点で捉えるから辛口になるんじゃないかと思います。

[例え]
A地点からB地点まで物を運びたい。
短い距離なら人間が、よっこらせ、と運んだ方が簡単で安上がり。
でもある程度の距離を何度も運ぶ予定があるなら、台車とかベルトコンベア(場合によってはトラック)なりを用意した方がいい。
設備投資はある程度賭の要素があるし、初期費用はかかるが、それをしないと最終的には赤字ですよね。

>masamich氏へ。
masamich氏の思いはおおむね了解できたと思います。当然意見の異なる部分はあり(皆が皆、同じ思想思考なのは不健康だと私は考えています)、まだ私が誤解している点も多いようですが、masamich氏が日本の宇宙開発が発展していく事を(おそらく私よりも)強く希望されている事は、当初よりよく理解しているつもりです。
ただ、12月17日07:22PMのコメントでも書きましたが、はやぶさ打ち上げ当時のISASにとって、M-Vロケットで小惑星探査に挑むとしたら、はやぶさ以外にはありえなかっただろうし、はやぶさの選んだ道が最もリスクの少ない判断だったと、私は今でも考えているという事だけは、これまで通りに強調したいと思っています。

>kn氏へ。
kn氏にぜひお伺いしたい事があります。

kn氏のご推察のように、私はただのミーハーで感傷的な夢追い人(?)に過ぎません。単純馬鹿がプロパガンダか手前みそ報道に踊らされ一喜一憂しているだけと批判されても、(それが私個人への批判である限り)否定はしません。ネガティブな情報も包み隠さず公開している(ように見える)、一歩間違えば世界中に醜態を晒しかねないライブ中継までして、何か困難な事に挑んでいる──情けなく日常に追われて生きる私に夢を与えてくれる、そんな人間たちの言う事を信用し、彼らが何を成し遂げ、どんな地平を切り拓いたのかを、もっとよく知りたい(出来れば、より多くの人にも知ってもらいたい)という気持ちになったのは、まぎれもない事実です(その為に、まったくの素人のくせに、専門家も集うこの場で必要以上にしつこく見苦しく出過ぎた、時には見当違いの発言を執拗に繰り返している私の言動に対しての非難は当然の事だと思います)。

さて、kn氏は、12月17日12:57PMに「それは情緒的な感想でしょうか。それとも上記のような事実を踏まえたうえで、あえてそのような判断評価をされているのでしょうか」と尋ねていますが、私のような人間が、はやぶさを高く評価し、声を(必要以上に)大きくして職場・家庭・ネット上などで応援する事は、日本の宇宙開発にとってマイナスだと、kn氏は考えていらっしゃるのでしょうか。
「うまく操縦されたマスコミや素人に乗せられた状態では危うい」とか「この程度で調子に乗らせていては、いつか取り返しのつかない事になる」とか、あるいはもっと悲観的な事態を危惧して、呆れつつも苦々しく警鐘を鳴らしていらっしゃるという事なのでしょうか。
kn氏の本心をお聞かせ頂けると幸いです。

私としては、心を動かされた素人は決して素人のままではいないという事は指摘しておいても許されると思います。もっとも、私の場合、「で、要するに成功だったの、失敗だったの?」のレベルだった10年前から、未だにこの程度の(kn氏から見ればお話にならないほどの貧弱な)レベルまでにしか成長できていませんが、これは私の資質の問題ですので、判断材料から除外して頂きたいと願います。

ついでにもう一つ。

>kn氏「12月14日の川口氏の会見内容は、はやぶさの意義や先進性を他国との比較も交えて述べた部分について、それが全体としてフェアで、国民に正しい判断材料を与えるものだとお考えでしょうか」

素人の私には判断しようがありませんから、専門家の意見を待ちたいと思います。もし、すでにそういう意見が公開されているのだとしたら、ぜひとも紹介して頂きたいと切に願います。
単純な素人である私としては、この部分に対して、懐疑的にならなければならない材料がない──というのが正直なところです(しかもこれを語ったのが、これまで、ネガティブな情報も包み隠さず公開し、一歩間違えば世界中に醜態を晒しかねないライブ中継までしてきた人間ですし)。今のところ、はやぶさの意義について否定的な専門家の見解は、毎日新聞での中冨信夫氏のコメント↓
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/kagaku/news/20051208ddm003040023000c.html
くらいしか見ませんし、この見解は、僭越ながらも私のはやぶさへの見方を覆す(または考え直させる)ほどの影響力をもたらすものではありませんでした。

藤野様、皆様
knでございます。

ここでのやり取りもだいぶ長くなってしまい、私の論点もほとんど出尽くしています。
また、ここでの発言はknという匿名の形ではありましたが、公開された場所での発言なので事実関係での誤りが無いよう、JAXAの発表だけでなく、NASAやその他の公開情報の原典にも多少はあたるなど、かなり時間をかけており、負担にもなってきました。今現在、議論が詳細、あるいは循環に入りつつあると感じているので、このへんで私は退場させていただこうと考えております。
浅利様の宿題提出、あるいは新たな論点が出ない限り、今後の投稿は控えます。

最後に、コメントいただいている点について述べます。

<イオンエンジン関係>
はやぶさが新しい種類のイオンエンジンを地上試験を経た後に4個(冗長に)搭載したことは何等問題はなく、この動作を宇宙空間で実証できたことは宇宙技術への貢献であると考えています。
ただ、はやぶさのイオンエンジンに比してディープインパクト1のそれが「信頼性、コスト、等々で劣っている」というのは、NASAのサイト他をざっと見た限り、そのようには思われませんでした。
技術的背景を持たない方でも「ディープインパクト1が現実に太陽から3億キロ以上離れたところまで飛んだ」という事実から、「はやぶさのイオンエンジンは、本当にそんなに画期的なのか?具体的にはどの程度の違いがあるのか?」という疑問、質問は出て当然と思うのですが、ISASの文章のみから一気に判断されている方が多いように見受けられたのは残念でした。
宇宙用イオンエンジンに関してはネット上で検索すればISAS発以外の資料も沢山出ますので、ご興味のある方はお調べください。「推力」という視点で比較すると、また違った感想が出るかもしれませんよ。


<私の投稿の意図>
これは、実は初回の投稿で私が述べた下記の範囲を出ません。

>宇宙開発において最も厳しいのはマスコミや素人評論家ではなく、「一発勝負、修理なし」という逃れることの出来ない宿命そのものです。

500点満点の採点表を公式な場に提示する組織に、これについての了見覚悟があるとは到底思えません。(要素技術開発ではなく)今の宇宙プロジェクト管理が「教授-助教授―助手」といった組織の手に余るようになったというのが根本背景にあると考えます。
(この認識をもたらした個々の事実は、私の今までの投稿の中にあります)

はやぶさの現状を「これで良し」とするなら、次も今のままです。
私はそれでは、(組織は守れても)日本の惑星探査は信頼性でつまずいて、結果的に衰退の方向へ向かうのではないかと危惧します。次回の予算がつけばよいと言うものではありません。
「これで良し」とする声が大きすぎ、弊害が出ると考えます。
私は微力ながらこの点に注意をうながすため、「事実」にこだわりながら指摘を続けてきました。

宇宙開発は全く工学的な技術の蓄積であり、「現実に壊れている」-「何故か」-「どうすれば再発しないか」という、どの工学分野でも不断に行われている議論がはやぶさ関係でももっと盛んに行われることを期待しています。

kn氏へ。

イオンエンジンについて、ISASなどの発表を鵜呑みにしていた私個人に対しての批判と、新たな視点を提示して頂いた事には感謝します。Deep Space 1の事は当然知っていて、その上で、はやぶさチームはあのような事を言っているわけで、さらにそれに対する専門家の指摘・批判も全く目にしなかったので、懐疑的に判断する事を完全に放棄していました。Deep Space 1チームや関係者による批判はまだ見あたらないようですが、Deep Impactチームによる批判などとともに、今後注意深くウォッチする事にしましょう。

しかし、次の点に関しては、到底納得できません。

>kn氏「宇宙開発において最も厳しいのはマスコミや素人評論家ではなく、「一発勝負、修理なし」という逃れることの出来ない宿命そのものです」

のぞみをくぐり抜けてきた彼らに、「惑星探査機は何が起きても、とにかく生き残りミッションを完遂する事がなによりも大切である」という思想が、骨の髄の隅々にまで浸透していないなどとは、到底信じる事が出来ません。「一発勝負、修理なし」という宿命に対して、長い時間をかけ開発に取り組み、人生の全てを賭ける覚悟で立ち向かっている姿にこそ、人々は感動しているのではないでしょうか。

この点で、kn氏は、「「事実」にこだわりながら指摘を続けてきました」という事ですが、私の12月12日07:24PMのコメントでの「フライトモデルの機能確認の難しさ」「地上過酷試験のデザインの困難さ」「評価用の機体や部品による過酷試験のコストの問題」、12月14日04:04PMのコメントでの「のぞみ以前の成果・実績と、のぞみで得た経験のフィードバック」、12月17日07:22PMのコメントでの「はるかがリアクションホイール故障でミッション中断・終了して以来、日本がリアクションホイール故障でミッション失敗に追い込まれた例がない事」「競争力のあるバルブやリアクションホイールを国内で開発生産できるようになるまで、官需などで関連企業を支援する必要はないのか、支援したとして将来的にペイするのか」といった事については、どのようにお考えなのでしょうか。

そして何よりも、私が何度も何度も「それは、すでにのぞみミッション終了の時点で分かっていた事です。その時点で(実際にはそのかなり以前の時点で)、ISASは注力の方向性を変えていたのです。だからこその「工学実験衛星」だったのでしょう。14日の川口プロマネの会見では、基本的技術の信頼性確保に向けた十分なデータ取得と経験蓄積に自信を見せているように思えます」「今のISASにこの点を心配する必要は、私は感じません。外野がことさらうるさく監視しなくても、徹底的に検討されるでしょう。そもそも、今回のはやぶさミッションの最大の目的はそこにあるのですから」と強調している点について、それを否定する「事実」は一体どこにあるのでしょうか。
私のような、ISASの手前みそに簡単に踊らされるミーハー素人の駄文など、読むにも値しないという事なのでしょうが、是非ともkn氏の本意を知りたいところです。

今、ネット上などで、苦闘を続けるはやぶさを応援し、これまでのはやぶさの成果を高く評価している一般の人々が、全てが終わった後に、「はやぶさの現状を「これで良し」とする」と、kn氏は本気で思っているのでしょうか。
アポロ13号当時、私はまだ生まれる予定もありませんでしたが、アポロ13号の帰還を祈り、無事帰還した時に「偉大なる失敗」を讃えた多くのファンは、アポロの現状を「これで良し」としたのでしょうか。
12月15日07:53PMのコメントで書いたように、少なくとも、私のまわりでは、「本気で惑星探査を志すならば海外に専用の受信局を持つべきではないのか」とか「競争力のあるバルブやリアクションホイールを国内で開発生産できるようになるまで、官需などで関連企業を支援する必要はないのか、支援したとして将来的にペイするのか」とか「M-Vで厳しいのなら、積極的にH-2Aのピギーバックを使う事は出来ないのか」とかいった議論は盛り上がっています。

kn氏は本当に、このままでは、「「現実に壊れている」-「何故か」-「どうすれば再発しないか」という、どの工学分野でも不断に行われている議論が」はやぶさでは十分に行われないと本気で考えているのでしょうか。もし、本気でそう考えているとしたら、(kn氏がどのような背景をお持ちで、どのような立場の方なのかは存じませんが)とてつもなく現場の人間を愚弄していると思わざるを得ません。

>>藤野様
横槍的ですみませんが。

おそらく、kn氏は現場の方達(JAXA運用チーム各位)を軽んじたり愚弄してるのではなく、
「工学実験・研究」の姿勢として、警鐘を鳴らす意図ではないかと思います。

「はやぶさ」運用チーム各位には、最後の地球帰還ミッション完遂めざして、是非、今後も頑張って欲しいと思っています。

しかしながら、
「のぞみ」、「はやぶさ」と2世代の国産惑星間探査機がいずれも、トラブルに見舞われ「現実に壊れている」というのも事実。

(現在も、現場のスタッフ各位は情報分析、原因調査究明に御尽力頂いてる状況である事とは察しますが。)
何処かのタイミングで、スタッフ各位に『冷静な,客観的な,科学的な』視点で「はやぶさプロジェクト」を(各位それぞれの立場で)分析・反省して頂く必要があるはずです。それは、単なるプロジェクト反省会ではなく、宇宙開発技術者(プロ)として学術的・技術的検証を実施する意味での分析・反省。そして、次のプロジェクトへのノウハウ継承となる様なポジティブな分析・反省。
#多分、「何処かのタイミング」=「はやぶさミッション完了(停波指令発信)の後」だと推測しますが。

上記のタイミングで分析・反省をする折に、
Kn氏が指摘されている、
「(はやぶさは)現実に壊れている」-「何故か」-「どうすれば再発しないか」
という着眼点が必須になってきますよね。
この、冷静な科学的・工学的分析が無いと、次の惑星間探査機(「はやぶさ2号」かどうかは別として^^;;)も同様の「大いなる大失敗」を繰り返す事になてしまいます。
#そうなって欲しくないです。

kn氏へ。

「事実」を重んじるkn氏に、ISAS発表に踊らされて感情的になっている素人の印象を垂れ流してても仕方ないでしょうから、私が、イオンエンジンについてISAS発表を鵜呑みにしてしまった遠因を、言い訳がましく提示しておく事にします。

MASAのサイトでは、August 11, 2005の段階で、はやぶさを次のように紹介しています。
http://neo.jpl.nasa.gov/missions/hayabusa.html
-----【以下引用】----------
While the scientific knowledge of near-Earth asteroids will be significantly advanced by the Hayabusa mission, the primary goals are to test four advanced technology systems: the electric propulsion (ion drive) engines; an autonomous navigation system; the sample collection system; and the sample capsule that re-enters the Earth's atmosphere.
-----【引用終了】----------
さらに、以下のURLからは直接ISASのはやぶさページにリンクしています。
http://www.nasa.gov/missions/timeline/current/current_missions.html
はやぶさチームの発表や、はやぶさページの記述について反論がある様子は見当たりません。

また、kn氏が勧められた通り、推力について、ざっと調べてみました(何が悲しくて推力の極めて小さいイオンエンジンなどを開発しているのかを考える時、推力を比べる事にどれほど価値があるのかは疑問なので、ここでは比推力に注目してみましたが……この点について不勉強な私にご教示頂ければ幸いです)。
はやぶさの場合:比推力2900秒
http://www.hayabusa.isas.jaxa.jp/j/outline/ion-engines.html
Deep Space 1の場合:比推力1814~3127秒
http://nmp-techval-reports.jpl.nasa.gov/
確かに、kn氏が主張するように、比推力で比べる限り、はやぶさもDeep Space 1もほぼ横並びかも知れませんね。すると、kn氏が別の論点で強く主張されている「信頼性・確実性・robust性」などで評価すべきであるとする主張がそれほど的外れではない印象を持ってしまいそうです(そうなると、12月17日09:10PMのBartok氏のコメントは再検討する必要があるかも知れませんね)。

いずれにせよ、Deep Space 1チームのコメントが出れば、はっきりする事なのでしょうけどね。誰かコメント取ってきてくれないかなぁ。
他にも、せっかくですので、小惑星への自律航法ランデブーのDeep Impactチームや、小惑星着陸(?)のNEAR Shoemakerチームや、サンプルリターンのStardustチームからのコメントにも注目しておきましょう(これらの技術に対してはkn氏のコメントがないようですが、これらの点でのkn氏の評価、また、私のような素人がこの点でもはやぶさを高く評価している事に対してのお考えなどを聞かせて頂ければ、勉強になります)。


てらぽん@藤沢氏へ。

>てらぽん@藤沢氏「何処かのタイミングで、スタッフ各位に『冷静な,客観的な,科学的な』視点で「はやぶさプロジェクト」を(各位それぞれの立場で)分析・反省して頂く必要があるはずです。それは、単なるプロジェクト反省会ではなく、宇宙開発技術者(プロ)として学術的・技術的検証を実施する意味での分析・反省。そして、次のプロジェクトへのノウハウ継承となる様なポジティブな分析・反省」

ですから、私はこれまで何度も何度も、それは必ず行われるはずだし、今はやぶさを応援しているファンは、それがちゃんと行われるかどうかに注目しないわけがない──もしも、ISASや宇宙開発ファンがこれまでそういう事を行ってこなかった、かつ、今回も行わないと考えてのこの発言なのだとしたら、ISASもファンも非常に侮辱されたと感じると思います──という事を強調してきました。

たしかに、のぞみ・はやぶさとトラブルに見舞われています。しかし、決して同じ失敗は繰り返さないし、robustさは飛躍的に向上しています。米ソが火星探査機を何度も何度も突然の通信途絶でそのまま為す術なくほとんど成果をあげられずに失っているという現実を振り返った時、私の評価はそれほど不当なものなのでしょうか。

私は逆に、今回のはやぶさによって、多くの宇宙開発ファンがかなり高いレベルにまで引き上げられた今、ISASは「次のミッションで下手はできない」という、これまで以上に強いプレッシャーがかかると思いますけどね。そういう形で良いスパイラルが出来ていって、現場とファンが互いにどんどんとレベルアップしていくなんて、最高だとは思いませんか。
(私は書き込んだ事はありませんが)2ちゃんねるでは、リアクションホイール(RW)について、はやくも、「そもそもISASの出した仕様書が不適切だった可能性だってある」「いっそRWを使わない為の代替手段を考えたほうが早いんじゃないか」「世界的に見てもこれだけ良く壊れるモノなんだったら、RWの運用実証の為だけに工学試験衛星を1機上げとくだけの価値があるかも」といった書き込みもあるようですよ。

カタログスペックだけを比較してもまっとうな評価にはなりません。
馬力と最高速で車の能力を比較するようなものです。
kn氏の書き込みに対しては「穴」の指摘しかしていませんでしたが(ちょいと本職が多忙過ぎて)そこの検証無くしては結論など出せません。
まずはds1とはやぶさの打ち上げロケットの能力比較をして下さい。
(以下続く…かも)

藤野さん、こんばんは。

たぶん、私は藤野さんの逆で、NASAの惑星探査に対する思い入れが強すぎるんでしょう。だから、どうしてもそれを基準に、現状からそこへ持っていくにはどうしたらよいかという線で考えてしまう部分があるのは認めます。「恐るべき・・」を読む限りは、当のISAS(JAXA)さえ、PLANET-B検討時点では、そのようになるターニングポイントがありましたよね(←誤解の場合は正してください)。もっとも、現実には別の道を選択し、のぞみの失敗と、はやぶさの現時点までの成果を経て、今後も同様の路線を進むのでしょうし、そういう路線に対して、藤野さんはじめ支持が得られているのですから、当面はそれを見守りつつ発展を祈ると言うのが現実的かもしれませんね。

私の最初のコメントのきっかけとなったミッション目的と達成度評価の話は、対外的な説明の仕方ですので、私自身はDoGさんがおっしゃるような「重箱の隅」の話とは、やはり思っていません。藤野さんご紹介のNASAのページも、別によそ様の計画を批評する場ではないと思うので、はやぶさページの記述について反論がなくても不思議ではないと思います。ただ、この話は「それで何が悪いんだ」と言われたら建設的な議論にならないと思うので、その場合は読み飛ばしてください。
「はやぶさ」では「星の王子様キャンペーン」をやっているので、例えば、旅行商品のパンフと考えてみたらどうでしょう?ある島への船旅に申し込もうとしてパンフの裏をよく読んだら、この船は新型のエンジンを積んでいて、主催者側は、とりあえず沖合いに出るまで動けば100点と書いてあったとしたら・・?

はやぶさとPLANET-Cの比較の話ですが、素人考えでは、PLANET-Cでは金星軌道投入(VOI)のためにそれなりの化学燃料が必要と思うのですが、はやぶさに置き換えてみたときは、現状のイオンエンジンにくらべて、どの程度ペイロードを圧迫するんでしょうね?また、いままで考えてもみなかったのですが、逆にイオンエンジンで金星や火星の軌道投入を行う具体的な手法が検討されているんでしょうか?これが可能なら、小天体以外の探査もかなり様変わりするように思います(というか、早く搭載した方がよい)。

横レスですが、てらぽんさんのおっしゃる「分析・反省して頂く必要があるはずです。」に対しては、藤野さんは、きっとやると信じてらっしゃるのですから、「大丈夫!きっとやってくれますよ!」と請合っておけばよいと思いますよ。てらぽんさんも、別にやらないと思っておっしゃったのではないでしょうから、あんまり力いっぱいレスされるとびっくりなさるのでは・・(^^;

以上、よろしくお願いいたします。

カモノハシ様

>という状況が予想され、 kn 氏、 masamich 氏らの主張される調査を主体とする運用が出来なくもないが、

とのことですが、カモノハシさんのコメント前の時点で、私自身は探査成果重視云々の話を、イオンエンジンに絡めて書いてはこなかった(もう少し一般論的には書いてきた)と思うので、できれば上記引用からは私は除外してもらいたいのですが・・

よろしくお願いします。

浅利義遠氏へ。

なるほど、確かに、デルタIIとM-5だと、比べるのもアレですね……。
http://spaceinfo.jaxa.jp/db/kaihatu/rocket/rocket_j/deruta_j.html
http://spaceinfo.jaxa.jp/db/kaihatu/rocket/rocket_j/myu_j.html
かなりひねくれた見方が許されるなら、全段固体のM-5だと、対振動・対加速性能の要求スペックもより厳しそうですから、kn氏が最も重視される「「一発勝負、修理なし」という逃れることの出来ない宿命」という観点から見て、はやぶさの方が高い信頼性を証明したと言ってもイイのかな(微笑)。

また、Deep Space 1のイオンエンジンが約1年10か月稼働して、74kgのキセノンを消費して4.3km/s加速したのに対し、はやぶさのイオンエンジンは、これまで約2年4か月稼働して、22kgのキセノンを消費して1.4km/s加速しているようです。
http://nmp.jpl.nasa.gov/ds1/tech/sep.html
http://www.isas.jaxa.jp/j/snews/2005/0829.shtml
寿命・信頼性という点でも、燃費という点でも、はやぶさのイオンエンジンに軍配が上がりそうです。しかも、はやぶさのイオンエンジンは、キセノンをそのまま放出して姿勢制御に用いるというイレギュラーな使い方をした上に、まだ帰還にも用いる事になるわけですよね。
kn氏が最も重視される「「一発勝負、修理なし」という逃れることの出来ない宿命」という観点から見て、はやぶさの方が高い信頼性を証明したと言っても許されるような気がしますね。

さらに、12月17日09:10PMのBartok氏のコメントでは、はやぶさのイオンエンジンは、理論上もカタログスペック上も、Deep Space 1のイオンエンジンに優る(特に、kn氏が最も重視される「「一発勝負、修理なし」という逃れることの出来ない宿命」という観点において優る)ようですので、ますます、はやぶさのイオンエンジンに軍配が上がりそうです。

ただ、素人考えですが、イオンエンジンは長時間噴射を続けるわけで、姿勢制御系(特にリアクションホイール)に過度な負担を強いる事は避けられないのかなぁ……などと考えないでもありません。今回のリアクションホイールの故障がこの点の評価を甘く見積もった事が原因かどうかは、私には判断のしようがありませんが……(見当違いの与太話だという事でしたらご指摘頂ければ幸いです)。

現在のところ、kn氏に新たな視点を提示していただいたお陰で、はやぶさのイオンエンジンについては、ISASの発表を信じても良いのかな……という気持ちがより強くなりつつあります。小惑星への自律航法ランデブーのDeep Impactや、小惑星着陸(?)のNEAR Shoemakerや、サンプルリターンのStardustなどとも、時間の余裕のあるときに、冷静に懐疑的に比較検討してみたいなぁと思います(NEAR Shoemakerはどちらかというと、クレーターの出来るような「衝突」だから、比較にはならないかな(微笑))。

浅利義遠氏の提示した(しようとした)論点とは、だいぶずれてしまいました。浅利義遠氏には本当に申し訳ありません。ただ、ちょっと調べてみた「事実」を紹介しておきたくて……。お許し頂けると幸いです。


masamich氏へ。

PLANET-B検討時点での話は、以前にも書いたように、masamich氏のご指摘通りと思います。

また、はやぶさの評価について、対外的な説明の仕方についての批判は正当であると認めています。失望を感じる人もいるでしょう。ただ、諸々の事情を秤に掛けた時、それは決して許されざるべきものではないし、メリットがデメリットを多少は上回っていると、私は感じているという事です。このあたりの判断については、多分に個人の価値観や信条が絡んでくるものであり、議論は平行線かも知れません。

私が紹介したNASAのページに、はやぶさページの記述への反論がないのは当然という指摘は、反論の余地がありません。興奮していたとは言え、かなり筆が滑りました。猛省します。
ただ、当事者のコメントはぜひ聞いてみたいという気持ちは変わりません。12月14日の記者会見で、責任者である川口淳一郎氏が「NASAのミッションはオフザシェルフテクノロジーである」と断じたわけで、それに対する当事者の気持ちというのは、一ファンとして野次馬根性的な興味をそそられます。不謹慎ですが(苦笑)。

はやぶさとPLANET-Cの比較の件については、専門家もしくは相応しい方がどこかで語ってくれるでしょう。もしくはすでに語られているかも知れません。私も興味があります。

「あんまり力いっぱいレスされるとびっくりなさるのでは・・(^^;」というご指摘には、心より感謝します。いま、私はかなり頭に血が上っている状態のようです。この事に気づかせてくれた事に感謝します。
しばらくは、頭を冷やそうと思います。masamich氏に限らず、多くの方を不当に不愉快にさせ、ご迷惑をおかけした事に対し、お詫び申し上げます。そして、何より、寛大にも一個人の暴走を見逃してくれていた管理人の松浦氏に謝罪したいと思います。申し訳ありませんでした。

てらぽん@藤沢氏へ。

上記のような事情ですので、虫のいいお願いとは存じますが、なにとぞ失礼をお許し頂きたいと思います。

藤野さん、おはようございます。

イオンエンジンがRWに負担をかけるかどうかは別にして、長時間連続して監視する必要がある点は、弱点かもしれませんね。噴射が長期間にわたると、加速中のトラブルで目標の軌道に到達できないリスクも高くなるのでは。はやぶさも少し遅れましたよね。従来型の化学ロケットであれば、道中数回の噴射でよかったわけですからね。化学ロケットだって配管等の不具合が生じれば同じ事なので、このあたりは総合的な信頼性の問題と思いますが。

キセノン噴射の裏技には、私もたまげました。(^^;

「『NASAのミッションはオフザシェルフテクノロジーである』と断じたわけで、」ということについては、単に両者の目指すものが(現時点では)違うと言うことで、必ずしもどちらがよしあしということは無いと思います。川口教授自身もそこまで考えてないのでは。個人的には、ISAS(JAXA)を応援するときに、とかくNASA批判的なトーンになりがちなのは、少し違うなあと感じています。日本の宇宙開発がNASAに負けているとしたら、原因は第一に日本政府や私達日本国民にあるのであって、いくらNASAを批判しても始まりません。
(「恐るべき・・」も少しNASA批判のトーンが強すぎるように感じる部分がありました。火星衝突を回避する部分で、ガリレオの木星突入を引き合いに出すのは、ちょっとやりすぎと感じました。エウロパ衝突を回避したほうが評価されるべきと思うのですが・・。素人考えでしょうかね。)

DS1とはやぶさ、この2機の探査機を比較した時、そもそもの打ち上げロケットに大きな違いがあります。デルタ2とM-V、能力で大雑把に倍以上の差があります。
DS1打ち上げ時のデルタ2の果たした仕事のデータが見つけられないので、断言まではできませんが、DS1はイオンエンジンを作動させるまでも無く、地球軌道より外側に(それがどこまでかは、データが見つけられていないので不明)行けるだけの速度を得ていた事は間違いありません。

一方、M-Vで打ち上げられたはやぶさは、小惑星のある軌道にまで達するだけの速度を得ることは出来ていません。スイングバイを行ない、搭載したイオンエンジンにより増速することで軌道を外側に押し上げ、小惑星イトカワへと至りました。はやぶさのイオンエンジンは最初から「手段」として実用に使われている事になります。

DS1に話を戻すと、自体がイオンエンジンの力で小惑星にたどり着いたか?と言うと、先述の理由で正しい表現とは言えないわけです。
搭載されたイオンエンジンの総運転時間と、それを運用し続けたスタッフの成果を微塵も貶める気はありませんが、実用という観点で比較した場合、2001年9月の彗星フライバイ以降、運用停止を迎えるまでの間はエンジンの実証試験の為の噴射であり、噴射自体が目的ということになります。

ガチガチの実用としてイオンエンジンを搭載したはやぶさと、実証試験として搭載したDS1では、探査機に対しての意味合いが相当に違うわけです。

これを「イオンエンジン」「運転時間」「小惑星探査(ランデブーしながら観測し、かつ着陸・離陸するミッションと、近傍をフライバイ観測する、どっちを上とかは言いませんが、両者をひとくくりで同じ「小惑星探査」で片付けるのはかなり乱暴な話では?)」という要件だけで等価と決め付けるのはどうにも理解も納得もできない。

そういう話です。言いたかったのは。

>浅利義遠氏「DS1打ち上げ時のデルタ2の果たした仕事のデータが見つけられないので、断言まではできませんが」

DEEP SPACE 1の打ち上げについては、Press Kitが公開されていました(pdfファイルですので要注意)。
http://www2.jpl.nasa.gov/files//misc/ds1launch.pdf
私は英語が苦手なのですが、10ページからの「Mission Overview」によると、打ち上げ47分後に第2段ロケットによって地球重力圏を脱出するのに十分なエネルギーを獲得し、その後第3段ロケットの燃焼が終了して、惑星間空間への軌道に乗り、打ち上げ54分後から深宇宙での技術実証ミッションを開始する──と読めます。誤読があれば訂正願います。

一方、M-Vは──はやぶさはイトカワに辿り着くのに、地球スイングバイまで要する事になったわけで、こちらは資料の提示は必要ないでしょう。

kn氏に倣って「事実」にこだわってみました。浅利義遠氏、kn氏の参考になれば、これに勝る喜びはありません。


masamich氏へ。

NASA批判の件については同感です。そもそもNASA批判のつもりはありませんでした(川口淳一郎氏もそう言っていますしね)。私は、「中国が有人宇宙飛行をした。日本は負けた」とか騒ぐような人間にはなりたくないと思っています。NASAの人間にコメントを求めれば、当然大人な対応が返ってくるでしょう(でも、やっぱりワイドショー的な興味は残ります。よくご承知の通り、私は人が悪いんです(苦笑))。
まぁ、ISASを応援する時に、比べるモノといったらNASAくらいしかないわけで、「NASAに比べてこれだけ頑張っている」というのが一番簡単で手っ取り早い方法なわけで、それが「NASAを不当に貶めている」と思われるのは、致し方ないのかも知れません(有名税の一種?)。私自身は、今後、書き方に注意するようにしましょう。
なお、私個人としては、松浦氏のブログの文章・川口淳一郎氏の記者会見のコメントを含め、ここ最近、この場で明らかなNASA批判をしたと感じるコメントはなかったと思っています。

以上、冷静にコメントできているでしょうか。

masamich 氏へ
イオンエンジンに限定した場合、確かに問題がありますね。
申し訳ありませんでした。
前回の書き込みをするときに、
December 12, 2005 06:58 AM
の投稿で
> この点についてはその逆のことを考えてしました。もし、私が希望するように探査が主目的であれば、欧米に比べれば惑星探査機を飛ばした実績が少ないのであれば、とりうる限り安全な方法をとるべきではないかと。だとしても日本にとっては始めてのチャレンジになるのですから、ましてや世界で始めての技術をてんこもりにする必要はないのでは、とは思っています。主目的があくまで工学実験であればその限りではありませんが、個人的には、やはりそれは予算の余裕がある中で、と感じてしまいます。
と仰っていて、キャンペーン応募の経緯なども読むと
・日本の宇宙開発には予算がない
・どんな形であれ日本が探査機を飛ばせば評価される
であるから失敗の危険性がある、金のかかる新規技術開発は後回しにして、観測主体のミッションを日本は行うべきだ。という風に読めるので、当然イオンエンジンに付いても同様の意味だろうと思っていました。
「主目的があくまで工学実験であれば」とありますが、これは日本は主目的に工学実験を持って行くべきでない、というご意見で意味をなさなくなっていると思います。

旅行商品のパンフの話
確かにあのキャンペーンの説明はいまいち誠実でなかったかも知れません。
けれどあれは、「普段は行くのが難しい」「ある島」へ行くために開発された「新型船」がある。その「新型船」はテスト航行で「ある島」へも行きます。「ある島」へ行くそれに乗りませんか?
ってな物だと思っています。
島へ行くのが目的の方には、ふざけるな、の一言でしょうが、新型船に乗るのを目的とする方もおられますし。。。
とどうでも良いことにコメントしてみました。


kn 氏へ
イオンエンジンの性能を現時点で達成できている部分のみを取り上げておられるように感じられますが、それは少し違うように思います。(違っていたら申し訳ないです)
コストについての資料がほとんど見あたらないのでなんとも言えませんが、従来型と同程度の性能を出すことが出来るなら、コストのかからない物を作れる可能性が高い方、を開発する技術として目指すのが悪いのでしょうか。
短期的には既存の技術を使いそれに習熟するようなミッションだけでもいいでしょうが、予算の限られている現状(これについては私は悲観的でそうそう増大しないだろうと思っています)を考えると中期的にはコストと成果のバランスをとらなければならなくなります。(長期的な展望を考えるだけの材料&能力がなくて書けませんが(汗))
それを考えると、現時点において高く付こうが危険性が増そうが、それを認識した上で天秤に掛けるなら、他国にない得意分野を築けるような技術を開発すべきだと思っています。
ISASにそういった認識が無いのだとしたら危なっかしくてみていられませんが。
私の個人的な感想ですが、宇宙開発は他の分野に比べて謙虚に報告される方が多いように感じられていました。それもありISASがコストダウンを利点にあげているのをみて、また、それを否定するような情報が見あたらないので、おそらく正しいのだろうと思ったのですが、騙されているのでしょうか?確かにイオンエンジンの性質から見た、太陽から遠い場所での運用が非効率であるなどのことは出ていませんでしたが、それはイオンエンジンとしては従来型も同じですし。

各位は,まず,JAXAの言うミッションサクセスクライテリアを理解してから議論すべきではないか? 以下に,その参考となるであろう資料を提示するが,各位はそれらを読み,理解しているようには思えない。長々と議論をするのであれば,議論の元となっているものにあたるのが筋ではないか?
NASDA/JAXAにおいて,打上げ前に明示されたのは SFU が最初だと思われ,サクセスレベルをミニマムサクセス,サクセス,サフィシエント,およびエクストラの4段階としていた。が,現在のようなミッションの成否を評価する基準としてではなく,複数の関係機関のミッション到達レベルを合わせるのが主目的だったと思われる。よって,今回の議論の対象とは異なると考える。
ミッションの成否の評価基準としては,下記 URL にある MDS-1 が最初だろう。プロジェクト開始当初から設定したわけでは無いようであるが,内容が具体的である。

ミッションサクセスクライテリアの例(MDS-1)
http://www.nasda.go.jp/press/2001/11/mds1_011114_j.html

また,以下の URL は,平成13年06月11日(月)の宇宙開発委員会 計画・評価部会(第4回)議事録である。この中の最初のISASの報告の質疑応答で,冨田特別委員および長柄部会長がプロジェクト評価法に関して質問しているあたりに注目されたい。
その質問に対するISAS側の回答で,

「今まで宇宙研の衛星ではそこまで厳しい事前の評価をしたことは多分ないと思うんですが、おっしゃるとおり必要かもしれません。私の個人的経験で言いますと、SFUをそれこそ栗木先生と一緒にやったときにそういうことをやりまして、ミニマムサクセスとサクセスとエクストラサクセスとクライテリアを作りまして、たしかやった経験がございます。少しずつそれも考えさせていただきたいと思います。」(下記URLより引用)

http://211.120.54.153/b_menu//shingi/uchuu/minutes/gijiroku/02/04.htm

としている。実際,JAXA HP にて"ミッションサクセス"を検索すれば,最近のプロジェクトのそれが多く得られる。

更に,長くなるが高柳特別委員の発言を続けて引用したい。これは,工学ミッション衛星と惑星探査機との議論に関して,参考となろう。

「工学ミッションですから、そこまで聞かない方がいいのかもしれませんが、NASAですと小天体が何で注目を集めていて、こういうミッションがあって、これはこういうことを調べると。この間のEROSのミッションでも広報の仕方としては、撮影された写真の発表だけとはいえ、例えばヴァレンタインデーの日に周回軌道へ入れてから1年目の発表とか、一般の人にサイエンティストが何を望んでいて、全体として最終目的はこうだが、このミッションではここまでひょっとしたらわかるんだという全体像の中での目的がきれいに示されているんです。だから、今、小天体がある分野の中ではサイエンティストにとってホットな話題で、その中でMUSES-Cは工学ミッションにしろ、成功したらどんなことを最終的には望んでいるのかとわかるような、そこまで広げたプレゼンテーションが欲しいという気がしたんです。」(同URLより)

MUSES-C,いわずと知れた"はやぶさ"のことである。

藤野さん、カモノハシさん、こんばんは。

藤野さん
私は「中国に負けた~悔しい~!」というタイプですね。(^^; 別に政治的な意味ではなく、日本もその方向で投資していればなあ、という口惜しさでしょうか。こうなることは、もう何年も前から分かっていたことではありますが。独自の有人飛行ができないよりできたほうが圧倒的によいと思います。
JAXA(ISAS)との比較相手ということなら、NASAよりもESAがもっと上がってきてもいいように思いますね。

カモノハシさん
新たに引用された部分の解釈は、
・「どんな形であれ日本が探査機を飛ばせば評価される」→「探査機を飛ばすからには、評価されるには目標として掲げた観測を成功させる必要がある」
・「であるから失敗の危険性がある、金のかかる新規技術開発は後回しにして、観測主体のミッションを日本は行うべきだ。」→「であるから、新規技術の実証等、ミッション失敗リスクを高める要素は必要最小限にするべきではないか(個人的にはそうしてほしい)」
・・・という風に読まれるよう書いてきたつもりだったのですが、まだ誤解を生じるようなら再度コメントします。

「新型船のテスト航行」の件は、そのように納得ずくで応募した人も当然数多くいたでしょうから、それはそれでいいのではないでしょうか。肝心なのは、応募者が旅の諸条件をきちんと理解できるようになっていることだと思います。

上記含め私がここで投稿した件については、そろそろ話題も尽きてきた感があるので、時間を見て自分のブログにでも感じたところをまとめておこうと思います。

以上、よろしくお願いします。

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 「はやぶさ」に関して最新情報が出ました。 [https://smatsu.air-nifty.com/lbyd/2005/12/127450_22cc.html:title]  現状では、帰還に向けた用意は、徐々に出来つつあるといった状態の模様。  姿勢が大きくズレていたため、イオンエンジン用のキセノンガスを中和機のノズルから噴射するという”裏技”を使い、姿勢は回復の方向へ。  その結果、ミディアムゲインアンテナによる通信が回復したので、「はやぶさ」からデータを受信。ところが、送られてきた記録の中に... [Read More]

» [科学技術]「はやぶさ」現在の状況 [日々題]
いつも参考にさせてもらっている松浦晋也のL/Dによると、試料採取用の弾丸は発射されなかった可能性が高いことが明らかになったそうです。一度は確実と言っていたのですが、とても残念です。相互に矛盾するようなデータも含まれているそうなので解釈に困っているところもあるのでしょうし、イトカワから離脱した後しばらくは著しく通信が困難になっていたので、今頃になって分かってきたのはそれでもかなり前進でしょう... [Read More]

» ハヤブサちょっとだけ復帰 [まさひこの部屋]
いつものように松浦晋也のL/Dから探査機ハヤブサ・小惑星イトカワの話題。 不調のまましばらく情報が無かったが、記者会見にて新しい情報があり。 「化学エンジン(スラスター)が復帰せず、キセノンガスを用いて若干の姿勢制御。」 なんだかどういうことなのか判らず、読...... [Read More]

» [JAXA] はやぶさ、試料採取用弾丸の発射を確認できず [HOGSHEAD]
それなりの証拠で確認取れるまで喜ぶべきではなかった、と言うことは容易いし、それが当然だろう。しかし、イオンエンジンの長期稼働など、はやぶさの所期の目的はすでに達成しているわけよ。そしてトラブル続きを乗り越えた状況を考えると、シーケンスの終了で成功を確信したことを責められるだろうか。そこをあえて責めるのがマネジメントなのかもしれんが、俺のぬるい日常とは比較にならないから俺には何とも言えない。データ解析す... [Read More]

» 「はやぶさ」弾丸が発射されなかった可能性 [Blogum]
 12月7日 午後4時50分 JAXA東京事務所 出席者 川口淳一郎プロマネ 的川泰宣教授 「11月26日の第二回着地で、弾丸が発射されなかった可能性が大。スラスターは依然回復せず。イオンエンジンを使って姿勢の制御を実施。イトカワ出発は14日以降。帰還計画は検討中。....... [Read More]

» [宇宙開発] 「はやぶさリンク」:12月7日午後4時50分からの記者会見 [岩日誌]
宇宙探査機・工学実験衛星「はやぶさ」は、代替手段を用いたある程度の姿勢制御によってミドルゲインによる通信が回復した模様。 会見の情報から事故の経緯をまとめると… 何らかの理由で探査機上部から燃料(ヒドラジン)が流出 気化熱で温度低下→姿勢制御用スラスター凍結? 姿勢の安定性が得られず太陽電池パドルに十分な角度が得られず発生電力の低下 システムダウン これによりデータ保存領域のパーティション情報が消去されるなどの影響で、一部データを紛失したようですが、何とか復元できた断片的なデータから推測すると岩石サ... [Read More]

» しぶとい はやぶさ [三式雑記]
昨日の記者会見によると、はやぶさの状況はとても深刻なようだ。 (松浦晋也のL/D) https://smatsu.air-nifty.com/lbyd/2005/12/127450_22cc.html >>赤旗 キセノンガスによる姿勢制御は最初から想 [Read More]

» 期待を裏切らないコメント(勘弁してよ…) [LangEdge Weblog]
苦闘を続けている「はやぶさ」。先日書いたようにトラブルの真っ最中だ。ISASのリリースを受けてマスコミも記事を出している。 毎日:探査機はやぶさ:「成功」一転失敗 いったいどうしたの? ところで上...... [Read More]

» 頑張れ、はやぶさ! ところで君はいまいずこ? [町人思案橋 (時事と常識戯問7問/平日)]
●●★●●●●7問中3問目 問題:「はやぶさ、金属弾発射せず…岩石採取出来なかった?」(YOMIURI ON LINE 051207)●日本国民をハラハラさせるのが上手な「はやぶさ」です。いろいろな機器の不調から、帰還すら確実とはいいかねる状況のようです●ところで、12月6日現在、はやぶさはどこで何をしているのでしょうか? □ 地球から2億5000万kmの場所で地球に向かって飛行中 □ イトカワから550kmの地点で帰還の準備中 □ さらに太陽から遠ざかり、イトカワから200km...... [Read More]

» はやぶさ現在の状況 [junのきまぐれ日記]
ちょっとショッキングな事実。2回目の着陸の際に弾丸発射(つまりサンプル回収)が行 [Read More]

» Bullets were not engaged? [5thstar_管理人_日記]
JAXA/ISAS held a press briefing on the 7th on the status of Hayabusa. A space journalist Shin-ya Matsuura's blog records the statements by JAXA, followed by the [Read More]

» 2億9千万キロ彼方で何が起こっていたのか [そのへん買出し紀行]
はやぶさがプロジェクタイルを撃たなかった可能性について。 昨日から、JAXA公式 [Read More]

» 「はやぶさ」とパチパチ君 [無精ひげの一応日記]
はやぶさは危機的状況のようだ。 「帝国の逆襲」である。ファルコン号船長:ハン・ソロが炭素冷凍された話だ。 しかし「ジェダイの復讐」もある。ハンソロは解凍されて、なんと最後にはレイヤ姫といい感じになるのだ。 燃料漏れで日本のファルコン号も冷凍状態のようだ。 着地時に瞬間的に高温になったらしいが、弾丸は発射されていない可能性が高いらしい。 はやぶさ表面の埃(レゴリスと呼ぶらしい)の少なさや、はっきりとしたクレータがない事の原因は、静電気によるものではないかという話がある。さらに、着地の... [Read More]

» がんばれ~~ [猫じぇらしー日記]
Exciteニュース はやぶさ、サンプル採取失敗か 危機的状況が続く小惑星探査機「はやぶさ」だが、 地球との通信は徐々に回復してきたようだ。 探査機からダウンロードしたデータにより、 はやぶさがサンプル採取のための弾丸を 発射していない可能性が高くなったという。 運用チームは、8割方発射されなかったと考えている。 ただし、はやぶさの姿勢の乱れから停電が発生し、 そのせいで発射データが消えてしまったという可能性も 残っているらしい。 もし弾丸が発射されていなくても、 ... [Read More]

» がんばれ~~ [猫じぇらしー日記]
Exciteニュース はやぶさ、サンプル採取失敗か 危機的状況が続く小惑星探査機「はやぶさ」だが、 地球との通信は徐々に回復してきたようだ。 探査機からダウンロードしたデータにより、 はやぶさがサンプル採取のための弾丸を 発射していない可能性が高くなったという。 運用チームは、8割方発射されなかったと考えている。 ただし、はやぶさの姿勢の乱れから停電が発生し、 そのせいで発射データが消えてしまったという可能性も 残っているらしい。 もし弾丸が発射されていなくても、 ... [Read More]

» はやぶさ弾丸発射せず? [EastBeach]
はやぶさが弾丸を発射できていなかったかもしれない。8割がたそのようだとの川口プロ [Read More]

» がんばれ「はやぶさ」プロジェクト!! [Cafe A7]
以前 "小惑星探査機「はやぶさ」サンプル採取に成功"とお伝えしましたが、実は失敗していた可能性が高いことが判明したそうです。残念!でも舞い上がった塵が入り込んでいる可能性もあ [Read More]

» お疲れさまです松浦さん [あーでもなくこーでもなく]
それにしても、一連の松浦さんの記事は本当に有り難い。このブログがいかにはやぶさと人々の距離を縮めているか、そしてそれがいかにJAXAのメンバーに力を与えているか、その効果は計り知れないと思う。科学を伝える仕事の、あるいはサイエンスの「少し外側」での援護射撃の、輝かしい成功例なのではないか。 ちなみに、tDiaryのただただしさんの記事を読んで初めて気付いたんだけど、このコメント欄でクダ巻いてる人、見てて(読んでて)暗澹たる気分になる。ほとんど開いた口が塞がらないが、少なくとも、あんだけ長文のコメン... [Read More]

» キセノン噴射! [ひろや Blog]
昨日から快晴が続いていますが、夜空を見上げると星が三つ並んだ「オリオン」ソレに繋がる冬の大三角「おおいぬ座のシリウス」「こいぬ座のプロキオン」と煌々と輝いて、まさに二頭の犬を従えたオリオンの勇士が見られます。ふたご座の流星群もやってきていますよ~ 奇...... [Read More]

» 「はやぶさ」の成果に関する議論 [Kyan's BLOG II]
松浦晋也のL/D: 「はやぶさリンク」:12月7日午後4時50分からの記者会見 コメント欄での「はやぶさ」の成果に関する議論が熱いです。 [Read More]

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