2005年年末スケッチ
29日は、高校のクラス会。なぜか2年の時のクラスは仲が良く、卒業以来欠かすことなく年に一回集まっている。今年も旧友18名に先生が集まった。
私のテレビ出演を見た女性から「松浦君は早口過ぎ。これを読んだ方がいいと思うよ」と、「声優入門」という本を貰う。「発音は勉強すれば大きく変わるから」と。
勉強します。次のチャンスがいつあるかは分からないけれども。
本会、二次会と流れ、最後は終電を乗り過ごして先生とただ2人、魚民で語り合う。我々の担任だった頃は三十代前半だった先生も、来年で校長定年。
話題は、自然と10年前にこの世を去った一人の男の話となる。中学からの私の親友で、先生の碁敵だった男。彼はアマチュアではそこそこ打てた、らしい(私は囲碁のルールを知らない)。先生は奴を打ち負かそうと何度も挑んだが、勝てないまま、奴は足早に人生から退場してしまった。
しんみりと語る先生。「ヒカルの碁」ほど格好良くはないが、確かにそこには碁盤を挟んだ友情があったのだと思う。
迎えにきた先生の息子さんの自動車で、帰宅。
30日は仮眠もそこそこに早朝の電車で上京してコミックマーケットへ。遊び友達おかちん氏のブースで売り子をするため。
ここ数年、夏冬のコミケで売り子をしている。消費の中核となるまで成長したオタクの祭典をジャーナリストの視点で内側から見る——などと理由づけてみるものの、つまるところは面白いからだ。それはもちろん自分のオタクの血が騒ぐということもあるし、もう一つ、普段は眠っている商売人根性が騒ぐということもある。松浦家の祖先は、大阪で暦の製造・販売をしていた。京都の陰陽師が作る巻物にするほど長い暦を、教訓なんかが書いてあって毎日破り捨てる日めくりに仕立てたのは、私のご先祖様だったりする。
寝不足、酒の残る体で、さすがにコミケの売り子はきつかった。それでも、おかちん氏の漫画がぽんぽんと売れていくのは快い。
一つ悔いが。私を見つけた方から、サインを所望されたのだけれども、そこに私が書いた本がなかったのでサインを断ってしまったのである。寝不足の頭で「自分の書いたものではないのに、自分がサインを書くわけにはいかない」と考えたのだが、なんでも書けばよかったのだね。本を読んでくれる人があって、私の生活が成り立つわけで、まったくひどいことをしてしまった。
大変申し訳ありませんでした。多分次の夏コミでも売り子をしていると思いますので、覚えのある方は声をかけてください。
終了後、打ち上げ宴会に出席するが、半分は隅っこで寝ていた。さかなさんのホームページと「夕凪の街 桜の国」を紹介するで紹介したさかなさんにはじめて会う。おっとりとした愉快な方だった。
さかなさんはコミケ初参加。まいなすさんとの合同誌をコピーで100部作ったが(直前までホテルでホチキス止めしていたという)、あまり売れなかったとのこと。
コミケは巨大なイベントだ。参加者は、カタログで事前にチェックしたブースにしか行かない傾向がある。このような場では、無名と同人誌が売れないは、ほぼ同義である。
粘って出場回数を増やし、コミュニティでの知名度を上げていくしかない。さかなさんもまいなすさんも、面白い漫画を書く人なので、そのうち部数も出るようになるだろう。
31日は、実家にて年越し蕎麦。仕事が遅れているので仕事仕事。NHKも民放も見るに値しない番組ばかりやっている。とりあえずNHK教育、そしてケーブルのアニマックスでやっていた「機動戦士ガンダム・めぐりあい宇宙編」へ。
横で弟が酒を飲みつつ、ガンダムを見ている。およそアニメと縁遠い弟の質問がうるさい。
「シャアって一番偉いんじゃなかったの」
(シャアはジオン軍の士官じゃ!)
「なんかララアって、アダルトチルドレン風でうっとうしいよねえ」
(黙って観ろ!)
「えらそーなおばさんが出てきたんだけど誰?」
(キシリアだ!)
「なんでホワイトベースって子供が乗ってんの?戦場に子供を連れて行くのは非人道的じゃない?」
(ええい、説明するとそもそもホワイトベースは難民船になっちまったという経緯があってだなあ…いいから観ろ!)
「そういえば、アムロだって子供だよねえ」
(いいから観ろって!)
そんな弟も、ガンダム対ジオングで、ガンダムの頭が吹っ飛ばされるところでは「おおっ」と息をのんでいた。
かくして2005年が暮れていく。皆様、よいお年を。
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Comments
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明けましておめでとうございます
旧年中はお忙しいところ色々とご迷惑をおかけしました。
松浦さんのご先祖は出版関連だったのですね
いま松浦さんが作家になられたのもその流れからなのでしょうか。
わたしも高2の時の友達グループ(クラスは違いましたが)と
付き合いが継続しており
時折みんなで飲んでます。
特に全員強制出席!の新年会は
高校以来1/2と決まっています。
Posted by: 唐澤 正 | 2006.01.01 01:20 PM
初めて書き込みさせていただきます。
松浦さんがコミケ会場でサインを求められた件について、午前中のことであれば、私ではないかと思います。
当日は、松浦さんをお見かけして「あっ、来てらしたんだ。」と浮かれてあのような形で声をかけてしまいましたが、結果的に松浦さんにご不快な思いをさせてしまったと心苦しく思っておりました。
それを、私以外にもサインを求められた方がいたかもしれませんが、このような形でコメントいただき恐縮です。
また、お目にかかる機会がありましたら、今度は松浦さんの御著書を持っていきますので、サインをいただけたら幸いです。
Posted by: 彦田 和俊 | 2006.01.10 09:22 PM