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2005.12.02

ロケットまつり9に出演する

 午後遅くから新宿に出て、ロフトプラスワンに出演。会場に着くと、すでに林紀幸さんは来ていた。打ち合わせをするうちに垣見恒男さん到着、ロフトの斎藤さんが「あさりさんまだなんですけど、どうしよう。電話したほうがいいですよねえ」と言っている内にあさりよしとおさん到着。
 今回の目玉は垣見さんの秘蔵資料だったのだけれど、この面白さがお客さんにうまく伝えられたかどうか。垣見さんが、次々に「この人はだれ、この人はこういう人で」と説明する。私は当時の人間関係をある程度調べていたから、ああなるほどなのだけれど、予備知識がないとつらかったかもしれない。

 それでも、ロケットの直径が735mmのラムダになった時点で、当時の富士精密のロケット部門を率いていた戸田康明氏が「これ以上大きなものはよう作りません」と東大に申し入れていたというのは知らなかった。しかもその時、戸田氏の部下だった垣見さんが、密かに糸川博士と「次の次の世代の直径3mロケット」を検討していたのだ。そのLD-3という試案が、30年もの間、様々な人々の手を巡り巡って現在のM-V(直径2.5m)へと結実するのである。

林「なんでミューは直径1.4mになったか知っていますか。それは糸川先生が、ロケットの大きさに制限をかけられるとなったときに、1.4mだと言ったからなんですよ」
垣見「いや、そうじゃないんだ。僕は本当の理由を知っている」
林「え、そうなんですか」
垣見「1.4mというのは私が決めたんです」(会場大爆笑)
松浦「確か松尾先生なんかが計算していた試案では、直径1.2mで、それを糸川博士が1.4mにしろ、と押したとか」
垣見「そう、でも1.4と決めて計算したのは私です」
林「でもなんで1.4mだったんです?」
垣見「忘れちゃったよ、そんなこと」(再び会場大爆笑)

 途中で、会場に来て貰っていた小野英男さんにも壇上に昇って貰う。日本電気で「おおすみ」以降の初期の科学衛星を作った人だ。実は数日前に私とメールのやり取りがあり、「来られますか」「行くよ」ということになってやってきた次第。
 これで終わりと、締めの言葉を言おうとすると、林さんが「ちょっと待って」と、この日最大のサプライズをぽんと机の上に置いた。会場大騒ぎ。さらには終了後のあさりさんによる困ったDVD上映もあり、とりあえずはお客さんに満足してもらえた模様。良かった。

 だが、今回一番意味があったのは、来場していた東海大学のロケットグループ学生と林さんや小野さんの間で、連絡が付いたことじゃないかと思う。退職したベテランは、現場のノウハウを豊富に持っている。文書にはなっていないが、それなしには物事を進められないという種類の智恵だ。そのようなノウハウが若い世代に伝えられるなら、それは素晴らしいことだ。今回すでに、休憩時間中に林さんが、東海大学の学生達に射場安全について解説していた。

 これからロケットや衛星を作ろうと考えている学生さん、おられたら、とりあえずはロケット祭りにおいで下さい。我々の知る範囲なら、教えを請うべきベテランを紹介いたします。

 ちょっとだけ打ち上げに出席し、終電で帰宅。明日は明日でまた朝からやることがあるのだった。

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Comments

お疲れ様でした
あの垣見さんのDVDは、可能ならば何種類かのメーカーのメディアでできるだけあちこちにばら撒いておかないと、「気づいたときには読めない」ということになりそうで怖いですね。
なんだか、いまのところ「まとめたからこれで安心」みたいな雰囲気を感じたので少し気になっています。

こんにちは。

松浦先生がブログの中に書いて下さった、
東海大学学生ロケットプロジェクトの者です。

今回は、参加者方々のおもしろい話が聞けた
だけでなく、ロケットに関わる者として気をつけて
おくべき事や心構えを、直接林さんや垣見さんから
伺う事が出来、私達にとって非常に有意義な
時間になりました。本当にありがとうございます。
先駆者の方々から頂いた、ご意見やアドバイスを
これからの活動に生かしていきたいと思いますので、
宜しくお願い致します。

松浦様 関係各位の皆様

ロケット祭り、楽しそうですね。
私は既に宇宙関係の社会人なので、指をくわえて見ているのも仕方ないのですが、学生のことを考えると、ロケット祭りをぜひとも地方で開催していただきたいと思います。
中央と比べた場合の圧倒的な情報不足の中、宇宙関連に情熱を持っている学生は地方にも山ほどいます。
とくに、今回参加されたような経験者の方々は、大学の特別講義でもない限り、お話をうかがうことも出来ないのです。
ネットや文献で手に入らない情報(ノウハウ、技)は地方こそ必要としています。

もちろん、地方で開催するには様々な制約や費用の問題があり、厚かましいのは承知の上です。

                     拝

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