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2006.06.13

360クーペに乗る

Coupe1


 広島ではもうひとつ、こちらは楽しいことがあった。

 まいなすさんのマツダR360クーペに乗せてもらったのだ(沖兄弟のページはこちら)。

 1960年発売、才能あるデザイナー小杉二郎がデザインした、素晴らしく粋なボディを持つ日本初のクーペだ。沖兄弟は、兄弟で2台のクーペを保有しているが、この日はまいなすさんの車だけが広島にあった。

 まいなすさんの家の周辺を少し運転させてもらったが、いやもう楽しい楽しい。かくも自動車の運転は楽しいものなのか、と思う。
「楽しいでしょう」と、まいなすさん。「エンジンの音やら色々な音が聞こえますしね」。
 V2気筒、たった16馬力のエンジンがぱたぱたと軽快に回る。最高速は80km/h出るかどうかだそうだが、それでいいじゃないかと思ってしまう。
 なんでシンプルな自動車はこうも楽しいのだろうか。私が「自動車ってなんて楽しいのだろう」と初めて思ったのは、550cc2ストエンジンを積んだジムニー「SJ10」に乗った時だったが、このクーペも同様の楽しさを感じさせてくれる。

 自動車は、本来この先に未来があったのではないだろうか。ひたすらシンプルで、必要十分な大きさ。不要不急の装備を降ろして、あくまで軽快に。
 あんな装備、こんな装備、あれもできる、これもできる、ではなくて、「これだけあれば、とりあえずは十分」という行き方。現代の目で見て、このクーペに欠けているのは、衝突安全性だけではないだろうか。

 しかし、この古い自動車を維持するのは大変だろうと思いきや、まいなすさん「いや、そうでもないです。例えば100万円でこのクーペを買っても、それで10年以上楽しむことができるんですから、フェラーリなんか買うよりもずっと安上がりの趣味ですよ」という。「ほら、エンジンだって、手で降ろせますし、まあ大きなラジコンみたいなものですよ」。

Coupe3

 見せてくれたリアのエンジンルームは見事にすかすか。エンジンの構造も簡単で、これなら個人でも楽々整備ができそうだ。

 車との良い付き合いとは、こういうものか。

 私のAZ-1も10年、20年と乗り続ければ、このクーペのように楽しむことができるだろうか。

 ちなみにまいなすさんは、AZ-1も保有している。運転はどうか、と尋ねると「クーペのほうがずっと簡単ですよ。前後の見切りはクーペのほうがAZ-1より全然いいですから」ということだった。

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Comments

>現代の目で見て、このクーペに欠けているのは、衝突安全性だけではないだろうか。
排気ガスはどうなんでしょう?

>> 排気ガスはどうなんでしょう?

無駄にでかい自動車にどんどん買い替えていくほうが、昔の車が出す排気ガスよりも環境負荷が高いんじゃないんでしょうか?

それに、いまどきのガソリンなら変な排ガス(SOx)を出すこともないでしょうし。

燃費が悪いかなと思ったんですが、燃費も32km/lを実現しているそうですから、悪くないんじゃないんでしょうか…ていうかプリウスなみじゃないですか!

排ガス中の燃え残りの炭化水素やNOxはどうでしょうか?
サイレンサーに白金系触媒を添加したものを装備しているのでしょうか?

旧東ドイツのトラバント?なども含めてオールドカーの「環境アップデート用部品」を考えてもいいかもしれません。
コストを考えるととても引き合いませんが・・・・

排気ガスについては、まあ垂れ流しです(笑)。
時間当たり排気量は250のバイク程度なのでどうか勘弁していただければと思います。
燃焼したオイルを排出する2ストロークのスバル360よりちょっとだけクリーンです。
法的に規制がかかるようであれば、キャタライザーの装着も考えなければなりませんね。

燃費は、メーカーのいうリッター32キロはちょっと現実的ではないですね。時速30~40キロくらいでトロトロ走ればそのくらいは行くでしょうが、実際は通常リッター16~17キロ、高速道路巡航で25キロくらいです。

あとフェラーリオーナーの名誉のために付け加えておけば、私だってフェラーリは欲しいんですが、やっぱり先立つものがないのです。負け惜しみです。

私としては、環境のことを考えて古い車に乗るという意識はあまりなく、やはり今の車が失ってしまったメカ的な素朴さを求めるほうが大です。
まあ、そうしたノスタルジイを差し引いても、視界が良く取り回しがとてもよいクーペはこれ以上なく実用的な車だと思っています。

ともあれ松浦さん、前回にひきつづきええぐあいに書いていただきありがとうございました。

はじめまして、まいなすさん。

まいなすさんのメカに対する考え方に同意します。
さて交換用部品の入手を含めてお車のメンテはいかがでしょうか?

私は一昨年ロシアとベラルーシに行きました。
そこでソビエト時代のトラックとか車に興奮していたアホな日本人と化していました!
「あー、あんなトラクターが走っている!
すげー、あんなシンプルな構造のエンジン丸見えのトラックが走ってる!!」
と幼稚園のレベルではしゃいでました。

失礼!

 はじめまして、いやぁ~懐かしい車ですね~!

今見ると逆に新鮮なデザインでおしゃれな感じがします。 私の近所にも以前、スバル360ですが、乗っている方がいましたよ~、写真撮っておけばよかったと後悔しております(笑)。

 エンジンも可愛いですね~今の車は逆に機能が充実すぎ?って感じますね。

 ちなみに、私も宇宙には昔から関心をもっています~今回はガガーリンについて記事にしました、よかったら遊びにいらして下さいね~ではまた!

とても手入れが行き届いていますね。ピカピカエンジンがお見事です。

>DVDを見せたがる男さま
ロシアメカ、いいですよねえ。
資本主義社会が久しく失った無機質さの中に、ぷっと吹き出すようなユーモアがあったり。
クーペの部品はまあ、壊れない限りはいらないですし、壊さないように乗りましょうということですかね。
壊れたら壊れたときに考えればいいことで、目くじら立てて部品のストックを溜め込んだりしないのが、長続きするコツのようです。

>ルーシーさま
ファッションもそうですが、ひとまわりして新しい、というようなサイクルがあるのかもしれません。クーペの場合は4まわりくらいしてるかもしれませんが。
道行く子供に「ちっちぇー」と指を指されるのが快感です(笑)

>KOさま
写真はきれいに写っていますが、あんまり手入れとかはしてませんので、良く見るとアラが・・・
エンジンルームは無駄に広いので、拭き掃除などは普通のクルマよりらくです。

いつの間にか暑くなって、クーラーのない車にはつらい季節になりましたが、だからこそドライブ後のビールがうまいというものです。

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