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2006.11.21

M-V復活の夢に官報の軽さを知る

 11月15日付官報に宇宙開発計画が告示された。

官報(平成18年11月15日 号外第259号の12ページ)

 宇宙開発計画は年度毎に国が実施する宇宙開発事業を示した文書で、本来は年度初めにあわせて3月に告示されるものだが、宇宙三機関統合のあたりから、そのような官僚的折り目正しさはかなり変調を来している。

 1970年代から90年代末まで、約30年続いた、10年以上を見据えた長期ビジョン、5年計画である宇宙開発政策大綱、年度ごとの宇宙開発計画という政策策定の構図は、今や完全に崩壊している。

 今年は11月の告示か、と思って読んでいたら、以下の文言が目に付いた。

開発研究
第24 号科学衛星(PLANET−C )
第24 号科学衛星(PLANET−C )は、金星の雲層の下に隠された気象現象を金星周回軌道上から観測することを目的とした衛星であり、M−V ロケットにより打ち上げることを目標に開発研究を進める。

 さらに14ページには以下の記載があった。


2 .宇宙輸送
運用
M 系ロケット
M 系ロケットは、全段に固体推進薬を用いるロケットとし、科学衛星の打上げに利用するものとして開発を行ったものであり、特にM−Vロケットについては、引き続き科学衛星の打上げに使用する。

 驚いて宇宙開発委員会に問い合わせたところ、「間違いです」とのこと。M-Vロケットを最終的にどうするかが明確でない段階で文面を用意したものが、印刷の都合でそのまま流れてしまったという。

 M-Vの復活はない。

 同じ宇宙開発計画にはM-V7号機で打ち上げたSOLAR-Bを「ひので」と記載しているし、7号機打ち上げの時点でM-V廃止は決まっていたので、そのまま流れてしまった理由を鵜呑みにはできない。とはいえ、官報印刷の過程でなにかものすごく非合理なことをやっていても驚きはしないけれども。

 それ以上に私が感じ入ったのは、「官報を読んでいる人がいるんですね」という言葉だった。

 そうか、中央官庁においてそこまで官報は軽くなったか。

 官報は、国が何を行っているかを知らせる官制の新聞のようなものだ。かつては、国が日々なにを行っているかを知る唯一の手だてだった。私が記者として就職した20年前の時点で、すでにだいぶその位置づけは軽くなっていたけれども、それでも色々調べたものだ。いくつかの衛星の調達情報は官報で知ったものである。

 今やインターネットのおかげで、官報のようなメディアは事実上不要になったといっていいのだろうか。私に言い切る自信はないが、少なくとも宇宙分野では、官報は盲腸のような存在となっていることは間違いない。

…考えてみれば、長期ビジョン、政策大綱、宇宙開発計画というコンセンサスの積み上げは、官僚が宇宙開発をリードしていたからこそ必要だったのだな。内閣主導で宇宙開発を進めようとする宇宙基本法案が上程されようかという今、この構図がうやむやになって当然と言えるかも知れない。

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宇宙開発」カテゴリの記事

Comments

国が今現場単位で迷走しているという証拠かもしれませんね。
その一言、貴重な取材成果だと思います。

どうもはじめまして。
独立ISASとの共立に戻れない役所である事を一つの前提に見守っていると、
三機関統合運営と言う「目的」の為に、宇宙開発計画を「手段」として捕らえる論理の誘惑に
集団役人倫理意識が悪い方へ災いして呪縛され、思考停止に陥っている様にも感じます。

JAXAがどうせ所詮は役所でしか存在し得ないのなら、「事業ミッション達成の為の
組織システム開発工学」を研究、実証、確立する事が第一目的の、人工衛星打ち上げによる
組織システム開発「地球ミッション」を計画してまず大規模予算を割り当てる、その事業計画は
金融庁、そして当然財務省、をJAXAの新たな管轄機関として計画達成への中心的部分に
参加させる(巻き込む)ものとして作る、といったぐらいの役人中心的で目的が明確な
アプローチで行った方がいっそ宇宙開発は早いのではないか、と私は思います。

長文失礼致しました。

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