「はやぶさ2」その2:政治や行政に意見を出すということ
今回のことで、痛感したのは行政なり政治なりに我々が意見を言うことの重要性だった。
実は昨年の半ば頃から、実際に政治に携わる人たちに会う機会が何回かあった。それで分かったのは、彼らは意外なぐらいに情報のパイプが限られているということだった。
行くと分かるが、永田町という場所はかなり閉鎖的である。主要設備は物々しく警備されているし、喫茶店やらレストランがあちこちにあるわけでもない。何処に行くにしても、歩くには少々遠く、自動車を出すには大げさだ。
そんな場所に日本の政治家は事務所を持ち、国会に通い、政党間で衝突しつつ法案を審議している。非常に忙しく、うかうかしていると永田町の中だけですべてが終わってしまう。
もちろん議員は国政調査権というものを持っているわけだが、その権利も「何を調べるべきか」が分かっていないと、的確には使えない。
「永田町は村だ」などと言われる理由である。場所的にも、情報的にも閉じている。
だから、本当は国民の側から、政治家へのきちんとした働きかけが必要なのだ。
日本は土建国家だなどと言われる。
なぜ土建国家かといえば、土建屋、つまり建設業がせっせと政治家に働きかけてきたからだ。
なぜ建設業が政治家に働きかけてきたかといえば、彼らの収益が国の事業を受注できるかどうかで大きく変化するからだ。
だからこそ建設業は必死になって政治にアクセスし、働きかけてきたわけだ。
その結果政治家が持つ、建設業以外からの情報パイプは相対的に細り、政治家の思考を建設業経由の情報が左右するようになっていったわけだ。土建国家の完成である。
せっかく、インターネットというものができて、様々な政治家や政府機関に意見を、メールの形で簡単に出せるようになっているのだ。我々はもっと自分の意見をきちんと政治家に届けるべきなのである。
建設業だけに、あるいは一部企業だけに、政治家への意見をいわせておくいわれはない。
政治家に届くメールは、だいたいの場合、秘書によってスクリーニングされる。出したからと言って議員本人がすぐに読んでくれると思わないほうがいい。それでも、同傾向のメールがまとまって届けば、秘書はそれをまとめて議員に上げる。
また、大抵の場合、簡単なお礼が帰ってくる。議員にとって、意見をくれた人は有権者であり、悪印象を与えると選挙に響く可能性があるからだ。
もちろん、面白がってスパムを投げるようなことや、失礼なメールを送ることは厳に慎まなくてはならない。そんなことをしたら政治家の側が、メールによる投稿に正面から向かい合わなくなってしまう。
インターネットが開いた大きな可能性を賢く使っていきたいと思うのである。
実は、今、私は宇宙関連以外で、意見表明を呼びかけなくてはならないと感じている問題を2つ抱えている。それらについては、「はやぶさ2」関係の話題が終わってから書くことにする。
というわけで、まだ「はやぶさ2」関連の話題は少し続く。
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いつも情報をありがとうございます。ロケットまつりも会場におりました。
投書で動かすというと、いつも思い出すのは元ニッポン放送の社長の亀渕氏等がオールナイトニッポンをやっているころに、日本の余剰米を食糧難に陥っているアフリカのビアフラに送ろう!とぶち上げて、結局全国のリスナーからの直接アクションによって実現したという事例があります。
その際にも「それぞれの個人の思いでみんな異なった文面で届く」ということに担当者は驚いたそうです。普段は各種団体からの"ラバースタンプ"な、きまりきったものばかりなので、それぞれというのはものすごく新鮮に映るようです。
その図式はいまでも変わっていないのだとおもいます。
そして、ポーズだけのパブリックコメント募集のような時ではなく、平時における「納税者として意見を申し上げます」という不断の「(ある意味)直接参政」をし続けるのが大切なのですね。
官がやると無駄金使った上にろくなものができない…JAXAが官であることをつい忘れている自分がいます。
Posted by: PAKU | 2007.01.10 11:04 AM