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2007.04.07

携帯電話で音楽を聴く


Lismo

 WindowsXPが使えるようになったので、以前から気になっていたLISMOを使ってみようと思い立った。
 LISMOは、auが行っている音楽ダウンロード販売である。昨年携帯電話をauに切り替えた時に、ソフトウエアが付いてきたのだが、WindowsXPにしか対応しておらず、これまで使えなかったのだ。

 iTunes Music Store(iTMS)は、時々使っている。最初は「ダウンロードでCDよりも音質が悪い圧縮音声ファイルの音楽を買うなんてなあ」と思っていたのだが、いざ使ってみると、ユーザー・インタフェースが秀逸なことと、ストアの構成が巧みなことが相まって、実に手軽に聴きたい曲を見つけることができる。
 記憶の底に引っかかっていたけれども、曲名が分からなかったというような曲も見つかったりして、ついつい「ポチっとな」で、買ってしまうことが重なった。結局これまでに1万円ほど、ダウンロード音楽販売に貢献してしまっている。

 LISMOのソフトは、「au Music Port」という。これ自身は音楽専用ではなくて携帯電話の電話番号登録や内蔵カメラの画像などのバックアップ機能も持っている。あくまで携帯電話とパソコンを連動するためのソフトウエアであり、その一環として音楽ダウンロード販売の機能も持っているわけだ。

 というわけで、Let'snoteに「au Music Port」にインストールして立ち上げ、一通りLISMO Music Storeの中をさ迷ってみた。
 残念なことにLISMOは最新J-Popを聞きたい若者をターゲットにしているらしく、私が聞きたい1970〜80年代洋楽とか、古い映画の映画音楽とか、クラシック系音楽とかは販売されていないようだった。

 私は宇多田ヒカルも大塚愛も倖田來未も興味はない。ピンクフロイドとかクイーンとか、「史上最大の作戦」のテーマ音楽とか、ヴォーン・ウィリアムズやら伊福部昭が聞きたいのだ。

 価格もiTMSの1曲150円〜200円に比べ、基本が315円と高い。ビデオクリップが1曲525円というのは、「うーん」とうなってしまう。レンタルショップに行って同じ金額を払えば、アルバム全曲ライブのDVDを借りておつりが来るだろう。もしも若者向けを狙っているならば、高い値段というのは、市場攻略方法を間違えてはいないだろうか。相手は、安くすますためにレンタルショップでCDを借りてリッピングするだけの時間的余裕を持っている連中なのだから。

 試聴の時間もiTMSが30秒なのに対して、LISMO Music Storeは11秒。後発なのだから、アドバンテージを押し出さなければ市場は取れないと思うのだけれども、試聴時間までけちってどうしようというのだろう。

 文句ついでに言ってしまえばLISMO Music Storeのユーザー・インタフェースの設計もほめられたものではない。なかなか聴きたい曲が探し出せないのである。特に検索窓の使いにくさは、なんとかしてほしいところ。LISMO Music Storeは地が白で枠線が黄緑というデザインなのだけれど、そこに枠線でかこっただけの白色の検索キーワードの入力窓があっても、なかなか存在に気が付かない。

 「品揃えが悪い、価格が高い、サービスが悪い、使いにくい」というわけで、「一曲買ってみるか」という意志はあっさり挫折した。携帯電話からちょこちょこやって着うたを買うのならともかく、これはパソコンをあれこれ操作してまで音楽を買う環境ではない。

 そこで方針転換して、手持ちのCDをリッピングして、携帯電話にダウンロード。携帯電話を音楽プレーヤーとして使ってみた。

 まず、携帯電話用に1GBのマイクロSDカードを買う。昨今のフラッシュメモリーチップの値下がりは凄まじく、2000円を切る価格で買うことができた。どうなっているのだろう。2年前に1GBのUSBメモリーを確か1万円で買った記憶があるのだけれど。

 次に、au Music PortでCDをリッピングし、USBケーブル経由で携帯電話にデータを送り込む。少しでも良い音質で、とリッピングのビットレートをあれこれいじったものの、携帯電話にダウンロードする際には、まとめて48kbpsに変換されてしまった。私の使っている携帯電話「W42SA」の仕様なのか、それともau全体の仕様なのかは分からない。

 48kbpsかよ、MP3もAACも128kbpsが基準だし、これは音質は期待できないなあ——と思っていたら大間違いだった。

 イアフォンで聞く分には十分な音質なのだ。室内楽のような繊細な音質の音楽でも試してみたのだけれど、かつてのカセットテープ並、あるいはそれ以上の音質で音楽を楽しむことができる。

 一体コーデックは何か、と調べてみると、HE-AACというものだった。これはすごい技術だ。MP3ならここまで圧縮するとくぐもった音になってしまうところを、室内楽でもソロでもきちんと音楽として楽しむことができる音質を確保できるのだから。

 かくして、現在私の携帯電話には、伊福部昭に早坂文雄、ヴォーン・ウィリアムズにアルチュール・オネゲル、そして吉松隆、と、偏った曲目がずらりと入っており、主に電車の中で聴いている。
 東海道線の中で、晩年(といっても今の私より若いのだ)の早坂文雄が骨身を削った「交響組曲ユーカラ」を聴いたりしていると、なんとも言えない気分になる。
 1955年に41歳で死んだ早坂が、かくも音楽というものがお手軽に楽しめる時代が来ると知ったら、どう思っただろうか。

 あんまり聴きすぎると、携帯電話の電池が尽きてしまう。電話として使えなくなってしまっては本末転倒なので、外出時に音楽を聴く時間は、とりあえず1時間以内とということにしている。もともと携帯電話のおまけ機能と思えば、使用時間の制限ぐらいは許容範囲内だ。

 ちなみに、リッピングしたCDの音は、着うたには設定できないようだ。「着うたは、LISMO Music Storeで買え」ということだろうか。ネットを検索すると、自分で着うたを作る裏技があれこれ公開されている。まあ、私は着信音には無頓着なので、これ以上どうこうするのはやめにする。

 音楽業界がこんな規制をかけているのか、それともauが悪いのかは知らないが、自分が金を払って買ったCDも、着うたに出来ないというのは、度量の狭い話ではある。

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Comments

>あんまり聴きすぎると、携帯電話の電池が尽きてしまう。電話として使えなくなってしまっては本末転倒なので、外出時に音楽を聴く時間は、とりあえず1時間以内とということにしている。もともと携帯電話のおまけ機能と思えば、使用時間の制限ぐらいは許容範囲内だ。

うーん、サンヨーのFOMA CHARGEのau版があればいいですね。(今は対応がFOMAだけみたいです)

http://www.sanyo.co.jp/energy/con/index.html

私も最近FOMA D902iに変えましたが、電池がもたないですね。MPEG4動画を入れてみていると1日ももたずアウトです。

エナックスの「PowerBattery」の携帯版はないんか?と思います
http://enax.jp/home.html

ただ!ドーベルマン刑事に登場したコルトの大型特殊マガジン(年がわかる!)とか、最近のザクの背負式大型弾倉とかみたいに過剰適応になる危険がありますね。

一般家電への燃料電池の実用化はまだかな??(水漏れしてショートしたとかがないことを祈ります!)

携帯電話のコンテンツサービスは須らく、品揃えが悪い、価格が高い、サービスが悪い、使いにくいと感じるのは、PCを日常的に利用している層の認識のようで、携帯電話のコアカスタマーである中高生はそうでもないようです。基準がケータイにあるため、割高なサービスである、という認識がないようで。

携帯電話の音楽配信サービスの、着うたフルの利用は中高生に集中しています。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0704/05/news093.html
大学生となると、着うたフルの利用率が下がってきます。CDからのリッピングを覚えのは、高校の後半以降ということなのでしょうか。

 まあバッテリーの進歩を待つことにしましょう。今すぐないと不便というわけでもないですし。

 ははあ、着うたは、「もっと安い手段」を与えられていない中高生にお手軽で売り込み、iTMSよりも高い値段で音楽を売りつけているのですね。「妙にみずあめの値段が高い紙芝居屋」みたいなもんか(わかりにくい例えかな?)。

 ソフトバンクはiTMSとの提携を狙っているという話ですが、ソフトバンク携帯がiTMSと連携したら、一気に中高生がそっちに流れるかも知れませんね。

ふーむ、携帯の着うたダウンロードそうなんだ。iTunesしか使わないので。
音質はイヤフォーンの性能にもよりますが、やっぱり耳に直接音が入ってくるので、レートが低くてもずっと音が良くなりますね。しかもHE-AACという圧縮システムが上手くできているならばなおさらですね。
それにしても松浦さん、曲の傾向が偏りすぎですねぇ。
(人のことは言えませんが、汗)

>曲の傾向が偏りすぎですねぇ。

 えっへん、そうです。偏ってます。

 昨日はせっせと黛敏郎作品をエンコードしていました。今日は仕事が一段落付いたら、ダリウス・ミヨーの諸作品をエンコードしようと思っています(と、胸を張る)。

FOMA CHARGEをヨドバシで買ってしましました。約4千円!

がーん!買って気が付いた事!
ああ、FOMA CHARGEに充電するACアダプターはFOMA付属のACアダプターを使えってこと!(これがないと充電できない!)

どうせなら同規格のACアダプターを付けて6千円ぐらいの価格設定でも売れるのになと思います。
500回以上使う場合は自己責任で内蔵バッテリーの交換をすればいいのですが、さてそのころまでFOMAが残っているか・・・

FOMA-Xとか別規格でまた差込形状が変わって・・・ということになるんじゃないかと思います。


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