「レッドショルダーマーチ」の正体が判明する
気張った話を続けても仕方ないので、最近に私のところに届いた話を。
2ちゃんねるでは数ヶ月前に騒ぎになっていたそうだから、情報の早い人はすでに知っているのだろうけれども。
「レッドショルダーマーチ」の正体が判明した。
「装甲騎兵ボトムズ」というアニメがあった。私もこんな記事を書いている。
作中で、主人公のキリコは、かつて軍の特殊部隊、通称「レッドショルダー」に所属していたという設定になっていた。このレッドショルダーは命令とあらば、どんな残酷なことでもする悪逆非道の軍隊であり、そんなところに所属していたことがキリコのトラウマになっているのだが、それはともかく。
作中では、レッドショルダー部隊が登場する時に、実に格好良い行進曲がBGMにかかっていた。これが「レッドショルダーマーチ」である。
放送当時、この音楽にヤられた我らアニオタ共は、サントラの発売を待ち望んだのだが、発売されたサントラには、なぜか「レッドショルダーマーチ」が収録されていなかった。その代わり、ボロディンの未完に終わった「交響曲3番」のポピュラー編曲が入っていたり——もちろん本編には使っていない——今考えるとあれも妙なサントラだったな。
いったいあの曲は何だったのか?放送局が蓄積している著作権フリーの曲だとか、様々な噂があったものの、その正体は不明のまま四半世紀が過ぎたのである。
それが、今年に入ってから2ちゃんねるへの投稿で、判明したのだった。
こちらがその正体。おや、品切れを起こしているな。
1966年のイタリア映画「Due marines e un generale」(2人の水兵と1人の将軍)のサントラ盤だ。このCDの2番目の曲「Arrivano i Marines」(水兵の到着)という曲が、「レッドショルダーマーチ」だったのである。作曲者はPiero Umiliani(ピエロ・ウミリアーニ)と言う人。イタリアではかなり有名な映画音楽の作者らしい。
ちなみに、サントラ中6番目の曲「L’offensiva di primavera」(春の攻勢)は、「機動戦士ガンダム」の第12話「ジオンの脅威」で、ジオン公国のギレン総帥が演説するシーンでかかる音楽なんだそうだ(私は見たはずだけど覚えていない)。あの「諸君らが愛してくれたガルマ・ザビは死んだ。なぜだ!」「坊やだからさ」で有名なシーンですな。
この「Due marines e un generale」という映画は、2人のアメリカ兵が、北アフリカでナチスドイツの将軍を捕獲しようとするという話とのこと。それに、ニセの作戦計画をわざと盗ませようとするナチス側と、本物を入手しようとするアメリカ兵の駆け引きが絡み、最後はアンツィオの攻防戦になだれ込むというストーリーのようだ。「アンツィオ・アニー(アンツィオ攻防戦で活躍したドイツの列車砲)」が出てくるなら見てみたいね。
CDが品切れであっても、嘆くには及ばない。iTunes Music Storeでは、ちゃんと「Due marines e un generale」のサントラが売っている。試聴はできるし、曲をばら売りの1曲150円で購入できるし、品切れもない。やあ、いい時代になったもんだ。
もちろん私はCDを買った。最初に気が付いた方は本当に偉いと思う。取りあえず長年の疑問と欲求を解消させて頂き、ありがとうございます。
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Comments
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この頃、フルハルの艦船模型が増えてきて喜ばしい限りですが、当時のタカラやその後のWEVEの1/72とかを見て、近親縮尺よりも大幅にサイズの違うテリトリーの側から見て、より、かっこよく写ってたのかなあ、などと感じています。
Posted by: 須田浩之 | 2007.04.10 03:02 PM
「サンセットストリート77」や「インベーダー」、「タイムトンネル」(もはや古典アメリカTVシリーズ!)とかのBGMとか、NHKの初代「時をかける少女」とか・・・もう一度聞きたい見たいものがありますね。著作権も大事だけどチョロっと楽しむ枠組みを確立してほしいです。
Posted by: DVDを見せたがる男 | 2007.04.11 12:02 AM
私はここで知りました。松浦さんとその他の方々に感謝します。
ところで、これを知ったのがここというのが意外で、さらに最近の記事と妙にリンクしているのが面白かったです。
Posted by: すが | 2007.04.11 12:58 AM
すぐにi-tune入れました、嬉しいです。
サントラに入っていなかった幻と再会できました
ありがとうございます。
Posted by: ゼロセン | 2007.04.15 06:35 PM
昔のアメリカテレビドラマの音楽は、多分向こうでサントラが出ていると思いますよ。アマゾンで調べれば出てくるのでは。
著作権は全くおっしゃるとおりで、iTMSではEMIがコピーガードを外したファイルを販売する決定を下しています。早晩東芝EMIも日本でコピーガードを外してくるでしょう。
http://www.itmedia.co.jp/anchordesk/articles/0704/09/news013.html
着うたはかなりふざけた状況のようで、中高生から高い金を巻き上げるというようなあこぎなことがいつまでも続くと思うなよレコ協、と思います。
すがさん、ゼロセンさん
よかった。私も2ちゃんの騒動からかなり遅れて知ったので、もうみんな知っているものと思っていました。
長年の疑問解決は気持ちよいですね。
Posted by: 松浦晋也 | 2007.04.16 09:17 AM
>装甲騎兵ボトムズ
実は・・・その評判を聞いて最初に見たのが「最終回」でした。
ちなみに「Gガンダム」もそう。
あの妙な感覚は・・・うまく言語化できない。
>昔のアメリカテレビドラマの音楽
私がサントラが聞きたいなと思うのは昔NHKでやっていた「アトランティスからきた男」Man from Atlantisです。
主役の声をあてたのがかの池田秀一「少佐」ですがまだDVDも出ていない幻の作品と化しています。
このテーマ音楽が「スパイ大作戦」Mission:Impossibleのラロ・シフリンだそうです。
YouTubeで検索するとタイトルシーンが見られますがフルサイズの演奏が聞いてみたいなあと思います。
ラロ・シフリンのCDのどれかに入っているのかな。
Posted by: 空天 | 2007.04.23 12:01 AM
はじめまして、いつも楽しく読ませていただいています。
品切れが続いていたこのCDですが、デジパック仕様で再発売されるようです。
amazonではASIN: B000PDZB4M で検索できます。
ぼくはHMVで発注しました。そちらのほうが安かったもので。
Posted by: Massie | 2007.05.09 02:19 PM