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2007.05.12

A-Bikeに乗る その4 乗り心地を語る

Abikeenoshima

 A-Bikeに乗る前に、一つやっておくべきことがある。

 A-Bikeのステアリングはとても硬い。

 普通自転車のステアリング部にはボールベアリングが入っており、スムーズに回るようになっている。しかし、A-Bikeのステアリグは、軽量化のためか折り畳みの都合上か、金属とプラスチックがこすれ合うすべり軸受となっている。一応、摩擦抵抗が少ない材質のさやを挟み込んであるようなのだが、それでも回転はしぶい。

 このため、そのままではかなり意識して力を入れ、ハンドルを切らねばならず、乗りにくい。

 当然給油して、摩擦を減らすことを考えるが、問題はすべり軸受け部がプラスチックであるということだ。材質を浸食しないような潤滑剤を選ぶ必要がある。すぐに思いつくのはCRC56だが、これはプラスチックの材質によっては浸食する。

 私は自転車専門店に行って、テフロンを含み、合成樹脂やゴムを浸食しないとする潤滑剤を買ってきた。動かすことでテフロンコーティングされ、潤滑効果が長続きするだろうと考えたからだ。

 テフロン含有潤滑剤を吹き込むと、ステアリングの動きは大分良くなった。同時に、乗り心地も大きく向上した。従って、以下の印象は、「ステアリング部にテフロン潤滑剤を吹き込んだ場合」である。

簡単に乗れるの?
 簡単だ。自転車に乗れる人ならば、少々の練習で大した苦労もなく乗れるはず。

走りはスムーズ?
 スムーズだ。高圧6インチタイヤの転がり抵抗は思ったほど大きくない。また各部の加工精度も高いようで、安物の自転車にありがちの車体そのものが抵抗になるような感覚はいっさいない。

安全に乗れるの?
 通常の自転車よりも気をつけることが多い。

 まず、組立時にすべてのロック箇所をきちんとロックすること。

 次に段差に注意すること。タイヤが6インチと小さく、またホイルベース(前輪と後輪の間の距離)が短いので、通常の自転車より転倒しやすいことは間違いない。段差を乗り越えられないと思ったら、すなおに自転車を降りて押して歩くべき。

 どの程度の段差なら乗り越えられるかを、すこしずつ見極めて、自分をA-Bikeに慣らしていく必要がある。

 しかしむやみに怖がる必要はない。要は慣れである。

どれぐらいのスピードが出るの
 必死に飛ばせば25km/hぐらいまで出るようだが、15km/hぐらいまでで使うのが適当。だいたい、そこら辺を走っているママチャリ程度のスピードで使うといい。
 つまり、普通のおじさんおばさんが乗るママチャリ程度の速度は楽に出る。もちろん歩くよりはずっと速い。
 なお、クランクが短いので、力を込めて踏み込む漕ぎ方では疲れてしまう。ロードレーサーのように力を抜いて丸く足を回す乗り方をするほうが、疲れないし速い。

坂は上れるの?
 ギアが軽いのでまあまあ上れる。ただし通常の乗車姿勢ではかなり重心が後ろにあるので、えいやと踏み込むと、ウィリーして後ろに降りてしまう可能性がある。ホイールベースが短いので上り下り共に、重心位置に気をつけて、体を前後させる必要がある。

下り道をすっ飛ばすことはできる?
 命が惜しければやめておいた方がいい。下りは前のめりの姿勢になりがちだ。ホイールベースが短いので前転して転倒する危険性が大きくなる。

未舗装路は走れる?
 やめておいた方がいい。タイヤが小さいために、石畳の道でもがたがた揺れて運転しにくい。舗装路専用と思うべき。

サドルが小さいけれどお尻は痛くならない?
 きちんと座骨を座面に乗せて走る限りは大丈夫。ただし、これで数十kmを走るのはつらいと思う。

どれぐらいの距離を走れるの
 普通のママチャリの行動半径なら、間違いなくカバーできる。今まで、15km程度までなら走ったことがあるが、気楽に使えるのは10kmぐらいまでだろう。つまり片道5km程度まではさほど構えることなく使うことができる。

ブレーキは効く?
 効く。普通の自転車と変わらないと思っていい。

雨の日の安全性はどう?
 乗ったことがないので分からない。ただしブレーキの構造からして乗らない方が無難ではないだろうか。

壊れない?耐久性はある?
 長期間乗ってみないことには、なんとも言えない。ただし、mixiの関連コミュでは、ギア破損の事例が報告されている。

特別なメンテナンスは必要?
 タイヤが小さく、空気が抜けやすい。タイヤの空気圧チェックはまめに行うべきである。

 要するに走行性能は、変速機のないママチャリ程度。ただし乗るに当たってそれなりの注意と慣れを必要とする。その代わり、軽量で持って歩くことができるわけだ。

 では、持ち歩きの実際は——次回に続きます。

 写真は江ノ島にて。

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Comments

防錆潤滑剤で、プラスチックとの複合時によく使うのがPJ-1です。
ケニー・ロバーツ(父)が現役のときにYZRの下側にステッカーが貼ってあったと思います。

 PJ-1ですか。今度調べてみます。今でも入手できるのでしょうか。

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