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2007.09.25

地球温暖化と惑星工学

 暑さ寒さも彼岸まで、という。秋分の日を過ぎて、やっと涼しくなってきた。

 しかしまだ暑い。例年ならそろそろ寒さが忍び寄ってくるはずなのに、私はまだTシャツ一枚に短パンという夏の姿で原稿を書いている。

 地球温暖化のせいだろうか。

 温暖化の問題がやっかいなのは、まだ我々が科学的に「こうだ!」と言い切れるだけの知見を蓄積できていないことにある。確かに大気中の二酸化炭素濃度は増える一方であり、世界の平均気温も又上昇し続けている。しかし、その因果関係がどうなのかは、今なお議論の対象となっている。現在は長い周期で見た間氷期であることは分かっているが、では間氷期のどこいらへんなのか。今の温暖化は二酸化炭素の影響ではなく、別の要素のせいなのではないかとか、今なお議論は続いている。

 実感として確かに温暖化は進んでいるように思える。温暖化を示すデータも数多く集まっている。それでも、納得しない者、例えばアメリカの為政者などは、納得しない。その程度のあいまいさは今も残っている。

 悩ましいことに、温暖化対策には「皆が納得するだけのデータを積み重ねた頃には手遅れになっているのではないか」という恐怖がつきまとっている。

 地球温暖化のポジティブな側面はないものか、と考えていたら、SFマガジン11月号の、金子隆一さんのコラムに、興味深い意見が書いてあった。南極の氷の内部の窒素と酸素の濃度比を調べることで、地球の長周期気候変動の一つであるミランコヴィッチサイクルの物証が得られたというニュースに続いて、金子さんはこう書いている。

 しかし、それよりもわれわれにとってなお興味深いのは、これで、惑星を人為的に冷却したり加熱したりする未来の惑星工学への新たな突破口が開かれたという点である。

 そうか、地球温暖化を別の面でみると、「人間が遂に地球の気候を変化させる力を得た」ということなのだ。次に必要なのは「人間が地球の気候を制御する力を得る」ことなのであろう。そこには様々な倫理的問題が存在する(気候兵器など考えたくもない)が、これは温暖化が示す希望の側面なのかも知れない。

 我々は、人間が気候を制御する時代の夜明けに生きている、と考えると、温暖化防止も単なるエコロジーの問題ではなく、宇宙に進出する人類が解決すべき課題と、前向きに捉えられるようになる。

 温暖化を防止するということは、地球上で人間が生き続けるということのみならず、より大きな宇宙的視点で、知性が惑星全体を制御するという意味もあるわけだ。

 これだけで、前向きな気分になるというのも単純な話ではある。が、私としては少し元気が出てきた。

追記:あ、自分で過去にも同じようなことを書いているぞ。ボケっと自分を罵るべきか、それとも一貫性を自賛すべきか。

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Comments

いつも拝見しております。おおむね同意です。
『日本沈没 第二部』ではないですが、ツバル共和国で生きる人々のために「メガフロート」を建設してあげるほうがよくないかー
今から多少Co2削減しても(そもそも不可能だと思いますし)間に合わないでしょう。
http://khipu.jp/php5/show.php/47673

まず、記事に関係ないコメントを投稿する失礼をお詫びします。
今晩19時から、垣見さんが出演される開運なんでも鑑定団スペシャルが放映されるようです。
8/24のロケットまつりの参加者には伝わっておりますが、結構前の告知でもあり忘れている方もいらっしゃるでしょうし、こちらでの直前の告知がないようなので、しゃしゃり出てきました。
#直前すぎるのもご容赦ください。

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