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2007.10.05

かぐや、月周回軌道投入に成功、記者会見の様子

Takizawa かぐやは月周回軌道投入に成功しました。

 午前9時から相模原の宇宙科学研究本部で開催された成功記者会見の様子です。

出席者は滝澤悦貞プロマネ、佐々木進・ISAS宇宙情報・エネルギー工学研究系教授、阪本成一対外協力室長

 写真は身振りで、月周回軌道投入時の月とかぐやの位置関係を説明する滝澤プロマネ。


滝澤:発表文読み上げ。


 月周回軌道投入は成功。
 遠月点高度:1万1741km、近月点高度101km、周期16時間42分。

 以下質疑応答。

NHK:月周回軌道投入は、かぐやの観測開始にどんな意味があるか。投入の感想を聞きたい。

滝澤:月周回観測にはとにかく月を回る必要がある。重力天体の周回には、どうしてもクリティカルなマニューバーが必要になる。この実施タイミングは非常に限られており、失敗するとミッションにロスを生じることになる。かぐやの緩速実施に向けて大きく前進した。

 これまでのイベントは順調で衛星も正常だったので、クリティカルなマニューバーではあったが自信があった。それでも、25分間続く噴射の間は非常に長く感じた。

NHK クリティカルということの内容を知りたい。

滝澤:タイミングが非常に限られている。あるタイミングで確実に実施しなくてはならない。このタイミングを逃すと予定していた月周回軌道に入れなくなる。

 もしもマニューバーができなくなると、月の重力の影響を受けて月周回軌道に入れることが難しい軌道に入ってしまう。軌道精度はともかく周回軌道に入れることが重要だったが、結果として高精度の月周回軌道に入れることができた。

朝日新聞:25分間、噴射は継続したのか。月に対して減速しているが、これは姿勢を変えて噴射したのか。速度をどれぐらい落としたと表現できるか。

滝澤:姿勢を変えて25分間噴射し続けた。おおよその話をすると、月が地球に対して1.数kmで、かぐやが0.1kmぐらいで移動している。月にかぐやが近づいて月にひっぱられるので、噴射で月にへの接近を押さえて月周回軌道に投入する。

阪本:どこに基準をおくかで見え方が変わってくるので、少々複雑ですね。


フリーランス青木;今後の高度を下げるマニューバーは、月周回軌道投入に比べて安全なのか。

滝澤:時間的な余裕が大きいので、リスクは少ない。

青木:リレー衛星とVRAD衛星の分離時の軌道を詳しく知りたい。その時の遠月点高度の誤差はどれぐらい見積もられるのか。

滝澤:リレー衛星は遠月点高度2400kmで周期6時間 VRAD衛星は同800km周期3時間、最終的にかぐやが入る月周回軌道は100km円軌道で周期は2時間、高度誤差は遠月点で100km程度は許容される。
 公開されている図では、衛星分離の軌道しか書いてないが、実際の高度を下げるマニューバーは、何回にもわけて噴射を行い、徐々に下げていく。その過程で高度が合ったところで孫衛星を分離する。

赤旗:今後の観測に向けての予定をもう少し詳しく知りたい。

滝澤:100km円軌道投入後、1ヶ月半ほどかけて観測機器の機能確認を行う。実際のデータが出てきはじめるのは12月中旬から下旬にかけてになる。

赤旗:地球の出のハイビジョン画像はどのタイミングで公開されるのか。

滝澤:ハイビジョンカメラのチェックアウトの中で取得することになるだろう。膨大なデータをダウンロードする必要があるので、他の機器のチェックとも考え合わせて、データをダウンロードするタイミングを見計らうことになるだろう。

宇宙作家クラブ松浦:成功の公表が翌日になったが、実際にはどの時点で「成功」を確信したのか。また、よろしければ昨日、寝床に入った時の気分を一言。

滝澤:運用管制室に詰めて、500Nスラスターの噴射をやっている時。モニターには、衛星に加わる加速度や、速度はリアルタイムで表示されていた。それらの数字が予定通りだったので、噴射終了時点でおおよそうまくいったな、と思った。その後の軌道測定が軌道計算が出たのが今朝の5時ぐらいだった。その結果を受けて今日の記者会見を開いた。

佐々木 私も同じデータを観ていたが、噴射終了でうまくいったと思った。セレーネには3つの大きなステップがある。打ち上げ、月周回軌道投入、観測機器機立ち上げだ。2番目まではうまくいったが、まだ機器の立ち上げが残っている。まだ気は抜けないが、ほっとしたといったところだ。

滝澤;やっぱりほっとした。マニューバーの間はやはり緊張しており、内心「うまくいけうまくいけ」、と思っていた。


アビエーション・ウィーク:マニューバーの正確な時刻を知りたい。

滝澤;午前5時55分から始まり、6時20分に終了している。

東京にマイク移る

共同通信:遠月点高度は当初予定1万3000kmほどだったはずだが、そのずれで予定はどう変わるか。また、現在すでに極軌道に入っているのか。

滝澤:その数字は軌道長半径で月の半径が加わっている。だからその数字から月の半径を差しひいて欲しい。すでに極軌道に入っている。

時事通信 推進剤はどの程度まで消費したのか。

滝澤:これまでのマニューバーでおよそ400kgほどを消費している。これは予定どおりである。搭載推進剤にはマージンを設定してあるが、それはほとんど使用していない。


相模原にマイク戻る。


青木:推進剤が余ると観測期間は延びるのか。

滝澤:観測延長は、燃料と同時に月の重力場でかぐやの軌道がどう変化するかによる。月の重力場の分布はかぐやの観測項目であり、まだよくわかっていない。それにより寿命が延びるかどうかは変わってくる。

青木:重力場はどの程度の期間観測するのか。

佐々木:1年間の観測期間中、ずっとデータをとり続ける。2ヶ月程度で最初の結果が出て、その後の観測では精度を上げていく。2ヶ月という期間のは特に物理的な意味があるわけではなく、2ヶ月程度を単位にしてデータの整理を考えていくということである。

東京から

ニュートン:ハイビジョンカメラで地球の画像を公開したが、月の画像を早く公開してもらいたいと思う。観測開始前にハイビジョン画像公開する可能性はあるか。

滝澤:今月19日に高度100km軌道に入ってから、ハイビジョン撮影を行う。どういう画像を取るかは今後ともチームを検討していく。

共同通信:月とかぐやの軌道投入時の位置関係を手かなにかで示してもらえれば。

滝澤:こうなって、ああなって…(身振り手振りで示す)


相模原にマイク戻る

青木:ハイビジョン以外のデータは年内に公開されるだろうか。

佐々木:定常軌道に入ってから観測機器をひとつひとつチェックしていく。中には高電圧を使っているものもあるのでかなり慎重に行う。画像関係センサーは早期にチェックアウトするので12月中旬の前にも画像は取得することになるだろう。画像関連データには小較正が不可欠。較正がうまくいけば、早期の公開が可能になるが、うまくいくとも限らないので、「いつ公開する」というのは現時点では確言できない。

青木:どの観測機器の画像が早期に公開されるのか。

佐々木:なるべく一般の人がわかりやすい画像にしたいとは思っている。年明けには代表的なデータを出していくようにしたいし、そのようにしなくてはいけないと思っている。どんどんデータが公開されるのは年明けになるだろう。


 終了後のぶらさがりにて。

阪本:成功の公表が翌日になったのは、軌道を確定してから公表しようということになったため。軌道確定が今日の早朝になったのは、周期16時間超の軌道の各点で位置測定をおこなって軌道を確定させたからである。
 マニューバー直後に「うまくいったな」という感触はあったわけだが、どんな軌道に入ったかがわからないと「月に願いを!」キャンペーンで集めた名前を「確かに月周回軌道に投入しましたよ」とは言えない。また、報道する側の事情としても、情報を2日に渡って小出しにするのではなく、1回にまとめたほうがいいだろうと判断した。

 実は私、昨日はJAXAiのマンスリートークに出ていたのですが、色々聞かれて大変でした。本当にみなさん、興味を持たれているのでうれしいです。


佐々木:1年間の観測がうまくいき、推進剤に余裕があれば、高度50kmまで下げることも検討している。磁場関係の観測は精度が距離の3乗に反比例するので、高度が半分になれば8倍よいデータを取ることができる。
 月周回軌道に投入した時のデルタVは300m/s。


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Comments

どういう発表文だったか知りませんが、外信がことごとく Japan's first lunar probe と言ってるのが気になります。

はやぶさに続いて、かぐやの貴重な記者会見も日本中で
ここでしか読めない現状・・・
ありがとうございます
次回もお願いいたします(^_^;)
YouTubeの1010xxxx
って、松浦さんかな?ちょっと気になる(笑)

いつも貴重な情報をありがとうございます。かぐやについては海外でもかなり盛り上がっているようですので、久々に記者会見の翻訳をJspaceさんの所で公開させて頂ければと思っております。実は当初Jspaceさんのガイドラインを失念しており、うっかり松浦さんのご了承を得ないまま翻訳してしまいました。事後承諾で大変申し訳ないのですが、ご了承頂けますでしょうか。問題があるようでしたら即刻削除させて頂きます。ご検討下さい。
http://jspace.misshie.jp/index.php?LbyD%2F20071005

 naoさん、ごくろうさまです。

 もちろんOKです。ここに乗る報道がらみの記事は、出所を明らかにすればどう翻訳しても、転載しても、利用しても自由です。要約もOK。改変だけは勘弁してくれ、ってところでしょうか。

松浦さん、早速ご快諾頂き感謝します。勿論出所明記の上、翻訳を公開させて頂きたく思います。
今後とも貴重な情報を期待しております。

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