書籍紹介:小林泰三「天体の回転について」「モザイク事件帳」
書評の仕事をやっていてうれしいのは、どんどん読むべき本が送られてくることだ。一方でつらいのは、読みたい本を読む前に書評候補の本を読まねばならないこと、その結果読みたい本を読む時間をとれなくなってしまうことだ。
色々と本を贈呈されることもあるのだけれど、どうしても書評仕事が優先してしまい、なかなか読む時間を作れないということが多い。
申し訳ないので、今後本を贈呈された場合、読んでなくてもどんどんここで紹介していくことにした。まずは、最近続けて出版された小林泰三さんの本を2冊紹介する。
「あの小林泰三が」「こんな萌え系表紙で」「地動説を主張したコペルニクスの著作と同じ題名の本を出した」——これだけで著者の性格の悪さは分かろうというもの。「僕って抒情派ですから、こういうものを書いちゃうんですよね」といってぐふふと笑う顔が目に浮かぶ。内容は「海を見る人」と同じ論理性を重視したハードSFのようだ。ああ、早く読みたい。
などと読まずに言っていたら、きっと肩すかしを食わされるのだろうな。
小林さんについては冬樹蛉さんが、小林泰三は、その明晰な論理性とクールなルックスに反して、根が“いちびり”なのだと、見事な分析を行っている。私からこれに付け加えることはない。いつぞやの牛祭り(分からん人には分からんでしょうが、そういうことがあったのです)における見事なマタドールっぷりは、彼の頭の良さと脱倫理性(反倫理ではないところに注意)、そしていちびりを余すところなく示していたと思う。
そういえば、冬樹さんが作ったデビルマンの替え歌で「小林君」というのもあったな。「オバケのQ太郎」(最初のアニメ化の時の主題歌)の替え歌もあって、確かこんなんだった(作者は田中哲弥さんだったか)。
ぐ・ふ・ふー
こばやーし君
ぼーくは小林泰三
あたまーのてっぺんに
手が三本、手が三本
いやいや、こんなことばかり書いてはいけない。ハードSF愛好家としては、同年代で野尻抱介、林譲治、小林泰三と3人の作家が活躍していることは、とてもうれしく、ありがたいことだと思っている。
基本的に小林さんはハードSFの人だと思うのだけれど、その強固な論理性は当然のごとくミステリーにも発揮される。こちらはミステリー短編集。アマゾンの書評を読むと、マッドサイエンティストに記憶障害の探偵、超天才殺人者といった面子が探偵役を務めるらしい。「密室・殺人」では、空前絶後のとんでもない探偵を登場させた彼のことだから、この本でも色々とひねりの効いたことをやっているのだろう。
やはり、読んでいない本を紹介するのは難しい。はやいところ仕事を片づけて、小林さんの本を読まないと。
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どうもご紹介ありがとうございます。
ところで、本人は物凄く真面目に書いているのに、どうして会う人こどに「いちびっている」と言われてしまうのでしょうか?
全くもって不思議です。
Posted by: 小林泰三 | 2008.03.24 09:35 PM
>全くもって不思議です。
きっと真顔でそういうことを言っちゃうからだと思います。
読まずの紹介、申し訳ありませんでした。読んでからもう一度きちんと換装を書きます。
Posted by: 松浦晋也 | 2008.03.27 10:32 PM