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2008.04.15

WIndowsCE、あるいはダメOSとの戦い

Ce

 シャープ/ウィルコムから、Windows VistaをOSに採用した端末「D4」が発表された。

 この手の端末には好きなので、興味津々でスペックを読んでいったが、どうなんだろう、これは。

 メモリーは1GBで固定。これでVistaはまともに動くのだろうか。

 そしてストレージは40GBHDD。1.8インチであるのは当然として、iPod Classicよりも小さな容量というのはどんなものなんだろう。

 マイクロソフトのOfficeが搭載されているのも、大してうれしくない。使わなければ貴重なディスク容量の無駄遣いだし、使いたければ別にマイクロソフトのOfficeでなくても、Open Officeをダウンロードしてくればいい(私の場合、ではあるけれども。当然互換性を気にしてMS-Officeでなければ、という人もいるのでしょう)。

 何より、Windows Vistaでいいのだろうか。このOS、本当にいい話を聞かない。私の周囲では「Windows Meの再来」などと言われている。

閑話休題。

 かつて、Windows CE端末をなんとかして使いこなそうとどたばたしたことがある。出先で通信し、原稿を書く。ノートパソコンではあまりに重いので、Windows CE機でやろうとしたのだった。CEにATOKが載ったのをきっかけに(MS-IMEでは変換効率が悪すぎて仕事にならない)、CE機を、NEC/NTTドコモの「シグマリオン」「シグマリオンII」、NECの「モバイルギア(MC-R550)」、日立の「ペルソナ」と4台も買い、使い込んでみた。

 結論から言えばそのユーザー体験は、使えないOSを、どのようにしてアプリでカバーするかという戦いだった。

 いやもうWindows CEはすさまじいダメOSだった。狭い画面をますます狭く使うデスクトップのデザイン、いちどなにかのタスクにいったっきりになったらそのタスクが終わるまで帰ってこないタスク管理、低機能不親切設計でまるっきり使えない上に、ROMに焼き込んであって消去すらできない「Pocket Office」——「ユーザーの神経を逆なでするべく仕様書を書いたんだろ」といいたくなるようなOSだった。

 それでもWindows CE FANからたどって、各種ソフトウエアを組み込むことで、そこそこ使える環境を作ることはできた。かな漢字変換は「ATOK」、エディターは「Pocket WZ Editor」、ファイル管理とランチャーは「SQ」、メーラーは「QMail」などなど、要するにマイクロソフトの用意した環境から離れることで(できればOSから入れ替えたかった!)、持ち歩いて原稿を書きメールを読み書きするという最低限の用が足りる端末となったのである。
 Webブラウザーだけはどうにもならなかったけれども(附属のPocekt IEがまたすさまじい代物でねえ…)。

 OSのダメさに反比例するかのように、ハードウエアはどのマシンもよくできていた。なかでもモバイルギアMC-R550は、打ちやすいキーボードが付いていたので、かなり使い込んだ。

 なによりMC-R550はモバイル機に必須の堅牢性という点で卓越していた。
 一度、東京駅のホームでカバンの中身をぶちまけてしまったことがある。MC-R550はホームをすべり、線路へと転落したが、それでも駅員さんに拾い上げて貰うと、何事もなかったのようにスイッチが入った。もちろん液晶も割れてなかった。

 今考えてもモバイルギアのハードウエア設計は、本当に良い仕事をしていたと思う。NECがこの系列の設計を発展させることができなかったのは、なんとも惜しいことだ。

 これでOSがWindows CEでさえなければ…と何度思ったことだろうか。

 最終的にMC-R550は、バッテリーがへたるまで使い込んだ。最後の頃にはさすがにSTN液晶640×240ドットのディスプレイが見劣りするようになっており、バッテリーをリフレッシュしてまで使い続ける気にはならなかった。

 その後Windows CEはキーボード付きミニマシンから撤退し、タブレット型ハンドヘルド機のOSとして今も使われている。名前もWIndows Mobileと変わり、ウィルコムのスマートフォンも採用している。
 だが、私はそれらを使用する気にはならなかった。いくらバージョンアップを繰り返したからといって、あのCEの子孫が、悔い改めたジャン・バルジャンのごとく素晴らしいOSになっているはずがない、と判断したからだ。

 で、D4だ。実物に触れるまで判断は保留だが…多分私は買わないだろうな。VistaがCEで受けた傷をいやせるほどに良いOSとはどうしても思えないので。

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Comments

まぁ、いまにLinux化されますって。

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