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2008.05.06

サロマ湖でもハクチョウの感染を確認

 5日、北海道で新たにサロマ湖で見つかったオオハクチョウの死骸から、鳥インフルエンザ陽性反応が出た。

鳥インフル:サロマ湖畔で1羽が陽性か(毎日新聞)

 現状ではインフルエンザ・ウイルスが検出されたという段階で、強毒型のH5N1ウイルスかは不明。しかし、1)すでに死んでいる、2)韓国ではH5N1ウイルスが蔓延中という状況証拠から、強毒型ウイルスである可能性は高い。

 要するにこれまで野鳥をきちんと監視していなかったのだろう。それが、秋田県の事例でH5N1ウイルスが検出されたもので、あわてて監視体制を強化したら、すぐに次の事例が見つかったということではないだろうか。

 野鳥の防疫は、養鶏場の防疫よりもずっと難しい。鳥が死んでいるだけだから、危機感も抱きにくい。

 しかし、この段階できちんと食い止めないと、鳥インフルエンザが、渡り鳥のみならず国内の鳥類にも定着してしまう。そうなったら、ヒトからヒトへの感染を起こす新型インフルエンザが出現する確率が上昇する。もちろん、うっかり肺の奥深くウイルスを吸い込んで、人が鳥インフルエンザに感染する事例も出てくる可能性がある。

 実のところ、白鳥は感染すると死ぬので、ウイルスの拡大が分かりやすい。それだけ防疫もやりやすい。

 本当に注意しなければならないのはカモだ。

 カモは強毒型の鳥インフルエンザ・ウイルスに感染すると約3割が死亡する。しかし残る7割は、感染しても症状が出ない、不顕性感染となる。不顕性感染を起こしたカモの腸管内でウイルスは増殖し、糞の中に大量に排出される。糞は水に溶け、その水を飲んだ別の鳥に感染する。

 この春、渡り鳥のカモは、北に帰って行った。しかし今年秋にはまた日本に渡ってくる。それらカモの中に、不顕性感染を起こした個体がいて、ウイルスをまき散らしたら——。

 そうならないように、早急に、防疫体制を構築しなくてはならない。

午後追記;韓国では首都のソウルでも、鳥インフルエンザの発生が確認された。

2008/05/06-11:25 鳥インフル、ソウル市内でも=韓国:時事通信

 東京で鳥インフルエンザが確認されたら、と考えると、事態の深刻さを実感できるだろう。こうならないためには、今、しっかりとした防疫を行わなくてはならない。

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新型インフルエンザ(H5N1)」カテゴリの記事

Comments

>>要するにこれまで野鳥をきちんと監視していなかったのだろう。

 これまではその必要性がなかったのではと思います。
 自分は北海道の西部や北部で二十数年間働いていた経験がありますが,その広さと人口の少なさから言っても,単位面積あたりの行政力は首都圏の方々には想像できないぐらい貧困でしょう。
 全職員の賃金カットが3年目に入った北海道庁はもとより,あと一歩で夕張になる市町村も含め,行政の各分野において人と予算を確保するのは並大抵の苦労ですみません。
 当たり前の話になりますが『野鳥の監視』へ継続的に人員をさけばその分,住民サービス等が手薄になります。
 ですからバランスの問題で保健機関や研究機関が人命にかかわるものとして警告を出せばそれに沿って各地方自治体は動く筈です。
(今回のサロマ湖の事例では町が既に消毒作業にあたりました)
 自動車の後部座席から運転者にあれこれ注文をつけるような発言は度が過ぎると関係者の反発を買うだけで折角のご提言が生かされないと思います。

 道産子SFファンの端くれとして

炬燵猫(kotatsuneko)さん

 コメントありがとうございます。サロマ湖のケースは消毒が入りましたか。よかった。

 私が「要するにこれまで野鳥をきちんと監視していなかったのだろう」と書いた背景には、4月に入ってから韓国で防疫が失敗しつつあり、しかもウラジオストック近郊でもウイルスが検出されているという状況があります。

 私も「いつでも野鳥を監視しろ」という意味で書いたのではありませんでした。4月中旬以降、明らかに警戒レベルを上げるべき状況があったのに…という意味です。伝わらなかったとしたら、それは私の書き方の問題ですね。

 鳥インフルエンザに関する知識は、まだ十分に広まっているとは言えません。知識の不足から防疫に失敗するようなことにならないようにしなくてはいけない、と物書きの端っこで考えているわけです。正確な知識がなければ、警戒レベルを上げるという発想も出てきませんし。
 今回のケースが発生して以降、道庁から別海町にいたるまでのHPを毎日見ていますが、出てくるリリースを読む限り、正確な知識が末端まで行き届いているのか、非常に危惧しています(ヒトヘの感染はまれであると必ず書いてある一方で、なぜ鳥インフルエンザを徹底的に防御しなければならないかが書いてない)。

 風蓮湖は環境省の調査が入ったそうですね。来年、あそこに集まるハクチョウがどうなるか、心配しています。

http://www.sasayama.or.jp/wordpress/?cat=2
リンク集として農事側からみるのに笹山登生氏のサイトも有用でしょうね。ポストにない分縛りが無く色々勉強した成果を配布してくれています。

sionoiriさん

 これは勉強になります。私も専門ではないので四苦八苦しつつ勉強しているところなのです、どうもありがとうございます。

松浦様

>>本当に注意しなければならないのはカモだ。

となるとカモが家禽化したアヒルや、カモとアヒルの交配種のアイガモ、カモ類であるカルガモも危ないと考えた方がいいのでしょうか?これらは、季節に関係なく日本にいますから、、、。

>危ない
何に対して危ないのか?というのが難しいです。
ヒト=ヒト感染に一足飛びに波及する危なさはありません。
農業経営と安定的な食品供給への、危険性は増したでしょう。風評被害も含め、「経済的打撃」の危険性は高いものと思われます、対策費を含めてです。
何が危ないというと、死んでくれない鴨類のサーベイランスをする手間が加わる面倒、死んだ鳥だけ重点的にみていれば済んだ時代の常識からの卒業が面倒ということです。
http://d.hatena.ne.jp/mittyu/20080401/p1
野鳥のサンプルからコレだけ立て続けに陽性例が出なかった去年までの常識
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/earth/epidemic/07090701.htm
が、徐々に揺らぎつつあるから事すると養鶏や他の鳥肉など農業生産についての影響はより慎重に受け止めざるを得ないでしょう。
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/earth/epidemic/07102701.htm
プレパンデミックワクチンについては、海外からの検疫担当者に加え、国内の農業関係防疫担当者も、接種の対象として検討したほうが良さそうであるとはいえるでしょう。ただ、厚労省の検疫関係者は治験でも身内ですが、農水省はまだしも地方自治体の担当者ともなるとさてギランバレーなどの副作用の検討をするための治験ですから、巻き込むのに躊躇は大きいものでしょうね。

松浦晋也 様

 『北海道新聞』のWebサイト等、地元新聞社の方が公的サイトより速く情報を得られることが多いところです。
(チェックされてませんでしたらお薦めします。)
 『北海道新聞』http://www.hokkaido-np.co.jp/
 今日も気になる記事がありました。
 [北見でオオハクチョウ死骸 簡易検査に(05/07 13:48)]
 http://www.hokkaido-np.co.jp/news/environment/91234.html?_nva=5

>>道庁から別海町にいたるまでのHPを毎日見ていますが

 道民の一人として公的機関のWebサイトのお寒い状況には申し訳なく思います。
 これは危機意識より以前にWebサイトで情報を開示することの重要性を知らない又は判らないと言うレベルの話かも知れません。

どこからも情報が入ってきませんが北朝鮮の状況はどうなのでしょう。
周辺地域の全てでウイルスが検出されているのですから、あそこだけ無事であるとはとても思えません。
食糧事情からして、いざとなっても家禽の殺処分ができるかどうか。
まるでブラックホールの間近にいるような気分です。

 北見の死骸は陰性だったそうです。よかった。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/environment/91356.php

 北海道新聞もチェックするようにします。

 北朝鮮は分からないですね。一応防疫体制を敷いたというニュースは韓国系メディアから拾うことはできるのですが、どこまでやっているのか、もう発生しているのかしていないのか、分かりません。

北朝鮮は韓国との国境線沿い地域で家禽にワクチン接種したようです。

鳥インフルエンザ防疫万全に 家禽に緊急予防接種
http://www1.korea-np.co.jp/sinboj/j-2008/04/0804j0509-00006.htm

渡り鳥もそうですけど、国内の漂鳥も心配ですね。
これから夏にかけて北海道に移動した本土の鳥が、不顕感染して秋口に帰ってくる、
という嫌なシナリオも考えられますし。

>北朝鮮は状況不明

偵察衛星で白鳥の群れの様子を探るくらいしかなさそうですね。

インフルエンザではないのですが北海道の疫病関連で気になるニュースを思い出しました。
「ナイフマガジン」誌の狩猟関係の記事で知ったエゾシカのCWD(鹿慢性消耗病)です。
鹿のBSEといった病気らしいのですが野生の鹿の間で感染が拡大しており飼料の肉骨粉が原因とされるBSEとは様子が異なります。
こちらの動向も気になります。

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