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2008.12.29

ますますニコ動にはまるのだ

 野尻さんのアピールに乗せられて、ニコニコ動画のプレミアム会員になった。快適な回線容量が確保され、ますますニコニコ動画にはまり込むのである。

 以下、今年秋以降にアップされた/見つけた、面白かった音楽系動画を。初音ミクもそれ以外もごっちゃになっています。


 今年後半もっとも衝撃的だった作品。鉄風Pの曲に機能美Pがビデオを付けたコラボレーション作品だが、音楽と映像の両方とも斬新、かつ両方が組み合わさってさらに素晴らしい。間違いなく、ニコニコ動画がなければ現れることがなかった作品だろう。
 鉄風Pの音楽そのものが「変拍子を基調にしたモーダルな仏教ロック」というショッキングなものである上に、ビデオもタイポグラフィの限界に挑むような高品位。10万アクセス突破は当然だ。

 作中に頻出する女の子のシルエットは、実は「M@STER FONT」というフォント。ナムコが販売しているゲーム「アイドルマスター」に登場する女の子達のシルエットを文字フォント化したものだ。
 この「アイドルマスター」の映像を加工したビデオ画像は、ニコニコ動画で一大勢力を形成している。というよりもこのゲームの人気はニコニコ動画に投稿されるユーザーが作成したビデオ(パロディ的な内容が多いので「Mad」と呼ばれる)なくして考えられない。


 その「M@STER FONT」のプロモーションのために作成されたビデオ。これまたとんでもないセンスの発露で、感心するしかない。


 萌え声サンプリングミュージック、と一言で片づけるにはあまりに良くできた逸品。もとはMusicMakerというドイツ製の音楽ソフトに、輸入元が声優さんの音声サンプルを付けて萌えパッケージで出荷したもの。その音声サンプルをいじくって一曲に仕立ててしまった。
 サンプリングミュージックは繰り返し一辺倒になってしまいがちだが、この曲は繰り返すフレーズと繰り返さない一回限りのフレーズとのバランスがすばらしい。音楽とは、繰り返しとその時一回限りの出会いを駆使して聴き手の記憶を操る技法なのである。


 脱力ロックが楽しい長靴Pの新作。そうか、長靴Pは実は絵もうまかったんだと見入ってしまう。イラストも音楽も歌詞も、そしてギター演奏もほどよく力が抜けていて、なおかつ脱力しきっていない。いいねえ。いいなあ。


 以前、音女-オトメを紹介したまうPの作品。軽やかなピアノとフランス風の和声が快い。ミクの声も、べーゼンドルファーのサンプリング音も曲の雰囲気に実によく合っている。本当にこの人は、心にすとんと落ちる曲を書く。


 そもそも人間の声と言うには表情がどうしても乏しい初音ミクに、極限までの表現力を要求するワーグナーを歌わせるというのは無謀そのもの。しかし、無謀の行為を通じて見えてくるものもあることも事実だ。
 この調子で技術が進んでいけば、ボーカロイドを組み合わせてオペラを歌わせ、MikuMikuDanceで3Dモデルに演技をさせて、たった一人でバーチャルオペラを作り上げる事も可能ではないかと夢想してしまう。
 そのためにはもう少しボーカロイドの種類が増えないとなあ。せめて男声のバス歌手は欲しいところ(需要があるかどうかというのは難しいところだろうが)。


 と、思ったらまうPの新作はオペラ風の曲だった。曲はできるな。後は、これにMikuMikuDanceで動きを付ける人が出てくるかどうか。


 私はいいと思うのだけれど、なぜかアクセス数が伸びないトゥルララPの最新スキャット曲。どこかYMOを思わせるクールで落ち着いた雰囲気だが、こういうのはニコニコ動画のメインユーザーには受けないのだろうか。「尻P」こと野尻抱介さんは「ラノベ感性が足りないんじゃないでしょうか」と分析していた。「ニコニコ動画のユーザーは若いので、ラノベっぽい感性がないといかんのでしょう、『メルト』とか」。そうかもなあ。
 その割にかなり年配のPも多いようなのだけれど。


 ボーカロイド一家が歌う武満徹。無伴奏合唱曲もなかなかいい。
 武満は、感性の根本部分に多量のポップス成分を抱えていた。それが良く分かる佳品。ほろっとくる緩やかな暖かさに満ちた曲だ。「こどものころをおもいだした」というあたりの和声は古いアメリカンポップスの匂いがする。
 「風の馬」、私も聴きたいです、アビヨヨ←作者の方。


 おそらくもっとも有名な現代詩であろう谷川俊太郎「二十億年の孤独」に木下牧子が曲を付けた合唱曲。現代日本の合唱曲の指標的な作品だ。武満作品は、表面的な親しみやすさとは別の演奏のしにくさがあるのだけれど、この曲は特に訓練を受けていない中学生から高校生が歌うことを前提に、色々と歌いやすくなる工夫が盛り込まれている。なおかつ音楽として中高生が興味を持てる曲になっているのは、まさしく「プロの仕事」だ。


 強烈な鬱曲を、精力的にアップしているネガティブPによる、「すげーコワイクリスマスの曲」。映画「シャイニング」の映像あたりと合わせたら、全世界でクリスマスが中止になりそう。

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