ニコニコ動画の影響力、遂に中国に及ぶか?
うははははは。こ、これは!…面白いじゃないか。
もちろんオリジナルは、初音ミク初期の大ヒット作である「みくみくにしてあげる♪」。
どこから見つけてくるのか、どうやって録音しているのかは知らないけれども、よく見つけてアップする人がいるものだ。これがネット時代というものなのだろう。「日本のものをパクっても、向こうには伝わらないから大丈夫」から、「あっという間に伝わって笑われる」へ。
ただ嘲笑するのも芸がないというか、笑いが足りないというか、すでに「偽音シナ」なるタグが付いているので、後は誰か絵の描ける者が、みんなが納得する萌え系「偽音シナ」の絵をかけば、ここにもう一人、ボーカロイド派生キャラ一丁あがりということになる。
同じく派生キャラクターの亞北ネル誕生のエピソードを思い出す話だ。こんな経緯だったのですよ。
この件、単に「だから中国は」というヒステリックな嫌中ネタにせずに、是非とも笑いと共に向こうにボールを投げ返したいものだな。
中国人——とひとくくりに考えてはいけないぐらい、向こうは人種も社会階層も多様なわけだが——少なくとも向こうのネットユーザーには、「こういう情報は、あっという間に世界を流通してワールドワイドにお笑いを増幅していくぜ、どうするよ?」というところをぶつけてみたいところではある。
そもそも「みくみくにしてあげる♪」はニコニコ動画で生まれたヒット曲なのだから、出自の時点でJASRAC流のがちがちの著作権管理とは異なる、著作権的にはゆるいところがあるわけだ。
では、この中国版パクリのどこがいけないのかといえば、「オリジナルに対する敬意なしに、ものすごく安易に『日本で流行っているものをちょっともって来ればこっちでも受ける』と考えている」らしきところだろう。要するに志が低いのだ。
自分たちの頭を使って、もっとひねりを入れればよかったのに。
このあたりのパクリについては、日本も中国のこと言えた義理ではなくて、日本のポップス歌謡曲の世界が、かつては(今も??)洋楽からのパクリいっぱいであったことは、割と知られているところではある。
個人的に今でも忘れられない件としては、ニック・カーショウの「The riddle」が流行ったら、小泉今日子がそっくりというのも愚かな程にそのものの「木枯しに抱かれて」を歌ったなどということもあった。1986年の話である。
これは、ひどかった。本当にひどかった。作曲者は誰かと思えば…なんだ、「THE ALFEE」の高見沢俊彦ではないか。
個人的にインパクトの強かった件を、思い出すままに書き出すと、リプチンスキーが、アナログ時代のハイビジョン合成を駆使した映像絵巻「オーケストラ」を発表したと思ったら、日本のCM業界に「オーケストラ」もどきの合成映像が溢れたとか(これは1990年頃)、三善晃の「ピアノソナタ」の第2楽章冒頭は、アンリ・ディディユーの「ピアノソナタ」第2楽章冒頭とそっくりだとか(1965年のことだ)。
「レスペクト」とも「パクリ」とも、「傾倒するあまりについつい似てしまった」とも付かない事例はいくらでも存在する。
「学ぶ」の語源は「真似ぶ」なんだそうで、真似を排除すると次の世代が育たない。とはいえ、安易なウケを狙っての志の低い真似は、「そういうのは軽蔑されるぜ」という雰囲気を作っておくのは悪くない。
13億を超える中国で、ネットユーザー人口は2億を超えているとのこと。この2億の中は、それなりにきちんと思考する人々がいる——私は、日経ビジネスオンラインに遠藤誉さんが書いた「開幕式の「まやかし」が傷つけたもの ネットに溢れる中国国民の怒り」という記事を読んでから、そのように考えるようになった(日経ビジネスオンラインの全文を読むには、無料登録が必要である。私としては、遠藤さんの記事が読めるだけでも、登録する価値はあると考えている)。
まあ…日本のネットも玉石混淆なのだから、向こうは人口が多い分、もっと玉石混淆なのだろうが——それにしても、今回の件をうまく笑いで投げ返すとどんな反応が出るのだろう。そして、そんなドタバタを繰り返しながら、ネット時代は進んでいくのだろう、ね。
22:15追記:さっそく来た来た。
この調子、この調子。
19日5:00追記:どうやら、単なるパクリではないという雰囲気になっている。
コットンファーザーアキヨシとは、長渕がいつも一人でいると思っている中国人(らしい)人である。概要
事の発端は2009年1月18日に投稿された動画(sm5874126)である。
中国語放送のラジオ番組「ニコニコ大ニッポン語FM」にて「みくみくにしてあげる♪」に似た曲が
歪みなく歌われている。
どういうことなの・・・当初はパクリだとして「偽音シナ」との蔑称がつけられたが、動画内で明確に「ニコニコ」と
聞き取れる部分があるため、歌いやすくアレンジされた「歌ってみた」シリーズの可能性もあり、
今後の経緯が期待される。
編集者が表示用記事名を直そうとしたが無理だった。仕方ないね。ニコニコ動画が4カ国語対応になったことを考えると、アレンジバージョンの登場は
やや遅くさえ考えられる。正しい歌詞なのか、どのような経緯で歌われたのかはまったく不明。シャランQのファンらしい。
あまり裕福ではないらしく、生のピーマンを食べたり、「食材があるときに食事にする」と発言し、
サンタマン(サンタクロース?)のプレゼントを期待しているようだ。歌詞も食べ物についての内容が多い。
いやもう、ネットでは話が早いことよ。
19日23:OO追記:そもそも元の動画が中国のラジオ放送を模した偽造だということが明らかになった。
事の発端は2009年1月18日に投稿された動画(sm5874126)である。「みくみくにしてあげる♪」に似た曲(通称「ニコに関して頑張る♪」)が歪みなく歌われている。
会話部分の音源はニューヨーク州立大学ストーニーブルック校の学内放送であるWUSBの
「China Blue」という中国人向け番組で流れたもの。
番組表しかし元音源(Youtubeより引用)の4:02~4:23あたりのDJコメントに後から曲を乗せ編集されている。
つまりラジオ放送において「ニコに関して頑張る♪」が歌われたという事実はない。動画タイトルと投稿者コメント以外に情報がない現状では「中国に対する差別感情を煽る」という意図しか
伝わらない釣り動画という評価が妥当である。投稿者も現在まで一切コメントしていない。。
「「中国に対する差別感情を煽る」という意図しか伝わらない釣り動画という評価が妥当」ということで、たちの悪い歪んだいたずらということで落ち着きそうだ。
それにしてもあっという間に関連動画がどんどんアップされるのは相関だ。しかもそれらが「また中国www」的なものではなく、きちんと笑いを取ろうとしたものだったのは良かったと思う。とりあえず元の動画をアップした者には「釣り乙」ということで、いいのかな。
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Comments
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THE ALFEE の「JUMP!」という、ふくしま国体のテーマソングもすごいんですよね... なんと言っても曲名からして...
Posted by: centromezzo | 2009.01.18 09:49 PM
どうもこんにちは。毎日楽しく拝見させて頂いております。
本文と直接関係はないんですが、同じボーカロイドネタということで。
もうご存知かもしれませんが・・・
http://www.nicovideo.jp/watch/sm5841518
合唱動画の作成技法という面では特に目新しいというところはないんですが、
この動画が表現した新しい境地はなかなか凄いのではないかと。
人間の輪の中心にボーカロイドがいて、それが求心力になっているというのと、
人間とボーカロイドが同じ立ち位置で共に歌っているという、
特別な存在なんだけど特別な存在ではないという相反する
微妙なニュアンスがうまく出ています。
自分はとてもセンス・オブ・ワンダーを感じました。
Posted by: Reffi | 2009.01.18 11:23 PM
(ご存知かもしれませんが)
本文の動画に関しましてはすでに大百科に項目ができているようです
http://dic.nicovideo.jp/a/%E5%81%BD%E9%9F%B3%E3%82%B7%E3%83%8A
Posted by: あしも | 2009.01.19 02:15 AM
↑本文中のタグへの言及見落としていました
申し訳ありません
Posted by: あしも | 2009.01.19 02:18 AM
あしもさん
いえいえ、どうもありがとうございます。本文に追加しておきました。
しかしまあ、面白いことになっていますね。
Posted by: 松浦晋也 | 2009.01.19 05:05 AM
八神純子のパープルタウンもサビ前までレイ・ケネディのまるパクリでしたね。
以前山下達郎氏が自身のラジオで紹介してました。曰く「サビに入ったら全然
違う曲になるんだからこんなパクリ方する事ないのに、当時元曲がよっぽど衝
撃的でついやっちゃったんだろうね…」的なコメントをしていたのを今でもよ
く覚えてます
Posted by: hardbossa | 2009.01.19 01:58 PM